グローバルブランドはいまゲーム内広告に何を求めているのか

Nike・Coca-Cola・Tommy Hilfigerといった世界トップブランドがゲーム内広告に本腰を入れている。その理由はシンプルだ——ゲームプレイ中の広告は完全視認率100%・ブランド想起+14ポイントを記録する唯一のデジタルチャネルになりつつあるからである(Microsoft Advertising「The Future Is In Play」2026年4月)。

この記事では、Fortnite・Roblox・モバイルゲームを舞台にした海外最新事例をプラットフォーム別・業種別に整理し、日本のマーケターが2026年に何をどこから始めるべきかを具体的に示す。

この記事でわかること:

  • グローバルIGA市場の現在地と2026年の主要トレンド
  • Fortnite/Roblox/モバイル/コンソール別の代表的なブランド事例と成果数値
  • 業種別(ファッション・食品・自動車等)の活用パターンと効果データ
  • ゲーム内広告フォーマット別の比較(予算・目的・向き不向き)
  • グローバル事例を日本市場に落とし込む際の実践的示唆

対象読者: 食品・飲料・ファッション・日用品・自動車などのブランドを担当するマーケティング責任者・ブランドマネージャーで、新しいチャネルの可能性を検討している方。


グローバルIGA市場の現在地——規模・成長・日本のポジション

グローバルゲーム内広告市場規模の推移(2024年〜2030年予測)

ゲーム内広告(IGA:In-Game Advertising)市場は、複数の調査機関の推計によれば2025年時点でグローバル約1,100〜1,240億ドル規模に達しており、2030年には約2,070億ドルへの拡大が予測されている(EIN Presswire 2025年調査、2026年4月確認)。年平均成長率(CAGR)は概ね11〜13.5%と試算されている。

地域別シェアは北米が約34〜36%でトップを占め、アジア太平洋が約30%、欧州が約27%と続く(Global Growth Insights、2026年4月確認)。

日本市場の規模感(参考値):
テレ東プラスの2025年PR記事によれば、日本のゲーム内広告市場は2025年に約31億2,000万ドル(約4,600億円)規模とされ、2030年には43億ドルへの成長が見込まれている(CAGR 6.66%)。同記事によると2025年上半期の日本国内IGA投資は約6億ドルで、うちモバイルゲームが63%を占める。

数値の注意点: 各調査機関によって「IGA市場」の定義範囲(モバイルアプリ内広告全体を含むか、インリンゲーム広告のみかなど)が異なり、数値には大きな幅がある。比較の際は出典・定義範囲を確認すること。


ゲーム内広告とは——4つの形態と選択基準

海外事例を読み解く前に、「どの形態の話か」を整理しておきたい。ゲーム内広告は大きく以下の4形態に分類される。

形態

仕組み

特徴

代表プラットフォーム

インタースティシャル広告

画面遷移時に全画面表示

高い露出・ゲームを中断する

モバイルゲーム全般

リワード広告

動画視聴と引き換えにアイテム付与

ユーザー任意・完了率高い

モバイルゲーム全般、Roblox

インリンゲーム広告(サイネージ型)

ゲーム空間の看板・モニターに溶け込む

没入感を維持・自然接触

スポーツゲーム・レーシングゲーム・国内スマホゲーム(Ad-Virtua等)

ブランド体験型(コラボ型)

ゲーム内に専用ワールド・コラボイベントを構築

長期滞在・高エンゲージメント・高制作費

Fortnite(UEFN)、Roblox

本記事では主にインリンゲーム広告(サイネージ型)とブランド体験型の海外最新事例を扱う。


【Fortnite編】グローバルブランドの海外事例

Fortniteでのグローバルブランドのブランドアクティベーション事例——eスポーツとゲーミング空間の活用

Fortniteは月間数千万人規模のアクティブユーザーを持つ(2023年時点で約7,000万人。2025〜2026年の公式最新値は未確認)。Epic GamesがUEFN(Unreal Editor for Fortnite)を一般公開したことで、高品質なブランド体験ワールドの制作が可能になり、ラグジュアリーブランドから食品・自動車まで幅広い業種が活用している。

ファッション・ラグジュアリーブランドの事例

Nike(Airphoria 2.0)

