ゲームファム(Gamefam)はロブロックス(Roblox)とフォートナイト(Fortnite)で自社ゲームを50本超運営し、そのゲーム群にブランドを組み込んで広告媒体として売る米国ロサンゼルスの会社です。日本の広告主が同社に直接頼むには英語での対応や配信地域の制約があるため、国内で同じ「人が集まるゲームの中に入る」施策をするなら、国内のゲーム内広告やプロモーション用ゲームの制作と比べて選ぶことになります。
記事の軸になる3つの事実
ゲームファムを理解するうえで軸になる事実は次の3つです。数値はいずれもゲームファム公式サイトと公式ニュースルームの表記です。
- セガ・オブ・アメリカ(SEGA of America)と共同開発し、2022年4月13日に公開した『ソニック・スピード・シミュレーター(Sonic Speed Simulator)』は、ゲームファムによると、ブランドゲームとして初めてロブロックスで10億訪問を超えました。ケーススタディでは「12億超のゲームプレイセッション」「ロブロックスで歴代最も訪問されたブランドゲーム」と表記しています。10億訪問を超えた日付は公式ページに書かれていません。
- 自社で50本超のゲームを運営し、そこにブランドを入れるメディア企業になっています。公式サイトは1日平均プレイセッション1,600万、累計370億、月平均プレイ時間6,100万時間を掲げています(2026年11月4日確認。出典表記はロブロックスのデータ分析サービス「ロモニター(RoMonitor)」)。
- 2025年12月19日、国際サッカー連盟(FIFA)とロブロックスの提携拡大にあわせて、ゲームファムは「新しいスタジオパートナー」としてFIFA公式ゲーム『FIFA Super Soccer』の開発を任されました。2026年はこのゲームを軸に、FIFAワールドカップ2026に関連する施策を続けて出しています。
出典: Gamefam公式サイト、About、Sonicケーススタディ、FIFA提携のリリース
ゲームファムとはどんな会社か

基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
社名 | Gamefam(公式の日本語表記はなし) |
設立 | 2019年。「初のプロのロブロックス開発会社」として設立したと自称 |
本社 | 米国カリフォルニア州ロサンゼルス(ダウンタウン) |
創業者・CEO | ジョー・フェレンツ(Joe Ferencz)。2025年12月18日の公式リリースまで「CEO & Founder」と表記 |
主な経営陣 | リカルド・ブリセーニョ(Ricardo Briceno、最高事業責任者。2025年12月時点)、アリ・グリエルミノ(Alli Guglielmino、グロース・マーケティング担当SVP。2026年10月時点)、マット・ザナッゾ(Matt Zanazzo、フォートナイト事業責任者。2024年5月時点)。肩書きはいずれも公式リリースに載った時点のもの |
従業員数 | 2022年3月時点で100名超、2022年12月時点で250名超。最新は非公開 |
売上 | 絶対額は非公開。2022年は前年比275%超の増収で、11四半期連続の増収 |
自己定義 | 2025年までは「メタバース・メディア企業」、2026年のリリースからは「Z世代・α世代のための没入型ゲーム・メディア企業」 |
対象プラットフォーム | ロブロックスが主力。フォートナイトのクリエイター向け開発環境(UEFN)にも展開 |
出典: About、2022年度のリリース、2025年12月18日のリリース
何をしている会社か
ゲームファムはロブロックスやフォートナイトで自社ゲームを作って運営し、そのゲーム群を広告媒体としてブランドに提供しています。もとはロブロックスで人気ゲームを作る開発スタジオでした。ブランドの公式ゲームの制作を請け負ううちに、自社の人気ゲームにブランドを組み込むメディア事業が主力になりました。
公式サイトに並ぶ事業は次の4つです。
- ロブロックスとフォートナイトのゲーム: 自社ゲームとブランドの公式ゲームの開発・運営
- ブランド・メディア施策: ブランドの事業目的に合わせた没入型のメディア・マーケティング施策
- 360°の拡散施策: ゲーム内の体験を現実の購買や視聴につなげる施策。ロブロックス系インフルエンサーの起用や、YouTube・TikTokへの出稿を含みます
- インサイトと計測: キャンペーンの分析とリアルタイムのデータ分析
広告メニューは4段階
