エモーショナルコネクションマーケティングとは、顧客がブランドと感情的に深くつながる状態を意図的に設計・維持する一連の取り組みのことです。単なる広告効果の最大化ではなく、「ブランドと感情的に結びついた顧客」を継続的に育てることで、価格競争に巻き込まれないブランドロイヤルティを構築します。
この記事では、エモーショナルコネクションマーケティングの定義から設計ステップ、業界別の活用パターン、効果測定の方法、そして国内外の成功事例まで、マーケティング担当者が実務で使える形でまとめています。
この記事でわかること:
- エモーショナルコネクション・エモーショナルブランディング・エモーショナルマーケティングの違い
- 感情的つながりがLTVやクチコミ率に与える影響(データ付き)
- 感情的つながりを構築する5ステップと主な施策手法
- 食品・飲料・外食・日用品・ホテルなど業界別の設計パターン
- 効果測定に使うKPIと測定フレーム
- 向いている企業・向いていない企業の判断基準
対象読者: 食品・飲料・日用品・外食・ホテルなど、ブランドロイヤルティ向上や若年層・ファミリー層への認知拡大に課題を持つ企業のマーケティング担当者・ブランド戦略担当者を想定しています。
エモーショナルコネクションマーケティングとは

エモーショナルコネクション(感情的つながり)とは、消費者が自分の価値観・願望・目標をブランドと結びつけるときに生じる強い関係性のことです。単なる顧客満足度を超えた、無意識レベルのブランドへの結びつきを指します(marketing-analytics.site、確認日:2026-04-19)。
似た用語が複数あるため、まず整理しておきます。
用語 | 意味 | 重点 |
|---|---|---|
エモーショナルマーケティング | 顧客の感情に訴えかけて購買意欲を刺激する手法 | 広告・コピーレベルの感情訴求 |
エモーショナルブランディング | ブランドと顧客の間に感情的な深いつながりを育てる戦略 | ブランド全体の感情的設計 |
エモーショナルコネクションマーケティング | 感情的つながりを起点にロイヤルティを構築・維持する一連の取り組み | 継続的な関係設計とLTV向上 |
エモーショナルマーケティングが「この広告でどう感じさせるか」という1回の接触に注目するのに対し、エモーショナルコネクションマーケティングは「継続的に感情的なつながりを育て、替えの利かない顧客関係をつくる」という長期的な視点を持ちます。
概念の核心:
- 購買判断はニーズ(必要性)だけでなく、ウォンツ(感情的欲求)で動く
- 感情的に深くつながった顧客は機能や価格で比較しにくい「置き換えにくい存在」になる
- 接触体験の蓄積がブランドへの感情的記憶となり、長期ロイヤルティを形成する
エモーショナルマーケティングの概念は国内では1999年に提唱されたとされ(日本語複数メディアで言及、原著の直接確認は未完了)、国際的にはMarc Gobéが著書「Emotional Branding」(2001年)で広めました。20年以上が経過した現在、SNS・体験型施策・ゲームなどデジタル接点の多様化に伴い、「どの接点で感情的つながりを設計するか」の重要性がいっそう増しています。
なぜ今、感情的つながりが重要なのか
満足しているだけでは離れる時代
「製品に満足しているがブランドへの愛着はない」顧客は、価格が少し安い競合が現れれば簡単に離れます。感情的つながりの有無が、顧客維持の分水嶺になっています。
Motista調査(Harvard Business Reviewで引用、2015年)では、感情的つながりのある顧客と「単に満足している」顧客を比較すると、明確な差が出ています。
指標 | 感情的つながりのある顧客 | 単に満足している顧客 |
|---|---|---|
顧客生涯価値(LTV) | +306% | 基準 |
年間支出 | 699ドル | 275ドル |
ブランド滞在期間 | 5.1年 | 3.4年 |
推奨率(クチコミ) | 71% | 45% |
ブランド推薦率 | 30.2% | 7.6% |
出典:Motistaの調査(Harvard Business Review「The New Science of Customer Emotions」2015年11月・「What Separates the Best Customers from the Merely Satisfied」2015年12月で引用)
LTVで3倍以上の差があることは、単価や流入数の改善では簡単に埋められません。感情的つながりを設計することが、マーケティングROIの根幹に関わると言えます。
2025年時点のマーケター調査
Bloomreach × EMARKETER(2025年1月実施、マーケティング専門家154名対象)の調査では、以下が明らかになっています。
