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【2026年版】テレビCM効果測定ガイド:KPI設計・検証・改善の手順

テレビCM効果測定の重要性と現状の課題

テレビCM市場は年間約1.7兆円規模と言われています。しかし、その効果を正確に測定している企業は意外と少ないのが現実です。
デジタル広告ではクリック数やコンバージョン率をリアルタイムで確認できます。一方、テレビCMは従来「効果が見えにくい」と言われてきました。
ただし、現在ではテクノロジーの進化により、テレビCMの効果も可視化できるようになっています。マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)やブランドリフト調査など、様々な測定手法が確立されました。
特に若年層へのリーチという点では、テレビCMだけでは不十分なケースも増えています。Z世代のゲームプレイヤー割合は約80%に達し、プレイ時間は約100分と可処分時間の多くをゲームで消費しているからです。
この記事では、テレビCMの効果測定における基本から実践まで、目的別のKPI設計・検証・改善の手順を整理します。
テレビCM効果測定の基本フレームワーク
テレビCMの効果測定は、主に3つのアプローチに分類されます。それぞれコスト負担や測定範囲が異なるため、目的に応じて選択することが重要です。
売上・問い合わせデータによる測定
企業が独自に取得できるデータから効果を測定する方法です。
コスト負担が小さく、売上や問い合わせ数の向上が目的の場合に適しています。CM放映前後の売上推移や問い合わせ件数の変化を追跡することで、直接的な効果を把握できます。
ただし、この方法では「なぜ売上が伸びたのか」という因果関係の特定が難しい場合があります。季節要因や競合の動向など、他の要素の影響を切り分ける必要があるからです。
リサーチによる測定
ブランド認知やイメージ向上を目的とする場合に効果的な手法です。
CM放映前後で調査を行い、ブランド認知だけでなく、誰に認知され、どのように評価され、どんな行動につながったかを測定します。コスト負担は中程度ですが、消費者の態度変容を詳細に把握できる点が強みです。

分析ツールによる測定
継続的にCMを実施し、より高い効果を模索する企業向けの手法です。
コストはかかるものの、詳細な分析が可能になります。マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)などの統計分析を用いることで、テレビCMが他の広告施策に与える影響まで定量化できます。
最新の技術を活用すれば、従来は測定が難しかった「波及効果」まで可視化できるようになってきています。
目的別KPI設計の考え方
テレビCMの実施目的は多岐に渡ります。そのため、KPIも目的に応じて複数の考え方があります。
認知拡大を目的とする場合
ブランド認知度や広告想起率をKPIに設定します。
視聴率(GRP)や注視率(GAP)といった指標が基本となります。ただし、これらは「どれだけ見られたか」を示す指標であり、「どう受け止められたか」までは測定できません。
そのため、ブランドリフト調査を組み合わせることで、認知の質まで評価することが重要です。CM接触者と非接触者を比較し、認知度の差分を測定します。
購買促進を目的とする場合
売上や問い合わせ数、Webサイトへのアクセス数などをKPIに設定します。
デジタル技術の進化により、Webサイトへのアクセス数、問い合わせ数、購買数といった具体的な数値を測定できるようになりました。テレビコンバージョンインデックス(TCVI)のような新指標も開発されています。
ただし、購買までのファネルが長い商材の場合、短期的な効果測定だけでは不十分です。中長期的な態度変容も含めて評価する必要があります。

ブランドイメージ向上を目的とする場合
ブランド好感度やブランド連想などをKPIに設定します。
この場合、定性的な評価が中心となるため、リサーチによる測定が不可欠です。CM接触者の感情変化や態度変容を詳細に把握することで、クリエイティブの改善につなげることができます。
また、SNSでの言及数やポジティブ・ネガティブの割合など、ソーシャルリスニングを組み合わせることも有効です。
効果検証の具体的な手法
KPIを設定したら、次は実際の効果検証です。ここでは代表的な手法を紹介します。
マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)
統計分析を駆使して、テレビCMの効果を明らかにする手法です。
売上データと各種マーケティング施策のデータを統合し、それぞれの施策が売上に与えた影響を定量化します。テレビCMだけでなく、デジタル広告や店頭プロモーションなど、複数の施策を横並びで比較できる点が特徴です。
MMMを用いることで、ブランド蓄積効果、残存効果、波及効果など、従来は測定が難しかった効果まで可視化できます。ただし、専門的な知識が必要で、コストもかかるため、継続的にCMを実施する企業向けの手法と言えます。
ブランドリフト調査
CM接触者と非接触者を比較し、認知度や好感度の差分を測定する手法です。
YouTubeなどのデジタルプラットフォームでは、ブランドリフト調査が標準機能として提供されています。コネクテッドTV(CTV)広告では、スマートフォンやパソコンと同じように、インプレッション、視聴回数などの指標が計測可能です。
ただし、CTVではクリック数が非常に少ないという特徴があります。リモコンで操作するため、広告が流れている数秒の間にクリックするユーザーはほとんどいません。そのため、ビュースルーコンバージョン数(VTCV)や検索数を評価指標とすることが有効です。
クロスメディア測定
テレビCMとデジタル広告の効果を統合的に測定する手法です。
マクロミルは、GoogleのYouTube広告における第三者計測パートナーに認定されています。サードパーティクッキーや広告識別子に頼らず、イベントログベースでの広告効果測定が可能です。
コネクテッドTV、スマートフォン、パソコン、タブレットなどの全配信デバイスにおいて、YouTube広告とテレビCMの広告効果をクロスメディアで測定できます。これにより、メディアプランニングの最適化が可能になります。