ブランド向けページ(For Brands)では、広告メニューを4つに分けています。下の表は、ブランド側の準備が軽いものから順に並べました。
メニュー | 内容 | 主な事例 |
|---|---|---|
ロブロックス・メディア(Roblox Media) | ロブロックス上の広告枠と、ゲーム内商品を使った広告。リーチとフリークエンシーが目的 | ― |
プレミアム・インゲーム・メディア(Premium In-Game Media) | 人気でブランドセーフなゲームの目立つ場所に、没入型・インタラクティブな掲出をする | ニコロデオン「キッズ・チョイス・アワード」 |
ゲームプレイ・インテグレーション(Gameplay Integration) | 人気ゲームの中に、ブランドの節目に合わせたゲーム内イベントを組み込む | オールドネイビー、ガーフィールド、コールドプレイ |
フラッグシップ・ゲーム(Flagship Games) | ブランドの公式ゲーム。毎日戻ってくるプレイヤーの拠点になる | ソニック、バービー |
出典: For Brands

上の画像は「プレミアム・インゲーム・メディア」の例で、ゲーム内にニコロデオンの抽選ルーレットを置き、スポンジ・ボブやタートルズのキャラクターを並べています。看板に広告を映す形とは違い、プレイヤーが触って遊べる設置物として作っています。

「フラッグシップ・ゲーム」の代表が、セガのIPであるソニックを使った『ソニック・スピード・シミュレーター』です。
広告がゲーム内に届く仕組み
ゲームファムの中心にあるのは、自社で運営する人気ゲームを「ネットワーク」として束ね、1つのブランドを複数のゲームに同時に入れる「マルチゲーム施策」です。ネットワークには『Twilight Daycare』『Car Dealership Tycoon』『Really Easy Obby』『Tower of Misery』『Starving Artists』『Build to Survive』『Weapon Fighting Simulator』などが含まれます。
ブランドの入れ方は看板への掲出よりも次の3つが中心です。
- クエスト: ブランドにちなんだゲーム内のお題
- NPC: ブランドのキャラクターがゲーム内に登場し、プレイヤーを案内する
- 限定アバターアイテム: 利用者が身につけるデジタルグッズ
プレイヤーはアイテムを手に入れるためにブランドと関わり、手に入れたアイテムを他のゲームでも身につけます。効果は「ゲームプレイセッション数」と「ブランドエンゲージメント時間(分)」で示し、一部の事例では参加者アンケートによる購入意向や好感度の上昇も公表しています。
規模とロブロックス上の順位
公式サイトとブランド向けページの数値(2026年11月4日確認)は次のとおりです。
指標 | 数値 |
|---|---|
運営ゲーム数 | 50本超(ロブロックス、フォートナイトほか) |
1日平均プレイセッション | 1,600万 |
累計プレイセッション | 370億 |
月平均プレイ時間 | 6,100万時間 |
ブランドエンゲージメント | 155億回超 |
ブランドキャンペーン | 165件超 |
ブランドパートナー | 50社超 |
キャンペーンの受賞 | 60件超(クリオ賞11回、ザ・ドラム10回、ディジデイ2回) |
ロブロックス上の順位については、ブランドゲームの歴代トップ10に3本、ロブロックス内コンサートの歴代トップ5に3本が入っていると公式サイトに書かれています。2025年12月時点では、ブランド・IPゲームの歴代トップ25に6本が入っていて、ソニックが1位、『Barbie DreamHouse Tycoon』が6位です。
会社としての受賞にはファスト・カンパニー(Fast Company)の「最も革新的なゲーム企業」7位(2023年版)、デロイト(Deloitte)Technology Fast 500(2024)30位、Inc. 5000(2024)40位とメディア業界の成長率1位があります。
主な開発・運営タイトル
公式ニュースルームで確認できた主なタイトルです。
タイトル | IP・パートナー | 公開時期 |
|---|---|---|
Sonic Speed Simulator | セガ・オブ・アメリカ | 2022年4月 |
Festival Tycoon | ザ・チェインスモーカーズ | 2022年9月 |
Build-A-Bear Tycoon | ビルド・ア・ベア | 2022年12月 |
Rhythm City | ワーナー・ミュージック・グループ | 2023年1月 |