- 半数以上が「感情的メッセージングは割引・ポイントなどの金銭的インセンティブより効果的」と同意
- 88%が「消費者は信頼の欠如を購買決定の破棄要因と見なす」と回答
- 75.3%がロイヤルティプログラムでパーソナライゼーションを活用し顧客維持に効果的と判断
出典:Bloomreach公式プレスリリース(2025年)、確認日:2026-04-19
感情的つながりは「心理的にあったら嬉しいもの」ではなく、顧客維持と購買継続に直接影響を与えるビジネス指標として扱われるようになっています。
子ども・若年層への感情形成は長期的な投資
学術研究では、幼少期のブランド体験が生涯にわたる購買行動に影響することが示されています。
- 3〜4歳までに大半の子どもがブランド名を認識・記憶できる
- 8歳までに形成されたブランドロイヤルティは生涯続く傾向がある
出典:ResearchGate「Children's Engagement with Brands」(2020年)、確認日:2026-04-19
食品・日用品・外食・ホテルなど、子どもとの接点がある業種では、若年層への感情的つながりの設計は将来の顧客基盤づくりとして機能します。
感情的つながりを構築する5つのステップ

感情的つながりは偶然起きるものではなく、設計と継続的な改善が必要です。以下の5ステップが、現時点でのベストプラクティスとして整理されています(marketing-analytics.site を参考に再構成、確認日:2026-04-19)。
ステップ1:顧客の深層心理を理解する
表面的な「欲しいもの」ではなく、行動の奥にある感情・価値観を把握します。深層インタビュー・行動観察・SNSリスニングを組み合わせ、「このブランドを使うとき、顧客はどんな感情になっているか」を特定します。
よくある落とし穴: アンケートだけで「機能への満足度」を測っても、感情的つながりの土台になる「価値観や願望との一致」は見えてきません。定性的な深掘りが必要です。
ステップ2:ブランドの感情的価値提案を明確化する
機能価値(「○○が使いやすい」)ではなく、感情的価値(「このブランドを使っていると○○な気持ちになれる」)を言語化します。
例:食品ブランドであれば「味が良い」(機能)ではなく「家族と食べる時間が特別になる」(感情的価値)のように言語化します。
ステップ3:全顧客接点に感情的要素を統合する
広告コピーや映像だけでなく、製品パッケージ・店頭体験・SNS・アフターサポート・イベント・デジタル体験まで、すべての接点に一貫した感情設計を行います。
接点を一部だけ感情的に設計しても、別の接点で感情的に断絶が起きると顧客の信頼が崩れます。「全体として一貫した感情体験」が感情的つながりの維持条件です。
ステップ4:感情的つながりを数値で測定する
NPS(Net Promoter Score)・ブランドリフト調査・センチメント分析の3つを組み合わせて、感情的つながりの強さを定期的に数値化します。詳細はKPI設計のセクションで解説します。
ステップ5:データをフィードバックして改善する
測定した感情的つながりのデータをもとに、どの接点が感情的接続に効いているか・断絶を生んでいるかを特定し、施策を継続的に最適化します。
主な施策手法と比較
感情的つながりを設計する施策には複数の種類があります。それぞれの特徴と適した場面を整理します。
施策手法 | 概要 | 感情的効果 | 向いている業界・場面 |
|---|---|---|---|
ストーリーテリング | ブランドの背景・創業の想い・顧客の物語を語る | 共感・信頼・誇り | 食品・日用品・インフラ等 |
ビジュアル・感覚訴求 | 色彩・音楽・映像で感情を直接喚起する | 喜び・驚き・ノスタルジア | 飲料・コスメ・食品 |
コミュニティ形成 | 共通の価値観・趣味を持つ場を創り、所属感を育てる | 所属感・つながり・誇り | 食品・アパレル・趣味系 |
パーソナライゼーション | 個人の属性・行動に合わせた最適なメッセージを届ける | 「自分のもの」感・信頼 | EC・飲料・日用品 |
体験型施策 | リアル/デジタルの体験でブランドを「自分ごと」にする | 記憶・愛着・達成感 | 外食・ホテル・食品等 |
ゲーミフィケーション | 達成・収集・競争などのゲーム要素でエンゲージメントを高める | 達成感・楽しさ・つながり | 子ども・若年層・日用品 |
UGC(ユーザー生成コンテンツ)活用 | 顧客が自発的にブランドを語る場を設計する | 誇り・所属感・共感 | 食品・飲料・コスメ |
ノスタルジア訴求 | 懐かしさや思い出とブランドを結びつける | 懐かしさ・安心感・愛着 | 食品・日用品・飲料 |
