発表の内容:想起+9ポイント、施策は常設型へ
米国のゲーム広告会社スーパーリーグ(Super League)は2026年10月5日、外食チェーンのパンダエクスプレス(Panda Express)とロブロックス(Roblox)・フォートナイト(Fortnite)で続けてきた施策について、ニールセン(Nielsen)の独立調査で広告想起が非接触群より9ポイント高かったと公表した。あわせて、2026年下半期から期間限定の施策を常設型に切り替えると発表した。日本の広告主にとっては、ゲーム内広告を「何回表示されたか」ではなく「想起・検討・来店意向が動いたか」で評価し、その結果を継続出稿の判断材料にする進め方の実例になる。

発表はグローバルニュースワイヤー(GlobeNewswire)経由で、米カリフォルニア州サンタモニカから2026年10月5日午前10時45分(米東部時間)に配信された(スーパーリーグ公式リリース)。施策はパンダエクスプレスのメディアAOR(メディア領域の担当広告代理店)であるザ・メニー(The Many)と共同で進めている。狙う層は18〜34歳である。
施策の経過
- 2025年下半期に旧正月(Lunar New Year)の施策から始め、ブランドマスコットのペイペイ(Pei Pei)をゲーム内に登場させた
- 2026年初頭にカスタム施策へ広げ、フォートナイトではシネマティック(映像演出)シーン、ロブロックスでは障害物コースのオビー(Obby)を用意した
- ゲーム内では、オリジナル・オレンジチキン(The Original Orange Chicken)、ハニーウォルナットシュリンプ(Honey Walnut Shrimp)、カンパオチキン(Kung Pao Chicken)の3品をバーチャルで紹介した
リリース中のコメントには「この18か月("The past 18 months")」という表現がある。一方、本文の開始時期は「2025年下半期」で、仮に2025年7月開始としても発表時点では約15か月になる。正確な開始月は公表されていない。
ニールセン調査の結果
調査はニールセンによる独立調査で、90%信頼水準で示されている。
指標 | 結果 |
|---|---|
キャンペーン想起 | 非接触群より+9ポイント |
ブランド認知 | +3ポイント |
検討意向 | 64%→67% |
推奨意向 | 61%→64% |
30日以内の購買意向 | 高い購買意向の側へ5ポイント移動 |
短期の来店 | 対照群比で「5%増」 |
来店の「5%増」には注意が要る。リリースは "5% increase in near-term restaurant visits versus the control group" と書くだけで、相対値で5%なのかポイント差なのか、実際の来店データなのか調査回答(自己申告)なのかを説明していない。現時点では「接触群は短期の来店(意向)が対照群より5%高かった」と読むのが妥当と考えられる。サンプル数、調査期間、接触の定義、プラットフォーム別の内訳も開示されていない。
プラットフォーム別には数値のない補足がある。ロブロックスでは、施策を想起した人ほど近いうちの購入でパンダエクスプレスを検討しやすく、友人に勧めやすい(有意)とした。フォートナイトでは、ゲーム内サーベイで接触者の認知と好意が高かったとしている。
2026年下半期の計画
面 | 内容 |
|---|---|
フォートナイト | 期間限定メニューと連動するマップ統合を3本追加。ゲーム内ビルボードは6か月のフライト全期間で常時掲出 |
ロブロックス | パンダエクスプレス・オビーを、キャンペーン期間だけの体験から常設の単独スポットとして再ローンチ。新NPC、季節コース、メニュー連動などの月次更新を6回行う |
リリースは、フォートナイトとロブロックスを合わせた月間アクティブプレイヤーを「推定2.2億人(グローバル、合算)」としている。スーパーリーグによる記載で、各プラットフォームの公式値ではない。
コメント
コメントはスーパーリーグのEVP(クライアント戦略担当)、リアノン・アップル(Rhiannon Apple)氏のものだけで、パンダエクスプレスとザ・メニーのコメントはない。
"The brands that treat gaming like a media buy get a flight that runs and ends."
(ゲームを単なるメディアバイとして扱うブランドが手にするのは、流して終わるだけのフライトです)
"Repeat investment only happens when the results are there. The brand lift data, combined with authentic player enthusiasm, made it clear this was a program worth re-activating."
(継続投資は成果があってこそです。ブランドリフトのデータに、プレイヤーが心から楽しんでいる様子が加わったことで、再始動する価値のある施策だとはっきりしました)
受賞歴
「Leveling Up」と題した施策は、2025 Planning & Buying Award のNew / Emerging / Experimental Media部門を受賞した。施策の実施時期と主催団体名はリリースに書かれていない。2026年の旧正月施策は、OMMA 2026 Gamingのファイナリストに選ばれている。
受賞時の実績として、リリースはロブロックスのエンゲージメント率16%、フォートナイトで53.7万エンゲージメント、カットシーン視聴26.5万(ゲームプレイを中断しない形)を挙げている。同じ箇所に「計45万エンゲージメント」ともあるが、フォートナイト単体の53.7万を下回っており数字が整合しないため、本稿では合計値を扱わない。
スーパーリーグとはどんな会社か

