広告ブロッカーが全世界で約17.7億人(インターネットユーザーの約30%)に普及した2026年現在、従来型のバナー・ポップアップ広告はすでに3人に1人に届かない状況です。特にZ世代・ゲーマー層では64〜66%がアドブロックを使用しており、若年層への広告配信が構造的に困難になっています。広告主が今とるべき戦略は、ゲーム内広告・ネイティブ広告・コンテンツマーケティングなど、ブロック対象になりにくい手法への転換です。
この記事でわかること:
- 広告ブロッカーの日本・グローバルの最新普及実態と広告主への影響
- ユーザーが広告をブロックする根本的な理由
- 広告ブロッカー耐性の高い6つの広告手法の特徴・費用・向き不向き
- 自社の目的・ターゲットに合った手法の選び方
こんな企業のご担当者に向けた記事です: バナー広告・動画広告のリーチ低下に悩むマーケティング担当者、若年層へのアプローチ手法を探している広告主。
広告ブロッカーの普及で、デジタル広告はどう変わったか

2026年時点で、デジタル広告市場は「届かない広告問題」と真剣に向き合わなければならない局面に入っています。全世界で約17.7億人が広告ブロッカーを利用しており(Backlinko・Cropink 2026年集計)、インターネットユーザーの29.5〜32.5%が何らかのアドブロック手段を使っている計算です。
広告主・メディアへの影響は3つに集約されます。
① リーチの実損: パブリッシャーは潜在的な広告収益の約3割をアドブロックにより失う可能性があると指摘されています。広告配信レポートの数値と実際のリーチに乖離が生じやすくなっています。
② 測定精度の低下: アドブロッカーはトラッキングタグもブロックするため、正確なアクセス解析やリマーケティングが機能しにくくなっています。Cookie規制強化との「ダブルパンチ」が、従来型デジタル広告の効果測定精度を大幅に低下させています。
③ 若年層リーチの構造的困難: Z世代(約66%)、ゲーマー層(約64%)、16〜24歳(約48%)という具合に、若年層ほどアドブロック利用率が高い傾向があります(instreamly 2026年)。年齢が下がるほど、バナー・ポップアップ広告が届かない割合が高まっているのが現状です。
日本での広告ブロッカー利用実態
日本でも広告ブロッカーの認知・利用は無視できない水準に達しています。
キーマケLabが2025年1月に実施した調査(サンプル1,498名、20〜70代対象)によると、以下の実態が明らかになっています。
指標 | 数値 |
|---|---|
アドブロックツール認知率(20〜70代全体) | 57.1% |
アドブロックツール利用経験率(認知者の中で) | 34.3% |
30代の認知率(年齢層別最高値) | 64.9% |
30代の利用率(認知者のうち) | 69.1% |
(出典:キーマケLab「日本におけるアドブロックツール認知や利用に関するアンケート調査」2025年1月)
現時点では過去の複数ソースによる推計値との差異もありますが、日本でも「広告ブロッカーを使う消費者が一定割合存在する」という事実は揺るぎません。特に購買力・情報収集行動が活発な30代が最も利用率が高い点は、広告主として見逃せないデータです。
なお、2026年時点での日本の最新値は引き続き調査・更新が必要な項目です。
なぜユーザーは広告をブロックするのか

対策を考える前に、ユーザーが広告をブロックする動機を理解することが重要です。グローバルの調査では、主な理由は以下の順で挙げられています。
- 広告が多すぎる(63.5%) — ページを開くたびに複数の広告が出現することへの疲弊
- 広告が邪魔・侵襲的(53.5%) — 読んでいるコンテンツを妨害する体験への拒否反応
- プライバシー保護(42.4%) — トラッキングや個人情報収集への懸念
- ウイルス感染・セキュリティリスクの防止 — マルウェアを仕込んだ広告への対策
- 通信データ量の削減 — モバイル通信費・速度への配慮
(出典:複数調査の共通傾向、2025〜2026年)
この構造を見ると、「広告が多すぎる・邪魔」という体験的な不満が最大の動機であることがわかります。逆に言えば、コンテンツ体験を阻害しない広告形式はブロック動機が発生しにくく、ユーザーにも受け入れられやすい傾向があります。
また、YouTubeが2023年以降にアドブロック規制を強化した際も、「利用を減らす」と回答したのは11%のみでした(instreamly 2026年)。プラットフォームの強制的なアドブロック対策は逆効果になるケースがあり、広告形式・体験そのものの見直しが根本的な解決策です。
