2026年10月5日、米カリフォルニア州サンディエゴ郡は、モバイル広告大手のアップラビン(AppLovin Corporation)を提訴しました。ペアレンタルコントロールを設定した端末でも子ども向けゲームに不適切な広告が出た、保護者がオプトアウトした後も未成年のデータを集めた、というのが郡の主張です。日本の広告主にとっては、自動入札で配信されるゲームアプリ広告では「どのゲームの、誰の画面に出るか」を広告主が十分に選べないという問題が、行政の訴訟にまで発展した例になります。
なお、訴訟は提起されたばかりの段階です。本記事で紹介する訴状の中身はすべて原告である郡側の主張で、裁判所が認めた事実ではありません。
発表の内容

郡が新部門を立ち上げ、最初の3件を提訴
サンディエゴ郡の公式ニュースサイト「County News Center」の発表(2026年10月5日、米太平洋時間)によると、郡は郡法律顧問室(Office of County Counsel)の中に、消費者保護を担う新部門「消費者公正・公共保護部門(Consumer Fairness and Public Protection Division)」を設けました。部門長は郡法律顧問補のアリソン・スノー(Alysson Snow)氏です。郡監督委員会(Board of Supervisors)がこの部門に権限を与えたと説明されていますが、議決日は書かれていません。
部門は発足と同じ日に、最初の案件として3件をサンディエゴ郡上級裁判所(San Diego Superior Court)に提訴しました。そのうち1件が「People v. AppLovin Corporation」です。
郡の主張と請求
郡の発表に書かれているアップラビンへの主張は次の2点です。
- ペアレンタルコントロールを有効にしていても、子ども向けのゲームアプリに不適切な広告が表示された
- 保護者がオプトアウトした後も、未成年のデータを収集した
訴因には不公正な事業慣行(unfair business practices)と虚偽広告(false advertising)が含まれ、郡は差止め(injunctive relief)を求めています。同じ日に提訴されたほかの2件には民事制裁金の請求が明記されていますが、アップラビンの件で発表に書かれているのは差止めだけです。請求金額、事件番号、適用した条文は発表に記載がありません。
項目 | 内容 |
|---|---|
事件名 | People v. AppLovin Corporation |
原告 | サンディエゴ郡(郡法律顧問室 消費者公正・公共保護部門) |
裁判所 | サンディエゴ郡上級裁判所 |
提訴日 | 2026年10月5日 |
主張 | 子ども向けゲームでの不適切な広告表示、オプトアウト後の未成年データ収集 |
訴因 | 不公正な事業慣行、虚偽広告 |
請求 | 差止め(金額の記載なし) |
郡監督委員会のテラ・ローソン=リーマー(Terra Lawson-Remer)議長は、発表の中で「人々は、自分が買う製品、子どもが使うアプリ、取引する企業を信頼できるべきだ」と述べています。
報道が伝える訴状の中身
訴状の具体的な内容はブルームバーグ(Bloomberg)の2026年10月5日の報道を元にした業界メディアの記事で伝えられています。mobilegamer.biz とゲーム・ワールド・オブザーバー(Game World Observer)によると、訴状には次のような主張が含まれています。
- 出会い系サービス、アルコール、電子タバコ、性的なコンテンツの広告が、ペアレンタルコントロールを有効にした端末のゲームに表示された
- 6歳児向けに設定したAndroid端末で、物理パズルゲームに性的なAIチャットボットアプリの広告が出た
- 同じくグーグル(Google)のペアレンタルコントロールを設定した端末で、大麻グミの広告が出た
- アップル(Apple)とグーグルが設けるトラッキング制限を回避し、保護者の同意なしに子どもをターゲティングした
- 居住地、通学先、眠っている時間帯まで分かるほど詳しいデータを端末から集め、AIを使う広告エンジンに利用した
ゲーム・ワールド・オブザーバーはデータ収集の手法を「フィンガープリンティング」と表現し、郡がペアレンタルコントロールを有効にした6歳児のスマートフォンのスクリーンショットを証拠として出したと伝えています。
出典: mobilegamer.biz「AppLovin sued over allegedly serving adult ads in children's games」
mobilegamer.biz によれば、アップラビンはブルームバーグの取材に即答せず、同社のポリシーは子どものデータ収集と子ども向けのターゲティングを禁じているとされます。2026年11月3日時点で、同社のニュースルーム、IRニュース、米証券取引委員会(SEC)への提出書類に、この訴訟への言及は見当たりません。
アップラビンとはどんな会社か

