30〜40代の子育て世代は「忙しくてゲームをしない層」ではない。ゲームエイジ総研の調査(2022年)によると、40代のスマホゲーム月間プレイ時間は43.4時間で全年代トップであり、30代の課金経験者も61%に上る。可処分時間が削られている世代ほど「スキマを埋めるゲーム」への需要が高まっており、マーケティング担当者にとっては見過ごせないメディア接触の実態がある。
この記事では、食品・日用品・外食・交通などナショナルクライアントのマーケティング担当者向けに、子育て世代(30〜40代親層)の可処分時間・スクリーンタイム・ゲーム行動に関するデータを体系的に整理し、ブランド接触設計への活用方法を解説する。
この記事でわかること
- 子育て世代の可処分時間がどれだけ削られているかのデータ
- 30〜40代のスクリーンタイム・ゲームプレイ時間の実態
- いつ・どんなゲームをプレイしているかの行動データ
- データをブランド接触設計にどう読み替えるか
- ゲーム内広告のブランドリフト効果と向き不向き
この記事は、子育て世代へのリーチに課題を感じており、データに基づいて接触設計を見直したいマーケティング担当者・ブランドマネージャーを対象にしている。
子育て世代の可処分時間は「量が少ない×需要が高い」二重構造にある

子育て世代の可処分時間を語るとき、まず押さえるべき前提がある。「忙しい=メディア接触が少ない」という直感は、データが示す実態と一致しない。
可処分時間は確かに減少している
Newsweekジャパン「自由に使える『可処分時間』が10代と子育て世代女性で大きく減少」(2025年)によると、女性の1日の余暇時間(第3次活動)は1996年の363分から2021年の360分へわずかに減少している。一方、男性は381分から394分へ増加しており、フルタイム共働きの拡大が子育て世代女性の可処分時間を圧迫していることがわかる。
産後の実態はさらに顕著だ。コズレ「産後ママの可処分時間とメディア接触の変化に関する実態調査」(2024年11〜12月実施)では、妊娠前「3〜4時間」だったメディア接触時間が産後「1〜2時間」に半減している。育児でまとまった時間が取れなくなる様子が数値に反映されている。
「量が少ない」のに「スマホ接触は増加」する逆説
同調査で注目すべきは、可処分時間が減少したにもかかわらず、スマートフォン(インターネット)への接触は産後も増加しているという事実だ。授乳・抱っこ・子どもの昼寝中など、体は動かせないが手元は空いている「スキマ時間」が生まれ、スマホが唯一の逃げ場となる。
博報堂 メディア環境研究所「メディア定点調査2025」(東京・15〜69歳男女650名、2025年1〜2月実施)でも、スマートフォン接触時間は165.1分/日と過去最高を更新しており、テレビが減る分スマホが増えるトレンドは全世代で一貫している。
Think with Google「エンタメ領域の可処分時間」調査は、さらに重要な示唆を提供している。エンタメカテゴリを複数利用するほど、各カテゴリにかける時間が加算的に増える傾向があり、ゲームと他メディアは「奪い合い」ではなく「共存」している。子育て中にゲームをするようになった人は、他のメディア接触も維持しながらゲームの時間を確保していることを示している。
30〜40代のスクリーンタイム実態データ
インターネット利用時間(NTTドコモ調査・2025年)
NTTドコモ モバイル社会研究所(2025年2月公表)によると、30代の1日のインターネット利用時間(全デバイス合計)は以下のとおりだ。
性別 | 合計 | うち仕事・学校用 | うち私用 |
|---|---|---|---|
女性30代 | 5.7時間 | 2.1時間 | 3.6時間 |
男性30代 | 5.9時間 | 2.6時間 | 3.3時間 |
私用のインターネット利用だけで1日3〜3.6時間という数値は、TV広告のリーチが低下している現代において、デジタル接触の主戦場がスマートフォンであることを裏付けている。
動画視聴の実態
NTTドコモ モバイル社会研究所の動画視聴調査(2024年10月公表)では、30代女性の約2割が1日6時間以上スマートフォンで動画を視聴していることが確認されている。また、動画広告の完全視聴率が高い傾向にある年代や、広告視聴後に商品・サービスを調べる行動については、各配信プラットフォームの公開レポートを参照されたい。
子育て世代の30〜40代は、デジタル広告に対して能動的に反応する購買意欲の高い層であることがデータから読み取れる。
「40代が全年代最長」スマホゲームの意外な実態