  • Air Maxをテーマにした専用島を構築。バーチャルコレクタブルと実物購入を連動
  • 2024年3月実施。UEFNの初期採用例として業界注目を集める
  • 出典:Sole Retriever(2026年4月確認)

Balenciaga

  • ゲーム内に仮想ブティックを設置し、デジタルスキン(395〜1,290ドルの実物コレクションとも連動)を販売
  • キャンペーン後、業界メディアに18,000本超の記事掲載
  • ラグジュアリーブランドのゲーム内プレゼンスを確立した先駆的事例
  • 出典:Contagious(2026年4月確認)

Moncler

  • 高度によってスキンの色が変わるインタラクティブな仕掛けを実装
  • Alyx 9SMコレクションをデジタル化し若年富裕層へのブランド刷り込みに活用

食品・飲料ブランドの事例

Coca-Cola(Pixel Point)

  • コーラ缶・ボトルの内部を舞台にしたネオンカラーの仮想世界を構築。4種のミニゲームを搭載
  • 2024年3月28日開始。Digiday誌は「メタバースプラットフォームとしてのFortniteの有効性を証明した」と評価
  • 出典:Digiday(2026年4月確認)

Doritos(ドリトス)

  • 3つのゲームマップ(「Nacho Usual Spleef」等)を制作し、スナックブランドとゲーム体験を融合

自動車ブランドの事例

Honda(Hondaverse)

  • HR-Vをテーマにしたパルクールアトラクションを構築。TwitchとのクロスプロモーションでゲーマーへのEV認知を狙う

Lamborghini・BMW・日産

  • Rocket Racingモード内でEV・スーパーカーの仮想試乗体験を実装。若年層への自動車ブランド接触に活用

日本企業の事例

森永製菓(ハイチュウ)

  • 2023年10〜11月にハロウィーン期間限定コラボを実施。複数ミニゲームでハイチュウブランドの体験を提供
  • 国内ブランドがFortniteでブランド体験を実施した先行事例として注目される
  • 出典:xrcloud.jp メタバース相談室(2026年4月確認)

【Roblox編】グローバルブランドの海外事例

RobloxでのNike NIKELANDやAdidas等のブランドアクティベーション事例——メタバース空間での没入型体験

Robloxは2025年Q3時点でDAU(日次アクティブユーザー)1億5,100万人、1日あたり平均プレイ時間2.8時間を記録するプラットフォームである。GenZ・Alpha世代(13〜24歳)へのリーチで特に強みを持つ。2025年だけで600件以上のブランドアクティベーションが実施された(前年400件超から増加)。

2025年4月にはGoogleとのパートナーシップを締結。Google広告経由でRoblox内のリワード動画広告を購入できるようになり、リワード動画完了率80%以上(一部体験では90%超)が実現可能になった。

出典:about.roblox.com newsroom(2026年1月・2025年4月公開、2026年4月確認)

スポーツ・ファッションブランドの事例

Nike(NIKELAND)

  • スポーツゲーム体験ワールドを常設。フィジカルなスポーツ動作をバーチャルに再現
  • 公開後4か月で700万ユーザー、累計2,600万超の訪問(2022年末時点)
  • 出典:about.roblox.com newsroom(2026年4月確認)

Adidas

  • ファッション・スポーツ体験の常設ワールドを展開
  • 2025年のブランドアクティベーションで1億4,000万回の訪問を記録
  • 出典:about.roblox.com newsroom(2026年4月確認)

Ralph Lauren

  • 2021年12月に期間限定体験として限定デジタルコレクションを販売。常設化を視野に入れた先行事例

ラグジュアリーブランドの事例

Gucci(Gucci Garden → GUCCI TOWN)

  • 限定アバターアイテムを販売。デジタルバッグが現物より高値で転売される話題を呼ぶ
  • ゲーム内でのラグジュアリーブランドの希少性演出が実証された事例

ビューティー・消費財の最新事例(2025年)

Fenty Beauty(Rihanna)

  • 2025年5〜8月に実施。商品カスタマイズ体験をRoblox上で提供し、Shopify連携によりゲーム内で直接購入可能に
  • 初月422万訪問、平均2,000同時接続を記録
  • 出典:BeautyMatter(2026年4月確認)

エンターテインメントの事例

Universal Pictures(Jurassic World Rebirth)

  • 映画公開に合わせたブランド体験ワールドを実施。約20億インプレッションを獲得

Universal Pictures(Wicked: For Good)

