ファンベースマーケティングとは、「既存のコアファンとの関係を深めることで、中長期的に売上とブランド価値を上げていく考え方・施策体系」のことです。新規顧客の獲得コストが上昇し続け、SNS広告のROIが読みづらくなっている今、上位20%のファンが売上の80%を担うという現実に向き合い、この少数のコアファンを起点に事業を成長させる手法として注目されています。

この記事でわかること:

  • ファンベースマーケティングの定義と「ファンマーケティング」との違い
  • なぜ今この考え方が必要なのか——5つの時代背景
  • 共感・愛着・信頼の3本柱と、施策レベルの実践方法
  • 食品・飲料・外食・日用品での国内成功事例
  • 向いている企業・向いていない企業の判断基準
  • よくある失敗パターンと効果測定KPI
  • デジタル体験・ゲーム空間を活用した現代的なファン育成の手法

若年層・ファミリー層への認知拡大や、ブランドロイヤルティの向上に課題を感じているマーケティング担当者・ブランドマネージャーを対象に解説します。


ファンベースマーケティングとは——定義と基本概念

ファンとブランドの絆を象徴するコミュニティのイメージ

ファンベースマーケティングの基本概念は、コミュニケーションディレクターの佐藤尚之(さとなお)氏が体系化したものです。著書『ファンベース 支持され、愛され、長く売れ続けるために』(筑摩書房・ちくま新書、2018年)はAmazonレビュー1,000件超の長期ベストセラーとなり、現在も多くのマーケターに読まれています。

ファンベースカンパニー公式の定義(https://www.fanbasecompany.com/about/ 、2026年4月確認):

「ファンとの長く続くいい関係性をベースにして、中長期的に売上や価値を上げていく考え方」

ここでいう「ファン」とは、単純なリピーターや好意的なフォロワーとは異なります。企業・ブランドが大切にしている価値を支持し、「好き」「応援したい」という感情を能動的に持ち続ける顧客を指します。

なぜこのような顧客が重要なのか。それはパレートの法則が背景にあります。ファンベースカンパニーの調査によると、上位20%のファンが売上の80%を支え、コアファンが30〜40%の売上を担うことが確認されています。つまり、新規顧客を広く薄く獲得するより、既存のコアファンとの関係を深めるほうが、費用対効果の観点で合理的なケースが多いのです。


なぜ今「ファンベース」が注目されるのか——5つの時代背景

ファンベースマーケティングが2018年以降に急速に普及した背景には、以下の5つの構造変化があります。

1. 人口減少による市場縮小

日本では毎年約100万人規模の人口減少が進行しています(Repro Journal、2026年4月確認)。新規顧客の母数が物理的に減っていく中で、既存顧客との関係を強化し、LTV(顧客生涯価値)を最大化することの重要性が増しています。

2. 超成熟市場での機能価値の限界

高品質な商品・サービスが溢れ返る成熟市場では、機能スペックだけで競合他社と差別化することが困難になっています。「なぜそのブランドを選ぶのか」という感情的・理念的な理由が、購買継続の鍵を握るようになりました。

3. 広告疲弊とリーチ効率の低下

広告ブロックの普及とスキップ行動の常態化により、従来型の広告接触だけでは十分なブランド認知を形成しにくくなっています。一方的に情報を届けるマスアプローチの限界が、関係性マーケティングへのシフトを促しています。

4. SNS・クチコミの影響力増大

購買決定において、家族・友人・フォロワーからの口コミが最大の拠り所になっています。コアファンが能動的に発信・拡散することで生まれる真正性の高い情報は、企業発信の広告よりも説得力を持ちます。

5. Z世代のファンダム文化とブランド関与

Ipsosの「ファンダムとブランド成功の関係」レポート(2025年版)によると、Z世代(18〜34歳)のブランドへの関心度は他世代の2〜5倍。「推し」文化を根底に持つZ世代への施策設計では、ファンダム形成の視点が欠かせません。


ファンベースマーケティングとファンマーケティングの違い

「ファンベースマーケティング」と「ファンマーケティング」は混同されがちです。以下の表で整理します(Skettt記事 https://skettt.com/column/fan-based-marketing をもとに整理)。

