結論
PlayerWON(プレイヤーワン)は米国のTV広告テック企業Simulmediaの一事業部門で、基本無料のコンソール・PCゲームとクラウドゲームの空き時間に、プレイヤーが自分で選んで見るブランド動画広告を販売しています。日本の広告主にとっては「TVCMと同じ動画素材を、TV・CTVと同じ買い方でゲームに流す」という米国の売り方を知る材料になりますが、日本向けの在庫や窓口は確認できず、国内で同じ狙いの施策を打つなら別の手段を選ぶことになります。
公式サイトから読み取れるPlayerWONの現状
PlayerWONには、この記事の起点になる単独の発表はありません。2021年9月3日の公式ブログ(PlayerWON is Ready to Give Gamers Control of Advertising)で事業部門として名乗り出てから5年が経ち、2026年10月25日時点の公式サイトには次の内容が掲げられています。
項目 | 内容 |
|---|---|
運営主体 | Simulmediaの一事業部門。フッター表記は「© 2026 PlayerWON, a division of Simulmedia」 |
主力商品 | 基本無料(F2P)のコンソール・PCゲーム向けのオプトイン型リワード動画 |
2つめの商品 | クラウドゲーム「NVIDIA GeForce NOW」無料会員向けのプレロール広告 |
月間アクティブ | 250万(2.5MM) |
動画完了率 | 96%(クラウドゲームの欄では95%) |
オーディエンス | 90%がZ世代かミレニアル世代、33%はリニアTV・CTVでは届かない層 |
買い方 | PlayerWONチームへの直接発注(Direct IO)か、主要DSP経由のプログラマティック取引(PMP・PG) |
数値はいずれもPlayerWON自身の発表で、第三者の検証は確認できていません。
PlayerWONの事業と親会社

基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式表記 | PlayerWON® |
位置づけ | Simulmedia, Inc.の一事業部門。独立した法人かどうかは公式に示されていない |
開始時期 | 2020年秋ごろにテスト開始(2021年9月21日のブログに「約1年テストしてきた」とある)。2021年9月3日に事業部門として公式に紹介 |
本社 | PlayerWONとしての所在地は確認できていない。親会社は報道ベースでニューヨーク市 |
従業員数 | 非公開 |
責任者 | President デイブ・マッデン(Dave Madden)、GM アダム・キーニー(Adam Keaney)、Sr. Product Manager ジャマール・グラハム(Jamar Graham) |
出典: PlayerWON公式サイト、PlayerWONチームページ、2021年9月21日の公式ブログ
マッデン氏は2021年9月3日のブログで、10年以上前にWildTangentで「見て稼ぐ(watch to earn)」型の広告「BrandBoost™」を作ったと書いています。PlayerWONはこの考え方をコンソールとPCのゲームに持ち込んだ事業です。同じブログではF2PのPC・コンソールゲーム向けで「初のエンゲージメント・収益化プラットフォーム」と自称しています(自社の主張)。
親会社Simulmedia

Simulmedia(シミュルメディア)はデータとテクノロジーを使ってTV広告の枠選びと買い付けを最適化する会社です。
項目 | 内容 |
|---|---|
設立 | 2008年(公式About)。TechCrunchの2010年・2013年の記事では2009年のローンチ・創業とされている |
本社 | ニューヨーク市(TechCrunch 2013の記載。公式サイトに住所の記載はない) |
創業者 | デイブ・モーガン(Dave Morgan)。現在はCEO兼取締役会長。過去に広告ネットワークのTacoda(2007年にAOLが買収)とReal Mediaを立ち上げた(報道ベース) |
主な経営陣 | EVP・CPTO スティーブ・ポール(Steve Paule)、President, Sales マーク・シーゲル(Marc Siegel)、CFO リサ・ブレナン(Lisa Brennan)など。ウクライナにも拠点がある(公式チームページ) |
従業員数 | 非公開 |
現在のプロダクトは次のとおりです。
- TV+®: AIを使ったリニアTV・CTVの買い付けプラットフォーム
- TV+ Planning Insights: 無料のオーディエンス分析と競合ベンチマーク
- Simulmedia Self-Serve: 計画・買い付け・計測をセルフサーブで行う
- Skybeam: CTV向けのセルフサーブ(サイト上はウェイトリスト表記)
- Performance TV®: 運用代行サービス
扱うチャネルはリニアTV、コネクテッドTV、ゲーム、クロスチャネルTVの4つで、ゲームは「スポンサー型のゲーム内動画」と説明されています。公式トップに並ぶクライアントはExperian、King's Hawaiian、Choice Hotels、ABC、Frigidaire、Wayfair、パートナーはHulu、Fox、discovery+、AMC、Paramount、TVSquared、TransUnion、LiveRamp、AppsFlyer、Inscapeです。
パートナーページでは、CTV枠の一覧の中に「PlayerWon」が載っています。Simulmediaの中で、ゲームの動画枠はCTV在庫の1つとして扱われていることがわかります。
リワード動画が表示される仕組み
主力のリワード動画はマッチの合間やキュー待ちなど、プレイしていない時間に表示されます。公式サイトのデモでは、次の4つの画面で流れが示されています。
- ロビー画面に「Earn FREE Rewards!」のボタンが出る

