推し活マーケティングとは、アイドル・アニメやゲームのキャラクター・VTuberなど、消費者が応援する「推し」への愛着を、商品の購入やSNSでの拡散につなげるマーケティング手法です。成果が出やすいのは、企業が売り込むのではなく「この商品を買うこと・使うことが推しの応援になる」とファンが感じられる仕組みを作った場合です。

推し活市場は約4.1兆円、推し活人口は約1,940万人と推計されており(推し活総研 2026年1月)、食品・飲料・日用品・金融・交通まで幅広い業界が取り組んでいます。広告手法全体の中での位置づけから押さえたい方は、先に広告とは?意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説をご覧ください。

推し活マーケティングの要点(先に結論)

知りたいこと

答え

どんな手法か

「推しの応援」を購入・投稿の理由にしてもらう参加型のマーケティング

代表的な施策

コラボ商品、SNSキャンペーン、ポップアップ、アプリ・ガチャ、応援広告の5タイプ

費用の目安

SNSキャンペーンは数十万円から、コラボ商品は数百万〜数千万円

成功の条件

人気より「ブランドとの相性」で相手を選び、ファンが主役になる余白を残す

失敗の典型

世界観のずれ、売り込み感、コラボ終了とともに何も残らない

効果の測り方

投稿数・売上に加え、想起率・好感度・コラボ後のリピート購入率まで追う

この記事でわかること

  • 推し活マーケティングの意味と、従来型広告・インフルエンサーマーケティングとの違い
  • 5つの施策タイプと費用の目安
  • アプリ・オンラインガチャ・ランダムグッズを使う施策と、景品表示法の注意点
  • アイドル・VTuber・アニメ/ゲームキャラクター・スポーツ選手の起用の違い
  • 三菱UFJ銀行・森永製菓・JR東日本など企業事例7選
  • KPIの決め方と、食品・飲料メーカーが稟議で使える数値の揃え方
  • よくある失敗と防ぎ方

食品・飲料・日用品・外食・交通など、Z世代・若年層との接点を増やしたいマーケティング担当者・ブランドマネージャー向けの記事です。


推し活マーケティングとは:Z世代が動かす新しい購買の仕組み

コンサート会場でライトスティックを持って推しを応援するZ世代のファンたち

推し活マーケティングは、ファンが「推し」を応援する行動(推し活)に企業が参加し、商品やサービスをその応援の手段として選んでもらう取り組みの総称です。具体的には、コラボ商品・限定グッズの企画、推しカラーのパッケージ、ファンが参加できるSNSキャンペーン、ファンが自ら出稿する応援広告の仕組みづくりなどが含まれます。

広告の分類でいえば、機能や価格を伝える従来型広告とは異なり、「感情から動かす・ファンが参加する」タイプの手法です(広告の分類は広告の種類完全ガイドで整理しています)。

従来型広告・インフルエンサーマーケティングとの違い

比較項目

推し活マーケティング

従来型広告

インフルエンサーマーケティング

情報の流れ

ファン ⇄ 企業(双方向・参加型)

企業 → 消費者(一方向)

インフルエンサー → フォロワー(一方向に近い)

拡散する人

ファン自身(投稿が自然に生まれる)

メディア・広告枠

インフルエンサー本人

購入の動機

「推しを応援したい」という愛着

「便利・お得・新しい」という機能

「この人が使っているなら」という信頼

ブランドへの愛着

高い(熱量の高いファンを取り込める)

低〜中(接触回数しだい)

中(インフルエンサーしだい)

炎上リスク

高い(世界観が合わないと逆効果)

低〜中

中(起用者のスキャンダル)

主な費用

ライセンス料・グッズ制作・イベント費

広告出稿費・制作費

起用費・制作費

出典:Cross Marketing「推し活マーケティングとは?」(2023年4月)、skettt「推し活マーケティングとは?」(2025年)をもとに作成

最大の違いは「企業が届ける」のではなく「ファン自身が動く」点です。 ファンが自発的に写真や感想を投稿し、それを見た別のファンが購入する、という循環が生まれると、広告費をかけずに認知が広がります。


Z世代の「推し消費」がなぜいまブランドの課題になるのか

スマートフォンで推しの情報をチェックするZ世代の若者

Z世代(現在の10代後半〜20代)は、「何を買うか(機能・価格)」だけでなく「誰を応援したいか(感情・共感)」で購入先を選ぶ傾向が強まっています。デロイト トーマツの調査(2025年度)では、「今後消費を増やしたいもの」の上位に「推し活」が入ったのはZ世代だけでした。

