発表の内容

GoogleとOdeeoのパートナーシップを表す公式イメージ
出典: Odeeo(

Odeeoは公式ブログで、Google Authorized Buyerへの認定を発表した(一次情報、2026年4月17日)。Google Authorized Buyerは、Googleが広告品質・ブランドセーフティ・データ取扱い・技術基盤について審査したうえでプログラマティックの買い手を認定する制度で、認定を受けると、Google Ad Manager・AdMob・AdSenseを利用するパブリッシャーの広告在庫(Google Partner Inventory)に対し、Googleのアドエクスチェンジを介してリアルタイム入札(RTB)で直接アクセスできるようになる。

Odeeoは今回の認定によって、次が可能になったと説明している。

  • Google Partner Inventoryへのリアルタイム直接入札アクセス
  • Googleの200以上の入札シグナル(ファーストパーティデータ・コンテキストシグナルを含む)を活用したターゲティング
  • オーディオ・ディスプレイ・ビデオを中心とした複数フォーマットの統合管理(自社紹介ではnative在庫への言及もある)
  • すべてのインプレッションがGoogleのコンテンツポリシーの枠内で配信されることによるブランドセーフティの担保
  • クッキーに依存しないターゲティング

公式ブログは役職者個人名を明示したコメントを掲載しておらず、"ODEEO"名義で「More reach, same accountability.(リーチは広がるが、説明責任は変わらない)」「Brand safety without negotiation.(交渉なしのブランドセーフティ)」「Smart targeting without cookie dependency.(クッキーに依存しないスマートなターゲティング)」と強調している。同時期の公式LinkedIn投稿でも同旨が繰り返され、「広告主が使い慣れたDSPから、プレミアムなアプリ内オーディオ・ビデオ・ネイティブ在庫に直接アクセスできる」という表現が使われている。

Odeeoのプロダクトと事業内容

Odeeo公式ロゴ
出典: Odeeo(

Odeeoとはどんな会社か

Odeeo(正式社名 Sonic Odeeo Ltd.)は2021年、イスラエルで創業したゲーム内音声広告に特化したサプライサイドプラットフォーム(SSP)である。共同創業者はAmit Monheit氏(CEO)とElad Stern氏(President)。本社はイスラエル・ヘルツリーヤに置き、Stern氏が2024年にニューヨークへ拠点を移して以降は米国にも足場を持つ。従業員数は公式で明示されておらず、報道ベースでは「2026年3月時点で約36名、4大陸に展開」とされるが一次情報での裏取りはできていない。

提供プロダクトと、広告がゲーム内に表示される仕組み

Odeeoが提供するのは、モバイルゲームのプレイ中に音声広告を差し込む仕組みだ。プレイヤーがゲームをプレイしている最中に、ラジオCMのような音声広告を再生し、あわせて画面には小さくクリック可能なコンパニオンバナーを表示する。全画面広告のようにゲーム画面を覆わず、プレイを中断させないことを特徴として訴求している。パブリッシャー(ゲームデベロッパー)はプロプライエタリSDKをアプリに組み込むことでOdeeoと直接連携する。2024年3月18日には、パブリッシャー向けの収益化管理ツール「Odeeo Portal」の提供も始めている。

ゲーム内音声広告のイメージ画像
出典: Odeeo(

ゲーム内広告とは、ゲーム画面を離れずゲーム空間・プレイ体験の内側に広告を組み込む手法全般を指す言葉だが、そのなかでOdeeoが手がけるのは視覚ではなく「聴覚」を使うフォーマットという点で独自性がある。ゲーム広告 種類 一覧で整理される主要フォーマット(インタースティシャル・リワード・サイネージ・コラボ型)の中では、音声広告は比較的新しく、日本ではまだ実例の蓄積が薄い区分にあたる。

対応プラットフォームとインベントリ規模

Odeeo公式サイトによると、同社は1,000以上のプレミアムモバイルゲームと連携し、グローバルで月間アクティブユーザー3億(300M)以上にリーチする(Odeeo公式 About Us)。処理する入札リクエストは月間120億(12B)以上に達するという。地域別の内訳としては、フランス市場単体で月間300万以上のアクティブユーザー、2,500ゲーム、月間2,000万以上の広告インプレッションという数値も公表されている(Lagardère Publicité News提携発表、2026年6月23日)。

