コーズマーケティング(Cause-Related Marketing)とは、商品やサービスの購入が社会貢献活動に結びつくことを消費者に訴求し、売上向上と社会的責任の両立を同時に目指すマーケティング手法です。単なるCSR活動と異なり、企業・消費者・支援先NPOの三者に具体的なメリットをもたらす設計が前提になります。

コーズマーケティングは、商品認知や売上獲得を目的とした一般的な広告活動と独立したものではなく、広告の種類・媒体・効果の全体像のなかで「ブランドへの感情的接触を積み上げる体験型施策」として位置づけられます。

この記事でわかること:

  • コーズマーケティングの正確な定義と、慈善活動・SDGs施策との違い
  • 施策の7タイプと、どのタイプが自社に合うかの選び方
  • 「コーズ訴求→感情的接点→繰り返し記憶→第一想起獲得」というブランド体験設計のメカニズム
  • 国内外の代表事例と成果データ(出典付き)
  • 向いている企業・向いていない企業の業種別判断基準
  • EU グリーンウォッシュ指令(ECGT・Directive 2024/825)2026年9月施行を踏まえた実施前チェックリスト

食品・飲料・日用品・外食・交通・インフラ業界のマーケティング担当者や、Z世代・若年層への認知拡大に課題を持つブランド戦略担当者を対象に書いています。

コーズマーケティングの仕組み:企業・消費者・NPOの三者にメリットをもたらす三方よしの設計

コーズマーケティングとは:慈善活動とどう違うのか

コーズマーケティングの本質は「売上と社会貢献を連動させる設計」にあります。企業が利益を追求しながら社会課題の解決に貢献するという点で、純粋な慈善活動(フィランソロピー)と明確に異なります。

慈善活動・CSR・SDGs施策との違い

分類

利益目的

消費者の役割

継続条件

フィランソロピー(慈善活動)

なし

関与しない

経営判断

CSR(企業の社会的責任)

間接的

関与しない場合が多い

経営判断

コーズマーケティング

あり(明示的)

購入・行動で参加

売上連動で継続

SDGs取り組み全般

場合による

場合による

目標年限あり(2030年)

コーズマーケティングが「Cause(コーズ)」つまり「社会的大義・主義」を名称に持つのは、企業が社会的大義を事業活動と一体化させるからです。消費者は「この商品を買うだけで良いことが起きる」という体験を得る。企業は売上を伸ばしながらブランドへの信頼を高める。支援先NPOは安定した資金を受け取る。この三者の連鎖が設計の核心です。

歴史的背景: 現代的なコーズマーケティングの起点として広く引用されるのが、1983年にアメリカン・エクスプレスが実施した「自由の女神修復プロジェクト」です。カード1回利用ごとに1セント、新規発行で1ドルを修復基金に寄付するキャンペーンで、4か月でカード利用数27%増・カード発行枚数45%増・寄付金200万ドルという成果を記録しました(出典:IDEAS FOR GOOD「コーズマーケティングとは・意味」確認日:2026-05-11)。日本では1960年のベルマーク運動が先駆けとされています(出典:Wikipedia「コーズマーケティング」確認日:2026-05-11)。

なぜ今、コーズマーケティングが重要なのか

社会貢献を軸にしたブランド体験の設計が重要性を増している背景には、消費者行動の構造的変化があります。

エシカル消費の拡大と限界

消費者庁「令和6年度第3回消費生活意識調査」(2024年11月発表)によると、エシカル消費の認知度は27.4%(「言葉と内容の両方を知っている」は7.5%)、実践率は36.1%(前年度比増加)です。実践者の主な動機として「同じようなものを購入するなら環境や社会に貢献できるものを選びたい」が53.3%を占めます(出典:消費者庁公式発表 確認日:2026-05-11)。

重要な示唆は「価格が同程度であれば社会貢献商品を選ぶ」という条件付き選好が多数を占める点です(出典:三菱総合研究所「消費者はエシカル消費に何を求めているのか」2024年 確認日:2026-05-11)。コーズマーケティングは、消費者に価格以上のコストを要求せず、「同じ商品なら社会貢献できる方」という選択に乗れる設計が基本になります。