アップラビンはスマートフォン向けゲームアプリの広告枠に、自動入札で広告を流す仕組みを持つ米国の広告テクノロジー企業です。ゲームの画面に看板やポスターとして広告を描き込む会社ではありません。ステージの合間に出る全画面広告や、報酬と引き換えに見る動画広告の枠を扱い、どのアプリにどの広告主の広告が出るかは主にアルゴリズムが決めます。今回の訴訟で問われているのは、まさにこの配信の決まり方です。
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式社名 | AppLovin Corporation |
設立 | 2012年 |
創業者 | アダム・フォロギ(Adam Foroughi)氏(共同創業者、現CEO)。ほかの共同創業者は公式サイトに記載なし |
本社 | 米カリフォルニア州パロアルト(1100 Page Mill Road) |
上場 | 米ナスダック(ティッカー: APP)。2021年上場 |
売上高 | 2026年4〜6月期 19億2,369万ドル(前年同期比53%増)、2026年1〜6月累計 37億6,614万ドル(同56%増) |
広告主の出稿額 | プラットフォーム全体で年110億ドル超(公式サイトの記載。集計期間の明記なし) |
従業員数 | 公式情報で確認できず |
出典: AppLovin「About」、AppLovin Form 10-Q(2026年6月期、2026年8月5日提出)
公式サイトの説明では、創業したのは「少人数のパフォーマンスマーケター」です。外部資金に頼らずに始め、8か月で黒字化して最初の売上100万ドルを達成しました。ラウンドごとの資金調達額は公式サイトに示されていません。2015年には全額現金・6億ドルの買収提案を受けましたが、断っています。2021年のナスダック上場時の時価総額は280億ドルでした。
公式サイトは、創業当初から外部資金に頼らず黒字化を重んじてきたことを、自社の歩みとして紹介しています。
4つのプロダクト
2026年8月に提出した四半期報告書(10-Q)では、自社を「エンドツーエンドの広告ソリューションを提供する広告業界のリーダー」と位置づけ、現在のプロダクトをAppLovin Ads、MAX、Adjust、Wurlの4つとしています。

プロダクト | 主な対象 | 役割 |
|---|---|---|
AppLovin Ads | 広告主 | AIを使う広告出稿の仕組み。売上の大半を占める |
MAX | アプリ開発者 | 広告枠を収益化するためのメディエーション(アプリ内入札)基盤 |
Adjust | 広告主 | モバイル広告の計測・アトリビューション |
Wurl | コネクテッドTV(CTV)領域 | CTV向けの配信・広告 |
AppLovin Ads はもとはゲームアプリのユーザー獲得(新規インストールを増やす広告)のための仕組みでした。2026年からは全広告主に開放されており、10-QにはeコマースやコネクテッドTVなど、ゲーム以外の領域に広げる方針も書かれています。
広告の配信先を決めるのは、レコメンドエンジンのAxonです。公式サイトによると、Axon 1.0は2020年に、Axon 2.0は2023年に稼働しました。報道が伝える訴状の「AIを使う広告エンジン」はAxonを指すと考えられますが、訴状で名指しされているかは確認できていません。
広告がゲームに表示される仕組み

ゲームに広告が出るまでの流れは、次のようになります。
- ゲームの開発者が自分のアプリにMAXのSDK(広告を表示するためのプログラム部品)を組み込む
- 広告を表示するタイミングになると、各アドネットワークが入札する
- 入札に勝った広告が全画面のインタースティシャル広告やリワード広告としてゲームに表示される
公式サイトは、MAXで配信される広告はすべて「ゲームの自然な区切りで全画面表示されるか、報酬と引き換えにユーザーが選んで見る」形式だと説明しています。
この仕組みでは、広告主は自社の広告がどのゲームに出るかを1本ずつ選んでいるわけではありません。ゲームの開発者も、どの広告主の広告が自分のゲームに出るかを1件ずつ選んでいるわけではありません。どちらも入札とアルゴリズムに任せる部分が大きく、「子ども向けのゲームに大人向けの広告が出た」という今回の主張は、この構造の中で起きたとされています。全画面型やリワード型の広告がどんなものかは、ゲーム内広告とは?仕組み・種類・効果・費用を徹底解説で整理しています。
対応プラットフォームとインベントリ

