Z世代への広告投資先として「TikTok広告」と「ゲーム内広告」のどちらを選ぶべきか、判断に迷うマーケティング担当者が増えている。答えは「どちらが優れているかではなく、目的・業種・素材の状況によって使い分けが明確に異なる」だ。

この記事では次のことがわかる。

  • TikTok広告とゲーム内広告のCPM・費用感の実態(数値付き)
  • Z世代リーチの規模と広告忌避リスクの構造的な違い
  • ブランド体験の「深さ」と記憶定着の仕組みの差
  • 業種・目的別の選び方の基準
  • 動画素材の縦型・横型の制約と流用可否
  • 両媒体を組み合わせたZ世代アプローチシナリオ

食品・飲料・日用品・外食などの生活接点型ブランドのマーケティング担当者で、Z世代への認知施策を具体的に検討している方を対象としている。

【先出し比較表】TikTok広告 vs ゲーム内広告 7軸まとめ

媒体選定の全体像を先に把握できるよう、主な比較項目を一覧にまとめた。

比較項目

TikTok広告(インフィード)

ゲーム内広告(サイネージ型)

国内リーチ規模

月間4,200万人以上(2025年11月)

400タイトル以上に配信(ユーザー数は非公開)

Z世代10代利用率

約70%(日本国内)

Z世代男性の約80%がゲームプレイ

CPM目安

1,000〜2,000円(日本・インフィード)

約300〜400円(Ad-Virtua公式KPI)

最低出稿額

1日2,000〜5,000円〜(運用型)

100,000円〜(税抜)

スキップ可否

可(数秒後)

不可(ゲーム空間に自然配置)

広告忌避リスク

高い(Z世代の89.9%が動画広告に不快感)

低い(約84%が「ゲーム体験に適している」と評価)

動画フォーマット

縦型(9:16)・最大60秒

横型(16:9)・30秒以内

音声対応

あり(音声ON率が他プラットフォーム比160%)

基本なし

即時購買誘導

◎(TikTok Shop連動可)

△(直接誘導は限定的)

記憶定着・繰り返し接触

△(フィードは流れやすい)

◎(毎プレイで自然接触)

出典: TikTokユーザー数=TikTok for Business公式(2025年11月)、Z世代ゲームプレイ率=LINEヤフー株式会社プレスリリース(2024年)、Z世代広告忌避=株式会社ICA調査(2025年)、ゲーム内広告CPM=Ad-Virtua公式サイト(2026年4月確認)

両媒体のCPMには3〜5倍の差があるが、「リーチ規模」「広告忌避リスク」「ブランド体験の深さ」という3軸では異なる特性を持つ。以下で順に解説する。

Z世代への到達力:リーチ規模と広告忌避の現実

Z世代がスマートフォンでSNSや動画を視聴している様子」 width=

TikTokのZ世代リーチは圧倒的だが、届いても見られるとは限らない

TikTokの国内月間アクティブユーザーは4,200万人以上(2025年11月時点、TikTok+TikTok Lite合計)で、10代利用率は約70%、20代は約52%に達する(出典: b-step.net、2026年4月)。絶対的なリーチ規模では国内トップクラスの媒体だ。

ただし、Z世代特有の課題がある。株式会社ICAの2025年調査によれば、Z世代の89.9%が動画広告に不快感を示し、43.7%が「すぐスキップや閉じるボタンを押す」と回答している。また61%が「大人が考えたZ世代向け広告に興ざめした経験がある」と答えており、クリエイティブの品質と自然さが求められる。

TikTok for BusinessとKantarの共同メタ分析(日本国内35事例、2021〜2025年)では、最適化されたキャンペーンにおける認知リフトが3.8倍、購買意向リフトが11.7倍という数字が出ているが、これは「最適化できた場合」のベンチマーク値である点に注意が必要だ(出典: TikTok for Business、2025年)。

ゲーム内広告は「スキップできない」ではなく「避ける理由がない」接触

ゲーム内広告(サイネージ型)は、ゲーム空間内に実在する看板・モニターとして自然に配置される。ユーザーはゲームを中断されるわけでなく、プレイを継続しながら広告と接触する。

LINEヤフー株式会社の調査(2024年)では、Z世代の約7割がスマホゲームを週1回以上プレイしており、1日平均プレイ時間は約100分(出典: 日経クロストレンド)。Z世代男性に限ると80%超がゲームをプレイしており、可処分時間の中で安定した接触機会がある。

視認率は最大96%(業界平均67%比、出典: Ad-Virtua公式)という数字が示すように、フィードをスクロールする行動と異なり、ゲームプレイ中は視線がスクリーンに集中している。一方、リーチの絶対数はTikTokには及ばない点は正直に理解しておく必要がある。