Barbie DreamHouse Tycoon | マテル | 2023年10月 |
スポンジ・ボブ公式ゲーム | パラマウント | 2024年1月(提携は2023年2月) |
Karate Kid Training Simulator | ソニー・ピクチャーズ | 2025年4月 |
My Hero Academia: Ultimate | クランチロール(共同開発) | 2025年9月(日本を除く全世界) |
FIFA Super Soccer | FIFA | 2025年12月 |
PAYDAYのロブロックス版第2作 | スターブリーズ | 2026年4月発表 |
主要パートナー
- ブランド: 公式サイトにはレゴ、アディダス、ディズニー、セガ、ソニー・ピクチャーズ、パラマウント、ネットフリックス、マテル、ハズブロ、NFL、サムスン、フォルクスワーゲン、FIFAなど25社のロゴが載っています(「50社超」のうちの掲載分)
- 代理店ほか: ユニバーサル・マッキャン(UM)、OMG23、ワイルドブレイン(WildBrain)が事例のクレジットに名前を連ねています
- プラットフォーム: ロブロックス(FIFAとの三者提携)、エピック・ゲームズ(フォートナイト)
- データ: ロモニター。公式サイトのリーチ数値の出典で、ゲームファムは2021年に同社へ出資しています
- 第三者の計測ベンダー: カンター(Kantar)やニールセン(Nielsen)などの名前は公式サイトに記載がありません
ここまでの歩み
資金調達の振り返り
公式に確認できる資金調達は、2022年のシリーズAの1件だけです。
時期 | ラウンド | 金額 | リード投資家 | 主な参加投資家 |
|---|---|---|---|---|
2022年3月23日 | シリーズA | 2,500万ドル | コンボイ・ベンチャーズ(Konvoy Ventures) | プレイ・ベンチャーズ、メーカーズ・ファンド、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ、ギャラクシー・インタラクティブ |
出典: シリーズAのリリース
調達の時点で、ゲームファムは従業員100名超、ロブロックスで30本超のゲームを運営していました。調達の目的は事業拡大と提携、収益拡大の加速で、「より多くのブランドをメタバースのプラットフォームに呼び込む」と説明しています。リードしたコンボイ・ベンチャーズのジョシュ・チャップマン氏は「ゲームファムはUGC(利用者が作るゲーム)とメタバースゲームの領域のリーダーだ」とコメントしました。
調達の目的に「メタバース」という言葉が入っているとおり、2022年3月の時点のゲームファムは、ブランドをロブロックスなどのメタバースに呼び込む会社として資金を集めていました。
シード期など、シリーズAより前と後の調達は公式ニュースルームに記載がありません。累計調達額と評価額は公式には非開示で、日本企業が投資家に入っているかどうかも公式リリースでは確認できません。
2024年5月30日には最大500万ドルの「ゲームファム・クリエイターファンド」を発表しています。これはゲームファムの資金調達ではなく、ゲームファムが外部のクリエイターに投資する制度です。1件あたり1万〜10万ドル超で、資金の4分の1を少数派出身のクリエイターに割り当てます。
沿革
時期 | 出来事 |
|---|---|
2019年 | 「初のプロのロブロックス開発会社」として設立 |
2021年 | ロモニターに出資 |
2022年3月 | シリーズAで2,500万ドルを調達 |
2022年4月 | セガ・オブ・アメリカと『Sonic Speed Simulator』を公開 |
2022年9月 | ザ・チェインスモーカーズと『Festival Tycoon』。ロブロックス・イノベーション・アワードで2部門受賞 |
2022年12月 | 2022年度は前年比275%超の増収、従業員250名超。ネットフリックス『ソニック・プライム』をゲーム内で世界初公開 |
2023年1〜2月 | ワーナー・ミュージック『Rhythm City』、NFLのスーパーボウル関連コンサート、パラマウントと提携 |
2023年7月 | A24の映画『トーク・トゥ・ミー』の施策。ゲームファムは「フォートナイトのゲームへの初のブランド統合」としている |
2023年10月 | マテル『Barbie DreamHouse Tycoon』。LAビジネス・ジャーナルが「最近のゲーム公開と買収」で急成長と報道(買収先の名前は確認できていない) |