推し活市場の規模と推し活人口(2026年)

調査

市場規模

推し活人口

時期

備考

推し活総研(CDG・Oshicoco)第3回 推し活実態アンケート

約4.1兆円

約1,940万人

2026年1月

前回から約556万人増。2,000万人に迫る

推し活総研(CDG・Oshicoco)前回調査

約3.5兆円

約1,384万人

2025年1月

前年から約250万人増

矢野経済研究所

オタク主要16分野で1兆円超

—

2025年発表

対象分野の定義が異なる

調査ごとに「推し活」の定義や対象範囲が違うため、1つの数値だけで判断するのは避けるべきです。ただし、どの調査でも「兆円単位のお金がすでに動き、人口も増え続けている」点は共通しています。比較のために挙げると、国内の清涼飲料市場は約4.7兆円です(出典:ネットショップ担当者フォーラム 2026年3月31日記事)。

一方で、1人あたりの年間支出は約25万円から約20.9万円(209,716円)に下がっています(推し活総研 2026年1月)。これは、少額から推し活を始めた人が増えたためです。企業にとっては「一部の熱心なファン」だけでなく「ライトな推し活層」にも届く市場になったといえます。

Z世代の推し活の実態

日本インフォメーション「Z世代のイマ〜推し活のリアルと消費への影響〜」(2025年4月・全国16〜44歳男女914サンプル)によると:

  • 推しがいる割合(Z世代女性):75.4%
  • 推しがいる割合(Z世代男性):56.1%
  • 推しを起用した商品・サービスの購入意欲:約7割が「高まる」と回答
  • 熱心なファンの月間支出:53.1%が1万円以上

情報を集める場所の1位は、世代・性別を問わず「公式X」でした。推し活では、SNSが情報の入り口と拡散の場を兼ねています。

ファンが「自分から動く」3つの心理

推し活マーケティングが効きやすい背景には、次の3つの心理があるとされています(出典:レイヤーズ・コンサルティング)。

  1. 感動の繰り返し:応援で得た喜びをもう一度味わいたくなり、繰り返し参加する
  2. 支えている実感:「自分の応援で推しを支えたい」という気持ちが購入を続けさせる
  3. 周りに知ってほしい気持ち:「推しのよさを周りに認めてほしい」という気持ちが、自発的な投稿につながる

この3つが重なると、企業が広告費をかけなくても、ファンが自分から情報を広げる状態が生まれます。


推し活マーケティングの5つの施策タイプと費用の目安

ブランドのポップアップストアでショッピングを楽しむ若年層の消費者

推し活マーケティングには「これをやれば成功」という1つの手法はありません。代表的な5タイプを、費用の目安と向いている目的で比べます。

施策タイプ

費用の目安

主な目的

特徴・注意点

① コラボ商品・コラボグッズ

数百万円〜数千万円

購入の動機を「応援」に変える・限定需要をつくる

ライセンス料・制作費・在庫リスクを含む。世界観が合うかが最重要

② SNSキャンペーン(ハッシュタグ・参加型)

数十万〜数百万円

投稿を増やす・話題化・認知拡大

拡散の仕掛けしだいで成果が大きく変わる。炎上対策が必須

③ ポップアップストア・体験イベント

数百万円〜

深い体験・ブランドへの好感

場所・期間・規模しだい。写真を撮りたくなる設計が鍵

④ アプリ・オンラインガチャ・デジタル特典

数十万〜数千万円

継続利用・来店や購入の回数を増やす

自社アプリへの組み込みは開発費がかかる。景品表示法の確認が必須

⑤ 応援広告・ファン参加型の仕掛け

数十万円〜

ファンとの関係づくり・ブランドへの愛着

ファンが主役の設計にする。売り込み感が出ると逆効果

※費用は一般的な目安です。実際の金額は個別の見積もりで確認してください。

これらは単独よりも組み合わせたほうが成果につながりやすくなります。たとえば「コラボ商品を発売(①)→ ハッシュタグキャンペーンで投稿を集める(②)→ ポップアップで体験してもらう(③)」の3段構成は、認知 → 共感 → 購入 → 拡散の流れを作りやすい形です。