まとめると: TikTokは「到達できる人数の広さ」で優位、ゲーム内広告は「到達したときの質と広告忌避リスクの低さ」で優位という関係にある。

CPMと費用感の現実比較

デジタル広告の費用・予算比較を示すビジネスグラフ」 width=

数値で見る費用の差

現時点で確認できる費用感は次のとおりだ。

費用項目

TikTok広告(運用型インフィード)

ゲーム内広告(Ad-Virtua)

最低出稿額

1日2,000〜5,000円〜(運用型)

100,000円〜(税抜)

CPM目安

1,000〜2,000円(日本市場)

約300〜400円(公式KPI)

実務的な出稿規模

月額20〜30万円〜が推奨される

週単位の期間保証型

大規模展開時

TopView:500〜700万円/日

要問い合わせ

出典: TikTok広告CPM=国内広告代理店各社公開情報(2025〜2026年)、ゲーム内広告CPM=Ad-Virtua公式サイト(2026年4月確認)。いずれも目安値であり、配信時期・競合状況・ターゲティング条件により変動する。

CPMだけで比較するとゲーム内広告が3〜5倍安価だが、単純に費用効率で選ぶことには注意が必要だ。TikTokはリーチの絶対量が多く、短期間で大量のインプレッションを獲得できる。一方、ゲーム内広告は「到達1回あたりのブランド接触の質」が高い傾向にある。

少額テストが可能かどうか

TikTok広告は1日数千円から試験配信できるため、クリエイティブのA/Bテストや小規模な初期検証がしやすい。ゲーム内広告は最低10万円〜という設定のため、小規模テストには一定の初期投資が必要になる。「まず試してから判断したい」という場合はTikTok広告の方が入り口の敷居が低い。

ブランド体験の深さ:短期インパクト vs 記憶定着

ブランド体験マーケティング戦略についてプレゼンするビジネスカンファレンスの様子」 width=

TikTokの強みは「短期的な感情インパクトと拡散力」

TikTokの広告は、クリエイティブ次第でバイラルに近い拡散が起きる可能性がある。Spark Ads(既存の有機投稿を広告化する形式)やクリエイターとのコラボレーションを活用すると、広告臭さを低減しつつ大量リーチを達成できる。音声ON率が他のプラットフォーム比で高い点も、ブランドの世界観を短時間で伝えるのに有利に働く。

ただしフィードに流れるコンテンツという性質上、一度見た広告が記憶に定着するかどうかは繰り返し接触の積み重ねに依存する。

ゲーム内広告の強みは「没入状態での繰り返し接触による刷り込み」

ゲーム内サイネージ型広告の特性は、ゲームをプレイするたびに同じブランド表示が目に入ることにある。大正製薬「センパア」の事例では13日間の配信で広告認知が8.0ptリフト、GRYPH FRONTIERの事例では利用意向が28.3ptリフトしたことが報告されている(出典: Ad-Virtua公式)。また、ゲーム実況動画(YouTube・TikTok)にゲーム内の看板がそのまま映り込むため、プレイ人口を超えたリーチ拡散も期待できる(投稿日のWebサイト訪問が約4倍に増加した事例あり)(出典: advertimes.com、2024年11月)。

一方で、ゲーム内広告は基本的に音声なしのため、音楽・音声でブランド体験を作りたい場合には不向きだ。

ポイント: 「認知拡大の速度と拡散力」ではTikTok広告、「ブランド接触の繰り返しと記憶定着」ではゲーム内広告が優位と整理できる。

動画素材の制約:縦型・横型の流用可否

マーケティング担当者が見落としやすい実務上の重要ポイントがある。TikTok広告とゲーム内広告では動画フォーマットが真逆で、素材の相互流用ができない。

項目

TikTok広告

ゲーム内広告(サイネージ型)

推奨フォーマット

縦型(9:16)・最大60秒

横型(16:9)・30秒以内

音声

あり(推奨)

基本なし

既存素材の流用

TVCMの16:9素材は要リサイズ

TikTok向け縦型素材は使用不可

TikTok向けに制作した縦型動画をゲーム内広告にそのまま使うことはできない。逆に、TVCM等の横型素材はゲーム内広告に流用しやすいが、TikTokには縦型リサイズが必要になる。

