ゲーム内広告のキャンペーン効果は、配信後のレポートを待つのではなく、配信中にリアルタイムでデータを確認しながら調整することで大きく改善できる。インプレッション・視認率・ブランドリフトはそれぞれ「露出」「注目」「態度変化」を測る異なる層の指標であり、3層構造で理解することが最適化の第一歩となる。

この記事でわかること:

  • インプレッション・視認率・ブランドリフトの役割と違い(3層構造)
  • ゲーム内広告固有の計測基準(IAB/MRC業界標準)
  • 配信中に何を見て何を変えるか:リアルタイム最適化の実務フロー
  • ブランドリフト調査の種類・費用感・選び方の比較
  • Ad-Virtuaが提供するリアルタイム計測機能と向いている企業の条件

対象読者: ゲーム内広告の導入を検討中、または配信中のキャンペーン効果をもっと正確に把握したいマーケティング担当者・広告出稿担当者。

ゲーム内広告の分析指標は「3層構造」で理解する

ゲーム内広告のリアルタイム分析ダッシュボードのイメージ」 width=

ゲーム内広告の効果測定では、複数の指標が混在して使われるため、「視認率が高ければいい」「ブランドリフトだけ見ればいい」という誤解が生じやすい。まず3つの層を整理することが、実務上の意思決定を正確にする前提となる。

主要指標

問いに答えること

第1層:露出

インプレッション数、リーチ

広告がどれくらい表示されたか

第2層:注目

視認率(Viewability)、アテンション(注目時間)

広告が実際に見られたか・どのくらい注目されたか

第3層:態度変化

ブランドリフト(認知・好感度・購買意向の変化)

広告接触後にブランドへの評価が変わったか

各層の指標は互いに関連しているが、上の層が達成されていても下の層が改善されるとは限らない。たとえばインプレッション数が多くても視認率が低ければ「表示はされたが誰も見ていなかった」ことになり、視認率が高くてもブランドリフトが発生しない場合は「見られたが記憶に残らなかった」ことになる。

リアルタイム最適化は主に第1〜第2層(インプレッション・視認率)を対象に行い、第3層(ブランドリフト)はキャンペーン終了後または中盤でサーベイ調査として計測するのが一般的な実務フローである。

ゲーム内広告の視認性計測:業界標準(IAB/MRC)が定める基準とは

広告視認性の計測技術と業界標準を説明するイメージ」 width=

通常のWebバナー広告の視認性基準(画面上50%以上が1秒以上表示)はゲーム内広告にそのまま適用できない。ゲーム空間は3D環境であり、カメラの角度・キャラクターによる遮蔽・プレイヤーの視点移動によって視認性が刻々と変化するためだ。

IAB(インタラクティブ広告協会)とMRC(メディア評価委員会)は2022年8月、「Intrinsic In-Game Advertising Measurement Guidelines 2.0」を策定し、ゲーム内広告固有の視認性計測基準を定めた。

IAB/MRC ゲーム内広告の視認可能インプレッション基準

視認可能インプレッション(Viewable Impression)と認定するには、以下の条件をすべて満たす必要がある:

  1. 画面カバレッジ:クリエイティブが画面全体の最低1.5%以上を占めていること
  2. ピクセル表示率:クリエイティブの50%以上のピクセルが表示されていること
  3. 連続表示時間:上記の状態が1秒以上連続して維持されていること
  4. 遮蔽(オクルージョン)の除外:クリエイティブの50%以上が他のオブジェクトで隠れている場合は視認不可とカウント

計測のポーリングは200ミリ秒ごとに行われ、5回中3回以上「視認可能」と判定された場合に視認インプレッションとしてカウントされる(出典:IAB/MRC Intrinsic In-Game Advertising Measurement Guidelines 2.0、2022年8月)。

この基準により、ゲーム内広告では「数字の上では表示されたが実際には誰も見ていなかった」というWebバナー広告でよく見られる現象が技術的に除外される。結果として、視認可能インプレッションのみを課金対象にする課金モデル(vCPM)との相性が高い計測手法となっている。