主な配信先はスマートフォン向けのゲームアプリです。公式サイトは「毎日10億人以上がモバイルゲームをプレイしている」という市場全体の数字を示していますが、アップラビンの広告が出るアプリの数や1日あたりのユーザー数は公表していません。
公式サイトの画像に並ぶのは、ソリティア、麻雀、ワードパズル、ブロックパズルといったカジュアルゲームです。こうしたジャンルは大人だけでなく子どもも遊ぶため、訴訟で問題にされている構図と重なります。
主要パートナー
計測は自社のAdjustが担っています。2025年には自社のゲームスタジオ群をトリプルドット(Tripledot)に売却し、その対価の一部として同社の株式を受け取りました(次章で詳しく扱います)。個別のゲームスタジオ、DSP、広告代理店との提携は、公表情報では確認できませんでした。
ここまでの歩み
今回の提訴は、アップラビンが子どものデータや広告の配信方法をめぐって問われた初めての出来事ではありません。2025年の空売りレポート以降、同じ論点が場所を変えて何度も持ち上がっています。

時期 | 出来事 |
|---|---|
2012年 | 設立。外部資金に頼らずに創業 |
2015年 | 全額現金・6億ドルの買収提案を断る |
時期未確認 | ゲームスタジオを買収し、自社でゲームを持つ体制に(公式サイトに年の記載なし) |
2020年 | Axon 1.0が稼働 |
2021年 | ナスダックに上場(時価総額280億ドル) |
2022年 | EBITDAが10億ドルを超える |
2022年8月 | ユニティ(Unity)に175億ドルでの合併を提案。ユニティは拒否し、アイアンソース(ironSource)との合併を選ぶ(報道) |
2023年 | Axon 2.0を投入 |
2025年2月 | 空売り投資家が子どものデータ収集などを指摘するレポートを公表(報道) |
2025年3月以降 | 株主による証券集団訴訟が起こされる |
2025年6月 | ゲーム事業のトリプルドットへの売却が完了。広告専業に |
2025年10月 | 米当局がデータ収集慣行を調査していると報道される |
2026年 | AppLovin Adsを全広告主に開放 |
2026年8月 | 当局が執行を勧告せずに調査を終えたと報じられる |
2026年10月1日前後 | ユニティを提訴(報道) |
2026年10月5日 | サンディエゴ郡が提訴(今回) |
ユニティとの合併提案と拒否(2022年)
ゲーム・ワールド・オブザーバーの2022年8月の報道によると、アップラビンはユニティに175億ドルでの合併を提案しました。ユニティはこれを断り、アイアンソースとの合併を選んでいます。アップラビンが提案した統合は実現しませんでした。
空売りレポートと株価の急落(2025年2月)
2025年2月26日、空売り投資家のカルパー・リサーチ(Culper Research)とファジー・パンダ・リサーチ(Fuzzy Panda Research)がレポートを公表しました。旧SDKが子どもについて50の属性を集め、フィンガープリンティングや位置の追跡を可能にしている、といった内容です。ゲーム・ワールド・オブザーバーによれば、株価は日中に最大23%下がり、終値は12%安の331ドル、時価総額は約170億ドル減りました。
フォロギCEOはレポートを「虚偽で誤解を招く」と反論し、自社のポリシーは子ども向けアプリ、子どものデータの送信、子どものデータに関連したSDKの初期化を禁止していると説明しています。今回の訴訟で郡が主張している内容は、このとき空売り投資家が指摘した論点と重なる部分があります。
その後、2025年3月以降に株主による証券集団訴訟が起こされました。10-Qによれば、2025年9月に修正訴状、11月に棄却申立てが出され、2026年2月に書面での主張が出そろっています。株主代表訴訟は併合されたうえで停止中です。
ゲーム開発からの撤退(2025年)
アップラビンは2025年2月12日、ゲーム事業をトリプルドットに売却するタームシートを結び、6月30日に売却を完了しました。10-Qによると対価の総額は7億1,560万ドルで、現金4億3,060万ドルとトリプルドットの株式(発行済み株式の約22%、完全希薄化ベースで20%)の組み合わせです。2025年3月の時点ではゲーム・ワールド・オブザーバーが「9億ドル」と報じていましたが、確定した金額は10-Qの数字になります。
この売却で、アップラビンはゲーム開発から撤退し、広告専業の会社になりました。
