Amazonは、Twitchの広告をクリックするとダウンロードなしで製品版ゲームをブラウザで15〜20分遊べる体験版「Instant Play Demos」を展開しており、最後まで遊んだプレイヤーの20〜40%がSteamのストアページへ移動しています。ただし遊べるのは米国・カナダ・欧州のユーザーに限られ、日本の広告主が今すぐ買える広告商品ではありません。日本で参考にすべきなのは「広告に数分間、自分から関わってもらう」という設計の考え方です。
Instant Play Demosの発表内容
2026年9月1日、AWS(Amazon Web Services)のゲーム業界向け公式ブログ「AWS for Games Blog」が、Twitch上で展開しているInstant Play Demosの仕組みと実績を公開しました(出典: AWS for Games Blog「How Amazon GameLift Streams is boosting game discoverability on Twitch」)。
ブログで公表された内容は次のとおりです。
- プレイヤーはTwitchの広告を見てクリックすると、ダウンロード・インストール・サインインなしでブラウザ上のゲームに入れる
- 体験版用に作り直したものではなく、製品版のタイトルを15〜20分続けて遊べる
- 配信の基盤はAWSのクラウドゲームストリーミングサービス「Amazon GameLift Streams」
- 公開中のタイトルは『Dragon Age: The Veilguard』『REANIMAL』『Palworld』『World of Tanks: HEAT』『Crimson Desert』の5本。各ページは
twitch.tv/gl/{タイトル}の形式 - 遊び終えるとSteamのストアページへのボタン(CTA)が出て、最後まで遊んだプレイヤーの20〜40%がストアページへ移動した(移動は任意)
- AWSはこの取り組みを「まだ初期の探索段階」とし、Amazonのほかの事業へ広げる計画があると書いている

公式ページによると、Instant Playの対象は「米国・カナダ・欧州でログインしているデスクトップのユーザー」です(出典: Amazon GameLift Streams 公式ページ)。
2026年11月2日には、米ゲーム業界メディアGamesBeatが続報を独占で報じました。Crimson Desertを出すPearl Abyssは、Twitchの体験版について「Steamページへ流入を生むトラッキング可能なリンクのうち、常に1位か2位」と説明しています。AWSのゲーム業界事業開発グローバル責任者であるShayan Sanyal氏は、「Amazonの他の部分や、ほかのパートナー候補にも広げる計画だ」と話しました(出典: GamesBeat 2026年11月2日)。
数値を読むときは2点に注意が必要です。20〜40%は「最後まで遊んだプレイヤーのうちSteamのストアページに移動した割合」で、購入率ではありません。また「15〜20分遊べる」は上限の長さで、Crimson Desertの実際の平均プレイ時間は約5.5分です(GamesBeat報道)。
Amazon GameLift StreamsとTwitch広告事業
今回の仕組みは、AWSの「Amazon GameLift Streams」が配信を担い、Amazon傘下の「Twitch」が集客の場を担う、という2つの事業の組み合わせでできています。それぞれを分けて見ていきます。

Amazon GameLift Streamsの概要
Amazon GameLift Streams(アマゾン ゲームリフト ストリームス)は、AWSが2025年3月6日に提供を始めたクラウドゲームストリーミングの基盤です。ゲームをAWSのGPUインスタンス上で動かし、映像としてプレイヤーのブラウザへ配信します。提供開始と同時に、従来のGameLiftの機能は「Amazon GameLift Servers」に改称されました(出典: AWS News Blog 2025年3月6日)。
項目 | 内容 |
|---|---|
提供元 | Amazon Web Services(AWS) |
提供開始 | 2025年3月6日 |
配信品質 | 最大1080p・60fps |
対応するゲーム | Windows / Linux / Proton。多くの場合、コードの変更は少ないか不要 |
遊べる端末 | iOS / Android / PC / スマートTVのブラウザを含む |
開発者向けの道具 | Web SDK、サービスAPI、クライアント用SDK |
