- 作成日:
- 更新日:
【改善手順】テレビCMクリエイティブ効果検証:ABテストができない前提での比較方法

テレビCMは強力な認知拡大手段です。
しかし、デジタル広告のように簡単にABテストができない環境で、どのようにクリエイティブの効果を検証し、改善を進めればよいのでしょうか。
テレビCMの特性上、同じ時間帯・同じ地域で複数のクリエイティブを同時に放映することは困難です。そのため、Web広告のような厳密なABテストの実施には制約があります。それでも、効果的な改善サイクルを回すことは可能です。
本記事では、テレビCMでABテストが難しい前提を踏まえ、短尺展開や並走による比較検証の考え方、さらに差し替えやすい枠としてゲーム内広告を活用する方法を解説します。

テレビCMでABテストが難しい理由
デジタル広告では、同じ予算・同じターゲットに対して複数のクリエイティブを同時配信し、リアルタイムで効果を比較できます。
一方、テレビCMは放映枠の買い付けや制作コストの関係で、同じ条件下での厳密な比較が困難です。
具体的には以下のような制約があります。
- 放映枠の制約:同じ時間帯・同じ番組で複数のクリエイティブを同時に流すことは不可能
- コストの問題:複数のクリエイティブを制作し、それぞれに十分な予算を配分するには高額な投資が必要
- 外部要因の影響:放映時期や番組内容、社会情勢などの外部要因が効果に影響を与える
- 測定指標の限界:視聴率やGRPといった指標では、クリエイティブそのものの効果を直接測定しにくい
こうした制約があるため、テレビCMでは「厳密なABテスト」ではなく、「比較可能な条件を整えた検証」が現実的なアプローチとなります。
ABテストができない前提での比較検証アプローチ
厳密なABテストが難しい場合でも、効果的な比較検証は可能です。
重要なのは、「できるだけ条件を揃えた上で、段階的に検証を進める」という考え方です。

短尺展開による段階的検証
15秒や30秒といった短尺のCMを複数パターン制作し、異なる時期や地域で展開することで、クリエイティブの効果を比較できます。
短尺であれば制作コストを抑えられるため、複数パターンの制作が現実的になります。また、放映期間を短く区切ることで、外部要因の影響を最小限に抑えながら比較が可能です。
具体的には以下のような手順で進めます。
- 仮説の設定:訴求ポイントやトーン、構成などで異なる複数のクリエイティブ案を用意
- 期間を分けた放映:第1週はパターンA、第2週はパターンBといった形で時期をずらして放映
- 効果指標の測定:Webサイトへのアクセス数、検索数、問い合わせ数などの変化を記録
- 結果の分析:外部要因を考慮しながら、各クリエイティブの効果を比較
この方法では、完全に同じ条件での比較はできませんが、一定の傾向を把握することは可能です。
エリアや時間帯を変えた並走検証
複数のクリエイティブを同時期に放映する場合、エリアや時間帯を分けることで比較検証が可能になります。
例えば、関東エリアではパターンA、関西エリアではパターンBを放映し、それぞれの反応を比較する方法です。時間帯についても、朝の情報番組枠と夜のバラエティ枠で異なるクリエイティブを展開することで、ターゲット層ごとの効果を検証できます。
実際に、オンラインピル診療サービスを展開する企業では、1回目のCM展開で全国展開を行い、2回目では東京や大阪などの主要都市に集中することで、費用対効果を高めることに成功しています。特に20代〜40代の女性をターゲットとし、朝の情報番組や夜のバラエティ番組での放映を狙った「コの字」型の配信戦略により、狙った地域でのコンバージョン率を向上させました。

クリエイティブ要素の段階的改善
一度に複数の要素を変更するのではなく、訴求メッセージ、タレント起用、音楽、構成など、一つずつ要素を変えながら検証を進める方法も有効です。
この段階的アプローチにより、どの要素が効果に影響を与えているのかを特定しやすくなります。
例えば、最初のバージョンでは訴求メッセージのみを変更し、次のバージョンでは音楽やトーンを調整するといった形で、継続的に改善を重ねていきます。
効果測定で重視すべき指標
テレビCMの効果検証では、視聴率やGRPだけでなく、より具体的な行動データを測定することが重要です。
近年では、デジタル技術の進展により、Webサイトへのアクセス数、問い合わせ数、購買数といった具体的な行動データに基づいた効果測定が可能になっています。
認知段階の指標
ブランドリフト調査を実施することで、CMを視聴したグループと視聴していないグループを比較し、認知度の向上や広告想起率を測定できます。
この段階では、CMを通じてブランド名や商品がどれだけの人に知れ渡ったかを定量的に示すことができます。
興味関心段階の指標
態度変容調査を実施し、CM視聴前後での消費者の好意度や購買意欲の変化を把握することで、CMがどれだけ興味を引きつけたかを評価できます。
また、指名検索数(ブランド名を含む検索数)の増加も注目すべきポイントです。ブランドへの関心が深まった消費者が、自ら情報を探そうとする行動は、CMが効果的に影響を与えた証拠と言えます。
検討・行動段階の指標
Webサイトへのアクセス数の変化、問い合わせ数、購買数、アプリのインストール数など、具体的な行動データを測定することで、CMの費用対効果を明確に把握できます。
これらの指標を分析することで、どのCMが最も効果を発揮したか、最適な放映時間やクリエイティブ要素は何かを見極め、さらなる施策の改善に役立てることができます。