観点

ファンベースマーケティング

ファンマーケティング

焦点

既存ファンとの関係深化

新規ファン獲得・認知拡大

目的

継続的な支持の維持・LTV向上

新規ユーザー獲得・熱狂の拡張

時間軸

中長期(年単位)

短中期(キャンペーン単位)

施策例

コミュニティ形成・対話・共創・ブランド体験

SNS発信・インフルエンサー起用・イベント

KPI

NPS・LTV・エンゲージメント率・リピート率

認知率・フォロワー数・UGC数

一言で言えば、ファンベースマーケティングは「今いるファンをより深いファンにする」施策であり、ファンマーケティングは「ファンを増やす」施策です。どちらが優れているというわけではなく、ブランドのステージや課題によって適切な比重が異なります。ただし、ファンを増やした後にファンベースの設計がなければ、獲得したファンが定着しないというリスクがあります。


ファンベースの3本柱——施策の骨格

マーケティング戦略をチームで議論するビジネスシーン

佐藤尚之氏が体系化したファンベースの実践アプローチは、以下の3本柱で構成されています。

柱1:共感(Empathy)のアップグレード

ブランドの価値・理念に感情的に共鳴させることを目的とします。読者や顧客が「このブランドは自分の価値観と合っている」と感じる接点を設計する施策群です。

  • ブランドストーリーの言語化・発信
  • 創業者や現場担当者の「なぜ作るのか」の開示
  • ファンとの対話セッション・Q&A
  • 企業理念や社会課題との接続(SDGs・地域貢献等)

柱2:愛着(Attachment)のアップグレード

「このブランドだけが持っている体験」を設計し、他に代えられない特別な存在になることを目的とします。体験の質と独自性が問われる領域です。

  • 限定コンテンツ・先行体験・特別感のある設計
  • ファン参加型イベント(オフライン・オンライン問わず)
  • コミュニティプラットフォームの構築・運営
  • 商品開発・サービス改善へのファン参加(共創)

柱3:信頼(Trust)のアップグレード

誠実・透明な企業姿勢で揺るぎない信頼関係を構築することを目的とします。特に不祥事・ミス発生時の対応が信頼度を左右します。

  • 誠実・透明性の高い情報発信(失敗情報も含む)
  • 不祥事・問題への真摯な対応と説明
  • 長期的な約束の履行(約束と実績の一致)
  • 顧客フィードバックへの可視化された対応

ファンが感じる3種類の価値——何を深めるかを決める

ファンベースマーケティングで施策を設計する際、ファンが感じる「価値の種類」を理解することが重要です。

価値の種類

内容

競合にコピーされやすさ

機能価値

製品・サービスの性能・スペック・使いやすさ

高い(技術・仕様は模倣されやすい)

情緒価値

使うことで感じる感情的・精神的な充足感

中程度(体験設計に依存)

未来価値

ブランドが目指す未来への共感・期待感

低い(理念・ビジョンは最も模倣困難)

多くのブランドが機能価値での差別化を試みますが、成熟市場では限界があります。情緒価値と未来価値を丁寧に設計することが、長期的な競合優位性を生む鍵となります。


ファンのグラデーション——段階別に施策を変える

ファンを「いる/いない」の二項で捉えるのではなく、関与度のグラデーションで捉えることが施策設計の精度を上げます。

段階

定義

主な施策

ライトファン

好意的・時々購入。競合に乗り換えうる

コンテンツ接触機会の増加・ブランド体験への招待

リピーター

継続的に購入・利用。愛着が芽生えている

コミュニティへの招待・限定コンテンツ提供

コアファン

能動的に情報を収集・発信。他者に紹介する

共創参加・優先アクセス・ファンイベント

アンバサダー

ブランドの代弁者として自発的に布教する

アンバサダープログラム・特別なコミュニケーション

施策コストをコアファン・アンバサダー層に重点投資し、そこから波及するクチコミ・紹介で新規層を取り込む構造が、費用対効果の高いファンベース設計です。


ファンベースマーケティングの主な施策と費用感

施策カテゴリ

主な手法

コスト目安

時間軸

コミュニティ構築

ブランドコミュニティサイト(Commune等)

