ブランドナラティブとは、「企業と顧客が時間をかけて共に紡ぎ、更新し続ける物語の連なり」のことだ。単発のキャンペーンや一方向の広告とは異なり、生活者が語り手の一人として参加することで、ブランドへの自発的な想起と継続的な愛着を生み出す設計手法である。
この記事では、ブランドナラティブの正確な定義からストーリーとの違い、第一想起を獲得するメカニズム、具体的な設計手順と国内外の成功事例、そして失敗パターンと評価指標まで、一気通貫で解説する。
この記事でわかること:
- ブランドナラティブとストーリーテリングの本質的な違い
- 第一想起(Top of Mind)との関係性とその科学的根拠
- 実践で使えるナラティブ設計の5ステップとフレームワーク
- 食品・飲料・日用品・外食業界の国内外成功事例と失敗事例
- 向いている企業・向いていない企業の判断基準
- 効果測定のKPI設計と具体的な指標
こんな方に向けた記事です: 食品・飲料・日用品・外食・インフラ等の生活接点が広い企業で、若年層・ファミリー層への認知拡大やブランドロイヤルティ向上に取り組むマーケティング担当者。
ブランドナラティブとは何か?ストーリーとの根本的な違い

ブランドナラティブとストーリーテリングは、どちらも「物語」という言葉と結びついて語られるが、構造として大きく異なる。
ストーリーテリングは「企業が過去の出来事を企業の視点から語る」手法だ。完結型で、語り手は企業、聞き手は消費者という一方向の構造を持つ。有名な創業ストーリーや製品誕生秘話はこのカテゴリに当てはまる。
対してブランドナラティブは、タナベコンサルティング(2024年確認)の定義によれば「生活者が現在進行形で語る社会起点の物語」だ。電通PRコンサルティング(2024年確認)は「企業にまつわる第三者視点も含めて語られるもの」と定義し、情報発信者(企業)と受け手(生活者・メディア・ステークホルダー)の「共創」が特徴だとする。
比喩を使うなら、ストーリーは「建物の設計図」であり、ナラティブは「その建物で日々営まれる暮らし」だ(ブランド塾による)。設計図は完成した時点で固定されるが、暮らしは毎日更新され、住人が増えるほど豊かになる。
ストーリーとナラティブの違い(対比表)
項目 | ストーリーテリング | ブランドナラティブ |
|---|---|---|
時間軸 | 完結型(過去起点) | 継続型(現在進行形) |
語り手 | 企業中心 | 企業+顧客(共創) |
内容の変化 | 固定・不変 | 更新・進化 |
顧客の役割 | 聞き手 | 参加者・共創者 |
視点 | 企業起点 | 社会・生活者起点 |
代表的な形 | 創業ストーリー・CM | SNSハッシュタグ・UGC・継続施策 |
なぜ今この違いが重要なのか。スマートフォン普及(2007年iPhone発売以降)とSNSの浸透により、消費者は企業からの一方向の情報発信を主体的に受け取らなくなった。生活者は自ら情報を取捨選択し、共感した物語だけを自分のネットワークで拡散する。ブランドが「設計図」の段階で止まっていると、生活者の物語に入り込めない。
なぜ今ブランドナラティブが注目されるのか
注目される背景には、マーケティング環境の構造的な変化がある。
1. 広告忌避と情報過多
デジタル広告の飽和により、従来の一方向的な広告接触では消費者の記憶に残りにくくなっている。ブランド接触の量より質、とりわけ「自分が関与した物語」の記憶は格段に強固になる。
2. SNS時代の口コミ主権
消費者は自ら語り、拡散する。企業が「語らせる仕組み」を意図的に設計しなければ、ブランドをめぐる語りを放置することになる。逆に言えば、生活者が自発的に語りたくなる文脈を作ることが、現代のブランドコミュニケーションの核心だ。
3. 学術的な潮流
日本マーケティング学会は「ナラティヴ・マーケティング研究会」を2017年4月から2027年3月の10年計画で設置し、「物語マーケティングの新たな理論体系を構築する」ことを目的として研究を継続している(出典:日本マーケティング学会公式サイト、2026年4月確認)。マーケティング実務の文脈だけでなく、学術的な基盤も整いつつある。
4. Z世代・α世代への到達難度の上昇
若年層のテレビ離れとゲーム・動画への時間シフトが進む中、従来の到達手段の効果が低下している。彼らは「消費者」としてではなく「参加者」としてブランドと関わることを好む傾向がある。
ブランドナラティブの5つの特徴
