マルチチャネルマーケティングとは、TVCM・SNS・OOH(屋外広告)・ゲーム内広告などの複数の媒体・経路を組み合わせ、より多くの顧客接点を確保するブランド認知戦略のことです。各チャネルは独立して運用され、それぞれの強みを活かしながら認知拡大・想起率向上を図る点が最大の特徴です。
TVCM一本で若年層への認知をカバーできていた時代は終わりつつあります。Z世代の約80%がスマートフォンでゲームをプレイし、平均プレイ時間は1日約100分に達しているという調査結果が複数報告されています(各種ゲーム市場調査より)。このページでは、マルチチャネルの基本定義から主要チャネルの役割分担設計、費用感、よくある失敗パターンまでを体系的に解説します。
この記事でわかること
- マルチチャネル・クロスチャネル・オムニチャネルの正確な違い
- TVCM・SNS・OOH・ゲーム内広告それぞれの役割と特徴
- 認知から購買までのチャネル役割設計フレームワーク
- エフェクティブフリークエンシー(有効接触頻度)の実践的な考え方
- チャネル統合で陥りやすい失敗パターンと対策
この記事は、食品・飲料・日用品・外食・交通・ホテルなど生活接点の広い企業でTVCMやSNS広告を運用しながら「若年層への届き方が薄い」「新しい接点を模索している」マーケティング担当者に向けて書かれています。
マルチチャネルマーケティングとは何か

マルチチャネルマーケティングとは、複数の販売経路・広告媒体(チャネル)を活用して顧客と接点を持つマーケティング戦略のことです。実店舗・ECサイト・TVCM・SNS・OOH(屋外広告)・ゲーム内広告など、オンライン・オフラインを問わず複数のチャネルを組み合わせ、認知度の向上と販売機会の拡大を図ります。
構造上の特徴は「チャネルの独立性」にあります。各チャネルは独立して運営され、チャネル間で顧客情報や在庫情報が統合されているわけではありません。この点がクロスチャネル・オムニチャネルとの根本的な違いです。
ブランドマーケティングの文脈では、「EC+実店舗」のような販売経路の多角化よりも、「TVCM・OOH・SNS・ゲーム内広告」の組み合わせによる認知接点の多角化として捉えることが重要です。生活消費財・食品・外食業界のマーケティングにおいては、この「認知施策のマルチチャネル化」が現場課題の核心にあります。
出典:シナジーマーケティング社 マーケティング用語集、Shopify JP、Amazon Ads JP(確認日:2026-04-19)
マルチチャネル・クロスチャネル・オムニチャネルの違い
この3つは現場で混同されやすいため、最初に整理します。
概念 | チャネル間のデータ連携 | 顧客体験の一貫性 | 実現難易度 | 主な適用場面 |
|---|---|---|---|---|
マルチチャネル | なし(各チャネル独立) | チャネルごとに異なる | 低〜中 | 認知施策の多角化、新しい接点の追加 |
クロスチャネル | あり(在庫・顧客情報を部分連携) | 部分的に統一 | 中 | EC+実店舗の購買体験改善 |
オムニチャネル | 完全統合 | シームレス(チャネルを意識しない) | 高 | 大手小売・金融・通信のCX戦略 |
マルチチャネルは「チャネルの数」を重視するアプローチです。認知・想起を目的とするブランドマーケティング施策においては、チャネルをまたいだデータ統合よりも、「どれだけ多くの接点で、適切な状態で、正しい層に接触できるか」が優先課題になります。
オムニチャネルは顧客体験の質を高める戦略として理想ですが、システム投資・組織横断の体制構築が必要であり、すぐに実行できる施策ではありません。まず複数チャネルでの接触頻度を確保するマルチチャネル設計が、現実的な第一歩となるケースが多いです。
出典:Amazon Ads JP、日立ソリューションズ、Shopify JP(確認日:2026-04-19)
なぜ「1チャネル集中」では届かなくなったのか

かつてはTVCMを打てば、家族全員がリビングのテレビの前で同じ広告を見る、という前提が成り立っていました。現在はその前提が崩れています。
若年層・Z世代のメディア接触変化(現時点での傾向):
- テレビの視聴時間は特に10〜30代で短縮傾向にある
- スマートフォンゲームのプレイ時間は1日平均約100分に達する(各種市場調査より)
- SNSのアルゴリズム変動・広告ブロック・情報過多により、1チャネルでの到達率が低下している
