Roblox Corporation(以下Roblox)は2026年10月29日(米国時間)、2026年第3四半期の株主レターで、スキップ可能なプレロール動画広告(ゲーム本編の前に流れる動画広告)を投入する計画を明らかにした。日本の広告主から見ると、Robloxの広告はテレビCMや動画配信サービスの動画広告に近い形でも買えるようになる可能性があるが、提供時期・地域・対象年齢はまだ公表されておらず、日本で今すぐ出稿できる広告ではない。
発表の内容

Robloxは2026年10月29日、2026年第3四半期(7〜9月期)の決算を発表し、あわせて株主レター(Shareholder Letter)を公開した[Roblox Q3 2026 Shareholder Letter][決算リリース]。
広告についての記述はレター6ページの「Leveraging Scaled Audience to Diversify Monetization(大きなユーザー規模を生かして収益化の手段を多様化する)」という小見出しの下にある。同じ小見出しには、2026年4月に始めたサブスクリプション「Roblox Plus」と広告の2項目が並んでいる。広告の項目で示された内容は次の4点だ。
- リワード動画(Rewarded Video)とスポンサー枠のタイル(Sponsored Tiles)は「明確なプロダクトマーケットフィットを示している」
- 2026年第3四半期、Robux(Roblox内の仮想通貨)の消費額で上位100位に入るゲームのうち、70%超がSponsored Adsを運用した
- リワード動画を導入したゲームの20%超が、ゲーム内収益の10%超を広告から得た
- 自社在庫(first-party inventory)を増やすことが広告事業の拡大に欠かせず、そのためにスキップ可能なプレロール動画広告を投入する計画がある
4点目の原文は次のとおり。
"Growing first-party inventory is critical to scaling our advertising business. With this in mind, we plan to launch skippable, pre-roll video ads to drive incremental monetization opportunities."
>
(自社在庫を増やすことは、広告事業を拡大するうえで欠かせない。そこで、収益化の機会を上積みするために、スキップ可能なプレロール動画広告を投入する計画だ)
レターに書かれていないことも多い。プレロール広告の提供開始時期、どの画面のどのタイミングで流れるか、対象年齢と対象地域、販売方法(プログラマティックか、Robloxが運用を代行するマネージドサービスか)は記載がない。同日の決算説明会の質疑で詳細が語られた可能性はあるが、本記事では書き起こしを確認できていない。現時点では「計画を表明した」段階である。
広告の売上規模も小さいままだ。レター20ページの注記は、ブッキング(Robloxが業績の管理に使う指標で、その大半は27か月かけて売上に計上される)について「広告とライセンス契約によるごくわずかな額(insignificant amount)も含まれる」と書くにとどめ、広告売上の金額を開示していない。広告は第2の収益の柱に「なった」のではなく、これから育てようとしている段階にある。
なお、広告の数値(70%超・20%超)をデビッド・バズーキ(David Baszucki)CEOの発言として報じたメディアもあるが、株主レターでは署名のない会社としての記述である。
2026年第3四半期の業績
広告の発表は、課金収入の伸びが鈍った四半期に出てきた。
指標 | 2026年第3四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
売上 | 15億7,200万ドル | +16% |
ブッキング | 16億9,700万ドル | -12% |
DAU(日次アクティブユーザー) | 1億3,800万 | -9% |
エンゲージメント時間 | 約340億時間 | -15% |
平均MUP(月間ユニーク課金者) | 3,000万 | -16% |
調整後EBITDA | 1億3,800万ドル | 前年同期は4,600万ドル |
出典: Roblox Q3 2026 Shareholder Letter
売上・ブッキング・キャッシュフローはいずれも会社のガイダンスを上回った。一方で、2026年第4四半期のブッキング見通しは18億9,000万〜20億ドルで、前年同期比-15〜-10%と減少が続く。レターは売上が伸びてブッキングが減る理由を、ブッキングの大半を27か月かけて売上に計上する会計方針のためと説明している。