- ボタンを押すと「WATCH AND EARN」画面が開き、もらえる報酬(例ではゲーム内通貨75)が示される。プレイヤーは「WATCH NOW」か「CANCEL」を選ぶ

- スポンサー動画がフルスクリーンで流れ、残り秒数が表示される。プレイヤーはいつでも視聴をやめられる

- 最後まで見ると「REWARD UNLOCKED」と表示され、報酬がすぐに付与される

公式はこの仕組みの原則として「完全オプトイン」「プレイの流れを邪魔しない」「信頼できるブランドの高品質な広告だけを流す」「すぐに報酬を渡す」の4つを掲げています。
素材の尺は15秒・30秒・60秒で、リニアTVやCTV用の素材をそのまま流せます(IAB PlayFronts登壇時のブログ)。広告主はTVCMの素材を作り直さずに出稿できるということです。
広告を見たプレイヤーに報酬を渡す形式そのものは、モバイルゲームでも広く使われています。仕組みと効果はリワード動画広告の解説記事で整理しています。
クラウドゲームのプレロール広告
2つめの商品はNVIDIAのクラウドゲームサービス「GeForce NOW」の無料会員向けの広告です。無料会員がゲームを選ぶと、セッションが始まる前に動画広告が流れます。NVIDIAの公式FAQによると、広告は1セッションあたり最大2分で、キューの長さに関係なく2分を超えません。
PlayerWON側は「広告を見ると待ち時間が短くなる、またはなくなる」と説明しています。一方でNVIDIAのFAQは、サーバーが混んでいれば無料会員は広告のあとも待つことがあるとしています。
クラウド広告の尺について、公式トップページは15秒・30秒・60秒で1日あたりの表示回数に上限があると書いています。2024年3月25日のブログでは15秒・30秒を標準とし、製薬などの業種向けに長尺もあると説明しています。
広告の買い方

買い方は2通りです。1つはPlayerWONのチームに直接発注する方法、もう1つは主要なDSPを通じたプログラマティック取引で、PMP(プライベートマーケットプレイス)とPG(プログラマティック・ギャランティード)に対応しています。どちらもTV・CTVの広告枠と同じ買い方です。
対応プラットフォームとインベントリ規模
対応しているのはコンソール、PC、クラウドゲーム(GeForce NOW)です。2025年に公開したUnreal Engine向けのSDKでは、スマートTVも対象に挙げています。対応するコンソールの機種名(PlayStation、Xbox、Nintendo Switchなど)は公式には書かれていません。
インベントリの規模として公表されているのは、月間アクティブ250万という数字です。提携しているタイトル数やパブリッシャー数は公開されていません。2022年のIAB PlayFronts登壇時には、対象を「上位20本のF2Pコンソール・PCゲーム」と説明していました。

