テレビCMのKPI設計が抱える「分断」という課題
テレビCMを出稿する企業の多くが、同じ悩みを抱えています。
「認知度は上がったけれど、購買にはつながらない」「検索数は増えたが、その後のコンバージョンが見えない」――こうした声はマーケティング現場で日常的に聞かれます。
その根本原因は、KPI(重要業績評価指標)が段階ごとにバラバラに設計されていることにあります。認知は認知、検索は検索、購買は購買と、それぞれ独立した指標として扱われ、全体がつながっていないのです。
しかし実際の消費者行動は一連の流れです。テレビCMで商品を知り、興味を持ち、スマホで検索し、比較検討を経て、最終的に行動(購入・問い合わせ)に至る。この流れを無視したKPI設計では、広告投資の真の効果を測ることはできません。
本記事では、認知→想起→検索→行動という一連のファネル全体を「つなげる」KPI設計の方法を、図解を交えて解説します。途中で「若年層接点」や「検証の速さ」といった課題を補う手段として、ゲーム内広告を自然に位置づけ、相談へとつなげていきます。
なお、テレビCMを含めた広告全体の役割を俯瞰したい方は、まず広告とは|意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説もあわせてご覧ください。

テレビCMの効果測定に求められる「ファネル設計」の視点
従来のテレビCM効果測定は、「視聴率」や「GRP(延べ視聴率)」といった到達指標が中心でした。
しかし現代の消費者はテレビを見ながらスマホを操作し、気になった商品をその場で検索します。つまり、テレビCMは「認知」だけでなく、「検索行動」や「購買意向」にまで影響を与えているのです。
この変化に対応するためには、顧客の心理変化を段階的に捉えるファネル設計の視点が不可欠です。ファネルとは、消費者が商品やサービスを知ってから購入に至るまでの心理変化を、漏斗のように段階的に表したものです。
一般的なファネルは、以下の6つのステップで整理されます。
- 認知:まず知ってもらう
- 興味喚起:もっと知りたいと思ってもらう
- 理解促進:価値・違いを理解してもらう
- 比較検討:他社と比較しやすくする
- 購入:迷いを取り除き行動を促す
- 推奨:体験を共有・紹介してもらう
テレビCMは、このファネルの「認知」段階で最も強力な効果を発揮します。しかしそれだけでは不十分です。認知した消費者が次の段階へ進むための導線を設計し、各段階で適切なKPIを設定することで、初めて広告投資の全体像が見えてきます。
例えば、認知段階では「到達率」や「認知度上昇」をKPIとし、興味喚起段階では「視聴完了率」や「エンゲージメント」を、理解促進段階では「滞在時間」や「直帰率」を、比較検討段階では「CTR」や「CVR」を、購入段階では「問い合わせ数」や「購入数」をKPIとして設定します。
このように、顧客の心理状態に合わせて情報設計を変え、各段階のKPIをつなげることが、ファネル設計の本質です。
ファネル段階別 KPI早見表
ファネル段階 | 目的 | 主なKPI | 主な測定手段 |
|---|---|---|---|
認知 | ブランド・商品を知ってもらう | 到達率/GRP/認知度上昇率 | 視聴率データ/パネル調査 |
想起 | 購買検討時に思い出してもらう | 純粋想起率/助成想起率/広告想起率 | ブランドリフト調査/オンラインアンケート |
検索 | 興味を持った人に調べてもらう | 指名検索数/検索流入数/指名CTR | GA4/検索広告データ |
行動 | 購入・問い合わせを起こしてもらう | サイト訪問数/CV数/問い合わせ数 | GA4/MAツール/CRM |
推奨 | 体験を共有・紹介してもらう | UGC数/NPS/レビュー数 | SNSリスニング/NPS調査 |
認知→想起→検索→行動をつなぐKPI設計の具体的手法
ファネル全体をつなぐKPI設計を実現するには、各段階の役割を明確にし、それぞれに適したKPIを設定する必要があります。
① 認知段階:「知ってもらう」ためのKPI
認知段階の目的は、ブランドや商品をできるだけ多くの人に知ってもらうことです。
テレビCMはこの段階で最も効果を発揮します。広範囲にリーチできる媒体として、短いメッセージでも「印象」と「感情」に残ることが重要です。
主なKPI:到達率、認知度上昇、GRP(延べ視聴率)