Z世代の社会貢献意識と購買行動

Z世代はコーズマーケティングの最重要ターゲット層です。

  • Z世代(20代)の社会問題への「関与経験」22.9%(上世代比+8.9pt)、「今後の関与意向」33.7%(+12.7pt)(出典:サ・ゴール調査 2025年 マナミナ掲載 確認日:2026-05-11)
  • 環境問題・ジェンダーテーマで購入意向+13.8ptの差(出典:同上)
  • 日経MJ5,000人調査:Z世代の「買い物で社会貢献」実践者は約3割(出典:日本経済新聞 確認日:2026-05-11)

ただし、重要な注意点があります。Z世代は「社会貢献を語るブランド」ではなく「社会性が滲み出るブランド」を選ぶ傾向があり、「偽善的・商業目的に見える」とネガティブ反応を示す割合も上世代より高い(出典:同上)。「やっている感」の演出ではなく、事業の本質とコーズの整合性が問われます。

ブランドロイヤルティ低下という構造問題

ニールセン調査によると、「好みのブランドを支持している」消費者は8%に留まり、世界的にブランドロイヤルティが低下傾向にあります(出典:マーケジン掲載ニールセン調査 確認日:2026-05-11)。コーズマーケティングは、この「ロイヤルティ低下」という構造問題に対応するブランド体験設計の手段として機能します。購入のたびに感情的な価値(「良いことができた」という体験)が積み重なることで、競合ブランドへの乗り換えコストが上がるからです。

コーズマーケティングを広告の全体像のなかで位置づけると、純粋想起の獲得を狙う「認知広告」と、購入を促す「ダイレクト広告」の中間に位置する「ブランド体験型施策」と言えます。広告予算全体に占めるコーズ訴求の最適な配分を考えるうえで、まず広告の全体像を押さえておくと判断がしやすくなります。

コーズマーケティングの7つの施策タイプ

コーズマーケティングには複数の実施形式があります。自社の商品・サービス特性や支援したい社会課題に合わせた選択が重要です。

コーズマーケティングの7つの施策タイプ:売上連動・購入量連動・共同キャンペーン型など施策ごとの特徴比較

施策タイプ

仕組みの概要

向いている商品・業種

代表事例

売上一部寄付型

商品1個あたりX円を寄付

単価が一定の消費財全般

P&G「1パック=1ワクチン」

売上比率連動型

売上額の一定割合(例:1%)を寄付

月次売上が安定するチェーン店

イオン「幸せの黄色いレシート」

購入量連動型

1本買うと途上国に10L届く等

飲料・生活必需品

ボルヴィック「1ℓ for 10ℓ」

レシート・ポイント連動型

来店・購入実績で地域団体を支援

小売・外食チェーン

イオン「幸せの黄色いレシート」

商品買取・フードロス型

規格外品販売の差額を社会課題に充当

食品・農業関連

Kuradashi

寄付連動買取型

不要品買取額を寄付に転換

EC・買取サービス

チャリボン

共同キャンペーン型

企業とNPO・国際機関が期間限定の共同施策

ブランド力の高い大手企業

P&G×ユニセフ(ハイドロキャンペーン)

(出典:IDEAS FOR GOOD、LISKUL、デジマクラス、ferret plus 各記事 確認日:2026-05-11)

タイプ選択の判断軸

施策タイプを選ぶ際の主な判断軸は以下の3点です。

  1. コアビジネスとの整合性: 飲料メーカーが「水へのアクセス」問題と連携するように、自社の事業と支援する社会課題に自然なつながりがあるか
  2. 消費者が参加しやすいか: 「特別な手続きなく、普段の購入で貢献できる」設計かどうか
  3. 透明性の設計: 「1購入あたりX円」のように数値化・可視化できるか

コーズ訴求がブランド体験設計で第一想起につながるメカニズム

コーズマーケティングをブランド体験設計の視点で捉えると、「第一想起獲得」という経営課題への回答になります。

第一想起とブランド体験の関係

第一想起(Top of Mind Awareness)とは、あるカテゴリを想起したとき最初に頭に浮かぶブランドのことです。「醤油といえば○○」「コーラといえば○○」のように、購買シーンで最初に想起されるブランドはシェアと収益性において圧倒的な優位を持ちます。