実際の事例として、ファミリーマートとデータ・ワンが2023年12月に実施したTVCM+店頭デジタルサイネージ(FamilyMartVision)の統合リーチ検証では、TVCM単独接触が46.1%だったのに対し、サイネージ単独は10.1%、両方接触が14.9%となり、特に20代・30代へのインクリメンタルリーチが確認されました(出典:データ・ワン プレスリリース、確認日:2026-04-19)。
つまり、TVCM単体では届かない層がいて、デジタル・屋外などの補完チャネルが実際に追加リーチを生んでいることが実証されています。
「1チャネル集中」が機能しにくくなった構造的な理由:
- 生活者のメディア接触が分散した — テレビ・スマホ・屋外・ゲームと接触媒体が増え、1媒体だけで全接触をカバーできない
- 注目競争が激化した — 各チャネルで流れる広告量が増え、単独チャネルの注目率・記憶定着率が低下した
- 広告ブロック・スキップの普及 — デジタル広告はスキップされやすく、1度の接触だけでは印象が残りにくい
- 若年層のTVCM到達率低下 — 特にZ世代・ミレニアル世代への届き方が薄くなった
主要4チャネルの特徴と役割

ブランドマーケティングで使われる主要なチャネルを整理します。
TVCM(テレビCM)
数百万単位の視聴者に一度にリーチできる最大規模のチャネルです。ブランド認知の基盤を作る施策として依然として強力ですが、補完チャネルとの組み合わせで真価を発揮します。
- 強み:一度に大規模な認知リーチが可能、映像・音声で強い印象を与えられる
- 課題:若年層(特にZ世代・ミレニアル世代)への到達率低下、放映期間中しか接触機会がない
- 実績:TVCM+デジタルのマルチ接触で利用意向が約6倍向上した事例あり(出典:プレミアム・プラットフォーム・ジャパン/Paravi事例、日経クロストレンド、確認日:2026-04-19)
TVCM素材(MP4動画)はSNS・ゲーム内広告など他チャネルへの流用も可能で、クリエイティブ制作コストを抑えたマルチチャネル展開に活かせます。
SNS(ソーシャルメディア)
ハッシュタグ・シェアによる拡散力が強みです。TVCMと連動して「見た→検索→共有→購入」の流れを形成し、特に購買検討フェーズでの接触に効果的です。
- 強み:拡散力、口コミ形成、TVCMとの連動でリーチ増幅、TVCM素材の二次活用
- 課題:アルゴリズム変動の影響を受けやすい、広告ブロック、情報過多による注目度低下
出典:名古屋テレビ(メーテレ)メディアコラム(確認日:2026-04-19)
OOH(屋外広告・交通広告)
家庭の外で接触するすべての広告媒体の総称です。デジタルサイネージ・交通広告(駅構内・中吊り)・街頭ビジョン・ラッピングカーなどが含まれます。
- 強み:反復接触による記憶定着、特定エリアへのターゲティング、強い視覚的インパクト
- 特性:バス停広告の到達率は64.5%とされている(出典:阪急阪神マーケティングソリューションズ、確認日:2026-04-19)
- DOOH(デジタルOOH)の成長:業界推計では日本市場の成長率が高く、デジタル施策との統合も進んでいる
- 課題:物理的な場所・時間に接触機会が限られる、制作・掲出コストが高い
OOHは「認知獲得 → スマートフォン検索への誘導」という流れでデジタル施策と相乗効果を設計しやすいチャネルです。
出典:阪急阪神マーケティングソリューションズ(確認日:2026-04-19)
ゲーム内広告(In-Game Advertising)
ゲーム空間内の仮想看板・モニターに広告を表示する手法です。国内ではAd-Virtua(アドバーチャ)が400タイトル以上のゲーム・メタバース対応のアドネットワークを展開しています。
- 強み:ゲームプレイを中断しない自然な広告接触、高集中状態での接触(ゲームセッションの73%が高集中状態/IAS・Neuro-Insight研究)、Z世代の62%がゲームを通じてブランドを発見(出典:NG+ Gaming Marketing Guide 2025)
- 差別化:若年層(Z世代・ミレニアル世代)への到達、TVCMが届きにくい層への補完接触
- 特性:文脈関連広告は40%記憶に残りやすい(出典:IAS/Neuro-Insight研究)、ゲーマーの70%がゲーム内ブランドコンテンツと何らかのエンゲージメントをとる(出典:NG+ Gaming Marketing Guide 2025)
- 課題:ゲームユーザー以外へのリーチは限定的
チャネル別役割設計:認知から購買までのフレームワーク