スーパーリーグは、ロブロックスやフォートナイトの中にブランドの空間や広告を置き、その効果を測るところまでを請け負う米国の上場企業である。年次報告書(2025年度10-K)では自社を "audience intelligence and media activation company" と説明している。
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式社名 | Super League Enterprise, Inc.(2026年第4四半期のクロージング後に Superplanet, Inc. へ社名変更予定) |
設立 | 2014年10月1日、デラウェア州で Nth Games, Inc. として設立。2015年6月に Super League Gaming, Inc.、2023年9月に現社名へ変更 |
本社 | 米カリフォルニア州サンタモニカ |
上場 | ナスダック・キャピタル・マーケット。現在のティッカーはSLE、クロージング後はSUPAの予定 |
CEO | マット・エデルマン(Matt Edelman)氏(2026年第2四半期決算時点) |
創業者 | 一次情報では確認できなかった |
従業員 | 34人(フルタイムとFTE、2025年12月31日時点) |
売上 | 2025年度は1,134万ドル(前年1,618万ドルから30%減)。純損失は2,072万ドル |
直近の四半期 | 2026年第2四半期は総売上約300万ドル、純売上約124万ドル、粗利率41%、調整後EBITDAは約170万ドルの赤字 |
公式サイトやリリースでは「世界35億人のゲーム人口」へのリーチをうたっているが、これは市場全体の人数で、スーパーリーグ自身の到達人数ではない(10-Kでは33億人と記載)。
財務面のリスクも開示されている。2025年度は上位2社で売上の22%を占め、10-Kのリスク要因には継続企業の前提に関する注記(営業収益だけでは事業を維持できない旨)がある。2025年6月に1対40、2026年1月に1対12の株式併合を行った。2026年第4四半期には調整後EBITDAの黒字化を目標に掲げている。数字の詳しい読み方はSuper Leagueの2026年第2四半期決算の解説で扱っている。
提供プロダクト「プレイ・エフェクト」
スーパーリーグの中核は、自社で「インテリジェンスエンジン」と呼ぶプレイ・エフェクト(Play Effect)で、次の3つで構成される。
- オーディエンス・インテリジェンス(Audience Intelligence):どのオーディエンスが、何に動機づけられ、どこで注意が高まるかを特定する
- メディア・アクティベーション(Media Activation):ゲーム・デジタル・ソーシャルでキャンペーンを運用する
- クリエイティブ・レリバンス(Creative Relevance):プレイヤーが参加するブランド体験を設計する

オーディエンスの分類には、ソルステン(Solsten)の心理学研究をもとにした「プレイ・ペルソナ(Play Personas)」を使う。プレイヤーを「Impact Advocates」「Reward Seekers」など6つのペルソナに分ける。
広告がゲーム内に表示される仕組み
広告の出し方は大きく2系統ある。
- ブランドの独自空間を作って運営する。ロブロックスのオビーやフォートナイトのマップをブランド専用に制作し、プレイヤーに遊んでもらう。今回のパンダエクスプレスはこちらが中心である
- 既存のゲーム内の看板などに広告を出す。2021年に買収したブロックスビズ(Bloxbiz)がこの系統の源流で、買収時点でロブロックスの75超のゲームで看板広告を販売し、3D空間での視認性を計測していた。当時のロブロックス上の月間ユーザーは2,500万人超とされた