第一想起は、消費者が感情的に意味を持つ接点をブランドと繰り返し持つことで形成されます。通常の広告露出(視覚・聴覚への刺激)に加え、「この商品を買うことで自分が社会に参加できた」という能動的な感情体験が積み重なると、ブランドへの記憶と好意性が飛躍的に強化されます。

ブランド体験設計の4ステップ

①コーズ訴求の接点(認知)
  ↓
②「購入=社会貢献」という感情的体験(感情的つながり)
  ↓
③繰り返しの購入・参加による記憶の強化(ブランドロイヤルティ)
  ↓
④カテゴリ想起時の自動的な第一想起(Top of Mind)

重要なのは「消費者を受動的な広告の受け手から、能動的な社会貢献の参加者にする」という体験設計の転換です。消費者自身が「この企業のこの商品を選ぶことで、自分は良いことをしている人間だ」という自己像と購入行動を結びつけると、ブランドの切り替えが起きにくくなります。

ブランド体験設計の理論と手法については「ブランド体験とは?認知から第一想起まで設計する方法」、体験を通じて態度変容を生む施策の全体像については「体験型マーケティングとは?手法・事例・失敗しないポイント」もあわせて参照してください。

国内外の代表事例と成果データ

海外事例

アメリカン・エクスプレス「自由の女神修復プロジェクト」(1983年)

カード1回使用ごとに1セント、新規発行で1ドルを修復基金に寄付。4か月でカード利用数27%増・カード発行枚数45%増・寄付金200万ドルを達成。現代コーズマーケティングの原点として今も引用されます(出典:IDEAS FOR GOOD 確認日:2026-05-11)。

P&G「1パック=1ワクチン」×ユニセフ

紙おむつ1パック購入で途上国の子どもに破傷風ワクチン1本を寄付。累計ワクチン3億本以上を寄付(出典:IDEAS FOR GOOD 確認日:2026-05-11)。P&Gの「パンパース」ブランドの好感度・想起率への貢献は業界内で広く評価されています。

プロジェクト・レッド(Product RED)

Apple・Starbucks等が参加し、製品購入の一部をHIV/エイズ対策基金(グローバルファンド)に寄付するグローバルプログラム。累計寄付額は数億ドル規模とされています(最新の正確な数値については各公式サイトをご確認ください)。

国内事例

日本国内のコーズマーケティング代表事例:イオン黄色いレシート・ボルヴィック・チャリボン等の成果データ

事例名

企業

仕組み

成果

幸せの黄色いレシートキャンペーン

イオン

毎月11日の来店でボランティア団体を選んで購入額1%を寄付

40億円以上の寄付実績(出典:andromitsunobu.net 確認日:2026-05-11)

1ℓ for 10ℓ(2007〜2016)

キリンMCダノンウォーターズ(ボルヴィック)

ボルヴィック1L購入でマリ共和国に10Lの水を届ける

寄付額約3億円(出典:Wikipedia「コーズマーケティング」確認日:2026-05-11)

チャリボン

株式会社バリューブックス

古本買取額をそのまま寄付に転換

累計寄付6億円突破(出典:LISKUL記事 確認日:2026-05-11)

Kuradashi(フードロス施策)

株式会社クラダシ

規格外品の販売で売上の一部を社会貢献に充当

売上20億7,000万円(出典:LISKUL記事 確認日:2026-05-11)

ヒトサラ(給食寄付型)

株式会社CONY JAPAN

レストラン予約で給食を寄付

給食寄付30万食突破(出典:LISKUL記事 確認日:2026-05-11)

こんな企業に向いている / こんな企業には向いていない

コーズマーケティングは「社会貢献することに意義がある」という企業なら誰でも取り組めるように見えますが、実態は企業のコアビジネスとの整合性で成否が大きく分かれます。

コーズマーケティングが向いている企業

以下の条件を複数満たす企業に特に有効です:

  • 消費財・日常品を扱っている: 繰り返しの購入が起きるため「毎回の購入体験」がブランドロイヤルティの形成に直結する(食品・飲料・日用品・外食チェーン等)
  • コアビジネスと社会課題の整合性がある: 飲料メーカーが「水の問題」、食品メーカーが「フードロス」や「子どもの栄養」と連携するように、事業の本質と支援課題に自然な関係性がある
  • 若年層・Z世代をターゲットにしている: 社会貢献意識の高いZ世代にリーチするブランドにとって、コーズ訴求は競合との差別化になる
  • ブランド信頼の形成を中長期で狙っている: 単期のROI(売上増)だけでなく、NPS・純粋想起率・好感度の向上を評価指標に持てる企業
  • 透明性担保のためのコスト(報告・会計)を確保できる: 継続的な成果報告が信頼の根拠になるため、報告体制を整備できる規模の企業

コーズマーケティングに向いていない企業

  • コアビジネスと社会課題の整合性がない: 「ファストフードチェーンが健康啓発と連携する」ような矛盾構造は消費者に見透かされ、逆効果になるリスクが高い
  • 短期ROIのみを評価基準にしている: コーズマーケティングのブランドへの投資効果は中長期(1〜3年以上)で現れる。四半期ごとの売上貢献のみで評価する場合は不適
  • 寄付・社会貢献のコストを最小化したい: 「コスト最小化のためのコーズマーケティング」は消費者に伝わり、ブランド毀損につながる
  • 継続的な情報開示が難しい: 透明性のない実施は「やっている感だけのウォッシュ」と受け取られる

業界別の向き不向き比較

業界

向いている度

推奨するコーズとの紐付け

主な理由

食品・飲料メーカー

◎ 高い

フードロス・食の安全・子どもの栄養

購入頻度が高く繰り返し接点が生まれる。事業と社会課題の整合性が取りやすい

日用品・消費財メーカー

◎ 高い

衛生・環境・リサイクル

日常品なので継続購入でブランドロイヤルティ向上しやすい

外食チェーン

○ 中〜高い

フードロス・地域コミュニティ・子ども食堂

来店ごとの参加感を設計できる。地域密着型が特に有効

小売チェーン

○ 中〜高い

地域NPO支援・環境

レシート連動型が相性良い(イオン型の設計が参考)

交通・インフラ

△ 中程度

環境・地域・安全

訴求頻度は低いが大規模キャンペーンでインパクト可能

ホテル・観光

△ 中程度

地域文化・自然保護

滞在体験とコーズの融合でプレミアム感を付加できる

ファッション・アパレル

△ 要注意

環境・フェアトレード

グリーンウォッシュリスクが業界的に高い。EU・ECGT指令も2026年9月施行で訴求要件が強化

BtoB専業(製造業等)

△ 低め

最終消費者への訴求機会が少なく効果が出にくい

食品・飲料・日用品メーカー向けの個別解説: 「◎ 高い」と評価したカテゴリの具体的施策と事例は、業界別の解説記事に整理しています。食品メーカーは「食品メーカーのブランド体験施策事例7選」、若年層リーチ全般は「食品・飲料の若年層リーチを増やす施策7選」を参照してください。

KPI・効果測定の方法

コーズマーケティングの効果を定量化するためのKPI設計は、「短期の売上効果」と「中長期のブランド効果」の両軸で設計するのが標準的です。広告施策全体のKPI設計やブランドリフト調査の進め方は「広告効果とは|測定方法・KPI設計・ブランドリフトの実践ガイド」で詳しく解説しています。

コーズマーケティングのKPI設計フレームワーク:売上KPIとブランドKPIの二軸管理と測定タイミング

短期の売上系KPI

指標

内容

測定タイミング

対象商品の売上増加率

キャンペーン期間中vs前後比較

月次・四半期

購入点数・購入頻度

平均購入点数・購入間隔の変化

キャンペーン後

新規顧客獲得数

キャンペーンをきっかけに購入した新規客

キャンペーン後

中長期のブランド系KPI

指標

内容

測定方法

純粋想起率(Top of Mind)