マルチチャネルマーケティングで最も重要なのは、チャネルに役割を持たせることです。「とりあえず複数出稿する」のではなく、生活者の購買行動ステージに沿ってチャネルを配置します。
購買行動ステージ別チャネル設計
フェーズ | 目的 | 主な施策 | 役割のポイント |
|---|---|---|---|
認知 | ブランドを知ってもらう | TVCM・OOH・ゲーム内広告 | 広いリーチ、繰り返しの接触で記憶に残す |
興味・想起 | ブランドを思い出してもらう | TVCM・OOH・ゲーム内広告・SNS | 接触頻度を高め、第一想起を形成する |
検討 | 購入を具体的に考えてもらう | SNS・検索広告・レビューサイト | 情報収集をサポートし、比較検討で選ばれる |
購買 | 実際に購入・来店してもらう | EC・実店舗・クーポン・リターゲティング | 購買行動を後押しする接点を提供する |
ロイヤルティ | リピーターを作る | SNS・メルマガ・アプリ | 継続的な関係構築とブランドへの愛着醸成 |
ブランドマーケティングにおいては特に「認知→想起」フェーズのチャネル設計が核心です。TVCMが届かない若年層に対し、ゲーム内広告やSNSで補完的に接触することで、接触機会の空白を埋めることができます。
チャネルを組み合わせる際の設計原則
1. 各チャネルの「強み」が補完し合うように配置する
TVCMは大規模リーチ・映像インパクトが強み。ゲーム内広告は若年層への到達・高集中状態での接触が強み。SNSは拡散・口コミ形成が強み。それぞれを「弱みを補う」形で組み合わせます。
2. 同じメッセージ・ビジュアルを統一する
チャネルが増えてもブランドのトーン・メッセージを統一することで、接触するたびにブランドへの記憶が強化されます(これがマルチチャネルとIMCの接点です)。
3. 接触頻度を設計する(エフェクティブフリークエンシー)
次のセクションで詳しく解説します。
エフェクティブフリークエンシー:何回接触すれば記憶に残るか
広告が効果を発揮するには「最低限の接触回数」が必要です。一般的に知られる理論として:
- スリーヒットセオリー(3ヒット理論):広告が効果を発揮するには最低3回の接触が必要
- セブンヒット理論(7ヒット理論):7回の接触で購買意欲が高まる
1チャネル単独では、これだけの接触頻度を自然に確保するのが難しくなっています。複数のチャネルを組み合わせることで、生活者が異なる場面で同じブランドに繰り返し接触する機会を作り、記憶定着・第一想起の形成につなげます。
たとえば「TVCM(1回目の接触)→ 通勤中のOOH(2回目)→ ゲームプレイ中の広告(3〜4回目)→ SNS投稿(5回目)」というように、生活の複数の場面でブランドに接触させる設計が可能です。
マルチチャネル統合の効果データ(参考値):
- TVCM単独接触 vs TVCM+デジタルのマルチ接触で利用意向が約6倍向上(出典:プレミアム・プラットフォーム・ジャパン/Paravi事例、日経クロストレンド、確認日:2026-04-19)
- 文脈関連広告は40%記憶に残りやすい(出典:IAS/Neuro-Insight研究)
チャネル別 費用感と予算配分の考え方
マルチチャネルを導入する際、各チャネルの費用感を把握しておくことが重要です。媒体・プラン・期間によって大きく変わるため、以下は目安として参考にしてください。
チャネル | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
TVCM | 制作費300万円〜、媒体費は地方局から全国ネットまで幅広い | 大規模リーチ。費用も大規模 |
SNS広告 | 月10万〜100万円程度から | 少額から開始可能、ターゲティング精度が高い |
OOH(駅・交通広告) | 数十万〜数百万円/掲出期間 | エリア・媒体・期間によって大きく変動 |
ゲーム内広告(Ad-Virtua) | 100,000円〜(税抜)、CPM目安400円(1週間300,000円プランあり) | 少額から試せる、若年層リーチに強い |
予算配分の基本的な考え方:
- まずTVCM等の「認知の核」となるチャネルに主予算を配分する
- 若年層・特定セグメントへのリーチが弱い場合、補完チャネルに10〜20%程度を追加配分する
- 予算に余裕がない段階では、既存のTVCM素材をゲーム内広告やSNSに流用することでクリエイティブ制作コストを抑えた多角化が可能
具体的な費用感やプランは各媒体に直接問い合わせることをお勧めします。特にゲーム内広告については、ゲーム内広告・メタバース広告の費用・料金相場で詳しく解説しています。