  • マルチワールドキャンペーンを展開。約80億インプレッションを獲得

広告プロダクトの拡充(2025〜2026年)

Robloxは2025年中にCint・DoubleVerify・IAS・Kantar・Nielsenとの計測パートナーシップを確立し、第三者機関によるブランドリフト測定が可能になった。これにより、ゲーム内広告の効果を従来のデジタル広告と同じ基準で評価できる環境が整いつつある。


【モバイルゲーム編】プログラマティックIGAの海外事例

モバイルゲームでのインリンゲーム広告(サイネージ型)は、Anzu.io・Bidstack等のプラットフォームを通じたプログラマティック購入が主流になっている。現時点では、プログラマティック購入がゲーム内広告配置の68%を占めるとされる(quickcreator.io、2026年4月確認)。

Levi's(501ジーンズキャンペーン)

  • 形態: 複数モバイルゲームでのインリンゲーム広告(Anzu.ioプラットフォーム)
  • ターゲット: 18〜30歳
  • 成果:
    • 広告露出ユーザーの64%がWebサイト訪問または購入
    • ブランド認知 +6%(18〜30歳層)
    • プレミアムジーンズ購買層での広告想起 +16%
  • 出典:anzu.io case studies(2026年4月確認)

Tommy Hilfiger(Classics Reborn)

  • 形態: Anzuプラットフォームでモバイル・PCゲームにディスプレイ・動画広告を配信。男女別クリエイティブを採用
  • 成果:
    • 広告想起 +14ポイント
    • ブランド好感度 +20ポイント
    • ブランド推奨意向 +24ポイント
    • 購買意向 +23ポイント
  • 出典:anzu.io case studies(2026年4月確認)

Hot Wheels(Mattel)

  • 形態: 63のモバイルゲームでモンスタートラックブランドを展開
  • 成果:
    • 視認率 99.5%
    • 不正トラフィック率 0.4%(業界平均6.1%との比較)
  • 出典:anzu.io case studies(2026年4月確認)

Magnum(Unilever)

  • 形態: ブランドゲーム「Magnum Pleasure Hunt」によるゲーミフィケーション施策
  • SNSとの連動でシェア拡散を設計
  • 成果: 7か月で600万超のユーザー訪問
  • 出典:anzu.io(2026年4月確認)

【PC・コンソール編】欧米先進事例と2026年の注目領域

Vodafone(ドイツ)×Trackmania

  • 形態: Ubisoftのレーシングゲーム「Trackmania」内でプログラマティックIGAを実施(Anzu.io経由)
  • 目的: 高速インターネットサービスの認知向上
  • 成果: キャンペーン認知 +176%
  • 業界初となる「Trackmania内プログラマティックIGA」事例として注目
  • 出典:anzu.io case studies, The Drum(2026年4月確認)

自動車ブランド×レーシングゲームのコンテキスト適合

BMW・Porsche・Mercedes-Benzは、Forza Motorsport・Gran Turismoなどのレーシングゲームに新型車モデルを登場させている。調査によれば、Forzaにおける自動車ブランド広告の「コンテキスト適合度」は他のカテゴリの2倍に達するとされる(出典:Anzu.io調査、2026年4月確認)。

2026年の注目領域:コンソールプログラマティックIGA

The Drum誌(2026年)は「コンソール内プログラマティック広告が2026年の最大の新興機会」と位置づけている。QRコード追跡・確率的マッチングなどの計測技術の進化がコンソール市場への広告投資を後押ししている。


業種別の活用パターンと効果データ

業種別ゲーム内広告活用パターンと効果データの比較——スポーツ・ラグジュアリー・食品・自動車等

業種別の代表事例と効果サマリー

業種

代表事例

主な形態

主な効果指標

出典確認日

スポーツ・ファッション

Nike NIKELAND(Roblox)、Tommy Hilfiger(Anzu)

体験型・サイネージ型

購買意向+23pt、想起+14pt

2026-04-17

ラグジュアリー

Balenciaga・Gucci(Fortnite/Roblox)

体験型

メディア露出18,000記事超

2026-04-17

食品・飲料

Coca-Cola・Doritos(Fortnite)、Magnum(ゲーミフィケーション)

