SNSキャンペーンで本当に「記憶に残るブランド体験」を作るには、施策の種類や手順よりも先に、人の記憶に何が刻まれるのかという仕組みを理解することが出発点になります。拡散数やエンゲージメント数だけを追ったキャンペーンが「一時的なバズで終わる」のに対して、ブランド体験として設計されたキャンペーンは、参加者の記憶に「あの時、あのブランドと関わった」という文脈を残します。

この記事では、次のことが整理できます:

  • SNSキャンペーンが「ブランド体験」になる条件と、ならない施策との違い
  • 記憶定着の仕組み(エピソード記憶・感情記憶)からSNS施策を逆算する考え方
  • 認知〜ロイヤルティまでのフルファネル別施策マップと比較表
  • 食品・飲料・日用品・外食業界の成功事例と数値
  • SNSだけでは届かない層(ゲーム可処分時間の長い若年男性層)へのアプローチ

食品・飲料・日用品・外食チェーンなどのブランドマネージャーや、若年層・ファミリー層への認知拡大施策を検討しているマーケティング担当者を対象に書いています。

SNSキャンペーンが「ブランド体験」になるとはどういうことか

SNSキャンペーンとブランド体験の設計コンセプトイメージ

SNSキャンペーンとブランド体験は、同じ施策でも「何を設計しているか」によって結果が大きく変わります。

単なるキャンペーンは、「参加してくれたユーザーにプレゼントを渡す」施策です。フォロー&リポストで当選する形式がその典型で、参加者の多くはブランドへの関心より「当たるかもしれない」という動機で行動します。短期的な拡散数は出ても、ブランドへの記憶は薄い。

ブランド体験として設計されたキャンペーンは、「参加行動そのものがブランドとの記憶を作る」施策です。参加者が自分の意志で動かし、感情が動き、「このブランドとこういう体験をした」という文脈が残ります。

MarkeZine(2024年)で提唱されている視点では、「SNSキャンペーン=ブランド体験を提供する手段」という再定義が必要とされています。従来のインセンティブ付与・拡散施策から、価値あるブランド体験を提供する施策へと視点を移すことで、単発で終わるバズを脱し、継続的なブランド想起と行動定着につながるとされています。

具体的な違いを整理すると次のようになります:

視点

従来型キャンペーン

ブランド体験型キャンペーン

参加動機

賞品・インセンティブ

ブランドとの関わり・楽しさ・共感

参加後の記憶

「当たったかも」で終わる

「あのブランドで〇〇した」が残る

設計の主眼

拡散数・フォロワー数

エピソード記憶・ブランド想起率

KPI

リポスト数・フォロワー増加数

ブランドリフト・購入意向・指名検索数

継続性

単発施策で終わりやすい

ロイヤルティにつながるシリーズ設計

記憶に残るブランド体験の仕組み〜エピソード記憶と感情の役割

エピソード記憶と感情がブランド体験に与える影響のイメージ

「なぜあのキャンペーンは記憶に残るのか」を理解するには、記憶の種類を整理しておく必要があります。

一般的に、人の記憶は大きく3種類に分類されます(Agenda note「記憶とブランド価値」2024年参照):

記憶の種類

特性

マーケティングでの課題・活用

意味記憶

定着後は安定しているが習得に時間がかかる

商品機能・RTBの繰り返し説明に偏りやすく、消費者の負担が高い

エピソード記憶

「いつ」「どこで」「誰と」「どんな感情だったか」という文脈で記憶される

体験設計の核心。習得しやすく、自分事として深く刻まれる

手続き記憶

習慣化により最も強固

ブランドルーティン化・繰り返し接触で構築

ブランドが「記憶に残る」ために最も効果的なのは、意味記憶(「このブランドは〇〇な商品だ」という情報)ではなく、エピソード記憶(「このブランドと自分はこういう体験をした」という文脈)を形成することです。

SNSキャンペーンへの応用として重要なのは次の点です:

  1. 感情が動く体験はエピソード記憶を強化する: 感情が強く動かされると脳の扁桃体が活性化し、エピソード記憶がより深く刻まれるとされています。「楽しかった」「驚いた」「共感した」という感情の動きが、ブランドとの記憶を強固にします
  2. 能動的な参加が記憶を作る: 「見る」より「する」体験のほうが記憶定着率が高い。ゲーム型・クイズ型・投票型キャンペーンが記憶に残りやすい理由もここにあります
  3. 共感がエピソード記憶を増幅する: ミラーニューロンによる共感反応が情動を引き起こし、エピソード記憶を強化するとされています。UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したキャンペーンで「自分ごと化」が起きるのはこの仕組みによります

