化粧品のマーケティングは、「世界観で選ばれる」ブランディングと、「試してから買う」体験の再現、そして顧客データで継続購入を育てる仕組みの3つを、ファネル別に組み合わせると成果が出やすくなります。この記事では、資生堂・コーセー・エキップ・ポーラなどの国内事例をもとに、体験型施策7つとCDP(顧客データ基盤)活用を比較し、自社に合う施策の選び方まで整理します。
EC化で店頭で試す機会が減り、SNS広告もスルーされやすくなった今、広告を増やすだけでは認知も購買も伸びにくくなっています。化粧品業界ならではの課題から、ブランディングの考え方、施策ごとの事例・費用感・KPI、稟議で使える数値まで順に解説します。
この記事でわかること
- 化粧品マーケティングが難しくなっている理由
- 化粧品ブランディングを「世界観・体験・データ」の3層で考える方法
- ファネル別に整理した体験型施策7つの事例と費用感
- 資生堂・エキップ・ポーラのCDP・顧客データ活用事例
- 化粧品のコンテンツマーケティングの使いどころ
- ROI・ブランドリフト・CPMを使った稟議用の説明方法
対象読者: 化粧品・美容ブランドのマーケティング担当者、ブランドマネージャー、若年層への認知拡大やブランド体験の設計を検討している企業の担当者
化粧品マーケティングが難しくなっている5つの理由

国内化粧品市場は2025年に前年比1.8%増の2兆9,509億円となり、TPCマーケティングリサーチの調査では2026年に前年比1.7%増の3兆13億円に達する見込みです(出典: TPCマーケティングリサーチ「2026年 日本の化粧品市場トレンドレポート」)。市場は伸びていますが、その中で選ばれるための条件は厳しくなっています。
理由1:EC化で「試してから買う」機会が減った
化粧品は使用感・発色・香り・テクスチャで選ばれる商材です。ECは便利な一方で、店頭で試すプロセスがなくなるため、知らないブランドを初めて買うハードルが上がります。
理由2:SNS広告・インフルエンサー施策の飽和
若年層を中心に、明らかに広告とわかるコンテンツはスルーされやすくなっています。インフルエンサーの起用コストは上がり続け、同じ投資で得られる効果は頭打ちになりつつあります。
理由3:K-Beautyブランドとの競争
トレンドの移り変わりが速いK-BeautyブランドがSNSやライブコマース、ポップアップで若年層を獲得しており、価格や機能の訴求だけでは差がつきにくくなっています。
理由4:若年層人口の縮小
国内の10〜20代人口は減り続けています。限られた若年層との接点を、どれだけ深く、効率よく使えるかが問われます。
理由5:認知施策のROIを説明しにくい
認知・好感度を高める施策は、購買との因果関係が見えにくく、社内で費用対効果を説明しにくい施策です。評価指標の設計方法は後半の「KPIとROI・ブランドリフトの設計方法」で解説します。
化粧品ブランディングの考え方|世界観・体験・データの3層で設計する
化粧品のブランディングとは、ブランドの世界観を決めたうえで、それを生活者が実際に体験できる接点に落とし込み、体験した人との関係をデータで継続させることです。ロゴや広告のトーンを整えるだけでは、指名買いやリピートにはつながりません。
層 | 決めること | 主な施策 | 失敗しやすいポイント |
|---|---|---|---|
世界観 | 誰の、どんな美しさを肯定するブランドか | ブランドコンセプト、ビジュアル、TVCM・動画 | 機能訴求だけになり他社と見分けがつかない |
体験 | 世界観をどの接点で、どう体験してもらうか | ポップアップ、ARメイク、ゲーム・メタバース、他業種コラボ | 単発イベントで終わり、次の接点が用意されていない |
データ | 体験した人とどう関係を続けるか | 会員ID統合、CDP、LINE・メールのシナリオ配信 | データを集めても施策に使える形になっていない |
この3層のうち、多くのブランドで手薄になりやすいのが「体験」と「データ」のつなぎ目です。ポップアップやゲームなどで世界観を体験してもらっても、その後の接点がなければ一度きりで終わります。逆に、CDPを入れても新しい顧客との出会いがなければ、既存顧客の分析にとどまります。以下では、体験型施策とCDP活用の事例をそれぞれ紹介します。
