モバイルゲーム内音声広告は、画面を占有せずBGMのように流れる広告フォーマットであり、完聴率が平均90%超・ブランド想起率30%(テレビと同等水準)という効果指標が確認されている。音声広告とゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtuaなど)は競合ではなく補完関係にあり、商材・クリエイティブ素材・KPIに応じて使い分けることが重要だ。

この記事でわかること:

  • ゲーム内音声広告の仕組みと主要プラットフォームの特徴
  • ゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtuaなど)との比較表・使い分け判断の基準
  • 費用感と料金体系の相場(各社の公開情報から整理)
  • 業種別に「音声広告が向くケース」「サイネージが向くケース」の整理
  • 音声クリエイティブ設計のポイントと企業向け導入ステップ

食品・飲料・日用品・外食・交通など、生活接点の広いブランドのマーケティング担当者・広告主向けに書いています。

ゲーム内音声広告とは——仕組みと3つのフォーマット

モバイルゲームをプレイしながらヘッドフォンで音声広告を聴くユーザーのイメージ

モバイルゲームのプレイ中、BGMの音量が自然に下がり、ラジオCMのように広告音声が流れる——これがゲーム内音声広告(In-Game Audio Advertising)の基本的な仕組みだ。視覚(画面)を占有しないため、プレイヤーはゲームを中断せずに広告を受け取る。

IABはオーディオ広告をゲーム内広告の7種類のひとつとして定義している(出典:otonal.co.jp/blog/42316 確認日2026-04-26)。

現在、主に3つのフォーマットが存在する。

フォーマット

概要

主な採用サービス

スタンダード型

再生開始5秒後にミュート可能。インタースティシャルに近いが画面は占有しない

Audiomob、GainAds

リワード型

最後まで聴くとゲーム内アイテムを獲得。ユーザーが能動的に選択

Audiomob、GainAds

カーラジオ型

レーシングゲームのカーラジオとして世界観に統合。最も自然な体験

Audiomob(McDonald's事例)

いずれも「プレイの流れを止めない」点が共通している。

ゲーム内音声広告 vs ゲーム内サイネージ広告——比較表と使い分けの核心

この記事の核心は「音声広告とサイネージ広告のどちらを選ぶか」という判断にある。結論から言うと、両者は競合ではなく補完関係にある。

比較表:ゲーム内音声広告 vs ゲーム内サイネージ広告

比較項目

ゲーム内音声広告

ゲーム内サイネージ広告(例:Ad-Virtua)

訴求チャネル

聴覚のみ

視覚のみ(原則、音声非対応)

クリエイティブ素材

音声ファイル(既存ラジオCM流用可)

動画・静止画(TVCM・SNS素材を活用)

画面占有

なし

ゲーム内の看板・モニターとして常駐

ゲームへの影響

BGMと入れ替わる形

ゲーム世界観に統合(没入感を損なわない)

完聴率・視認率

完聴率 平均90%超(リワード型)

視認率 最大96%(Ad-Virtua公表値)

ブランドリコール

30%(テレビと同等水準、Veritonic調査)

広告想起率 約1.8倍(Web広告比、Ad-Virtua)

主要KPI

LTR(完聴率)・ブランドリコール

広告想起率・注目時間・好感度

向いている商材

音声で伝わるもの(食品・飲料・保険・音楽等)

視覚訴求力の強いもの(食品・ファッション・ゲーム等)

向かないケース

映像必須の商材・視覚依存の情報伝達

聴覚体験を重視したいブランド

日本での提供状況

GainAds(オトナル)・AdMel等

Ad-Virtua(国内最大級)

料金体系

プログラマティック(最低出稿額なし)

週300,000円〜(固定メニュー)

CPM目安

未公開(問い合わせ対応。デジタル音声広告の参考値:$12〜28 CPM)

約300円(Ad-Virtua公表値)

クリエイティブコスト

比較的低い(既存ラジオCM素材を活用可)

既存TVCM・SNS動画素材を活用可

重要な補足:ゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtuaなど)は原則として音声が非対応のケースが多く、映像だけで伝わるクリエイティブ設計が必要とされている(確認日2026-04-26)。つまり、音声広告は「聴覚チャネルの確保」、サイネージ広告は「視覚チャネルの確保」という役割が明確に分かれている。