このことから、SNSキャンペーンを設計するときの問いは「どうすれば拡散するか」ではなく「どうすれば参加者の記憶にブランドとの体験が刻まれるか」に置き換えることが、記憶に残る施策への第一歩になります。

フルファネルで設計するSNSブランド体験の構造

フルファネルのSNSブランド体験設計マップイメージ

SNSキャンペーンを「記憶に残るブランド体験」にするためには、単発の施策ではなく、認知から購買・ロイヤルティまでのフルファネルを意識した設計が必要です。

MarkeZineの指摘(2024年)にあるように、「単発で終わるサイクル」を打破し、継続的なリマインダーと次施策への反映が記憶・行動定着につながります。

フルファネル別の施策マップ

ファネル段階

目的

推奨SNS施策

補完チャネル

Attention(認知)

新規層へのリーチ・認知拡大

ハッシュタグキャンペーン、TikTokチャレンジ、Instagramリール

テレビCM、ゲーム内広告、OOH

Interest(興味・理解)

ブランド・商品への理解促進

診断コンテンツ、クイズ型、ゲーム型キャンペーン

SEO記事、動画コンテンツ

Search(検索行動)

指名検索・比較検討の促進

UGC活用、投票・総選挙型

検索広告、リスティング

Action(行動・購買)

購買促進・来店誘導

マストバイキャンペーン、レシート登録、クーポン配布

LINE公式、アプリ連動

Loyalty(継続・推奨)

ファン化・ロイヤルティ向上

シリーズ型コミュニティ施策、限定体験、継続参加型ゲーム

CRM、メルマガ、会員プログラム

各ステップのKPI指標

ファネル段階

一次指標(量)

二次指標(質)

Attention

リーチ数、インプレッション、認知度変化

ブランド認知リフト率

Interest

エンゲージメント率、フォロワー増加

ブランド好意度、コンテンツ完読率

Search

ハッシュタグ投稿数、指名検索数変化

ブランドリフト(広告想起率)

Action

キャンペーン参加者数、UGC投稿数、購買件数

CVR、購入意向リフト

Loyalty

継続参加率、NPS、再購買率

ブランドロイヤルティ指標

設計のポイントとして、全ファネルを一度にカバーしようとするより、現在の課題がどのファネルに集中しているかを先に特定し、施策を一点集中させるほうが効果が出やすい傾向があります。

SNSキャンペーンの種類と記憶定着視点での特性比較

SNSキャンペーンには多様な形式がありますが、「記憶に残るブランド体験」という観点で設計を選ぶには、各形式が持つ記憶定着特性を理解しておく必要があります。

プラットフォーム別の特性

プラットフォーム

主な施策形式

主な目的

Z世代への親和性

X(旧Twitter)

フォロー&リポスト、ハッシュタグ投稿、インスタントウィン

認知拡大・フォロワー獲得

中(情報収集・話題参加)

Instagram

フォトコンテスト、感想投稿、ストーリーズ連動

UGC創出・ブランドイメージ形成

高(ビジュアル・ライフスタイル)

TikTok

ダンスチャレンジ、AR活用、UGC動画

若年層認知拡大・バイラル

非常に高(エンタメ消費)

LINE

友だち追加+クーポン、診断コンテンツ

購買促進・リピーター獲得

中(ツールとして日常使い)

YouTube

動画視聴後のアクション促進、コメント投稿

深い理解・ブランドストーリー

高(コンテンツ消費)

施策形式別の記憶定着特性

施策形式

参加難易度

記憶定着度

拡散効果

向いているフェーズ

フォロー&リポスト

低(最簡単)

Attention(認知)のみ

ハッシュタグ投稿

Attention〜Interest

インスタントウィン

低〜中

低〜中

Attention〜Action

フォトコンテスト

高(参加者)

Interest〜Loyalty

診断・クイズ型

Interest〜Search

ゲーム型

中〜高

非常に高

中〜高

Interest〜Loyalty

マストバイ型

高(行動記憶)