月額数万〜数十万円(SaaS利用費)

中長期

ファンイベント

リアル/オンラインイベント開催

数十万〜数百万円(会場・運営費)

短〜中期

UGC促進

SNS投稿キャンペーン・レシピ投稿等

数万円〜(運用コストによる)

短〜中期

アンバサダー制度

ブランドアンバサダー採用・育成

月額数万円〜

中長期

デジタル体験(ゲーム内広告)

ゲーム空間でのブランド体験設計

30万円〜/週(Ad-Virtua参考)

短〜中期

D2C・サブスク

ブランドとの継続接点を持つ定期便等

構築コスト数百万円〜

長期

施策は単発では機能しにくく、複数の手法を組み合わせて継続的な接点設計として運用することが前提です。

ゲーム内広告市場については、ゲーム内広告の費用・料金相場で詳しく解説しています。


国内成功事例——業界別に学ぶファンベース設計

ファンベースマーケティングによるブランドロイヤルティ向上の成功イメージ

食品・飲料カテゴリ

ヤッホーブルーイング(よなよなエール)

ファンベースマーケティングの国内代表例として多数のメディアで引用されている事例です。コアファンの「ファン像の明確化」をもとに「水曜日のネコ」「インドの青鬼」等の商品ブランドを展開。ファンイベント「ヤッホーの超宴」シリーズを継続開催し、18年連続増収を達成しています(出典:『18年連続増収を導いた ヤッホーとファンたちとの全仕事』)。機能価値(味・品質)ではなく、「ファンと一緒に創るブランド」という情緒・未来価値が牽引した事例です。

カゴメ

ファンコミュニティ「&KAGOME(アンドカゴメ)」「トマコミ」を運営。コミュニティ会員のNPS(顧客推奨スコア)はSNSフォロワーの2倍以上で、3年連続上昇しています(Commune掲載情報、2026年4月確認)。レシピ投稿・製品レビューの参加型コンテンツで能動的関与を促しており、「売るための場」ではなく「楽しむ場」として設計されています。

森永製菓

ファンコミュニティ「エンゼルPLUS」を2013年から運営、会員数は約48万人(公開情報ベース)。商品を売る場ではなく「コミュニティを楽しんでもらう場」として一貫して設計されており、長期的なブランドロイヤルティ形成に成功しています。

飲食チェーン

コメダ珈琲店

ファンコミュニティサイト「さんかく屋根の下」をオープン後、1週間で7,000人が登録。フォトコンテスト・投稿機能でファンの能動参加を促進しています。「くつろぎ」という情緒価値を軸にしたコミュニティ設計が、店舗外での接点を生んでいます。

日用品・消費財

カルビー

オンラインコミュニティで顧客と共創による商品開発を実現。ファンを「消費者」ではなく「共同開発者」として位置づけることで、製品への愛着と持続的な購買意向を高めています。

IT・SaaS

BASE FOOD(ベースフード)

コミュニティ「BASEFOOD Labo」でファンが「研究員」として参加。アンケートやレシピ投稿にポイント還元システムを導入し、参加の動機付けを設計しています。

これらの事例に共通するのは、「商品を売るコミュニケーション」ではなく「ブランドの価値を一緒に楽しむ体験設計」である点です。詳しくはブランド体験とはの記事もご参照ください。


こんな企業に向いている/向いていない

ファンベースマーケティングが機能しやすい企業

  • ブランド理念・価値観が明確に言語化されている企業。「なぜこの商品を作るのか」を語れるブランドは、共感・未来価値を訴求できます
  • 顧客との継続的な接点を持てる事業体制がある(ECサイト・アプリ・店舗等)
  • 中長期のブランド価値構築を優先できる事業フェーズにある(短期売上プレッシャーが過度でない)
  • 食品・飲料・日用品・外食・IP(キャラクター)・小売など、リピート構造がある商材を持つ
  • 一定数のリピーター・既存ファンがすでにいる