公式サイトはこの図で「PlayerWONのオーディエンスの3分の1は広告付きTVでは届かない」と示しています。TV広告の会社がゲームの枠を売る理由は、この33%という数字に表れていると読めます。
主要パートナー
区分 | 企業・タイトル |
|---|---|
ゲームパブリッシャー | Gameloft(『Asphalt Legends Unite』『Dragon Mania Legends』)、Ubisoft |
クラウドゲーム | NVIDIA GeForce NOW |
デモに名前が出るタイトル | 『Smite』『Brawlhalla』 |
開発ツール | Unreal Engine向けSDK(Fabストアで無料公開) |
公式トップページの「Our Gaming Partners」には6社のロゴが並んでいますが、画像に社名の説明がなく、どの会社かは確認できませんでした。
計測や検証のベンダーは、PlayerWONとしては公表されていません。親会社Simulmediaのパートナーページには、AppsFlyer、Comscore、Dynata、iSpot、Kantar、Nielsen、TVSquared、LiveRamp、TransUnion、Experianなどが並んでいます。ただし、これらがPlayerWONの配信に使われているかはわかりません。MRC(米国の広告測定の認定機関)などの認定も確認できていません。
ここまでの歩み
PlayerWONはスタートアップでも巨大企業の一部門でもなく、中堅のTV広告テック企業が始めた新規事業です。そのため、親会社の資金調達とゲーム事業の歩みを分けて振り返ります。
親会社Simulmediaの資金調達
PlayerWON単体の資金調達は確認できませんでした。以下はすべて親会社Simulmediaの調達で、公式リリースは見つかっておらず、TechCrunchの報道に基づきます。
時期 | ラウンド | 金額 | リード投資家 | 主な参加者 |
|---|---|---|---|---|
2010年4月以前 | 初期の調達(時期・回数は不明) | 不明 | 不明 | Avalon Ventures、Union Square Ventures(2010年の記事で既存投資家として登場) |
2010年4月 | シリーズB | 800万ドル | Time Warner Investments | Avalon Ventures、Union Square Ventures |
2013年2月 | 既存投資家によるインサイドラウンド(5回目の調達) | 500万ドル | 記載なし | Time Warner Investments、Avalon Ventures、Union Square Ventures |
2010年4月以前:初期の調達
2010年のTechCrunchの記事は、Avalon VenturesとUnion Square Venturesを既存投資家として挙げ、この時点の累計を1,200万ドルとしています(報道の数字で、公式の記載はありません)。初期ラウンドの時期・金額・リード投資家は確認できませんでした。
2010年4月:シリーズB 800万ドル
Time Warner Investmentsがリードしました。資金は技術基盤の開発と、セットトップボックスのデータを使ったマーケティングサービスの開発を続けるために使うとされています。TVの視聴データを広告の枠選びに使う、という創業時からの事業を広げる段階でした。
2010〜2012年:詳細不明
2013年の記事がこの年の調達を「5回目」としているため、間に少なくとも2回の調達があったと読めますが、内容は確認できていません。
2013年2月:500万ドル(5回目の調達)
既存の3社だけが出資したインサイドラウンドです(TechCrunch 2013)。TV広告にネット広告型のターゲティングを持ち込む事業を広げるための資金で、前年に売上が約10倍、人員が倍増したと報じられています。
2013年以降の調達は確認できませんでした。累計調達額は公式に書かれておらず、TechCrunch 2013は主要3社からの合計を約3,200万ドルとしています(全投資家の合計ではありません)。現在の取締役会オブザーバーにはブレイディ・ボーマン(Brady Bohrmann)氏とブラッド・バーナム(Brad Burnham)氏の名前がありますが、所属先は公式ページで確認できていません。日本企業の出資は確認できませんでした。
この履歴からわかるのは、投資家が評価してきたのが「データでTV広告を買う」事業だという点です。ゲーム事業のPlayerWONは、確認できる最後の調達(2013年)から7年ほどたった2020年ごろに始まっており、外部の投資家がゲーム事業そのものをどう評価しているかは、調達の記録からは読み取れません。
Simulmediaとゲーム事業の時系列
時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
2008年 | Simulmedia創業(公式)。データでTV広告の枠選びを改善する事業 | |
2015年9月 | TiVo ResearchとTV広告のROI検証で提携 | PR NewswireのSimulmediaリリース |
2017年3月 | LiveRampと、広告主の自社データをTV広告に使う取り組みで提携 | 同上 |
2020年秋ごろ | PlayerWONのモデルのテストを開始 | 2021年9月21日のPlayerWONブログからの逆算 |
2021年7月19日 | モーガンCEOがブログで「ゲームは動画広告の次の主戦場」と発信し、PlayerWONに触れる | |
2021年9月3日 | PlayerWONをSimulmediaの新事業部門として公式に紹介。すでに複数のPC・コンソールゲームで稼働中(タイトル名は非公開) | |
2021年9月21日 | 「数十のキャンペーンを実施中」と公表。広告主は他のゲームではなく一般ブランド | |
2022年 | 第1回IAB PlayFronts(ニューヨーク)に登壇し、ブランドリフトの数値を公表(日付は未確認) | |
2022年3月14日 | ゲーム設計者向けのFAQを公開し、ログイン・課金・プレイセッションへの効果を提示 | |
2024年3月25日 | NVIDIA GeForce NOWとクラウドゲーム広告で提携 | |
2024年12月5日 | Gameloftの2タイトルと提携 | |
2025年5月15日 | Unreal Engine向けSDKをFabストアで無料公開。PC・コンソール・スマートTVを対象とする | |
2026年10月 | 公式サイトで月間アクティブ250万、完了率96%などを表示 |