Action〜Loyalty

AR体験型

中〜高

非常に高

Attention〜Interest

投票・総選挙型

低〜中

高(継続参加)

Interest〜Loyalty

記憶定着の観点で特に注目すべきは診断・クイズ型とゲーム型です。これらは「能動的な参加」を促し、エピソード記憶として強く定着します。一般的なフォロー&リポストと比較して、完了率が高く自然なシェアを生むと報告されています。

記憶に残るSNSキャンペーン成功事例

ゲーム型インタラクティブSNSキャンペーンの成功事例イメージ

食品・飲料・日用品・外食業界における実績事例を、ファネル段階別に整理します。

認知フェーズの事例

アサヒ飲料「三ツ矢特濃アップルスカッシュ」絵文字投稿キャンペーン(出典: MarkeZine 2024年)

絵文字だけで特定の気分や場面を表現するユニークな参加形式で、関連ハッシュタグをXのトレンド1〜4位に押し上げることに成功。参加者が「絵文字を選んで投稿する」という能動的な行動をとることで、ブランドとの記憶を形成しました。

やおきん「うまい棒総選挙」(出典: キャンつく 2024年)

ゲーム型×SNS連動施策として、1万人以上が参加し回答率92%超、1,700件以上のUGCを創出。参加者が「自分が選んだ」という記憶が、ブランド想起と結びつく典型例です。

理解・共感フェーズの事例

ローソン 商品化前アイデア投票キャンペーン(出典: MarkeZine 2024年)

消費者が商品アイデアに投票し、上位3位を実際に商品化→大ヒットを記録。「自分が選んだ商品が実際に店頭に並んだ」というエピソード記憶は、通常の広告接触では作れない強度のブランド体験です。

明治「うずまきソフト」UGC活用(出典: キャンつく 2024年)

関連投稿が前年比2倍以上(3,600件超)。ユーザーが自発的に体験をシェアする構造を作ることで、広告コストをかけずにブランド認知を拡大。

行動・購買フェーズの事例

千寿製薬 レシート画像登録キャンペーン(出典: MarkeZine 2024年)

AI画像判定でレシートを登録することで購買データを取得しながらキャンペーン参加を促進。購買という「行動記憶」とブランド体験を直接結びつけた設計です。

PRESS BUTTER SAND「Butterなサマーゲーム」(出典: n2p 2024年)

人気ゲームをオマージュしたパズル型ゲームキャンペーンにクーポン配布を連動させ、実店舗への来店を促進。ゲームというエンターテイメント体験が、購買行動への動機付けとして機能しました。

継続・ロイヤルティフェーズの事例

ファミリーマート「ファミペイ毎日挑戦ゲーム」(出典: n2p 2024年)

アプリ内で複数のゲーム形式を定期展開し、利用者ロイヤルティを継続的に向上。「毎日挑戦する習慣」がブランドとの日常的な関わりを生み出し、手続き記憶(習慣的行動)の形成につながっています。

食品・飲料業界のSNSキャンペーン実績数値(参考)

企業/ブランド

施策

主な実績(出典: キャンつく 2024年)

味の素「勝ち飯」

Xキャンペーン

2.5万リポスト、89.5万表示回数

カゴメ野菜生活100

Xキャンペーン

1.8万リポスト、2,388件コメント

餃子の王将「一等星定食」

Xキャンペーン

2.8万リポスト、9,374いいね

やおきん「うまい棒総選挙」

ゲーム型×SNS

1万人以上参加、回答率92%超、1,700件UGC

※ 上記数値はいずれも2024年時点の報告値です。現行の実績は各公式発表をご確認ください。

ゲーム型キャンペーンが記憶定着に強い3つの理由

2025〜2026年のSNSキャンペーントレンドの中で、特に注目すべきがゲーム型キャンペーンの急増です。ショートゲームとSNSの掛け合わせが増えているのには、記憶定着の観点から明確な理由があります(出典: n2p「ゲーム型キャンペーン成功事例」2024年):

1. 能動的な参加がエピソード記憶を作る

ゲームは「自ら操作する」という能動的な体験です。受動的な広告視聴と違い、「自分がやった」という感覚がエピソード記憶として残ります。「あのブランドのゲームで遊んだ」という文脈は、後からの想起に強く働きます。

2. 滞在時間が長い

通常のランディングページへの滞在が数十秒程度なのに対し、ゲーム型キャンペーンは数分〜数十分の滞在が見込めます。ブランドメッセージやプロダクト体験を深く伝えられる接触時間が確保できます。