10-Kに記載された広告フォーマットは、プレイアブル広告、リワード動画、ゲーム内広告の3種類である。看板型とブランド空間型の違いは、ゲーム内広告とはで整理している。
対応プラットフォーム
配信先は、ロブロックス、フォートナイト、マインクラフト(Minecraft)、モバイルゲーム、CTV(コネクテッドテレビ)、デジタル動画、ソーシャルである。公式サイトには、PC、クレイジーゲームズ(CrazyGames)、ゲームラント(GameRant)、CTVのサムスン(Samsung)、ビジオ(Vizio)、LG、ロク(Roku)のロゴも並ぶ。
2026年は面をさらに広げている。6月にプレイ・ワークス(Play.Works)のCTVアドバーゲーム在庫について米国の広告販売パートナーになり、9月にはブラウザゲームに関するホワイトペーパーを公開し、10月にはディスコード(Discord)での施策も手がけた。ブラウザゲームについてはSuper LeagueのWebゲーム広告白書の解説にまとめている。
主要な取引先
公式サイトの「trusted by」には、マテル(Mattel)、パラマウント(Paramount)、ESPN、ディズニー(Disney)、チポトレ(Chipotle)、ヒュンダイ(Hyundai)、ダッジ(Dodge)、ライオンズゲート(Lionsgate)、パンダエクスプレスなどのロゴが並ぶ。日本の読者に関係が深いのはハイチュウ(Hi-Chew)で、森永製菓の米国展開ブランドである。ただし、出稿したのが米国法人かどうかは確認できていない。
効果計測では今回ニールセンを起用したが、ほかに常設の計測ベンダーがいるかは公表情報からは分からない。
ここまでの歩み:eスポーツ大会からゲーム内ブランド広告の専業へ