認知段階では、「どれだけの人にCMが届いたか」を測定します。視聴率データやパネル調査を活用し、ターゲット層への到達度を把握します。
② 想起段階:「思い出してもらう」ためのKPI
認知しただけでは不十分です。消費者が購買を検討する際に、自社ブランドを思い出してもらうことが次の目標です。
テレビCMの特徴として、「定番感」「名前が刷り込まれる」といったイメージが強く、想起率の向上に寄与します。繰り返しの放送による記憶定着効果も、この段階で重要な役割を果たします。
主なKPI:純粋想起率、助成想起率、広告想起率
想起段階では、「CMを見たことがある」「ブランド名を覚えている」といった記憶の定着度を測定します。調査会社によるブランドリフト調査や、オンラインアンケートを活用します。
③ 検索段階:「調べてもらう」ためのKPI
現代の消費者は、テレビCMで興味を持った商品をその場でスマホで検索します。この「指名検索数」は、テレビCMの効果を測る重要な指標です。
テレビCMの放送直後に検索数がどれだけ増加したかを測定することで、CMのクリエイティブや放送枠の効果を定量的に評価できます。
主なKPI:指名検索数、検索流入数、検索連動広告のCTR
検索段階では、「どれだけの人が自社ブランドを検索したか」を測定します。GA4や検索広告のデータを活用し、テレビCM放送前後の検索数の変化を分析します。指名検索リフト分析の手順は、テレビCM効果測定の方法と指標で詳しく解説しています。

④ 行動段階:「購入・問い合わせしてもらう」ためのKPI
最終的な目標は、消費者に具体的な行動を起こしてもらうことです。
検索した消費者が、公式サイトを訪問し、商品ページを閲覧し、最終的に購入や問い合わせに至るまでの導線を設計します。
主なKPI:Webサイト訪問数、コンバージョン数、問い合わせ数、購入数
行動段階では、「どれだけの人が実際に行動を起こしたか」を測定します。GA4やマーケティングオートメーションツールを活用し、テレビCMからの流入がどれだけコンバージョンにつながったかを分析します。
このように、認知→想起→検索→行動という一連の流れを、それぞれのKPIでつなぐことで、テレビCMの真の効果を可視化できます。
KPI設計における「若年層接点」と「検証の速さ」という課題
ファネル全体をつなぐKPI設計を実現する上で、多くの企業が直面する2つの課題があります。
課題①:若年層へのリーチが難しい
テレビ視聴率の低下は、特に若年層で顕著です。
Z世代(15〜29歳)のテレビ接触時間は減少傾向にあり、従来のテレビCMだけでは若年層への十分なリーチが困難になっています。一方で、Z世代のゲームプレイヤー割合は約80%と高く、プレイ時間も1日あたり約100分と可処分時間の多くをゲームで消費しています。
この状況に対応するため、ゲーム内広告という新たな接点が注目されています。ゲーム内のテレビや看板に動画広告を配信することで、従来のテレビCMではリーチできなかった若年層に効果的にアプローチできます。
課題②:効果検証に時間がかかる
従来のテレビCM効果測定は、パネル調査や事後アンケートが中心で、結果が出るまでに数週間かかることが一般的でした。
しかし、変化が激しい現代のマーケティング環境では、リアルタイムに近い速さで効果を検証し、PDCAを高速で回すことが求められます。
指名検索数を活用した効果測定は、テレビCM放送直後の検索数の変化をタイムリーに把握できるため、高速PDCAを実現します。また、ゲーム内広告は最短即日で配信が可能で、効果測定も迅速に行えるため、検証の速さという課題を解決する手段として有効です。

ゲーム内広告がテレビCMのKPI設計を補完する理由
ゲーム内広告は、テレビCMのKPI設計における「若年層接点」と「検証の速さ」という2つの課題を同時に解決する手段として、注目を集めています。
若年層への確実なリーチ
ゲーム内広告は、Z世代男性へ確実にリーチできる点が最大の強みです。
ゲームユーザーの男女比は男性64%・女性36%となっており、男性にリーチしたい商材・サービスと好相性です。また、ゲーム内の看板やテレビに自然に溶け込む形で広告が表示されるため、ユーザーのプレイを邪魔しない「嫌われない広告」として機能します。

高い広告効果と想起率
ゲーム内広告は、従来のWeb広告と比較して優れた効果を示しています。