最も費用が大きく、成否の影響も大きい「①コラボ商品・コラボグッズ」の進め方とライセンス処理は、推し活×ブランドコラボ設計ガイドで詳しく解説しています。


推し活×アプリ・ガチャ施策:デジタルでファンの熱量を動かす方法

カプセルトイの販売機がずらりと並ぶガチャ専門店の店内

推し活とデジタルの相性がよいのは、ファンが「集める」「毎日見る」「見せる」行動をスマートフォンの中で繰り返しているためです。アプリやオンラインガチャを使った施策は、店頭やイベントに来られないファンにも届き、参加の回数や継続率をデータで追える点が強みです。

デジタル施策の主な種類と比較

施策

仕組みの例

向いている目的

主な注意点

自社アプリのキャラクター着せ替え・コラボ

アプリの画面を推しのデザインに変えられる

アプリの新規登録・継続利用

開発・運用費と、コラボ期間終了後の扱いを事前に決める

オンラインくじ・オンラインガチャ

購入や来店でデジタルくじを引け、限定画像やグッズが当たる

購入回数・来店回数を増やす

景品の上限額など景品表示法の規制を確認する

ランダム封入グッズ(ブラインド販売)

中身が見えない缶バッジ・カードなどを販売する

限定需要・複数購入

買いすぎへの批判、転売対策、在庫の偏り

デジタル特典・壁紙・ボイス

商品のQRコードから限定コンテンツを受け取る

購入動機づくり・購入者データの取得

個人情報の取り扱い、コード流出への対策

ゲーム内コラボ・ゲーム内広告

ゲームの中にブランドを登場させる

推しを決める前の層も含めた認知

ゲームの世界観に合う表現にする

実例として、三菱UFJ銀行はアプリのホーム画面などを推しキャラクターに「着せ替え」できるインターネットバンキングアプリ「Buzz BANK」を2025年7月1日にリリースし、コラボ第1弾として「アイドルマスター」と組みました(出典:三菱UFJ銀行公式サイト、アイドルマスター公式サイト)。「お金を管理する」行為を「推しと毎日会える」体験に変えた例です。

ガチャ・くじ型施策で必ず確認すべき法規制

購入や来店を条件に、抽選やくじで景品を提供する場合は、景品表示法の「懸賞」にあたる可能性があります。企画の段階で次の点を法務と確認してください。

  • 景品の上限額:購入を条件とする抽選(一般懸賞)の場合、取引額が5,000円未満なら景品の最高額は取引額の20倍まで、5,000円以上なら10万円まで。景品の総額は懸賞にかかる売上予定総額の2%までです(消費者庁)
  • 「コンプガチャ」の禁止:異なる種類の景品を複数そろえると別の景品がもらえる「カード合わせ」の方式は、景品表示法で禁止されています
  • 確率の表示:当たりの確率や景品の種類を分かりやすく示し、誤解を生む表現を避けます
  • 未成年への配慮:未成年の利用が多い場合、1人あたりの購入額に上限を設けるなど、過度な出費を防ぐ設計にすると批判を避けやすくなります

アイドル・VTuber・キャラクター:推しの種類で変わる起用のポイント

VTuberなどのライブ配信で使われるマイクとモニターの配信環境

「推し」の対象によって、ファンの年齢層、費用のかかり方、リスクの種類が変わります。アイドルを起用するのか、キャラクターと組むのかで、同じ推し活マーケティングでも進め方は大きく異なります。

推しの種類

ファンの特徴

相性のよい施策

主なリスク・注意点

アイドル・アーティスト

10〜30代女性が中心。メンバーごとの推しカラーを重視

推しカラーのパッケージ、メンバー別グッズ、応援広告

所属事務所との契約条件、スキャンダル、メンバー間の扱いの差

アニメ・ゲームのキャラクター

年齢層が広い。作品の世界観へのこだわりが強い

コラボ商品、アプリの着せ替え、ゲーム内コラボ

ライセンス料、原作イメージとのずれ、監修にかかる期間

VTuber

10〜20代が中心。配信のコメントやSNSでの反応が早い

配信内での紹介、ボイス特典、デジタルグッズ

事務所・本人の方針、配信での言動、ファン同士の関係

スポーツ選手・チーム

地域や家族単位のファンが多い

地域限定商品、試合会場での体験、応援企画

シーズンの成績、移籍、けが

どの種類でも共通して大切なのは、人気の高さよりも自社ブランドとの相性です。ファンの年齢層と自社の顧客層、推しのイメージとブランドの世界観、ファンがよく使う場所と自社の販路の3点が重なる相手を選ぶと、失敗を減らせます。


推し活マーケティングの企業事例7選

企業のコラボ戦略をチームで立案・共有するマーケティング担当者たちの様子

公開情報で確認できた事例を、施策タイプごとに整理します(出典:各社公式サイト、MarkeZine 2024年、skettt 2025年、ネットショップ担当者フォーラム 2025〜2026年)。

企業

業界

推しの種類

施策タイプ

三菱UFJ銀行「Buzz BANK」

金融

ゲーム・アニメのキャラクター

アプリ(着せ替え)

森永製菓 × あんさんぶるスターズ!