提供リージョン | 12(バージニア北部、オハイオ、オレゴン、ムンバイ、東京、ソウル、シドニー、フランクフルト、アイルランド、ロンドン、ストックホルム、サンパウロ) |
料金 | 確保した配信キャパシティへの秒単位課金と、コンテンツ保存の課金(GB/月)。無料利用枠なし |
事業単体の売上・人員 | 非公開 |
出典: Amazon GameLift Streams 公式ページ、料金ページ
料金ページに載っている単価の例は、gen6n_ultra_win2022(オレゴン)が1時間あたり1.82ドル、gen4n_high(オレゴン)が0.4982ドル、gen4n_high(フランクフルト)が0.6571ドルです。東京リージョンの単価は例に載っていません。なお、これはインフラの利用料で、Twitchで広告として出すときの費用ではありません。
公式ページが挙げる用途は5つあります。配信チャネルの拡大、過去作カタログの配信、オンデマンド体験版、仮想空間、安全なプレイテストです。オンデマンド体験版の説明には「Webサイト、広告、Twitchなどのライブ配信中にinstant playリンクを出してプレイヤー層を広げる」とあり、今回のInstant Play Demosはこの用途を自社グループのTwitchで形にしたものと位置づけられます。
公式ページに載っている顧客は、Ludeo、バンダイナムコ(ガンダムのメタバース基盤)、Jackbox Games(スマートTV向け)、Xsolla(Xsolla Cloud Gaming)、LightFury Games(インドのモバイル向け)、Syneos Healthです。
Instant Play Demosで広告がゲームになる仕組み
AWSブログに載った仕組み図と説明をもとに、パブリッシャーが提出してからプレイヤーが遊ぶまでを順に整理します。

- パブリッシャーがDRMフリーの実行ビルドをAWSに渡す
- AWSがビルドをAmazon S3にアップロードし、配信用に設定する。オートスケール、コンピュートとリージョンの選択、配信の最適化はAWSが管理し、スタジオ側の手動設定は要らない
- ブラウザで開くランディングページとCTAは、AWSがパブリッシャーの選んだ配信先(今回はTwitch)と一緒に作る
- プレイヤーが広告をクリックすると、GameLift Streamsがセッションを立ち上げ、ブラウザとクラウドのインスタンスをWebRTCで直接つなぐ
- 描画・ゲームロジック・物理演算はサーバー側で処理し、圧縮した映像と音声を送る。キーボード・マウス・コントローラーの入力は同じ低遅延の接続でサーバーに返る
- 15〜20分遊んだあと、Steamのストアページへ誘導するCTAを出す
- AWSが分析とエンゲージメントのレポートを出す。Amazon EC2上での世界展開、QA、継続運用もAWSが担う
パブリッシャーから見ると、体験版を別に作らずに製品版のビルドを期間限定で遊ばせられる点が大きな違いです。ゲームのコードがプレイヤーの端末に渡らないので、クラックされる心配も減ります。Pearl AbyssのWill Powers氏は「セキュリティ上、コードを外に出したくない」ためにCrimson Desertの体験版をほかのどこにも出していないと話しています(GamesBeat報道)。
AWSブログは従来のPC体験版について「1つのストアに縛られ、大容量のダウンロードと設定が必要で、短く浅い内容が多い」という趣旨を書いています。Instant Play Demosでは、こうしたダウンロードや設定をせずに、広告をクリックしてそのまま遊び始められます。GamesBeatによれば、Crimson Desertの体験版の読み込みは3秒以内です。
配信先としてのTwitchの広告事業
Twitchはゲームを中心としたライブ配信サービスで、Amazonが2014年8月25日に約9億7,000万ドル(現金)での買収を発表しました。買収発表の時点で、2014年7月の月間ユニーク訪問者は5,500万人超、配信者は100万人超、サービス開始は2011年6月です(出典: Amazonプレスリリース 2014年8月25日)。
現在の規模は、AWSブログによると月間平均訪問者が1億500万人超です。Amazon Adsの広告主向けガイドは、1日平均3,500万人、利用者の約70%が18〜34歳、配信は35言語としています(出典: Amazon Ads「Twitch ads」、数値の時点は記載なし)。月間訪問者と1日の利用者は別の指標です。AWSブログは「ゲーム配信のライブストリーミングで世界シェア60%」とも書いていますが、元になった記事によればこれはTwitch自身が示した2024年の値です。