差し替えやすい枠としてのゲーム内広告活用
テレビCMの制約を補完する手段として、ゲーム内広告の活用が注目されています。
ゲーム内広告は、メタバースやゲームの中に配置されたテレビや看板に動画広告を配信するサービスで、テレビCMと同様の動画コンテンツを活用できます。
ゲーム内広告の特徴
ゲーム内広告は、テレビCMに比べて柔軟な運用が可能です。
具体的には以下のような特徴があります。
- クリエイティブの差し替えが容易:デジタル配信のため、クリエイティブの変更や差し替えが迅速に行える
- セグメンテーションが可能:ゲームごとの対象年齢層、性別、カテゴリによるフィルタリングが可能
- 効果測定がしやすい:再生数や視認率などのデータをリアルタイムで取得できる
- Z世代へのリーチ力:Z世代のゲームプレイヤー割合は約80%で、プレイ時間は約100分と可処分時間の多くをゲームで消費している
また、ゲーム内広告は従来のWeb広告と比較して優れた効果を示しています。広告想起率は約180%で、他Web広告の誘導想起率ベンチマーク33%に対し、48%が自発的に想起し、誘導で58%に上昇します。視認率は約140%で、他Web広告の業界平均67%に対し、最大96%が広告を閲覧します。
出典アドバーチャ公式サイトより作成
テレビCMとゲーム内広告の併用戦略
テレビCMで大規模な認知拡大を図りながら、ゲーム内広告で細かなクリエイティブテストを行うという併用戦略が効果的です。
例えば、テレビCMで使用する予定のクリエイティブを、事前にゲーム内広告で配信し、反応を見ながら改善を加えてからテレビCMに展開するという流れです。
ゲーム内広告は100,000円から配信可能で、CPM目安は400円と比較的低コストで始められます。最短即日の広告配信が可能なため、迅速なPDCAサイクルを回すことができます。

改善サイクルを回すための実践ステップ
効果的なクリエイティブ改善を進めるには、計画的なPDCAサイクルの実行が不可欠です。
以下のステップで進めることで、継続的な改善が可能になります。
ステップ1:仮説の設定
まず、「このターゲットにはこういう価値を届けると、どんな反応が起きるのか」という仮説を明確に設定します。
仮説を軸にして検証をしなければ、次の一手が打てないため、この段階が最も重要です。
例えば、「お風呂でボーッとしながら外国語が学べる」という価値提案が、リラックスタイムのエンタメとして受け入れられるかを検証するといった具体的な仮説を立てます。
ステップ2:クリエイティブの制作
仮説に基づいて、複数のクリエイティブパターンを制作します。
短尺であれば制作コストを抑えられるため、複数パターンの制作が現実的です。また、ユーザーインタビューやアンケート調査を実施し、ユーザーが感じる本質的な価値を深掘りすることで、より効果的なクリエイティブを制作できます。
ステップ3:配信と効果測定
制作したクリエイティブを、時期やエリアを分けて配信し、効果を測定します。
Webサイトへのアクセス数、検索数、問い合わせ数などの変化を記録し、外部要因を考慮しながら各クリエイティブの効果を比較します。
ステップ4:分析と改善
測定したデータを分析し、どのクリエイティブが最も効果を発揮したかを見極めます。
効果の高かった要素を次のクリエイティブに反映させ、継続的に改善を重ねていきます。この段階では、クリエイティブの好感度や認知率だけでなく、購買意向や態度変容といった深い指標も確認することが重要です。
まとめ:ABテストができなくても改善は可能
テレビCMでは、デジタル広告のような厳密なABテストは難しいかもしれません。
しかし、短尺展開や並走検証、エリア・時間帯を分けた配信など、工夫次第で効果的な比較検証は可能です。
さらに、ゲーム内広告のような差し替えやすい枠を活用することで、より柔軟なクリエイティブテストが実現できます。
重要なのは、明確な仮説を持ち、計画的に検証を進め、データに基づいた改善を継続することです。
テレビCMとゲーム内広告を組み合わせた戦略で、効果的な認知拡大とクリエイティブ改善を実現しましょう。
詳しい改善手順やゲーム内広告の活用方法については、ぜひお気軽にご相談ください。アドバーチャ株式会社では、専任のコンサルタントが貴社の課題に合わせた最適なプランをご提案いたします。
.jpg)
WRITTEN BY
水野 征太朗
アドバーチャ株式会社代表取締役CEO | 学生時代からインディーズゲーム開発者として、複数のゲームを開発・リリース。名古屋大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社にて、メタバース/XR/センサーなど先端技術を用いたソリューションの提案・開発に従事。その後、アマゾンジャパン合同会社にてデータ分析・ツール開発・プロセス改善等を経験。2022年にアドバーチャ株式会社を創業。