食品

ゲームのキャラクター

コラボ商品

エスビー食品 × INI

食品

アイドル

推しカラーのパッケージ

JR東日本「推しSta!」

交通

アイドル・キャラクターなど全般

応援広告の仕組み

味の素「粥粥好日」

食品

—(Z世代向け商品)

ポップアップ・体験

タワーレコード

小売

アーティスト全般

グッズ販売・継続キャンペーン

セブンネットショッピング「推し活倶楽部」

小売

全般

グッズ販売・店舗プリント連携

事例1|三菱UFJ銀行「Buzz BANK」× アイドルマスター

三菱UFJ銀行「Buzz BANK」特設サイトのトップ画面

出典:三菱UFJ銀行「Buzz BANK」特設サイト

アプリのホーム画面などを推しキャラクターに着せ替えられるインターネットバンキングアプリ「Buzz BANK」を2025年7月1日にリリースし、コラボ第1弾に「アイドルマスター」を迎えました。キャッチコピーは「"好き"が毎日のチカラになる!」。

うまくいった理由:銀行アプリを開く行為を「推しに会える」体験に変え、若年層との接点が少ない金融サービスを推し活の文脈に乗せた点です。

事例2|森永製菓 × あんさんぶるスターズ!

ゲームのキャラクターをブランドの顔として起用したコラボです。「推しのために買う」という動機を作り、既存のファン層を自社商品の購入者に取り込みました。

事例3|エスビー食品 × INI

アイドルグループの各メンバーが商品を紹介し、メンバーごとの推しカラーを使ったパッケージを展開しました。ファンが自分の推しのパッケージを撮影して投稿する動きが広がりました。

事例4|JR東日本「推しSta!」

ファンが推しを応援する「応援広告」を、駅のポスターとして出せる仕組みです。企業が広告を出すのではなく、ファンが主役になる場を提供したことで、ファンと企業の双方にメリットのある形を作りました。

事例5|味の素「粥粥好日」

Z世代向けのカップ粥です。渋谷スクランブルスクエアでのポップアップや体験型のグッズ販売と連動し、SNSでの話題と商品の売上を同時に作りました。

事例6|タワーレコード

推し活グッズの販売や月ごとのキャンペーンを続け、「推しを応援できる場所」としての立ち位置を築いています。単発のコラボではなく、継続的な場づくりの例です。

事例7|セブンネットショッピング「推し活倶楽部」

グッズ販売やSNS投稿用のテンプレートに加え、セブン-イレブンの店舗で推しの名前などを印刷できるサービスと連携しています。日常の買い物の中で「推し活を支えるブランド」になることを狙った取り組みです。

成功事例に共通する3つの点

  1. ブランドの世界観と推しの間に、感情的な相性がある
  2. ファンが「参加したい・投稿したい」と思える余白がある
  3. 一度きりのコラボで終わらず、継続的な接点になっている

推し活マーケティングがおすすめの企業 / おすすめしない企業

こんな企業・ブランドにおすすめ

次の条件に1つ以上当てはまる場合、取り組む価値があります。

  • Z世代・20代女性を主な顧客に含んでいる(食品・飲料・日用品・コスメ・交通など)
  • ブランドに「応援したくなる」感情的な価値を持たせたい
  • テレビCMやSNS広告だけでは若年層に届きにくい
  • コラボできるキャラクター・タレントとの接点がある、または新たに開拓できる
  • 「商品を買うこと自体が推し活になる」世界観を作れる
  • ファンの投稿を増やし、認知拡大の費用効率を上げたい

業界別の相性(目安)