Amazon Adsのガイドに載っているTwitchの広告フォーマットは次のとおりです。
種類 | 内容 |
|---|---|
ディスプレイ広告 | ホームページのカルーセル、ヘッドライナー、レクタングル、スーパーリーダーボード |
プレミアム動画広告 | ライブ配信中に挿入。スキップ不可 |
配信者の広告ブレーク | 30秒〜3分のプレロール・ミッドロール |
ブランドパートナーシップ | スポンサー、プロダクトプレイスメントなど |
その他 | Twitch Rivals など |
購入方法はAmazon Adsでの登録か、Twitchの営業担当への連絡です。動画広告にはマネージドとセルフサービスのパッケージがあり、高インパクト枠には最低出稿額があります。
一方で、Instant Play DemosはこのAmazon Adsのガイドに載っていません。通常の広告商品として販売されているのか、費用をAWSとパブリッシャーのどちらが負担しているのかは、AWSブログ、Amazon AdsのTwitch広告ガイド、GamesBeatの記事のいずれにも書かれていません(2026年11月3日時点)。ディスプレイ広告や動画広告の一般的な費用感は「ディスプレイ広告 費用 料金」で整理していますが、試遊型の枠はこうした表示課金の相場とは別に考える必要があります。
Amazonのゲーム領域のこれまでの取り組み
Instant Play Demosは、Amazonがゲーム領域で続けてきた試行の延長にあります。
時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
2014年8月 | Twitchの買収を発表(約9億7,000万ドル) | Amazon公式 |
2020年9月 | 消費者向けクラウドゲーム「Amazon Luna」を発表 | 二次情報 |
2022年3月 | Lunaを米国で正式提供 | 二次情報 |
2025年3月6日 | Amazon GameLift Streams提供開始。既存機能をGameLift Serversに改称 | AWS公式 |
2025年10月 | Prime GamingをLunaに統合(日本など10か国ではクラウドプレイなし) | 二次情報 |
2026年3月9日 | DiscordがInstant Play Questsを発表。対応基盤にGameLift Streamsを含む | Discord公式 |
2026年4月 | Lunaの大幅な見直し。購入済みゲームとサードパーティのサブスクを削除 | 二次情報 |
2026年8月31日 | Crimson DesertのTwitch体験版を公開 | GamesBeat |
2026年9月1日 | AWSブログでInstant Play Demosを紹介 | AWS公式 |
2026年11月2日 | AWSがAmazonのほかの事業・パートナーへの展開計画を説明 | GamesBeat |

消費者向けクラウドゲームでの苦戦
Amazonは2020年に、月額料金でゲームを遊べるクラウドゲーム「Luna」を発表しました。二次情報では、その後2025年10月にPrime Gamingを統合し、2026年4月には購入済みゲームとサードパーティのサブスクを削除する大幅な見直しを行ったと伝えられています。これらはAmazonの公式発表では確認できていませんが、消費者向けクラウドゲームが計画どおりに広がらなかったことがうかがえます。
業界全体でも同じ動きがありました。Googleはクラウドゲーム「Stadia」の終了を2022年9月29日に発表し、2023年1月18日に停止しています。理由は「期待したほどユーザーの支持を得られなかった」ことでした(出典: Google公式ブログ)。
今回は何が違うのか
Lunaは、消費者に月額料金を払ってもらい「ゲーム機の代わり」として使ってもらうモデルでした。GameLift Streamsは同じクラウド配信の技術を、パブリッシャー向けのB2Bの基盤として売っています。そしてInstant Play Demosでは、その使い道を「広告の中で製品版を試遊させる」ことに置きました。
お金の出どころが、消費者のサブスク代からパブリッシャーの集客予算に変わったと整理できます。プレイヤーは料金を払わずに数分だけ遊び、気に入ればSteamで買います。クラウドゲームの役割が、ゲーム機の代わりから広告・試遊の手段へ移りつつあると考えられます。
Amazonの場合、配信インフラ(AWS)と集客先のメディア(Twitch)を自社グループでそろえている点も、他社との違いです。
今回の発表の位置づけ