2021年から2022年はブランドの広告主を集めて効果の数字を示した時期、2024年以降はクラウドゲームや大手パブリッシャー、開発ツールへと在庫の入口を広げた時期と整理できます。この区分は公式の説明ではなく、時系列から読み取ったものです。
2025年のSDK公開時、マッデン氏は「このSDKは、開発者がプレイヤーと新しい形で意味のあるつながりを持つための大きな前進だ」と述べています(公式ブログ)。
当初の見込みと現在
撤退やサービス終了の公式発表は見つかりませんでした。一方で、立ち上げ時の見込みと現在の姿には差があります。
マッデン氏は2021年9月3日のブログで「私たちのモデルは、コンソール・PC・クロスプラットフォームのゲームで事実上の新しい標準になる」と述べ、その時期を12〜24か月以内と見込んでいました。2026年10月時点で公表されているのは、月間アクティブ250万と、名前を確認できる少数の提携先です。
親会社Simulmediaのサイトでは、PlayerWONの名前は前面に出ていません。ゲームチャネルのページの数値欄は空の状態で表示され、ブログの話題もTV、製薬、エージェント同士の自動取引が中心です。PlayerWONのブログは、サイトマップ上では2025年5月15日の記事が最新です。これらは観察できた事実で、事業の縮小を示す発表ではありません。
前身にあたるWildTangentのBrandBoostがその後どうなったかも確認できていません。
広告出稿事例
PlayerWONとSimulmediaの公式サイトでは、ブランド名を明かした出稿事例を確認できませんでした。Simulmediaの事例集(約35件)はすべてTV・CTVの事例で、ゲームに関係する1件も、モバイルゲーム会社がTV広告を出した事例です。
そのため、ここではゲーム側の導入事例2件と、PlayerWONが公表している効果の数値を紹介します。
事例1:Gameloft『Asphalt Legends Unite』『Dragon Mania Legends』
2024年12月5日、PlayerWONはGameloftの2タイトルにリワード型のスポンサー動画を導入すると発表しました(公式ブログ)。
- 『Asphalt Legends Unite』(レースゲーム): 動画を見ると、カスタマイズ用アイテムやアップグレードがもらえる
- 『Dragon Mania Legends』: Gems、無料アイテム、ドラゴン育成の時間短縮などがもらえる

同じ記事には、UbisoftとNVIDIA GeForce NOWが既存のパートナーだと書かれています。この提携の効果を示す数値は確認できていません。
事例2:NVIDIA GeForce NOW無料会員向けのプレロール広告
2024年3月25日、PlayerWONはNVIDIA GeForce NOWとの提携を発表し、「NVIDIAとPlayerWONはクラウドゲーム広告で初」と自称しました(公式ブログ)。無料会員がゲームを始める前の待ち時間に、最大2分の動画広告を流す仕組みです。

