米Frameplay Corp(フレームプレイ)は、ゲーム空間の中にある看板やモニターといった3D面をそのまま広告面に変換する「intrinsic in-game advertising(本質的ゲーム内広告)」を専門とするアドテク企業である。日本の広告主にとっては、ゲームプレイを止めない広告接触の海外標準がどこまで整備されているかを知る手がかりになる。

発表の内容
Frameplayは単発のニュースリリースで話題になった企業ではなく、2018年の創業以来、計測パートナーとの提携や業界標準ガイドラインへの関与を積み重ねてきた企業である。2024年10月には経営体制を刷新し、共同創業者のJonathon Troughton氏がCEOからPresidentへ、2023年にCOOとして参画したSandy Shanman氏がCEOに就任した。同時にGoogle出身のVishal Arora氏がCTOに就任している(出典: Frameplay公式リソース)。
新体制発足の翌日にあたる2024年10月9日には、VR/AR対応のインプレイ広告技術を持つAdverty、モバイルゲーム収益化基盤を持つAdInMoとの米国優先提携を発表し、Frameplayが運営する交換プラットフォームで3社の在庫を統合した(出典: Frameplay公式リソース)。2025年6月16日にはAPAC・EMEA地域で4,000タイトル以上を扱う統合ゲーム広告プラットフォームのiionと戦略的提携を結び、北米中心だった在庫をグローバル規模に拡張している(出典: PR Newswire)。
直近では2025年10月27日、計測パートナーのHappydemicsとの共同調査を発表した。173本のin-gameキャンペーンを分析した結果、in-game広告の想起率は32%でデジタル広告フォーマット中最高、ブランド帰属はメディア平均比+9ptの52%だったと報告している(出典: PR Newswire)。同社SVP RevenueのAmanda Rubin氏は「インターネット利用者の84%が今やゲーマーと定義される以上、ブランドはこのチャネルを見過ごせない」とコメントしている。
Frameplayとはどんな会社か

Frameplayは2018年、対戦ゲーム「PUBG」をプレイ中に創業者らがゲーム内のエナジードリンク広告表現に着想を得て創業した企業である。共同創業者はJonathon Troughton氏(当時CEO、現President)とEric Rossi氏(創業時CTO)で、いずれもオーストラリア出身。本社はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに置く("headquartered in San Francisco, California with worldwide offices" と公式に表記、具体的な拠点数は非公開)(出典: Frameplay公式about-usページ)。
現CEOのSandy Shanman氏は2023年にCOOとして参画し、2024年10月にCEOへ昇格した。前職はマーテック企業Skai(旧Kenshoo)で収益部門を統括していた人物である。取締役会議長はJurgen Post氏。従業員規模は公式に非公開で、LinkedInの企業ページ上の表示は「51〜200名」だが、複数の第三者データベースでは実数として30名台との推計もある。数値の精度は低く、現時点では確定情報として扱えない。
提供プロダクトと広告が表示される仕組み
Frameplayが専門とする「intrinsic in-game advertising」は、ゲーム内の看板・モニター・建物の壁面といった、もともとゲーム世界に存在する3D面を広告面として活用する方式である。ゲームを一時中断させるインタースティシャル広告やリワード広告とは異なり、プレイの流れを止めない点が特徴になる。この「ゲームメカニクスの外に広告を置くか、中に溶け込ませるか」という設計思想の違いは、広告ゲームとは 仕組みで扱う考え方とも接続できる。
主なプロダクトは次の3つで構成される。
- Frameplay Exchange: 自社の広告面在庫に加え、Adverty・AdInMo・iionなど提携先のインベントリも統合して広告主に提供するアドエクスチェンジ
- Unity SDK / Cocos SDK: ゲーム開発者・パブリッシャー向けに、ゲームエンジン内へ広告面を組み込むための開発キット。対応エンジンはUnity、Unreal Engine、カスタムゲームエンジン
- Intrinsic Time-in-View(ITiV): 独自の注視時間計測指標。IABが業界標準ガイドラインを整備する以前から、これに先行する形で導入していたと自社は説明している
ビューアビリティの基準は「広告面の50%以上が1秒以上継続して画面内に表示される」という、IABガイドラインに沿った考え方を採用している。この「サイネージ型のintrinsic広告」は、ゲーム広告 種類 一覧の分類でいう「サイネージ広告」に相当する海外の先進事例と位置づけられる。

