adjoeはポイ活アプリや会員アプリの中にゲームの一覧を置き、ユーザーが遊んだ時間や達成したレベルに応じてそのアプリのポイントを渡すリワード広告「Playtime」を提供する、ドイツ・ハンブルクの企業です。日本では2025年に東京拠点を開き、ゲーム会社のユーザー獲得とポイントアプリの収益化にはすでに使われていますが、食品や日用品などゲーム以外のブランドが認知を目的に広告を出す商品にはなっていません。
発表の内容
adjoeの直近の公式発表は2026年8月28日にPR TIMESで出した「BitWalk」(株式会社Paddle)の導入事例です。Playtimeを使ったユーザーは、7日目の継続率(D7)が約3倍、30日目(D30)が約3.1倍になり、国内他社のオファーウォールと比べてARPDAU(1日のアクティブユーザーあたり収益)が2倍以上だったと発表しています(出典: PR TIMES 2026年8月28日)。
日本での動きはここ2年ほどに集中しています。
時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
2024年11月1日 | ポイ活アプリ「PUI」の導入事例を発表。PR TIMESで確認できるadjoeの日本向け最初のリリース | |
2025年2月11日 | 東京とシンガポールに拠点を開設 | |
2025年3月25日 | 「Green Ponta Action」(株式会社ロイヤリティ マーケティング)の事例を発表 | |
2025年6月11日 | ジオテクノロジーズ株式会社が「トリマ」にPlaytimeを採用したと発表 | |
2025年11月 | LINEヤフーの「LINE WALK」にPlaytimeの提供を開始 | PR TIMES 2026年1月16日 |
2025年12月3日 | AppsFlyer Performance Index 2025で、日本・韓国のiOSゲームの指標で上位3位以内に入ったと発表 | |
2026年6月4日 | EAGLEのゲーム『出荷ぶた』の事例を発表 | |
2026年8月28日 | BitWalkの事例を発表 |
このほか、プラリー、tonton、ロコネの導入も発表されています。海外では、2026年1月に台湾のLINEとの提携、2026年6月に中南米への進出を発表しました。
adjoeとはどんな会社か

基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式社名 | adjoe GmbH |
設立 | 2018年 |
本社 | ドイツ・ハンブルク(An der Alster 42) |
創業者・CEO | Jonas Thiemann氏(共同創業者)。2025年12月の公式発表での肩書は「CEO & Co-Founder」。ほかの共同創業者は公表情報で確認できない |
親会社 | applike group(ハンブルク) |
出資者 | applike groupとベルテルスマン(Bertelsmann) |
従業員 | 250人超(公式サイトの会社ページ) |
拠点 | ハンブルク、ボストン、シンガポール、東京。採用ページにはアムステルダム、北京、サンパウロの求人もある |
出典: 公式サイト 会社ページ、PR TIMES 会社概要、applike group
従業員数は、公式サイトの中でもページによって「200人超」「150人超」と書き方が分かれ、2024年3月のリリースでは約300人とされています。表には会社ページの値を載せました。
親会社のapplike groupには、adjoeのほかに、5億ダウンロードを超えるモバイルゲーム会社のSunday、リワード型のゲームアプリを20本以上出すJustDice、アプリ計測ツール(MMP)のjusttrackがあります。ゲームを作る会社、報酬型アプリを運営する会社、計測ツールの会社が同じグループにいる構成です。グループ全体の企業価値は「5億ユーロ超」と報じられています(Mobidictum、2024年7月。公式発表ではありません)。
Thiemann氏は2024年3月のリリースでは「adjoeのマネージングディレクター、親会社applike groupのCEO兼創業者」と紹介されています。
Playtimeの仕組み