出典:prtimes.jp/magazine/emotional-branding、chibico.co.jp、marketing-analytics.site、確認日:2026-04-19
施策選択のポイント: 1つの施策に集中するのではなく、複数の手法を顧客接点に合わせて組み合わせることが効果的です。特に体験型施策とコミュニティ形成の組み合わせは、感情的つながりを「その場限り」から「継続的な関係」へ昇華させやすい構成です。
また、ブランドが喚起したい感情の種類によって施策が変わります。
- 信頼・安心を育てたい → ストーリーテリング・パーソナライゼーション
- 楽しさ・達成感を育てたい → ゲーミフィケーション・体験型施策
- 共感・所属感を育てたい → コミュニティ形成・UGC活用
- ノスタルジア・懐かしさを育てたい → ノスタルジア訴求・ビジュアル感覚訴求
業界別の感情訴求設計パターン

感情的つながりの設計は、業界によって有効な感情の種類と接点が異なります。自社が属する業界のパターンを参考に、設計の起点としてください。
食品・飲料メーカー
育てるべき感情: 家族の絆・記憶・安心・懐かしさ
食品・飲料ブランドは「食卓の思い出」や「家族で共有する体験」と結びつけることで、長期的な感情的つながりを設計できます。
有効な施策パターン:
- ストーリーテリング:創業者の想い・地域の食材とのつながり・食の記憶を語る
- ノスタルジア訴求:「子どもの頃に食べた味」「親と一緒に食べたあの時間」のような感情記憶を活用
- 体験型施策:工場見学・料理教室・食の体験イベントでブランドとの思い出を作る
- 若年層・子どもへの接触:ゲーム・アプリ・体験型コンテンツで幼少期からブランドに触れる機会を設計
日用品・消費財メーカー
育てるべき感情: 信頼・日常の安心・家族への愛情
日用品は「当たり前の存在」になりやすく、感情的つながりが希薄になりがちです。逆に「日常の安心」に紐づいた感情設計ができると、スイッチングコストが高まります。
有効な施策パターン:
- パーソナライゼーション:ライフステージ(子育て中・一人暮らし等)に合わせたメッセージ
- コミュニティ形成:ユーザーが「使い方・工夫」を共有するコミュニティの形成
- 社会的価値訴求:環境・地域・社会課題への取り組みを通じた共感形成
外食チェーン・小売
育てるべき感情: 楽しさ・特別感・家族の絆・達成感
外食は「来店体験そのもの」が感情形成の中心です。店内の雰囲気・スタッフとの会話・限定メニューの体験が、ブランドへの感情的記憶を作ります。
有効な施策パターン:
- 体験型施策:店舗での体験をブランド体験として設計(子ども向けイベント・限定体験等)
- ゲーミフィケーション:ポイント・スタンプ・ランキング等の達成感を活用
- UGC活用:「行きたい」「また行きたい」の口コミを自発的に生み出す設計
ホテル・レジャー
育てるべき感情: 特別感・解放感・思い出・信頼
ホテルは「非日常の体験」そのものがブランドです。スタッフの対応・部屋のデザイン・食事・景色のすべてが感情形成に影響します。
有効な施策パターン:
- パーソナライゼーション:リピーター向けのパーソナルな対応・サプライズ
- ノスタルジア訴求:「初めて泊まった時の感動」を再現する演出
- SNS・UGC:「映えるシーン」を設計し、宿泊者のUGCでブランド感情を広める
交通・インフラ
育てるべき感情: 安心・信頼・地域への誇り・懐かしさ
交通・インフラは「使わざるを得ない」ケースも多いため、感情的つながりの設計が後回しになりがちです。しかし、「地域のシンボル」「子どもの頃から使ってきたもの」という文脈での感情設計が有効です。
有効な施策パターン:
- ストーリーテリング:路線・地域の歴史・エピソードを語り「地域との絆」を形成
- 子ども向けブランド体験:電車の仕組みを学ぶ体験・ドライバー体験等
効果測定・KPI設計の実践法
「感情は測れない」と思われがちですが、間接的に数値化する方法はあります。現時点でのベストプラクティスは、NPS・ブランドリフト・センチメント分析の3指標を組み合わせることです。
指標 | 概要 | 測定方法 | タイミング |
|---|---|---|---|
NPS(Net Promoter Score) | 「このブランドを友人に勧めるか」を0〜10点で測定。感情的コミットメントを最もよく反映する | アンケート調査 | 施策後・定期測定 |
ブランドリフト | 施策前後の認知率・好感度・購買意向の変化を測定 | A/Bサーベイ | 施策前後 |
センチメント分析 | SNS・レビューの感情的反響を正負で定量化 | テキスト解析ツール | 継続的 |
LTV(顧客生涯価値) | 感情的つながりの強さと購買継続の相関を測定 | CRMデータ分析 | 月次・四半期 |
