英国のゲーム広告会社Venatus(ヴェナタス)が2026年6月、クロスワードや数独などのブレインゲームで流した動画広告は、オンライン動画の基準値の4.21倍の注目を集めたとするデータを自社ブログで公開した。日本の広告主にとっては、ゲーム広告の価値を「若い男性ゲーマーに届くこと」ではなく「パズルに集中している時間の注目」で測る考え方が出てきたことを示す発表である。同時に、比較の条件が開示されていない数値をどう扱うかを考える材料にもなる。
発表の内容

Venatusは2026年6月、公式ブログに「Why focus is the brain games advantage(集中こそがブレインゲームの強み)」を公開した。筆者はGareth Nicholas氏。プレスリリースではなく自社ブログの記事で、人物の発言の引用はない。ページの日付表記は「June 2026」だけで、正確な公開日は示されていない(出典: Venatus公式ブログ)。
ブログの主張は次のとおりである。ワード・論理・数字のパズル(クロスワード、数独、デイリーのワードゲーム)を遊ぶ人は、集中したくて遊んでいる。その集中状態は、ブランドが予算をかけて届けたい状態と同じである。Venatusはブレインゲームを「Venatusのエコシステムにあるプレミアムな環境」と位置づけているが、具体的にどのタイトル・パブリッシャーを指すかは書かれていない。
根拠として挙げた数値は4つの出典から6つある。
# | 数値(ブログの記載) | ブログ内の出典表記 | 調査条件の記載 |
|---|---|---|---|
1 | ブレインゲームはモバイルゲームのダウンロードの約15%を占める | data.ai | 対象年・国・ジャンル定義なし |
2 | ゲームアプリの利用時間の25%超を占める | data.ai | 同上 |
3 | プレイヤーの65%が、プレイ中に「ながら」をしないと回答 | Venatus Brain Games Study | サンプル数・国・期間・設問文なし |
4 | プレイの84%は夜のくつろぎ時間 | Venatus Brain Games Study | 同上。回答者の割合かプレイ回数の割合かも不明 |
5 | ブレインゲーム内の動画キャンペーンは、オンライン動画の基準値の4.21倍の注目を獲得 | Lumen Research | 指標、基準値の定義、サンプル、期間、国、広告フォーマットの記載なし |
6 | ブランド認知のリフトが業界標準より24ポイント高い。接触者は購入意向が6%高く、標準のリフトを4ポイント上回る | Brand Metrics | 「業界標準」の範囲、設問、対照群の作り方の記載なし |
(出典: Venatus公式ブログ、2026年11月7日確認)
6つとも、Venatusが自社ブログで公表した数値である。Lumen ResearchやBrand Metricsがこれらの数値を自社の名前で公表したものは、本記事の調査では見つかっていない。読むときは「Venatusによると、Lumen Researchの計測では4.21倍」という受け止め方になる。
数値の出どころにも確認できない点が残る。数値3・4の「Venatus Brain Games Study」は、ブログ内のリンク先が2026年3月のLumen Research調査のリリースになっているが、そのリリースには65%・84%・4.21倍のどれも載っていない。調査そのものを公開しているページは見つかっていない。また、数値6の「6%」と「4ポイント」は単位が異なり、どちらが相対値でどちらが差分なのかは原文から読み取れない。
ブログはこれらの数値をもとに、パブリッシャー向けにはリワード広告や動画を含む「パズル環境に合わせた邪魔にならない収益化」を、広告主向けには「ブランドセーフで厳選された環境で、集中して考えているオーディエンスに直接届く経路」を打ち出している。結びでは、同社のコンセプト「Audiences In the Zone(集中状態のオーディエンス)」を最も分かりやすく示す例がブレインゲームだとしている。
筆者の地の文には、次の一節がある。
Attention you can't manufacture easilly. But you can meet it where it already is.
(注目は簡単には作り出せない。でも、すでにある場所で出会うことはできる)
Venatusとはどんな会社か