スーパーリーグは、映画館などでアマチュアeスポーツ大会を開く会社として始まった。その後、配信やマインクラフトのサーバー運営に広げ、2024〜2025年にそれらを手放している。現在残っているのは、ロブロックスを中心とするゲーム内広告とブランド空間の制作である。
上場前の資金調達
時期 | 内容 | そのとき会社がしていたこと |
|---|---|---|
2017年6月以前 | シネマーク(Cinemark USA)、ETキャピタル(ET Capital)、クアドラント・マネジメント(Quadrant Management)が出資。ラウンド名、時期、金額は確認できていない | アマチュアeスポーツ大会の運営 |
2017年6月 | シリーズCで1,500万ドル。ニコロデオン(Nickelodeon、バイアコム傘下)、DMGエンターテインメント、トバ・キャピタル、カリ・グループ、アクシオマティック(aXiomatic)、ジェフ・ヴィニック氏らが参加し、ソフトバンクが運用するファンドも加わった。リード投資家は確認できていない。この時点で累計調達額は2,800万ドル超(公式記載) | 映画館などでのマインクラフトやリーグ・オブ・レジェンドのアマチュア大会 |
2019年2月 | ナスダックに上場。ティッカーSLGG、1株11ドルで227万2,727株を売り出した | 上場により公開市場から資金を調達 |
出典はシリーズCのリリースとIPOのリリースである。シリーズCのリリース見出しには「SoftBank ISAT」とあるが、正式なファンド名は確認できていない。調達資金の用途は記載されていない。
上場後の買収・売却・撤退
時期 | 出来事 |
|---|---|
2021年6月 | 配信技術のモブクラッシュ(Mobcrush)の買収を完了。マイクロソフト公式のマインクラフトサーバー「Mineville」も取得し、米国の月間ゲーマー7,500万人超へのリーチを主張 |
2021年8月 | クリエイター収益化のバナーファイ(Bannerfy)買収に言及。Young Gamer / Core Gamerの2つのネットワークを設立 |
2021年10月 | ブロックスビズを買収(現金、株式、アーンアウト。金額は非開示)。ゲーム内広告事業に本格参入 |
2022年 | 「メタバース」を前面に出す。iハートメディア(iHeartMedia)との提携、ドリームワークス『The Bad Guys』の施策など |
2023年9月 | 社名から「Gaming」を外し、Super League Enterpriseに変更 |
2024年1月 | 2023年第4四半期の速報売上が過去最高の約940万ドル(前年同期比+32%) |
2024年2月 | マインクラフトのサーバー事業Minehutをゲーマーセーファー(GamerSafer)に売却(2年間の収益・ロイヤルティ分配で総額100万ドル) |
2024年3月 | チャーティス(Chartis)との提携でフォートナイト対応を強化。コモンセンス・ネットワークス(Common Sense Networks)と子ども向けの安全な広告に取り組む |
2025年5月 | スーパーソーシャル(Supersocial)を買収。Minevilleを35万ドルで売却(広告販売権は2年間保持)。モブクラッシュの配信事業を解散 |
2025年度 | InPvPを売却。売上は前年比30%減 |
2026年1月 | レッツバウンス(Let's Bounce)の資産を取得(20万ドルと最大32.5万ドルの条件付き対価) |
2026年5月 | ミスフィッツ(Misfits)の広告事業の資産取得を完了 |
2026年6月 | プレイ・ワークスのCTVアドバーゲーム在庫の米国広告販売パートナーに就任 |
2026年8月18日 | メタプラネット(東証スタンダード、3350)による出資を発表。2,100BTCと現金250万ドルを拠出し、クロージング後に普通株の約95.7%を保有する |
2026年10月5日 | 今回のパンダエクスプレスの発表 |
2026年10月16日 | 年次株主総会で関連議案をすべて承認。クロージングは2026年第4四半期の予定 |
2021年に買収したモブクラッシュの配信事業とMinevilleは、2025年までに解散または売却した。Minehutも2024年に手放している。視聴者や遊び場を自社で抱える事業から撤退し、ブランドの依頼を受けてゲーム内に広告や空間を置く事業に絞った形である。2021年のブロックスビズ買収で始まった看板広告と、ブランド空間の制作が今の柱になっている。
メタプラネットの出資は、米国でのビットコイン・トレジャリー事業が目的である。リリースは広告・メディア事業を「独立した事業セグメントとして継続する」としている。取引の条件はメタプラネットによるSuper League出資の解説で詳しく扱っている。
今回の発表の位置づけ
同社が公開しているほかの事例は、プレイヤー数や滞在時間などゲーム内で数えられる指標が中心で、購買率まで示したものは一部にとどまる(次章の事例を参照)。今回はニールセンという第三者が接触群と非接触群を比べ、想起・認知・検討・推奨・購買意向まで示している。さらに、その結果を受けて同じ広告主が施策を常設型で続ける。成果の示し方が、ゲーム内の量の指標から第三者が測ったブランド指標へ一段進んだと考えられる。
広告出稿事例
スーパーリーグのケーススタディには、外食・食品のブランドが多い。以下の数値は同社の発表によるもので、実施年は掲載されていない。
パンダエクスプレス:ホット・オレンジチキンの復活に合わせた施策
ホット・オレンジチキン(Hot Orange Chicken)の復活に合わせ、フォートナイト・クリエイティブとロブロックスで施策を行った。ペイペイが登場するカットシーンと、ゲーム内の報酬を組み合わせている。
- カットシーンの視聴と報酬の獲得:26.5万人超
- ペイペイとの累計滞在時間:65日分
- プレイヤーインタラクション:18.5万超
パンダエクスプレスは1983年に創業した米国最大の家族経営のアジア料理チェーンで、米国内に2,500店超を持つ(リリース記載)。冒頭の画像は、同社の旧正月施策の世界観を示すものである。
チポトレ:ロブロックスのハロウィン施策「Boorito Maze」
外食チェーンのチポトレは、ハロウィンをテーマにしたゲーム体験「Boorito Maze」をロブロックスで実施した。
- ユニークプレイヤー:350万超
- モバイル売上が過去最高の日になった
- アプリのダウンロードとデジタル取引が単日で過去最高になった

売上やアプリの記録は、スーパーリーグがケーススタディで使っている表現である。施策との因果関係をどう確かめたかは示されていない。
ランチャブルズ:バーチャルワールド「Playables」
食品ブランドのランチャブルズ(Lunchables)は、アバター、ARゲーム、収集型の報酬でプレイヤーの再訪を促すバーチャルワールドを展開した。掲載面は明記されていない。
- エンゲージメント:1,000万時間
- 獲得ポイント:74億
- バーチャルペットの交換:730万
- 購買率:+6.3%

画像の看板には「This is an AD」と、広告であることが表示されている。
メイベリン:ロールプレイワールドでのバーチャル試用
化粧品ブランドのメイベリン(Maybelline)は、ロブロックスの人気ロールプレイワールドをテイクオーバーし、チーク「Sunkisser Blush」を試せる体験にした。
- バーチャル試用:2,500万回超
- ブランドインプレッション:3,850万
- 平均滞在:9分