リアルタイム最適化の実務フロー:配信前・配信中・配信後にすること

広告キャンペーンのリアルタイムモニタリングと最適化ワークフローのイメージ

ステップ1:配信前設計

リアルタイム最適化は配信開始後ではなく、配信前の設計段階で成否の7割が決まると言っても過言ではない。

設計項目

具体的に決めること

KPI設定

認知目的(インプレッション・視認率重視)か、態度変化目的(ブランドリフト重視)かを先に決める

対照群設計

ブランドリフト調査を行う場合は、広告接触群と非接触群のサンプル設計を配信前に実施

アラート閾値設定

視認率・視聴完了率・CPMなどの「許容下限値」を数値で決めておく

クリエイティブバリエーション

ABテスト用に2〜3パターンを用意し、配信中に差し替え判断できる状態にする

KPIをあいまいにしたまま配信を始めると、配信中に「何を見て判断するか」がわからなくなる。「この数値がこの値を下回ったら何をする」という判断基準を事前に決めておくことが実務上の最重要ポイントである。

ステップ2:配信中のモニタリング(リアルタイム)

配信開始後は、以下の指標を優先的に監視する。

毎日確認が推奨される指標:

指標

確認ポイント

介入の目安

インプレッション数(累計)

ペース配分が計画通りか

前日比で30%以上のブレ

視認率(Viewability)

IAB/MRC基準の閾値を下回っていないか

50%未満が続く場合は枠・ターゲティングを見直す

視聴完了率(VCR)

動画を最後まで見てもらえているか

業界平均を大きく下回る場合はクリエイティブの問題を疑う

CPM(インプレッション単価)

費用対効果が当初の計画と合っているか

目標CPMの1.5倍を超えた場合は配信設定を再確認

「リアルタイム」とはここでは日次レベルのモニタリングを指す。RTB(リアルタイム入札)のようなミリ秒単位の自動最適化とは異なり、マーケター担当者が実施する「配信中の意思決定」は通常1日〜数日単位で行われる点に注意が必要だ。

ステップ3:最適化アクションの判断基準

視認率が低い場合(目標の70%未満が3日続く場合):

  • ターゲティング設定を確認(配信ゲームタイトル・年齢層の絞り込みが過剰になっていないか)
  • 配信面(ゲーム内のロケーション・サイネージ位置)のパフォーマンス差を確認
  • クリエイティブサイズ・縦横比がゲーム内の広告枠と合っているか確認

視聴完了率が低い場合(50%未満が続く場合):

  • 動画の冒頭3秒以内にブランドの視認要素があるか確認(ゲームプレイ中は長尺視聴に向かない)
  • クリエイティブをより短尺(15秒以内)のバージョンに差し替えることを検討

インプレッションが計画を大幅に下回る場合:

  • 予算消化の速度を確認(日次予算の上限設定が低すぎないか)
  • 配信対象タイトルの選定が絞られすぎていないか確認

ステップ4:配信後のブランドリフト調査

配信中または配信終了後に、広告接触群と非接触群の態度変化を比較するブランドリフト調査を実施することで、第3層(態度変化)の効果を定量化できる。

ブランドリフト調査の種類と選び方

消費者調査・ブランドリフト計測のためのアンケート実施イメージ

ブランドリフト調査には複数の手法があり、予算・キャンペーン規模・計測したい詳細度によって選択が変わる。

調査手法

特徴

向いているケース

費用感(参考)

インバナーサーベイ

広告バナー内でアンケートを表示。リアルタイムに接触・非接触群を比較できる

キャンペーン中の中間確認・速報として活用したい場合

比較的低コスト

リードバナーアンケート

広告クリック後に専用ページでアンケート回答

詳細な態度変化を計測したい場合(設問数制限なし)

中程度

Nielsen Digital Brand Effect

パネルベースの網羅的調査。統計的有意性が高い

大規模キャンペーン・公式KPIとして使いたい場合

約7,500ドル〜(参考値:Anzu measurement guideより、確認日:2026-04-22)

Kantar(ツイニングアプローチ)

サーベイ型。コントロール群との差分を算出

複数媒体の横断比較を行う場合

中〜高コスト

Happydemics / Disqo / Cint

ゲーム内広告に対応したデジタル調査ベンダー

ゲーム内広告に特化した計測を行いたい場合

規模による

インバナーサーベイの限界として押さえておくこと:設問数は1〜3問程度に限られるため、ブランド認知・好感度・購買意向など複数の指標を詳細に計測するには向かない。速報としての活用に適している。

グローバルベンチマーク(Anzu×複数キャンペーンの平均値):