ブランド体験という考え方そのものは、ブランド体験とは?施策の種類・設計ステップ・成功事例を解説や体験型マーケティングとは?手法・事例・失敗しないポイントを解説で業界を問わず解説しています。
ファネル別・化粧品マーケティング施策の全体像

どの施策を選ぶかは、「どのファネルに一番の課題があるか」で決まります。以下の表を判断の起点にしてください。
ファネル | 目的 | 向いている施策 |
|---|---|---|
認知・初回接触 | まだ知らない人にブランドを知ってもらう | ゲーム内広告、SNS動画広告、メタバース体験、他業種コラボ |
興味・検討 | 「もっと知りたい」を引き出す | ARバーチャルメイク、診断コンテンツ、SNSハッシュタグキャンペーン |
体験・試用 | 五感で製品を確かめてもらう | ポップアップストア、タッチアップイベント、サンプリング |
購買・転換 | 検討中の人を購入に導く | ライブコマース、オンラインカウンセリング |
継続・ロイヤルティ | リピート・ファン化を促す | CDPを使ったシナリオ配信、会員プログラム、メイクレッスン |
化粧品の体験型マーケティング事例7選(2026年最新)

施策1:ポップアップストア・体験イベント|SHISEIDO・Tokyo Beauty Week・K-Beautyの事例(体験・試用)
期間限定の体験ブースや店頭タッチアップは、ブランドの世界観を空間で表現し、質感や発色をその場で確かめてもらう定番の施策です。SNSで撮りたくなる空間を作れば、来場者の投稿による拡散も期待できます。
費用感(参考): 都市部で1週間程度のポップアップなら、会場費・設営費を含めて数十万〜数百万円が目安です。
最近の事例
- SHISEIDO「フューチャーソリューション LX」: 2026年6月に東京ミッドタウン日比谷で移動型POPUP「はなれ」を開催し、約15分の五感体験型ハンドケアワークショップを提供。その後は全国を巡回する計画です(出典: fashionsnap.com、2026年5月28日)。
- K-Beauty Discovery at INCUBE 天神: 2026年10月6日〜18日、福岡のインキューブ天神店で約40の韓国ビューティーブランドが同じ売場に並び、来場者のSNS応援数と売れ行きをもとにした順位を会期中に競い合う参加型ポップアップです。来場者はテスター体験、ハッシュタグ投稿での応援、ランキング確認の3ステップで参加します(出典: KITERU合同会社 プレスリリース、2026年10月2日)。
- Tokyo Beauty Week 2026: アイスタイルが企画・運営し、2026年11月18日〜24日に原宿・表参道エリアで開催予定。SK-II、SHISEIDO、FANCLなど40以上の美容ブランドが参加し、ガイドブックを手に複数会場を巡る体験型コンテンツ「Beauty Walk」を用意しています(出典: 株式会社アイスタイル プレスリリース、2026年10月7日)。
K-Beauty Discoveryのように、来場者の「応援」をSNS投稿と結びつける設計は、体験・試用ファネルの施策を認知拡大にもつなげる工夫です。
向いているブランド: ある程度の認知があり、購買転換を促したいブランド。百貨店・ドラッグストア・バラエティショップとの取引があるブランド。
施策2:ARバーチャルメイク|コーセー「コフレドール」の事例(興味・検討)

スマートフォンのカメラでリップ・アイシャドウ・チークなどを仮想的に試せる機能です。EC上で「試せない」問題をデジタルで補います。
- ECサイトに組み込むと、商品ページでの検討時間を延ばしやすい
- フル開発なら数百万〜数千万円規模。SaaS型のAR試着ツールを使えば費用を抑えられる
事例: コーセー「コフレドール」のARバーチャルメイク「COFFmi」では、PV数11.4倍・平均滞在時間2.48倍を達成しています(出典: XR-Hub)。
向いているブランド: ECが主力チャネルのブランド。カラーバリエーションが多いリップ・アイシャドウ系の製品。
施策3:オンラインカウンセリング(購買・転換)

