Mintegral(ミンテグラル)は、ゲームなどのアプリ事業者が「広告で新しいユーザーを集める」ことと「自社アプリの広告枠で稼ぐ」ことを1つのSDKで扱える広告プラットフォームで、2026年11月2日には計測ツールのAppsFlyerによる評価でゲーム部門の世界2位に入ったと発表しました。日本の広告主にとっては、アプリやゲームの開発者なら今すぐ使える集客手段である一方、食品や日用品などのブランドが認知を取る目的の商品は公式サイトに見当たらず、別の選択肢を考える必要があります。

発表の内容

2026年11月2日10時(日本時間)、Mintegralの運営法人であるMintegral International Limitedは、PR TIMESで日本語のリリースを配信しました(発表地はシンガポール)。内容は、AppsFlyerが公表する「AppsFlyer パフォーマンス インデックス – 2026年版(AppsFlyer Performance Index 2026)」で、ゲーム・非ゲーム・クリエイティブの各カテゴリで上位の評価を得たというものです(出典: PR TIMES/Mintegral International Limited)。

MintegralがAppsFlyer Performance Index 2026で評価されたことを告知するビジュアル
出典: Mintegral International Limited(

リリースに書かれた主な順位は次のとおりです。

カテゴリ

評価

Global Gaming Volume(ゲーム全体の規模)

iOS・Androidともに第2位

ランクイン件数

計301件。うち243件(80%超)がトップ5

非ゲーム(Non-Gaming Volume)

Androidで第4位、iOSで第8位

クリエイティブ

ゲームのGameplay系とUGC系で第1位、アニメーション系で第2位

iOSの個別カテゴリ

「Global Puzzle & Lifestyle Volume」と「Power Rankings」でトップ3。北米・西欧でも両カテゴリでトップ3

Androidの個別カテゴリ

ゲームの4サブカテゴリと、非ゲームの「Lifestyle & Services」「Software」でトップ5

リリースにはAppsFlyerの評価として「クリエイティブ評価のトップランク入り率が、評価対象の広告ネットワークで最も高い」という記述もあります。ただし、この記事ではAppsFlyer側の原典までは確認できていません。

Mintegral CEOのErick Fang氏は、リリースの中で「広告主の成長支援に継続して取り組む当社の姿勢」に触れています。要旨としてはAIによる最適化、クリエイティブの工夫、世界規模の展開力を組み合わせて測定できる成果を届けることに取り組んでおり、今回の評価はその取り組みが着実に進んでいる証拠だという内容です。

AppsFlyerは広告経由のインストールや課金を計測するツール(MMP: モバイル計測パートナー)の提供会社です。MintegralもAppGrowthのページで、AppsFlyerやTenjin、Singularといった計測会社の評価を実績として掲げています。

Mintegralとはどんな会社か

Mintegralのロゴ
出典: Mintegral(

会社の基本情報

項目

内容

運営法人

Mintegral International Limited

法人設立

2016年3月

本社

シンガポール(Income@ Raffles, 16 Collyer Quay)

代表者

Erick Fang(CEO)。親会社Mobvistaの経営陣ページにもプロダクト担当として掲載

親会社

Mobvista Inc.(汇量科技)。香港証券取引所メインボード上場、証券コード1860

従業員数

非公開

自己紹介

「AI-powered advertising platform(AIを活用した広告プラットフォーム)」

出典: PR TIMES 会社概要、Mobvista About Us

親会社のMobvistaは2013年に設立された企業で、共同創業者はClement Cao(曹晓欢)氏(CEO・取締役会長)とRobin Duan(段威)氏(執行取締役)です。Mintegralは、Mobvistaが2016年に立ち上げたブランドにあたります。グループの拠点は世界16か所とされていますが、所在地の内訳は公開されていません。