体験型・ゲーミフィケーション

7か月600万ユーザー

2026-04-17

自動車

BMW・Porsche(Forza)、Honda(Fortnite)

コンテキスト型・体験型

ゲームとのコンテキスト適合度2倍

2026-04-17

玩具・エンターテインメント

Hot Wheels(モバイル63タイトル)

サイネージ型

視認率99.5%

2026-04-17

ビューティー

Fenty Beauty(Roblox)

体験型+コマース

初月422万訪問

2026-04-17

通信

Vodafone(Trackmania)

コンテキスト型

キャンペーン認知+176%

2026-04-17

CPG(消費財全般)

Levi's(Anzu複数タイトル)

サイネージ型

ブランド認知+6%、想起+16%

2026-04-17

CPGカテゴリ平均(Anzu 2021〜2023年 16キャンペーン集計)

  • ブランド認知: +7%
  • ブランド想起: +6%
  • ブランド推奨意向: +5%

出典:anzu.io/blog/cpg-advertising(2026年4月確認)


ゲーム内広告の効果測定——グローバルベンチマーク

ゲーム内広告の効果は、従来のデジタル広告指標と比較して高い水準にある。以下に主要なベンチマークデータを示す。

視認性・注目度の比較(Microsoft Advertising「The Future Is In Play」2026年4月)

指標

ゲーム広告

オンライン動画

ソーシャルメディア

完全視認率

100%

86%

77%

注目度(他チャネル比)

2.5倍

売上予測精度

83%

さらに同調査によれば、ゲーマーの46%がゲーム内広告をきっかけに購入した経験があり、前年(40%)から増加している。

Anzu.io ブランドリフト平均値(複数キャンペーン集計)

  • ブランド認知向上: +13%
  • ブランド想起向上: +14%
  • ブランドパーセプション向上: +11%
  • 購買意向向上: +13%

出典:anzu.io/media-value(2026年4月確認)

Roblox リワード動画広告のエンゲージメント

  • ユーザーの87%が好意的に評価
  • 平均完了率: 80%以上(一部体験では90%超)
  • ビルボード型広告(Immersive Ads)の完全視認率: 95%以上

出典:about.roblox.com newsroom(2026年4月確認)


2025〜2026年のグローバルトレンド——6つの潮流

1. プログラマティックIGAの主流化

現時点では、ゲーム内広告配置の68%がプログラマティック経由で購入されている(quickcreator.io、2026年4月確認)。リアルタイムビディング・AIによる自動最適化が普及し、マスブランドが大量のゲームタイトルに広告を同時配信できる環境が整った。

2. AIによるクリエイティブ動的最適化

プレイヤーの感情状態・プレイセッション深度・デモグラフィックシグナルに応じて、数千パターンのクリエイティブをリアルタイムで自動調整する技術が実用化されている。同じゲームで同じ広告枠を使っても、プレイヤーごとに異なるクリエイティブが表示される。

3. コンソールへの拡張(2026年の最大機会)

The Drum誌(2026年)はコンソール内プログラマティック広告を「2026年の次の大きな機会」と位置づける。QRコード追跡・確率的マッチングなどの計測技術の進化が、コンソールゲームへの広告投資を後押しする。

4. リワード動画広告の急拡大

Robloxが2025年4月にGoogleとのパートナーシップを締結し、Google広告経由でRoblox内リワード動画広告を購入できるようになった。完了率90%超が実現可能なオプトイン型フォーマットが、ゲーム外の広告主にも届きやすくなっている。

5. 計測エコシステムの整備

2025年中にRobloxはCint・DoubleVerify・IAS・Kantar・Nielsenと計測パートナーシップを確立。第三者機関によるブランドリフト測定が標準化され、ゲーム内広告の効果を他メディアと横並びで評価できるようになった。

6. ラグジュアリー・高関与ブランドの参入加速

Balenciaga・Moncler・Gucci・Ralph Laurenといったブランドが先行し、「若い富裕層の入口」としてゲーム空間を位置づけている。デジタルスキンと実物購入の連動(Nike Airphoria等)により、ゲーム内広告が直接的な購買チャネルにもなりつつある。