Robloxの広告事業(Roblox for Brands と Ads Manager)

Robloxはユーザーが作ったゲーム(Roblox内では「体験」と呼ぶ)を遊ぶためのプラットフォームとして日本でも知られている。ここでは会社全体ではなく、今回の発表の対象である広告事業を説明する。
会社の基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式社名 | Roblox Corporation |
本社 | 米カリフォルニア州サンマテオ |
上場 | ニューヨーク証券取引所(NYSE: RBLX) |
創業者・CEO | デビッド・バズーキ氏 |
歴史 | 株主レターは「Over the last 20 years(過去20年)」と振り返り、2026年9月に20周年イベント「The Hunt: Roblox 20」を開催 |
広告事業の責任者 | ルークマン・パランパス(Louqman Parampath)氏(Vice President of Product, Ads, and Commerce) |
効果測定の責任者 | アリソン・マクダフィー(Allison McDuffee)氏(Global Head of Brand Insights & Measurement) |
現金・現金同等物・投資 | 62億ドル(2026年9月30日時点、前年比+10億ドル) |
出典: Roblox Q3 2026 Shareholder Letter、CES 2026リリース、2026年6月リリース
広告の買い手は2種類いる
Robloxの広告には、立場の違う2種類の買い手がいる。
- ブランド(広告主): 窓口は「Roblox for Brands」(brands.roblox.com)。プログラマティック取引か、Robloxが運用を代行するマネージドサービスで出稿する
- クリエイター(ゲーム制作者): 「Ads Manager」で自分のゲームを宣伝し、ホーム画面や検索結果に出して遊ぶ人を集める(Sponsored系の広告)。同時に、自分のゲームにリワード動画を載せて広告収入を得る売り手にもなる
この区別で株主レターの2つの数値を読むと、意味が分かれると考えられる。「上位100ゲームの70%超がSponsored Adsを運用した」は、上位のゲームが広告を買って集客に使っているという、買い手側の話と読むのが自然だ。「リワード動画を導入したゲームの20%超が収益の10%超を広告から得た」は、広告を載せて稼いでいる売り手側の話である。ただしレターはこの区別を明記していないため、ここでの読み方は解釈にとどまる。
広告フォーマット
Roblox for Brandsの公式ページで確認できる主なフォーマットは次のとおり[Roblox for Brands]。リワード動画の「30秒以内」は2025年4月のリリースによる。
区分 | フォーマット | 仕組み | 公表されている数値 |
|---|---|---|---|
動画 | Rewarded Video(リワード動画) | ユーザーが自分で選んで見る全画面の動画。見るとゲーム内通貨やアイテムがもらえる。30秒以内 | 完了率90%、ビューアビリティ95% |
動画 | Billboard Video(ビルボード動画) | 人気ゲームの人通りの多い場所に置いた看板で、動画やディスプレイ広告を流す | ビューアビリティ70%超のパッケージあり |
ホーム画面 | Homepage Hero | ホーム画面の最上部に24時間掲載するプレミアム枠。大型ローンチ向け | 24時間掲載 |
ホーム画面 | Homepage Feature(ベータ) | ホーム画面の枠からブランドの体験へ誘導する。CPM課金 | ― |
ホーム画面 | Homepage & Search Tiles | ホーム画面と検索結果に出るタイル型の成果型広告 | ― |
体験内 | ブランド連携(Roblox Brand Link)、ブランドの常設体験など | クリエイターのゲームにブランドを組み込む、またはブランドが自分の体験を持つ | ― |
その他 | 期間限定のブランドアバターアイテム、ポータル | ― | ― |
予定 | スキップ可能なプレロール動画 | 今回表明。仕様は未公表 | ― |
株主レターの「Sponsored Tiles」は「Homepage & Search Tiles」の系統とみられるが、同じものかどうかは確認できていない。

上の画像はリワード動画の例で、『Grow a Garden』の種ショップで在庫を補充する代わりに広告を見るかどうかをユーザーが選ぶ。プレロールは一般に、ユーザーが選ばなくても流れる形式である。リワード広告の仕組みは「リワード動画広告とは」で詳しく扱っている。