広告が表示される仕組み

Mintegralの仕組みはアプリ同士をつなぐ「アドネットワーク/アドエクスチェンジ」型です。

  1. アプリ開発者(パブリッシャー)が自社アプリにMintegralのSDKを組み込むと、アプリ内に広告枠ができます。
  2. 別のアプリを宣伝したい広告主が、その枠に入札します。
  3. 落札した広告がパブリッシャーのアプリ内に表示されます。パブリッシャーは広告収益を受け取ります。

広告フォーマットは、公式サイトのAppGrowthページでは「プレイアブル広告、リワード広告ほか」とされ、2023年4月のGoogle AdMob連携リリースではインタースティシャル・リワード・バナーが対応フォーマットとして挙がっています。

これらの広告はゲームの外側に表示されます。ステージの合間に出る全画面広告や、アイテムと引き換えに見る動画広告がその例で、ゲームの世界の中にある看板やモニターに広告を出す方式とは別の種類です。両者の違いは「ゲーム内広告とは」で整理しています。

プロダクト

Mintegralは広告主向け・パブリッシャー向け・クリエイティブ制作の3系統でプロダクトを用意しています。

Mintegral AppGrowthのロゴ
出典: Mintegral(

プロダクト

対象

役割と公式の説明

AppGrowth(アップグロース)

広告主

ユーザー獲得(UA)。課金モデルはCPM、CPI、Target ROAS(IAA ROAS・Hybrid ROAS・IAP ROAS)、Target CPE。AIベースの「Smart Bidding」で入札する

Retargeting(リターゲティング)

広告主

休眠ユーザーを呼び戻し、LTV(顧客生涯価値)を最大化する

Monetization(マネタイゼーション)

パブリッシャー

アプリ内入札(in-app bidding)で広告枠の価値を高める。精算は自動で、SDKはオープンソース

Mindworks(マインドワークス)

広告主

社内のクリエイティブスタジオ。プレイアブル広告と動画広告を、企画から制作後の効果分析まで手がける

Playturbo(プレイターボ)

広告主

ノーコードでプレイアブル広告・動画広告を作れるセルフサービス型ツール。Mobvistaの沿革では2018年に提供開始

出典: Mintegral AppGrowth、Mintegral Monetization、Mintegral Creative Studio

用語を補足すると、CPIは1インストールごと、CPMは1,000回表示ごとに費用が発生する課金方式です。Target ROASは、広告費に対する売上の目標値を広告主が決め、その達成に向けてシステムが入札額を調整する方式です。IAAはアプリ内広告の収益、IAPはアプリ内課金の収益を指し、Hybrid ROASは両方を合わせた売上で最適化します。

業種別のソリューションはゲームアプリ、サブスクリプションアプリ、EC、代理店向けプログラムの4つが用意されています。公式サイトで確認できる範囲では、ブランド認知を目的とする広告商品は見当たりません。

プレイアブル広告は、広告そのものが短時間遊べるミニゲームになっている形式です。Mintegralは制作スタジオ(Mindworks)と制作ツール(Playturbo)を両方持っていて、今回のAppsFlyerの評価でも、クリエイティブ部門のGameplay系とUGC系で1位を取っています。プレイアブル広告の設計方法は「プレイアブル広告の設計ガイド」で解説しています。

パブリッシャー側の収益化

Mintegralの管理画面イメージ。eCPMと日別の広告収益の推移グラフ
出典: Mobvista(

パブリッシャーにとってのMintegralは、自社アプリの広告枠を埋める入札先の1つです。アプリ側では、複数の広告ネットワークをまとめて扱う「メディエーション」というツールを通して接続します。Mintegralの公式サイトには、接続できるメディエーションとして次のツールのロゴが並んでいます。

AppLovin MAX、TopOn、GroMore、ironSource、DT FairBid、HyperBid、InMobi、Google AdMob、Appodeal、Pangle、Tobid、TradPlus、Yandex

上の画像はeCPM(1,000回表示あたりの収益)と日別の広告収益を示した説明用のイメージで、実際の管理画面ではありません。パブリッシャー側の収益化全般については「広告収益型ゲームの仕組み」で詳しく扱っています。