  • ブランド認知度向上:+13%
  • ブランド想起向上:+14%
  • ブランド知覚向上:+11%
  • 購買意向向上:+13%

(出典:Anzu公式サイト、確認日:2026-04-22。複数キャンペーン平均値であり個別キャンペーンの保証値ではない)

ゲーム内広告の視認率は他の広告フォーマットより高い

視認率について、ゲーム内広告(Intrinsic In-Game Advertising)と他の広告フォーマットを比較すると、一般的に高い視認率が確認されている。

フォーマット

ゲーム内広告

業界平均

モバイルディスプレイ

98.9%

60.7%

PCディスプレイ

93%

63.7%

動画(モバイル・PC平均)

95%

82%(モバイル)・79%(PC)

(出典:Oracle Moat計測値・Anzu公式ガイド、確認日:2026-04-22。Anzuプラットフォーム独自計測値のため業界全体の代表値ではない点に注意)

この高い視認率の主な要因は、ゲーム内広告がゲーム空間内に自然に組み込まれているため、ユーザーが意図的にスクロールしてスキップする手段がない構造にある。また、広告ブロッカーが機能しない環境である点も視認率の高さに寄与している。

ゲーム内広告の平均アテンション(注目時間)は3.1秒で、デジタル広告平均の2.9秒をわずかに上回る(出典:Lumen×Anzu共同研究、確認日:2026-04-22)。視認率の高さに加えてアテンション時間も確保されることが、ブランドリフトにつながりやすい背景となっている。

こんな企業に向いている/向いていない

ゲーム内広告のリアルタイム分析活用に適した企業

  • 認知拡大・ブランドリフトを定量化したい企業:TVCMや屋外広告では計測が難しいブランド態度変化をデジタルで計測したい場合に適している
  • 若年層・スマホゲームユーザーへのリーチを重視する企業:食品・飲料・日用品・外食など生活密着型のナショナルブランド
  • 視認可能インプレッション課金でROIを管理したい企業:「表示されたが見られていない」広告コストを排除したい場合
  • 週単位でPDCAを回せる担当者体制がある企業:配信中の最適化には日次レベルでデータを見てアクションできる体制が必要
  • ABテスト用のクリエイティブを複数用意できる企業:1本しかクリエイティブがない場合、配信中の最適化余地が限られる

向かない企業・ケース

  • コンバージョン(購入・資料DL)を直接追うキャンペーンが目的の企業:ゲーム内広告は認知・ブランドリフト向きの媒体であり、直接CV誘導には不向き
  • 計測設計なしに「とりあえず出稿」だけ行う場合:ブランドリフト調査の事前設計がないと第3層の効果が計測できない
  • 1〜2週間の超短期キャンペーンのみで済ませたい場合:ブランドリフトの統計的有意差が出るには一定のインプレッション量が必要
  • 広告素材が静止画のみの企業:ゲーム内広告は動画素材の活用で効果が高まるため、動画クリエイティブがない場合は効果が限定的になる可能性がある

Ad-Virtuaのリアルタイム計測機能と視認可能インプレッション課金

Ad-Virtua(アドバーチャ)は、ゲーム空間内の看板・モニターに動画広告を配信する国内アドネットワークで、視認性計測において独自の技術的アプローチを持つ。

Ad-Virtuaの計測・分析機能(公式サイト・FUNDINNOページ情報、確認日:2026-04-22):

  • 管理画面ダッシュボード:広告再生回数・視聴完了割合をリアルタイムで確認可能
  • 視認可能インプレッション課金:ユーザーの視界に広告が入っている時間のみ課金する独自システム(特許出願中)
  • 視点・距離・遮蔽判定:プレイヤーのカメラ方向・広告からの距離・オブジェクトによる遮蔽を考慮した視認性判定
  • ターゲティング:年齢・性別・カテゴリ別、地域ターゲティング、個別タイトル選択に対応
  • 翌日配信開始:キャンペーン設定後、最短翌日からの配信が可能

料金の目安:

  • 最低出稿額:300,000円/週(初期費用なし)
  • 期待リーチ:週間約100万回再生
  • CPM:約300円(通常価格帯500円比、出典:Ad-Virtua公式サイト)

参考実績(出典:Ad-Virtua公式サイト・FUNDINNOページ、確認日:2026-04-22):

  • 累計再生数:約8,000万回(2026年1月時点)
  • 広告想起率:約1.8倍、注目度:約1.7倍(計測方法の詳細は公式サイト未掲載)