主要パートナー

Odeeoは音声広告という単一フォーマットを、複数の買い付けチャネルから購入できるようにする戦略を取っている。

  • DSP連携: Amazon DSP(2026年3月11日〜)、Walmart DSP(2026年8月、報道ベース)、Google Authorized Buyer経由のGoogle Ad Manager/AdMob/AdSense(2026年4月17日〜、本件)
  • 計測パートナー: Claritas(2025年8月5日提携開始、フルファネル計測)、Oracle Moat(ブランドセーフティ・ビューアビリティ検証)
  • 業界団体認証: TAG(Trustworthy Accountability Group)、IAB UK
  • 広告在庫パートナー(SSP・エクスチェンジ): DAX(Global傘下のデジタルオーディオ広告事業)、Xandr、Magnite
  • 主要ゲームパブリッシャー: Lihuhu、Gameloft、Azerion、SayGames、SuperSonic、PlaySimple、AzurGameほか
  • フランスでの販売代理: Lagardère Publicité News(2026年6月23日提携)
  • 日本市場でのパートナー: 株式会社オトナル(デジタル音声広告代理店、2023年12月19日に事業連携発表)、株式会社カヤック(2025年9月4日に100万ドル出資、日本企業として初のOdeeo出資者)
計測パートナーOracle Moatのロゴ
出典: Oracle Moat(Odeeo公式サイト掲載、

ここまでの歩み(資金調達の振り返り)

Odeeoはスタートアップであり、これまでの展開は資金調達の履歴として振り返るのが分かりやすい。

時期

ラウンド

調達額

リード投資家

主な狙い

裏取り状況

2021年9月(報道日)

シード(プレシード相当)

100万ドル

Play Ventures

サービス立ち上げ

報道ベース(公式一次情報未確認)

2022年6月13日

シード(累計1,000万ドルに到達)

900万ドル

Play Ventures、Global

ブランド・デベロッパーの接続拡大、音声広告技術への継続投資

公式確認済み

2024年9月(報道日)

戦略的資金調達

500万ドル超

Atinum Investments(新規参加)

米国拠点開設、アジア市場展開の加速

報道ベース(公式一次情報未確認)

2025年9月4日

単独出資

100万ドル

カヤック株式会社(日本企業)

日本市場への本格導入、カヤック自社ゲームでの音声広告活用

公式確認済み

累計調達額について、二次情報では「1,500万ドル」「1,600万ドル」の2種類の参考値が見られるが、Odeeoが公式に累計額を一括して明記したページは確認できていないため、本記事では参考値扱いとする。

2022年のシードラウンドには、Heracles CapitalのEric Seufert氏、Huuuge Games創業者のAnton Gauffin氏、GameJam創業者のChristian Calderon氏、TripleDot Studios創業者のLior Shiff氏など、ゲーム業界出身のエンジェル投資家が名を連ねた。業界内部の実務家から評価を受けて資金を集めてきた点が、このスタートアップの調達履歴の特徴といえる。

日本企業の関与としては、2025年9月にカヤック株式会社が日本企業として初めてOdeeoに出資した点が重要だ。これは純粋な資金調達というより、カヤック自社ゲーム事業での音声広告活用と、日本市場への本格導入を見据えた戦略的出資という位置づけで発表されている。

資金調達と並行して、プロダクト・パートナーシップ面の展開も進んでいる。

時期

できごと

2021年

創業(Amit Monheit氏、Elad Stern氏)

2023年12月19日

株式会社オトナルと事業連携を発表し日本市場に参入

2024年3月18日

収益化管理ツール「Odeeo Portal」提供開始

2024年9月

米国拠点開設、韓国・ベトナムなどアジア展開を計画

2025年8月5日

Claritasとフルファネル計測パートナーシップ開始

2025年9月4日

カヤック株式会社が100万ドルを出資(日本企業初)

2026年3月11日

Amazon DSP経由での広告在庫購入が可能に

2026年4月17日

Google Authorized Buyer認定(本件)

2026年6月23日

Lagardère Publicité Newsと提携しフランス市場を拡大

2026年8月

Walmart DSP経由での広告在庫購入が可能に(報道ベース)

こうして時系列で並べると、Odeeoは2023年末の日本市場参入を皮切りに、2025年に計測パートナー(Claritas)と日本資本(カヤック)を確保し、2026年に入ってからはAmazon DSP→Google Authorized Buyer→Lagardère(フランス)→Walmart DSPと、既存の大手プログラマティック買い付けインフラへの接続を矢継ぎ早に進めてきたことが分かる。今回のGoogle認定は単独の技術認定というより、「音声という新しい広告面を、広告主が慣れ親しんだ既存のDSP・アドエクスチェンジ経由で買えるようにする」という一連の事業拡大戦略の中核に位置する発表と見るのが妥当である。