カテゴリを聞いたとき最初に挙がるブランド割合

ブランドリフト調査

助成想起率

ブランド名を見せたときの認知率

ブランドリフト調査

コーズ認知率

「このブランドが社会貢献活動をしている」の認知率

独自アンケート

NPS(推奨者正味比率)

「このブランドを友人に勧めるか」の差分

定期サーベイ

好感度・信頼度

ブランドへの感情的評価

ブランドリフト調査

測定の実務ポイント: キャンペーン前後でコントロールグループとの比較調査(ブランドリフト調査)を設計することで、コーズマーケティングがブランド指標に与えた影響を切り出せます。純粋想起率の変化は1〜2年スパンで測定するのが現実的です。

グリーンウォッシュを避けるための実施前チェックリスト

コーズマーケティングの最大のリスクは「グリーンウォッシュ(ソーシャルウォッシュ)」です。実態以上に社会貢献しているように見せる誤解を招く表現・設計は、企業イメージを大きく毀損します。さらに2026年からはEUの新指令(ECGT・Directive 2024/825)が施行され、訴求要件が一段と厳しくなります。

失敗事例から学ぶ

  • KFC: ピンクリボン(乳がん啓発)運動に参加しながら、自社製品の健康への影響との矛盾が指摘され批判を受けた事例
  • H&M「コンシャスコレクション」: ノルウェー消費者庁から「持続可能性の根拠が乏しい」として指摘。具体的な数値がなかったことが問題に
  • アディダス「スタンスミス」: 「50%リサイクル素材使用」の表記がグリーンウォッシュとしてフランス広告監視機関から指摘された
  • ロッテ: 環境配慮の訴求とパーム油問題との矛盾が指摘された事例

(出典:各メディア記事 確認日:2026-05-11)

実施前チェックリスト

以下の項目を事前に確認することで、ウォッシュリスクを大幅に低減できます。

[ ] 1. 事業とコーズの整合性確認
自社のコアビジネスと支援する社会課題に自然なつながりがあるか。「飲料会社が水問題を支援する」は整合。「ファストフードが健康支援を訴求する」は矛盾リスクあり。

[ ] 2. 数値化・明示化
「1商品あたりX円を寄付」「売上のY%を支援」のように数値で明示できるか。「環境にやさしい活動をしています」のような抽象表現はリスクが高い。

[ ] 3. パートナーNPO・NGOの信頼性確認
寄付先の組織が公認NPO法人等として情報を開示しているか。会計報告・活動報告が公開されているか。

[ ] 4. 継続的な報告体制の設計
キャンペーン後に「何が、どれだけ実現されたか」を消費者に報告する体制を用意しているか。報告なしでは信頼は長続きしない。

[ ] 5. 営利目的を排除した訴求
コーズ訴求のコミュニケーションが「社会貢献の手段として商品を売る」ではなく「商品を買うことで消費者が社会貢献に参加できる」設計になっているか。

[ ] 6. 長期視点の設計
「コーズマーケティングは10年単位で様子を見た方が良い」とされるほど短期効果に依存しない設計か(出典:スパイアソリューション記事 確認日:2026-05-11)。

[ ] 7. EU・ECGT指令の訴求要件への適合(2026年9月27日施行)
EUは「Empowering Consumers for the Green Transition」指令(Directive (EU) 2024/825)を2024年に採択し、加盟国は2026年3月27日までに国内法へ移管、2026年9月27日から施行されます。同指令は「環境にやさしい」「グリーン」「カーボンニュートラル」といった一般的表現を、認定された第三者認証や具体的根拠なしに使用することを禁止します(出典:European Commission 公式 / climatejargonbuster.ie / Carbon Trust 確認日:2026-05-11)。EU圏での販売・コミュニケーションを行う企業は、自社のコーズ訴求が「数値・第三者検証・公開可能な根拠」のセットで成立しているか必ず確認してください。日本国内向けでも今後同様の規制トレンドが波及することが想定されます。

