米国のゲーム内広告企業Frameplay(フレームプレイ)とフランスのブランドリフト測定プラットフォームHappydemics(ハッピーデミクス)の共同調査で、ゲーム内広告は広告想起32%・ブランド帰属52%を記録し、オンライン動画・CTV(コネクテッドTV)・SNS・ディスプレイ・デジタル音声・DOOH(デジタル屋外広告)を含む他のすべてのデジタル広告フォーマットを上回った。日本の広告主にとっては、TVCMやSNS広告の補完施策としてゲーム内広告を検討する際の、海外発の定量的な裏付けが一つ増えたことを意味する。

発表の内容

Frameplayとフランスのブランドリフト測定企業Happydemicsは、2025年10月27日(米国東部時間)、共同調査の結果をPR Newswireで発表した(出典)。

Happydemicsが2021年以降に実施してきたブランドリフト調査7,000件超のデータベースから、ゲーム内広告(in-game)キャンペーン173件を抽出して分析した。このうちFrameplayのキャンペーンが約90件(うち2024年実施分だけで40件)を占め、残る約83件は業界横断のin-game広告キャンペーンとされているが、具体的な出稿企業・プラットフォームの内訳は非公開である。

主な数値は次の通り。

指標

数値

補足

広告想起(ad recall)

32%

オンライン動画・CTV・SNS・ディスプレイ・デジタル音声・DOOHを含む全デジタルフォーマット中で最高値

ブランド帰属(brand attribution)

52%

メディア平均比+9ポイント

業種別(FMCG)

セクター平均比+4ポイント

ブランド指標の伸び(対象指標の厳密な切り分けは原文からは明確でない)

業種別(ライフスタイル&リテール)

+13ポイント

同上

業種別(レジャー&カルチャー)

+7ポイント

同上

Frameplay単体:ブランド帰属

54%

in-game平均比+3ポイント

Frameplay単体:広告好感度

54%

in-game平均比+3ポイント

Frameplay単体:検討意向

24%

ベンチマーク比+2ポイント

Frameplayでレベニュー部門を統括するAmanda Rubin氏(SVP, Revenue)はリリース内で次のようにコメントしている。

「ゲーム内広告は、他のデジタルチャネルには到底真似できない形でユーザーの注意を獲得する。……intrinsic(内在型)のゲーム内広告は、マーケティングファネル全体にわたって測定可能な成果をもたらす」(原文: "In-game advertising captures attention in ways that other digital channels simply cannot match... intrinsic in-game advertising drives measurable results across the entire marketing funnel.")

HappydemicsのCMOであるVirginie Chesnais氏も、今回のベンチマークがゲーム内広告のシンプルなコンテンツ体験を通じて購買決定に至るまでの「測定可能なブランドインパクト」を生み出すことを示すものだ、という趣旨のコメントを寄せている(逐語の英語原文は未確認)。

なお、業種別の「+4pt」「+13pt」「+7pt」がブランド帰属・広告想起のどちらを指すのか、あるいは複合指標なのかはリリース原文からは明確に切り分けられない。本記事では「ブランド指標の伸び」という表現に留める。

Frameplayとはどんな会社か

Frameplayの企業ロゴ
出典: Frameplay, Inc.(

Frameplayは2018年に米国カリフォルニア州サンフランシスコで設立された広告技術企業。共同創業者はJonathon Troughton氏とEric Rossi氏(元CTO)で、現在の経営体制はCEOにSandy Shanman氏、EVP OperationsにAlyssa Allen氏、SVP RevenueにAmanda Rubin氏(2025年10月6日就任)、VP ProductにMichael Foster氏、取締役会会長にJurgen Post氏が就いている(frameplay.com/team/より確認)。従業員規模は公式非公開で、第三者データベースの推計値は32〜51名(Tracxn: 32名/2026年5月時点、LeadIQ: 約35名/2026年3月時点、PitchBook: 51名)とばらつきがあり、LinkedIn上の企業規模区分は「51-200名」となっている。いずれも参考値にとどまる。

Frameplayの企業紹介ページに掲載されているイメージ画像
出典: Frameplay, Inc.(

提供プロダクトと仕組み

Frameplayは「intrinsic in-game advertising(内在型ゲーム内広告)」と呼ぶ広告手法を専門とする。これはゲーム内広告のうち、ゲーム内の看板・モニター・ポスターなど、ゲームの世界観の一部として自然に存在するオブジェクトに動画・静止画広告を配信する方式で、インタースティシャル広告やリワード広告のようにゲームプレイやUXを中断しない点を特徴とする。Frameplayは、IAB US・IAB UK・MRC(Media Rating Council)が「intrinsic in-game advertising」という広告文脈を新たに認定した際のパイオニアの1社を自称している。