広告出稿事例

Odeeo公式サイトのCase Studiesページに掲載されている事例のうち、大手ブランドによるものを紹介する。

事例1: McDonald's(マクドナルド)× Admerasia

マクドナルドのゲーム内音声広告出稿事例
出典: Odeeo(

代理店Admerasiaと連携し、アジア系アメリカ人(ACM)層をターゲットに「McValue」メッセージをゲーム内音声広告で展開した。Claritasによる実増分(インクリメンタルリフト)検証の結果、新規オーダーが15%増、アプリインストールが50%増、ユーザー登録が50%増となったと公表されている(出典)。

事例2: Costa Coffee(コスタコーヒー)

コスタコーヒーのゲーム内音声広告出稿事例
出典: Odeeo(

英国最大級のコーヒーチェーンであるCosta Coffeeは、DAX Mobile GamingとOdeeoの連携を通じ、移動中やリラックスした状態にあるユーザーに対してCosta Expressの認知・信頼向上を狙うゲーム内音声広告を実施した。公式ページ本文には「認知度向上」「信頼感向上」という定性的な効果表現があるのみで、具体的な数値指標は公開ページ上では確認できていない(出典)。

事例3: 英国雇用年金省(DWP: Department for Work and Pensions)

英国雇用年金省(DWP)のゲーム内音声広告出稿事例
出典: Odeeo(

英国政府機関のDWPは、Universal Credit申請者や50歳以上の失業者層に向け、DAX Mobile Gamingと連携した非侵襲的なゲーム内音声広告でサービス認知・信頼向上を図った(事例公開日2024年10月21日)。検索結果由来の二次情報では「ウェブサイトへの意向+15%」「エンゲージメント+8%」という数値が見られるが、Odeeo公式ページ本文では具体的数値が確認できず、報道ベース・未確認の扱いとする(出典)。

食品・飲料ブランドから公共機関まで、ターゲットの年代・属性を絞った認知・行動喚起施策で音声というチャネルが使われている点が共通する。ブランド認知施策としてのゲーム内広告の活用は、広告ゲームとは 仕組みで解説する「プレイ体験を阻害しない広告」という設計思想とも重なる。

なぜこの動きが起きたのか

Odeeoが2026年に入ってから急ピッチで大手プログラマティック基盤への接続を進めている背景には、「音声」という広告面自体がまだ広告主にとって馴染みが薄いという課題がある。新しいフォーマットを普及させるには、専用の直接商談だけでなく、広告主がすでに使い慣れたDSP・アドエクスチェンジから買えるようにすることが有効な打ち手になる。Amazon DSP、Google Authorized Buyer、Walmart DSPという主要な買い付けインフラへの接続は、この課題に対する一貫した回答と位置づけられる。加えて、Googleの200以上の入札シグナルやコンテンツポリシーを活用できることは、Odeeo単独では担保しにくいブランドセーフティ・ターゲティング精度を、Google側の枠組みに乗せることで補強する狙いもあると考えられる。

日本市場ではどうか

Odeeoはすでに日本市場に参入している。2023年12月19日、デジタル音声広告代理店の株式会社オトナルと事業連携を発表し、日本国内でのゲーム内音声広告提供を開始した。2025年9月4日には株式会社カヤックが日本企業として初めてOdeeoに100万ドルを出資し、自社ゲーム事業での音声広告活用と日本市場への本格導入を掲げている。

一方で、今回のGoogle Authorized Buyer認定が日本国内の広告在庫・広告主にどこまで適用されるかは、公式発表内で地域を限定した記載がなく、現時点では未確認である。Odeeo公式・オトナル公式のいずれからも、本件を受けた日本向けの追加コメントは確認できていない。

より大きな障壁として、ゲーム内「音声」広告というフォーマット自体が、日本の広告主・広告代理店の間ではまだ一般的でない点が挙げられる。ゲーム内広告プラットフォーム比較【2026年版】で扱われる国内外のプレイヤーの多くは、ゲーム空間内の看板・モニターに動画を表示する「視覚型」のサイネージ広告であり、Odeeoのような「聴覚型」の音声広告とは接触チャネルが異なる。日本市場では出稿検討事例・実績データの蓄積がまだ薄いのが実情である。

