テレビCMを「補完・代替」したい理由は何か
テレビCMの代替・補完施策を検討する前に、まず「なぜそれが必要なのか」を整理しておきたい。担当者が抱える課題は大きく3パターンに分かれる。
- 若年層に届かない:Z世代・α世代のテレビ視聴時間が低下しており、TVCMだけでは若年層への認知形成が難しくなっている
- コストの問題:制作費+放映費で数百万〜数千万円規模になるTVCMを継続的に出稿できない、または予算配分を見直したい
- 測定・柔軟性の問題:効果をリアルタイムで確認しにくく、クリエイティブの修正も難しい
この3つのどれが主な課題かによって、選ぶべき施策は変わる。以下の比較表と解説を参考に、自社の状況に合った組み合わせを選んでほしい。
主要6施策の比較表
施策 | 若年層リーチ | ブランド好感度 | CV計測 | 費用感 | 柔軟性 | TVCM素材転用 |
|---|---|---|---|---|---|---|
ゲーム内広告 | ◎ | ◎ | △ | ○ | ○ | ◎ |
YouTube広告 | ○ | △ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
SNS広告 | ○ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
Web広告(リスティング) | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | × |
OOH・交通広告 | ○ | ○ | △ | △ | △ | △ |
イベント・体験型 | ○ | ◎ | △ | △ | △ | × |
施策別の特徴と向き不向き
1. ゲーム内広告
ゲームの世界観に溶け込む看板・モニターに動画広告を配信する手法。インタースティシャル(強制視聴型)とは異なり、プレイを中断しない。
向いている目的・企業:
- テレビCMの若年層補完(Z世代の約80%がゲームをプレイ、平均プレイ時間約100分)
- 広告ブロッカーを回避したい(ゲームエンジンに組み込まれるためブロック不可)
- TVCMの動画素材をそのまま転用したい(新規制作コストを抑えられる)
- ブランド好感度・広告想起率を高めたい(Ad-Virtua調査:広告想起率約1.8倍、好感度約85%)
- 1週間30万円〜で試したい
向いていない目的・企業:
- 即時CVや購買転換を目的とした刈り取り型施策
- BtoB企業の特定職種・役職へのリーチ
2. YouTube広告
動画プラットフォームでの動画広告。スキップ可能なTrueView広告からスキップ不可のバンパー広告まで複数フォーマットがある。
向いている目的・企業:
- TVCMの動画素材を流用してリーチを補完したい
- 視聴完了率・リーチ数などの詳細データを確認しながら運用したい
- 幅広い年齢層(15〜50代)をカバーしたい
向いていない目的・企業:
- スキップ率が高くなる可能性があるため、冒頭5秒で引きつけられないクリエイティブ
- ブランド好感度を重視する施策(スキップされると逆効果になる場合も)
3. SNS広告(Instagram・Meta・X・TikTok)
ユーザーのフィード・ストーリーズに差し込まれる広告。詳細なターゲティングと高い拡散力が特徴。
向いている目的・企業:
- 若年層(15〜25代)へのリーチを優先したい(TikTokなら特にZ世代に有効)
- 商品・サービスへの直接誘導(CV)を測定したい
- インフルエンサーとの組み合わせでエンゲージメントを高めたい
向いていない目的・企業:
- 40代以上が主なターゲット(リーチ効率が下がる)
- 長尺の映像コンテンツで深いブランド理解を促したい場合
4. Web広告(リスティング・ディスプレイ)
検索連動型広告とバナー広告。意図が明確なユーザーへのピンポイントアプローチが得意。
向いている目的・企業:
- 購買・問い合わせ・資料DLなどのCVを直接追いたい
- BtoB企業で特定キーワードで検索するユーザーを獲得したい
- 少額から始めて効果検証したい
向いていない目的・企業:
- ブランド認知の拡大(認知がない状態では検索されない)
- 広告ブロッカーに引っかかる環境への訴求
5. OOH・交通広告
駅・ビルボード・交通機関内のデジタルサイネージ。生活動線上での接触が特徴。
向いている目的・企業:
- 特定の商圏・エリアへのリーチ(例:駅周辺の店舗集客)
- ブランド認知の長期的な積み上げ
- テレビ・デジタルと組み合わせて接触頻度を高めたい
向いていない目的・企業:
- リアルタイムのデータ計測が必要な施策
- 全国に均一にリーチしたい場合(エリアに偏りが出る)
6. イベント・体験型施策
リアルイベント・ポップアップ・ブランドブランド体験スペースなど。直接的な顧客接点を作る。