Twitchで買えるのは、上の表のとおりディスプレイ広告と動画広告、配信者との協業が中心で、多くは「見せる」広告です。Instant Play Demosは、Twitchの広告をクリックした先でゲームそのものを遊ばせる点で、既存メニューの外側にある試験的な取り組みです。AWS自身も「探索の段階」と説明しているので、正式な広告メニューとしての位置づけはまだ固まっていないと考えられます。
広告出稿事例
事例1: Pearl Abyss『Crimson Desert』
ゲーム会社のPearl Abyssは、2026年3月に発売した『Crimson Desert』の体験版を、2026年8月31日からTwitchで公開しています。GameLift Streamsによるダウンロード不要の体験版としては5本目です。約20分遊べ、同作の体験版はTwitch以外のどこにも出していません。
GamesBeat(2026年11月2日)が報じた効果は次のとおりです。
指標 | 数値 |
|---|---|
平均プレイ時間 | 約5.5分。大半のプレイヤーが5分以上遊ぶ |
Steamページへの流入 | トラッキング可能なリンクのうち「常に1位か2位」 |
プレイヤーの地域 | 約60〜70%が南北アメリカ |
SNSの反応 | 体験版を告知した投稿が、発売以来同社で最も保存・反応の多い投稿になった |
「1位か2位」の比較対象となったリンクの数や期間は書かれていません。ウィッシュリスト数、売上、コンバージョン率、広告費も公表されていません。
Powers氏は「広告ユニットに5分以上、能動的に関わるなんてすごいことだ。3秒でスキップするのではなく、自分から遊ぶほうを選んでいる」と話し、当面は体験版を取り下げるつもりはないとしています。AWSはPearl Abyssに、Twitch以外のAmazonのページでも体験版を出す選択肢を示したと報じられています。
事例2: 5タイトル共通の送客実績(AWS公式)
AWSブログが公表したのは、Dragon Age: The Veilguard、REANIMAL、Palworld、World of Tanks: HEAT、Crimson Desertの5本を通した数値です。体験版を最後まで遊んだプレイヤーの20〜40%が、任意でSteamのストアページへ移動しました。タイトルごとの内訳はありません。


5本のうち、Pocketpairの『Palworld』とEA(BioWare)の『Dragon Age: The Veilguard』は、AWSのGameLift Streams公式ページにもキーアートが掲載されています。
事例3: Ludeo×『Hitman World of Assassination』(YouTube)
Twitch以外でも、GameLift Streamsを使った「広告からその場で試遊」の事例があります。Ludeoは、YouTube上の『Hitman World of Assassination』のキャンペーンに、GameLift Streamsで動かすプレイアブル体験版を組み込みました。LudeoはYouTubeのほか、X・Reddit・SteamでもGameLift Streamsを使った体験版の広告を展開しています。

LudeoのAsaf Gazit CEOは、AWS公式ページに次の結果を寄せています。
指標 | 数値 |
|---|---|
エンゲージメント率 | 動画や静止画の通常キャンペーンの5倍 |
クリックしてプレイしてからストアへの全体コンバージョン率 | 20% |
比較対象のキャンペーンの条件や実施期間は書かれていません。ミニゲーム型のプレイアブル広告(「プレイアブル広告の設計と効果」で解説)と比べると、こちらはクラウドで製品版を丸ごと動かすため、試遊用の素材を別に作る手間がかかりません。その代わり、配信できるのはWindows / Linux / Protonで動くタイトルに限られます。
なぜ「試遊そのものを広告にする」動きが起きたのか
背景には、パブリッシャー側の課題と、プラットフォーム側の事情の両方があります。

パブリッシャー側では、PCゲームの体験版を出す手間とリスクが課題でした。AWSブログが書くとおり、従来の体験版はストアに縛られ、大容量のダウンロードと設定が必要です。Pearl Abyssのようにクラックを警戒して体験版自体を出さない会社もあります。クラウド配信ならコードを配らずに製品版を遊ばせられるため、この2つの課題を同時に減らせます。