チャットやビデオ通話で、美容部員が肌の悩みに合わせて製品を提案する施策です。店頭の接客をオンラインに移すことで、近くに店舗がない顧客にも届きます。
事例: ヨーロッパ系美容ブランドが導入した「Hero」プラットフォームでは、1日2,500件以上の相談対応と購入点数40%増を記録しています(出典: 生活者データ・ドリブンマーケティング)。
向いているブランド: カウンセリング型の接客に強みを持つデパコス・サロン系ブランド。
施策4:ライブコマース|コーセー「ジルスチュアート」の事例(購買・転換)

ライブ配信で使い方を実演しながら、視聴者がその場で購入できる施策です。発色や質感を動画で見せられるため、試用の疑似体験と購入を一度に済ませられます。
事例: コーセー「ジルスチュアート」がInstagramライブで実施した配信では、1回で公式ECの売上が数十万円増えたケースがあります(出典: 業界内公開情報)。後述のエキップの事例のように、ライブ配信の視聴・コメント履歴を顧客データとして蓄積し、次の施策に使う動きも出ています。
向いているブランド: 発色・テクスチャが映像で伝わりやすい製品。EC直販の比率を上げたいブランド。
施策5:ゲーム・メタバース空間でのブランド体験(認知・初回接触)

ゲームやメタバース空間でのブランド体験は、SNS広告に慣れた若年層に、広告らしさを抑えた形でブランドを届ける接点です。中でも、ゲーム空間の看板やモニターに動画を流すサイネージ型のゲーム内広告は、既存の動画素材を使えるため、化粧品ブランドでも着手しやすい選択肢です。
- Z世代の約80%がゲームをプレイし、平均プレイ時間は1日約100分(出典: Ad-Virtua公式サイト)
- メタバースプラットフォーム「ZEPETO」は10〜20代の女性ユーザーが中心とされ、化粧品・ファッションブランドの出店が多い(出典: ZEPETO公開情報)
海外の主な事例
ブランド | 施策内容 | プラットフォーム |
|---|---|---|
GUCCI | リアルとメタバースで同時にコレクションを発表 | ZEPETO |
Escada | ミニゲーム参加でデジタルアイテムと実物の香水を提供 | Roblox |
Estée Lauder | 限定NFT 10,000個を無料配布 | メタバース |
Clinique | アバター向けメイクデザインのNFTを販売 | メタバース |
メタバース広告の仕組み・費用・国内事例はメタバース広告とは?仕組み・種類・費用・事例を徹底解説で詳しく解説しています。
向いているブランド: 10〜20代への認知拡大が課題のブランド。TVCMなどの動画素材を持っているブランド。
施策6:SNSハッシュタグキャンペーン・UGC活用(興味・検討)

「#推しコスメ」のようなハッシュタグを起点に、ユーザー自身に投稿してもらう参加型の施策です。広告費を抑えつつクチコミを広げられますが、参加のしやすさと投稿したくなる理由を設計しないと広がりません。UGCやインフルエンサー起用では、ステルスマーケティング規制への対応(広告であることの明示)が必須です。
向いているブランド: ファンコミュニティが育っているブランド。使用前後の変化が見た目でわかりやすい製品。
施策7:他業種コラボ型体験|YOLU×銭湯の事例(認知・体験)

カフェ・ヘアサロン・銭湯・旅館など、化粧品売場以外の生活の場でブランドを体験してもらう施策です。「化粧品の広告」ではなく生活の一部として自然に触れてもらえます。
- YOLU(ヨル)× 銭湯: 入浴シーンに合わせた世界観づくりで認知を拡大
- TIRTIR × おふろcafé: 韓国コスメブランドが日本の温浴施設でサンプリング体験を提供
向いているブランド: ライフスタイル訴求に強いブランド。使うシーンが明確な製品(ヘアケア、ボディケアなど)。
化粧品のCDP・顧客データ活用事例|資生堂・エキップ・ポーラ
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは、店舗・EC・会員・Web行動など、別々に管理されている顧客データを一人ひとりの単位で統合し、施策に使える形にする基盤です。化粧品は店頭・EC・百貨店・カウンセリングと接点が多く、ブランドも複数持つ企業が多いため、データが分断されやすい業界です。以下の3社は、いずれもTreasure DataのCDPを使った国内事例です。