広告想起率は約1.8倍(他Web広告の誘導想起率ベンチマーク33%に対し、自発想起48%、誘導込みで58%)、視認率は約1.4倍(他Web広告の業界平均67%に対し、最大96%が広告を閲覧)、注目度は約1.7倍(1,000imp当たり業界平均17.5分に対し、29分相当)と報告されています。
出典:Ad-Virtua(アドバーチャ)公式サイトより作成
迅速な配信と効果測定
ゲーム内広告は、最短即日で配信が可能です。
動画を入稿するだけで、400タイトル以上のメタバース・ゲームに一斉配信でき、専任担当が細かな配信設定とレポーティングを実施します。2025年後半時点で累計8,000万回再生を突破しており、配信ネットワークの規模も十分です。
また、配信後の効果測定もリアルタイムに近い速さで行えるため、テレビCMと組み合わせることで、認知から行動までの一連のファネルを高速でPDCAを回しながら最適化できます。
テレビCMとゲーム内広告の比較
比較項目 | テレビCM | ゲーム内広告 |
|---|---|---|
主なリーチ層 | F1〜F3/M1〜M3を含む幅広い層 | Z世代・M1中心の若年層/ゲーマー |
認知獲得力 | ◎ 大規模一斉認知に強い | ○ ジャンル別・属性別の精緻なリーチ |
単価感 | GRP単価・素材制作費が大きい | CPM約300円〜(通常Web広告比で割安) |
配信開始までの期間 | 数週間〜数か月 | 最短即日 |
効果検証スピード | 数週間(パネル調査・MMM等) | 配信中に随時レポーティング |
嫌われにくさ | ○ コンテンツの一部として受容 | ◎ プレイを邪魔しない「自然な広告」 |
実践:テレビCMとゲーム内広告を組み合わせたKPI設計例
ここでは、テレビCMとゲーム内広告を組み合わせた具体的なKPI設計例を紹介します。
ステップ1:認知段階(テレビCM)
- 目的:幅広い層にブランドを知ってもらう
- 施策:ゴールデンタイムや情報番組枠でテレビCMを放送
- KPI:到達率、GRP、認知度上昇率
ステップ2:想起・興味喚起段階(テレビCM + ゲーム内広告)
- 目的:若年層を含む幅広い層に繰り返し接触し、記憶に定着させる
- 施策:テレビCMの継続放送に加え、ゲーム内広告で若年層への接触頻度を高める
- KPI:広告想起率、視認率、注目度
ステップ3:検索段階(テレビCM + ゲーム内広告)
- 目的:興味を持った消費者に検索行動を促す
- 施策:テレビCM・ゲーム内広告の放送直後の指名検索数を測定
- KPI:指名検索数、検索流入数、検索連動広告のCTR

ステップ4:行動段階(Webサイト・LP)
- 目的:検索した消費者を公式サイトに誘導し、購入・問い合わせにつなげる
- 施策:検索連動広告やリターゲティング広告で公式サイトへ誘導
- KPI:Webサイト訪問数、コンバージョン数、問い合わせ数、購入数
このように、テレビCMで幅広い層に認知を獲得し、ゲーム内広告で若年層への接触を補完し、検索行動を経て最終的な行動につなげるという一連の流れを、各段階のKPIでつなぐことで、広告投資の全体像を可視化できます。
食品・飲料メーカーで認知KPIの設計に踏み込みたい方は、食品・飲料の認知KPI設計:TVCM効果を見える化する指標も参考になります。
KPI設計を成功させるための3つのポイント
ファネル全体をつなぐKPI設計を成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
ポイント①:各段階のKPIを明確に定義する
認知、想起、検索、行動の各段階で、何を測定するのかを明確に定義します。
曖昧なKPI設定では、効果測定の精度が低下し、PDCAを回すことができません。各段階で測定すべき指標を具体的に設定し、データ取得の方法も事前に決めておきます。
ポイント②:データを統合的に分析する
各段階のKPIをバラバラに見るのではなく、統合的に分析することが重要です。
例えば、テレビCMの放送直後に指名検索数がどれだけ増加し、そのうち何人が公式サイトを訪問し、最終的に何人がコンバージョンに至ったかを一連の流れで把握します。GA4やマーケティングオートメーションツールを活用し、データを統合的に管理します。
ポイント③:高速でPDCAを回す
効果測定の結果をもとに、迅速に施策を改善することが成功の鍵です。