ブランド塾(brand-juku.com、2024年確認)は、ブランドナラティブの本質的な特徴を以下の5つに整理している。
1. 継続性
シリーズものように続いていく。単発キャンペーンで終わらず、物語は更新・積み重なっていく。
2. 多声性
従業員・顧客・パートナー等の多様な声が物語を豊かにする。企業一社の声ではなく、エコシステム全体で語られることで厚みが生まれる。
3. 文脈性
消費者の日常や社会課題と結びつき、意味を持つ。ブランドの物語が読者の生活文脈に接続されることで初めて「自分の話」になる。
4. 多層性
企業全体・プロダクト・コミュニティ等の複数層で構成される。一つのコアナラティブから複数のサブナラティブが派生し、接触者の関心に応じて入口が複数存在する。
5. 参加性
顧客がUGCやイベント参加等を通じて「登場人物」になる。受け取るだけの構造ではなく、参加することで当事者意識が生まれる。
これら5つの特徴は、従来の広告手法との本質的な違いを示している。特に「参加性」と「継続性」はソーシャルメディア時代において最も効果を発揮する要素だ。
第一想起(Top of Mind)とブランドナラティブの関係
なぜブランドナラティブが第一想起の獲得に効くのか。そのメカニズムを3つの観点で整理する。
第一想起とは何か
第一想起(Top of Mind Awareness)とは、特定カテゴリを思い浮かべた際に「最初に連想するブランド」のことだ。トライバルメディアハウスの「Evoked Set調査2022」(全国20〜69歳対象)では、15のカテゴリすべてにおいて第一想起ブランドの購入率が第二・第三想起を大きく上回ることが確認されている。同社の「第一想起調査2025」(延べ6,000人対象、2024年12月実施)でも同傾向が確認された(出典:トライバルメディアハウス、2026年4月確認)。
つまり「最初に思い浮かぶブランド」であることは、購買優先性に直結する。
メカニズム1:Self-brand Connection(SBC)の強化
ブランドナラティブが第一想起獲得に寄与する理由として、最も有力な研究がSelf-brand Connection(SBC)の観点だ。SBCとは「ブランドが自己概念の一部になっている度合い」を示す指標で、スコアが高いほど購買意図と強い正の相関を持つ。
NIKE・PARCO・McDonald対象の1,933名実験(shokoryuzaki, note, 2024年確認)では、ポジティブなブランドナラティブへの接触がSBCスコアを有意に向上させることが実証された。購買意図との相関係数はNIKE r=0.708、PARCO r=0.773、McDonald r=0.720と高い水準を示した。
メカニズム2:メンタルアベイラビリティの強化
マーケティング研究者Byron Sharpが提唱する「メンタルアベイラビリティ」(消費者の記憶の中で容易に想起される状態)の観点からも、ブランドナラティブの接触頻度向上は有効だ。物語は単なる情報よりも記憶に残りやすく、接触頻度の増加が想起の容易性を高める。
メカニズム3:感情記憶の定着
スタンフォード大学Jennifer Aaker教授の研究は、「ストーリー経由のメッセージは事実・データだけの情報と比べて記憶に残りやすい」と主張し、22倍という数値が多くのマーケティング記事で引用されている(出典:複数のマーケティング記事での引用、原著確認を推奨)。仮に数値の精度に幅があるとしても、「感情を伴う物語の記憶定着率が高い」という知見自体は認知心理学でも広く支持されている。
注意点として、ブランドナラティブが直接的に第一想起率をX%向上させるという公開された定量データは現時点では限定的だ。上記は「SBC向上 → 購買意図向上」「想起容易性向上 → 購買優先性向上」という連鎖を組み合わせた推論として理解されたい。
実践的なブランドナラティブ設計の5ステップ
ブランド塾(2024年確認)が提唱する5ステップを基に、実務での活用方法を整理する。
Step 1:コアナラティブの定義
「◯◯という課題を抱える人が、△△できる世界をつくるために、私たちは□□を提供し続けている」という構造で1〜2文に凝縮する。
たとえば食品メーカーなら「毎日の食卓を通じて家族の絆を深めたい人が、どこにいても"おいしい時間"を共有できる世界をつくるために、私たちは△△を届け続けている」という形になる。
重要なのはコアナラティブが「企業が何をするか」ではなく「誰の何を変えるか」を起点としている点だ。
Step 2:サブナラティブの洗い出し