業界

相性

主な活用場面

食品・飲料

★★★★★

コラボ商品・限定フレーバー・推しカラーのパッケージ

日用品・コスメ

★★★★☆

キャラクターコラボ・推しカラーの商品

外食・小売

★★★★☆

コラボメニュー・グッズ販売・ポップアップ

交通・インフラ

★★★☆☆

応援広告(JR東日本型)・駅スペースの活用

金融・保険

★★☆☆☆

アプリ・キャラクターコラボで認知を作る(三菱UFJ銀行型)

BtoB・産業財

★☆☆☆☆

ほとんどの場合合わない

こんな企業・ブランドにはおすすめしない

  • ブランドの世界観とコラボ相手の相性が低い:話題性だけで起用すると、既存の顧客とファンの両方から反発を受けます
  • 短期間で終わらせる計画しかない:コラボ期間中だけ盛り上がり、終了後に何も残らない結果になりがちです
  • 社内にファン文化を理解する人がいない:企業側の都合が前に出た企画は「推しを利用された」と受け取られます
  • 法務・ライセンス処理の体制がない:キャラクターやタレントの起用には、権利者や所属事務所との正式な契約が必要です
  • 効果を測る仕組みを作れない:「SNSで話題になった」だけでは、社内への説明ができません

KPIの決め方と効果測定:何をどう測るか

マーケティングKPIのデータ分析ダッシュボードを確認する担当者

推し活マーケティングで多くの担当者が悩むのが「何で成果を判断するか」です。購入に至るまでの段階ごとに指標を決めておくと、施策の評価と改善がしやすくなります。

段階

KPI

測り方

判断の目安

認知

表示回数・リーチ数

各SNSの分析機能・広告レポート

施策前後の比較

関心

ハッシュタグ投稿数・ファンの投稿件数

SNSの投稿を集計するツール

事前に目標件数を決める

共感

いいね・リポスト・保存の割合

SNSの分析機能

自社の過去平均との比較

購入

対象商品の売上・販売数・コラボ商品の購入率

販売データ

前年同期比・実施していない地域との比較

愛着

ブランド想起率・好感度

ブランドリフト調査

施策前後のアンケート調査

拡散

シェア数・言及数・口コミ件数

SNSの言及を集計するツール

施策期間中の累計

注意点:「バズ」は目的ではなく手段

SNSで話題になることだけを目的にすると、コラボ終了後に購入や愛着が残りません。好感度・想起率・実際の売上を同時に追うことが重要です。特に食品・日用品メーカーは、「コラボ期間中だけ売れた」で終わらないよう、コラボ後のリピート購入率もKPIに入れることをおすすめします。ブランドリフト調査の設計方法はブランドリフト調査の設計ガイドで解説しています。


食品・飲料メーカーが稟議で使える数値の揃え方

推し活マーケティングを社内で通すには、「いくら使って、何人に、どれだけの変化を起こすか」を数字で示す必要があります。施策の種類が違っても比べられるよう、1,000回(1,000人)に届けるための費用に揃えるのが実務的です。

1,000接触あたりの費用で比べる

施策

費用の例

届く人数・回数の例

1,000接触あたりの費用

数値の根拠

ゲーム内広告(Ad-Virtua)

30万円/週

約100万回再生

約300円

Ad-Virtua公表の料金と再生回数の目安から計算

SNSハッシュタグキャンペーン

200万円

表示50万回

約4,000円

仮定に基づく試算(企画・運用・賞品費込み)

ポップアップストア

500万円

来場者1万人

約50万円

仮定に基づく試算(会場・施工・運営費込み)

コラボ商品

3,000万円

購入者10万人

約30万円

仮定に基づく試算(ライセンス料・制作費込み。売上は別途計上)

ポップアップやコラボ商品は1人あたりの費用が高い代わりに、深い体験と売上を生みます。ゲーム内広告のような媒体は1人あたりの費用が低く、推しを決める前の層も含めて広く認知を作るのに向いています。「深く熱量を生む施策」と「広く知ってもらう施策」を組み合わせると、稟議でも役割の違いを説明しやすくなります。

ブランドリフトとROIの示し方

  • ブランドリフト:施策に接触した人としていない人で、認知率・好感度・購入意向の差を比べます。Ad-Virtuaのゲーム内広告では、広告想起率が通常の広告の約1.8倍、注目度が約1.7倍、好感度が約85%という結果が出ています(Ad-Virtua調べ)。
  • ROI(投資対効果):「施策によって増えた購入者数 × 1人あたりの年間購入額 × 粗利率 ÷ 施策費」で試算します。推し活施策はコラボ期間中の売上だけでなく、その後のリピート購入も含めて評価しないと、価値を小さく見積もってしまいます。単年と3年の2通りで示すと、長期の価値を説明しやすくなります。