同じブログによると、インプレッションの大半は米国で発生しています。公表されている効果指標は、公式トップページのクラウドゲーム欄にある動画完了率95%です。
公表されている効果の数値
PlayerWONは2022年の第1回IAB PlayFrontsで、広告を見たプレイヤーのブランドリフトを公表しました。独自のサーベイとブランドリフト調査によるもので、対象ブランドや調査の規模は公開されていません。
指標 | 上昇率 |
|---|---|
購入意向 | +306% |
ブランドへの印象 | +97% |
ブランド認知 | +43% |
マッデン氏はこの登壇で「ゲーマーは、プレイを充実させる報酬をもらえるのが大好きだ」「全員が得をする」と語っています。
ゲーム開発者向けには2022年3月14日のFAQブログで、広告を見たプレイヤーのログインが17%、課金額が11%、プレイセッションが22%増えたという比較を示しています(自社の引用)。2021年9月3日のブログでは、人気F2Pゲームのプレイヤーの77%が「15秒・30秒の広告を見て無料のゲーム内アイテムをもらえる選択肢がほしい」と答えたという自社調査も紹介しています。
いずれもPlayerWON自身の調査で、比較の条件や母数は公開されていません。
参考:『Smite』のリワード型動画広告
Hi-Rez Studiosの『Smite』は、オプトイン式でスキップでき、報酬がもらえるフルスクリーンの動画広告を「週に数百万回」配信していると、Simulmediaのモーガン氏が2021年7月19日のブログで紹介しています(Simulmediaブログ)。この記事では、配信をPlayerWONが担っているかは明言されていません。
なぜこの動きが起きたのか
PlayerWONはTV広告の会社が「TVでは届かなくなった若年層」を追ってゲームに入った事業です。オーディエンスの90%がZ世代・ミレニアル世代で、33%がリニアTV・CTVでは届かないという公式の数字は、TV広告主に向けた説明として作られていると考えられます。
ゲームの枠をTVの買い方で売れるようにした点も、この出自から来ていると考えられます。素材はTVCMと同じ15秒・30秒・60秒で、買い方は直接発注かDSP経由のPMP・PG、Simulmediaの中ではCTV在庫の1つとして並んでいます。TV広告の予算を持つ広告主が、新しい手続きなしで若年層向けの枠を足せるようにした設計と読めます。
もう1つの理由はコンソール・PCの基本無料ゲームの事情です。2021年9月3日の記事でモーガン氏は「主導権はゲーマーにある」と述べています。プレイヤーが見るかどうかを選び、見れば報酬をもらえる形にすることで、コンソール・PCのプレイヤーに受け入れられる広告の形を探ったと読めます。報酬の内容はゲーム開発側が決め、期待値をA/Bテストできるようにしている点も、開発者が収益と遊びやすさの釣り合いを取りやすくする工夫と考えられます。
TVCMを補う施策として若年層への接点を探している場合は、テレビCMの代替・補完施策も参考になります。
日本市場ではどうか
PlayerWONの日本展開
日本法人、日本語のページ、日本の代理店との提携、日本企業からの出資は、いずれも確認できませんでした。GeForce NOWの広告インプレッションも、大半が米国だと自社ブログに書かれています。
日本の広告主は今使えるか
直接発注か主要DSP経由のPMP・PGで買えるため、米国向けのキャンペーンであれば、日本の広告主が出稿することは仕組みの上では可能です。ただし、日本のプレイヤーに向けた在庫があるかは確認できていません。日本の広告主が検討するときの課題は次の3つです。
- 在庫が北米中心で、日本のプレイヤーへの配信量がわからない
- 日本語の営業窓口やサポートがない
- 日本でGeForce NOWを提供しているのは国内の提携事業者で、日本の無料プランにPlayerWONの広告が出ているかは確認できていない
国内の同じ種類の動き
コンソール・PCの基本無料タイトルで、ブランド動画を見て報酬をもらう公式の仕組みを提供している国内事業者は、今回の調査では確認できませんでした。調査の範囲が限られているため、国内に存在しないとまでは言えません。
日本で同じ広告を実施する選択肢
日本でPlayerWONと同じ狙い、つまり「TV・CTVで届きにくい若年層に、ゲームの中で動画を見てもらう」施策を打つなら、選択肢の一つがAd-Virtuaです。ただし、広告の形式は違います。
比較ポイント | PlayerWON | Ad-Virtua |
|---|---|---|
広告の種類 | ゲームの外で流すリワード動画(プレイヤーが自分で再生を選ぶ) | ゲーム空間の看板・モニターに流す動画広告(プレイ中に視界に入る) |