効果と実績データ——数字で見るゲーム内音声広告の強さ

ゲーム内音声広告のブランド想起率・完聴率などの効果データを示すグラフ

信頼できるデータとして、Audiomobが英国の独立調査機関Veritonicと実施した3,700万インプレッション以上のブランドリフト調査(出典:veritonic.com/blog 確認日2026-04-26)では、以下の結果が確認されている。

  • ゲームプレイ中に音声広告に最も高くエンゲージしたユーザー:52%(ポッドキャスト16%、音楽ストリーミング10%と比べて群を抜く)
  • 音声広告後に追加情報を検索した割合:34%
  • ブランド想起率:30%(テレビと同等水準。ポッドキャスト6%・ラジオ5%を大幅上回る)
  • 音声広告を聴きながらゲームを継続したユーザー:42%
  • 広告に応じてゲームを終了したユーザー:2%のみ
  • 動画広告より音声広告を好むゲーマー:54%

また、音声広告全般の第三者調査(Nielsen Media Lab)では、音声広告は従来型ディスプレイ広告より24%高いブランドリコール率が示されている(出典:marketingltb.com 2025年 確認日2026-04-26)。完聴率についても、音声広告全般の平均で約94%という報告がある(出典:nextbroadcast.media 2022年データ。より新しいデータが出次第更新予定)。

参考:ゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtua)の効果指標

  • 広告想起率:約1.8倍(Web広告比)
  • 注目度:約1.7倍(Web広告比)
  • 視認率:最大96%
  • 好感度:84〜85%
  • 出典:ad-virtua.com、advertimes.com 2024年11月 確認日2026-04-26

費用・料金体系の相場——現時点でわかる範囲

ゲーム内音声広告の料金は、多くのプラットフォームが非公開・問い合わせ対応を基本としている。現時点で確認できる範囲を整理する。

GainAds(株式会社オトナル)

  • 最低出稿金額なし(プログラマティック方式のため)
  • 対応DSP:Google Display & Video 360、The Trade Desk(2025年時点)
  • 具体的なCPM額は非公開(見積もり・問い合わせ対応)
  • 出典:prtimes.jp オトナルプレスリリース 2025年7月30日

Audiomob(英国発・日本はオトナルが仲介)

  • CPMまたはプログラマティックオークション方式
  • CPI(コストパーインストール)モデルも提供
  • 具体的な料金は非公開
  • 出典:audio-ad.jp/in_game/audiomob/ 確認日2026-04-26

デジタル音声広告全般のCPM参考値

  • ポッドキャスト含むデジタル音声広告:$12〜28 CPM(平均)
  • ※ゲーム内音声広告に限定した公開CPMデータは現時点では未確認
  • 出典:marketingltb.com 2025年 確認日2026-04-26

ゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtua)の料金(参考比較)

  • 1週間300,000円プラン(1週間約100万インプレッション)
  • CPM約300円(通常500円比)
  • 出典:ad-virtua.com公式サイト 確認日2026-04-26

費用感のまとめ:音声広告はプログラマティック方式のため小口でテスト出稿しやすく、最低予算の壁が低い。一方、サイネージ広告は週単位の固定メニューが主流で、ある程度まとまった予算でブランドリフトを狙う設計になっている。

業種別・目的別の使い分けフロー

「音声とサイネージ、どちらを選ぶか」という問いには、商材・目的・クリエイティブ素材の3軸で考えると判断しやすい。

音声広告が効果的なケース

  • 商材の特性:食品・飲料・保険・音楽・サービス系など、音声で商品イメージが伝わるもの
  • 保有素材:既存のラジオCM素材がある(流用できるためクリエイティブコストを抑制できる)
  • 予算規模:小規模テスト・ターゲット絞り込みをしながら効果検証したい
  • KPI:ブランドリコール・完聴率(LTR)・サイト流入(音声広告後の検索行動)

サイネージ広告が効果的なケース

  • 商材の特性:視覚的なパッケージデザイン・商品の見た目が重要な食品・飲料・ファッション等
  • 保有素材:TVCM・SNS広告の動画素材がある
  • 目的:大規模な認知獲得・広告想起率・好感度向上
  • KPI:視認率・広告想起率・注目時間・ブランドリフト