テレビCMの課題と補完策
テレビCMには大きな強みがある一方で、いくつかの課題も存在します。
若年層へのリーチの難しさ
近年、若年層のテレビ離れが指摘されています。
特にZ世代は、テレビよりもスマートフォンやゲームに多くの時間を費やしています。Z世代のゲームプレイヤー割合は約80%に達し、プレイ時間は約100分と可処分時間の多くをゲームで消費しています。
この層にリーチするためには、テレビCMだけでなく、デジタル広告やゲーム内広告など、複数のタッチポイントを組み合わせることが重要です。
効果検証の遅さ
テレビCMの効果検証には時間がかかります。
デジタル広告のようにリアルタイムで効果を確認することは難しく、調査やデータ分析に一定の期間が必要です。そのため、短期的なPDCAを回すことが困難な場合があります。
この課題を解決するためには、運用KPIを設定し、短期的に改善できる指標をモニタリングすることが有効です。
ゲーム内広告による補完
若年層へのリーチと効果検証の課題を同時に解決する手段として、ゲーム内広告が注目されています。
メタバース・ゲーム内広告のアドネットワークサービスでは、様々なゲーム・メタバースの中に配置されたテレビや看板に、テレビCMのような動画広告を配信できます。従来型Web広告よりも高い注目度と想起率の「嫌われない広告」として機能します。
広告想起率は約180%、視認率は約140%、注目度は約170%と、他のWeb広告と比較して優れた数値を示しています。また、400タイトル以上のメタバース・ゲームに広告出稿が可能で、2025年4月時点で累計1,800万回再生を突破しています。
ゲームユーザーの男女比は男性64%、女性36%となっており、男性にリーチしたい商材・サービスと好相性です。動画配信プランは100,000円から利用でき、CPM目安は400円と、比較的導入しやすい価格設定となっています。

改善サイクルの回し方
効果測定の結果を次の施策に活かすことが重要です。ここでは、PDCAサイクルの具体的な回し方を解説します。
Plan(計画):目的とKPIの明確化
まず、テレビCMの目的を明確にします。
認知拡大なのか、購買促進なのか、ブランドイメージ向上なのか。目的によって設定すべきKPIが異なるため、この段階で明確にすることが重要です。
また、複数の指標を設計しておくことで、「Aという施策はKPI(1)には影響しないが、KPI(2)への影響度が強い」といった知見を得ることができます。
Do(実行):CM放映と効果測定
計画に基づいてCMを放映し、効果測定を実施します。
売上データ、問い合わせ数、Webアクセス数など、設定したKPIに応じたデータを収集します。また、ブランドリフト調査やソーシャルリスニングなど、定性的なデータも併せて収集することが重要です。
Check(評価):データ分析と課題抽出
収集したデータを分析し、目標との差異を確認します。
目標を達成できた場合は、どの要素が効果的だったのかを特定します。目標を達成できなかった場合は、どこに課題があったのかを明らかにします。
この段階では、単一の指標だけでなく、複数の指標を総合的に評価することが重要です。
Action(改善):次回施策への反映
分析結果を基に、次回の施策を改善します。
クリエイティブの変更、放映時間帯の調整、ターゲット層の見直しなど、具体的なアクションプランを策定します。また、テレビCMだけでなく、デジタル広告やゲーム内広告など、他の施策との組み合わせも検討します。
継続的にPDCAサイクルを回すことで、広告効果を最大化することができます。
まとめ:効果的なテレビCM運用のために
テレビCMの効果測定は、もはや「見えにくい」ものではありません。
適切なKPI設計と効果検証の手法を用いることで、テレビCMの効果を可視化し、継続的に改善することが可能です。ただし、若年層へのリーチや効果検証の速度という点では、テレビCMだけでは不十分な場合もあります。
そのような場合は、ゲーム内広告などの補完策を組み合わせることで、より効果的なマーケティング施策を実現できます。Z世代の約80%がゲームをプレイし、1日約100分をゲームに費やしている現状を考えると、ゲーム内広告は若年層へのリーチに非常に有効です。
テレビCMとゲーム内広告を組み合わせることで、幅広い年齢層にリーチしながら、効果検証も迅速に行うことができます。
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WRITTEN BY
水野 征太朗
アドバーチャ株式会社代表取締役CEO | 学生時代からインディーズゲーム開発者として、複数のゲームを開発・リリース。名古屋大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社にて、メタバース/XR/センサーなど先端技術を用いたソリューションの提案・開発に従事。その後、アマゾンジャパン合同会社にてデータ分析・ツール開発・プロセス改善等を経験。2022年にアドバーチャ株式会社を創業。