対応プラットフォームは、Unity SDK(2019年ローンチ)とCocos SDK(2022年ローンチ)。2022年9月29日にはUnity Verified Solutions Partner認定を、2023年にはTAG(Trustworthy Accountability Group)による透明性認証を取得している。具体的な対応タイトル数・月間インプレッション規模・総リーチ数は自社サイト上で公開されておらず未確認である。

主要パートナー

計測・アトリビューション領域ではKochava(コンバージョン計測)とComscore(ブランドリフト調査。Johnsonville・Frank's RedHotの各事例で起用)と提携し、ブランドリフト測定はHappydemicsが担う。配信面ではInMobi(2021年4月27日にプログラマティック配信パートナーシップを発表)、iion(2025年6月18日に戦略的パートナーシップを発表。iionの4,000以上のタイトルを米国でFrameplay Exchange経由で提供)、Adverty・AdInMo(2024年10月9日に3社共同パートナーシップを発表)とインベントリを拡大してきた。同社のadvertisersページに掲載されたロゴからは、Microsoft、Apple、Dell、State Farmといったフォーチュン500企業がクライアントに含まれることが確認できる(個別の契約内容は非公開)。

Happydemics(ハッピーデミクス)とは

Happydemicsは2015年設立、フランス・パリ本社のブランドリフト測定プラットフォーム。英国ロンドン、シンガポールにも拠点を持つ。CEOはTarek Ouagguini氏、CMOはVirginie Chesnais氏。「Measurement for brand growth」を掲げ、広告主・DSP・代理店向けにクロスチャネルでの広告効果(想起・好感度・帰属・検討意向・購買意向など)をリアルタイムで測定するサービスを提供する。プライバシーに配慮した技術でユーザーからのin-context(文脈内)フィードバックを取得する方式を採り、Google、IAB、GDPR(RGPD)、AAM、SOC2の認証を受けている。報道ベースの二次情報では2,000以上の広告主が60カ国でキャンペーン効果分析に利用しているとされるが、一次ソースでの直接確認は取れていない。

ここまでの歩み

Frameplayはスタートアップであり、公式に確認できる資金調達は2021年12月のシリーズA1件のみである。

時期

ラウンド

調達額

リード投資家

主要参加投資家

そのとき会社は何をしようとしていたか

2021年12月

シリーズA

800万ドル

Hiro Capital

Razer(zVentures経由)、Kona Venture Partners

「gamers built and backed(ゲーマーが作り、ゲーマーが支持する)」を掲げ、開発者に負担をかけずゲームプレイを阻害しない広告配信の実現を目指していた

出典: Frameplay公式ニュースルーム(確認日: 2026-08-21)

シリーズA以前のシード等の調達、シリーズA以降の追加ラウンド(シリーズB等)はいずれも公式発表・第三者データベース(Crunchbase/PitchBook/Tracxn等)上でも確認できず、未確認である。公式発表ベースの累計調達額はシリーズAの800万ドルのみで、これを上回る累計額の公式記載はない。日本企業による出資は確認できなかった。

資金調達以外の主要マイルストーンは次の通り。

時期

出来事

2018年

Frameplay設立(サンフランシスコ、Eric Rossi氏・Jonathon Troughton氏)

2019年

Unity SDKローンチ

2021年4月27日

InMobiとプログラマティック配信パートナーシップ発表

2021年12月8日

シリーズA 800万ドル調達(Hiro Capital主導)

2022年9月29日

Unity Verified Solutions Partner認定取得

2022年11月30日

Johnsonville×GumGum初のintrinsic in-gameキャンペーン結果発表

2022年

Cocos SDKローンチ

2023年

TAG透明性認証取得

2024年3月21日

Happydemicsとの第1弾メタ分析発表(29件のブランドリフト調査対象)

2024年10月9日

Adverty・AdInMoとの3社間パートナーシップ発表

2025年6月18日

iionとの戦略的パートナーシップ発表

2025年10月6日

Amanda Rubin氏がSVP, Revenueとして着任

2025年10月27日

Happydemicsとの第2弾調査発表(今回のニュース、173件のin-gameキャンペーン分析)

今回の発表は単発の調査ではなく、2024年3月に発表した第1弾メタ分析(Frameplayグローバルネットワーク内の29件のブランドリフト調査が対象)を、Happydemicsのデータベース全体(173件・業界横断)に拡張した続編にあたる。

Frameplay と Happydemics による2024年3月のブランドリフト調査結果を示す公式図解
出典: Frameplay, Inc. / Happydemics(