会社の概要
正式社名はVenatus Media Limited。2010年にRob Gay氏とMatt Cannon氏が共同で設立した。本社はロンドンにあり、ニューヨーク、ソウル、シドニー、フィリピンなどにも拠点を置く。日本の拠点はない。従業員は公式サイトで「120人超」とされている(出典: Venatus公式サイト About)。
事業を一言で言えば、ゲーマーが集まる媒体の広告枠をまとめて預かり、ブランドに直販とプログラマティック取引で売る会社である。対象の媒体はゲーム攻略サイト、モバイルゲーム、ブラウザゲーム、Robloxなどにまたがる。パブリッシャー向けには、広告収益化のプラットフォーム「Prosper」も提供している。
会社全体の詳しい紹介は当サイトの企業解説記事「Venatusとは」にまとめている。ここでは今回のブレインゲームの話に関係する部分を中心に書く。
広告が表示される場所
Venatusは広告の掲出場所を3つに分けて説明している。
区分 | 内容 |
|---|---|
In the Game | ゲームの中に表示する広告 |
Around the Game | ゲームのそばに出る広告。リワード動画、プレイアブル広告など |
Away from the Game | ゲームの外の広告。ゲームメディアのテイクオーバーなど |
今回のブログがパブリッシャーに勧める収益化にはリワード広告が含まれ、このうち「Around the Game」に当たる。
オーディエンスとインベントリの規模
オーディエンスも3つに分けて公表している(いずれも公式サイトの表記)。
セグメント | 規模 | 年齢層など |
|---|---|---|
Core Gaming | 1億1,700万MAU | 16〜40歳 |
Casual Gaming | 5,100万MAU | 18〜60歳、女性がやや多い |
Kids Gaming | 2億MAU | — |
ネットワーク全体では「月間4億人超」としている。各セグメントの定義や重複を除いているかは公開されていないため、本記事では3つを合算しない。

ブレインゲームが3つのセグメントのどれに入るかは書かれていない。カジュアルゲーム向けのCasual Gamingのページ(2026年11月7日確認)が挙げるジャンルはMetaverse、Action/Adventure、Sportsの3つで、パズルやブレインゲームは入っていない。パートナー欄に並ぶのもRoblox、Sims FreePlay、Livetopia、Minecraft、Angry Birds、Sonic Dash 2、Planet Minecraft、Futbin、Madden Mobileで、ワード系や数独系のタイトル名はない。ブレインゲームを扱う専用ページもサイトマップには見当たらない。ブレインゲームの広告枠がどのパブリッシャーのものかは、公式情報からは分からない。
認証と計測パートナー
VenatusはIAB Gold Standard、TAG Brand Safety Certified、Google Certified Publishing Partner(2024年5月)の認証を受けている。
今回のブログに名前が出る計測・データの会社は3社ある。
社名 | 何をする会社か | 今回の数値 |
|---|---|---|
Lumen Research(英国、2013年設立) | アイトラッキング(視線計測)で広告への注目を測る。代表的な指標はAPM(1,000インプレッションあたりの注視秒数) | 4.21倍 |
Brand Metrics(スウェーデン、2018年創業) | 広告に接触した人にアンケートを出し、認知・検討・好意・行動意向のリフトを測る | 24ポイント、6%、4ポイント |
data.ai(旧App Annie、2010年創業) | アプリのダウンロード数や利用時間を推計する市場データ会社 | 15%、25%超 |
Venatusのブログ一覧の紹介文には、Lumen ResearchとBrand Metricsとの調査(research with Lumen Research and Brand Metrics)と書かれている(出典: Venatus公式ブログ「From Attention to Receptivity」関連記事欄)。Brand Metricsは2018年にスウェーデンのヨーテボリで創業し、ヨーテボリ、ニューヨーク、ワーウィック(英国)、アムステルダムにオフィスを置く。CEOはAnders Lithner氏(出典: Brand Metrics公式サイト)。
ここまでの歩み
Venatusはベンチャーキャピタルから段階的に資金を集めるタイプの会社ではなく、プライベートエクイティ(PE)の出資と買収を節目に事業を広げてきた。今回のブログは2026年に入って続けている「集中状態のオーディエンス」を売りにした発信の4本目にあたる。
時期 | 出来事 | そのとき会社が進めていたこと |
|---|---|---|
2010年 | 設立 | Rob Gay氏とMatt Cannon氏が、ゲーム・エンタメ領域に特化した広告事業を始めた |
2021年9月28日 | 英国のPEファンドLivingbridgeが出資(金額は非公開) | 外部の出資を受けて事業を広げる段階に入った(出典: Livingbridge公式) |
2023年3月 | オランダのブラウザゲーム収益化企業AdinPlayを買収(金額は非公開) | ブラウザゲームの広告枠を取り込んだ |
2024年9月9日 | CEOが共同創業者のRob Gay氏からNick Hugh氏に交代 | 経営の責任者を創業者から別の人物に引き継いだ(出典: Venatus公式ブログ) |
2026年3月18日 | Lumen Researchの視線計測調査を発表 | 「In the Zone」の動画広告は、標準的なデジタル動画と比べてAPMが最大5倍、平均視聴時間8秒(基準2秒)、視認される可能性が約2倍だとした。サンプル・国・期間は非公表(出典: Venatus公式ブログ) |
2026年4月 | 論考「Attention peaks」「From Attention to Receptivity」を公開 | 注目(見ているか)だけでなく受容性(見たものを受け入れる状態にあるか)が大事だと主張した |
2026年5月 | 英・仏・独でRobloxのリワード動画広告の公式リセラーになる | Roblox内のリワード動画を売る立場を得た(出典: Venatus公式ブログ) |
2026年6月 | 【今回】ブレインゲームのブログを公開 | 集中状態の主張を、特定のゲームジャンルに当てはめた |
2026年夏 | 投資会社MediaScale Capital Limitedが買収(金額は非公開)。CEOにDora Michail-Clendinnen氏、CFOにJoe Seath氏が就任 | 新しい株主のもとで経営陣を入れ替えた |
2026年8月21日 | Azerion(アムステルダム)が、Venatusの収益化事業の技術パートナーに選ばれたと発表 | 買収後、収益化事業の技術を外部の会社と組んで提供する形をとった |