ファンベースマーケティングが機能しにくい企業

  • 「今期の売上だけ」を目標に動いており、中長期施策への経営理解が薄い
  • ブランド理念が曖昧、または社内でも統一されていない
  • 顧客データ・声を収集・活用する体制がない(CRM・コミュニティ基盤がない)
  • 単発キャンペーンで終わらせる文化がある
  • 競合との機能差別化が明確で、感情訴求が不要な BtoB 領域(ただし例外あり)

効果測定・KPI設計——何で成果を測るか

ファンベースマーケティングは中長期施策のため、短期の売上指標だけで評価するのは適切ではありません。以下のKPIを組み合わせて測定することを推奨します。

KPI種別

指標

概要

感情指標

NPS(ネット・プロモーター・スコア)

「友人・同僚にどれくらい勧めたいか」0〜10点で計測。ファンの質を測る標準指標

感情指標

ブランド好意度・信頼度スコア

アンケートや定性調査で測定

行動指標

LTV(顧客生涯価値)

一顧客の累計購買額。ファン育成の成果が数年単位で現れる

行動指標

リピート率・継続率

コアファン比率の変化を追跡

拡散指標

UGC数・SNS言及トーン

コアファンが能動的に発信しているかの指標

認知指標

指名検索数

ブランド名での検索増加はファン化の間接証拠

目標設定の例:「6か月後にNPSを10ポイント向上」「コミュニティ会員のリピート率を現状比120%に」のように、現状値と比較可能な形で設定することが重要です。

顧客接点を増やした後の効果計測方法については、顧客接点を増やす方法でも詳しく解説しています。


よくある失敗パターン——実践で躓く6つのポイント

失敗1:「売り込み色」がにじみ出る

コミュニティ内やイベントでビジネス目的(告知・販促)が透けると、ファンが離脱します。l4u.mediaの調査によると、ファンがコミュニティを離れる最大理由は「企業が売りたいだけに見えたから」です。

失敗2:KPIを短期売上で設定してしまう

ファンベースは年単位の取り組みです。「3か月でROI○○%」という設定は施策の性質と合わず、成果が出る前に中断する原因になります。

失敗3:囲い込み型になる

「ファン化」を「離脱させない仕組み」として設計すると、顧客は束縛感を感じて信頼を損ないます。ファンを「繋ぎ止める」ではなく「一緒に楽しむ」設計が基本です。

失敗4:SNS炎上リスクの軽視

UGC促進施策はコントロールが難しく、意図しない投稿が炎上につながることがあります。参加ガイドラインの整備と、モニタリング体制の構築を事前に行うことが不可欠です。

失敗5:社員自身がファンになっていない

社員が自社ブランドの価値を信じていなければ、外部への訴求に熱量が生まれません(Repro Journal)。インナーブランディングとの連動が欠かせません。

失敗6:単発で終わらせる

コミュニティ運営・ファンイベントは継続前提の施策です。「1回やって反響がなかった」で終了すると、ファンの期待を裏切り逆効果になります。最低12〜18か月の継続を前提に設計・予算化することを推奨します。


デジタル体験×ファンベース——ゲーム空間での認知形成という選択肢

ゲーム空間でのデジタルブランド体験のイメージ

コミュニティやイベントがファンの「深化」に機能する一方で、そもそものブランド体験の入口をどこで作るかという問いがあります。

コアファンになる前段には「最初の体験」が必要です。Z世代・若年層に対してその入口を作る場所として、ゲーム空間は有効な選択肢の一つです。

国内ゲームプレイ人口は5,553万人を突破(博報堂DYワン掲載データ)。Z世代・α世代において、ゲームは日常生活の一部となっています。このゲームプレイ中にブランドを自然に認知させる「ゲーム内広告(インゲーム広告)」は、体験の流れを阻害せずにブランド接触を実現できる手段として注目されています。

詳しくはゲーム内広告とは——種類・仕組み・効果を解説をご参照ください。

ゲーム内広告とファンベースの接点

ゲーム空間での広告は、従来のバナー広告・インタースティシャルとは異なり、ゲームの世界観に溶け込むサイネージ型が主流です。プレイヤーのゲーム体験を中断せず、没入感のある環境でブランドを自然に認知させることができます。