2024年3月発表の第1弾調査(対象: Frameplayグローバルネットワーク内のブランドリフト調査29件)では、ブランド帰属はFrameplay 55%に対しオンラインビデオ39%・全メディア平均40%、好感度はFrameplay 52%に対しオンラインビデオ50%・全メディア平均49%、購買検討リフトはFrameplay+21ポイントに対しオンラインビデオ+17ポイント・全メディア平均+19ポイントだった(出典)。今回(2025年10月)のFrameplay単体のブランド帰属54%と2024年3月の55%はサンプル定義が異なる(Frameplayネットワーク限定29件→業界横断173件中のFrameplay再集計約90件)ため、単純な時系列比較として扱うべきではない。あくまで「調査対象を拡大した第2弾」という位置づけで捉えるのが妥当である。

また今回の発表は、Amanda Rubin氏がSVP Revenueとして着任した3週間後というタイミングでもあった。営業体制の強化とエビデンスベースの営業材料整備が同時期に進んだ可能性はあるが、これは公式にそう説明されているわけではなく、あくまで時系列から見える論点の一つとして留めておく。

広告出稿事例

Frameplayが自社サイトで公表しているブランドリフト実績のうち、指標付きで確認できたものを2件紹介する。

事例1: Frank's RedHot(調味料ブランド、新作バッファローウィングソース)

新製品のブランド認知拡大を目的に、Frameplayのゲームエコシステム全体でキャンペーンを展開。Comscoreによるブランドリフト調査で、インプレッション数1,600万以上、ゲームスポンサーシップへの好感度+56.2ポイント、「ゲームスポンサーとしてふさわしい」との評価+44.2ポイント、「行きつけのホットソース」としてのブランド選好+43.7ポイントを記録した。

出典: Frameplay公式ケーススタディ(確認日: 2026-08-21)

Frank's RedHotの新商品プロモーションにおけるFrameplayのゲーム内広告事例メインビジュアル
出典: Frameplay, Inc.(
Frank's RedHot事例のゲーム内広告配信イメージ
出典: Frameplay, Inc.(

事例2: Johnsonville(食肉加工大手、GumGumとの共同キャンペーン)

2022年11月30日発表。Johnsonvilleにとって初のintrinsic in-game広告キャンペーンで、スポーツ・カジュアル・シミュレーション系モバイルゲームのプレイヤーを対象に、ゲーム体験を阻害しないシンプルなクリエイティブを4週間配信した。GumGumとFrameplayが提携し、ComscoreがJohnsonvilleに代わってブランドリフト調査を実施した。

結果は、広告想起56%(業界平均の4倍)、購買意向リフト約+14ポイント(業界平均の4倍)、「ゲームスポンサーとしてふさわしい」+23ポイント、「ブランドによるゲームスポンサーシップ」評価+40ポイント、「Johnsonvilleは家族経営企業」との認識+22ポイントだった。

出典: GlobeNewswireFrameplay公式(確認日: 2026-08-21)

参考として、国際的スポーツ企業(社名非公開)とKochavaによるアトリビューション連携事例では、FrameplayのゲームインプレッションとブランドのWebサイト上のコンバージョンをリアルタイムに紐付け、広告インプレッション270万以上・Frameplayの広告配置に紐づいたWebエンゲージメント6万以上を記録している(出典、確認日: 2026-08-21。実施時期は未確認)。

なぜこの動きが起きたのか

ゲーム内広告は、インタースティシャル広告やリワード広告と異なりゲームプレイを中断しないため、広告主にとって「効果が本当に測れているのか」が長年の懸念材料になってきた。Frameplayが2024年3月の第1弾メタ分析(29件)から今回の173件へと分析対象を拡大したのは、こうした懸念に対し、自社データだけでなく第三者機関(Happydemics)の大規模データベースを使って裏付けを積み上げる動きと解釈できる。

また、これはFrameplay単独の成果ではなく、Happydemicsが2021年以降蓄積してきた7,000件超のブランドリフト調査という業界横断データを土台にしている点が特徴である。Frameplay関連キャンペーンは173件中約90件を占めるが、残る約83件は他社のin-game広告キャンペーンであり、「ゲーム内広告という広告フォーマット全体」の優位性を示す調査として設計されている。

日本市場ではどうか

今回のような「ゲーム内広告 vs 他のデジタル広告フォーマット」を横断比較したブランドリフト調査は、確認した範囲では日本語では未紹介であり、Happydemicsの日本国内での展開実績(日本法人・日本語対応の有無)も未確認である。