よくある失敗パターンと回避策

パターン1:「コーズがブランドのコア価値と無関係」

失敗例: 石油会社が「環境保護」を訴求しながら主力事業で大量の炭素を排出している状況
回避策: コーズマーケティングを導入する前に、自社のビジョン・事業とコーズの接点を言語化する。マーケティング部門だけで決めず、経営・事業部門と連携する

パターン2:「一回限りのキャンペーンで終わる」

失敗例: 記念キャンペーンとして1ヶ月だけ実施し、消費者の記憶に残らない
回避策: 「毎回の購入で貢献できる」という継続的な設計にする。年間を通じた取り組みを最初から設計する

パターン3:「寄付額が少なすぎて信頼されない」

失敗例: 「1購入あたり0.01円を寄付」という設計で消費者に本気度が伝わらない
回避策: 寄付率・寄付額の水準を競合他社事例と比較した上で設計する。「気持ち程度」では逆効果

パターン4:「社内説得できずに中途半端な実施になる」

失敗例: マーケティング部門の推進意欲があっても、経営・財務部門の理解を得られず予算・期間が大幅に削られる
回避策: KPIを「売上効果」だけでなく「ブランドリフト・NPS」で設定し、中長期の投資対効果として提案する

Z世代・若年層へのコーズ訴求:デジタル接点の選び方

コーズマーケティングのメッセージをZ世代・若年層に届けるためには、彼らが日常的に過ごすデジタル接点への訴求設計が不可欠です。各広告手法の特徴を整理した「広告の種類完全ガイド」と併せて、自社のコーズ訴求に合う媒体を検討するとよいでしょう。

Z世代の約80%がゲームをプレイしており(Ad-Virtua公式サイト 確認日:2026-05-11)、ゲーム内はZ世代の可処分時間が集中する接点の一つです。従来のSNS広告・OOH・TVCMとは異なる、没入度の高い体験環境でブランドのコーズ訴求を届けるという設計が、Z世代のブランド体験設計において有効な方向性として注目されています。

ゲーム内広告の費用感や仕組みについては「ゲーム内広告の費用・料金相場と効果を解説」で詳しく解説しています。

デジタル接点別のコーズ訴求の特徴

接点

強み

弱み

向いているコーズ訴求

SNS広告(Instagram/TikTok)

Z世代の日常接点・拡散力

広告ブロック・スキップ・情報が流れやすい

ビジュアルで伝わるコーズ

ゲーム内広告

高没入環境・好感度約85%・広告ブロック回避

クリック導線は限定的

ブランド想起・感情的接触の積み重ね

OOH(屋外広告)

リーチの広さ・高インパクト

個人へのリーチ精度が低い

社会的メッセージの大規模発信

TVCM

リーチの広さ・権威性

若年層への到達率低下・コスト高

全年齢への認知形成

コーズマーケティングのデジタル接点比較:SNS広告・ゲーム内広告・OOH・TVCMの特徴と向いているコーズ訴求タイプ

Ad-Virtuaのゲーム内広告がコーズマーケティングに合う企業の条件

ここまでコーズマーケティングの全体像を解説してきました。最後に、Ad-Virtuaのゲーム内サイネージ広告が「コーズ訴求×若年層リーチ」の文脈で特に合う企業の条件を整理します。

Ad-Virtuaは400タイトル以上のゲームに対応したゲーム内サイネージ広告プラットフォームで、ゲーム空間内の看板・モニターに動画広告を自然な形で配信します。主な指標は広告想起率約1.8倍(通常Web広告比)・注目度約1.7倍・好感度約85%(「ゲーム体験に適した広告手法」)・CPM約300円(出典:Ad-Virtua公式サイト 確認日:2026-05-11)。

以下の条件に当てはまる企業に特に適しています:

  • Z世代・若年層への認知拡大とブランドロイヤルティ向上を同時に狙いたい
  • TVCMやSNS広告だけでは届きにくい若年ゲームプレイヤー層にコーズメッセージを届けたい
  • 好感度の高い(嫌われにくい)環境でブランドのコーズ訴求を継続的に発信したい
  • 1週間300,000円〜という比較的低い初期コストで施策を試したい
  • 食品・飲料・日用品・外食・交通など、日常生活に根ざした消費財を扱っている