4件を並べると、計測の深さが事例ごとに違う。チポトレとメイベリンはゲーム内の量と自社の記録、ランチャブルズは購買率、パンダエクスプレスは第三者調査のブランド指標まで示している。
なぜこの動きが起きたのか
アップル氏のコメントにあるとおり、スーパーリーグはゲームを「流して終わるフライト」として売ることに否定的な立場をとる。同社は、キャンペーンとキャンペーンの間にもファンが戻ってくる理由を用意するよう、パートナーに勧めているとも述べている。常設のオビーに月次更新を入れ、ビルボードを6か月出し続ける今回の設計は、その問題への答えとして示されている。
常設化には継続的な制作費がかかる。広告主がその予算を認めるには、効果の裏づけが要る。パンダエクスプレスの場合、ブランドリフトのデータと、プレイヤーが心から楽しんでいる様子の両方から「再始動する価値がある」と判断できたと、アップル氏は説明している。
スーパーリーグ側の事情もあると考えられる。同社は売上が縮小し、継続企業の前提に関する注記が付く財務状況にあり、事業も広告に絞り込んできた。そのなかで、第三者の計測で効果が示され、同じ広告主の継続出稿につながった事例は、広告事業の価値を示す材料になる。発表はメタプラネット案件の株主総会(10月16日)の11日前だった。ただし、これらは時系列から読み取れる文脈で、会社が発表の理由として述べているわけではない。
日本市場ではどうか

スーパーリーグの施策を、日本の広告主が日本のプレイヤー向けにそのまま使える状況にはない。2026年10月24日時点で、公式サイトに日本向けの窓口、日本語ページ、日本の販売パートナーは見当たらない。施策の中心は米国のロブロックス・フォートナイトのユーザーである。
日本との接点は3つある。
- 資本:メタプラネットが親会社になる予定だが、出資の目的はビットコイン・トレジャリー事業で、日本で広告商品を展開する計画は発表されていない
- 投資の歴史:2017年のシリーズCにソフトバンクが運用するファンドが参加している
- 取引先:森永製菓の米国展開ブランドであるハイチュウが取引先ロゴに並ぶ
日本の広告主が同じ形の施策を国内で組む場合、次の点が論点になると考えられる。いずれも施策の構造から出てくる論点で、スーパーリーグが表明しているものではない。
- ロブロックスやフォートナイトの中に独自空間を作るなら、制作と運営の体制、日本語での運用が要る
- 常設にすると、月次更新などの制作費が継続して発生する
- ニールセンのブランドリフト調査を、日本の対象者で同じ設計にできるかは確認できていない
日本の外食・食品ブランドが、ロブロックスやフォートナイトで常設空間を運営し、第三者のブランドリフト調査を公表した事例は、本稿の調査では確認できなかった。
日本で同じ広告を実施する選択肢