企業全体・プロダクト別・採用・地域貢献・顧客エピソードなど複数の物語線を棚卸しする。それぞれがコアナラティブと整合しているかを確認し、矛盾するサブナラティブは調整する。
Step 3:顧客参加設計
SNSハッシュタグキャンペーン、投稿コンテスト、アンケート投票など「参加の窓口」を創設する。参加ハードルは低く、しかしブランドの世界観から外れない設計が重要だ。
Step 4:タッチポイント展開
Webサイト・SNS・リアル店舗・メール・パッケージなど各接点でコアナラティブに沿った要素を一貫して伝える。チャネルが多様であっても「同じ物語の別の章」として感じられることが理想だ。
Step 5:運用・更新設計
月1回の振り返りで一貫性と更新をチェックする。ナラティブは単発施策ではないため、継続的な運用体制とリソース確保が前提になる。
参考フレームワーク:StoryBrandとヒーローズジャーニー
設計の補助ツールとして、2つの著名なフレームワークを紹介する。
Donald Millerの「StoryBrand 7原則」
「顧客を主人公、企業を問題解決のガイドとして位置づける」マーケティング手法(出典:innova-jp.com)。7要素は(1)キャラクター(顧客が主人公)、(2)問題(外部・内部・哲学的3層)、(3)ガイド(企業のポジション)、(4)プラン、(5)行動喚起、(6)失敗回避、(7)成功の提示。企業が「主役」ではなく「解決策を持つ脇役」であることを明確にするのがこのフレームワークの核心だ。
ヒーローズジャーニー(英雄の旅)
神話学者ジョーゼフ・キャンベルが提唱した英雄の旅は「顧客がヒーロー(主人公)、ブランドがメンター(導き手)」という役割構造をマーケティングに応用したものだ。RPGをはじめとするゲームの基本構造とも一致しており、ゲーム体験とブランドナラティブの親和性を考える上で重要なフレームワークでもある(この点については後のセクションで詳述する)。
国内外の成功事例

事例1:味の素冷凍食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」(食品)
2023年5月、SNSへの「餃子がフライパンに張り付く」という投稿を起点に、全国からフライパンを収集して商品改良に取り組んだ事例。2024年1月にリニューアルを発表し、売上は前年比118%増、肯定的SNS言及は約3倍に増加した(出典:トライバルメディアハウスイベントレポート、2022年確認)。
ナラティブの観点では、企業がユーザーの声を起点にした改良プロセス全体を「現在進行形で公開した」点が特徴的だ。ユーザーは傍観者ではなく「問題を発見した参加者」として物語に組み込まれた。
事例2:パンテーン「#この髪どうしてダメですか」(日用品・ヘアケア)
機能訴求ではなく、校則や髪型規制という社会課題を軸にしたナラティブで展開。購買層以外にも広く拡散し、ブランドの社会的ポジションを強化した事例だ。「問題提起 → 共感 → 参加(投稿)→ 議論の継続」という構造でナラティブが連鎖した。
事例3:GoPro「#HomePro」(デジタルデバイス)
コロナ外出自粛期間に「#HomePro」ハッシュタグを提案。ユーザーが動画・写真作品を投稿し、GoProが毎日5作品を製品プレゼントとともに紹介した。外出自粛という共通の社会状況を参加軸にして大量のUGCを生成した事例で、参加性と多声性の好例だ。
事例4:SUBARU「Your story with」(自動車)
様々な年代の生活シーンとクルマを組み合わせたCM・小説・ドラマに展開。「あなたとクルマの物語」という問いかけで視聴者が自らを主人公として投影できる設計。マルチコンテンツで一貫したコアナラティブを展開した事例だ。
事例5:LEGO Ideas(玩具)
ファンアイデア投稿 → 投票 → 商品化というプロセス全体が物語になるプラットフォーム設計。「あなたのアイデアが製品になる可能性がある」という参加動機が持続的なコミュニティを形成している。
事例6:Airbnb「Belong Anywhere」(宿泊)
ホストとゲストの体験談を多声的に展開し、「どこでも居場所がある」というナラティブを生活者と共創。企業が発信する一つの物語ではなく、世界中の実話が積み重なることで「Belong Anywhere」という普遍的なナラティブが形成されている。
施策タイプ別:ブランドナラティブの実装手法
ブランドナラティブを実装するにはいくつかの接点タイプがある。それぞれの特徴を比較する。