国内事例:マルチチャネル統合の実践
事例1:ファミリーマート × データ・ワン(2023年12月)
ファミリーマートはデータ・ワンと共同で、TVCM(地上波)と店頭デジタルサイネージ(FamilyMartVision)の統合リーチを検証しました。
- TVCM単独接触:46.1%
- FamilyMartVisionのみ接触:10.1%
- 両方接触:14.9%
特に注目すべきは、20代・30代の若年層でTVCM単独では届かない層にFamilyMartVisionがインクリメンタルリーチを生んだ点です。TVCMの届かない層を補完チャネルで補う、マルチチャネル設計の実証事例といえます。
出典:データ・ワン プレスリリース(https://data-one.co.jp/news/press/857.html)、確認日:2026-04-19
事例2:プレミアム・プラットフォーム・ジャパン(Paravi)
TVCMとデジタルを統合した施策で利用意向が約6倍向上した事例として言及されています。デジタル単独・TVCM単独より、組み合わせた際に効果が大きく跳ね上がる点が示されています。
出典:日経クロストレンド(確認日:2026-04-19)
事例3:DNP(大日本印刷)× StackAdapt
2025年10月より「DNPマルチチャネルマーケティングADbounce powered by StackAdapt」を提供開始。複数チャネルをプラットフォームとして統合管理し、効果計測・最適化を行う仕組みを構築しています。
出典:MarkeZine(https://markezine.jp/article/detail/50082)、確認日:2026-04-19
チャネル統合で陥りやすい失敗パターン
多くの企業がマルチチャネル施策で失敗する原因は共通しています。以下の5パターンに当てはまっていないか確認してください。
失敗パターン1:チャネルを増やしただけでメッセージが統一されていない
TVCMとSNSとOOHで伝えるメッセージやビジュアルがバラバラになると、接触のたびに「別々のブランド」として認識されます。複数チャネルでも訴求するブランドイメージ・キャッチコピーは統一することが基本です。
失敗パターン2:TVCM素材をそのままデジタルに転用してパフォーマンスが低い
TVCMは30秒・60秒での制作が基本ですが、SNSやゲーム内広告では最初の3〜5秒で興味を引く構成が求められます。素材の二次活用は有効ですが、最低限の編集・最適化は行いましょう。
失敗パターン3:チャネル追加のコストだけが増え、効果測定ができていない
チャネルが増えると「どのチャネルが効いているか」が把握しにくくなります(アトリビューション問題)。チャネルごとのKPIを事前に設定し、定期的に評価する仕組みを作ることが重要です。
失敗パターン4:ターゲット層がいるチャネルではなく、「使いやすいチャネル」だけを使う
担当者が慣れているチャネルだけを増やしても、届けたい層に届かなければ意味がありません。「誰に届けたいか」から逆算してチャネルを選ぶことが必要です。
失敗パターン5:開始直後に効果を求めて撤退する
マルチチャネルでのブランド認知構築は、一定の接触頻度の積み上げが必要です。短期間で効果が出なかったからといって施策を中断すると、接触頻度が途切れてしまいます。
こんな企業に向いています / 向いていない企業
マルチチャネルマーケティングが向いている企業
- TVCMを実施しているが、若年層(Z世代・ミレニアル世代)への到達が薄いと感じている
- 複数のターゲット層(年代・エリア・ライフスタイル)を持つブランドを運営している
- 既存の動画素材(TVCM素材)を他のチャネルにも展開したいと考えている
- 「第一想起」「ブランドロイヤルティ向上」を中長期的なKPIとして持っている
- 認知施策の接触頻度を増やしたいが、TVCMの追加出稿ではコストが合わない
こんな企業には向いていません
- そもそも訴求するブランドメッセージが定まっていない(整理が先決)
- 各チャネルの運用リソース(人員・予算・スキル)が確保できない
- 効果測定の基準が設定されておらず、PDCAを回せる体制がない
- 短期(1〜2か月)での即効性のある刈り取りを最優先としている(マルチチャネルは中長期設計が前提)
- 一つのチャネルでも十分なターゲット接触ができており、拡大の必要性がない
評価指標(KPI)の設計
マルチチャネルマーケティングでは、チャネル別KPIと統合効果KPIの両方を設計することが重要です。