今回の常設化には2つの要素がある。オビーやマップといった遊べる独自空間と、6か月出し続けるゲーム内ビルボードである。日本でこれに近いことをするなら、どちらを再現したいかで選択肢が変わる。
比較ポイント | スーパーリーグ型(独自空間+看板) | 国内ゲームの看板への動画配信(Ad-Virtua) |
|---|---|---|
主な面 | 米国中心のロブロックス・フォートナイト | 国内のゲームタイトル内の看板・モニター |
素材 | 空間・マップの制作と月次更新 | 既存の動画素材を流せる |
遊べる空間 | 作る | 作らない |
予算の単位 | 公表なし | 1週間300,000円から(ゲーム内で100万回再生が目安、週2枠限定) |
日本語の窓口 | 見当たらない | あり |
当サイトを運営するAd-Virtuaは、ゲーム空間内の看板やモニターに動画広告を配信するアドネットワークである。今回の施策のうち「ゲーム内ビルボードを期間中ずっと出す」部分は、Ad-Virtuaのサイネージ型と同じ種類の広告接点で、週単位の出稿を続けることで近い設計を組める。一方、オビーのような遊べる空間は作らない。
Ad-Virtuaが合う企業
- パンダエクスプレスのように、ゲーム内の看板を一定期間出し続けて想起への影響を見たい外食・食品ブランド
- TVCMなどの動画素材がすでにあり、新しい制作をせずに若年層との接点を足したい企業
- 米国のユーザーではなく、日本国内のゲームユーザーに届けたい企業
Ad-Virtuaが合わない企業
- プレイヤーが遊び、滞在する独自空間を作りたい企業。この場合は、PRゲーム制作のゲームバズや、ロブロックス・フォートナイトでの空間制作が選択肢になる
- 米国の若年層への到達が目的の企業
- ニールセンのような第三者のブランドリフト調査を出稿の前提条件にしたい企業。Ad-Virtuaの公式サイトで確認できるのはレポートの無料提供までで、第三者調査を組めるかは個別に確認が必要である
広告主が取るべき判断
今動いてよい企業
- 若年層の想起や来店意向に課題があり、ゲーム内の接点を試す予算を確保できる外食・食品ブランド。看板型なら週単位で始められ、常設型の考え方も小さく試せる
- 米国でスーパーリーグと取引がある、または本国経由で検討しているグローバルブランドの日本法人。2026年第4四半期のクロージング後に社名が変わる予定のため、契約主体と担当体制、長期案件の扱いを確かめておきたい
様子見でよい企業
- 効果の判断に第三者のブランドリフト調査が欠かせないが、国内で同じ設計の調査を組める見通しが立っていない企業。今回の調査もサンプル数や来店の定義が開示されておらず、自社の基準と比べられる材料はまだ少ない
- 独自空間の常設運営を考えているが、月次更新を続ける制作体制と予算がない企業。単発で作って終わる形には、スーパーリーグ自身が否定的である
判断の前に確かめること
- 測りたい指標を決める。想起・認知・検討・来店意向のどこを動かしたいかで、看板型か空間型か、調査を付けるかが変わる
- 単発か常設かを決める。常設なら、更新の頻度と制作費を最初の見積もりに含める
- 来店の数字を見るときは、実来店か自己申告か、相対値かポイント差かを確かめる
関連記事
- ゲーム内広告とは:看板型、ブランド空間型、リワード広告などの違いを整理した基礎記事
- 第一想起を獲得する方法:今回の「想起+9ポイント」を自社の目標にどう置き換えるかの考え方
- 食品・飲料の若年層リーチ:若い層への接点の選び方
- メタプラネットによるSuper League出資:親会社が日本企業になる取引の条件
- Super Leagueの2026年第2四半期決算:広告事業の採算と財務状況
- Super LeagueのWebゲーム広告白書:ロブロックス・フォートナイト以外の面への広がり
よくある質問
Q. 今回の「想起+9ポイント」を、自社施策の目標値に使えますか?
そのまま使うのは難しい。国、ゲームの面、施策の作り込み、調査の設計がいずれも違ううえ、今回はサンプル数や調査期間も開示されていない。参考にするなら数値そのものより、接触群と非接触群を比べて想起・検討・来店意向を測るという調査の組み方のほうである。
Q. 子どもも遊ぶゲーム内で広告を出すとき、表示上の配慮はありますか?
ランチャブルズの事例画像では、看板に「This is an AD」と表示している。スーパーリーグは2024年3月に、コモンセンス・ネットワークスと子ども向けの安全な広告に取り組むと発表している。国内で出稿する場合も、広告であることの表示や対象年齢の扱いを事前に確認しておきたい。
Q. 社名がSuperplanetに変わったあとも、広告の依頼先は同じですか?
リリースでは、広告・メディア事業は独立した事業セグメントとして続くとされている。クロージングは2026年第4四半期の予定で、社名は Superplanet, Inc.、ティッカーはSUPAに変わる。契約書の名義や請求元が変わる可能性があるため、既存の取引先は確認が必要になる。
Q. ザ・メニーはどんな代理店ですか?
米ロサンゼルスの独立系フルサービス広告代理店で、パンダエクスプレスのメディアAORを務める。「The Participation Company™」を名乗り、受け身の視聴者より能動的な参加者を重視する。運用する有料メディア費は1億ドル超で、AdAgeのSmall Agency of the Yearを3回受賞している。
Q. パンダエクスプレスの社会貢献活動はゲーム施策と関係がありますか?
リリースの会社概要には、社会貢献部門のパンダ・ケアーズ(Panda Cares)が1999年以降に4.15億ドル超を寄付したとある。ただし、今回のゲーム施策との関係には触れていない。


.jpg)