資生堂インタラクティブビューティー:会員IDを統合し、データ確認を1週間→1時間に
資生堂インタラクティブビューティーは、「ワタシプラス」を含む複数の会員制度をOne ID化し、店舗とEC、ブランドごとに分かれていた購買データを統合しました。商品の認知から購買、ロイヤル化までの流れを「顧客育成パス」として数値で見えるようにし、マーケター自身がセグメントを作って施策を展開しています。データの確認にかかる時間は1週間から1時間に短縮されました(出典: Treasure Data 導入事例「顧客理解の深化から始まるロイヤルティ向上への道」)。
エキップ(RMK・SUQQU):2回目購入のシナリオを刷新し、売上の上積み効果が140%改善
花王グループのエキップは、RMK・SUQQU・athletiaの購入履歴、店頭接客履歴、Web行動、ライブショッピングの視聴・コメント履歴、LINE・メール配信履歴、NPSアンケート、イベント参加履歴を統合しました。新規顧客の2回目購入シナリオを見直し、LINE・メール・Web接客・配送明細書へと接点を広げたうえで、配信しないグループ(コントロールグループ)と比べてオンライン・オフライン両方の売上を測定しています。成果として、売上の上積み効果が140%改善、2回目購入のコンバージョンレートが114%改善しました(出典: Treasure Data Connected World 2025 エキップ登壇レポート)。
ポーラ:接点ごとの気持ちの変化をアンケートで追い、継続率を向上
ポーラは、CDPを中心に店舗・EC販売データ、アンケートデータ、Web行動データを統合し、BI・MA・Web接客ツールと連携しました。さらに、顧客接点ごとに生まれる気持ちの変化を可視化するため定期的にアンケートを取り、その回答もCDPに格納して改善の指針にしています。PDCAサイクルの短縮、事業横断の施策推進、顧客の継続率向上につながったとしています(出典: Treasure Data PLAZMA ポーラ事例「データ基盤とモニタリングで顧客理解を深める」)。
3社の比較とCDP活用で押さえるべき点
企業 | 統合した主なデータ | 主な使い道 | 公表されている成果 |
|---|---|---|---|
資生堂インタラクティブビューティー | 複数の会員ID、店舗・ECの購買データ | 顧客育成パスの可視化、セグメント配信 | データ確認が1週間→1時間 |
エキップ(RMK・SUQQU等) | 購入・接客・Web・ライブ視聴・LINE・NPS・イベント | 2回目購入シナリオ | 売上の上積み効果140%改善、2回目購入CVR114%改善 |
ポーラ | 店舗・EC販売、アンケート、Web行動 | 接点ごとの気持ちの変化をモニタリング | PDCA短縮、継続率向上 |
3社に共通するのは、CDPを「データを集める箱」ではなく、継続購入やロイヤル化のための施策を回す道具として使っている点です。また、エキップの事例ではポップアップや店頭イベントの参加履歴もデータとして扱われています。体験型施策で出会った顧客を、その後のシナリオ配信につなげる設計ができると、体験の効果を売上で説明しやすくなります。
一方で、CDPは導入・運用に専任の人員と継続的な費用が必要です。そもそも新しい顧客との接点が少ない段階では、分析できるデータ自体が限られます。Cookie規制後のデータ活用の全体像はファーストパーティデータ活用完全ガイドで解説しています。
化粧品のコンテンツマーケティングの使いどころ
化粧品のコンテンツマーケティングは、肌悩み・成分・使い方など「買う前に調べること」に答える記事や動画で検討を後押しし、指名検索や会員登録につなげる施策です。即効性はありませんが、広告と違って公開後も読まれ続けるため、検討段階の顧客との接点として積み上がります。
コンテンツの種類 | 向いているファネル | 例 |
|---|---|---|
肌悩み・成分の解説記事 | 興味・検討 | 「乾燥肌のベースメイクの選び方」 |