ターゲティングと年齢による制限
- 18歳以上の在庫はプログラマティック取引でターゲティングできる
- 13歳以上の対象ユーザー全体にはコンテクスチュアル(文脈)ターゲティングを適用する
- 13歳未満にはリワード型の広告を出せない。食品・化粧品・医薬品・金融サービスの広告も13歳未満には配信できない(Roblox Developer Forum、2026年3月20日初出・6月17日更新)
食品・飲料メーカーが13歳未満の子どもに向けて、Robloxで自社商品の広告を出すことはできない。13歳未満向けの広告については「RobloxがSuperAwesomeを13歳未満向け広告のパートナーに」で解説している。
規模
指標 | 値 | 時点 |
|---|---|---|
DAU | 1億3,800万 | 2026年第3四半期 |
エンゲージメント時間 | 約340億時間 | 2026年第3四半期 |
ホーム画面の起点となるDAU | 1億5,100万超 | 2025年第3四半期 |
リワード動画を導入した体験 | 400超 | 2026年1月時点 |
リワード動画を利用したブランド | 1,000超 | 2026年1月時点 |
出典: Roblox Q3 2026 Shareholder Letter、CES 2026リリース
主要パートナー
区分 | パートナー |
|---|---|
広告配信基盤 | Google(Google Ad Manager。リワード動画とビルボードの販売基盤) |
DSP(広告主側の買い付けツール) | Google(Display & Video 360 / Authorized Buyers)、Amazon DSP、Liftoff |
SSP(媒体側の販売ツール) | PubMatic、Index Exchange、Magnite |
計測(広告の品質) | IAS(Integral Ad Science)、DoubleVerify |
計測(ブランドリフト・効果) | Kantar、Cint、Nielsen ONE Ads |
計測・調査 | Ipsos、EDO(EDOにとって初のゲーム分野のパートナー) |
代理店 | dentsu(2023年のパートナープログラム創設メンバー) |
13歳未満向け広告 | SuperAwesome(2026年6月、SuperAwesome側の発表ベース) |
出典: Roblox公式ニュースルーム(2023年6月、2024年5月、2025年4月、2026年1月、2026年6月の各リリース)
テレビと同じ基準でゲーム内広告を測る取り組みについては「RobloxがIpsos・EDOと計測で提携」にまとめている。
Robloxの広告事業のこれまでの取り組み
2023年から2026年10月までの流れ
時期 | 出来事 |
|---|---|
2023年6月21日 | カンヌライオンズで「Roblox Partner Program」を発表。当時の広告はポータル広告・画像広告などの「Immersive Ads」。創設メンバーは12か月の最低出稿額をコミットし、dentsuは日本で組んでいた提携をグローバルに広げる形で参加した |
2024年5月1日 | 動画広告(Immersive Video Ads)を全広告主に開放し、Ads Managerでセルフサーブ出稿できるようにした。IASとKantarを計測パートナーに追加 |
2025年4月1日 | リワード動画を開始し、Googleと提携してGoogle Ad Managerを導入。動画広告・画像広告はビルボードに整理した |
2025年夏〜冬 | 『Jurassic World Rebirth』『Wicked: For Good』など映画のキャンペーンを実施。2025年の米国興行収入上位10本のうち7本がRobloxで施策を行った |
2026年1月6日 | CES 2026でHomepage Feature(ベータ)を発表。Amazon DSP、Liftoff、Index Exchange、Magnite、PubMaticと接続 |
2026年3月20日 | 広告ポリシーを刷新。外部のリワード動画広告を2026年5月4日以降禁止し、Robloxのリワード動画に一本化。ブランド連携には2027年初頭から収益分配を適用する(当初は2027年1月と発表) |
2026年6月18日 | カンヌライオンズでIpsos・EDOとの計測提携を発表 |
2026年9月11日 | 開発者向けイベントRDC 2026で、Roblox Everywhere、Webでのプレイ、Momentsのショッピング機能を発表 |
2026年10月29日 | 第3四半期の株主レターで、スキップ可能なプレロール動画広告の投入計画を表明(今回) |