対応プラットフォームとインベントリ規模
グローバルなゲーマー人口について、Frameplayは自社資料の中で「約27億〜33億人」という表現を使っているが、資料によって数値の幅があり(Kochava事例ページでは約30億人、Oracle Moat提携発表では27億人超、ホームページでは33億人〈2023年〉)、統一された最新の公式値は確認できない。また、Frameplay自体が抱える対応タイトルの総数についても公式サイト上に具体的な数値の明記は見当たらない。提携先のiionが「4,000タイトル以上」を公式に明言しているが、これはiion側のインベントリ数であり、Frameplay自体のタイトル数とは異なる点に注意が必要である。
主要パートナー

計測・検証パートナーには、IVT(無効トラフィック)検証を担うOracle Moat、ブランドリフト調査を担うComscoreとHappydemics、そのほかIntegral Ad Science(IAS)、Kochava、Nielsen、LiveRamp、Google Marketing Platform、Throtle、TransUnionが名を連ねる。在庫・技術パートナーはAdverty、AdInMo、iionの3社。広告代理店パートナーとしてメディアエージェンシーのSpark Foundryが事例ページにテスティモニアルを寄せている。
業界団体との関係では、IAB(Interactive Advertising Bureau)のGaming and Esports Committeeの共同議長をFrameplayのリーダーが務め、2022年8月31日に発表された「Intrinsic In-Game Advertising Measurement Guidelines 2.0」(2009年以来初の改訂)の策定に主要貢献者として関与した(出典: Frameplay公式リソース)。
なお、検索の過程で名前が挙がることのある計測企業DoubleVerifyとの直接提携は、公式リソースをあたった範囲では確認できなかった。
資金調達の履歴
公式に確認できるラウンドは2021年12月8日発表のSeries Aのみである。
時期 | ラウンド | 金額 | リード投資家 | 主要参加者 |
|---|---|---|---|---|
2021年12月8日 | Series A | 800万ドル($8M) | Hiro Capital | Razerのベンチャー部門zVentures、韓国系VCのKona Venture Partners等 |
この時点でFrameplayは、複数デバイスに対応するインベントリの拡大に向けた資金確保を目的としていた。共同創業者のTroughton氏は発表時に「Frameplayは、ゲームプレイを妨げることなく広告をシームレスに組み込むことで、ゲーマーを第一に考えた体験を生み出すというミッションのもとに設立された」とコメントしている(出典: Frameplay公式リソース)。日本企業の投資家参加は確認できない。
二次情報のPitchBook系データベースの一部要約には「累計調達額$29.6M」との記載があるが、内訳・裏付けとなる一次情報は確認できておらず、本稿では参考値(未確認)として扱う。Series A以外の非公開ラウンドがあるかどうかも未確認である。
ここまでの取り組み
Frameplayは自らを「in-game広告カテゴリーの創出者」と位置づけている。単発のアドネットワークではなく、①広告面のSDK提供、②在庫を束ねるエクスチェンジ運営、③計測パートナーとの連携によるビューアビリティ・ブランドリフトの証明、④IAB等の業界団体を通じた標準化、という4層で「intrinsic in-game advertising」というカテゴリーそのものを構築してきた点が特徴である。
時期 | 出来事 | 位置づけ |
|---|---|---|
2018年 | 創業(PUBGでの原体験がきっかけ) | カテゴリー創出期 |
2021年1月 | Comscoreとブランドリフト調査シリーズ開始 | 広告効果の第三者証明への投資 |
2021年5月 | Oracle Moatと計測パートナーシップ | 広告品質・ビューアビリティの標準化への投資 |
2021年12月 | Series Aで800万ドル調達(Hiro Capital主導) | インベントリ拡大に向けた資金確保 |
2022年3月 | Oracle MoatによるIVT率1.1%の測定結果を公表 | 品質面での優位性の対外証明 |
2022年8月 | IAB Intrinsic In-Game Advertising Measurement Guidelines 2.0策定に主要貢献 | 業界標準づくりへの関与によるカテゴリーの正当化 |
2023年 | Sandy Shanman氏がCOOとして参画。Kochavaのアトリビューション基盤を採用 | 収益化体制と計測インフラの強化 |
2023年7月 | 提携先GumGumが日本を含むコンテクスチュアル広告事業でFrameplayの在庫を活用と国内メディアが報道 | 海外パートナー経由での間接的な国際展開の一端 |
2024年10月 | 経営体制刷新(Troughton氏→President、Shanman氏→CEO、Arora氏→CTO) | 創業者主導から専門経営体制への移行 |
2024年10月 | Adverty・AdInMoとの米国優先提携で在庫統合 | エクスチェンジ機能の強化・規模拡大 |
2025年6月 | iion(APAC/EMEA、4,000タイトル超)と戦略的提携 | 北米中心の在庫をグローバル規模に拡張 |
2025年10月 | Happydemicsとの共同調査で173キャンペーンの効果データを公表 | 業種別・チャネル横断でのエビデンス蓄積 |