米当局の調査と終了の報道(2025年10月〜2026年8月)
mobilegamer.biz によると、2025年10月6日にブルームバーグが米当局によるアップラビンのデータ収集慣行の調査を報じ、株価は終値で約12%下がりました。内部告発があったとされています。2026年8月の決算説明会では、マット・スタンフ(Matt Stumpf)CFOが、当局は執行を勧告せずに調査を終えたと説明したと報じられています。
調査した当局の名前は報道によって食い違っています。mobilegamer.bizは米証券取引委員会(SEC)、ゲーム・ワールド・オブザーバーは米連邦取引委員会(FTC)と書いています。ブルームバーグの第一報を伝えたmobilegamer.bizはSECとしており、内部告発や株価急落という文脈もSECの調査と整合します。ただし決算説明会の原文は確認できておらず、10-Qの訴訟の項目にもSECの調査への言及はないため、本記事では「米当局」と表記しています。
ユニティとの係争(2026年10月)
mobilegamer.bizの2026年10月1日の報道によると、アップラビンは2026年8月にユニティへ通知書(cease-and-desist)を送り、その後サンフランシスコの州上級裁判所に提訴して仮差止め命令を申し立てました。ユニティの「Ad Quality SDK」が、MAX経由のオークションデータ(落札価格やオークションIDなど)を無断で集め、自社の入札モデルに使っているという主張です。JAMSでの仲裁も申し立てています。
ユニティは「支配的な既存事業者による反競争的な訴訟」と反論し、アップラビン自身の「Ad Review(旧SafeDK)」のほうが「はるかに侵襲的」だと主張しています。広告の品質を確かめるためのSDKが、データを集める道具にもなりうるという論点が、ここでも出てきています。
今回の提訴の位置づけ
ここまでを並べると、空売りレポート(2025年2月)、米当局の調査(2025年10月)、調査終了の報道(2026年8月)と続いた後に、今度は地方自治体が消費者保護の枠組みで民事訴訟を起こした、という流れになります。連邦レベルでは決着したと報じられた論点が、州の裁判所で別の法的な枠組みから改めて問われている、と整理できます。
これまで問題を提起してきたのは、空売り投資家、株主、連邦当局でした。今回は地方自治体が、消費者保護の立場から訴えている点が違います。
広告出稿事例
アップラビンが公開している事例は、ブランドの創業者が出稿の経緯を語るインタビュー形式が中心です。ROAS(広告費用対効果)のようなキャンペーン単位の効果指標を載せた事例はほとんどありません。以下では公表されている数字と、その数字が何を表しているかを分けて紹介します。
メロウ(Mellow):睡眠・快眠グッズの米ブランド
メロウはアップラビンの広告プラットフォームを使って商品をローンチしました。共同創業者のチャド・ケラー(Chad Keller)氏は、アップラビンへの出稿について「It paid off(報われた)」と話しています。
公表されている数字は、初年度の売上が1億4,000万ドル、2年目の目標が5億ドルというものです。ただし、これはメロウというブランドの売上全体で、アップラビン経由の広告がどれだけ売上を生んだかを切り分けた数字ではありません。掲載日は記載されていません。

出典: AppLovin「Founder Stories: Mellow」
ホロス(HOLOS):カナダ・ケベックの朝食ブランド
ホロスはオーバーナイトオーツを扱う朝食ブランドです。公式の事例では、アップラビンを使って「8桁(数千万ドル規模)」のブランドに成長したという創業者の話が紹介されています。具体的な効果指標は公表されていません。
出典: AppLovin「Founder Stories: HOLOS」
事例から読み取れること
2件とも、ゲームアプリ以外の消費財ブランドがアップラビンの広告を使って事業を伸ばしたという話です。ほかに、ワイルドカード・ゲームズ(WildCard Games)が「消費財ブランドがモバイルゲームに出稿すべき理由」を語る動画インタビューも公開されていますが、数値は示されていません。
効果指標がブランド全体の売上や規模でしか示されていないため、日本の広告主がこれらの事例を出稿判断の材料にするなら、アップラビンの広告がどれだけ寄与したかは別途確かめる必要があります。
なぜこの動きが起きたのか