広告ブロッカー時代に有効な6つの広告手法

現時点でブロック耐性が認められている広告手法を6つ整理します。各手法の特性・費用感・リーチ特性を比較した上で、自社の状況に合わせて選択することが重要です。
1. ゲーム内広告(インゲーム広告)
ブロッカー耐性:◎
ゲームエンジン内でレンダリングされる形式のため、ブラウザ拡張型のアドブロッカーが干渉できません。ゲーム空間の看板・モニターなどにブランドのビジュアルを配信するサイネージ型は、構造上ブロックが不可能です。
ゲームプレイ中の広告は、コンテンツを中断しない非侵襲型の接触形式であることも特徴です。約85%のユーザーが好意的と回答しており(Ad-Virtua公式データ)、嫌われにくい広告接触を実現します。
若年層リーチの観点でも、Z世代の約80%がゲームアプリを毎日プレイしており、平均プレイ時間は1日約100分とされています。広告ブロッカーを最も使うZ世代・ゲーマー層(64〜66%がアドブロック使用)にも、ゲーム内なら届くという逆説的な特性があります。
また、46%のゲーマーがゲーム内広告をきっかけに購買行動をとったというデータもあります(Bain & Company ゲームレポート 2025年)。
2. ネイティブ広告
ブロッカー耐性:○
ページのコンテンツフィードに溶け込む形式のため、バナー広告に比べてブロックされにくい傾向があります。米国では全デジタルディスプレイ広告費の約63%をネイティブ広告が占めるまでに成長しています(IAB 2024年インターネット広告支出レポート)。
ただし、広告表記の明示が必須であり、ステルスマーケティング規制(2023年施行)との兼ね合いには注意が必要です。
3. コンテンツマーケティング・SEO
ブロッカー耐性:◎
広告形式ではなく情報・コンテンツとして届けるため、アドブロッカーの影響を受けません。ユーザーが能動的に検索して到達するため、受容性・信頼性が高いのも特徴です。
一方、効果が出るまでに3〜6か月程度の期間がかかること、継続的なコンテンツ制作コストが発生することはデメリットです。認知拡大よりもリード獲得・ブランド情報の深化に強みがあります。
4. インフルエンサーマーケティング
ブロッカー耐性:○
SNSのタイムラインにオーガニック投稿として溶け込むため、ブロックされにくい形式です。79%のTwitchユーザーが広告を「クリエイターを支援する手段」と認識しており、嫌悪感が比較的生まれにくいとされています(instreamly調査)。
2025年のトレンドとしては、フォロワー数重視から「エンゲージメント・信頼性重視」へのシフトが進んでいます。費用対効果の測定が難しく、ステマ規制リスクへの対応も必要です。
5. コンテキスト広告
ブロッカー耐性:△〜○
ユーザーのCookieではなく、ページのコンテンツ内容に基づいて関連広告を配信する手法です。Cookie規制強化に伴う代替ターゲティングとして注目度が上がっています。一部のアドブロッカーには対応していますが、形式によってはブロックされる場合もあります。
6. 体験型・参加型マーケティング
ブロッカー耐性:◎
物理的な体験イベント・インスタレーション・デジタル体験型コンテンツは、そもそもブロック対象外です。2025年には原宿駅巨大広告(Mrs. GREEN APPLE)がSNSで10万件超の拡散を記録するなど、オフライン起点の体験がデジタル上で二次拡散する事例が増えています。一方で、予算規模が大きくなりやすく、効果測定が難しいという側面もあります。
手法別比較表
手法 | ブロッカー耐性 | 若年層リーチ | 好感度 | 費用目安 | 効果測定 |
|---|---|---|---|---|---|
ゲーム内広告 | ◎ | ◎ | ◎ | 週30万円〜(Ad-Virtua) | ○ |
ネイティブ広告 | ○ | ○ | ○ | CPM課金(媒体による) | ○ |
コンテンツマーケティング | ◎ | △ | ◎ | 月数十万〜(制作費) | ○ |
インフルエンサー | ○ | ◎ | ○ | 案件・人物による | △ |
コンテキスト広告 | △〜○ | △ | ○ | CPM課金 | △〜○ |
体験型施策 | ◎ | ○ | ◎ | 高額(OOH・イベント等) | △ |