既存の動画素材の種類によって、どちらの媒体で始めやすいかが変わってくる点を事前に確認しておきたい。

業種・目的別 どちらを選ぶべきか

ゲームを楽しむZ世代の若者たち(ゲーム内広告のターゲット層)」 width=

目的別の選び方

目的

推奨媒体

理由

短期の認知拡大・話題化

TikTok広告

リーチ規模と拡散力で優位

Z世代男性への継続的な接触

ゲーム内広告

ゲームプレイヤーの大多数が男性Z世代

少額からのクリエイティブ検証

TikTok広告

1日数千円から試験可能

広告忌避の高い層へのアプローチ

ゲーム内広告

没入体験を阻害しない接触形式

ブランドの繰り返し刷り込み

ゲーム内広告

毎プレイで接触する記憶定着型

即時購買・EC誘導

TikTok広告

TikTok Shop連動・リンク設置が可能

音楽・音声ブランディング

TikTok広告

音声ON率が高く、世界観伝達に強い

ゲームとの親和性が高い商材

ゲーム内広告

プレイ中の文脈と商材の合致

業種別のおすすめ

ゲーム内広告が特に有効な業種・商材

  • 食品・飲料: プレイ中の空腹感・喉の渇きとブランドが結びつきやすい。繰り返し接触で購買時の想起につながる
  • 日用品・FMCG(消費財): 記憶定着型の繰り返し接触が「棚前での第一想起」に直結しやすい
  • ゲーム・エンタメ: ゲームプレイ中というコンテキストとの親和性が高く、自然な訴求が可能
  • 交通・インフラ・ホテル: TVCMの横型素材を流用しやすく、導入コストを抑えながらZ世代へのリーチを補完できる

TikTok広告が特に有効な業種・商材

  • ビューティ・ファッション: ビジュアル訴求とバイラルが相乗し、Z世代女性への到達に強い
  • EC・ダイレクトコマース: TikTok Shop連動で認知から購買まで一気通貫できる
  • エンタメ・映画・音楽: 拡散力と音声訴求でキャンペーン的な盛り上がりを作りやすい
  • クリエイターコラボを想定した商品: ユーザー参加型コンテンツが機能しやすい

こんな企業にはTikTok広告をおすすめする

以下の条件が当てはまる場合、TikTok広告から始めることを検討したい。

  • 縦型動画素材が既にある、または制作できる(スマホネイティブなクリエイティブが用意できる)
  • 短期間でのリーチ拡大や認知獲得が優先目標(新商品ローンチ・キャンペーン期間限定)
  • 10〜20代女性、またはジェンダー問わずZ世代全体に届けたい
  • 少額から試して効果を確認したい(月20〜30万円程度の予算感から始められる)
  • 購買・申込みなど直接的なアクション誘導まで狙いたい
  • クリエイターのUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したい

こんな企業にはゲーム内広告をおすすめする

以下の条件が当てはまる場合、ゲーム内広告を選択肢に加えることが有効だ。

  • Z世代男性(10〜20代男性)への接触が特に重要(ゲームプレイヤーの大多数が男性Z世代)
  • 横型(16:9)の動画素材が既にある(TVCMや横型動画をそのまま活用したい)
  • 「スキップされない」「嫌われない」接触を重視している(ブランドイメージへの配慮)
  • 長期的な記憶定着・第一想起の獲得を目標にしている(継続的なブランドリフトを狙う)
  • TikTokやSNS広告ではリーチできていない層へのアプローチが課題
  • 食品・飲料・日用品など、購買時の棚前想起を強化したい商材を扱っている

TikTok広告×ゲーム内広告の組み合わせ活用シナリオ

両媒体は競合関係ではなく、役割分担によって相乗効果が生まれる組み合わせとして活用できる。

認知フェーズ → 記憶定着フェーズの連携

TikTok広告(1〜2週間)
→ 短期間で広範なZ世代に認知を届ける
→ 拡散・話題化でキャンペーン全体を盛り上げる

ゲーム内広告(4〜8週間)
→ 認知した層に繰り返し接触して記憶に定着させる
→ スキップされない状態でブランドを植え付ける

具体的には、TVCMのキャンペーン期間とゲーム内広告を同時に走らせ、TikTokの拡散力で話題を作りながら、ゲーム空間でのサイレントな反復接触で想起率を積み上げるという設計が考えられる。ゲーム内広告はYouTubeやTikTokのゲーム実況動画に自然に映り込む特性があるため、TikTokの拡散コンテンツとゲーム実況コンテンツが連動して広がるケースも実例として確認されている。

また、TikTok広告のインフィード素材でA/Bテストを小規模に実施し、反応の良いクリエイティブのメッセージをゲーム内広告の16:9素材にも横展開するという素材活用の考え方も有効だ。

ゲーム内広告の導入を検討する場合:Ad-Virtuaについて

国内でゲーム内サイネージ広告を運用するプラットフォームとして、Ad-Virtuaがある。400タイトル以上のスマートフォンゲームに配信網を持ち、カジュアル・RPG・パズル・アクション等の多ジャンルをカバーしている。