2023年12月〜2024年2月 | NFL×ニコロデオンの「ニックマス&スーパーボウルLVIII」 |
2024年5月 | クリエイターファンド(最大500万ドル)を発表 |
2024年12月 | 年次レポートで、ブランドの手法が「単独ゲーム」から「既存ゲームへの組み込み」へ移ったと分析 |
2025年9月 | クランチロールと『My Hero Academia: Ultimate』を公開(日本を除く) |
2025年12月 | FIFA・ロブロックスと三者提携し、『FIFA Super Soccer』を公開 |
2026年3〜6月 | U.S.サッカー、ブラジル、カナダ、メキシコの各代表チーム、ドルトムント、FIFAワールドカップ2026の関連イベント |
2026年10月 | ムース・トイズ(Moose Toys)の『MrBeast Lab』を『Untitled Fling Game』内で展開 |

公式ゲームの制作から、ゲーム群の販売へ
沿革を並べると、事業の重心が2段階で動いています。
2022〜2023年はソニック、バービー、スポンジ・ボブのように、有名IPの公式ゲームを一から作る仕事が目立ちました。2024年以降は、自社の人気ゲームを複数束ねてブランドを入れるマルチゲーム施策が事例の中心になっています。ゲームファム自身の集計でも、ロブロックスのブランド施策は2023年に単独ゲーム型が63%を占め、2024年は既存ゲームへの組み込み型が57%になりました(2024年12月19日のリリース)。
フェレンツ氏は2025年12月18日のリリースで、「ブランドは、自前で池を掘るのではなく、魚がいるところで釣るのが勝ち筋だと学ぶことになる」と述べています。公式ゲームを作る技術を持ちながら、媒体を売る側に重心を移したと読める発言です。
公式の記述から読み取れる変化
公式ニュースルームに、撤退・レイオフ・サービス終了の発表はありません。ただし、次の変化は公式の記述から読み取れます。
- 「メタバース・メディア企業」という自己定義を2026年に「没入型ゲーム・メディア企業」へ改め、メタバースという言葉から離れました
- 1日あたりのリーチの公表値は、2022年より2024〜2025年のほうが小さく、2026年は1,600万です(詳しくは記事末尾のよくある質問を参照)
- 自社タイトル『Super League Soccer』はFIFA公式の『FIFA Super Soccer』に衣替えしました。2022年12月時点で運営していたマインクラフト(Minecraft)のサーバー3つは、現在の公式説明から消えています(終了したかどうかは未確認)
- フォートナイトの施策は後述のモアナ2の事例で1か月100万超のセッションでした。ロブロックスの施策が数千万規模であるのに比べると2桁小さく、フォートナイト側の事業はまだ小さいと考えられます
その中で、2025年12月のFIFA提携により自社タイトルがFIFAの公式ゲームになりました。2026年には、各国代表チームやFIFAワールドカップ2026に関連する施策が続いています。
広告出稿事例
数値はすべてゲームファム公式ケーススタディの表記で、第三者による検証はありません。
1. 『Sonic Speed Simulator』(セガ): 公式ゲーム型
セガ・オブ・アメリカと共同開発し、2022年4月13日に公開しました。走ってレベルを上げ、速さを競う「シミュレーター」と呼ばれる型のゲームで、ペットやソニックのスキンを集める要素があり、毎週更新しています。ゲームファムは「AAA級のゲームキャラクターがロブロックスに公式に登場した初の例」としています。
公開後はほかの作品の宣伝の場にもなりました。ネットフリックス『ソニック・プライム』の世界初公開をこのゲーム内で行い(2022年12月9日発表)、パラマウント+『ナックルズ』、『ソニックスーパースターズ』『ソニックフロンティア』とも連動しています。
公表されている効果は次のとおりです。
- ゲームプレイセッション12億超。ロブロックスで最も訪問されたブランドゲーム
- YouTube上のゲーム関連コンテンツの再生35億回超、SNSフォロワー10万超
- 2022年12月時点の公表値で、最初の1週間の同時接続27.5万人超、最初の4か月で5億訪問超
出典: Sonicケーススタディ、公開時のリリース

この事例からは、公式ゲームが一度きりのキャンペーンで終わらず、何年も遊ばれる場所として使われ続けたことがわかります。ただし毎週の更新を続ける運営体制が前提で、作って終わりの施策ではありません。