実装手法 | 参加性 | 継続性 | 初期コスト | 向いているフェーズ |
|---|---|---|---|---|
SNSハッシュタグキャンペーン | 高 | 中 | 低〜中 | ナラティブ起動・参加者獲得 |
UGC(ユーザー投稿コンテスト) | 高 | 中 | 低 | 参加者拡大・多声性生成 |
ゲーム内ブランド体験 | 中〜高 | 高 | 中 | 没入型接触・若年層の感情記憶形成 |
コラボ・スポンサーシップ | 中 | 低〜中 | 高 | 既存ナラティブへの統合 |
コンテンツシリーズ(動画・ポッドキャスト等) | 低 | 高 | 中〜高 | ナラティブの深化・ファン育成 |
リアルイベント・体験型施設 | 高 | 低 | 高 | 感情的なピーク体験生成 |
CSR・社会課題連動施策 | 中 | 高 | 中 | 社会文脈との接続 |
参加性と継続性の両方が高い組み合わせが最も効果的なナラティブ設計だ。予算規模が小さい場合はSNSハッシュタグ + コンテンツシリーズの組み合わせが費用対効果を保ちやすい。
ゲーム内体験がブランドナラティブを強化する理由

ここまで一般的なブランドナラティブの設計論を整理した。この観点で最も興味深い実装場所の一つが「ゲーム空間」だ。
ヒーローズジャーニーとゲームの構造的一致
RPGをはじめとするゲームは、プレイヤーに「英雄の旅」を直接体験させる構造を持つ。プレイヤーは物語の主人公であり、冒険の中でアイテム・NPC・仲間と出会い、最終的な目標に向かう。
この構造において、ゲーム空間の看板・広告ボードに登場するブランドは単なる広告物ではなく、「主人公の物語の一部」として体験される。「私の物語の中にそのブランドがあった」という記憶は、受動的に見た広告よりも格段に強固な接続を生む。
没入状態(フロー)における感情記憶の定着
ゲームプレイ中は高度な集中状態(フロー状態)にある。この状態でのブランド接触は情報処理の深度が深く、感情と結びついた記憶として定着しやすい。ゲーム内サイネージ広告は「プレイを中断しない」形で世界観に溶け込むため、プレイヤーは「広告を見せられた」という感覚を持ちにくい。
Ad-Virtuaのゲーム内サイネージ広告は、プレイを阻害しない設計により好感度約85%を実現している(出典:Ad-Virtua公式サイト、2026年4月確認)。広告想起率は従来型Web広告比約1.8倍(誘導想起率:他社Web広告ベンチマーク33%に対し58%)、純粋想起率48%という数値は、没入体験がナラティブへの自然な組み込みを可能にすることを示唆している。
双方向エンゲージメントとナラティブへの参加感
ゲーム体験は本質的に双方向だ。プレイヤーは能動的に選択し、行動し、その結果を体験する。この「参加している感覚」はブランドナラティブの「参加性」と構造的に一致している。
博報堂DYメディアパートナーズ「Media Innovation Lab」(2024年8月)によると、ゲーミフィケーションは「一方的コミュニケーションから双方向へ転換し、感情的なつながりを構築する」効果があるとされる。Roblox内のミッション体験のように、ゲーム体験を通じたブランド物語への参加が、若年層のメンタルアベイラビリティを高める新しい接点となっている。
事例:ゲームとブランドナラティブの統合
- 日本コカ・コーラ × ドラゴンクエストウォーク「Coke ON」コラボ:ゲーム体験を尊重しながらブランドを自然に統合した国内事例
- 日産自動車 × ポケモンGO:ゲーム内AR広告で新型ノートe-POWERの体験型認知を実現
- Pepsi × EA FC、Mercedes-Benz × Mario Kart 8:スポーツ・レーシングゲームの世界観とブランドポジションを接続した海外事例(出典:digiday.jp)
よくある失敗パターンとその対策
ブランドナラティブの設計と運用では、特定のパターンで失敗が起きやすい。代表的な失敗パターンと対策を整理する。
失敗パターン1:既存ブランドイメージとの矛盾
事例の傾向: ブランドが持つ既存の認知・イメージと整合しないナラティブを展開すると、消費者からの反発を生む。ブランドポジションと新しいナラティブの間に「なぜ急にそういう話をするのか」という乖離感が生まれると、信頼性が損なわれる。
対策: コアナラティブの定義(Step 1)は必ず既存のブランドアイデンティティを起点に作る。ナラティブは「新しいことを言う」のではなく「既に持っているものを、より深く・共創的に語る」設計にする。