※費用目安は一般的な相場であり、実際の条件により異なります。ゲーム内広告(Ad-Virtua)の数値は公式情報をもとにした参考値です。
手法別:こんな企業に向いている・向かない
選択した手法が自社の目的・ターゲット・予算に合っているかを確認するための整理です。
ゲーム内広告
おすすめの企業:
- Z世代・20〜30代男女を主要ターゲットとするブランド
- 食品・飲料・日用品・外食など、日常生活と結びついた商材
- 「認知拡大・ブランドリフト」を主要KPIとする広告主
- TVCM素材を活用したい企業(動画素材の転用が可能)
- 週30万円以上の予算を確保できる企業
おすすめしない企業:
- B2B商材や購買決定に専門知識が必要なサービス
- 即時のコンバージョン(EC購入・問い合わせ)を主目的とする場合
- ターゲット層が50代以上の高年齢層に限定される商材
ネイティブ広告
おすすめの企業:
- コンテンツと親和性の高い商材(美容・健康・金融・転職等)
- ブランドストーリーを読み物形式で届けたい企業
- 検討段階の読者へのリーチを重視する場合
おすすめしない企業:
- 拡散性・バイラル効果を期待する場合
- 若年層の「体感」を重視するブランド体験施策
コンテンツマーケティング・SEO
おすすめの企業:
- 中長期的なブランド認知・指名検索の強化を目指す企業
- 専門知識・比較情報の提供で差別化できる商材
- 内製コンテンツ制作リソースがある企業
おすすめしない企業:
- 短期間での広告効果を求める場合
- 制作リソース・予算に余裕がない場合
インフルエンサーマーケティング
おすすめの企業:
- 特定のコミュニティ・趣味嗜好層へのリーチを狙う場合
- 商品体験・レビューの信頼性を訴求したい商材
- SNS上の口コミ拡散を戦略の中心に置く企業
おすすめしない企業:
- ブランドイメージの厳格なコントロールが求められる商材
- ROIの数値管理を重視する場合
体験型施策
おすすめの企業:
- ブランド体験の「記憶への定着」を重視する企業(食品・ホテル・テーマパーク等)
- 二次拡散・PR効果を狙える商材
- 大型予算が確保できるナショナルブランド
おすすめしない企業:
- 限られた予算・期間での認知拡大施策を検討している場合
- 効果測定の数値化を重視する場合
広告ブロッカーに強いゲーム内広告:Ad-Virtuaの場合
ゲーム内広告の中でも、ゲームエンジン内に看板・モニターとして直接レンダリングするサイネージ型は、構造上アドブロッカーのスクリプトが届かないため、ブロック不可能な広告接触を実現します。
国内のゲーム内広告プラットフォームであるAd-Virtua(アドバーチャ)は、400タイトル以上のスマホゲームを対象とし、累計再生数8,000万回を突破しています(2025年後半時点、Ad-Virtua公式)。
主な効果指標は以下の通りです(出典:Ad-Virtua公式情報・コラム記事、2026年4月確認):
指標 | 数値 |
|---|---|
広告想起率 | Web広告比 約1.8倍 |
注目度 | 約1.7倍 |
視認率 | 最大96% |
好感度 | 約85%が好意的 |
視聴完了率 | 90%超 |
ROI | 平均4.5倍・最大5.4倍 |
CPM | 約300円 |
料金プラン | 1週間300,000円〜 |
CPM約300円は、一般的なWeb動画広告(目安500円〜)と比較して低コストでリーチを確保できる水準です。
ゲーム内広告が特に有効なのは、「広告ブロッカーを使うZ世代・ゲーマー層に、他の手段では届かない」という点です。広告ブロッカー利用者が64〜66%というこの層に対して、ゲームプレイ中のサイネージ型接触は現時点では有効な数少ない手段の一つです。
ゲーム内広告についてより詳しく知りたい方は:
ゲーム内広告の仕組み・種類・効果まとめ
ゲーム内広告・メタバース広告の費用・料金相場
自社に合った手法の選び方:3つの判断軸
広告ブロッカー時代における手法選択は、以下の3軸で考えると整理しやすくなります。
軸1:ターゲット層のデジタル行動
Z世代・ゲーマー層がメインターゲットであれば、アドブロック利用率が64〜66%という現実から、バナー・ポップアップに依存した戦略は見直しが必要です。この層にはゲーム内広告・インフルエンサー・SNSネイティブコンテンツが有効です。
30〜50代が主要ターゲットの場合は、日本でも30代の利用率が69.1%に達しており注意が必要ですが、40〜50代の利用率は相対的に低い傾向があります。この層にはネイティブ広告・コンテキスト広告・コンテンツSEOも引き続き機能します。
