食品・飲料の指名検索は、「接触回数 × 記憶に残るコピー × 検索後の受け皿」の3点を同時に設計しないと伸びないのが結論です。TVCMだけを出稿しても、若年層は地上波の前にいないため接触不足になり、商品名を覚えてもらえないまま検索行動に至りません。

本記事では、テレビCMとゲーム内広告を組み合わせて指名検索を増やす導線設計を、食品・飲料メーカーのブランド担当者が稟議で使える数値と一緒に整理します。広告全体の体系から見直したい場合は、まず広告とは?意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説もあわせてご覧ください。

指名検索を増やすための導線設計

指名検索とは?食品・飲料で増やす意味と3つの設計要素

指名検索とは、自社のブランド名・商品名を直接含む検索クエリのことです(例:「○○ビール」「○○ヨーグルト 口コミ」)。

食品・飲料メーカーにとって指名検索は、競合と入札で奪い合わない「無競争の流入」を取りに行ける指標です。リスティング広告の指名キーワードCPCは一般キーワードに比べ大幅に低く、CPAも抑えやすいため、ブランド担当者が経営層に提出するROI根拠として説明しやすい指標でもあります。

指名検索を増やすには、次の3つを順番ではなく同時に設計する必要があります。

  1. 接触回数の設計 — 何回・どの媒体でブランドに触れてもらうか
  2. 記憶に残る言葉選び — 15〜30秒で商品名を脳に焼き付けるコピー
  3. 検索後の受け皿づくり — 検索した人を取りこぼさないLPと検索結果面

どれか1つが欠けると、CMの出稿費用に対して指名検索のリフトが小さくなります。以下、要素ごとに分解していきます。

① 接触回数の設計:TVCM単体では足りない理由とゲーム内広告の役割

記憶定着には複数回の接触が必要、というのは広告業界では古くから知られています。エビングハウスの忘却曲線に従えば、1回の接触では翌日に約7割を忘れ、定着には3回以上の接触が一般的に必要とされます。

TVCM単体が指名検索を伸ばしにくくなった理由

総務省『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』では、20代のリアルタイム視聴時間は10年前から半減傾向にあり、平日平均1時間を割り込む水準に近づいています。一方で、ネット利用時間は若年層ほど長く、可処分時間の大半をスマホ・ゲーム・SNSが占める構造になりました。

つまり、地上波TVCMだけでブランドマネージャーが望む接触頻度(フリークエンシー3以上)を確保しようとすると、GRPを大量に積む必要があり、CPM効率が悪化します。「TVCMの効果が出ない」のではなく、TVCMだけでは若年層に届かないというのが2026年時点の構造的な変化です。

テレビCM効果測定の方法と指標でも触れていますが、近年は「指名検索リフト × 売上MMM」でTVCMを評価する企業が増えており、その評価の中でデジタル媒体の補完出稿が前提化しています。

ゲーム内広告で接触機会を補完する

そこで補完媒体として注目されているのがゲーム内広告です。Z世代のゲームプレイヤー比率は約80%、1日のプレイ時間は約100分という調査結果があり、TVから離れた可処分時間にブランド接点を作れます。

ゲーム空間内の看板・モニターに動画を流す「サイネージ型ゲーム内広告」は、プレイを邪魔しないため好感度を維持しやすく、Ad-Virtua(アドバーチャ)の実績では以下のような数値が出ています。

  • 広告想起率:約1.8倍(誘導想起のWeb広告ベンチマーク33%に対し、自発想起48%/誘導想起58%)
  • 視認率:最大約96%(Web広告平均67%)
  • 注目度:約1.7倍(1,000imp当たり接触時間29分)
  • CPM:約300円(通常Web動画広告比較で約4割安)

TVCMで一気にリーチを取り、ゲーム内広告で若年層への接触頻度を積み上げる、というのが食品・飲料の認知設計で機能しやすい組み合わせです。詳細は食品・飲料の若年層リーチを増やす施策7選も参考になります。

ゲーム内広告で接触機会を増やす

② 記憶に残る言葉選び:15秒で指名検索につなげるコピーの型

接触回数を増やしても、商品名そのものが記憶されなければ指名検索は発生しません。食品・飲料の15秒CMで指名検索につながりやすいコピーには共通の型があります。

検索されやすい商品名・コピーの3条件

  1. 発音と表記が一致している — 「ヤクルト1000」のように耳で聞いた音をそのまま検索できる
  2. 3〜7音節に収まる — 短すぎず、長すぎず、口に乗りやすい長さ
  3. 特徴を1つだけ言い切る — 「濃い」「カロリーゼロ」「機能性表示食品」など、ベネフィットを1語で表現