表示のタイミング | マッチの合間、キュー待ち、クラウドゲームの開始前 | プレイ中 |
主な配信地域 | 米国中心 | 日本国内 |
規模 | 月間アクティブ250万(自社発表) | 400タイトル以上 |
買い方 | 直接発注、主要DSP経由のPMP・PG | 1週間300,000円のプラン |
素材 | 15秒・30秒・60秒のTV・CTV用素材を流用できる | 既存の動画素材を流用しやすい |
主な指標 | 動画完了率96%、ブランドリフト(自社調査) | 広告想起率、注目度 |
絞り込み | 公式には示されていない | 年齢・性別・タイトル・地域 |
PlayerWONはプレイヤーの同意を得て動画を最後まで見てもらう形なので、完了率が高く、動画の内容を最後まで伝えられます。Ad-Virtuaはプレイ中のゲーム空間に広告を置くため、プレイヤーが操作を止めずに目にする形です。見てもらう深さではPlayerWONの形式が、プレイを中断させない点ではAd-Virtuaの形式が向いていると考えられます。ゲーム内広告の種類ごとの違いはゲーム内広告とはで全体像をまとめ、リワード広告とサイネージ広告の違いはリワード広告とゲーム内サイネージ広告の比較で詳しく比べています。
Ad-Virtuaが合うのは、次のような企業です。
- TVCMやSNS用の動画素材があり、国内の若年層に向けてゲームの中でも流したい
- 年齢・性別・地域を絞って、国内のプレイヤーに配信したい
- 1週間単位の予算で小さく試し、想起率などを確かめたい
一方、次のような企業にはAd-Virtuaは合いません。
- 視聴を最後まで終えてもらうこと(完了率)を最優先にしたい
- 米国のコンソール・PCゲームのプレイヤーに届けたい
ゲーム内広告を扱う国内外の事業者はゲーム内広告プラットフォームの比較で比べています。
広告主が取るべき判断
こんな企業におすすめ(PlayerWONを今検討してよい)
- 米国でTV・CTVの広告を出していて、同じ素材とDSPで若年層向けの枠を足したい企業
- 北米のコンソール・PCゲームのプレイヤーに、完了率の高い動画で届けたい企業
- 製薬など、長尺の素材が必要な業種で米国向けに出稿している企業
おすすめしない企業(様子見でよい)
- 日本国内のプレイヤーに届けたい企業。日本向けの在庫と窓口が確認できない
- 社内で予算を通すために、同業ブランドの事例が必要な企業。ブランド名入りの事例は公開されていない
- 第三者による効果検証を出稿の条件にしている企業。公表数値はいずれも自社調査で、計測ベンダーも公開されていない
国内の若年層への接点づくりを食品・飲料の文脈で考える場合は、食品・飲料の若年層リーチで施策を整理しています。
関連する基礎知識
- ゲーム内広告とは:リワード広告やサイネージ広告を含む、ゲーム内広告の種類と全体像
- リワード動画広告とは:報酬と引き換えに広告を見てもらう形式の仕組みと効果
- リワード広告とゲーム内サイネージ広告の比較:費用・効果・向いている商材の違い
- テレビCMの代替・補完施策:TVで届きにくい層に届ける媒体の選び方
- ゲーム内広告プラットフォームの比較:国内外の事業者の違い
よくある質問
プレイヤーがもらえる報酬の内容は、広告主が決められますか?
公式の説明では、報酬の内容を決めるのはゲームの開発側です。開発側はバックエンドで報酬の期待値をA/Bテストできます(2022年3月14日のFAQブログ)。広告主が報酬の中身を指定できるかは公開されていません。
動画を途中でやめたプレイヤーはどう扱われますか?
プレイヤーはいつでも視聴をやめられ、報酬は最後まで見た場合に付与されると説明されています。途中でやめた視聴が広告主の請求や完了率の計算でどう扱われるかは公開されていないため、出稿前に確認が必要です。
『Smite』や『Brawlhalla』に出稿すれば、日本のプレイヤーにも届きますか?
両タイトルは公式サイトのデモに名前が出ていますが、PlayerWONの広告がどの国のプレイヤーに配信されているかは公開されていません。日本のプレイヤーに届くかどうかは確認できていません。
2022年のブランドリフト(購入意向+306%など)は、自社の判断に使えますか?
調査の設計、母数、対象ブランドが公開されていないため、ほかの媒体の数値と並べて比べることはできません。方向性の参考にとどめ、出稿するなら自社で計測の条件を決めて検証するのが確実です。
PlayerWONに問い合わせるには、どこに連絡すればよいですか?
公式サイトから直接発注の窓口に連絡するか、利用しているDSPを通じてPMP・PGの取引を相談する方法があります。日本語の窓口は確認できませんでした。


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