広告想起率 | 施策後の自発的ブランド想起率の変化 | ブランドリフトサーベイ | 施策後 |
推奨率・クチコミ率 | 自発的な紹介行動の頻度 | 調査・SNS分析 | 月次 |
出典:dm-insight.jp(ブランドリフト)、emotion-tech.co.jp(NPS)、bloomreach.com(2025年調査)、確認日:2026-04-19
実践的なKPI設計の考え方
段階別にKPIを設定するのが現実的です。
- 認知・接触段階: ブランドリフト(認知率・好感度の変化)、広告想起率
- 関係形成段階: NPS(感情的コミットメント)、センチメント分析(SNS上の感情的反響)
- ロイヤルティ段階: LTV・ブランド滞在期間・推奨率・クチコミ率
感情的つながりは「広告を1回打てば完成する」ものではなく、複数の接触を経て形成されます。KPIも単発の施策ごとに評価するのではなく、3〜6ヶ月単位で継続的な変化を追う設計にすることを推奨します。
Bloomreach × EMARKETER 2025年調査では、感情的マーケティング施策の効果を追跡するマーケターの75.3%がパーソナライゼーションを活用し、顧客維持に効果的と判断しています(出典:bloomreach.com、確認日:2026-04-19)。
国内外の成功事例
国内事例
コカ・コーラ「Share a Coke」(名前入りボトル)キャンペーン
個人の名前をラベルに印刷することで「自分だけのコーラ」という所有感・特別感を演出。ブランドへの個人的な感情的つながりを生み出した事例として広く知られています。また、開封時の「プシュッ」という音・炭酸の泡など、五感に訴える「共感覚マーケティング」も感情記憶の形成に活用されています。
出典:predge.jp、business.adobe.com、確認日:2026-04-19
Oisix(オイシックス)× クレヨンしんちゃんコラボ
人気アニメキャラとのコラボを通じ、「お母さんへの感謝」というテーマでブランドアクティベーションを実施。家族の感情的な文脈とブランドを結びつけた事例です。
出典:insights.amana.jp、確認日:2026-04-19
海外事例
Apple「Think Different」キャンペーン
製品の機能ではなく「クリエイティブな自分」への自己イメージを刺激することで、Appleを「自分らしさを象徴するブランド」として位置づけました。感情的価値の言語化が非常に明確な事例です。
出典:chibico.co.jp、確認日:2026-04-19
Nike「Just Do It」
スポーツの結果ではなく「挑戦する自分」への感情を訴求し続けることで、NikeをLTV・推奨率ともに高いブランドに育てた代表例です。
Dove「Real Beauty」キャンペーン
「美の多様性」への共感を軸に、ブランドと消費者の価値観の一致を設計。感情的な共鳴が購買行動を超えたブランド支持に転化した事例として引用されます。
出典:chibico.co.jp、確認日:2026-04-19
任天堂(Nintendo)のノスタルジア活用
スーパーマリオ等のIPがもつ「子どもの頃の思い出」という感情を活用し、過去のファンと新世代を同時に接続しています。2025年の学術論文(jbrmr.com)では、ノスタルジア感情がブランド信頼→ブランド愛着→ブランドロイヤルティの順に正の連鎖を生むことが確認されています。
出典:jbrmr.com(2025年論文)、確認日:2026-04-19
ゲーム内でのブランド体験事例
サッカーゲーム「EA FC」内でペプシがゲーム内イベントを展開した事例や、メルセデスベンツが「マリオカート8」内でプレイヤーが無料アンロックできるスキンを提供した事例など、ゲーム体験そのものとブランドを統合する手法が海外でも広がっています(出典:digiday.jp、確認日:2026-04-19)。
感情的つながりを失敗させる3つの間違い
間違い1:「一度感動させれば十分」と考える
感情的つながりは1回のキャンペーンで完結しません。ブランドと顧客の感情的な接触が「ポジティブな体験の積み重ね」であることを忘れると、一時的な好感度は上がっても継続的なロイヤルティには転化しません。感情的つながりは「育てる」ものとして設計する必要があります。
間違い2:広告クリエイティブだけに感情設計を限定する
感情的つながりの設計を「TV CMや動画広告のクリエイティブ」だけで行う企業は少なくありません。しかし、その後の購入体験・アフターサポート・SNS対応が感情的に断絶していると、広告で作った感情的なつながりが一気に崩れます。「全接点の感情設計」として捉えることが重要です。
間違い3:感情を測定せずに「なんとなく良い施策」で終わらせる