2024年5月に全広告主へ開放した動画広告は、上の画像のようにゲーム空間の看板で流れる形式だった。このときの発表で、経済担当VPのエンリコ・ダンジェロ(Enrico D'Angelo)氏は、広告の狙いを「immersive, not disruptive(体験に溶け込み、邪魔をしない)」と説明している。

2025年4月のリワード動画の開始とGoogleとの提携では、グローバルブランドパートナーシップ・広告担当VPのステファニー・レイサム(Stephanie Latham)氏が「Googleとの提携で、この広告は非常に買いやすくなり、狙った層に大規模に届けられる」とコメントした。初期テストの平均完了率は80%超だった。
方針転換と、うまくいっていない点
3年あまりの取り組みには方針の転換や成果の出ていない部分もある。
- 2024年に掲げた「邪魔をしない広告」から離れつつある。ゲーム空間に溶け込む看板型から、2025年には自分で選んで見る全画面のリワード動画へ、2026年10月にはユーザーが選ばずに見せられるプレロールへと、全画面の動画を見せる形式に重心が移っている。スキップできるとはいえ、プレロールはプレイの前に割り込む広告である
- 「Immersive Ads」の動画広告と画像広告は2025年4月にビルボードへ整理され、2023〜2024年に使っていた「Immersive Ads」という名前は、現在の公式ページの前面には出ていない
- クリエイターが独自に組み込んでいた外部のリワード動画広告を、2026年5月4日以降禁止した。外部の広告ネットワークを使っていたクリエイターは、Robloxのリワード動画への移行を求められた
- 2023年のパートナープログラムから3年たっても、広告はブッキングの「ごくわずか」な割合にとどまり、金額は開示されていない
- 第3四半期に、若年層の消費者保護とデジタル安全をめぐる州・地域との和解関連費用4,900万ドルを計上した(1〜9月累計1億4,000万ドル)。プレロールを13歳未満に出すかどうかは公表されていない
外部広告の禁止とブランド連携への収益分配は「Roblox 収益分配ルール発表」で詳しく解説している。
今回の発表の位置づけ
Robloxの広告在庫は、次のように広がってきた。
時期 | 広告在庫の中心 |
|---|---|
2023〜2024年 | ゲーム空間に置く広告(ポータル、画像、ビルボード動画)と計測の整備 |
2025年 | ユーザーが自分で選ぶ全画面動画(リワード動画)とGoogleの販売基盤 |
2026年前半 | ホーム画面の枠(Homepage Feature)、外部のリワード広告の締め出し、テレビと同じ基準の計測(EDO) |
2026年10月 | ゲーム本編の前に流れるプレロール(計画) |
在庫の中心はゲームの中の空間から、ホーム画面や本編の前といったゲームの外側へ移ってきた。Robloxが自分で管理できる広告面を増やす動きであり、プレロールはテレビCMや動画配信サービスの動画広告と同じ考え方で買える在庫になると考えられる。
Robloxの広告出稿事例
事例1: Universal Pictures『Jurassic World Rebirth』(2025年夏)
ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)は映画『Jurassic World Rebirth(ジュラシック・ワールド/復活の大地)』の公開にあわせ、3週間のキャンペーンを実施した。人気ゲーム『Fisch』『Chained』『A Dusty Trip』の3本のクリエイターと組み、映画の物語をゲームに組み込んだ。モササウルスを釣る、ケツァルコアトルスから逃げる、といったクエストを用意し、映画に出てくる3人の仲間キャラクターや、クエスト報酬の限定アバターアイテムも用意した。
広告面ではホーム画面の24時間掲載、ビルボード動画、3本のゲームへ直接入れるポータル広告を組み合わせている。
- 公表されている指標: 約20億インプレッション、累計セッション7,340万超
- ケーススタディページには広告想起の上昇や検索数の増加も載っているが、具体的な数値は確認できていない
出典: Roblox for Brands ケーススタディ、CES 2026リリース

ケーススタディは、ゲーム内に置いたロゴ看板によって、各ゲームでクエストを始める場所をプレイヤーが見つけやすくなったと説明している。
事例2: Universal Pictures『Wicked: For Good』(2025年冬)
同じくユニバーサル・ピクチャーズが、映画『Wicked: For Good』で複数のゲームと複数の広告フォーマットにまたがるキャンペーンを行った。
- 公表されている指標: 約80億インプレッション