MediaScale Capitalによる買収を伝える公式ページの日付表記は、2026年8月19日の時点では「July 2026」だったが、10月21日と11月7日に確認した時点では「October 2026」に変わっている(出典: Venatus公式ブログ)。8月21日のAzerionの発表が買収に触れているため、公表は7月ごろと考えられるが、本記事では「2026年夏」と書くにとどめる。経緯は「MediaScale CapitalによるVenatus買収」と「AzerionとVenatusの技術提携」で詳しく扱っている。
いずれの出資・買収も金額は非公開で、累計の調達額は公式に確認できない。2021年のPE出資と2023年の買収は規模を広げる動き、2026年の調査・論考は広告枠の質を数字で示す動きである。Venatusの売り込み方が規模から質へ寄ってきたことを示す履歴と考えられる。
失敗や撤退については、Venatusがサービスを終えたり市場から撤退したりした公式情報は見当たらない。2023年にゲーム内広告のBidstackと提携したが、その後どうなったかは確認できていない。
今回の4.21倍と3月の「最大5倍」は、どちらもLumen Researchの計測とされるが、4.21倍が3月の調査データの一部なのか、別の計測なのかは書かれていない。「5倍のうちブレインゲームの部分が4.21倍」と結びつけて読むことはできない。3月の調査の詳細は「VenatusとLumen Researchのアテンション調査」で解説している。
広告出稿事例
ブレインゲームでの出稿事例(ブランド名、実施内容、効果)は、今回のブログにも公式サイトにも見当たらない。4.21倍や24ポイントがどのブランドのキャンペーンで測った数値かも書かれていない。以下はVenatus全体の公式事例で、いずれもVenatusが公表した数値であり、実施時期の記載はない。
Burberry「HERO」(オーストラリア)
代理店Havasを通じ、Burberry「HERO」の広告をゲームメディアのテイクオーバーと、PC・コンソールゲーム『Paladins』『SMITE』内の15秒のリワード動画で配信した。公表されている効果は、テイクオーバーのCTRが2.4%、リワード動画のVTR(最後まで視聴された割合)が96.5%(出典: Venatus公式 Burberry HERO事例)。

ゲームの外の広告枠とゲーム内のリワード動画を組み合わせた例である。今回のブログがブレインゲームのパブリッシャーに勧めている「リワード広告や動画」は、このうちリワード動画の形式に近い。
Intel「Arc」(韓国)
18〜34歳の韓国のPCゲーマーに向けて、op.gg、fow.kr、dak.ggに動画付きのプレミアムテイクオーバーを掲出した。公表されているCTRは5.98%(出典: Venatus公式 Intel Arc事例)。

「Away from the Game」に当たる、ゲームの外の広告枠の例である。
参考: Nintendo『ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス』
『Angry Birds』『Plants vs Zombies』のアプリ内で、クイズ形式のミニゲーム(MRAID)を広告として配信した。公表されている効果はCTR 12.3%、エンゲージメント率40.1%(出典: Venatus公式 事例ページ)。カジュアルゲームの中で、遊ばせる形の広告を出した例である。
参考: HP OMEN(韓国)
今回のブログの下部にはHP OMENの韓国向けテイクオーバーの画像も載っている。ゲームメディア「RPG Site」に掲出したもので、ブレインゲームでの広告ではない。実施時期と効果指標は公開されていない。