没入した状態での情報接触は記憶に残りやすいとされており(博報堂DYワン調査)、初期の「ブランド認知→好感形成」ステップを支援できます。

Ad-Virtuaが合う企業の条件

以下の条件に当てはまる企業は、ファンベースマーケティングの「認知入口」として国内最大級のゲーム内広告ネットワーク「Ad-Virtua」が適合しやすいと考えられます。

  • Z世代・20〜30代男女へのブランド認知を広げたい
  • TVCM・SNS広告の動画素材を転用して効率的に展開したい(追加制作コストが低い)
  • 「ゲームを邪魔しない広告」高好感度(約84%)の接触を重視している
  • 「1週間から試したい」など小ロットで検証したい

Ad-Virtuaのゲーム内広告は、累計再生数8,000万回以上(2025年後半時点)、対応タイトル400本以上のネットワークに1週間30万円〜の出稿が可能です(税抜・詳細は公式サイトでご確認ください)。広告想起率は業界平均比1.8倍(公式サイト掲載値、2026年4月確認)という実績があります。

詳しい費用・効果指標については、ゲーム内広告の費用・料金相場をご参照ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. ファンベースマーケティングはBtoCにしか使えないですか?

A. 基本的にBtoC(消費財・食品・飲料・外食・IPなど)との親和性が高いですが、BtoBでも「企業文化の発信による共感」「ユーザーコミュニティの形成(サイボウズのkintoneコミュニティなど)」という形で機能します。ただし、決裁者が多く関与構造が複雑なBtoBでは設計の難易度が上がります。

Q2. 始めるのに最低限必要なものは何ですか?

A. ①ブランドの価値・理念の言語化、②接触できる顧客リスト(メールリスト・SNSフォロワー・会員)、③継続して運用できる体制(担当者と予算)の3点が最低限の前提です。まずは小規模なコミュニティやSNS施策から始め、反応を見ながら拡大する方法が失敗リスクを抑えられます。

Q3. 効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. NPSやエンゲージメント率の変化は6か月〜1年で測定可能になることが多いですが、LTVや売上への貢献が顕在化するのは通常1〜2年以上かかります。短期間での売上インパクトを求める状況では、ファンベースマーケティング単独での評価は難しいため、他施策(認知広告・販促等)と組み合わせることが現実的です。

Q4. コアファンが少ない(またはいない)段階でも始められますか?

A. 始められます。まず既存顧客の中から「熱量の高い人」を探し、その人たちに集中的にアプローチするところが出発点です。ゼロから始める場合は、まずブランド体験の設計(商品体験・カスタマーサポートの質・世界観の発信)から整備し、ファンが生まれやすい土台を作ることが先決です。

Q5. 施策のROIはどう説明すればいいですか?

A. 経営・上位役職者への説明では「NPS1ポイント向上 → リピート購買率○%向上 → 売上△万円増加」という定量換算モデルを使うと説明しやすくなります。また、「コアファン1人が年間に紹介する新規顧客数 × LTV」という口コミ経済価値での試算も有効です。詳細は第一想起を獲得する方法でも関連指標を解説しています。

Q6. ファンベースとインフルエンサーマーケティングはどう違いますか?

A. インフルエンサーマーケティングは「発信力のある外部人材を使って認知を広げる」施策で、短期・外向きのアプローチです。ファンベースマーケティングは「ブランドへの愛着を持つ顧客との関係を深める」施策で、中長期・内向きのアプローチです。両者は補完関係にあり、コアファン・アンバサダーをインフルエンサーとして活用する融合的な設計も有効です。


まとめ

ファンベースマーケティングは、「誰に何を届けるか」ではなく「すでにブランドを愛している人との関係をどう深めるか」を出発点にした考え方です。人口減少・広告疲弊・SNS時代という構造変化の中で、コアファンの力を活かして持続的なブランド価値を構築する手段として、食品・飲料・外食・日用品を中心に多くの企業が本格導入し始めています。

施策の全体像を把握した上で、自社の事業ステージ・ターゲット層・リソースに合った入口から始めることが重要です。若年層・Z世代への認知形成という入口として、ゲーム内広告(インゲーム広告)という選択肢も、ファンベース設計の一つとして検討してみてください。

体験型マーケティング全体の手法については体験型マーケティングとはで詳しく解説しています。