出典: CES 2026リリース
事例3: Homepage Featureの初期テスト(e.l.f.、Sam's Club、Universal Pictures)
2026年1月に発表したHomepage Featureは、e.l.f.、Sam's Club、Universal Picturesの映画『Five Nights at Freddy's 2』が試験的に導入した。成果は「手応えのある初期の兆し(encouraging early signals)」とだけ書かれ、数値は公表されていない。

Sam's Clubでパートナーシップとグロースマーケティングを率いるレスリー・シェパード(Leslie Shepard)氏は「オーディエンスが最も長く時間を過ごす場所に出ていくことが非常に大切だ」とコメントしている。
事例4: H&R Block(2025年、2026年も継続)
H&R Blockは広告出稿とゲーム内の組み込みを組み合わせ、ゲーム内の稼ぎにかかる税金を説明した。成果の指標は公表されていない。
出典: CES 2026リリース
フォーマット単位の効果データ
Robloxはフォーマットの効果について、次のデータを公表している。いずれもRoblox自身が発表したもので、第三者による独立した検証ではない。
- リワード動画の初期テスト(2025年2〜3月、人気ゲーム10本超で数十のキャンペーン)では、平均完了率が80%超、一部のゲームで90%超。Latitudeの調査では、Roblox利用者の85%が「ゲーム内で報酬をくれるブランドを好ましく思う」と答えた(2025年4月リリース)
- Ipsosと実施した「Immersive Is Effective」調査(2026年5月6〜27日、13〜34歳のRoblox・ストリーミング・SNSの利用者が各200人)では、Roblox利用者の52%がRoblox上の広告に普段より注意を向けると答え、ストリーミングより13ポイント、SNSより11ポイント高かった。63%はRobloxで見た商品情報を覚えていると答えた(2026年6月リリース)。各200人という小さなサンプルである点は割り引いて読む必要がある
なぜRobloxはプレロールを打ち出したのか

株主レターが挙げる理由は「自社在庫を増やすことが広告事業の拡大に欠かせない」という一点だけだ。背景としては、次の事情が重なっていると考えられる。
課金収入が鈍るなかでの収益源の分散
第3四半期はブッキングが前年同期比-12%、平均MUPが-16%で、第4四半期もブッキングの減少が続く見通しだ。広告を伸ばすことは、ユーザーの課金に頼る収益構造を分散させる動きと読める。株主レターが広告をRoblox Plusと並べ、「収益化の手段を多様化する」という小見出しの下に置いていることも、この読み方と合う。
広告主が買いやすい18歳以上のユーザーの増加
年齢確認を済ませたDAUのうち、18歳以上の比率は2026年第3四半期に世界で29%、米国で37%となった(第2四半期は27%と33%)。米国では18歳以上のユーザーの課金が18歳未満より50%以上多く、Robloxは2026年夏に200件超のユーザー獲得キャンペーンを行い、18歳以上に向けたマーケティング費を前年同期の約3倍にした。18歳以上の在庫はプログラマティックでターゲティングできるため、この層が増えるほど動画広告を売りやすくなると考えられる。なお、年齢の指標は2026年第1四半期に自己申告から年齢確認ベースに切り替えた推計値で、過去のデータとは比べられない。
広告を流せる面の拡大
Robloxは動画からゲームに入る「Moments」を米国のほぼ全域で提供し、アプリを入れずに、まずGoogle Chromeからリンクひとつでゲームに参加できるWebでのプレイも発表した。2027年上半期には、選ばれた上位ゲームを他のアプリストアで公開する「Roblox Everywhere」の第1段階を始める見込みだ。ゲームに入る入口が増えれば、本編の前に流すプレロールの在庫も増えうる。ただし、プレロールがどの入口で流れるかは公表されていない。Roblox Everywhereについては「Roblox RDC 2026でRoblox Everywhereを発表」で解説している。
ゲームプラットフォーム各社の動き
ゲームプラットフォームやゲーム会社が広告を自前で持とうとする動きは、Xbox、EA、PlayStationについても当サイトで取り上げている。「Xbox Media SolutionsのAdweekインタビュー」「EAが広告事業を開始」「PlayStationが広告組織を拡大」を参照してほしい。
日本市場ではどうか

日本はRobloxの成長市場