対応プラットフォームと規模

指標

公表値

対象

SDKで直接つながるパブリッシャー

1万パブリッシャー・10万アプリ

Mintegral(AppGrowthページ)

オープンソースSDKで参加する開発者

1万

Mintegral(Monetizationページ)

展開地域

130の国・地域

Mobvistaグループ

アクティブな開発者

1万超

Mobvistaグループ

日次の広告リクエスト

4,000億

Mobvistaグループ

出典: Mintegral AppGrowth、Mobvista

AppGrowthページでは、SDKでつながる在庫を、ウォールドガーデン(大手プラットフォームが囲い込んだ広告在庫)の外にある「オープンインターネット」と表現しています。対応OSはiOSとAndroidで、2023年12月にはAmazon Appstoreの公式パートナーになり、Fireタブレット向けのSDKサポートも発表しました。MAU・DAUやインプレッション数といったMintegral単体の規模は、公式サイトでは数値が表示されず確認できませんでした。

主要パートナー

分野

パートナー

内容

メディエーション

Google AdMob

2023年4月17日、入札とウォーターフォールの両方に対応するSDKネットワークとして加入

アプリストア

Amazon Appstore

2023年12月、公式の配信・収益化パートナーに

業務提携

Smadex

2023年2月に業務提携(提携の内容はリリースの見出しのみ確認)

計測(MMP)

Adjust、AppsFlyer、Tenjin

2023年5月時点で、Target ROASのアトリビューションにAdjustが対応、AppsFlyerとTenjinはテスト提供中

出典: PR TIMES(AdMob連携)、PR TIMES(Target ROAS)

現時点で正式に連携しているMMPの一覧は、今回は確認できませんでした。

データ保護の面では、親会社Mobvistaが中国のモバイルマーケティング企業として初めてAICPAのSOC2 Type1報告書を取得したとしており(日本語サイトでは2020年9月)、2025年4月にはSOC 2 Type 2とSOC 3を更新しています。

親会社Mobvistaの事業構成

Mobvistaのダッシュボードイメージ。広告収益・DAU・インプレッションの推移
出典: Mobvista(

MobvistaはMintegralを中心にアプリ事業者向けのマーケティングツールを複数持つグループです。画像内の「+5%」などの数値は説明用で、実績値ではありません。

領域

ブランド

ユーザー獲得・収益化

Mintegral

データ分析

GameAnalytics

パフォーマンスマーケティング

NativeX

広告クリエイティブ

Mindworks(制作)、Playturbo(自動化)

運用最適化

XMP(複数チャネルの広告運用管理)

出典: Mobvista

グループ売上の大半はMintegralが占めています。2023年通期では、グループ売上10.5億ドルのうち9.8億ドルがMintegralでした。

ここまでの歩み

スマートフォンでモバイルゲームを遊ぶ手元

Mintegral単体の資金調達の記録は今回確認できず、資金面で確認できたのは親会社Mobvistaの調達と上場です。ここでは親会社の資金調達と、Mintegralの事業の広がりを分けて振り返ります。

親会社Mobvistaの資金調達と上場

時期

内容

そのとき会社がしていたこと

2013年

Mobvista設立

事業の立ち上げ

2014年

シリーズA。NetEase(網易)から調達。公式の金額表記は「S12 Million」で、正確な金額は未確認

Mintegral立ち上げ(2016年)の前の段階

2018年

香港証券取引所メインボードに上場(01860)

同じ年にMintegral SDKのオープンソース化と、Playturbo・XMPの提供開始を進めた

2026年5月26日

Temasekが1.5億ドル相当の戦略的持分を取得。株数・持株比率・取得方法は非公開

2025年通期のグループ売上が20億ドルを超えたあと

出典: Mobvista About Us、Mobvista プレスリリース(Temasek)