Playtimeはゲームアプリの会社(広告主)とゲーム以外のアプリ(媒体)を結ぶリワード広告です。adjoeは日本向けリリースで次のように説明しています。
Playtimeは、ユーザーがアプリゲームを遊んで達成したイベントもしくはそのプレイ時間に応じて、アプリ内通貨を継続的にユーザーに報酬として付与するアプリ用広告マネタイズソリューションです。(PR TIMES 2024年11月1日)
お金とユーザーの流れは次のとおりです。
- ゲーム会社が新しいプレイヤーを獲得するためにPlaytimeに出稿する
- ポイ活アプリ、ポイントプログラム、学習アプリなどの中に、ゲームを並べたオファーウォール(報酬付きの案件を一覧で並べる画面)が置かれる。どのゲームを見せるかは、ファーストパーティデータと機械学習で選ぶとadjoeは説明している
- ユーザーはゲームをインストールして遊ぶ。報酬は「プレイ時間(1分ごと)」と「イベント達成(レベル到達など)」の2種類
- 媒体のアプリは広告収益を受け取り、その一部を自社のポイントや通貨としてユーザーに渡す
- ユーザーはポイントを交換し、また遊んでためる
日本語サイトでは、この流れを「発見、選択、インストール、エンゲージメント、リテンション」の5段階で示しています。

Playtimeの広告はゲームの画面の中には出ません。ゲーム空間の看板やモニターにブランドの広告を出す形(イントリンシック型)とは別の仕組みで、「このゲームを遊ぶとポイントがもらえる」という案件そのものが広告になります。ゲーム広告の種類の全体像は「ゲーム内広告とは」で整理しています。
Playtimeのページに載っている公表値は、広告主向けが「年間インベントリ成長75%」「1分あたり360インストール」「IPM(1,000インプレッションあたりのインストール数)60〜80」、媒体向けが「広告主アプリ1,000超」「付与した報酬10億ドル」「パブリッシャーのアプリ起動率10%向上」です。いずれもadjoeの掲載値です。
Playtime以外のプロダクト
プロダクト | 使う側 | 内容 | 主な公表値 |
|---|---|---|---|
Playtime | ゲーム会社(広告主)、ゲーム以外のアプリ(媒体) | 遊んだ時間とイベント達成に応じてポイントを渡すオファーウォール | 上記のとおり |
adjoe Ads | 広告主、媒体 | 動画(リワード)、プレイアブル、バナーの広告。媒体向けには入札の仕組み「adjoe Ads (bidder)」がある | — |
adjoe Exchange | DSP(広告の買い付けツール) | 自社のSSPとメディエーションを通じて、媒体の広告枠をDSPに開放する | 「SDKトラフィックの100%を直接供給」「入札のみのオークション」「エクスチェンジ・メディエーションで収益シェア0%」(adjoeの説明) |
adjoe Arcade | 会員アプリを持つブランド | ブランドの会員アプリにゲームの棚を置き、ゲームでためた報酬をそのアプリ内で使えるようにする。SDK・APIで組み込み、画面はホワイトレーベルで変えられる | 「CLTV 少なくとも10%向上」「アプリ収益 最大50%増」「アプリ起動率 少なくとも5%向上」 |
出典: Playtime、adjoe Exchange(DSP向け)、公式サイトの製品ページ
adjoe Exchangeのページには、つながっているDSP・広告ネットワークとして、Kayzen、Liftoff、Mintegral、InMobi、Verve、Smaato、Vungle、Pangle、Aarki、Smadexなどが並びます。

adjoeアーケードは日本語サイトで「あらゆるブランドのアプリのための、ゲームを活用したエンゲージメント・ソリューション」と説明されています。ゲーム以外のブランドがadjoeの仕組みを使うなら、この形が入口になります。推薦コメントを寄せているのは、米国のFetch、ドイツのDeutschlandCard、Play2Payです。
規模と第三者の指標
adjoeの公式サイトの会社ページでは、到達ユーザーを「7.7億ユニークユーザー」としています。同社の発表には「年間約6億人」「年間5億人」「7.5億人」という値もありますが、ユニーク数か年間の延べ数かで数え方が違うため、並べて伸び率を出すことはできません。提携先は会社ページで「1,000以上のパートナースタジオ」とされています。