3. 広告受容度が高い

エンターテイメントとして提供されるため、「広告を見せられている」という感覚が薄れ、好意的に受け入れられる傾向があります。これは後述するゲーム内広告の受容性と共通する特性です。

ゲーム種類別のブランド体験特性

ゲーム形式

体験特性

適した訴求内容

クイズ・謎解き

商品知識の自然な習得

成分・機能の理解促進、ブランドストーリー伝達

パズル

途中離脱が少なく完走率が高い

完全なブランドメッセージ伝達

シューティング・アクション

臨場感・視覚的爽快感

強さ・スピード・エネルギー訴求の商材

スロット・ルーレット

ワクワク感・偶然性

ポジティブ感情とブランドの結びつき

AR体験

現実空間との融合・「映える」

体験のシェア誘発、高没入ブランド体験

SNSキャンペーン設計の5ステップ

記憶に残るブランド体験を設計するための実践的なステップをまとめます。

ステップ1: ファネルと課題の明確化

「今、何が足りていないか」を定量的に把握することから始めます。認知率が低いのか、認知はあるが好意度が低いのか、好意はあるが購買に至らないのかによって、設計すべき施策が変わります。

確認すべき指標:認知率・ブランド想起率・購入意向・NPS

ステップ2: 参加体験のコアとなる「記憶に残るポイント」の設計

「このキャンペーンに参加したら、どんな体験の記憶が残るか」を先に決めます。成功したキャンペーンを分析すると、必ず「それならでは」のポイントがあります。

例:「自分が選んだ商品が実際に商品化された(ローソン)」「自分のゲームのスコアがブランドと結びついた(アサヒ飲料)」

ステップ3: 施策形式とプラットフォームの選定

記憶に残るポイントを最もよく伝えられる形式とプラットフォームを選びます。「使い慣れているから」という理由でX一択にするのではなく、ターゲット層がどのプラットフォームで何時間過ごしているかを起点に選定します。

Z世代(10〜20代)はSNSとほぼ同等の時間をゲームに使用しているというデータもあり(GameBusiness.jp 2025年)、SNS単体で到達できないターゲット層の存在も意識する必要があります。

ステップ4: フルファネルでの継続設計

「キャンペーン終了後に次は何か」を先に設計します。単発で終わるキャンペーンは記憶が薄れていくだけです。認知施策の参加者を理解フェーズへ、購買施策の参加者をロイヤルティ施策へとつなげる導線を事前に決めておきます。

ステップ5: 測定指標と振り返りサイクルの設定

KPIは「拡散数だけ」でなく、ブランド体験としての質を測れる指標を設定します。キャンペーン参加者への事後アンケートによるブランド想起率変化、購買意向リフト値なども参考になります。

食品・飲料業界の成功パターンを整理した「TASTEフレームワーク」も参考になります(出典: キャンつく 2024年):

  • Timing: 季節性・記念日・トレンドとの連動
  • Affinity: 情緒的な結びつき(子育て応援、休息推奨など)
  • Scale: 100〜1,000名規模での「試す機会」の最大化
  • Tangible: 実際に試せる商品・コレクションアイテムとの連動
  • Engagement: シリーズ展開とコミュニティ形成による継続接触

SNSキャンペーンのよくある失敗と注意点

設計段階で見落としやすいリスクと、実務的な注意点を整理します。

記憶に残らない設計の失敗パターン

失敗1: 参加者の動機がインセンティブのみで終わる

参加者の多くが「もらえるから参加した」という動機の施策は、ブランドへの記憶形成に直結しません。「参加したいから参加した」という能動性を引き出す設計が必要です。

失敗2: 単発施策でフォロアップがない

認知させたはいいが次の施策との接続がなく、ブランド想起が薄れる。キャンペーン参加者をCRMやLINEなどへ誘導する導線設計を事前に準備しておくことが重要です。

失敗3: SNSで届かない層が主要ターゲット

特定のターゲット層(例:ゲームに可処分時間を使っている20代前半男性)は、SNSタイムラインへの接触時間がコンテンツ消費の中心でないケースもあります。SNS単体でのリーチ限界を意識した複数チャネル設計が必要です。