失敗パターン2:ネガティブナラティブの炎上
SBC研究(shokoryuzaki, 2024年確認)では、ネガティブなナラティブ情報はSBCと購買意図を大幅に低下させることが実証されている。ナラティブ構造は「受け手の態度を内容に沿う方向に収束させる」特性があるため、ネガティブな内容が拡散されると通常の広告以上に深刻な影響を持つ場合がある。
対策: ハッシュタグキャンペーン等のUGC設計では、参加条件と投稿ガイドラインを明確にする。ネガティブな投稿が生まれやすいトピック(社会課題・競合比較等)は投稿モデレーションの設計を先行させる。
失敗パターン3:継続できないリソース計画
ナラティブは「現在進行形の物語」であるため、キャンペーン終了後も更新・運用が必要だ。運用リソースを確保しないまま大規模に始めると、更新が止まった時点でナラティブが「死んだ物語」になってしまう。
対策: 立ち上げ規模を実運用可能な範囲に絞る。月1回の振り返り(Step 5)に必要なリソース(担当者・時間・予算)を計画段階で確保する。
失敗パターン4:効果測定なしの運用
「ナラティブは効果がわかりにくい」という理由で指標を設定せずに運用すると、改善の起点を失い、予算維持の根拠も説明できなくなる。
対策: 後述するKPI設計を参照し、開始前に測定指標と測定頻度を合意しておく。
こんな企業・ブランドに向いている
ブランドナラティブが高い効果を発揮する条件
- 繰り返し購買される生活財・消費財(食品・飲料・日用品・外食等):接触頻度が高く、日常生活に自然に溶け込むナラティブを設計しやすい
- 感情的な価値を差別化の軸にしたいブランド:機能・スペックで差別化が難しい成熟カテゴリでは、感情的な記憶を形成するナラティブが強みになる
- 若年層・ファミリー層を中長期的に顧客化したいブランド:購買意思決定に至る前の段階からブランドを自分の物語に組み込ませることができる
- 社会課題・環境・文化等のテーマと親和性があるブランド:社会文脈と自然に接続できるナラティブを持つ場合、持続的なエンゲージメントが生まれやすい
- コミュニティやファンを持っているブランド:既存の語り手(ファン・ユーザー)を活かした多声性が構築しやすい
ブランドナラティブの効果が出にくい場合
- 単発プロモーション・期間限定キャンペーンを目的にしている:ナラティブは中長期の継続設計が前提。短期の売上押し上げには向いていない
- ブランドイメージが固まっておらず、まずポジションの確立が必要な段階:ナラティブの土台となるコアアイデンティティがなければ、何を語るかの起点が定まらない
- 運用リソースを継続的に割けない:継続性が命のナラティブにとって、更新が止まることは逆効果になりうる
- B2B・産業財など購買頻度が極めて低く、感情的関与が低い領域:論理的な意思決定プロセスが支配的な場合、感情記憶型のナラティブは優先度が下がる
効果測定・KPI設計の考え方
ブランドナラティブの効果測定は「明確なスタンダード指標が未確立」という課題がある(トライバルメディアハウス、2022年確認)。しかし測定できないわけではない。「パーセプションチェンジ → 購入意向向上」のプロセスに沿って、測定可能な代理指標を組み合わせるのが現実的なアプローチだ。
推奨KPI体系
測定フェーズ | 指標 | 測定方法 |
|---|---|---|
認知・接触 | インプレッション数、リーチ数、視認率 | 広告ツール・SNS分析 |
参加・共創 | UGC投稿数、ハッシュタグ使用数、コメント数 | SNSリスニングツール |
感情的関与 | センチメント分析(肯定的言及比率)、SBC(ブランドと自己の一致度) | 定期調査・テキスト分析 |
記憶・想起 | 純粋想起率・誘導想起率(定期サーベイ) | 定量調査(3〜6か月ごと) |
行動変容 | 購買意向スコア、LTV、リピート率 | 販売データ・CRM |
測定の実務ポイント
第一想起率と購買意向は同一調査で取得し、両者の相関を追うことが最も実務に近い測定だ。測定頻度は四半期ごとを基本とし、大規模キャンペーン前後でのBefor/After比較を行う。UGC量・センチメントの月次モニタリングはナラティブの健全性確認として有効だ。
ゲーム内ブランドナラティブ体験:Ad-Virtuaが合う企業の条件
ここまで、ブランドナラティブの設計論・事例・KPIを整理してきた。最後に、ゲーム内体験という接点でブランドナラティブを体験させる手法、とりわけAd-Virtuaのゲーム内サイネージ広告が特に有効な条件を示す。