上場前のほかのラウンドと上場日は、今回確認できませんでした。日本企業が投資家に入っているかどうかも確認できていません。

資金の出し手は、2014年のNetEase、2018年の株式市場への上場、2026年のTemasekと段階的に変わってきました。上場の年にはSDKのオープンソース化とクリエイティブ・運用ツールの提供を始めていて、広告ネットワークの周りの道具をそろえる時期と重なっています。

事業の広がり

時期

出来事

2016年

MobvistaがGameAnalyticsとNativeXを買収し、Mintegralを立ち上げ(買収額は非公開)

2018年

Mobvistaが香港上場。Mintegral SDKをオープンソース化。Playturbo、XMPを提供開始

2020年

Reyun(热云数据)を買収し、SolarEngineを立ち上げ(買収額は非公開)。9月にSOC2 Type1報告書を取得

2021年10月

Adjustのベンチマークで世界トップ10、AppsFlyerのインデックスでトップ5

2023年2月

Smadexと提携

2023年4月

Google AdMobの入札・ウォーターフォールSDKネットワークに加入

2023年5月

Target ROAS入札をセルフサービスで提供開始

2023年9月

東京ゲームショウ2023に出展(Mintegral・NativeX・Playturboを展示)

2023年12月

Amazon Appstoreの公式パートナーに。IAB EuropeのTCF(同意管理の枠組み)に登録

2025年7月23日

IAP ROAS最適化モデルを提供開始(Day0とDay7から選べるoCPI入札)

2025年12月

AppsFlyer Performance Index 2025年版で高評価

2026年2月

Insightrackrと共同で非ゲームアプリのトレンドを発表

2026年9月8日

ショートドラマアプリのダウンロードが95.5%増えたとするレポートを発表

2026年11月2日

AppsFlyer Performance Index 2026でGlobal Gaming Volume 2位(iOS・Android)

出典: Mobvista About Us、Mintegral International Limited のPR TIMESほか各リリース

2025年7月のIAP ROAS最適化モデルについて、Erick Fang氏は「新たに提供を開始したIAP ROAS最適化モデルは、アプリ開発者にとって持続可能な成長を実現する上で極めて有効な手段となります。」とコメントしています(PR TIMES)。

業績の推移

期間

グループ売上

前年比

補足(Mintegralの数値、グループの利益)

2021年通期

7.55億ドル

+46%

Mintegral売上5.75億ドル(+88%)。カジュアルゲーム開発者からの収入が65.6%

2022年第2四半期

―

―

Mintegralの四半期売上2.106億ドル(前年同期比+64.07%)。広告主の継続率87.66%

2023年通期

10.5億ドル

+17.9%

Mintegral売上9.8億ドル(+18.8%)。ミッドコア・ハードコアゲームの収入が+66.3%で全体の29.1%

2024年上期

6.38億ドル

+26.1%

Mintegral売上+29.0%

2024年通期

15.08億ドル

+43.0%

―

2025年上期

9.38億ドル

+47%

グループの調整後EBITDA 8,868.1万ドル(+41%)。発表の見出しは「MintegralのAI Smart Biddingが牽引」

2025年通期

20.47億ドル

+35.7%

グループの調整後EBITDA 1.91億ドル(+38.1%)。発表の見出しは「AIがMintegralの成長フライホイールを加速」

2026年上期

11.56億ドル

+23.2%

―

出典: PR TIMES(2021年決算)、PR TIMES(2022年Q2)、PR TIMES(2023年決算)、Mobvista公式サイトのプレスリリース(2024年上期・2024年通期・2025年上期)、Mobvista(2025年決算)、Mobvista(2026年上期)

2025年通期の売上は英語版リリースでは「$2.05 billion」と丸めて表記されています。2024年以降のMintegral単体の売上とゲーム・非ゲームの比率は、今回確認できませんでした。

撤退やサービス終了の記録は、今回確認した公式資料の範囲では見当たりませんでした。ただし、第三者の報道までは調べ切れていないため、過去に問題がなかったと言い切れる状態ではありません。