国内の関連データとしては、Ad-Virtuaが自社実績として公表しているサイネージ型ゲーム内広告のブランドリフト調査があり、Web広告比で約1.8倍の想起率、好感度約85%、視認率96%を記録している(出典: Ad-Virtua公表値)。ただしこれはFrameplayの調査のような「他のデジタルフォーマットとの横断比較」ではなく、自社実績内での比較値である点が異なる。

日本の広告主がFrameplayのプラットフォームを直接利用できるかどうかは、契約体系・対応言語・国内代理店経由の取次可否がいずれも未確認であり、現時点では実質的なハードルになり得る。

ゲーム内広告とは何かという基礎知識を踏まえたうえで、国内で同種の広告体験を実施する場合の選択肢を次章で整理する。

日本で同じ広告を実施する選択肢

Frameplayが手がける「intrinsic in-game advertising」は、ゲーム空間内の看板・モニターに広告を自然に溶け込ませる方式であり、これはAd-Virtuaが国内で提供している「ゲーム空間内の看板・モニターへのサイネージ広告配信」と方式的に近い。ゲームプレイを阻害しないからこそ想起率・好感度が高くなる、という海外調査の効果ロジックは、国内でサイネージ型ゲーム内広告を検討する際の参考材料になる。

一方で、規模と実績の性質は異なる。Frameplayは米国拠点でフォーチュン500企業を含むグローバル展開の実績を持ち、今回のような数百件規模の横断的なブランドリフト調査を海外の第三者機関と組んで実施できる立場にある。Ad-Virtuaは国内400タイトル以上・累計再生数8,000万回という国内特化の実績を持つが、Frameplayのような「業種横断・フォーマット横断」の比較調査を国内で実施した実績は本記事の調査範囲では確認できていない。

  • 合う可能性がある企業: 国内のモバイルゲームユーザーに向けて、TVCM・SNS広告を補完する新しい接点を探しているが、まだゲーム内広告そのものを試したことがない食品・飲料、日用品メーカーなど。海外の実証データを社内稟議の裏付け材料として使いたい企業。
  • 合わない可能性がある企業: Frameplayが持つようなフォーチュン500企業向けのグローバル配信網や、海外市場を含む横断比較データそのものを必要としている企業。この場合は国内特化のAd-Virtuaではなく、海外プラットフォームとの直接契約を検討する方が目的に合致する。

広告主が取るべき判断

TVCM・SNS広告の補完施策を探しており、ゲーム内広告の効果に半信半疑な企業にとっては、海外の第三者データが「in-game広告は既存デジタルフォーマットより広告想起・ブランド帰属で優位」と示した今回の調査結果は、検討を前進させる材料になる。特に、Frameplayの業種別データでライフスタイル&リテール分野の伸びが大きかった点は、消費財・小売業のマーケティング担当者にとって参考になりやすい。

一方、国内でのブランドリフト調査の実施可否や、Happydemicsのような横断比較データが国内でどこまで整備されているかは未確認の部分が多い。今すぐ横断比較の定量データを社内に示す必要がある企業は、国内で調査設計から相談できる体制があるかを確認したうえで動く方が現実的である。逆に、まずは小規模に試験配信をして自社データを蓄積したい段階の企業は、様子見をせず着手して問題ない。

関連する基礎知識への導線

FAQ

Q. 今回の調査はFrameplayによる自社宣伝ではないのか。

分析対象173件のうちFrameplay関連は約90件で、残る約83件は業界横断の他社in-game広告キャンペーンである。データそのものはHappydemicsが2021年以降に実施してきた7,000件超のブランドリフト調査データベースから抽出されており、Frameplay単体の成果だけでなく「ゲーム内広告というフォーマット全体」の傾向を扱う調査として設計されている。ただし調査の企画・発表にFrameplayが関与している以上、完全な中立調査として扱うのではなく、一つの参考データとして受け止めるのが妥当である。

Q. 173件の調査対象は無作為抽出か。

サンプルの抽出方法(無作為抽出か全件かなど)、対象期間の正確な開始月・終了月は、PR Newswireの発表原文からは確認できなかった。

Q. FrameplayやHappydemicsは日本に拠点があるのか。

Frameplayの本社は米国サンフランシスコで、世界各地にオフィスを展開しているとされるが拠点数の詳細は非公開。Happydemicsの本社はフランス・パリで、英国ロンドンとシンガポールに拠点を持つ。いずれも日本国内での展開実績・日本語対応の有無は確認できていない。

Q. この調査結果は今後も更新されるのか。

Frameplayは2024年3月(29件対象)と2025年10月(173件対象)の2回、Happydemicsとの共同調査を発表しており、サンプルを拡大しながら継続的に実証データを更新する姿勢を見せている。次回以降の発表時期は未公表である。