日本への示唆——グローバル事例から何を学ぶか

グローバルIGA事例から導く日本市場での活用戦略の示唆——マーケティング戦略の立案

グローバル事例を日本のマーケターが読み解く上で、以下の3点が実践的な示唆として挙げられる。

示唆1:「コンテキスト適合」が効果の分岐点になる

VodafoneがTrackmania(レーシングゲーム)で「高速インターネット」の認知を高め、自動車ブランドがレーシングゲームで「コンテキスト適合度2倍」を獲得しているように、ゲームジャンルとブランドカテゴリの親和性が効果を左右する。

日本での応用例:飲料・スナックブランドがカジュアルゲームの仮想空間内看板に出稿することで、ゲームプレイ中の軽食シーンとのコンテキスト適合を狙う、という設計が有効だ。

示唆2:「体験型」と「サイネージ型」を予算別に使い分ける

グローバルブランドのFortnite・Robloxでのブランド体験構築には、制作費・出稿費で数千万〜億円規模の投資が必要とされている。一方、AnzuのようなプログラマティックIGA(サイネージ型)やAd-VirtuaのようなゲームサイネージはCPM数百円規模からのスモールスタートが可能だ。

予算と目的別の選択指針:

目的

予算感

推奨形態

若年層への認知拡大(スモールスタート)

月10〜30万円規模から

モバイルゲームのサイネージ型(Ad-Virtua等)

ブランド想起・好感度の継続的な積み上げ

月50〜200万円規模

プログラマティックIGA(Anzu等)

話題性・PR効果・深いブランド体験

数千万円〜億円規模

Fortnite・Robloxのブランド体験型

示唆3:KPIの設定を「視認率」から「ブランドリフト」に移行する

グローバルでは既に、ゲーム内広告のKPIが「インプレッション・CPM」から「ブランド認知・想起・購買意向の変化量」に移行しつつある。RobloxのNielsenパートナーシップ、AnzuのComscore連携が示すように、第三者計測によるブランドリフト測定を標準装備した上でキャンペーンを設計することが、今後の投資対効果の説明責任につながる。


ゲーム内広告フォーマット別の比較

日本のマーケターが社内検討・予算確保の際に使いやすいよう、主要なゲーム内広告フォーマットを整理する。

項目

サイネージ型(IGA)

リワード動画

インタースティシャル

ブランド体験型

没入感の維持

◎ ゲームを中断しない

○ ユーザー任意

△ 画面を中断する

◎ ゲーム内に溶け込む

視認率

◎ 高い(最大96%)

◎ 完了率80〜90%+

△ スキップされやすい

◎ 長時間滞在

ブランドリフト

○ 認知・想起に効果

○ 好感度が高い

△ 嫌われやすい

◎ 体験による深い印象

最低予算目安

◎ 月10〜30万円〜

○ 月数十万円〜

○ 月数万円〜

△ 数千万円〜

制作コスト

○ 既存動画素材を流用可

○ 既存動画流用可

○ 低コスト

△ 専用ワールド制作が必要

ターゲット精度

○ タイトル選定で調整

○ モバイル全般

○ モバイル全般

△ プラットフォーム依存

話題性・PR効果

◎ メディア掲載に発展

代表プラットフォーム

Ad-Virtua、Anzu

Roblox、各ゲームアプリ

モバイルゲーム全般

Fortnite UEFN、Roblox


こんなブランド・マーケターに向いている

ゲーム内広告(特にサイネージ型・プログラマティックIGA)が向いているケース:

  • TVCM・SNS広告だけでは届かない若年層(10〜30代)への認知拡大を目指している
  • 既存の動画素材(TVCMや動画広告)をそのまま活用したい
  • スモールスタートで新チャネルの効果検証をしたい(月10〜30万円規模から)
  • ゲームプレイ体験を邪魔せず、自然な形でブランドを接触させたい
  • 広告ブロック・スキップによる到達率低下に課題感がある

ブランド体験型(Fortnite・Roblox)が向いているケース:

  • 話題性・PRリーチも同時に狙いたい(メディア掲載・SNS拡散)
  • ブランドと若年層の深いエンゲージメントを長期的に築きたい
  • 数千万円以上の制作予算が確保できる
  • グローバル市場でのブランドプレゼンスを強化したい

こんなケースには向いていない

  • 即時のリード獲得・コンバージョン最大化が主目的(ゲーム内広告は認知・好感度施策であり、即時CVには向かない)
  • ゲームプレイヤー層(特に若年男性比率の高いジャンル)とターゲット層が合わない商材・サービス
  • 1回限りの施策で終わらせたい(ゲーム内広告はブランド想起の積み上げに効く継続型施策)
  • 動画素材が一切ない状態で始めたい(最低限の動画クリエイティブは必要)