失敗4: 炎上リスクへの準備不足

2024年に観測された企業SNS炎上は168件、平均炎上日数22日(約2日に1件のペース)という状況です(炎上対策記事各種 2025〜2026年参照)。主なリスク要因は以下のとおりです:

  • 「日本一」「業界No.1」等、根拠のない最上級表現(景品表示法違反リスク)
  • 従業員・一般ユーザーによる不適切投稿(衛生問題等)
  • 企画の意図と消費者の受け取り方のずれ

法令・プラットフォーム規約への対応(重要)

  • Instagram: フォロー・「いいね」への現金・金券提供はプラットフォーム規約に抵触する場合がある
  • 景品表示法: 最上級表現には客観的根拠の明記が必要
  • 個人情報取扱・著作権・プラットフォーム利用規約の遵守は基本前提

※ プラットフォーム規約・景品表示法の詳細は更新が早いため、施策実施前に最新情報をご確認ください。

こんな企業のSNSキャンペーンに向いています

ブランド体験型SNSキャンペーンが効果を発揮しやすい企業・条件

  • ブランドへの感情的な関与を高めたい商材を持つ企業 — 食品・飲料・日用品・コスメなど、機能差が訴えにくい商材でブランドの「好き」を作りたい場合
  • 既存の顧客基盤がある程度あり、ロイヤルティを高めたい企業 — 認知はあるが、「特に思い入れがない」「よく知らない」状態を脱したい場合
  • SNS上で自社ファンや熱量の高い話題が起きている商材 — UGCが自然発生しやすい商品・ブランドは、キャンペーンが記憶体験の触媒として機能しやすい
  • フルファネルで複数施策を組み合わせて設計できるリソースがある — 単発ではなく、認知〜購買〜ロイヤルティを継続的に設計できる体制が前提
  • 若年層・Z世代への認知獲得を優先している — SNS広告はZ世代のブランドイメージ形成に37.2%の影響を持つというデータがあり(GameBusiness.jp 2025年)、この層へのアプローチには特に有効

このアプローチが向かない企業・状況

  • 認知率がほぼゼロの状態から単一施策だけで変えようとしている — SNSキャンペーン単体は、まったく知られていないブランドを一気に浸透させる力は持っていない。認知基盤作りには複数チャネルの組み合わせが必要
  • ターゲットがゲーム・SNS双方への接触時間が少ない層(例:60代以上) — プラットフォームの利用実態と合っていない施策は効果が出にくい
  • 拡散数・フォロワー数だけをKPIとして設定しているケース — 記憶定着・ブランドリフトを測らないと、投資対効果が可視化されず施策改善ができない
  • 炎上リスクへの対応体制が整っていない企業 — SNS施策は情報拡散が速いため、初動マニュアルや複数人チェック体制が整っていないと運用リスクが高まる

SNSだけでは届かない層〜ゲーム内広告との組み合わせという選択肢

SNSキャンペーンで設計できる「記憶に残るブランド体験」には、一つ構造的な限界があります。それは「SNSのタイムラインを見ていない人には届かない」という点です。

Z世代はSNSと同等の可処分時間をゲームに使っているにもかかわらず、可処分時間割合に対する広告費は、SNS比で約3割少ない状態にあります(Ad-Virtua公式サイト 2026-04-13確認)。特に10〜20代前半の男性を中心に、「スマホのゲームプレイ中はSNSのタイムラインを見ていない」層が一定数存在します。

こうした層へのブランド体験接点として注目されているのが、ゲーム空間内でのブランド露出(ゲーム内広告)です。

ゲーム内広告のなかでも、ゲームの世界観を損なわず看板・モニター形式で動画広告を配信する「サイネージ型」は、プレイ体験を中断せず自然にブランドを見せる設計が特徴です。その結果として、通常のWeb広告と比較して広告想起率が約1.8倍、注目度が約1.7倍というデータが報告されています(広告業界メディア Advertimes 2024-11-08 / TalkTalk調査)。

また、ゲーム内広告でブランドを認知した後に、SNSキャンペーンを通じた能動的な体験へと誘導するという接続が、「知っている → 参加した」という多層的なエピソード記憶の形成につながります。ゲーム実況コンテンツがWebサイトアクセス数の約4倍増加につながったという事例も報告されており、SNSへの二次拡散効果も期待できます(Ad-Virtua公式サイト 2026-04-13確認)。