商品名と一緒に呼びかけ語(「○○の○○、新登場」など)を入れる場合も、伝えたいことは必ず1つに絞るのが鉄則です。2つ以上のメッセージを15秒に詰め込むと記憶率が大きく下がります。

検索クエリのバリエーションを設計する

指名検索の運用で見落とされがちなのが、指名キーワードのバリエーション設計です。生活者は「商品名」だけでなく以下のような複合クエリで検索します。

  • 商品名 + 効果
  • 商品名 + カロリー / 成分
  • 商品名 + 口コミ / 評判
  • 商品名 + キャンペーン
  • 商品名 + 売ってる場所 / コンビニ

これらのクエリに対する検索結果面を、自社サイト・LP・FAQ・SNS公式アカウントで埋めておくと、認知から検索に流れた生活者を取りこぼさずに済みます。

検索クエリのバリエーション設計

③ LPと検索後の受け皿づくり

CMで興味を持ち検索した生活者が最初に触れるのが、自然検索1位・リスティング広告1位の遷移先LPです。LPがCMと別物の世界観だと、生活者はそこで離脱します

広告とLPで一貫させるべき3要素

一貫させる要素

失敗パターン

成功パターン

キャッチコピー

CMは「さっぱり」/LPは「濃厚」

CMコピーをLPファーストビューにそのまま掲載

ビジュアル

CM出演者がLPにいない

CMの代表カット・タレント画像をLPにも配置

訴求の順番

LPはスペック表から始まる

LPもCM同様、便益→共感→商品名→購入導線

ファーストビューで離脱を防ぐ要素

スマホからのアクセスが7割超を占めるため、ファーストビューは縦長スマホ画面1枚で構成されます。最低限必要なのは次の5要素です。

  • 商品名(CMと同じ表記)
  • 1行キャッチコピー
  • ベネフィットを伝えるビジュアル
  • 「販売店を探す」「公式オンライン購入」など明確なCTA
  • レビュー件数や受賞歴などの社会的証明

CTRや滞在時間、直帰率は指名検索リフトと並走する重要指標です。LPに改善余地がある場合、出稿費用を増やす前にLP側のチューニングを優先したほうがROIが上がるケースも多くあります。

LP導線とファーストビュー設計

指名検索リフト分析の進め方(決裁者向けKPI)

ブランドリフト調査(アンケート型)は意識指標は取れますが、売上への接続が見えにくい弱点があります。一方、指名検索リフトはデジタルログから自動で取れ、稟議資料に「広告出稿に対しA万件→B万件にリフト」と数値で示せるため、近年の食品・飲料メーカーで標準採用が進んでいます。

最低限揃える3つのデータ

データ

取得元

用途

指名キーワードのImp / Click

Google広告・Yahoo!広告(リスティング)

日次の指名検索数の代替指標

TVCMのGRP・出稿日

テレビ局・代理店レポート

出稿量と指名リフトの相関分析

デジタル媒体のImp / VTR

各媒体のレポート、ゲーム内広告は配信レポート

出稿配分の見直し材料

分析手順

  1. 出稿開始日の前後で、指名キーワードの日次インプレッションを並べる
  2. GRP・デジタルImpと指名Impを回帰分析し、近似曲線を作成
  3. CV数との関係を別途回帰で結び、「○GRP出稿→指名検索○件増→CV○件増」の換算式を作る
  4. キャンペーン終了後、近似式と実績の差分を見て、次回出稿量を調整
指名検索リフト分析のダッシュボードイメージ

詳しい指標設計は食品・飲料の認知KPI設計、ブランドリフト調査と組み合わせる場合は食品・飲料のブランドリフト調査も参照してください。

媒体別の指名検索リフト効果と費用感の比較

食品・飲料の認知施策で使われる主要媒体を、指名検索リフトの観点で比較します(数値は一般的な相場・公開実績ベース)。

媒体

認知の広さ

接触頻度の作りやすさ

想起率

CPM相場

指名検索リフトとの相性

地上波TVCM

◎ 全世代に広い

△ 若年層には届きにくい

約2,000〜4,000円

◎(指名リフト分析の主役)