肌診断・パーソナルカラー診断 | 興味・検討 | 診断結果から商品を提案し、会員登録につなげる |
使い方動画・HOW TO | 購買・転換 | 発色やなじませ方を動画で見せる |
会員向けメールマガジン・LINE | 継続・ロイヤルティ | 購入後の使い方や季節ごとのケアを届ける |
化粧品のコンテンツでは、薬機法の範囲を超える効能表現(「シミが消える」など)を使わないことが前提です。記事コンテンツとブランド体験をどうつなぐかは、コンテンツマーケティングとブランド体験設計|SEOとファン化を両立する施策ガイドで詳しく解説しています。
化粧品マーケティング施策の比較表
施策 | ファネル | 費用感(目安) | 主なKPI | 着手のしやすさ |
|---|---|---|---|---|
ポップアップ・体験イベント | 体験・購買 | 数十万〜数百万円 | 来場者数、試用率、その場での購買率 | 中 |
ARバーチャルメイク | 興味・検討 | 数百万〜数千万円(SaaS型は抑えられる) | PV数、滞在時間、CV率 | 低 |
オンラインカウンセリング | 購買・転換 | 数十万円〜 | 相談件数、購入点数、CV率 | 中 |
ライブコマース | 購買・転換 | 数十万円〜 | 視聴者数、購入率、売上額 | 中〜高 |
ゲーム内広告・メタバース体験 | 認知・初回接触 | 30万円〜(ゲーム内広告1週間) | 広告想起率、視認率、ブランドリフト | 高(動画素材があればすぐ出稿できる) |
SNSハッシュタグ・UGC | 興味・検討 | 数万〜数十万円 | 投稿数、リーチ、エンゲージメント | 中〜高 |
他業種コラボ体験 | 認知・体験 | 数十万円〜 | リーチ、試用数、SNS拡散量 | 中 |
CDP・顧客データ活用 | 継続・ロイヤルティ | 導入・運用に継続費用 | リピート率、2回目購入率、LTV | 低(専任体制が必要) |
コンテンツマーケティング | 興味・検討 | 制作体制による | 自然検索流入、指名検索、会員登録 | 中(成果まで時間がかかる) |
※費用は参考目安です。規模・期間・要件によって大きく変わるため、詳細は各施策の提供会社に確認してください。
自社ブランドに合う施策の選び方
どこから着手するかは、今どのファネルに一番の課題があるかで決まります。
- 指名検索や第一想起が少ない: 認知・初回接触の施策(ゲーム内広告、SNS動画広告、メタバース体験)を優先する。考え方は第一想起を獲得する方法|施策比較・測定KPI・失敗パターンを実務向けに解説が参考になります。
- 知られてはいるが、思い出してもらう接点が少ない: 顧客接点を増やす方法|施策の種類・フェーズ別設計・失敗しないポイントを解説を参考に、ARバーチャルメイクやコンテンツマーケティングを加える。
- 気になっているが、試せない・買えない: ポップアップ、タッチアップイベント、オンラインカウンセリングを優先する。
- 一度買った人がリピートしない: CDPを使った2回目購入シナリオや会員プログラムに予算を寄せる。
予算が限られる場合は、ファネル1段階につき1施策から始め、効果を確かめてから隣のファネルに広げると失敗しにくくなります。
Z世代向けの接点づくりは業界をまたいで共通する点が多くあります。アパレル業界の例はアパレル・ファッションブランドの体験型マーケティング|Z世代リーチと施策・事例を比較、TVCMをデジタルで補う設計は食品・飲料の若年層リーチを増やす施策7選|TVCMの限界とデジタル補完戦略、ブランド体験施策のKPI設計を横並びで見るなら食品メーカーのブランド体験施策事例10選|若年層認知からロイヤルティ向上までも参考になります。
施策ごとのKPIとROI・ブランドリフトの設計方法
体験型施策は「ROIが見えにくい」と言われますが、ファネルごとにKPIを決めれば効果は測れます。稟議で問われるのは、認知施策がなぜ購買につながるのかを数値で説明できるかどうかです。
ファネル | 主なKPI | 測り方 |
|---|---|---|
認知 | 広告想起率、視認率、ブランド認知度 | 接触者と非接触者を比べるブランドリフト調査 |
興味・検討 | 滞在時間、PV数、保存数、指名検索数 | アクセス解析、SNSインサイト、検索ボリュームの推移 |