2. オールドネイビー(Old Navy)の新学期キャンペーン: 既存ゲームへの組み込み型
オールドネイビーが新学期の前に、あからさまな広告に見せずにα世代の好感度を上げる目的で実施した6週間の施策です。ロブロックスの人気ゲーム3本(タイトル名は非公開)にブランドを組み込み、ブランドのクエスト、マスコット犬「マジック」との交流、アバター用デジタルグッズを用意しました。ロブロックス系インフルエンサーの動画・ライブ配信と、YouTube・TikTokへの出稿で拡散しています。
公表されている効果は次のとおりです。
- ロブロックスの小売ブランド施策として過去2位
- ゲームプレイセッション4,900万、エンゲージメント1,400万分超
- 参加者は非参加者に比べて、ブランド好感度と購入意向が2倍
出典: Old Navyケーススタディ

公式ゲームを作らなくても、既存の人気ゲーム3本で数千万規模のセッションを集めた例です。実施時期はケーススタディに記載がありません。
3. ムース・トイズ×e.l.f.ビューティー(2024年ホリデー): 玩具と化粧品の相互乗り入れ
玩具メーカーのムース・トイズと、化粧品ブランドのe.l.f.ビューティーが組んだ施策です。第1弾で玩具「ヒーローズ・オブ・グージッズー」を『Weapon Fighting Simulator』と『Easy Obby』に、第2弾で「XOXクイーニーズ」を『Bayside High School』と『e.l.f. UP!』に展開しました。
- 2024年にロブロックスで1位のマルチゲーム型玩具施策
- エンゲージメント12億分超、プレイセッション3,280万超
- 購入意向が56.6%上昇
ムース・トイズとゲームファムの提携全体では、5つのシリーズで1億超のプレイセッション、6億5,000万超のブランドエンゲージメントになっています(2026年10月15日のリリース)。
出典: Mooseケーススタディ、2026年10月15日のリリース

4. アディダス・フットボール・フェスティバル(FIFA Super Soccer)
2025年のホリデー前の4週間、『FIFA Super Soccer』の中にアディダス仕様のロビー、ロッカールーム、スタジアムを用意し、アバター用アイテムを販売しました。アディダスと提携する14クラブもゲーム内でプレイできるようにしています。
- 2025年のロブロックスで最大のスポーツイベント
- プレイセッション5,100万超、ブランドエンゲージメント4億8,000万分超
出典: adidasケーススタディ

そのほかの事例
事例 | 実施内容 | 公表されている効果 |
|---|---|---|
ニックマス&スーパーボウルLVIII(NFL×ニコロデオン) | 2023年12月と2024年2月の2回、スポンジ・ボブやタートルズのゲームでクエストやクイズを実施し、NFLのチームや選手を若い層になじませる | 4週間で7,500万超のプレイセッション、ブランドエンゲージメント9億8,500万分超。クリオ賞で計7部門受賞 |
映画『ガーフィールド』(ソニー・ピクチャーズ) | 4本のゲームで同時に、牛乳瓶を集めて限定アイテムをもらうクエストを実施。インフルエンサー7人を起用 | 18日間で3,100万超のプレイセッション、ブランドエンゲージメント3億3,400万分超 |
コールドプレイ『ムーン・ミュージック』(ワーナー・ミュージック) | 2024年10月のアルバム発売に合わせ、『Car Dealership Tycoon』など4本で新曲を使ったクエストを2週間実施 | 2,500万超のセッション、ブランドエンゲージメント2億9,470万分超 |
映画『モアナと伝説の海2』(ディズニー、フォートナイト) | 2024年11〜12月、フォートナイトの『Obby But You're On A Bike HD』をモアナの世界に作り替えた | 期間中のUEFNドライブゲームでトップ3、1か月で100万超のセッション |
出典: Nickmas、Garfield、Coldplay、Moana 2
なぜこの動きが起きたのか
ゲームファムが媒体を売る側に重心を移した背景には、ブランドの公式ゲームを一から作っても人が集まるとは限らない、という事情があると考えられます。ソニックが上位に入ったのは強いIPと毎週の更新があったからで、どのブランドにも同じことができるとは限りません。すでに人が集まっている人気ゲームにブランドを入れれば、集客の不確かさを広告主が負いにくくなります。