なぜこの動きが起きたのか
2026年のVenatusの発信は、MAUのような規模の数字より、「注目」と「受容性」というオーディエンスの状態で広告枠を売る方向に寄っている。2026年4月の論考で、当時のCEOのNick Hugh氏は次のように書いている。
The opportunity is to be able to predict when attention is most likely to be at its highest, and to align delivery accordingly. Venatus knows that these audiences are 'In the Zone.'
(チャンスは、注目が最も高まりそうな瞬間を予測し、それに合わせて配信することにある。Venatusは、こうしたオーディエンスが「In the Zone」にあることを知っている)
(出典: Venatus公式ブログ「Attention peaks: the moment that matters」)

3月の調査で「集中しているゲーマーには広告がよく見られる」というデータを出し、4月の論考で「注目に加えて受容性が大事」という考え方を示した。そのうえで6月に、集中して遊ぶことがはっきりしているジャンルとしてブレインゲームを取り上げた、という順序になる。夜のくつろぎ時間が84%という数値を出しているのも、「受容性」の主張に合わせたものと考えられる。
ブレインゲームを新しい売り物として育てている段階なのか、すでにある広告枠に新しい名前を付けたのかは、公式情報からは判断できない。前述のとおり、Venatusの広告主向けページにはパズルのジャンルが載っていない。
狙いの一つとしては、ゲーム広告を「若いゲーマー向けの媒体」と見ていたブランドに、別の入口を示すことが考えられる。ただし、今回のブログにはブレインゲームのプレイヤーの年齢や性別の数値は載っていない。
日本市場ではどうか

Venatusのブレインゲームの広告枠を日本の広告主が使えるかは、確認できていない。日本の拠点、日本語の媒体、円建ての取引について公式の記載はなく、今回のブログ自体にも対象国が書かれていない。
日本でパズルや脳トレ系のゲームがどれだけ遊ばれているかについて、本記事では日本の一次データを確認できていない。data.aiの「ダウンロードの約15%、利用時間の25%超」も対象国が書かれていないため、日本にそのまま当てはめることはできない。
計測の面では、Lumen Researchが2024年11月に国内DSPのUNICORN(アドウェイズ子会社)と提携している。Brand Metricsは公式サイトのオフィス一覧に日本がなく、日本での提供は確認できていない。
市場の大きさの参考として、2025年の日本の総広告費は8兆623億円、うちインターネット広告費は4兆459億円である(電通「2025年 日本の広告費」)。ゲーム広告だけの数値はこの統計にはない。
ゲーム内広告の種類や仕組みを先に整理したい場合は、「ゲーム内広告とは」で全体像を確認できる。
日本で同じ広告を実施する選択肢
Venatusがブレインゲームのパブリッシャーに勧めている収益化には、リワード広告や動画が含まれる。日本でも、パズルゲームを含むカジュアルゲームを遊んでいる時間に広告を出す方法はいくつかあり、広告の出る場所で分かれる。
国内の選択肢の一つが、Ad-Virtuaのゲーム内広告である。Ad-Virtuaはゲーム空間の中にある看板やモニターに動画広告を流すサイネージ型のアドネットワークで、プレイを中断させずに広告を見せる。掲載できるジャンルにはカジュアル、RPGと並んでパズルがあり、公式のパズルゲーム『モンチッチのタッチッチ』などが対象に入っている。料金は1週間30万円から(ゲーム内での100万回再生が目安)と公式サイトに記載している(出典: Ad-Virtua公式サイト、2026年11月7日確認)。
比較ポイント | Venatusのブレインゲーム広告 | Ad-Virtuaのゲーム内広告 |
|---|---|---|
主な配信地域 | 対象国の記載なし(日本での提供は未確認) | 日本 |
広告の形式 | ブログが挙げるのはリワード広告や動画 | ゲーム空間内の看板・モニターに流す動画広告 |
プレイとの関係 | リワード広告はユーザーが選んで視聴する | プレイを中断しない |
対象タイトル | 公表なし | パズルを含むカジュアル、RPGなど |
名前の出ている計測会社 | Lumen Research、Brand Metrics(調査設計は非公開) | 第三者計測の有無は本記事では未確認 |
料金の公開 | 本記事の調査では未確認 | 1週間30万円から |
こんな企業におすすめ
- 日本国内のゲームプレイヤーに、プレイを止めずに動画広告を見せたい企業
- パズルやカジュアルゲームを遊ぶ層に、テレビCMやSNS広告とは別の接点を作りたい食品・飲料、日用品のブランド
- 手持ちの動画素材を使って、週単位の予算から試したい企業
おすすめしない企業
- 第三者の視線計測(APMなど)の数値を出稿の条件にしている企業。Ad-Virtuaが第三者の計測会社と組んでいるかは、本記事では確認できていない
- ユーザーが自分で選んで最後まで見るリワード動画の形式を使いたい企業
- 英国・欧州など海外のゲームプレイヤーに向けた配信が主な目的の企業。その場合はVenatusのような海外の事業者が候補になる
Ad-Virtuaも広告想起率や注目度の数値を自社調査として当サイトの記事で紹介しているが、調査会社、比較対象、サンプルは本記事の調査では確認できていない。この点はVenatusの数値と同じ限界であり、どちらの数値を使う場合も、次の章の確認項目で条件を確かめてから判断材料にするのがよい。
広告主が取るべき判断