軸2:広告目的(認知 vs. 検討 vs. 購買)
- 認知・ブランドリフト重視:ゲーム内広告・体験型施策・インフルエンサー
- 検討・情報提供重視:コンテンツマーケティング・ネイティブ広告
- 購買・即時CV重視:コンテキスト広告・検索連動型広告(一部ブロッカーに耐性あり)
軸3:予算規模と測定要件
体験型施策は効果の二次拡散は見込めますが、予算が大きく測定が難しい側面があります。一方でゲーム内広告(週30万円〜・CPM約300円)・コンテキスト広告・コンテンツSEOは比較的測定しやすい手法です。
予算が限られる場合は、コンテンツSEO(中長期)×ゲーム内広告(認知拡大・短中期)の組み合わせが実務的に検討しやすい選択肢です。
認知施策の全体設計については:
ブランド体験とは|顧客接点の設計と施策の考え方
Ad-Virtuaが合う企業の条件
- 若年層・Z世代・ゲーマー層にリーチしたい(バナー広告が届かない層への接触を求めている)
- 広告ブロッカーの影響を受けない手法を探している(既存デジタル広告のリーチ低下が課題)
- TVCM・動画素材を活用して認知拡大をしたい(既存の動画素材を転用できる)
- 食品・飲料・日用品・外食・交通・ホテルなど日常生活と接点の多いブランド
- 好感度・ブランドリフト・広告想起率をKPIに置く認知施策を検討している
逆に、B2B商材・高年齢層のみをターゲットとする企業や、即時コンバージョンのみを目的とする場合は、他の手法との組み合わせを先に検討することをお勧めします。
よくある質問
Q. 広告ブロッカーは日本でもそんなに普及しているのですか?
A. キーマケLabの2025年1月調査(サンプル1,498名)によると、20〜70代の57.1%が認知しており、認知者のうち34.3%が利用経験ありと回答しています。特に30代では認知者のうち69.1%が利用しており、購買力のある層での普及が顕著です。
Q. ゲーム内広告はどんなゲームに配信されますか?
A. Ad-Virtuaでは現在400タイトル以上のスマホゲームを対象としており、カジュアルゲーム・RPG・パズル・アクションなど幅広いジャンルに対応しています。ターゲット層に合わせたタイトル選定も可能です(詳細は公式サイトで確認してください)。
Q. 広告ブロッカーへの「技術的な対策」(アドブロック検知等)は有効ですか?
A. 一部のパブリッシャーはアドブロック検知でコンテンツをロックする手法(コンテンツウォール)を採用していますが、YouTubeの事例でもあるように、強制的な対策は離脱・不満増加につながるリスクがあります。根本的には「ブロックされにくい広告形式・体験に転換する」アプローチが中長期的には有効です。
Q. ネイティブ広告とゲーム内広告の使い分けは?
A. ネイティブ広告はコンテンツを読む行動と親和性が高く、情報量の多い比較・検討段階の読者に向いています。ゲーム内広告はプレイ中の映像接触によるブランド認知・想起率向上に強みがあり、認知フェーズへのアプローチに適しています。目的に応じて使い分けるか、補完的に組み合わせることが効果的です。
Q. インフルエンサーマーケティングはステマ規制でどう変わりましたか?
A. 2023年10月から施行された景品表示法のステルスマーケティング規制により、インフルエンサーへの依頼広告では「PR」「広告」等の明示が義務付けられています。規制対応を前提とした契約・表記設計が必須であり、これを怠ると法的リスクだけでなく、ブランドへの信頼損失にもつながります。
参考情報:
- キーマケLab「日本におけるアドブロックツール認知や利用に関するアンケート調査」(2025年1月)
- instreamly「How Many People Use Ad Blockers and What It Means for Marketers in 2026」(2026年)
- Backlinko・Cropink「Ad Blocker Users Statistics」(2026年)
- Bain & Company「Gaming Report 2025」(2025年)
- IAB「Internet Advertising Revenue Report 2024」(2024年)
- Ad-Virtua公式サイト・コラム記事(2026年4月確認)


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