両方を組み合わせるべきケース

  • 大型キャンペーン:多接点でのブランド接触を設計したい(聴覚+視覚の複合接触)
  • 認知→検索→購買の設計:音声広告でブランド名を刷り込み、サイネージで視覚認知→検索行動につなげる
  • 業種例:食品・飲料・外食チェーン(聴覚でブランド名、視覚で商品ビジュアル)

業種別の目安表

業種

音声広告

サイネージ広告

組み合わせ

食品・飲料

日用品

外食チェーン

交通・インフラ

ホテル・レジャー

保険・金融サービス

ゲーム・エンタメ

音楽・アーティスト

◎:特に向いている ○:向いている △:ケースによる

音声クリエイティブ設計の5原則

ゲーム内音声広告は「音声だけで完結する設計」が必要だ。TVCMの映像前提の原稿をそのまま流すと効果が大幅に低下するリスクがある。以下5つの原則を押さえておきたい。

原則1:冒頭2〜3秒でブランド名を出す
ゲームへの集中度が高い場面では、後半に配置したブランド名が認識されにくい。広告の冒頭でブランド名または商品名を明確に伝えること。

原則2:尺は15〜30秒を基本とする
一般的なゲーム内音声広告の推奨尺は15〜30秒。長すぎる広告はミュートまたはスキップを誘発する。リワード型は最大60秒まで対応するケースもあるが、30秒以内が完聴率を維持しやすい。

原則3:既存ラジオCM素材の活用可否を確認する
ゲーム内音声広告はラジオCMと同フォーマットで流用できる場合が多い。まず既存ラジオCM素材が転用可能かを確認することで、制作コストを大幅に削減できる可能性がある。

原則4:BGM・ゲーム効果音との音圧競合を考慮する
ゲームのBGMが流れている状態で広告が再生されるため、音圧・ナレーションの明瞭さが重要。低音域のBGMが多いゲームでは、ナレーションを中〜高音域で制作すると埋もれにくい。

原則5:ミュート設定ユーザーへの届きにくさを前提とする
BGMをオフにしているユーザーには音声広告が届かない場合がある。完全なリーチ保証はなく、ターゲティングと補完メディアとの組み合わせで設計することを念頭に置くこと。

企業向け導入ステップ——発注から配信開始まで

企業のマーケティング担当者がゲーム内音声広告の導入戦略を検討する打ち合わせのイメージ

ゲーム内音声広告を初めて導入する場合の一般的なフローを整理した。

Step 1:目的とKPIの設定
ブランドリコール向上なのか、サイト誘導なのか、商品購入促進なのかを明確にする。完聴率(LTR)やブランドリフト調査の活用有無も事前に決定する。

Step 2:プラットフォームの選定
日本国内での主要選択肢は以下の通り(2026年4月時点)。

プラットフォーム

特徴

国内問い合わせ先

GainAds(オトナル)

国内最整備。運用型対応(2025年7〜)。500本以上のゲームに対応

株式会社オトナル

Audiomob(オトナル経由)

グローバル最大級。690以上のアプリ。世界トップ10のモバイルゲーム企業の8割以上が導入

株式会社オトナル

AdMel(アドメル)

2024年10月開始の国内新興サービス。「ノンディスタービング広告」として設計

株式会社アドメル

Step 3:クリエイティブの準備
既存ラジオCM素材の流用可否を確認。新規制作の場合は15〜30秒の音声ナレーション原稿を用意。ゲーム世界観との親和性を考慮した音声設計を行う。

Step 4:ターゲティング条件の設定
GainAdsの場合、デモグラフィック・エリア・興味関心・時間帯・天気・デバイス等の多層ターゲティングが利用可能(出典:otonal.co.jp/gainads 確認日2026-04-26)。

Step 5:テスト配信と効果測定
最低出稿額なしのプログラマティック型から開始し、完聴率・ブランドリコール・サイト流入数等を測定。一定の結果が出てから予算を拡大するスモールスタートが推奨される。