認知KPIの設計は食品・飲料の認知KPI設計、ゲーム内広告の投資対効果は食品・日用品メーカーのゲーム内広告ROIガイドで詳しく解説しています。


よくある失敗パターンと防ぎ方

推し活マーケティングの失敗事例から、避けるべきパターンを整理します(出典:skettt「推し活マーケティングの事例から学ぶ!成功と失敗を分ける設計力の差」2025年、charaten.net 2025年)。

失敗パターン

起きること

防ぎ方

世界観のずれ

メンバーカラーの間違いや、推しのイメージを損なう演出で炎上する

公開前に、ファン文化に詳しい担当者や専門チームが確認する

売り込み感が強い

「推しを利用された」と受け取られ、不買の呼びかけにつながる

「ファンが推しを応援できる場を提供する」視点で企画する(JR東日本「推しSta!」が好例)

打ち上げ花火で終わる

コラボ終了とともにブランドへの関心が元に戻る

コラボを入口にして、終了後も続く会員施策や定期的な発信を事前に用意する

相手選びの失敗

人気だけで起用し、既存顧客にもファンにも響かない

ファンの年齢層・世界観・販路の3点で相性を事前に確かめる

権利処理の漏れ

正式な許諾なくキャラクターやタレントの画像を使い、法的な対応を求められる

起用を検討した段階から法務を入れ、契約を結んでから公開する

過度な購入をあおる

ランダムグッズやガチャで「買わせすぎ」と批判される

購入上限の設定、確率の表示、景品表示法の確認を行う

ライセンス処理の進め方は推し活×ブランドコラボ設計ガイドも参考になります。


ゲーム空間は「推しを決める前」の層に届く接点

ゲーム空間内の看板に広告を表示するAd-Virtua公式サイトのトップ画面

推し活マーケティングの主な舞台はSNS・ポップアップ・コラボグッズですが、Z世代に日常的にブランドを見せ続けるという点で、見落とされがちな接点があります。それがゲームの中の空間です。

Z世代とゲームの重なり

  • Ad-Virtua公式サイトによると、ゲームプレイヤーのうちZ世代は約80%を占め、Z世代のゲームのプレイ時間は約100分です。ゲームは若年層の可処分時間の大きな使い道になっています
  • VTuberやゲームのキャラクターは推し活の主な対象であり、推し活層とゲームプレイヤー層は大きく重なっています
  • ゲーム空間の看板やモニターに表示される広告は、プレイを止めないため嫌われにくい特性があります

ゲーム内広告の仕組みや種類はゲーム内広告とは?仕組み・種類・効果・費用を徹底解説で詳しく解説しています。

推し活施策とゲーム内広告の役割分担

比較項目

推し活施策(コラボ・SNS・ポップアップ)

ゲーム内広告

主に届く層

すでに推しがいる熱量の高いファン

推しを決める前の層も含むゲームプレイヤー

得意なこと

深い共感・購入・投稿を生む

日常的な接触で認知と想起を積み上げる

費用

数十万〜数千万円(施策により大きく変わる)

1週間30万円から

準備期間

ライセンス交渉を含め数か月かかることが多い

既存の動画素材を使えば短期間で始められる

推し活施策は「すでに熱量の高いファン」を深く動かすことに強い一方、「まだ推しとの接点がない層」には届きにくい面があります。ゲーム空間での継続的な露出を組み合わせると、コラボの前後にブランドを知ってもらう流れを作れます。費用の詳細はゲーム内広告の費用・料金相場をご覧ください。


Ad-Virtuaが合う企業の条件

Ad-Virtuaは、600以上のゲームタイトル(2026年4月時点)の空間内にある看板・モニターへ動画広告を配信するアドネットワークです。料金は1週間30万円から、100万回再生が目安です(出典:Ad-Virtua公式サイト)。

次の条件に当てはまる企業には、有力な選択肢になります。

  1. 推し活施策と並行して、推しを決める前の若年層にも認知を広げたい
  2. テレビCMやSNS広告とは別の場所で、ゲームをするZ世代に継続的にブランドを見せたい
  3. VTuberやゲームキャラクターとのコラボを検討しており、ゲーム文化になじむ場所でブランドを見せたい
  4. 食品・飲料・日用品など日常的に買われる商品で、想起率や第一想起をKPIにしている
  5. 大規模なコラボの前に、少ない予算で若年層の反応を確かめたい