チャネル別KPI(媒体ごとに設定)
チャネル | 主なKPI例 |
|---|---|
TVCM | GRP(延べ視聴率)、リーチ率、視聴完了率 |
SNS | インプレッション、エンゲージメント率、フォロワー増加数、シェア数 |
OOH | 通行量ベースのリーチ推計、サイネージ視認率 |
ゲーム内広告 | 広告想起率、視認率、CPM、インプレッション |
デジタル広告全般 | CTR、CPC、コンバージョン率 |
統合効果KPI(チャネルをまたいだ評価)
- ブランド認知率:施策前後でブランドを知っている人の割合の変化
- 第一想起率:カテゴリで最初に思い浮かぶブランドとして挙げられる割合
- 広告想起率:施策後に「広告を見た」と覚えている人の割合
- インクリメンタルリーチ:特定チャネルを追加したことで増加した純粋な新規接触数
- ブランドリフト:好感度・購入意向の変化
統合効果の測定は、サードパーティの調査会社やプラットフォームのブランドリフト調査を活用するのが現実的です。
主要チャネル比較:ブランドマーケティング施策の選び方
比較項目 | TVCM | SNS広告 | OOH | ゲーム内広告 |
|---|---|---|---|---|
リーチ規模 | 大(数百万〜) | 中〜大 | 中(エリア限定) | 中(ゲームユーザー) |
若年層到達 | △(低下傾向) | ○ | ○(立地次第) | ◎(特に得意) |
接触状態 | テレビ視聴中 | スクロール中(注意散漫) | 移動中・待機中 | 高集中プレイ中 |
広告ブロック耐性 | 高い | 低い | 高い | 高い |
スキップ可否 | TVリモコン | スキップ可 | スキップ不可 | スキップ不可 |
最低費用目安 | 高(数百万〜) | 低(10万〜) | 中(数十万〜) | 低(10万〜) |
クリエイティブ流用 | 流用可(素材作成は不要) | 要最適化 | 要静止画/動画変換 | TVCM素材をそのまま流用可 |
効果測定のしやすさ | 中 | 高 | 低〜中 | 中〜高 |
この表で特に注目してほしいのは「接触状態」です。SNS広告はスクロール中の受動的な接触が中心ですが、ゲーム内広告は高集中状態のプレイ中に自然に接触する点が大きく異なります。単純な露出回数だけでなく、「どんな状態で接触するか」がブランド記憶への定着度を左右します。
ゲーム内広告をマルチチャネルに組み込む場合
ここでは、TVCM・SNS・OOHなど既存の認知施策を展開している企業が、ゲーム内広告をマルチチャネルに追加することでどんな効果が期待できるかを整理します。
TVCMの「届かない若年層」へのリーチ補完
Z世代(10代後半〜20代)はテレビ視聴時間が短く、TVCMの到達率が低下しています。スマートフォンゲームは1日平均約100分プレイされており、Z世代の約80%がゲームをプレイしているという各種調査結果が報告されています。ゲーム内広告はこの層への自然な接触チャネルとして機能します。
TVCM素材をそのまま活用できる
ゲーム内広告(サイネージ型)はMP4動画素材を配信します。TVCM制作時に作成した動画素材をそのままゲーム内広告に転用できるため、新たなクリエイティブ制作費をかけずにチャネルを追加できます。
高集中状態での接触でブランド記憶を強化する
ゲームセッションの73%が高集中状態にあるとされています(出典:IAS・Neuro-Insight研究)。この状態でのブランド接触は、スクロール中のSNS広告よりも記憶定着率が高くなる傾向があります。文脈関連広告は40%記憶に残りやすいというデータもあります(出典:同研究)。
Ad-Virtuaが特に合う企業の条件
以下のすべてが当てはまる場合、ゲーム内広告の追加を検討する価値があります:
- TVCMや大規模認知施策をすでに実施しているが、若年層への到達が課題と感じている
- TVCM用の動画素材(MP4)がすでにある
- 少額(10万円〜)から新しい接点を試したい
- ブランドセーフな広告環境を重視している(ゲームプレイを阻害しないサイネージ型)
詳しくはゲーム内広告とは|仕組み・種類・効果を解説をご参照ください。Ad-Virtuaのゲーム内広告は、国内400タイトル以上のゲーム・メタバース空間に対応し、広告想起率はベンチマーク比で約180%を達成しています(出典:Ad-Virtua公式サイト、確認日:2026-04-19)。
マルチチャネルマーケティングを始める際の実践ステップ