「感情は測れない」という思い込みから、NPSやブランドリフト等の測定を行わず、施策の感情的効果を定性的な感想だけで評価してしまうケースがあります。測定なしでは改善ループが回らず、感情的つながりの強化につながりません。
こんな企業に向いている・向かない企業
感情的つながりの設計が特に有効な企業
- 競合との機能差別化が難しい商材を持つ企業(食品・日用品・飲料など):製品の機能では差がつきにくいからこそ、感情的価値での差別化が効く
- ブランドロイヤルティを長期で育てたい企業:短期の価格販促ではなく、LTV向上を目指すブランド戦略を持つ企業
- 若年層・子どもとの接点を持つ企業:幼少期の感情形成がその後の購買行動に長期的に影響するため、早期からの感情設計が投資対効果に見合う
- ファン層・リピーターが収益の柱になっている企業:感情的つながりの強さが推奨率・クチコミに直結するため、ファン形成を重視する企業に適合する
- ブランドの信頼・共感が購買判断に影響しやすい業界:ホテル・外食・インフラなど、「このブランドだから選ぶ」が成立しやすい分野
感情的つながりの設計が優先されにくい企業
- 短期の直接獲得(リード・即購買)を主目的にしている企業:感情的つながりは中長期で効くため、即時CVを求める局面とは目標が合いにくい
- 価格競争が主な差別化軸で、購買決定に感情が介在しにくい商材:BtoB向けコモディティ材料等、機能要件と価格が意思決定のほぼすべてを占める場合
- 顧客との繰り返し接触機会が構造的にない商材:一生に一度の購買が多い商材では、LTVへの影響が限定的になる
- ブランド戦略・コンテンツ制作に継続的な投資余力がない企業:感情的つながりの設計は一定の継続的コミットが必要。短期集中型の施策費用は小さくても、継続コストが発生する
→ ブランド体験設計の全体戦略で、感情的つながりを含む包括的なブランド体験設計の考え方を解説しています。
ゲーム空間が感情的つながりの新しい接点になる理由
感情的つながりを構築する前提条件は、ブランドが「感情的にポジティブな文脈」で顧客の認識に入ることです。この観点から、ゲーム空間は現在注目すべき接点のひとつになっています。
なぜゲームプレイ中が感情的接触に適しているか
ゲームプレイ中のプレイヤーは「没入状態(フロー状態)」にあります。達成感・楽しさ・ドキドキ感などのポジティブな感情が高まっているこの状態でのブランド接触は、以下の特性を持ちます。
感情移転(ポジティブな感情がブランドに転移する): ゲームの楽しさ・達成感という感情が、その瞬間に視界に入ったブランドへ転移しやすい状態にあります。
「嫌われない接触」による感情的断絶の回避: 割り込み型広告(インタースティシャル等)はプレイを中断し、感情的にネガティブな印象をブランドに与えるリスクがあります。一方、ゲーム空間の看板・サイネージに自然に溶け込む形での接触は、そのリスクを最小化します。
繰り返し接触による「なじみ感」の形成: ゲーム内でのブランド露出の繰り返しが「なじみ感」(メア・エフェクト)を生み、感情的つながりの土台となります。
若年層・子どもの感情形成期への接触: ゲームは子ども・若年層が長時間エンゲージするメディアです。幼少期〜青年期に形成されたブランド感情は長期化しやすく、生涯のLTVに寄与する可能性があります。
ゲーム内サイネージ型広告の感情設計上の位置づけ
ゲーム空間の看板・モニターに動画広告を配信するサイネージ型のゲーム内広告は、エモーショナルコネクション構築の文脈では「感情的つながりの第一歩を作る接点設計」として機能します。
感情的つながりの形成は「接触→感情的なポジティブ体験→記憶化→継続接触→関係構築」というプロセスを踏みます。ゲーム内広告はこのプロセスの起点「感情的にポジティブな状態での接触」を設計できる点に特徴があります。
Ad-Virtuaが提供するサイネージ型ゲーム内広告は、国内400タイトル以上に対応し、累計8,000万回以上の再生実績を持ちます(2025年後半時点)。広告想起率約1.8倍・注目度約1.7倍・好感度約85%というデータは、ゲームプレイ中の感情的状態での接触がブランド印象の形成に有効に機能していることを示しています(出典:Ad-Virtua公式サイト、確認日:2026-04-19)。
食品・飲料・日用品・外食・ホテルなど、子ども・若年層への感情的つながりを設計したい企業、またはブランド認知の新しい接点を探している企業には、ゲーム空間での感情的接触設計が選択肢のひとつになります。
→ ゲーム内広告の仕組み・種類・費用で、ゲーム内広告の全体像を解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. エモーショナルコネクションマーケティングはBtoBには使えませんか?