株主レターによると、日本のDAUは前年同期比+33%、エンゲージメント時間は+22%だった。全体のDAUが-9%と減るなかでの伸びで、レターは「海外の伸びが全体を上回った」と書いている。米国外で毎日Robloxを使う人は2%未満とされ、Robloxは海外の伸びしろを強調している。
ただし、日本のDAUの絶対数と年齢構成は開示されていない。18歳以上の比率(世界29%、米国37%)は世界と米国の数字で、日本でも18歳以上が増えているとは言えない。
日本の広告主は今すぐ使えるのか
項目 | 現状 |
|---|---|
プレロール動画 | 提供時期・地域は未公表。日本で提供されるかは分からない |
リワード動画・ビルボード・ホーム画面枠 | Roblox for Brandsはプログラマティック(Google DV360、Magnite、Index Exchange)とマネージドサービスの窓口を示している。日本向けに配信できるか、日本語で問い合わせできるかは公式ページでは確認できない |
代理店 | dentsuは2023年からパートナープログラムの創設メンバーで、日本での提携が先にあった。国内の代理店を通じて相談する道はあるとみられるが、日本向けの広告メニューの具体的な内容は確認できていない |
ブランド連携の収益分配 | 2027年初頭から適用。日本はTier 2で、最初の28日間は1,000訪問あたり0.20ドル(米国は1.50ドル) |
年齢・カテゴリの制限 | 13歳未満には食品・化粧品・医薬品・金融の広告を出せず、リワード型も禁止 |
Robloxのリワード動画を地域ごとに販売するリセラーの動きは「VenatusがRobloxのリワード動画のリセラーに」で取り上げている。
国内で同じ動きは起きているか
国内のスマホゲームでは、リワード広告とインタースティシャル広告(画面が切り替わるときに出る全画面広告)が一般的な収益化の手段になっている。Robloxのプレロールは、こうしたゲームの外の全画面広告をプラットフォームがまとめて持つ形といえる。ただ、ゲームのプラットフォーム自身が全画面の動画広告の在庫を自前で増やす動きが国内で起きているかは確認できていない。
市場の側では、電通「2025年 日本の広告費」によると、2025年のインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で、初めて総広告費の半分を超えた(50.2%)[電通]。同資料は縦型動画やコネクテッドTVで需要が伸びたとしているが、ゲーム関連の広告費は記載していない。
日本で同じ動画広告を実施する選択肢

Robloxのプレロールを日本で使える時期が見えない以上、「ゲームの時間帯に、テレビCMと同じ動画素材で接触したい」という目的には、ほかの手段も並べて検討することになる。国内で実施できる選択肢の一つが、Ad-Virtuaのゲーム内広告だ。
Ad-Virtuaはゲームやメタバースの空間にある看板やモニターに、テレビCM型の動画を複数のタイトルへ同時に配信する。仕組みは、Robloxが2024年5月に全広告主へ開放したビルボード動画(上の公園の看板の画像)に近い。プレイを止めずに空間の中で見せる形式で、ゲーム本編の前に割り込むプレロールとは性格が違う。
比較ポイント | Robloxのプレロール(計画) | Robloxのリワード動画 | Robloxのビルボード動画 | Ad-Virtua |
|---|---|---|---|---|
見せ方 | 本編の前に流れる。スキップ可能 | ユーザーが選んで見る全画面動画 | ゲーム空間の看板で流れる | ゲーム空間の看板・モニターで流れる |
プレイへの影響 | プレイの前に割り込む | ユーザーが選んだときだけ止まる | 止めない | 止めない |
配信先 | Robloxのみ(場所は未公表) | Roblox内の導入ゲーム(400超、2026年1月時点) | Robloxの人気ゲーム | 国内の複数のゲームタイトル |
日本での提供 | 未公表 | 日本向け配信の可否は公式で確認できない | 同左 | 提供中 |
窓口 | 未公表 | Roblox for Brands(プログラマティック/マネージド) | 同左 | 日本語で相談できる |
料金の目安 | 未公表 | 公式ページに記載なし | 公式ページに記載なし | 1週間300,000円(週2枠限定、ゲーム内で100万回再生が目安) |
動画素材 | 未公表 | 30秒以内 | 公式ページに記載なし | MP4、3MB以下、16:9、30秒以内、音声は原則なし(タイトルによる) |
出典: Roblox for Brands、Roblox公式ニュースルーム、Ad-Virtua公式サイト(いずれも2026年11月1日確認)