成長については2025年6月のリリースで「3年連続で売上を毎年2倍以上に伸ばした」と発表しています。
第三者の指標として同社が挙げているのが、AppsFlyerのランキング「Performance Index 2025」です。41のランキングに入り、iOSのゲーム(グローバル)で6位、Androidのゲーム(グローバル)で12位、日本・韓国のiOSゲームの指標で上位3位以内でした。Thiemann氏は「iOSとAndroidの両方で、量の面で最大のリワード型ネットワーク」とコメントしていますが、これは41のランキングの結果からadjoeが自ら解釈したもので、AppsFlyerが与えた称号ではありません。

2025年5月には、AppsFlyerのプレミアパートナーに同社として初めて認定されました。計測はAppsFlyerが中心で、グループ内にもjusttrackがあります。MRC認定やTAG認証は、公式サイトに記載がありません。
主要パートナー
区分 | 主な企業・アプリ |
|---|---|
媒体(日本) | Green Ponta Action(ロイヤリティ マーケティング)、PUI(Ghost)、プラリー、トリマ(ジオテクノロジーズ)、tonton、ロコネ、BitWalk(Paddle)、LINE WALK(LINEヤフー) |
媒体(海外) | Fetch(米)、WeWard(仏)、Sezzle、ZBD、Beem、PDI/GasBuddy(米)、Nectar360(英)、DeutschlandCard(独)、ShopBack・yuu Rewards Club(シンガポール)、LINE(台湾)、Méliuz・Yape・TIM Fun・Puntos Colombia(中南米) |
広告主(ゲーム会社) | 4399、EAGLE、Kwalee、SayGames、Tap Nation、Scopely、Homa Games、Voodooなど |
計測 | AppsFlyer(プレミアパートナー) |
日本の担当者として、日本カントリーマネージャーのDaisuke Hattori氏(元ソニー、バンダイナムコ)と、新規パートナー担当のSatoshi Takeuchi氏(元Google、Yahoo)が公表されています。公式資料はローマ字表記のみです。
ここまでの歩み
資金調達の振り返り
adjoeが公表している資金調達は1件です。
時期 | 金額 | 出資者 | 確認状況 |
|---|---|---|---|
2022年(月は未確認) | 1億ユーロ | applike group、ベルテルスマン | 公式リリースの表現は「backed by applike group and Bertelsmann」。ラウンド名、リード投資家、出資比率は公表されていない |
金額の通貨は、APAC進出・LINE提携・Fetchのリリースがユーロ、2026年6月の中南米進出のリリースのみ「ベルテルスマンからの1億ドルの投資」とドルで書かれています。本記事は件数の多いユーロ表記に合わせました。出資を受けたのがadjoe単体か親会社のapplike groupかも、公式の表現からは判断できません。
この調達のときに会社が何をしようとしていたかについて、公式の説明は確認できませんでした。業界メディアのPocket Gamer(2025年2月)は「この資金で2023年の米国展開、2024年のAPAC進出を進めた」と書いています。実際に、調達のあと米国、アジア太平洋、韓国、中南米へと順に広がっています。
2022年以外の調達、累計調達額、日本企業の出資は確認できませんでした。会社ページでは、創業当初はリワード広告という発想に見込み客の約9割が懐疑的だったと振り返っています。設立から4年で1億ユーロ規模の出資が集まったことは、この手法への市場の見方が変わってきた記録として読めます。
事業の歩み
時期 | 出来事 |
|---|---|
2018年 | ハンブルクで設立 |
2020年11月 | 「2020年にリワード広告の収益が400%伸びる見込み」と発表(Pocket Gamerの記事見出し) |
2021年11月〜 | 調査会社Statistaと共同で「Mobile Games Index」を発表し、調査の発信を始める |