ブランドセーフティの向きが逆になった
ゲーム内広告のブランドセーフティは、これまで「広告主のブランドが不適切なゲームに出る」リスクとして語られることが多くありました。今回の訴訟で問題にされているのは逆の向きで、子どもの画面に不適切な広告が出ることです。広告主の評判の問題にとどまらず、子どもを守れているかという消費者保護の問題として、行政が訴えた形になります。
自動配信では広告主も媒体社も配信先を選びきれない
入札とアルゴリズムで配信先が決まる仕組みでは、広告主は自社の広告がどのゲームに出るかを、ゲームの開発者はどの広告主の広告が自分のゲームに出るかを、どちらも十分には選べません。アップラビンはゲーム以外の消費財ブランドにも広告主を広げており、出稿される広告の種類が増えるほど、子ども向けのゲームに合わない広告が混ざる可能性も高まると考えられます。郡の主張はこの構造の弱点を指摘するものです。
データを使うターゲティングへの風当たり
報道が伝える訴状は、アップルとグーグルのトラッキング制限を回避して詳しい端末データを集めた、と主張しています。機械学習のAxonで配信先を選ぶ仕組みは、アップラビンの事業の中心にあります。端末データの扱いは、2025年の空売りレポート、当局の調査報道、今回の訴訟と、繰り返し問題にされています。ユニティとの係争でも、広告の品質チェック用のSDKがデータを集める道具になりうることが争点になっており、ゲームアプリ広告の業界全体で、SDKが何のデータを取っているかが問われていると考えられます。
日本市場ではどうか

アップラビンには日本語の公式サイト(applovin.com/ja/)があり、日本向けのXアカウント(@AppLovin_JP)とFacebookページも運営されています。一方で、日本法人の名称、国内の導入アプリ数、日本での売上は公表情報で確認できませんでした。
AppLovin Adsは2026年から全広告主に開放されているため、日本の広告主も出稿先の候補にはなります。ただし、日本語でのセルフサーブ(広告主が自分で設定・運用する方式)にどこまで対応しているかは、公式情報からは分かりません。
国内で今回のような行政訴訟が起きたという情報は、本記事の執筆時点で確認できていません。とはいえ、日本の広告主がアップラビン経由で出稿した場合も、広告は同じ入札の仕組みで配信されます。自社の広告が子ども向けのゲームに出ないかは、日本でも同じように確かめる必要があります。子ども向けの広告で気をつけるべきルールは、子ども向けマーケティングとは?施策の種類・成功事例・注意点を解説で取り上げています。
日本で同じ広告を実施する選択肢
「ゲームで遊んでいる人に広告を届けたい」という目的は同じでも、広告がゲームのどこに、どう表示されるかで手段は分かれます。日本国内で実施する場合の選択肢の一つが、ゲーム空間の看板やモニターに動画広告を流すAd-Virtua(アドバーチャ)です。
比較ポイント | アップラビン(AppLovin Ads/MAX) | Ad-Virtua |
|---|---|---|
広告の表示場所 | ゲームの区切りでの全画面表示、または報酬と引き換えに見る動画 | ゲーム空間内の看板・モニター |
プレイとの関係 | プレイを区切って表示される | プレイ中の画面の中に表示される |
配信先の決まり方 | 入札とAxon(機械学習)で自動的に決まる | 要件に合うタイトルを提案し、特定のタイトルも指定できる |
ターゲティングの手がかり | 端末データと機械学習による配信最適化 | タイトルごとに設定した年齢・性別・カテゴリ、ユーザーの所在地 |
掲載面の規模 | 対応アプリ数は非公表 | 600タイトル以上(2026年4月時点、公式サイト) |
公開されている掲載方針 | 子どものデータ収集と子ども向けターゲティングを禁じるポリシーがある(報道) | GoogleとAppleの広告ガイドラインに沿わない広告は原則掲載不可 |
Ad-Virtuaの料金は1週間30万円からで、初期費用はかかりません(週2枠限定)。
出典: Ad-Virtua公式サイト(2026年11月3日確認)
Ad-Virtuaの違いは、広告がどのタイトルに出るかを広告主が事前に把握し、選べる点にあります。今回の訴訟で問題になった「どのゲームに出ているか分からない」状態を避けたい企業には、配信先を事前に確かめられることが判断材料になると考えられます。
一方で、ゲーム空間内に表示する方式だからといって、子どもへの配慮が自動的に満たされるわけではありません。タイトルごとの年齢区分をどう管理するかは、配信面の運用によって決まります。Ad-Virtuaの審査の流れや子ども向けタイトルの扱いは公式ページに明記されていないため、出稿前に問い合わせて確認することをおすすめします。ゲーム内広告の費用の考え方はゲーム内広告の費用・料金相場で解説しました。
Ad-Virtuaがおすすめの企業
- 若年層やファミリー層に認知を広げたいが、掲載先のゲームを事前に把握しておきたい企業
- テレビCMやSNS広告で使っている動画素材を、ゲーム内でも活かしたい企業
- アプリのインストールや購入といった獲得よりも、ブランドの認知や想起を目的にしている企業
Ad-Virtuaをおすすめしない企業
- アプリのインストール数や購入数を、入札による自動最適化で伸ばしたい企業。この目的にはアップラビンのような獲得型の広告網が合っています
- 1週間単位のプランではなく、日単位で予算を細かく調整しながら運用したい企業
広告主が取るべき判断