広告出稿事例

事例1: タツマキゲームズ(日本・横浜)

タツマキゲームズは2021年末に設立された横浜のハイパーカジュアルゲーム開発会社で、CEO・創業者は畑佐雄大氏です(出典: PR TIMES/Mintegral International Limited 2023年11月29日)。

  • 実施内容: CPI入札とROAS入札の2つを併用し、プレイアブル広告の素材を増やした。既存の素材からPlayturboでプレイアブル版を作った
  • 会社全体の実績: 世界累計1,500万ダウンロード。2023年は1年足らずでダウンロード数が300%以上伸びた。「Human Electric Company」は配信初月に100万ダウンロード。月平均12タイトルをテスト
  • 畑佐氏のコメント: 「とにかくテストを何度も行うこと」。日本のデベロッパーの海外展開については「まだまだ伸びしろはあるではないか」

上の数値は会社全体の成長を示すもので、そのうちMintegralの広告がどれだけ寄与したか(ROASなど)は公表されていません。

タツマキゲームズへのインタビュー風景。画面にはMintegralの配信レポートが映っている
出典: Mintegral International Limited(

同じリリースにはゲーム内ショップの画面も載っています。広告を非表示にする課金(1,500円)と有料アイテムが並んでいて、広告収益とアプリ内課金を併用する収益モデルがわかります。どのタイトルの画面かはリリースに書かれていません。

タツマキゲームズのゲーム内ショップ画面。広告削除の課金と有料アイテムが並ぶ
出典: Mintegral International Limited(

事例2: Shimmer Games「大家さんになろう!」(収益化側)

パブリッシャー側の事例です。Shimmer Gamesは、Google AdMob経由のアプリ内入札パートナーとしてMintegralを追加したところ、「ARPDAUを10%向上させることができました」とゲームプロデューサーのXing Mi氏がコメントしています(出典: PR TIMES/Mintegral International Limited 2023年4月18日)。ARPDAUは1日のアクティブユーザー1人あたりの平均収益です。

事例3: ZiMAD(クリエイティブ制作)

MintegralのCreative Studioページには、Mindworks・Playturboのクリエイティブ事例として、ZiMADの数値が掲載されています(出典: Mintegral Creative Studio)。

指標

結果

インストール数

+206%

IVR(表示回数あたりのインストール率)

+35%

eCPI(1インストールあたりの実質単価)

−27%

同じページには、社名の記載がないパズルゲームの事例(IVR +125%、世界で67万ダウンロード)も載っています。

参考: 公式サイトに並ぶ実績例と2023年のTarget ROAS事例

MobvistaのMintegral紹介ページには、CrazyLabs、Voodoo、Tactile、IECgames、Azur Gamesの社名や推薦コメントと、「D30 ROAS 91%」「eCPM 17〜19ドル」「IVR 3倍」「IVR +30%」といった数値が並んでいます。ただし、どの数値がどの社のものかはページ上で明記されておらず、画像の日付は2022年8月です。現在の実力を測る材料としては古い点に注意が必要です。

2023年5月のTarget ROAS提供開始時のリリースでは、事例としてD0 ROAS(インストール当日の広告費回収率)の目標58%、学習期間2日、インストール数+60%という結果が紹介されています(出典: PR TIMES)。

このほか公式サイトの事例一覧には、Battle Creek Games(インストール+490%)、Holywater(売上2倍・インストール100倍)、Netstory(インストール5倍・LTV+25%)などの見出しが2025年末から2026年にかけて並んでいます。本文の条件や期間は今回確認できていないため、見出しの数値としてだけ紹介します。

なぜこの動きが起きたのか

カフェでスマートフォンのアプリを操作する女性

今回のAppsFlyerでの評価は、Mintegralが2021年以降に進めてきた2つの変化と合わせて見ると理解しやすくなります。

1つ目は顧客の広がりです。2021年はカジュアルゲーム開発者からの収入がMintegralの65.6%を占めていました。2023年にはミッドコア・ハードコアゲームの収入が66.3%増えて全体の29.1%になり、2026年にはショートドラマなど非ゲームアプリのレポートも出しています。今回の評価で非ゲーム部門に順位が付いたのも、この拡大の延長にあると考えられます。