2022年 | 1億ユーロを調達 |
2023年 | 米国で事業を開始 |
2023年6月 | ZBDと提携し、遊んだ時間に応じてビットコインを受け取れるようにする |
2024年3月27日 | Fetchと「Fetch Play」を開始 |
2024年6〜7月 | 欧州・中東・アフリカの体制を強化し、Thorsten Wiesner氏をVP Revenue EMEAに任命 |
2024年 | アジア太平洋に進出 |
2024年9月中旬 | PUIが導入(確認できた最も早い日本の導入例) |
2025年2月11日 | 東京とシンガポールに拠点を開設 |
2025年5月 | PDI/GasBuddyと統合(燃料リワードの領域に初めて入る)。AppsFlyerのプレミアパートナーに認定 |
2025年6月20日 | 韓国に正式参入し、カントリーマネージャーを任命 |
2025年8月 | ボストンに初の米国本社を開設(Boston Business Journalの報道) |
2025年12月3日 | AppsFlyerの指標で上位に入る。発表文には「日本での本格展開から18か月未満」とある |
2026年1月7日 | 台湾のLINEと戦略提携 |
2026年6月9日 | 中南米に進出。サンパウロを拠点に統括を置く |

中南米進出のリリースでは、同地域で前年比140%、韓国で前年比1000%の成長としています。見出しは「Revenue Growth」ですが、何の指標の伸びかは本文に明記されていません。
撤退や失敗は、公式・報道とも確認できませんでした。2024年のリリースでは広告メディエーション「WAVE」が製品として紹介されていましたが、2026年10月時点の製品メニューには載っていません。改称・統合・終了のどれかは公表されておらず、撤退と判断できる情報はありません。
全体を通すと、自社のオファーウォールを各国のポイントアプリに入れていく形を、欧州から米国、アジア、中南米へ同じ型で広げてきた会社です。日本はその中で、拠点開設から1年半ほどで主要なポイ活アプリへの導入が続いた市場にあたります。
広告出稿事例
以下の効果の数値はすべてadjoeの発表によるものです(トリマのみ運営会社側の発表)。比較の基準が書かれていない値もあります。
4399『キノコ伝説 勇者と魔法のランプ』(日本・ゲームのユーザー獲得)
ゲーム会社の4399は『キノコ伝説 勇者と魔法のランプ』の日本でのユーザー獲得にPlaytimeを使いました。目的は課金する長期ユーザーの獲得で、インストール単価の安さよりROAS(広告費用対効果)を重視した出稿です。
- AndroidでD7 ROASが目標比132%(adjoe日本語版の表記は「対目標132%」)
- 初回出稿の1か月後に出稿額を46%増やした
- その後、4399はほかのタイトルにもPlaytimeを広げた
英語版の見出しは「Exceeds D7 ROAS Target by 132%」で、「目標を132%上回った」とも読めます。本記事は日本語版の表記に合わせました。4399のZhang Jia Con氏(Optimizationマネージャー)は「Playtimeは明確なコスト優位性に加え、市場平均を上回る継続率(リテンション率)と質の高いユーザーを提供してくれており、非常に満足しています」とコメントしています(出典: 公式事例・日本語版、PR TIMES 2025年7月9日)。

EAGLE『出荷ぶた』(日本・成熟期タイトルの立て直し)
『出荷ぶた』は配信10年目に入ったゲームです。EAGLEはPlaytimeと自社のポイ活機能を組み合わせて運用し、2026年6月3日のGame Future Summit 2026で結果を発表しました。
- 月の売上: 2025年6月の1,100万円から、2026年1月に1.1億円(10倍)
- Google Playの無料ゲームランキングで7位
- LTV 1.5倍、獲得数 9.5倍(比較の基準は発表に明記なし)
- Playtime経由のユーザーの定着率: Day1 64.7%、Day7 33.7%、Day30 14.1%
売上の伸びはPlaytimeとEAGLE自社の機能を合わせた結果で、Playtime単体の寄与は切り分けられていません(出典: PR TIMES 2026年6月4日)。