推し活施策とゲーム内広告を組み合わせた設計について相談したい方は、無料相談・資料請求フォームからお気軽にお問い合わせください。

次に読むべき記事

検討の段階に合わせて、次の順で読み進めると判断しやすくなります。

  1. 広告全体の中での位置づけを知る:広告とは?意味・種類・効果・媒体選びをわかりやすく解説
  2. ゲーム内広告の仕組みと効果を知る:ゲーム内広告とは?仕組み・種類・効果・費用を徹底解説
  3. 業界ごとの使い方を知る:食品・飲料の若年層リーチを増やす施策7選、食品メーカーのブランド体験施策事例10選、日用品・消費財メーカーのファン化施策
  4. 自社に合うか相談する:無料相談・資料請求フォーム

ファンとの長期的な関係づくりはファンベースマーケティングとは、Z世代への想起づくりは第一想起を獲得する方法も参考になります。


よくある質問

Q1. 推し活マーケティングはBtoB企業でも使えますか?

主な対象は、食品・小売・交通・金融など一般消費者向けのブランドです。BtoB企業や産業財では「推し」になる感情的な対象を作りにくく、成果が出にくいケースが多くなります。ただし、将来の顧客や採用候補であるZ世代への認知づくりが目的なら、自社キャラクターのSNS発信や採用広報との連動など、部分的な活用は考えられます。

Q2. 自社にキャラクターやタレントとのつながりがない場合、どう始めればよいですか?

まずは権利を持つ会社や所属事務所に直接問い合わせるか、ライセンスの仲介会社・広告会社を通じて候補を探します。いきなり大型のコラボ商品を作るのではなく、SNSキャンペーンや応援広告の場づくりなど、ライセンスを使わずに推し活層と接点を持てる施策から始める方法もあります。

Q3. 推し活マーケティングとファンベースマーケティングは何が違いますか?

ファンベースマーケティングは、自社ブランドや商品そのもののファンを増やし、長く支えてもらう考え方です。推し活マーケティングは、アイドルやキャラクターなど他者(推し)に向いた熱量を、自社商品の購入や拡散に結びつける点が異なります。推し活施策で接点を作り、その後の会員施策や継続的な発信で自社のファンに育てる、という順で組み合わせると効果が残りやすくなります。考え方の詳細はファンベースマーケティングとはをご覧ください。

Q4. 外部のタレントやキャラクターではなく、自社キャラクターを「推し」にできますか?

できます。ライセンス料がかからず、表現の自由度も高い一方、ファンが最初からいるわけではないため、SNSでの継続的な発信やゲーム・キャンペーンなど「キャラクターと触れ合う場」を自社で作る必要があります。自社キャラクターを育てる方法は自社キャラクター・IPを活かしたブランド体験で解説しています。

Q5. VTuberとのコラボはどこから始めればいいですか?

最初に、自社ブランドとVTuberの世界観・ファンの年齢層・キャラクター性が合うかを確かめます。次に、所属事務所に正式に問い合わせ、条件の交渉と契約を経て進めます。配信での紹介は視聴者の反応が早いため、公開後にSNSの反応を見て対応できる体制も先に整えておきましょう。詳しい手順は推し活×ブランドコラボ設計ガイドをご覧ください。

Q6. 推し活施策の効果はどのくらいの期間で判断すべきですか?

SNSでの投稿数や販売数は、コラボ期間中に判断できます。一方、ブランドへの好感度やリピート購入は、コラボ終了後1〜3か月ほど追わないと本当の効果がわかりません。期間中の数値だけで判断すると「売れたが何も残らなかった」施策と「売上は控えめでも顧客が定着した」施策の区別がつかないため、終了後の調査まで予算に入れておくことをおすすめします。

Q7. Z世代以外(30〜40代)にも推し活マーケティングは効きますか?

デロイト トーマツ(2025年度)の調査では、「今後消費を増やしたいもの」の上位に推し活が入ったのはZ世代だけでした。ただし日本インフォメーションの調査(2025年4月)では、ミレニアル世代の女性でも51%が「推しがいる」と答えており、30代以上にも推し活は広がっています。購入への影響はZ世代のほうが大きい傾向があるため、予算の中心はZ世代・若年層に置き、30〜40代には家族や子どもの推し活を支える文脈で届けるのが現実的です。