プラットフォーム側では、試遊を自社の広告の枠に組み込む動きが2026年に入って続いています。Discordは2026年3月9日に、報酬付きの広告「Quests」の中でクラウド試遊をさせる「Instant Play Quests」を発表しました。初期テストでは新規ユーザーの試遊率が最大4倍になり、配信基盤にはNVIDIA GeForce NOWかAmazon GameLift Streamsを使います(出典: Discordプレスリリース、解説は「DiscordのInstant Play Quests」)。
DiscordのQuestsは報酬で参加を促す設計ですが、Twitchの体験版は報酬なしで遊ばせています。報酬型の仕組みを入れるかについて、AWSはGamesBeatの取材にコメントを控えました。報酬型広告と報酬なしの体験の違いは「ゲームエコノミー×ブランド戦略の実践ガイド」で詳しく扱っています。
Sanyal氏は「ゲーマーがいる場所だから、Twitchを最初の接点と見ている」と話しています。GamesBeatによると、AWSは今後1年でGameLift Streamsの技術と体験版を出せる場所の両方を広げる計画で、長期的には「顧客がどこでもダウンロード不要の体験版を出せるホワイトラベルのサービス」を構想しています。いずれも計画・構想の段階です。
日本市場ではどうか
2026年11月3日時点で、日本のプレイヤーはTwitchのInstant Play Demosを遊べない可能性が高いと考えられます。AWS公式ページの対象地域は米国・カナダ・欧州で、日本は含まれていません。
一方で、配信の基盤は日本にもあります。GameLift Streamsは東京リージョンで提供されているため、日本のパブリッシャーが自社サイトなどで「ダウンロード不要の試遊」を作ることは技術的にはできます。ただし、Twitch上のInstant Play Demosの枠を日本から買えるかは公表されておらず、Amazon AdsのTwitch広告ガイドにも日本向けの記載はありません。
日本企業による利用例としては、バンダイナムコがGameLift Streamsでガンダムのメタバース基盤を作っています(AWS公式の顧客一覧)。広告や体験版の用途ではありません。
日本の広告主が今の形のままで使えない理由は4つあります。
- 遊べる地域が米国・カナダ・欧州に限られる
- DRMフリーのPC(Windows / Linux / Proton)ビルドが必要で、モバイルやコンソール専用のタイトルは対象外
- 送客先がSteamのストアページで、ゲーム以外の商品やブランドの広告には使えない
- 販売形態と価格が公開されていない
つまりこれは、ゲーム会社がゲームを売るための広告です。食品・日用品などのブランドがそのまま使えるものではありません。ゲーム以外のブランドが持ち帰れるのは、「広告に数分間、自分から関わってもらう」形が成果を出しているという点です。Crimson Desertの平均5.5分、Ludeoのエンゲージメント5倍は、その裏付けとして読めます。
日本で同じ広告を実施する選択肢
「広告を見せる」だけでなく「体験してもらう」広告を、日本国内で今実施する場合の選択肢を比べます。Twitchの体験版と完全に同じことができるわけではないため、狙いに合わせて選ぶことになります。

比較ポイント | Twitch Instant Play Demos | Discord Instant Play Quests | Ad-Virtua(ゲーム内サイネージ広告) | ゲームバズ(PRゲーム制作) |
|---|---|---|---|---|
使える広告主 | PCゲームのパブリッシャー | ゲームのパブリッシャー | ゲーム以外のブランドも可 | ゲーム以外のブランドも可 |
体験の中身 | 製品版を15〜20分試遊 | 報酬付きのクラウド試遊 | ゲーム空間の看板・モニターで動画広告に接触 | 自社商品をテーマにしたオリジナルゲームを遊ぶ |
必要な素材 | DRMフリーのPCビルド | ゲームのビルド | 既存の動画素材 | ゲームを新規に制作 |
日本での実施 | 対象地域外 | 本記事では未確認 | 可 | 可 |
料金 | 非公開 | 本記事では未確認 | 30万円〜/週(ゲーム内で100万回再生目安)、初期費用なし | 企画立案は無料、ランニングコスト原則不要 |
Ad-Virtuaとゲームバズの情報は公式サイト(Ad-Virtua、ゲームバズ、2026年11月3日確認)によります。
Ad-Virtuaのゲーム内サイネージ広告が合う企業
Ad-Virtuaは、国内のゲームタイトルのゲーム空間にある看板やモニターに、ブランドの動画広告を流すアドネットワークです。公式サイトでは対応タイトルを600以上(2026年4月時点)と案内しています。プレイを止めずに目に入る位置に広告を置くので、Twitchの体験版と同じく、ゲームの体験を邪魔しない広告接触を狙えます。ゲーム内広告の全体像の解説は「ゲーム内広告とは」を参照してください。