Green Ponta Action(日本・ポイントアプリの収益化)
ロイヤリティ マーケティングが運営するGreen Ponta Actionは、2025年3月時点で120万ダウンロードのアプリです。それまで使っていた国内のオファーウォールと比べ、導入3か月で売上が10倍以上、ARPDAUも10倍になりました。同社 新規事業開発部の谷口史洋氏は「Playtimeには大変満足しています」と述べています(出典: PR TIMES 2025年3月25日)。

Fetch「Fetch Play」(米国・レシート読み取りアプリ)
Fetchは米国のレシート読み取りアプリで、週間ユーザーは1,100万人です(2024年3月の発表時点)。2024年3月27日に、adjoeと組んで「Fetch Play」を始めました。
- ゲームを遊んだユーザーが獲得したFetchポイント: 100億ポイント超(ギフトカード約1,000万ドル相当)
- ゲームを遊んだユーザーの85%が、週ごとのレシート読み取りを続けている(遊ばないユーザーより10ポイント高い)
- アプリ起動率: 前月比5.42%増
Fetchは、ブランドパートナーが既存のキャンペーンにこの機能を組み込めるようにする計画も示しています。実施されたかどうかは確認できていません(出典: PR Newswire 2024年3月27日)。

PDI/GasBuddy「GasBuddy Games」(米国・燃料のロイヤルティ)
米国のPDIが提供するGasBuddyアプリに、adjoeアーケードを使った「GasBuddy Games」が組み込まれました。adjoeとして初めての燃料リワードの領域です(出典: 公式 2025年5月13日)。

そのほかの公表事例
媒体・広告主 | 発表日 | 公表されている効果 |
|---|---|---|
PUI(株式会社Ghost、日本) | 2024年11月1日 | 2024年9月中旬の導入から1か月で売上2倍以上。広告フォーマット別の収益のうちPlaytimeが55% |
tonton(英単語学習アプリ、日本) | 2025年11月13日 | ほかの施策と比べてARPDAU 12倍。アプリ全体の収益は最大2倍。D7継続率は使わないユーザーより平均11%高い |
トリマ(ジオテクノロジーズ、日本) | 2025年6月11日 | 「ゲームミッション」機能として採用し、開始後2週間で延べ300万人以上が利用 |
LINE(台湾) | 2026年1月7日 | LINE POINTSにPlaytimeを統合し、3か月で430万LINE POINTS超を配布。初月のゲームのダウンロードは4万件超 |
PUIを運営するGhostのJEON MINSEOP氏は「楽しいゲームをするというアプリ内のユーザー体験を崩さないでユーザーのリワードも弊社の売り上げもあげることができ」たと述べています。台湾のLINEは人口の94%超が使い、MAUは2,200万超です。
なぜこの動きが起きたのか
adjoeの成長には、ゲーム会社と媒体アプリそれぞれの事情が重なっていると考えられます。
ゲーム会社の側では、インストール数よりも長く遊んで課金するユーザーをどれだけ集められるかが問われています。4399がインストール単価の安さよりROASを重視したのは、その一例です。プレイ時間に報酬を払う設計は、ゲームを続けるほどユーザーの報酬が増えるため、継続率やROASという指標と結びつけやすい仕組みです。
媒体の側では、ポイ活アプリや会員アプリが、ユーザーに渡すポイントの原資と、毎日アプリを開いてもらう理由を必要としています。Playtimeはゲーム会社の広告費をポイントに変えて渡すので、収益と継続率の両方を上げる手段として導入が進んだと読めます。Green Ponta ActionやBitWalkの事例で比較の対象が「国内の他社オファーウォール」になっていることから、日本ではすでにオファーウォールを使っていたアプリが、追加や乗り換えを検討する段階にあると考えられます。
アジア太平洋に拠点を置いた理由について、Thiemann氏は2025年2月の発表で「世界のモバイルゲーム売上の50%超を生み出し、広告のイノベーションでも先頭を走る地域だ」と述べ、「Playtimeのようなソリューションで、パートナーのエンゲージメントと継続率を高めたい」と話しています。中南米担当のRicardo Feldman氏も「従来の広告の枠を超えたエンゲージメント型のモデルへの需要は強い」とコメントしています。