もう1つの背景は若い世代の時間の使い方です。ゲームファムはロブロックスとフォートナイトで過ごす時間がTikTokやYouTubeより39%長いと主張しています。根拠の調査名は掲載ページで示されていないため、ここではゲームファムの主張として紹介します。

最高事業責任者のブリセーニョ氏はFIFA提携のリリースで「ロブロックスには世界最大のZ世代・α世代が集まっていて、彼らはただ見ているだけではない」と述べています。動画を見せる広告と違い、遊びの中でブランドに関わってもらえる点を売りにしていることがわかります。
ゲームの中に広告を入れる手法の全体像は、ゲーム内広告とはで整理しています。ゲームファムの4つのメニューのうち、ロブロックス・メディアとプレミアム・インゲーム・メディアは看板型・設置物型、ゲームプレイ・インテグレーションはコラボ型、フラッグシップ・ゲームはブランドゲーム型にあたります。
日本市場ではどうか

日本との接点は、公式に確認できる範囲では次の3つです。
- セガ: ゲームファムは『Sonic Speed Simulator』を「ロブロックスに持ち込まれた最初の日本のIP」と位置づけています。契約相手は米国法人のセガ・オブ・アメリカです
- クランチロール: ソニーグループのクランチロールと『My Hero Academia: Ultimate』を共同開発しました。ただし配信地域は「日本を除く全世界」で、日本のIPを使ったゲームでも日本の利用者は遊べません。理由は公式に書かれていません
- プロジェクト・アニメ: ゲームファムは「ロブロックスのアニメゲーム開発者と、東京のアニメビジネスの世界の架け橋になる」と掲げ、IPの法務やライセンス交渉、アニメ会社との提携を支援しています(Project Animeページ)。日本の具体的な提携企業名は載っていません
日本の広告主がゲームファムをそのまま使うには、次の点が障壁になります。
- 窓口は英語の問い合わせフォームだけで、日本法人や日本語の窓口は公式サイトで確認できません
- 料金は非公開です
- 実施事例はすべて米国または世界向けのブランドで、日本市場向けの施策は見当たりません
- 国別の利用者の内訳を出していないため、日本の利用者にどれだけ届くかを事前に見積もれません
- 効果指標はプレイセッション数とエンゲージメント時間が中心で、第三者の計測ベンダーの名前がありません
現時点では日本の生活者に向けた施策の発注先としては使いにくく、世界向けのIPやグローバルブランドの施策で検討する相手と考えられます。
日本で同じ広告を実施する選択肢
国内で「人が集まるゲームの中でブランドに触れてもらう」施策をする場合、ゲームファムのどのメニューに近いことをしたいかで選択肢が変わります。その中の1つとして、Ad-Virtuaのゲーム内広告と、プロモーション用ゲームの制作サービス「ゲームバズ」があります。
比較ポイント | ゲームファム | Ad-Virtua(ゲーム内広告) | ゲームバズ(PRゲーム制作) |
|---|---|---|---|
近いメニュー | 4メニューすべて | ロブロックス・メディア(広告枠)に近い | フラッグシップ・ゲームの考え方に近い |
媒体 | ロブロックス、フォートナイト | 国内のブラウザ・iOS/Android・一部VRのゲーム | PC・スマホのゲーム、埋め込みLP |
ブランドの入れ方 | クエスト、NPC、アバターアイテム | ゲーム空間の看板・モニターに既存の動画素材を配信 | 自社専用のゲームを制作 |
体験の深さ | 深い(ゲームの中身に手を入れる) | 浅い(看板・モニターでの接触) | 深い(ゲーム全体がブランドの体験) |
準備期間 | 非公開 | 素材を作り直さずに週単位で出せる | 制作期間2か月が目安 |
費用の公開 | 非公開 | 1週間30万円のプランを公開 | 企画立案は無料、ランニングコストは原則不要 |
窓口の言語 | 英語 | 日本語 | 日本語 |
Ad-Virtuaは国内の多数のゲームをネットワーク化し、ゲーム空間の看板やモニターに広告を出します。フェレンツ氏の言う「魚がいるところで釣る」と同じ考え方ですが、ゲームファムのようにクエストやアイテムをオーダーメイドで作るのではなく、手持ちの動画素材をそのまま配信する点が違います。手間と費用は軽い一方、体験の深さはゲームファムの組み込み型には及びません。
ゲームバズはプロモーション用のゲームを企画から開発・拡散まで一括で請け負い、納品物は永続的に使える実行ファイルです。自社のゲームを作って遊んでもらう発想はソニックやバービーの公式ゲームと同じですが、ロブロックス上で毎週更新して何年も育てるライブ運営型ではなく、単発の制作です。国内の事例には、ゲーム内で不要な衣類を集めるとクーポンがもらえる日本リユースシステムの施策があり、オールドネイビーの「遊んで購買につなげる」構造と比べられます。