体験・購買 | 試用数、来場者数、CV率、購入点数 | イベント集計、EC・POSデータ |
継続・ロイヤルティ | リピート率、2回目購入率、NPS、LTV | CDP・会員データ、アンケート |
ROIを稟議の根拠にする考え方
ROIは、施策前後のブランドリフト調査(広告想起率・購買意向の変化)と、EC・店頭の売上データを組み合わせて「施策がなければ生まれなかった売上」を見積もる方法で説明します。エキップの事例のように、施策を届けないコントロールグループを用意して売上を比べる設計にすると、経営層にも説明しやすくなります。オフライン施策なら、実施エリアと非実施エリアの売上比較が同じ役割を果たします。広告全体の効果測定は広告効果とは|測定方法・KPI設計・ブランドリフト・主要指標の実践ガイド、業種別のブランドリフトのデータはゲーム内広告のブランドリフト効果|業種別の広告想起率・好感度・購買意向データと効果設計ガイドで確認できます。
CPMを横並びにして予算を比べる
認知施策同士を比べるときは、CPM(1,000回表示あたりの費用)をそろえると説明しやすくなります。一般的なWeb動画広告のCPMの目安が約500円であるのに対し、Ad-Virtuaのゲーム内広告は約300円で、広告想起率はWeb広告比で約1.8倍というデータがあります(出典: Ad-Virtua公表値)。「単価が低いのに想起されやすい」という組み合わせは、認知施策の予算承認の根拠として使いやすい数値です。
こんな企業におすすめ / おすすめしない企業
こんな企業におすすめ
- 10〜20代へのブランド認知が弱く、新しい接点を探している
- SNS広告・インフルエンサー施策の効率が落ち、別の手段を探している
- EC比率が高く、五感体験をデジタルで補いたい
- TVCMなどの動画素材があり、それを生かした認知施策を探している
- 「試してから買いたい」という理由で購入前に離脱されている
- 一度買った顧客が定着せず、2回目購入率が低い
おすすめしない企業
- ブランドの世界観や差別化のポイントがまだ決まっていない(体験を作る前にブランド戦略の整理が必要)
- 顧客の中心がデジタル接点をほとんど使わないシニア層(デジタルの体験型施策は効果が限られやすい)
- 短期の売上だけが評価され、認知・好感度への投資が承認されにくい(体験型施策は中長期で効果が出る)
- 使用感や発色よりも成分・機能の説明で選ばれる商材(コンテンツマーケティングやレビュー施策の方が相性がよい)
ゲーム内広告が化粧品ブランドの若年層課題を解くポイント
若年層に認知を広げるには、嫌われない広告接触を作ることが欠かせません。ゲーム内広告は、ゲームの世界観に溶け込む形でブランドの動画を届けられるため、SNS広告への拒否感が強い層にも接触しやすい手法です。
ゲーム内広告は、テレビCMやWeb広告と並ぶ広告の一形態です。広告全体の種類や媒体選びの考え方は広告とは?意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説、ゲーム内広告の仕組みや種類はゲーム内広告とは?仕組み・種類・効果をわかりやすく解説で確認しておくと、施策の位置づけを社内で説明しやすくなります。
Ad-Virtuaのゲーム内広告(サイネージ型)は、ゲーム空間の看板やモニターに動画広告を配信するアドネットワークです。主な指標は以下のとおりです。
指標 | 数値 |
|---|---|
累計再生数 | 8,000万回突破(2025年後半時点) |
掲載先ゲームタイトル数 | 550タイトル突破(2025年10月時点) |
広告想起率 | Web広告比 約1.8倍 |
注目度 | Web広告比 約1.7倍 |
ユーザー好感度 | 約85% |
CPM | 約300円(一般的なWeb動画広告は約500円) |
料金 | 1週間300,000円〜(100万回再生が目安) |
出典: Ad-Virtua公表値・公式サイト、プレスリリース(2025年10月15日)