YouTube動画広告

約500〜1,500円

SNS動画広告(TikTok・Instagram)

約600〜1,500円

ゲーム内広告(サイネージ型)

○ Z世代・男性に強い

◎ プレイ時間が長い

◎(約1.8倍)

約300円

デジタルOOH

△(接触面積依存)

約2,000円〜

TVCM × ゲーム内広告の組み合わせは、地上波で取りきれない若年層接触を低CPMで補完できるため、指名検索リフトの伸びしろが大きい組み合わせです。具体的な統合プランは食品・飲料のTVCM×デジタル統合プラン、店頭への接続まで設計したい場合は店頭送客を伸ばす:TVCM→検索→来店のつなぎ方もあわせてどうぞ。

こんな食品・飲料メーカーにおすすめ

  • 新商品のローンチ期にTVCMを出稿予定で、若年層への接触頻度を補強したい食品・飲料ブランド
  • 既存ブランドのリブランディングで、指名検索数を稟議用KPIとして示したいマーケティング部
  • リスティング広告の指名キーワードCPCが上がり始め、無競争流入を作り直したい消費財メーカー
  • ブランドリフト調査だけでは経営層への説明が弱い、と感じているブランドマネージャー

おすすめしない企業

  • 商品名がジェネリック語(例:「ヘルシードリンク」)で、指名キーワードが成立しない商材
  • 季節商戦のスポット販売のみで、ブランド資産を中長期に積み上げる意思がないケース
  • LPやEC側の改修予算がゼロで、検索後の受け皿が整備できない場合
  • 出稿期間が2週間未満で、TVCMの累積GRPが十分に積めない計画

FAQ

Q1. 指名検索リフトはどれくらいの期間で評価すべきですか?

最低でも出稿開始から4週間、できれば3か月の日次データで評価するのが推奨です。短期で見ると曜日要因・季節要因の影響が大きく、出稿効果を切り分けられません。

Q2. ゲーム内広告だけで指名検索は増えますか?

増えますが、TVCMほど一気には伸びません。ゲーム内広告は接触頻度を積む役割で機能するため、短期で指名検索を一気に作るならTVCMが主役、若年層への定着と再想起はゲーム内広告という役割分担が現実的です。

Q3. 食品・飲料の中で指名検索が伸びやすいカテゴリは?

個人で選択する商材(飲料・スナック・アイス・冷凍食品)の方が、家族で共有する商材(調味料・食卓加工品)より指名検索化しやすい傾向があります。前者は「自分の好み」で検索する動機が強いためです。

Q4. 指名検索の純増分とリスティング広告の指名Impは同じものですか?

厳密には異なります。指名Impはリスティング広告が露出した回数で、自然検索の指名クエリ数は別途Search Consoleで確認します。リフト分析では「自然検索 + 広告」の合算で見るのが正確ですが、運用調整の影響を受けにくいリスティング指名Impを代替指標として使うのが実務上の定番です。

Q5. CMコピーは事前にテストできますか?

できます。本放映前にゲーム内広告やSNS広告で同じクリエイティブを少量配信し、視認率・完視聴率・指名キーワードの動きを観察するプレテスト手法を取る食品メーカーが増えています。

まとめ:指名検索は「接触×記憶×受け皿」の同時設計で伸ばす

食品・飲料の指名検索を増やすには、次の3点を同時に設計することが必要です。

  1. 接触回数の設計 — TVCMで広く、ゲーム内広告で若年層に深く接触を作る
  2. 記憶に残る言葉選び — 発音と表記を揃え、便益を1つだけ伝える15秒コピー
  3. 検索後の受け皿づくり — LPはCMと一貫した世界観、検索クエリのバリエーションも整備

そのうえで、指名検索リフト分析でPDCAを回せば、出稿量を増やす前にコピーやLPの改善でROIを引き上げられる構造になります。広告全体の媒体設計から考え直したい場合は、広告とは?意味・種類・効果・媒体選びから体系的に整理することをおすすめします。

ゲーム内広告を組み合わせた指名検索の伸ばし方を具体的に検討したい食品・飲料メーカーの担当者様は、ぜひアドバーチャまでご相談ください。専任コンサルタントが、貴社のブランド・配信計画に合わせた認知設計と効果測定のベストプラクティスをご提案します。