どちらが優れているかではなく、プレイの前に割り込んで見せる形式と、プレイを止めずに空間で見せる形式の使い分けとして考えるのが現実的だ。Robloxはプラットフォーム1社の在庫で、提供地域・年齢制限・広告カテゴリの扱いはRobloxの方針で決まる。2026年5月の外部広告の禁止や2027年の収益分配のように、方針が変わると広告主の条件も変わる。国内の複数タイトルに分散した配信は1社の方針に左右されにくいが、タイトル一つひとつの規模はRobloxほど大きくない。
Ad-Virtuaが合うのは、次のような企業だ。
- テレビCMの動画素材があり、追加の制作をあまりせずにゲームの時間帯へ広げたい
- 日本国内のユーザーに、日本語の窓口で、週単位の予算から試したい
- 広告がプレイを止めることによるブランドへの悪印象を避けたい
合わないのは、次のような企業だ。
- 世界規模で、Robloxの1億人を超えるDAUに一度に届けたい
- 映画のキャンペーンのように、ゲームの物語やクエストにブランドを組み込む体験型の施策を主にしたい
- 全画面で動画を最後まで見せる形式(リワード型やプレロール型)を前提にしている
なお、Ad-Virtuaの配信先タイトルでの年齢構成や、食品などのカテゴリの扱いは、相談時に個別に確認してほしい。
広告主が取るべき判断
今動くべき企業
- 北米・英語圏で若年層から30代までに届けたいグローバルブランド。Robloxは米国の18〜34歳のDAUが前年同期比+26%と伸びており、リワード動画やホーム画面枠は今すでに買える
- 映画・エンターテインメントなど、ゲーム内の体験と組み合わせたキャンペーンを組める企業。事例1・2のように、複数フォーマットを組み合わせた大規模な実績がある
- 日本国内でゲームの時間帯への動画出稿を試したい企業。Robloxのプレロールを待たず、国内で使える手段から始められる
様子見でよい企業
- 日本国内だけで、Robloxのプレロールを使うことを前提にしている企業。提供時期・地域・対象年齢が分かってから判断しても遅くない
- 13歳未満の子どもを主なターゲットにする食品・飲料・化粧品メーカー。現行ルールではRobloxで13歳未満にこれらの広告を出せない
- プレロールの効果をデータで確かめてから出稿したい企業。プレロールについてはまだ効果データがなく、Robloxが公表しているフォーマットの効果データも多くは自社発表である
確認しておきたいこと
次の決算発表や公式発表では、プレロールの提供開始時期、流れる場所、対象年齢、対象地域、販売方法、クリエイターへの収益分配の有無が示されるかを確認したい。日本の広告主にとっては、対象地域に日本が入るかどうかが判断の分かれ目になる。
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よくある質問
決算発表のあとRobloxの株価が下がったのは、プレロールの発表が原因か
mobilegamer.bizの報道によると、決算発表後の時間外取引で株価は19%下落した[mobilegamer.biz]。同記事は理由を、ブッキングなどが予想を上回った一方で成長が頭打ちになり、第4四半期の見通しが弱かったためとしている。この記事はプレロール広告には触れていない。なお、終値ベースの騰落は確認できていない。
自社でRobloxのゲームを作らないと広告は出せないのか
作らなくても出稿できる。リワード動画やビルボード動画はクリエイターのゲームの中に配信され、ホーム画面の枠も買える。Homepage Featureはテンプレートでブランドの体験を作るため、3Dの作り込みは要らないとされている。ゲームを作るのは、ブランドの常設体験を持ちたい場合や、ブランド連携でクリエイターと組む場合である。
AIで作られたゲームにも広告は流れているのか
流れている。株主レターは、プロンプトからゲームを作るAIツール「Build」で作られたタイトルの多くが、すでに広告を流して収益化していると書いている。Buildはニュージーランド・シンガポール・セルビア・タイでのアルファ版で50万人超が使い、7万本超のゲームが公開された。広告主にとっては、配信先のゲームの数が増える一方で、ブランドに合わないゲームに広告が出ないかを確認する必要も増えると考えられる。
サブスクリプションのRoblox Plus会員には広告が表示されないのか
株主レターはRoblox Plusと広告を同じ小見出しの下に並べているが、Plus会員に広告を表示するかどうかには触れていない。レターに書かれているのは、Plusの有料会員が数百万人規模であること、会員はプレイ時間が2倍、Robuxの消費が7倍であることまでだ。プレロールを会員に流すかどうかも公表されていない。


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