マルチチャネル施策を初めて体系化する際に参考になるステップを整理します。
Step 1:現在のチャネルと届いていない層を把握する
既存の施策(TVCM・SNS等)のリーチデータを確認し、どの年代・エリア・ライフスタイル層への到達が弱いかを特定します。
Step 2:補完チャネルを選定する
届いていない層が多くいるチャネルを選定します。若年層への到達が課題なら、ゲーム内広告・SNS・動画プラットフォーム等が補完候補になります。
Step 3:ブランドメッセージを統一する
追加するチャネルでも、既存施策と同じブランドトーン・ビジュアルを使うことで、接触するたびにブランドへの記憶が強化されます。
Step 4:チャネルごとのKPIを設定する
各チャネルで追いかける指標(視認率・想起率・インプレッション等)を事前に定め、期間後に効果を評価します。
Step 5:小さく始めて検証する
最初から大きな予算を全チャネルに分散させるのではなく、1〜2チャネルの追加から始めてインクリメンタルリーチや想起率の変化を確認します。
顧客接点の設計全体については、顧客接点を増やす方法|施策の種類と実践ガイドも参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. マルチチャネルとオムニチャネルはどちらを選ぶべきですか?
A. ブランドマーケティング(認知施策)を目的とする場合は、まずマルチチャネルの最適化を優先することをお勧めします。オムニチャネルはシステム統合・データ連携・組織体制の整備が必要で、大規模な投資が前提です。「複数のチャネルで顧客に接触する機会を増やす」という目的に対しては、マルチチャネルで十分に効果を出せます。
Q. TVCM素材をゲーム内広告やSNSにそのまま使えますか?
A. TVCM用MP4素材はゲーム内広告に転用できます(Ad-Virtuaの場合)。SNSへの転用は動画の長さ・最初の3秒の訴求設計の観点から最適化が推奨されますが、素材自体の流用は可能です。クリエイティブ制作費を抑えたマルチチャネル展開が実現できます。
Q. ゲーム内広告はどんなブランドに向いていますか?
A. 若年層(Z世代・ミレニアル世代)へのリーチを強化したい食品・飲料・日用品・外食・エンタメ・交通系ブランドに向いています。特にTVCMを展開中でも若年層への到達が薄いと感じている企業、既存の動画素材を別チャネルに活用したい企業に適合しやすいです。
Q. マルチチャネルの効果測定はどのように行えばいいですか?
A. チャネルごとのKPI(広告想起率・視認率・インプレッション等)を個別に設定しながら、並行して「TVCM前後のブランド認知率変化」や「インクリメンタルリーチ」という統合指標も計測するのが理想です。専門の調査会社やブランドリフト調査ツールを活用することで、チャネルをまたいだ効果の可視化が可能になります。
Q. マルチチャネルマーケティングは予算がいくらくらい必要ですか?
A. チャネル構成によって大きく異なります。TVCMを核にする場合は数百万円以上が必要ですが、SNS広告は月10万円程度から、ゲーム内広告は10万円〜から開始できます。TVCM素材がすでにある企業は、クリエイティブ制作費を別途かけずにゲーム内広告やSNSへの展開が可能です。まず補完チャネルを小規模から試して効果検証する方法をお勧めします。
まとめ:マルチチャネルマーケティングの要点
- マルチチャネルマーケティングとは、複数の媒体・経路を組み合わせて顧客接点を拡げる戦略。各チャネルは独立して運用される(オムニチャネルとの違い)
- 1チャネル集中では生活者へのリーチが偏る。特にTVCM単独では若年層(Z世代)への到達率が低下している
- TVCM・SNS・OOH・ゲーム内広告それぞれに強みがあり、役割を明確にして組み合わせることで接触頻度と記憶定着率が上がる
- エフェクティブフリークエンシー(3〜7回の接触)は、複数チャネルを活用することで自然に達成しやすくなる
- 費用はチャネルによって大きく異なるが、既存の動画素材を活用することでクリエイティブ制作費をかけずにチャネルを追加できる
ゲーム内広告によるマルチチャネル設計の詳細や、Ad-Virtuaの具体的なプラン・実績については、まずはお気軽にご相談ください。
また、ブランド体験設計の全体像についてはブランド体験とは|認知・想起・ロイヤルティを高める施策と設計ガイドも参照ください。


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