こんな企業に向いている/こんな企業には向かない

ゲーム内音声広告が向いている企業

  • ラジオCM素材を保有している食品・飲料・サービス業(クリエイティブコストを最小化できる)
  • 少額からテスト出稿したいマーケティング担当者(最低出稿額がなく試しやすい)
  • 若年層・ゲームユーザーへのリーチを拡大したい企業
  • 音声だけでブランドを伝えられる商材・サービス(ブランドの認知度がすでにある企業)
  • 視覚系広告(バナー・動画)の補完として聴覚チャネルを追加したい企業

ゲーム内音声広告が向かない企業

  • 商品パッケージ・ビジュアルの訴求が主要な差別化ポイントになっている企業
  • 複雑なサービス内容を視覚情報と組み合わせて説明する必要がある(不動産・金融の詳細説明等)
  • 映像や画像なしには商品を伝えにくいカテゴリ(家電・自動車等)
  • BGMをオフにするユーザーが多いゲームジャンルにしかリーチできない場合

聴覚×視覚の複合接触戦略——Ad-Virtuaとの組み合わせ

ゲーム内広告の最大の強みは「プレイヤーが自発的に選んでいる没入時間」に接触できることだ。この時間に聴覚と視覚の両方からブランドに触れてもらう設計が、認知の定着を強める。

複合接触の設計例(食品・飲料ブランドの場合)

  1. ゲーム内音声広告でブランド名・商品名を繰り返し聴覚に刷り込む(完聴率90%超で短期記憶に入る)
  2. 同時期にゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtua)で商品ビジュアル・パッケージを視覚に訴える(視認率最大96%)
  3. 両者の接触機会の重なりが「知っている → 見たことがある」の二重認知を生成し、店頭・検索でのブランド想起を強化する

Ad-Virtuaは国内最大級のゲーム内サイネージ広告プラットフォームとして、600以上のゲームタイトルに対応し、1週間300,000円から出稿できる(出典:ad-virtua.com 確認日2026-04-26)。既にTVCM・SNS動画素材があれば、新規クリエイティブ制作なしで即出稿可能だ。

「聴覚だけ」「視覚だけ」に絞る理由がない場合、両方を組み合わせた設計を検討することで、ゲームという没入時間を最大限に活用できる。

ゲーム内広告の全体像・費用相場については、以下の記事も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. ゲーム内音声広告は日本語対応しているのか?
A. GainAds(オトナル)は日本語対応のゲーム内音声広告サービスを提供している。Audiomobは英国発のグローバルサービスだが、株式会社オトナルが日本向けに取り次ぎ・サポートを行っている(確認日2026-04-26)。日本語クリエイティブでの配信は技術的に対応可能。

Q. ラジオCM素材をそのままゲーム内音声広告に転用できるか?
A. 一般的には可能だが、ゲームのBGM・効果音との音圧差や、ゲームのターゲットユーザー層との相性を確認することを推奨する。特に冒頭にブランド名が入っているラジオCM素材は転用しやすい。

Q. BGMをミュートにしているユーザーには届かないのか?
A. BGMをオフにしている環境では音声広告が届かない可能性がある。ハイパーカジュアルゲームはBGM依存が低いためミュートユーザーが多い傾向もある。完全なリーチ保証はなく、他の広告フォーマットとの組み合わせで設計することが現実的だ。

Q. 効果測定はどのように行うのか?
A. 主要KPIは「完聴率(LTR)」「ブランドリコール率」「広告後の検索行動数」の3つ。プラットフォームが提供するレポート機能に加え、Veritonicなどの独立した調査機関によるブランドリフト調査を活用することで、より信頼性の高い効果検証が可能だ。

Q. 最低出稿金額はいくらか?
A. GainAds(オトナル)はプログラマティック方式のため「最低出稿金額なし」とされている(出典:prtimes.jp 2025年7月30日)。ただし実際の最低予算の目安は問い合わせで確認することを推奨する。ゲーム内サイネージ広告(Ad-Virtua)は1週間300,000円から出稿可能(出典:ad-virtua.com 確認日2026-04-26)。

Q. 音声広告とサイネージ広告を同時に出稿することはできるか?
A. 技術的には可能。それぞれ異なるプラットフォームを通じて並行出稿し、同一ゲームタイトル内で聴覚・視覚の両チャネルを確保する設計は現時点でも実現できる。どちらのフォーマットをどの期間・予算で組み合わせるかは、キャンペーン目的とKPIに合わせて設計することを推奨する。

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