向いている目的・企業:
- ブランド体験・世界観の体感を重視したい(好感度・ロイヤルティ形成)
- ファン化・口コミ拡散を狙いたい
- 高単価商材でリード獲得の質を重視したい
向いていない目的・企業:
- 大規模なリーチを短期間で実現したい
- 費用対効果を定量的に証明したい場合(ROI計測が難しい)
目的別の推奨施策の組み合わせ
「若年層への認知拡大」が目的の場合
推奨: ゲーム内広告 + SNS広告(TikTok・Instagram)
テレビ視聴時間が短いZ世代の可処分時間に入り込むには、ゲームとSNSが最も効率的。ゲーム内広告で「プレイ中の高集中状態」での接触を作り、SNS広告でリマインドする組み合わせが有効。
「TVCMの費用対効果を補完したい」場合
推奨: YouTube広告 + ゲーム内広告
TVCM素材をそのまま転用できる2媒体。YouTubeで幅広い年齢層のリーチを補完しつつ、ゲーム内広告で若年層への認知を積み上げる。制作コストを抑えながらリーチを広げられる。
「ブランド好感度・第一想起を高めたい」場合
推奨: ゲーム内広告 + OOH + イベント
いずれも「嫌われない」接点設計が可能な施策。ゲーム内広告で日常的な接触頻度を作り、OOHで生活動線に露出し、イベントでブランド体験を提供する。
ブランド体験や第一想起獲得の戦略全般については「ブランド体験とは?認知から第一想起を獲得する施策設計ガイド」も参照してほしい。
「コンバージョン(購買・問い合わせ)を増やしたい」場合
推奨: リスティング広告 + SNS広告
認知施策(TVCM・ゲーム内広告等)で作った認知を、検索・SNSで刈り取る構造が基本。TVCMと組み合わせる場合は「TVCMのコピーと検索クエリを一致させる」ことが重要になる。
施策選定の3つの評価軸
1. 目的(ファネルのどこを狙うか)
ファネル段階 | 適した施策 |
|---|---|
認知(知ってもらう) | TVCM、ゲーム内広告、YouTube、OOH |
想起(思い出してもらう) | ゲーム内広告、OOH、SNS広告 |
検討(比較・評価) | SNS広告、YouTube、リスティング |
転換(購買・問い合わせ) | リスティング、SNS広告、リターゲティング |
2. ターゲット層
ターゲット | 効率的な施策 |
|---|---|
Z世代・α世代(10〜20代) | ゲーム内広告、TikTok、Instagram |
ミレニアル世代(25〜40代) | YouTube、Meta広告、OOH |
40代以上 | テレビCM、OOH、リスティング |
BtoB(特定職種) | リスティング、LinkedIn |
3. 予算規模と柔軟性
予算規模 | 推奨アプローチ |
|---|---|
月10万円以下 | SNS広告・リスティングで小規模テスト |
月30〜100万円 | ゲーム内広告 + SNS広告の組み合わせ |
月100万円以上 | TVCM補完としてYouTube+ゲーム内広告+OOH |
よくある失敗
失敗1:TVCMを止めてデジタル完全移行した結果、認知が落ちた TVCMには「社会的信用の付与」という独自の機能がある。デジタルは購買転換に強いが、ブランドの信頼性形成はまだTVCMが優位な場合が多い。「補完」として使うのが現実的。
失敗2:若年層向けにリスティングに集中した 認知がない状態ではそもそも検索されない。認知施策(ゲーム内広告・SNS)で認知を作ってから刈り取るのが正しい順序。
失敗3:すべての施策を同時に少額ずつ試した 効果が分散して何も機能しない状態になりやすい。まず1〜2施策に集中し、効果を検証してから広げる。
FAQ
Q. テレビCMを完全にやめることはできるか? A. 企業規模や商材によって異なる。若年層向け商材は代替しやすいが、40代以上がメインのブランドはまだTVCMの補完施策として位置づけるのが現実的。
Q. ゲーム内広告はどの業種に向いているか? A. 食品・飲料・日用品・外食など生活接点の広い消費財と相性が良い。若年層が認知して得する商材であれば効果が出やすい。
Q. 動画素材がなくてもゲーム内広告は出せるか? A. 静止画でも出稿可能な場合があるが、動画の方が効果は高い。TVCMの素材があれば転用できる。
Q. 予算が限られている場合、どこから始めるべきか? A. 目的によって異なる。CVを今すぐ増やしたいならリスティング広告から。若年層の認知を積み上げたいならゲーム内広告・SNS広告から小規模でテストするのが合理的。
ゲーム内広告についてさらに詳しく
ゲーム内広告の仕組み・費用・向いている企業の詳細は以下の記事を参照してほしい。
ゲーム内広告の出稿・資料請求についてはAd-Virtua公式サイトから。


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