日本市場ではどうか
日本では、同じ動きがすでに起きています。adjoe自身が東京拠点から営業し、2024年秋から2026年夏までに8つのアプリ(PUI、Green Ponta Action、プラリー、トリマ、tonton、ロコネ、LINE WALK、BitWalk)への導入が発表されました。ゲーム会社側でも、4399とEAGLEが日本でのユーザー獲得に使っています。
日本の企業から見た使い道は、立場によって分かれます。
立場 | 使えるか | 使い方 |
|---|---|---|
ゲームアプリを持つ会社 | 使える | Playtimeに出稿し、ポイ活アプリ経由でユーザーを獲得する(4399、EAGLE) |
ポイントや会員の仕組みがあるアプリを持つ企業 | 使える | Playtimeやadjoeアーケードを自社アプリに組み込み、収益と継続率を上げる(Ponta、トリマ、LINE WALK) |
ゲームアプリを持たないブランド(食品・日用品・外食など) | 広告主としては使えない | Playtimeの成果は「ゲームのインストールと継続プレイ」で、ブランドの認知を目的とした出稿メニューは公式サイトにない |
3つ目の立場のブランドがadjoeの仕組みを使うなら、自社の会員アプリを用意して媒体側に回ることになります。海外ではFetch、Nectar360、DeutschlandCardがこの形です。ただし、公表されている成果の指標はアプリの収益、起動率、継続率で、ブランドの認知や好意度の数値は出ていません。
日本で同じ広告を実施する選択肢
「ゲームを遊ぶ人に届く広告」を日本で使う場合、目的によって手段が分かれます。
- 自社のゲームアプリのユーザーを増やしたい: adjoeのPlaytimeを含むリワード型の出稿先が選択肢になる
- ポイントのある自社アプリの利用を増やしたい: Playtimeやadjoeアーケードの組み込みを検討できる
- 自社アプリがなく、ゲームを遊ぶ人に商品やブランドを知ってもらいたい: ゲーム空間の看板やモニターに広告を出すゲーム内広告が選択肢になる
3つ目の選択肢の一つが、Ad-Virtua(アドバーチャ)です。ゲーム空間内の看板・モニターに動画広告を配信するアドネットワークで、国内400タイトル以上に配信し、累計再生数は8,000万回を超えています(2025年後半時点、Ad-Virtua公表値)。報酬を付けず、プレイを止めずに目に入る形の広告です。
比較ポイント | リワード型(adjoe Playtime) | ゲーム内広告(Ad-Virtua) |
|---|---|---|
広告に触れる理由 | 遊べばアプリのポイントがもらえる | プレイ中に看板やモニターが目に入る(報酬なし) |
広告が出る場所 | ゲーム以外のアプリのオファーウォール | ゲームの空間の中 |
主な広告主 | ゲームアプリの会社 | 食品・日用品・外食など一般のブランド |
主な指標 | D7 ROAS、継続率、ARPDAU | 広告想起率(約1.8倍)、注目度(約1.7倍)、CPM(約300円) |
料金の決まり方 | 公式サイトに記載なし | 期間・CPM(1週間30万円のプラン) |
必要な準備 | 広告主はゲームアプリ、媒体はアプリ内通貨 | 動画素材 |
日本での提供 | 2025年2月から東京拠点。8つのアプリへの導入を発表 | 国内400タイトル以上 |
Ad-Virtuaの数値はAd-Virtuaの公表値です。
Ad-Virtuaが合うのは、自社アプリやポイントの仕組みを持たず、ゲームを遊ぶ層、とくに若い世代への認知や想起を作りたいブランドです。TVCMやSNS広告で使っている動画素材を、別の接点でも見せたい場合にも使えます。対応タイトルや料金プランはAd-Virtua公式サイトで確認できます。
合わないのは、ゲームアプリのインストール数やROASを広告ごとに追いたいゲーム会社と、自社アプリのポイントを使って利用頻度を上げたい企業です。こうした目的なら、Playtimeのようなリワード型のほうが近いと考えられます。
広告主が取るべき判断
今動くべき企業