今すぐ確認したほうがよい企業
- アップラビンやほかのアドネットワーク経由で、ゲームアプリに広告を出している企業。自社の広告がどのアプリに表示されたかの配信先レポートを代理店や運用担当に求め、子ども向けアプリが含まれていないかを確かめてください
- 酒類、成人向けサービス、電子タバコなど、子どもの目に触れることで問題になりうる商材を扱う企業。訴訟で例に挙がっているのは、こうした商材の広告です
- 子どもやファミリー層をターゲットにした施策で、端末データに基づくターゲティングを使っている企業。法務やコンプライアンス部門と、データの扱いを改めて確認しておく時期です
様子見でよい企業
- ゲームアプリへの広告出稿をしておらず、当面の予定もない企業
- 配信先を事前に指定できる媒体だけで出稿しており、配信先の一覧を把握している企業
訴訟は始まったばかりで、郡の主張が裁判所でどこまで認められるかは分かりません。ただ、結論を待たなくても、自社の広告がどこに出ているかを確かめることはすぐにできます。
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よくある質問
Q. 同じ日に提訴されたほかの2件は、どんな訴訟ですか?
ロブロックス(Roblox Corporation)とポリメーカー(Polymaker)への訴訟です。ロブロックスについては、未成年を捕食的な行為から守る対策が不十分だと主張し、差止め、原状回復、妨害の除去、民事制裁金を求めています。ポリメーカーは3Dプリンター用フィラメントのメーカーで、追跡できない銃(ゴーストガン)の製造向けに製品を売り込んだとして、利益の吐き出し、民事制裁金、差止めを求められています。3件とも、新しい消費者保護部門が最初に手がけた案件です。
Q. 判決はいつ頃出る見込みですか?
郡の発表には、審理の日程や見通しは書かれていません。アップラビンの公式な反論も2026年11月3日時点で見当たらず、争い方も含めて今後の動きは分かっていません。
Q. 「アップラビン」と「アップロビン」はどちらが正しい表記ですか?
英語の社名はAppLovin Corporationで、日本語の報道では「アップラビン」と「アップロビン」の両方が使われています。本記事では「アップラビン」で統一しました。日本法人の正式な名称は公表情報では確認できませんでした。
Q. 自社の広告が子ども向けアプリに出ていないか、広告主はどう確かめればよいですか?
まずは出稿している媒体や代理店に、広告が表示されたアプリの一覧(配信先レポート)を求めるのが近道です。そのうえで、子ども向けのアプリや、子どもが遊ぶことの多いカジュアルゲームが含まれていないかを確かめ、必要なら除外の設定を依頼します。自動入札の媒体では配信先が変わり続けるため、一度ではなく定期的に確かめることをおすすめします。
Q. 広告を表示しているゲームの開発者側にも影響はありますか?
今回の被告はアップラビンで、広告を表示していたゲームの開発者は訴えられていません。ただし、子どもが遊ぶゲームを開発していて、アップラビンのMAXなどで広告収益を得ている場合は、自分のゲームにどんな広告が出ているかを見直すきっかけになると考えられます。


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