Ad-Virtuaが特に適している条件は次のとおりだ。

  • 横型(16:9)の動画素材を保有しているか、制作できる(30秒以内、MP4形式、最大3MB)
  • Z世代男性を主要ターゲットとしたブランド認知・想起率向上を目標にしている
  • SNS広告・TikTok広告の補完施策として、「嫌われない接触面」を探している
  • CPM効率を重視しており、通常のWeb広告(CPM約500円)より費用効率の高い配信を目指している
  • TikTokと組み合わせた中期的なブランドリフト設計を考えている

Ad-Virtuaは最低出稿額100,000円〜(税抜)から配信を開始でき、専任アカウント管理・設定代行・レポーティングが含まれる。料金体系や配信条件の詳細は公式サイトから問い合わせが可能だ。

ゲーム内広告の仕組みや費用体系についての詳細は、ゲーム内広告とは?仕組み・種類・費用を徹底解説を参照いただきたい。

よくある質問

Q1. TikTok広告とゲーム内広告を同時に出稿することはできますか?

はい、技術的に可能で推奨される組み合わせでもある。ただし、TikTok広告は縦型(9:16)、ゲーム内広告は横型(16:9)と動画フォーマットが異なるため、それぞれ専用の素材が必要になる。既存の素材を流用できるかを先に確認しておくと予算計画が立てやすい。

Q2. Z世代女性に効果的に届けたい場合、どちらが向いていますか?

TikTokの方が向いているケースが多い。TikTokはZ世代女性の利用率が高く、ビューティ・ファッション系の商材との親和性も高い。ゲーム内広告はZ世代男性へのリーチに強い媒体であり、女性プレイヤーへのリーチはTikTok比で劣る傾向がある。

Q3. ゲーム内広告の効果はどのように測定しますか?

主な効果指標は視認率・広告想起率・ブランドリフト(認知率・好意度・利用意向の変化)となる。Ad-Virtuaでは専任アカウント管理によるレポーティングが提供される。TikTok広告のようなリアルタイムのクリック数・エンゲージメント数による管理画面での確認とは異なり、期間を経たブランドリフト調査による評価が主体となる点を理解しておくとよい。

Q4. 予算が月30万円しかない場合、どちらを選ぶべきですか?

目的による。「まず試して反応を見たい・クリエイティブを検証したい」ならTikTok広告の運用型を月30万円で配信する方が柔軟に動ける。「Z世代男性への継続的なブランド接触を積み上げたい」なら、ゲーム内広告の最低出稿額(10万円〜)から始めて効果を確認する選択肢がある。いずれにしても、まず目標KPI(認知率 / 想起率 / エンゲージメント / 購買誘導)を明確にしてから媒体を選ぶことを勧める。

Q5. TVCMを持っている場合、どちらの媒体に素材を転用しやすいですか?

TVCMは一般的に横型(16:9)で制作されるため、ゲーム内広告(16:9)には素材をそのまま活用しやすい。TikTokに転用する場合は縦型(9:16)へのリサイズと、縦型向けのテロップ・構成の再設計が必要になる。TVCM素材の活用効率を重視するなら、ゲーム内広告の方が追加制作コストを抑えられる。

まとめ:媒体選定のチェックポイント

TikTok広告とゲーム内広告の違いは「どちらが優れているか」という二択ではなく、目的・素材・ターゲット・予算規模によって役割が異なるという整理が正確だ。

最後に、選定判断のためのチェックポイントを示す。

ゲーム内広告を優先的に検討すべき場合

  • Z世代男性(10〜20代)への接触が重要
  • 横型動画素材(TVCM等)を保有している
  • 「スキップされない・嫌われない」接触を重視
  • 記憶定着・第一想起の中長期積み上げを目標にしている
  • TikTok広告ではリーチできていない層を補完したい

TikTok広告を優先的に検討すべき場合

  • 短期の認知拡大・話題化が最優先
  • 縦型動画素材があるか制作できる
  • 少額からテスト → 効果検証 → スケールアップの流れで進めたい
  • 購買・申込みなど直接アクション誘導まで狙いたい
  • Z世代女性やジェンダー問わず幅広く届けたい

どちらの媒体を選ぶにしても、「Z世代への広告忌避リスクをいかに下げるか」は共通の課題だ。TikTokはクリエイティブの自然さとクリエイター起用で解決策を探り、ゲーム内広告は没入体験を阻害しない接触形式で解決している。目的と商材の性質に合った媒体の選択と、両者の組み合わせ活用が、Z世代へのブランド体験設計の実践的なアプローチとなる。

ゲーム内広告の詳細な仕組みや費用体系については、ゲーム内広告の費用・料金相場【2026年版】で詳しく解説している。