なお、検索の過程で「Super League Gamingとの関係」という手がかりが挙がることがあるが、調査の結果、2019年6月にSuper League Gamingが買収したのは「Framerate(フレームレート)」というeスポーツ動画ネットワーク企業であり、本稿の対象であるFrameplayとは社名が類似する別会社であることが確認できた。両社間の資本関係・業務提携は確認できず、社名の混同である可能性が高い。
広告出稿事例
Frameplay公式の事例ページには、業種のみを明記した匿名化事例が4件掲載されている。大手調味料メーカーによる新商品バッファローウィングソースのプロモーション、金融機関による認知度向上キャンペーン、コンビニエンスストアチェーンによるホットフード・スナック商品の認知度向上キャンペーン、グローバル小売ブランドによるインド市場向けメンズリネン衣料コレクション販促の4件だが、いずれも効果指標は非公開である。
これとは別に、数値付きで公表されている事例が2件ある。
事例1: 匿名の大手スナックブランド(Comscore共同調査、2021年1月発表)
モバイル広告想起+31.8pt、ゲームスポンサーとしての適合度+32pt、大会スポンサーシップへの好感度+46.4pt、購入意欲+26.2ptのリフトを記録した(出典: Comscore公式プレスリリース)。
事例2: Frameplayプラットフォーム全体の集計(Happydemics共同調査、2025年10月発表)
173キャンペーンを分析した結果、ブランド帰属・広告好感度が54%、比較検討意向が24%(業界ベンチマーク比+2pt)だった。業種別ではFMCGがセクター平均比+4pt、Lifestyle & Retailは帰属+13pt、Leisure & Cultureは帰属+7ptと報告されている(出典: PR Newswire)。

このほか、公式ホームページのヒーローセクションには「Coca-Cola Zero Sugar」の広告クリエイティブ例が掲載されている。ただし対応する専用の事例記事や効果指標の公表は確認できておらず、あくまでクリエイティブ例としての掲載にとどまる。

同様に、Microsoft・State Farm・Progressive・Apple・Dellなどのロゴが「advertisers」ページのクライアントロゴ一覧に掲載されているが、個別の実施内容・効果指標は非公開である。