テレビCMのクリエイティブや放送枠、ゲーム内広告の配信先を柔軟に変更し、効果の高い施策に予算を集中させます。指名検索数やコンバージョン数の変化をリアルタイムに近い速さで把握し、PDCAを高速で回すことで、広告投資のROIを最大化できます。
こんな企業におすすめ/おすすめしない
この設計が合う企業
- テレビCMの効果を指名検索や購買行動まで地続きで見たい
- 食品・飲料・日用品などナショナルクライアントで、TVCMを継続出稿している
- Z世代・若年層へのリーチが弱い自覚があり、補完媒体を探している
- 数週間単位ではなく、月次以下のサイクルで広告効果を見直したい
- 認知から行動までのファネル全体を社内で共通言語化したい
この設計が合わない企業
- TVCM自体を当面出稿する予定がなく、純粋に獲得広告のみを回したい
- 商材が極めてニッチで、マスリーチが過剰になるケース
- 効果測定の体制(GA4・調査リソース・社内会議体)を整える余力が当面ない
- 短期で「売上◯倍」のみを成果指標とし、認知・想起層への中長期投資ができない
まとめ:KPIをつなげることで見えるテレビCMの真の価値
テレビCMのKPI設計において、最も重要なのは認知→想起→検索→行動という一連のファネル全体をつなげることです。
各段階のKPIをバラバラに設定するのではなく、消費者の心理変化に合わせて段階的に設計し、データを統合的に分析することで、テレビCMの真の効果を可視化できます。
また、「若年層接点」と「検証の速さ」という課題に対しては、ゲーム内広告を活用することで、テレビCMの効果を補完し、ファネル全体の最適化を実現できます。
Z世代のゲームプレイヤー割合約80%、プレイ時間約100分という可処分時間の多くをゲームで消費している現状を踏まえると、ゲーム内広告は若年層マーケティングにおいて無視できない存在です。
テレビCMとゲーム内広告を組み合わせた統合型プロモーションを設計し、各段階のKPIをつなげることで、広告投資のROIを最大化し、ビジネス成果につなげることができます。
テレビCMのKPI設計やゲーム内広告の活用について具体的な検討をされている方は、Ad-Virtuaまでお気軽にご相談ください。最新の事例やベストプラクティスに基づいた、貴社に最適な施策をご提案いたします。
よくある質問(FAQ)
Q1. テレビCMのKPIを「指名検索数」一本に絞っても良いですか?
A. 指名検索数は反応スピードが速く分かりやすい指標ですが、それ単独では「認知が広がっているのに検索行動に出ない潜在層」の動きを取りこぼします。最低でも、認知・想起(ブランドリフト調査)と検索・行動(GA4/CV数)を組み合わせ、ファネル全体で見る前提でメインKPIに置くのがおすすめです。
Q2. テレビCMの効果は何週間で出るものですか?
A. 認知率や指名検索数のリフトは、放送直後〜数週間で見え始めることが多い一方で、購買行動や売上への影響は商材のリピートサイクルによって変わります。短期は指名検索とサイト流入、中期はブランドリフト調査、長期はMMMや売上トレンドというように、時間軸に応じてKPIを使い分けるのが現実的です。
Q3. テレビCMとゲーム内広告は予算配分をどう考えれば良いですか?
A. 認知の天井をテレビCMで取りに行き、ゲーム内広告でZ世代やゲーマーといった「テレビでは届きにくい層」への接触頻度を上げる役割分担が基本です。最初のテスト期はTVCM予算の5〜15%程度をゲーム内広告に振り、想起率・指名検索リフトの変化を計測しながら配分を見直すケースが多く見られます。
Q4. 中小規模でもこのKPI設計は使えますか?
A. はい、規模を問わず適用できます。中小規模では「全段階完璧に測る」より、まずは認知(ブランドリフト簡易調査)と検索・行動(GA4の指名検索・CV)に絞り、徐々に想起・推奨の指標を追加していく段階導入が現実的です。
Q5. ゲーム内広告は本当にテレビCMの代替になるのですか?
A. 完全な代替というよりも補完関係として捉えるのが妥当です。マスリーチではテレビCMに分がある一方、若年層リーチ・配信スピード・効果検証の速さではゲーム内広告に強みがあります。詳細な比較はテレビCMの代替・補完施策で整理しています。


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