なお、ゲーム内広告×コーズマーケティングの統合実施事例は現時点で一般的に公開されているものが限られており、記載の内容は設計上の可能性の提示です。具体的な施策設計については個別にご相談ください。

詳しいゲーム内広告の仕組みと活用方法は「ゲーム内広告とは?種類・費用・効果を徹底解説」で解説しています。また、広告手法全体のなかでコーズマーケティングがどう位置づくのかを俯瞰したい場合は「広告とは?意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説」を参照してください。

よくある疑問(FAQ)

Q1. コーズマーケティングは小規模な企業でも実施できますか?

一定規模から取り組みやすいのは事実ですが、小規模でも「1商品あたりX円を地域NPOに寄付する」といった地域密着型の設計は可能です。重要なのは規模よりも「コアビジネスとの整合性」と「透明性の担保」です。地域の信頼できる支援先と連携するところから始めるのが現実的です。

Q2. コーズマーケティングとSDGsへの取り組みは何が違いますか?

SDGsは国連が定めた2030年までの17の持続可能な開発目標であり、企業・自治体・個人など全主体が取り組む「目標」です。コーズマーケティングはその目標を達成するための「手段の一つ」であり、消費者の購買行動と社会貢献を連動させるマーケティング手法です。SDGsへのコミットメントを対外的に示す際に、コーズマーケティングを活用する企業が増えています。

Q3. コーズマーケティングの効果はいつ頃から出ますか?

売上への短期効果(購入量増加)はキャンペーン期間中〜終了後3か月程度で確認できる場合があります。一方、ブランド想起率・NPS・好感度といったブランド系KPIへの効果は1〜2年単位で計測するのが現実的です。「10年は様子を見た方が良い」とされるほど中長期の継続が重要なマーケティング手法です(出典:スパイアソリューション記事 確認日:2026-05-11)。

Q4. グリーンウォッシュと判定されると具体的にどんなリスクがありますか?

消費者・メディアからの批判によるブランドイメージの毀損、SNS上でのネガティブ拡散、規制当局からの指摘(特にEU・欧米では法的な問題になるケースも)があります。EUでは「Empowering Consumers for the Green Transition」指令(Directive 2024/825)が2026年9月27日から施行され、「環境にやさしい」「カーボンニュートラル」といった一般的表現を第三者認証や具体的根拠なしに使用することが禁じられます。日本企業もEU圏で販売・コミュニケーションを行う場合、同指令への適合が必要です(出典:European Commission 公式・KPMG-Law 解説 確認日:2026-05-11)。

Q5. コーズマーケティングと通常の広告・PR活動はどう組み合わせると効果的ですか?

コーズマーケティングは「接点を作るブランド体験設計」として位置づけ、TVCMや認知広告で「このブランドが○○を支援している」という認知を広め、ゲーム内広告やSNSで継続的な接点をZ世代に積み上げ、コーズの成果報告でブランドへの信頼を深める、という重層設計が有効です。コーズマーケティングは単独施策より、他の認知・接点施策との組み合わせで効果が高まります。広告全体の組み合わせを設計する際は「広告とは?意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説」もあわせて参照してください。

Q6. 食品・飲料メーカーがコーズマーケティングを始める場合、最初にやるべきことは?

まず自社製品のサプライチェーン上の社会課題(フードロス・水・栄養・パーム油・包装プラスチック等)を棚卸しし、「事業の本質と整合するコーズ」を1〜2つに絞り込みます。次に、信頼できるパートナーNPO・国際機関を選定し、「1商品あたりX円」のように数値化可能な仕組みを設計します。施策の認知拡大には、Z世代・若年層の可処分時間が集中するゲーム内広告等のデジタル接点を組み合わせるのが効果的です。業界別の具体的な設計例は「食品メーカーのブランド体験施策事例7選」を参照してください。

ゲーム内広告を活用したブランド体験設計にご興味がある方は、まずお気軽にご相談ください。
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本記事に記載する数値・データは明記した情報源に基づいており、各確認日時点のものです。最新情報は各公式サイト・発表をご確認ください。