これらの想起率・帰属データは、インフィード広告 とは 効果で扱う他フォーマットの効果指標と比較する際の海外ベンチマークとしても参照できる。
なぜこの動きが起きたのか
背景には、ゲームプレイを中断させる広告フォーマット(インタースティシャル・リワード広告)に対する広告主・ユーザー双方の疲弊がある。Frameplayはこれに対し、ゲーム世界にもともと存在する看板・モニターといった面を使うことで「広告と認識されにくいが、記憶には残る」体験を作ろうとした。
この方式が単なる思いつきで終わらなかった要因は、計測面への継続投資にある。2021年のOracle Moat・Comscoreとの提携以降、IVT率や視認性、ブランドリフトを第三者機関に検証させる体制を早期に整え、2022年にはIABの業界標準ガイドライン改訂に主要貢献者として関与した。これにより「intrinsic in-game advertising」という呼称と評価指標そのものが業界内で共有されるようになった経緯がある。2024年以降の経営体制刷新と提携拡大(Adverty・AdInMo・iion)は、単独のアドネットワークから、複数の在庫プラットフォームを束ねるエクスチェンジへと事業モデルを広げる動きと位置づけられる。
日本市場ではどうか
Frameplay自体の日本法人・日本拠点・日本語公式ページの存在は確認できず、日本市場への直接展開は現時点で確認できていない。公式サイトに日本語対応はなく、プレスリリースにも日本市場向けの言及は見当たらない。
唯一確認できた日本との接点は、2023年7月3日付のMarkeZineの報道である。日本法人GumGum Japanを持つコンテクスチュアル広告企業GumGumがFrameplayと提携し、ゲーム内広告(スタジアム看板等へのリアルな広告表現)の販売を開始したというもので、グローバル提携の一部として紹介された可能性が高い。この記事に日本国内での具体的な提供開始や広告主向けメニューの記載はなく、国内展開の有無は未確認である(出典: MarkeZine)。
日本の広告主がFrameplayを直接利用しようとした場合、次の点が障壁になりうる。
- 日本語での営業窓口・サポート体制が確認できない
- 円建て・日本の商習慣に合わせた最小出稿単位や請求体系が不明
- 国内向けの事例・ベンチマークデータが公表されていない
こうした「ゲームプレイを止めない広告」という設計思想自体は、ゲーム内広告とはで解説する国内市場の考え方とも重なる部分が大きい。
日本で同じ広告を実施する選択肢
海外のintrinsic in-game広告の枠組みをそのまま日本の広告主が使うには、上記の言語・商習慣・国内実績のギャップがある。国内でゲーム空間の看板・モニターに動画広告を配信する仕組みを探す場合、国内向けに料金体系・対応タイトル・実績数値を明示しているアドネットワークが選択肢になる。Ad-Virtuaはその一つで、国内対応タイトル400以上、累計再生数8,000万回超(2025年後半時点)、1週間30万円のプランを公開している。
この選択肢が合うのは、国内の商習慣に沿った即日相談・円建て契約を求める企業、食品・飲料・日用品など若年層への認知拡大を目的とする企業である。一方、グローバル複数市場でのキャンペーン展開や、Frameplayのような複数プラットフォームを横断した大規模在庫を必要とする企業には、海外プレイヤーとの直接契約のほうが選択肢として適している場合がある。国内の広告フォーマット全体との違いを把握したい場合は、ゲーム広告 種類 一覧で全体像を確認したうえで検討するとよい。
広告主が取るべき判断
今動くべきなのは、国内で「ゲームプレイを止めない広告接触」を今すぐ試したい企業である。Frameplayが公表する想起率・ブランド帰属のデータは、業種横断の傾向値として社内稟議の材料にはなるが、日本語窓口・国内実績が確認できない以上、まず国内で提供実績のあるアドネットワークで小規模に検証し、効果を見てから海外プレイヤーとの直接契約を検討する順序が現実的である。
様子見でよいのは、既存のTVCM・SNS広告で十分な認知を確保できている企業や、ゲーム内広告の予算枠自体をまだ持っていない企業である。まずは動画広告 費用 相場で他フォーマットとの価格感を把握し、自社の広告予算配分の中でどこにゲーム内広告を位置づけられるかを整理してから判断するのが望ましい。
関連する基礎知識への導線
- ゲーム内広告とは — ゲーム内広告全体の仕組みと市場動向
- 広告ゲームとは 仕組み — ゲームメカニクスに広告を組み込む考え方との違い
- ゲーム広告 種類 一覧 — インタースティシャル・リワード・サイネージ・コラボ型の分類
- インフィード広告 とは 効果 — 他デジタル広告フォーマットとの想起率比較
- 動画広告 費用 相場 — 動画広告全体の価格帯の目安
- ゲーム広告 sns広告 比較 — SNS広告との効果比較
FAQ
Q. Frameplayは日本に法人があるか。
公式サイト・プレスリリースを確認した範囲では、日本法人・日本拠点の存在は確認できない。日本語公式ページも存在しない。
Q. Frameplayの累計資金調達額はいくらか。
公式に確認できるのは2021年12月発表のSeries A、800万ドルのみである。二次情報に「累計$29.6M」との記載があるが、内訳の裏付けが取れておらず未確認として扱う必要がある。
Q. intrinsic in-game advertisingと、日本で言う「サイネージ型ゲーム内広告」は同じものか。
ゲーム空間内の看板・モニターに広告を表示し、プレイを中断させないという設計思想は共通している。ただし計測指標や業界ガイドラインの整備状況は米国のほうが先行しており、日本ではこのカテゴリー名自体がまだ一般に定着していない。
Q. Frameplayの広告料金はいくらか。
公式サイトに料金体系の公開はない。事例ページの実施内容も匿名化されており、個別の出稿費用は非公開である。
Q. FrameplayとFramerateは同じ会社か。
別会社である。2019年にSuper League Gamingが買収したのはeスポーツ動画ネットワーク企業「Framerate」であり、本稿で扱う「Frameplay」とは社名が類似するのみで資本関係は確認できない。


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