- 日本でゲームアプリを運営し、課金ユーザーの獲得に課題があるゲーム会社。『キノコ伝説』や『出荷ぶた』のように、ROASや定着率を指標にした事例が国内にある
- ポイ活アプリや会員アプリを運営し、すでに他社のオファーウォールを使っている企業。Green Ponta ActionやBitWalkは既存のオファーウォールと比べた数値を出しているので、自社でも同じ比べ方で試しやすい
- 自社アプリを持たず、ゲームを遊ぶ層への認知を作りたいブランド。リワード型にはこの目的に合う出稿メニューがないため、ゲーム内広告など認知向けの手段から検討するとよい
様子見でよい企業
- ポイントや通貨の仕組みがないアプリしか持たない企業。Playtimeの組み込みは、ユーザーに渡すアプリ内通貨があることが前提になる
- 会員アプリでブランドの認知や好意度を上げたい企業。adjoeアーケードの公表値は収益と起動率で、ブランド指標の検証例はまだ出ていない
- 第三者による効果検証を出稿の条件にしている企業。公表事例はadjoe自身の発表が中心で、比較の基準が明示されていない数値もある
関連する基礎知識
- ゲーム内広告とは|種類・仕組み・効果を解説: リワード型とゲーム空間内の広告の違いを、ゲーム広告の全体像から整理できます
- リワード動画広告とは: 報酬と引き換えに広告に触れてもらう仕組みの基礎です
- リワード広告とゲーム内サイネージ広告の比較: 費用、効果、向いている商材の違いを比べられます
- ゲーム内広告の費用: 成果報酬型と期間・CPM型の料金の違いを確かめられます
- 顧客接点を増やす方法: 会員アプリにゲームを入れて接点を増やす考え方を、施策全体の中で比べられます
- インタラクティブ広告とは: 遊ぶこと自体が広告への接触になる広告の考え方です
よくある質問
adjoeにカタカナ表記はありますか?
公式の日本語サイトにもPR TIMESのリリースにもカタカナ表記はなく、社名は「adjoe」と英字で書かれています。
日本のユーザーは、ゲームでポイントをためることをどう受け止めていますか?
adjoeが2025年1月にポイ活ユーザー1,019人を対象に行った調査(調査会社PRIZMA)では、ポイ活の課題として「効率の悪さ(時間の割にポイントが少ない)」を挙げた人が58.6%でした。毎日ゲームを遊ぶ人は33.7%で、ゲームでポイントがもらえると「続けやすい」が33.8%、「楽しい」が27.7%です。adjoe自身の調査で、対象もポイ活ユーザーに限られている点には注意が必要です(出典: PR TIMES)。
Playtimeの料金はどう決まりますか?
インストール単価、イベント単価、ROAS入札のどれで課金するかは、公式サイトに書かれていません。条件は個別の問い合わせで確認することになります。
日本法人はありますか?
2025年2月に東京拠点の開設を発表していますが、日本法人の有無と所在地は公表されていません。PR TIMESの会社概要に載っているのはハンブルクの本社のみです。
広告の透明性や情報セキュリティへの対応はどうなっていますか?
日本語サイトによると、adjoeは情報セキュリティの国際規格ISO 27001の認証を取得しています。adjoe Exchangeでは、IABのOpen Measurement SDK、app-ads.txt、sellers.jsonに対応し、IAB Tech Labの検証シールを掲げています(出典: 公式サイト)。
受賞歴はありますか?
adjoeのPlaytimeページには、「Best AdTech Company – APAC」(表記は2025年、ロゴはAPAC Insider)や「Top UA Companies (2024)」が載っています。どちらも授与した主体の原典は確認できていません。このほか業界メディアのMobidictum(2024年7月)は、Business of Appsの「Top App Monetization Platform 2024」に選ばれたと伝えています。会社ページの「#1 GLOBAL OFFERWALL PROVIDER」や「モバイル広告市場の10%」は、認定した主体や根拠が書かれていない同社の表現です。


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