BtoBでも活用できます。BtoB購買の意思決定者も人間であり、信頼・安心・共感などの感情が購買判断に影響します。ただし、BtoBでは「個人の感情」ではなく「組織の中での信頼」「長期的な安心感」を育てる設計になります。ストーリーテリング(創業者の想い・事例の語り方)・コミュニティ形成(ユーザー会・事例共有会)・パーソナライゼーション(担当者への個別対応)が有効です。
Q2. 感情的つながりを測定する一番シンプルな指標は何ですか?
NPS(Net Promoter Score)が最初の一歩として使いやすい指標です。「このブランドを友人・同僚に勧めるか」を0〜10点で答えてもらうだけで、感情的コミットメントの強さをスコア化できます。満足度調査と違い、「ブランドを積極的に推薦する意欲」という感情的な関与度を測れる点が特徴です。
Q3. 感情的つながりの設計にはどのくらいの期間と予算が必要ですか?
感情的つながりの形成には一般的に複数の接触と時間が必要です。TVCMのような大型投資がなくても、SNS・コンテンツ・体験型施策などの組み合わせで設計できます。ただし、「1回の施策で完結する」のではなく、継続的なブランド接触を設計することが前提です。期間の目安として、短くても3〜6ヶ月のKPIトラッキングが推奨されます。
Q4. ゲーム内広告は感情的つながりの設計に使えますか?
使えます。ゲームプレイ中はプレイヤーがポジティブな感情状態(没入・達成感・楽しさ)にあるため、この状態での自然なブランド露出は感情的つながりの起点として機能しやすい環境です。ただし、ゲーム内広告単体で感情的つながりが完結するわけではなく、その後の継続的な接点設計(SNS・店頭・体験等)との連携が重要です。
Q5. 子ども・ファミリー層への感情的つながりの設計で注意すべきことは?
子ども向けマーケティングには広告規制(景品表示法・各メディアのガイドライン等)があり、訴求方法に制約が生じることがあります。また、子どもへの感情訴求は保護者の信頼も同時に得る設計が必要です。「子どもが好き」と「保護者が安心して子どもに与えられるブランド」の両立を意識した設計を推奨します。
→ 体験型マーケティングとはでは、ゲーム・体験型施策を含む感情設計の全体像を解説しています。
まとめ
エモーショナルコネクションマーケティングとは、顧客がブランドと感情的に深くつながる状態を設計・維持する取り組みです。Motistaの調査(HBRで引用)では、感情的つながりのある顧客のLTVは通常の顧客の3倍以上になることが示されています。
感情的つながりを育てるには、顧客の深層心理の理解から始まり、ブランドの感情的価値の言語化、全顧客接点への統合、KPIでの測定、継続的な改善というサイクルが必要です。一度の施策で完結するものではなく、「ブランドとの感情的な体験の蓄積」として長期的に設計します。
業界や商材によって有効な感情の種類と施策が異なります。自社の読者(顧客)がどんな感情的文脈でブランドと関わっているかを起点に、設計を始めることをお勧めします。
ゲーム空間での感情的接触設計など、新しいデジタル接点の活用を検討している場合は、Ad-Virtuaの事例・資料をご参考ください。
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