なお、Ad-Virtuaがブランドリフト調査を標準提供しているかどうか、またDoubleVerify・IAS等の第三者計測ツールとの連携状況については、公式サイトから詳細を確認の上、個別に問い合わせることを推奨する(現時点での公式情報から詳細スペックは未確認)。

ゲーム内広告×リアルタイム計測の導入を検討している場合は、ゲーム内広告とは|仕組み・種類・効果を解説ゲーム内広告・メタバース広告の費用・料金相場もあわせて参照いただきたい。

よくある疑問(FAQ)

Q1. 視認率(Viewability)とアテンションは何が違いますか?

視認率は「広告が技術的に表示され、画面上で一定条件を満たしたか」を計測するバイナリな指標(視認可能か/不可か)である。一方アテンションは「ユーザーが実際に広告に注目した時間・度合い」を計測する連続的な指標で、視認率よりもブランド態度変化との相関が高いとされる。IAB/MRCは2025年11月にアテンション計測の包括的ガイドラインを発表し、業界標準化が進んでいる。現時点では、MRC認定のアテンション計測手法を保有するのはDoubleVerify(DV)のみとされている(出典:Exchangewire Japan、確認日:2026-04-22)。

Q2. ゲーム内広告でブランドリフト調査を行う場合、最低どのくらいの予算が必要ですか?

ブランドリフト調査の費用は手法・規模によって大きく異なる。参考値として、Nielsen Digital Brand Effectは約7,500ドルから(Expanded View Liteは約15,000ドルから)とされており(出典:Anzu measurement guide、確認日:2026-04-22)、インバナーサーベイ型は比較的低コストで実施できる。統計的に有意な結果を得るには一定のインプレッション量が必要なため、週300万〜500万インプレッション以上のキャンペーン規模が目安とされることが多い(一般的な業界指標として)。

Q3. リアルタイム広告分析ツール(DoubleVerify・IASなど)はゲーム内広告に使えますか?

DoubleVerify(DV)はゲーム内広告向けのブランドセーフティ・視認率計測に対応しており、IAS(Integral Ad Science)はAnzuと提携し3D環境を含むゲーム内広告の視認率・IVT(無効トラフィック)計測を提供している。ただし、これらのツールの国内市場でのゲーム内広告計測対応状況については、各社の日本法人に直接確認することを推奨する。

Q4. ゲーム内広告の視認率が高い理由は何ですか?

主な要因は3つある。①ゲーム空間内の看板・モニターとして配置されるため、ユーザーがスクロールして視界から外す手段がない、②広告ブロッカーが機能しない環境である、③IAB/MRC基準(3D空間での遮蔽判定含む)で視認不可インプレッションを計測から除外しているため、分母から低品質インプレッションが排除される。

Q5. 配信中に視認率が下がってきた場合、最初に何を確認すべきですか?

配信ゲームタイトルと広告ロケーション(ゲーム内での表示位置)のパフォーマンス差を確認することを最初のステップとして推奨する。ゲームによってプレイヤーのカメラアングルや視線移動のパターンが異なるため、特定タイトルで視認率が下がる場合は配信タイトルの見直しが有効な場合がある。次に、クリエイティブのサイズ・縦横比がゲーム内広告枠と適切にマッチしているかも確認する。

まとめ:リアルタイム広告分析でゲーム内広告の効果を最大化するには

ゲーム内広告のリアルタイム分析で成果を上げるには、指標の3層構造を理解した上で、層ごとに見るべき数値と介入のタイミングを分けて考えることが基本となる。

  • インプレッション(第1層):配信量のペース管理とリーチ確認
  • 視認率・アテンション(第2層):配信中の日次モニタリングと最適化判断
  • ブランドリフト(第3層):キャンペーン前の調査設計が必要。速報にはインバナーサーベイ、詳細にはNielsen・Kantarを活用

視認可能インプレッション課金(vCPM)に対応したゲーム内広告プラットフォームを活用すれば、「表示されたが見られていない」コストを事前に排除しながらリアルタイムに効果を把握できる環境を整えることができる。

ゲーム内広告の計測・分析環境の整備や、Ad-Virtuaの具体的な計測仕様・ブランドリフト調査との組み合わせについては、Ad-Virtua公式サイトからお問い合わせいただきたい。

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