日本で同じ広告を実施する選択肢

Odeeoの音声広告は、Google Authorized Buyer認定によって「使い慣れたDSPから買える」フォーマットになりつつあるが、これはあくまで海外・グローバル在庫を前提としたプログラマティック取引の話であり、日本国内での出稿可否・実績はまだ手探りの段階にある。日本の広告主が「ゲーム内で、プレイ体験を邪魔せずにブランドを届ける」という目的そのものを今すぐ実現したい場合、選択肢の一つになるのが国内のゲーム内広告サービスだ。

Ad-Virtuaは、ゲーム空間内の看板・モニターに動画広告を配信する国内向けのアドネットワークで、Odeeoとはフォーマット(視覚 vs 聴覚)も買い付け方式(直接契約 vs プログラマティック入札)も異なる。1週間30万円のプランから始められ、対応タイトルは400タイトル以上、CPMは通常の広告枠と比べて低く抑えられる設計になっている(社内公表値)。

  • Ad-Virtuaが合う可能性が高い企業: 国内向けにゲーム内広告を試したい、動画クリエイティブの資産がある、直接契約でスピーディーに出稿を始めたい食品・飲料・日用品・外食・交通インフラ等のブランド
  • Odeeoのような海外音声広告SSPの検討が向く企業: すでにグローバルでプログラマティック取引の体制を持ち、Google Ad Manager等の既存DSP経由で海外インベントリへの出稿実績がある企業。ただし日本国内での適用範囲・実績は本記事執筆時点で未確認であるため、まずは自社が使うDSP側でOdeeo在庫が国内向けに開放されているかを確認する必要がある

Ad-Virtua自体は音声広告を提供していない。「視覚」と「聴覚」でゲーム内接点を組み合わせる発想自体は今後の検討余地として持ちつつ、現時点で確実に実行できる施策として国内の視覚型サイネージ広告を検討する、という整理が現実的である。

広告主が取るべき判断

  • 今すぐ動く必要がある企業: グローバル展開しておりすでにGoogle Ad Manager・Amazon DSP等でプログラマティック取引を行っている企業。自社DSP担当にOdeeo在庫の取扱い有無を確認する価値がある
  • 様子見でよい企業: 国内向けのブランド認知施策が主目的で、プログラマティック取引の体制を持たない企業。まずは広告付きゲーム 仕組みのような基礎理解から入り、国内で実績のあるゲーム内広告サービスを検討する方が着実
  • 注意点: Costa Coffee事例やDWP事例のように、公式ページ上で具体的な効果数値が非公開のケースもある。効果指標の開示レベルは事例ごとに異なるため、出稿前に開示可能な指標の範囲を確認しておくべきである

関連する基礎知識への導線

ゲーム内広告全体の仕組みや種類について基礎から理解したい場合は、以下の記事もあわせて参照してほしい。

FAQ

Q. Google Authorized Buyerとは何ですか。

A. Googleが広告品質・ブランドセーフティ・データ取扱い・技術基盤を審査したうえで認定するプログラマティックの買い手向けプログラムです。認定された事業者は、Google Ad Manager・AdMob・AdSenseの広告在庫にリアルタイム入札でアクセスできます。

Q. OdeeoはAd-Virtuaと競合するサービスですか。

A. どちらもゲーム内広告を扱いますが、Odeeoは音声(聴覚)フォーマットに特化した海外SSPで、プログラマティック入札を主な買い付け方式とします。Ad-Virtuaはゲーム空間内の看板・モニターへの動画広告(視覚型サイネージ広告)を国内向けに直接契約で提供しており、対象フォーマット・買い付け方式ともに異なります。

Q. 日本の広告主は今すぐOdeeoの音声広告に出稿できますか。

A. Odeeoは2023年末からオトナルとの提携で日本市場に参入していますが、今回のGoogle Authorized Buyer認定が日本国内在庫にどこまで適用されるかは公式発表内で明記されておらず、本記事執筆時点では未確認です。出稿を検討する場合は、代理店経由での最新の在庫状況確認が必要です。

Q. ゲーム内音声広告はどのような広告主に向いていますか。

A. 事例で紹介したマクドナルドのように、移動中・ながらプレイ中のユーザーへの接触を狙うブランドや、非侵襲的な形で認知・信頼を高めたい公共機関・サービス業に向くとされています。ただし日本国内での出稿実績はまだ少なく、効果検証の蓄積は今後の課題です。