ゲーム内広告の活用を日本で始める際の選択肢

グローバル事例で紹介した手法のうち、日本市場でのスモールスタートとして現実的な入り口として注目されているのが、国内スマホゲームへのサイネージ型IGA(インリンゲーム広告)だ。

Ad-Virtuaは国内400タイトル以上のスマホゲームの仮想空間内看板・モニターに動画広告を配信できるプラットフォームで、国内最大級のゲーム内広告ネットワークとして稼働している。最低出稿料金は100,000円(税別)から。公式サイト(ad-virtua.com)確認の広告指標は、広告想起率が他のWeb広告比約1.8倍、ビュースルー率は最大96%(業界平均67%の約140%)とされている。

グローバルのTommy Hilfiger事例(広告想起+14pt)・Levi's事例(想起+16%)などの成果と比較しながら、まず小規模から効果検証をしたいブランドにとって、ゲーム内サイネージ広告は現実的な入り口になる。

ゲーム内広告の費用感や国内での始め方については、「ゲーム内広告の費用・料金相場」の記事で詳しく解説している。ゲーム内広告全体の仕組みと種類については「ゲーム内広告とは」を、各フォーマットの特徴を比較したい場合は「ゲーム内広告の種類と効果」も参考にしてほしい。


よくある質問(FAQ)

Q1. ゲーム内広告はどのくらいの予算から始められますか?

A. 形態によって大きく異なる。国内スマホゲームのサイネージ型(Ad-Virtua等)は100,000円(税別)程度から出稿可能。一方、FortniteやRobloxでのブランド体験型ワールド制作は制作費・出稿費合計で数千万円〜億円規模が目安とされている。まずは効果検証を目的にサイネージ型でスモールスタートし、データを見ながら予算を拡大するのが一般的なアプローチだ。

Q2. 海外事例のような広告効果(想起+14ptなど)は日本でも期待できますか?

A. 一般的には、ゲーム内広告の「没入感のある接触」という特性は市場を問わず共通している。ただし、具体的なブランドリフト数値はブランド認知度・クリエイティブ品質・ターゲット層との一致度によって変動する。Tommy Hilfigerの+14pt・Levi'sの+16%はAnzuの複数キャンペーン集計値。国内ではAd-Virtuaが広告想起率「他のWeb広告比約1.8倍」というデータを公表しているが、業種・キャンペーン設計によって異なる。

Q3. どのゲームジャンル・プラットフォームを選べばいいですか?

A. 「コンテキスト適合」が効果の鍵になる。自動車ブランドはレーシングゲーム、食品・飲料はカジュアルゲーム、スポーツブランドはスポーツゲームという形で、ブランドカテゴリとゲームジャンルを合わせることで効果が高まるとされている(Anzu調査:Forzaでの自動車ブランドのコンテキスト適合度は他の2倍)。まずはターゲット層が多くプレイするジャンルを選ぶことが基本だ。

Q4. ゲーム内広告の効果はどう測定するのですか?

A. 主要な指標は「ブランドリフト(認知・想起・好感度・購買意向の変化量)」と「視認性指標(ビュースルー率・完了率)」の2軸。グローバルではNielsen・Kantar・IAS・DoubleVerifyなどの第三者計測機関を利用したブランドリフト調査が標準化されつつある。国内では現時点では計測体制の整備が発展途上だが、ビュースルー率・想起率のA/Bテストなどから始めることができる。

Q5. Fortnite・Robloxへの出稿は日本企業でも可能ですか?

A. 森永製菓(ハイチュウ)のFortniteコラボ事例(2023年)や、HondaのHondaverse(Fortnite)などの先行事例が存在する。ただし、制作には専門のパートナー企業(UEFN対応スタジオ等)が必要であり、現時点では制作・出稿の敷居が高い。国内のブランド体験型IGA市場は2026〜2027年にかけて整備が進むと見られており、先行事例を研究しながら準備を進めるのが現実的だ。


本記事の数値は各出典に記載の確認日時点の情報です。市場規模・効果指標は調査機関・集計範囲により異なる場合があります。