2つ目は入札方式の高度化です。CPI中心の入札から、2023年にTarget ROAS、2025年にIAP ROAS・Hybrid ROASへと、広告主が「インストール数」ではなく「売上」を目標に置ける方式を増やしてきました。Mobvistaは2025年上期・通期の決算発表で、成長の要因として「AI Smart Bidding」を見出しに掲げています。課金型のゲームや非ゲームアプリはインストール後の売上で広告を評価することが多く、売上で最適化する入札方式を増やしたことが、顧客層を広げる前提になったと考えられます。

この2つに、1万パブリッシャー・10万アプリとつながる在庫と、プレイアブル広告の制作体制が加わった結果が、計測会社の順位という形で表れたと見られます。

日本市場ではどうか

夜の渋谷スクランブル交差点でスマートフォンを構える人

Mintegralは日本の開発者に向けた発信を続けています。

  • 公式サイトに日本語版がある
  • 2021年からPR TIMESで日本語のリリースを配信している(Mintegral International Limited名義で39本以上)
  • Facebookに「MintegralJapan」のアカウントがある
  • 2023年9月の東京ゲームショウにブースを出展した
  • 日本の利用事例として、タツマキゲームズのリリースがある。日本語サイトにはGOODROIDの名前もある(事例の中身は未確認)

日本法人やオフィスの住所は、公式には確認できませんでした。

アプリやゲームの開発者であれば、セルフサービスの広告主アカウントを作れば日本から出稿でき、パブリッシャーとしてSDKを組み込むこともできます。

一方で、食品・飲料や日用品などのブランド広告主が「ゲームをしている人に商品を知ってもらう」目的で使う場面は想定しにくいのが現状です。公式サイトのソリューションはゲーム・サブスク・EC向けで、広告の評価指標もインストールやROASが中心です。イベント出展欄には「Brand Innovators … Summit NYC 2026」が載っていて、ブランド広告主との接点を広げようとしている可能性はありますが、現時点では推測の域を出ません。

日本で同じ広告を実施する選択肢

「ゲームをしているユーザーに広告を届ける」という点は同じでも、何を目的にするかで選ぶ手段が変わります。

比較ポイント

Mintegral(アプリ間アドネットワーク)

ゲーム空間内の広告(Ad-Virtua)

表示される場所

ゲームの外側。全画面、リワード動画、プレイアブル広告など

ゲーム空間の中の看板やモニター

主な目的

インストール、課金、ROAS

認知、広告想起

主な広告主

ゲーム・サブスク・ECのアプリ事業者

食品・飲料、日用品などのブランド

課金方式

CPI、CPM、Target ROAS、Target CPE

CPM、1週間単位のプラン

プレイとの関係

ステージの合間などに、プレイを一時的に中断して表示する

プレイを止めずに、空間の中に表示する

共通点

どちらもモバイルゲームのユーザーに、SDK経由で配信する

同左

自社でアプリやゲームを運営していて、インストールや課金を増やしたいなら、Mintegralをそのまま使うのが近道です。日本からもセルフサービスで出稿でき、プレイアブル広告の制作ツールも用意されています。

ブランドの認知を目的とする場合は、日本国内で同じ「ゲームのユーザーに届ける」広告を実施する選択肢の一つとして、Ad-Virtuaがあります。Ad-Virtuaはゲーム空間内の看板やモニターに動画広告を配信するアドネットワークです。Ad-Virtuaの公表値では、広告想起率は約1.8倍、CPMは約300円で、1週間30万円のプランがあります。評価指標がROASではなく想起や好感度になる点が、Mintegralとの大きな違いです。