Ad-Virtuaは、ゲーム空間の看板・モニターに動画広告を配信する国内最大級のゲーム内広告ネットワークだ(対応タイトル400以上、出典:Ad-Virtua公式サイト、2026年4月確認)。
以下の条件に当てはまる企業・ブランドとの親和性が高い:
1. 若年層(Z世代・α世代)を中長期でブランドの物語に組み込みたい
国内スマートフォンゲームの月間利用者は幅広い年代に及ぶが、特に10代〜30代前半の可処分時間に占める割合が高い。ゲームという「自分が主人公の物語」の中にブランドが自然に存在することで、世代の感情記憶に接続しやすい。
2. テレビCM・デジタル広告の補完としてブランド接触を多様化したい
TVCMとゲーム内広告は重複率が低く、リーチの補完関係が成立しやすい。同一の動画素材(15秒・30秒)をゲーム内でも展開できるため、追加制作コストを最小化しながらナラティブの接触タッチポイントを増やせる。
3. 「嫌われない接触」でブランド好感度を維持しながら想起率を高めたい
インタースティシャル(全画面強制視聴)やプレロール広告と異なり、ゲーム内サイネージはプレイを中断しない。これがナラティブの「参加性」と相性が良い。「自分のゲーム体験の一部としてブランドに触れた」という記憶は、強制視聴型の接触より自発的な語りにつながりやすい。
4. 食品・飲料・日用品・交通・外食・インフラ等の生活接点ブランド
ゲームの世界観に自然に溶け込むブランドとして、日常生活と親和性の高い生活財カテゴリは特に相性が良い。ゲーム空間の街並みや建物に看板として存在することで、リアルと仮想世界の境界を越えたブランド文脈が生まれる。
ゲーム内広告全般やブランド体験設計の詳細については、以下の記事も参照してほしい。
よくある質問(FAQ)
Q1. ブランドナラティブとブランドストーリーは何が違いますか?
ブランドストーリーは「企業が語る完結した物語」で、語り手は企業、聞き手は消費者です。ブランドナラティブは「企業と顧客が現在進行形で共に紡ぐ継続的な物語」で、消費者が語り手の一人として参加します。ストーリーは設計図、ナラティブはその設計図に基づいて日々営まれる暮らし、というのがわかりやすい比喩です。
Q2. 中小規模のブランドでもブランドナラティブは実践できますか?
予算規模よりも「続けられる仕組みを作れるか」が重要です。大規模なキャンペーンを一度開催するより、小さくても定期的に更新し続ける仕組みの方がナラティブとしては機能します。SNSハッシュタグ + 月次コンテンツ更新という組み合わせは予算を抑えつつナラティブの継続性を維持できる現実的な手法です。
Q3. ナラティブマーケティングの効果はどう測りますか?
「パーセプションチェンジ → 購入意向向上」のプロセスを代理指標で追います。具体的には第一想起率・SBCスコア(定期サーベイ)、UGC量・センチメント(月次モニタリング)、購買意向スコア(四半期調査)の3レイヤーで測定するのが推奨アプローチです。単一指標だけでは因果関係の特定が難しいため、複数指標を組み合わせて評価します。
Q4. どのタイミングでコアナラティブを見直すべきですか?
コアナラティブ自体は頻繁に変えるものではありません。ただし、企業の事業ビジョンの変化・社会文脈の大きな転換・ターゲット層の構造的変化(たとえば主要購買層の世代交代)が起きた場合は見直しの契機です。サブナラティブはより頻繁に更新(月次〜四半期)して時代への適応を行います。
Q5. ゲーム内でのブランド露出はブランドナラティブにどう貢献しますか?
ゲーム空間はプレイヤーが主人公として能動的に参加する場です。この空間でブランドが自然に存在することは、「プレイヤー自身の物語の一部」としてブランドが記憶される機会を作ります。ゲーム内サイネージ広告はプレイを阻害しないため、ブランドへの感情的な悪印象を生まずにナラティブの中に組み込まれやすいという特性があります。広告想起率が従来型Web広告比約1.8倍という数値(Ad-Virtua自社調査)は、この没入体験の効果を示す一つの指標です。
本記事の数値データは出典を明記した公開情報に基づいています。Ad-Virtuaの実績数値については公式サイト(ad-virtua.com)で最新情報をご確認ください。


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