2026年7月にはモバイル計測プラットフォーム「Adjust」との連携を発表し、「広告接触→サイト訪問→購入」「広告接触→会員登録」といった行動を計測できるようになりました(出典: アドバーチャ プレスリリース、2026年7月17日)。認知施策でありながら、会員登録やEC購入までの流れを追えるため、前述のCDP活用と組み合わせた効果検証の設計もしやすくなっています。
Ad-Virtuaのゲーム内広告が合う化粧品・美容ブランドの条件
- 10〜20代への認知拡大が課題: Z世代の約80%がゲームをプレイしているため、SNS以外の若年層接点として機能する。ゲームユーザー全体の男女比は男性64%・女性36%(Ad-Virtua公式サイト)のため、女性向け商材は配信先タイトルのジャンル選定が重要
- TVCMなどの動画素材がすでにある: 既存の動画をそのままゲーム内で配信できる
- TVCM・SNS広告を補う施策を探している: メインメディアで届かない層へのリーチを補える
- リアルの体験施策は規模や費用の面で難しい: 1週間30万円から始められ、継続的に接触を作れる
- ブランドイメージを損ねたくない: ゲームの世界観に溶け込む形式のため、広告による印象悪化を抑えやすい
商品の世界観を伝えるゲームキャンペーンを相談する
色や質感、使うシーンといったブランドの世界観は、短い動画広告だけでは伝えきれないことがあります。ゲームなら、その世界観の中に入り込んで遊んでもらえます。本記事で紹介したメタバース・ゲーム空間の施策を、自社ブランドのオリジナルゲームとして実施する形です。
アドバーチャの「ゲームバズ」は、ゲームの企画・開発、ゲームを載せる特設サイトの制作、インフルエンサーの起用、プレスリリースまでまとめて対応します。ゲーム制作の期間は、内容によりますが2か月が目安です。
商品の世界観を伝えるキャンペーンを相談する(企画立案は無料)
よくある質問
Q. 化粧品のブランディングと、体験型マーケティングはどう違いますか?
A. ブランディングは「誰の、どんな美しさを肯定するブランドか」という世界観や約束を決める活動で、体験型マーケティングはその世界観を実際に感じてもらうための手段です。世界観が決まっていないまま体験施策を増やすと、イベントごとに印象がばらつき、ブランドとして記憶されにくくなります。先に世界観を言葉にし、それに合う体験を選ぶ順番が基本です。
Q. CDPを導入する前に、まず何から始めればよいですか?
A. いきなりツールを選ぶのではなく、「どの顧客行動を増やしたいか」を1つ決めるところから始めます。たとえば「新規顧客の2回目購入」と決めれば、必要なデータは初回購入日・購入チャネル・連絡先の許諾状況などに絞られます。会員IDが店舗とECで分かれている場合は、ID統合が最初の作業になります。小規模なブランドなら、CDPの前にEC・CRMツールの標準機能で同じ検証ができることも多いです。
Q. 予算が限られる中小規模の化粧品ブランドでも、体験型施策はできますか?
A. できます。SNSハッシュタグキャンペーンは数万〜数十万円から始められ、AR試着もSaaS型ツールならフル開発より大幅に費用を抑えられます。ポップアップも単独出店ではなく、K-Beauty Discoveryのような複数ブランド合同の企画に参加すれば、集客と費用の負担を分け合えます。
Q. 体験型施策やSNS施策で、薬機法・ステマ規制について気をつけることは?
A. 体験の場でもSNS投稿でも、「シミが消える」「ニキビが治る」のような医薬品的な効能表現は薬機法違反になります。インフルエンサーやUGCを使う場合は、2023年10月から施行されているステルスマーケティング規制(景品表示法)に基づき、広告であることを明示する必要があります。投稿ガイドラインを事前に作り、法務の確認を経てから実施してください。
Q. ゲーム内広告で化粧品の女性ターゲットに届きますか?
A. ゲームユーザー全体では男性比率が高いため、配信先のタイトル選定がポイントになります。パズル・カジュアルなど、ターゲット層が多く遊ぶジャンルを選ぶことで、女性向け商材でも接触を作りやすくなります。出稿前に、想定ターゲットに合うタイトル構成になっているかを確認しておくと安心です。


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