今動く価値があるのは、ゲーム広告を「若い男性向けの媒体」と見て候補から外してきた企業である。パズルを遊ぶ時間の注目を売りにする考え方が海外で出てきた以上、自社のターゲットが遊ぶジャンルで小さく試し、自社の指標で確かめる段階にある。
様子見でよいのは、数値の根拠を社内で説明する責任が重く、比較の条件が分からない数値では稟議が通らない企業である。今回の4.21倍や24ポイントは、比較の条件が開示されていないため、それだけを出稿の根拠にするのは難しい。
どちらの場合も、海外・国内を問わず、媒体社から効果の数値を示されたら次の点を確かめるとよい。
- 誰が測ったか(計測会社の名前と、その会社自身が結果を公表しているか)
- 何と比べたか(「基準値」「業界標準」が、どの国・期間・広告フォーマットの平均か)
- 何を測ったか(注目の指標の定義、ブランドリフトなら設問の文言)
- どれだけ測ったか(サンプル数、キャンペーン数、配信国、期間)
- 数値の単位(「%」が相対値か、ポイント差か)
- 対照群の取り方(広告に接触していない人をどう選んだか)
関連する基礎知識への導線
- ゲーム内広告とは:ゲーム内広告の種類と仕組みの全体像
- アテンション指標とは:「4.21倍の注目」で使われるAPMなどの指標の意味
- Venatusとは:Venatusの事業と沿革の詳しい解説
- VenatusとLumen Researchのアテンション調査:2026年3月の「最大5倍」の調査
- VenatusがRobloxのリワード動画広告の公式リセラーに:リワード広告の具体的な売り方の例
よくある質問
Brand Metricsのブランドリフトは、どうやって測っているのか
Brand Metricsの公式説明では、広告に接触したユーザーを特定し、そのユーザーが同じパブリッシャーの環境に戻ってきたときに、広告されたブランドについて1問だけ質問を出す。接触データと回答を組み合わせてリフトを計算し、指標は認知、検討、好意、行動意向の4つ。各キャンペーンは「6万件超のキャンペーン、35か国、1,300万件超の回答」のベンチマークと比べるとしている(出典: Brand Metrics公式サイト)。広告に接触していない人の回答をどう集めているかは、公式ページに説明がない。今回のブログの「購入意向」が4指標のどれに当たるかも書かれていない。
data.aiはどういう会社か
data.aiは2010年創業の旧App Annieで、2024年3月にSensor Towerに買収された。data.aiのサイトのフッターは「© 2026 data.ai, a Sensor Tower company」となっている(出典: Sensor Tower公式ブログ、data.ai公式サイト)。今回のブログの15%・25%超がいつのデータかは書かれておらず、元のレポートも示されていない。買収前のデータである可能性も含めて、時期は分からない。
「ブレインゲーム」は「パズルゲーム」と同じ意味か
Venatusのブログが挙げる例は、ワード・論理・数字のパズル(クロスワード、数独、デイリーのワードゲーム)である。一方、data.aiの15%・25%超がどのジャンル定義で集計されたかは書かれていない。同じブログの中でも、数値ごとに「ブレインゲーム」の範囲が一致しているとは限らない。
MediaScale Capitalによる買収で、ブレインゲームの方針は変わるのか
公式の説明はない。今回のブログは買収の公表より前に公開されており、買収後にブレインゲームについて新しい発表があったかは確認できていない。買収後の2026年8月には、Azerionが収益化事業の技術パートナーに選ばれたと発表している。


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