Ad-Virtuaのゲーム内広告(サイネージ型)が合う企業の条件:

  • 若年層・Z世代(特に10〜20代男性)へのリーチを強化したい
  • TVCM・SNS広告では届きにくい「ゲームに可処分時間を使っている層」へのアプローチを探している
  • 「嫌われない広告体験」でブランド好感度を維持しながら露出を増やしたい
  • SNSキャンペーン施策の前段階として、認知・想起の基盤をゲーム空間で形成したい
  • 動画素材を活用した認知施策を費用対効果よく実施したい

詳しくはゲーム内広告とは?仕組み・種類・活用法を解説をご覧ください。

また、ブランド体験全体の設計についてはブランド体験とは?認知から想起までの設計方法でも詳しく解説しています。

よくある質問

Q1. SNSキャンペーンでどのプラットフォームを選べばよいですか?

A. ターゲット層の利用実態を起点に選びます。Z世代・若年層ならTikTokやInstagram、幅広い年齢層にリーチしたい場合はXやLINEが主要候補です。ただし、SNSのタイムラインを見ていない層(ゲームに可処分時間を使っている若年男性など)へはSNS単体ではリーチが難しく、ゲーム内広告など他チャネルとの組み合わせが必要になるケースもあります。

Q2. 小規模な予算でも「記憶に残るブランド体験」を設計できますか?

A. 可能です。拡散規模よりも「参加者の体験の質」に投資することが重要です。フォロー&リポストより、診断コンテンツや投票型施策のほうが1人当たりのブランド接触の深さが増します。予算が限られている場合は、規模を追わず参加者1人1人の体験密度を高める設計が有効です。

Q3. SNSキャンペーンのKPIはどう設定すればよいですか?

A. フルファネルのどの段階を狙っているかによって変わります。認知フェーズならリーチ数・ハッシュタグ投稿数、理解フェーズならエンゲージメント率・コンテンツ完読率、購買フェーズならマストバイ参加数・CVR、ロイヤルティフェーズなら継続参加率・NPS・ブランドリフト値が代表的な指標です。「拡散数だけ」「フォロワー増加だけ」にならないよう、ファネルに対応した指標を設定することを推奨します。

Q4. ゲーム型キャンペーンは制作コストが高くなりませんか?

A. 形式によって費用は大きく異なります。スロット・ルーレット・クイズ型などシンプルなWebゲームなら比較的低コストで制作できます。AR体験型やフルカスタムのゲームは制作コストが高くなりますが、滞在時間・記憶定着・UGC創出効果も高くなる傾向があります。目的とROIを踏まえて形式を選ぶことが重要です。

Q5. SNSキャンペーンの炎上リスクはどう回避すればよいですか?

A. 企画段階での複数人チェック体制と、炎上発生時の初動マニュアルの事前作成が基本です。「日本一」「業界No.1」等の最上級表現には根拠明記が必要(景品表示法)、Instagramでのフォロー・「いいね」への金券提供はプラットフォーム規約に抵触するケースがあります。最新のプラットフォーム規約と景品表示法の確認は施策実施前に必ず行ってください。

まとめ

SNSキャンペーンを「記憶に残るブランド体験」にするためのポイントを整理します:

  1. 「エピソード記憶」を作る施策設計 — 受動的な広告視聴ではなく、能動的な参加によるブランド体験が記憶定着につながる
  2. フルファネルでの設計 — 認知・理解・行動・ロイヤルティの各段階に対応した施策を組み合わせ、単発で終わらせない
  3. 形式は目的と記憶定着特性で選ぶ — 拡散数を最大化する形式と、記憶定着を最大化する形式は必ずしも一致しない
  4. SNSの届かない層への対策 — ゲームに可処分時間を使っている若年男性層などへは、ゲーム内広告など別チャネルとの組み合わせが有効
  5. 炎上リスクと法令対応は設計段階で — 事後対応ではなく、企画・制作プロセスへの組み込みが重要

SNSキャンペーン単体での施策設計から、複数チャネルを組み合わせたブランド体験設計へ視点を広げることで、記憶に残る施策の選択肢が大きく広がります。

ゲーム空間での認知形成からSNSキャンペーンでの体験参加へという設計にご興味のある方は、お気軽にAd-Virtuaまでご相談ください。

掲載している数値・事例は記載の出典・確認日時点の情報です。最新情報は各公式発表をご確認ください。