合うのは、ゲームを売りたいのではなく、若年のゲーマー層にブランドを覚えてもらいたい企業です。TVCMやSNS用に作った動画素材があれば、そのまま使えます。15秒前後の動画の作り方は「食品・飲料の15秒動画クリエイティブ」が参考になります。料金は週単位で、週2枠限定です。
合わないのは、自社のPCゲームを試遊させてSteamのウィッシュリストや購入に直接つなげたい企業です。その目的なら、ゲームそのものを遊ばせる仕組みのほうが近く、プレイアブル広告や、海外向けにはTwitchやDiscordの動きを追うほうが適しています。
ゲームバズのPRゲームが合う企業
「遊んで知ってもらう」こと自体を施策にしたい場合は、自社商品をテーマにしたゲームを作る方法もあります。Ad-Virtuaのゲームバズは、企画立案が無料で、制作期間は約2か月、ランニングコストは原則不要です。日本リユースシステムの事例では、不要な衣類をゲーム内で集めるとクーポンが手に入る設計にしています。新商品の参加型キャンペーンを考えている企業に向く方法です。制作期間がかかるため、すぐに広く認知を取りたい場合はサイネージ広告のほうが早く始められます。
広告主が取るべき判断
今動くべき企業
- 北米・欧州でPCゲームを販売しているパブリッシャー。特にクラックを警戒して体験版を出していないタイトルは、Pearl Abyssと同じ条件にあります。販売形態が非公開なので、AWSやTwitchへの問い合わせから始めることになります
- 日本で若年層への認知に課題を持ち、TVCM・SNS広告の補完策を探している食品・飲料・日用品のブランド。ゲーム空間内での動画広告なら、既存素材で今すぐ試せます。業界別の進め方は「FMCGメーカーのゲーム内広告活用プレイブック」にまとめています
様子見でよい企業
- モバイルやコンソール専用のタイトルしかないゲーム会社。現状のInstant Play DemosはPCビルドが前提です
- 日本国内のプレイヤーだけを狙うゲーム会社。対象地域に日本が入るか、販売形態が公開されるかを待ってから判断しても遅くありません
- 送客率や売上への影響を数値で見てから予算を決めたい企業。公表されている数値は5本合計の送客率と、1社についての報道ベースの数値にとどまります
関連する基礎知識
- ゲーム内広告とは: ゲーム内広告の種類と仕組みの全体像
- プレイアブル広告の設計と効果: ミニゲーム型の試遊広告の費用・事例
- DiscordのInstant Play Quests: 報酬付きクラウド試遊広告の先行事例
- ゲームエコノミー×ブランド戦略の実践ガイド: 報酬型広告とゲーム内広告の選び方
- ディスプレイ広告 費用 料金: 表示型広告の費用相場
よくある質問
Instant Play Demosはスマートフォンで遊べますか?
AWS公式ページの対象は「ログインしているデスクトップのユーザー」です。GameLift Streams自体はiOSやAndroidのブラウザにも配信できますが、TwitchのInstant Play Demosは現時点でデスクトップ向けです。
プレイヤーはTwitchのアカウントが必要ですか?
AWSブログは、ゲームを始めるのにサインインは要らないとしています。一方、公式ページの対象は「ログインしているデスクトップのユーザー」と書かれており、Twitchへのログインが前提とも読めます。正確な条件は公表されていません。
プレイ中のセーブデータは製品版に引き継げますか?
AWSブログとGamesBeatの記事には、セーブデータの引き継ぎについての記載はありません。体験版の終わりに表示されるのはSteamのストアページへのCTAです。
東京リージョンがあるなら、日本向けに同じ仕組みを自前で作れますか?
GameLift Streamsは東京リージョンで提供されており、キャパシティを確保すれば自社サイトなどに試遊を置くことは技術的にはできます。ただし、Twitchの広告枠からの集客や、AWSがランディングページとCTAを一緒に作る支援が日本向けに提供されるかは公表されていません。
公開中の体験版はいつまで遊べますか?
各タイトルの公開終了日は発表されていません。Crimson DesertについてはPearl Abyssが当面は体験版を取り下げるつもりはないと話しています(GamesBeat報道)。ほかの4本は公開開始日も確認できていないため、遊べるかどうかは各タイトルの twitch.tv/gl/{タイトル} のページで確かめるのが確実です。


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