Ad-Virtuaが合うのは、次のような条件の企業です。

  • 若年層など、可処分時間の長い層との新しい接点を探している
  • インストールではなく、広告想起や好感度で効果を測りたい
  • プレイを止める形式の広告でブランドの印象を損ねたくない

反対に、アプリのインストール数やROASを直接追いたい企業には、Ad-Virtuaは向きません。その目的ならMintegralのようなアプリ間アドネットワークが適しています。

プレイアブル広告のように「遊んでもらって商品を理解してもらう」体験を自社で作りたい場合は、PRゲームを制作するゲームバズという選択肢もあります。課金方式ごとの費用感は「ゲーム内広告の費用」で詳しく扱っています。

広告主が取るべき判断

こんな企業におすすめ

今すぐ動いてよいのは次のような企業です。

  • 自社でゲームアプリを運営し、海外を含めてユーザー獲得を広げたい開発会社。タツマキゲームズのように、CPI入札とROAS入札を併用しながらプレイアブル広告を多数テストする使い方が参考になります
  • 広告収益で運営するゲームのパブリッシャーで、メディエーションの入札先を増やしたい企業。Shimmer Gamesは、入札先にMintegralを加えてARPDAUが10%向上したとコメントしています
  • サブスクやECのアプリを持ち、ゲーム以外のアプリにも広告を配信したい企業

おすすめしない企業

様子見でよいのは次のような企業です。

  • アプリを持たず、ブランドの認知や好感度を目的とする食品・日用品・外食などの企業。公式サイトのソリューションはゲーム・サブスク・EC向けで、ブランド向けの広告商品は示されていません
  • 国内の拠点や国内のブランド広告主の事例を重視する企業。日本向けの発信は多いものの、日本オフィスの所在やブランド広告主の事例は確認できていません

注意点として、セルフサービスで始められる分、入札方式の選び方や素材のテストは広告主自身で回す必要があります。また、Target ROAS入札には完全なポストバックデータが必要とされていて、計測ツール(MMP)側の対応状況を事前に確かめておく必要があります。

関連する基礎知識

よくある質問

MintegralはAppLovinやironSourceとどういう関係ですか?

Mintegralの公式サイトはAppLovin MAXやironSourceなどのメディエーションを接続先として掲げています。アプリ開発者がこれらのメディエーションを使っていれば、Mintegralはその中で広告枠に入札する広告ネットワークの1つとして接続されます。

子ども向けアプリや欧州の利用者がいるアプリでも使えますか?

公式のSecurityページからは、KidSafe Seal、CCPAの検証(2022年)、ePrivacyseal(2021年)、ISO 27001、SKAdNetwork対応の情報にたどれます。2023年12月にはIAB EuropeのTCF(利用者の同意を管理する枠組み)にも登録しています。個別のアプリで使えるかは対象年齢や配信地域の規制によって変わるため、導入前にMintegralへの確認が必要です。

Playturboだけを単体で使うことはできますか?

Playturboはノーコードのセルフサービス型ツールとして提供されていて、Mintegralの公式サイトでもグループの別ブランドとしてリンクされています。ただし、Mintegral以外の広告ネットワークに配信する素材づくりに使えるかどうかは、今回確認できていません。

親会社Mobvistaの業績はどこで確認できますか?

Mobvistaは香港証券取引所のメインボードに上場していて、証券コードは1860です。業績の概要はMobvista公式サイトのプレスリリースに英語版と中国語版で掲載され、一部はPR TIMESでも日本語で配信されています。

AppsFlyer Performance Indexの順位は、広告ネットワーク選びにどう使えばよいですか?

ネットワークの規模感をつかむ材料にはなりますが、自社のジャンル・地域・目標指標で同じ結果が出るとは限りません。今回のリリースでも、iOSとAndroid、ジャンル、地域ごとに順位が分かれて公表されています。自社に近いカテゴリの順位を確認したうえで、少額のテスト配信で確かめる使い方が現実的と考えられます。