Ad-Virtuaのゲーム内広告が合うのは、次のような企業です。
- TVCMやWeb用に作った動画素材があり、それを若年層の接点に追加で配信したい
- 予算と期間が限られていて、まず数週間単位で試したい
- 日本の生活者に届けることが前提で、日本語で企画から報告まで進めたい
合わないのは、次のような企業です。
- ロブロックスやフォートナイトの利用者に向けて、世界規模で施策をしたい
- クエストやアバターアイテムなど、プレイヤーが手を動かす深い体験を作りたい(この場合はゲームバズの方が近い)
- アバター用デジタルグッズの販売まで含めて設計したい
ゲーム内広告の詳細はAd-Virtua公式サイト、PRゲームの制作はゲームバズで確認できます。
広告主が取るべき判断
今ゲームファムへの相談を検討してよいのは、次の条件に当てはまる企業です。
- 海外でも通用するキャラクターやIPを持ち、世界のZ世代・α世代に届けたい
- 米国や英語圏での施策の予算があり、英語で企画と承認を進められる
- プレイセッション数やエンゲージメント時間を、施策の主な成果指標として受け入れられる
様子見でよいのは次の条件の企業です。
- 届けたい相手が日本の生活者に限られる
- 社内の稟議に、第三者の計測によるブランドリフト調査が必要
- 子ども向けの広告表示について、保護者の目線への配慮を重く見る業種である(ロブロックスは13歳未満の利用者が多い)
ゲームファムの事例から日本の広告主が持ち帰れる考え方は、「公式ゲームを作る」か「人気ゲームに入る」かを最初に決めることです。前者は何年も遊ばれる資産になりうる代わりに、更新を続ける体制が必要になります。後者は集客の不確かさを減らせる代わりに、施策の期間が数週間で区切られます。
関連する基礎知識
- ゲーム内広告とは: 看板型、コラボ型、ブランドゲーム型など、ゲームの中に広告を入れる手法の全体像
- ブランド体験とは: 遊んでもらう体験を通じてブランドを好きになってもらう考え方
- 体験型マーケティングとは: オールドネイビーやムース・トイズのような参加型施策の設計
- メタバース広告とは: ロブロックスやフォートナイトを広告の場として見るときの基礎
- ゲーミングオーディエンスマーケティングとは: ゲームで遊ぶ人を軸に若年層へ届ける考え方
- サウンドブランディングとは|音で第一想起を獲得するブランド体験設計と事例: コールドプレイの事例のように、楽曲や音をゲーム体験に組み込む施策を考えるときの参考に
よくある質問
プレイセッション数は、Web広告のインプレッション数と同じように比べられますか
同じようには比べられません。プレイセッションは利用者が1回ゲームを遊んだ単位で、その中でブランドの演出に何回、何秒触れたかまでは表しません。ゲームファムがエンゲージメント時間(分)を別に示しているのはこのためと考えられます。Web広告と比べるなら、1セッションあたりのエンゲージメント時間や、アンケートでの好感度・購入意向の変化を見るほうが実態に近くなります。
ゲームファムの公表数値が時期によって違うのはなぜですか
公式リリースの会社説明の数値は、時期によって定義と桁が変わっています。1日あたりの数値は、2022年3月が2,700万超のプレイセッション、2025年9月が1,100万訪問、2026年が1,600万です。数える単位も「訪問」と「プレイセッション」が時期によって入れ替わっていて、数え方が変わった可能性があります。理由は公式に説明されていないため、引用するときは数値の時点を必ず添えてください。
リーチ数値の出典になっているロモニターは中立なデータですか
ロモニターはロブロックスのデータ分析サービスで、ゲームファムは2021年に同社へ出資しています。出資関係があることを前提に、数値は参考値として扱うのが妥当と考えられます。ロブロックスやセガが同じ数値を公表しているかどうかは確認できていません。
クリエイターファンドは広告主に関係がありますか
直接の関係はありません。クリエイターファンドは、ゲームファムが外部のゲーム開発者に1件1万〜10万ドル超を投資する制度です。ただし投資先のゲームが育てば、ゲームファムがブランドを入れられるゲームが増えることになるため、広告媒体としての規模を広げる狙いもあると考えられます。


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