ここからが多くのマーケティング担当者にとって予想外のデータになる。
月間プレイ時間は40代が断トツトップ
ゲームエイジ総研の調査(2022年)によると、月間累計ゲームプレイ時間の平均は以下のとおりだ。
年代 | 月間プレイ時間 |
|---|---|
40代 | 43.4時間(全年代最長) |
50代 | 42.7時間 |
60代 | 40.2時間 |
30代 | ― |
20代 | 32.0時間(全年代最短) |
一般的に「ゲームは若者のもの」と捉えられがちだが、データは逆を示している。20代が全年代最短で、40代が最長という事実は、子育て・仕事・家事に追われながらも「スキマを埋めるゲーム」の需要が30〜40代で極めて高いことを示唆している。
毎日プレイ率・プレイ頻度(社会人層)
クロス・マーケティング「ゲームに関する調査(2024年)スマホゲーム編」(全国15〜69歳・スマホゲーム月1回以上プレイ者1,264名、2024年7月実施)によると:
- スマホゲームを「毎日」プレイする人: 全体66%、50代が72%で最高
- 週1回以上プレイ: 全世代で9割前後
SKYFLAGリサーチ「スマホ・PC・家庭用ゲームのプレイ頻度・時間調査」(2024年9月)では、社会人(30〜40代中心)の毎日プレイ率は男性50.4%、女性47.7%と、成人の2人に1人が毎日ゲームをプレイしている実態が確認されている。
課金率のデータ(購買力指標として)
子育て世代の課金傾向も見逃せない(複数調査、確認日: 2026-04-27):
- 30代のゲーム内課金経験者: 61%
- 40代のゲーム内課金経験者: 56%
- 30代男性の「10,000〜30,000円未満/月」の課金割合が特に高い
広告の対象として「課金ユーザー=可処分所得がある層」という読み替えが成立する。
いつ・どんなゲームをプレイしているか:接触タイミングと好みのジャンル
プレイ時間帯のピーク:子どもの就寝後が「黄金時間帯」
SKYFLAGリサーチ(2024年9月)によると:
- 平日・休日ともに20〜22時がプレイ時間帯のピーク
- 平日17時以降: 家族とのゲームプレイが増加
- 休日昼間: 家族・友達とのゲームが拡大
子育て世代の生活サイクルに照らすと、「20〜22時」は子どもの就寝後にあたるケースが多い。仕事・家事・育児が一段落した後の「自分だけのリラックス時間」として、スマホゲームが機能していると考えられる。
広告接触設計への読み替え:
- 20〜22時の配信ウェイトを高める
- 「息抜き・気分転換目的」のプレイ中に接触する広告は、プレイを中断しないサイネージ型が親和性高い
- 通勤・昼休みの短時間プレイにも接触機会あり
好まれるゲームジャンル(30〜40代別)
SKYFLAGリサーチ「性別・年代別スマホゲームの人気ジャンルランキング」(確認日: 2026-04-27)から:
対象 | 人気ジャンル |
|---|---|
40代 | パズルゲーム(38.7%)、RPG(33.9%) |
女性30代以降 | パズルゲーム(72.5%)が圧倒的 |
男性30代 | Pokémon GOがプレイタイトルトップ(クロス・マーケティング2024) |
男性40代 | モンスターストライクがプレイタイトルトップ(クロス・マーケティング2024) |
「短時間で楽しめるパズルゲーム」へ向かう傾向は、可処分時間の制約を反映している。1プレイの単位が短く、途中で止めやすいゲームが選ばれている。
ゲーム内広告のブランドリフト効果データ

なぜゲーム内広告は「嫌われにくい」のか
クロス・マーケティング「ゲームに関する調査(2024年)スマホゲーム編」によると、スマホゲームをする理由として「暇つぶし」72.9%、「気分転換」54.8%という数値が確認されている。子育て世代の30〜40代がゲームをするのは「息抜き・ストレス解消」目的であり、プレイを阻害する広告(インタースティシャル・強制視聴型)は体験価値と相反する。
一方、ゲーム空間内の看板・モニターにシームレスに表示されるサイネージ型広告は、プレイの流れを止めないため心理的抵抗が低い。
グローバルデータ(Anzu調査・2024年)
ARROVA「Anzuの最新インゲーム広告トレンドレポート(2024年)」(確認日: 2026-04-27)から:
指標 | ゲーム内広告(Anzu) | 比較対象 |
|---|---|---|
広告想起リフト | +20ポイント | ― |
購入意向リフト | +8ポイント | ― |
ブランド好意度リフト | +9ポイント | ― |
視認率(IAS測定)・モバイル | 98.7% | ディスプレイ広告平均76.1% |
視認率(IAS測定)・PC | 99.9% | ディスプレイ広告平均76.1% |
注視秒数(1,000インプレッション当たり) | 2,957秒 | Facebookインフィード: 1,106秒 / 標準ウェブバナー: 409秒 |
視認率・注視秒数のいずれの指標でも、ゲーム内広告は他のデジタル広告を大幅に上回っている。「見てもらえる広告」としての性能は現時点でも有数の媒体と言える。
国内参考データ(Ad-Virtua)
Ad-Virtua公式サイト(確認日: 2026-04-27)には、あるブランドのキャンペーン期間中にウェブトラフィック26%増・サイト滞在時間167%増を達成した事例が掲載されている。広告接触後の行動変容(Web誘導)が数値で確認されている点は注目に値する。
データから読む「子育て世代×ゲーム内広告」設計の3原則
原則①:「20〜22時」の接触を最大化する
子どものいる30〜40代親層のプレイピークは「子ども就寝後の夜間」。この時間帯に広告をリーチさせることが、子育て世代への接触効率を上げる上で最も直接的な施策になる。プレイ時間帯の集中度が高いこの層では、SNS広告のように「いつ表示されるかわからない」メディアより、プレイ中に確実に表示されるゲーム内広告の安定性が優位に働く。
原則②:「短時間・反復接触」で設計する
可処分時間が限られた子育て世代は、1プレイが短い。平日のゲームプレイ時間は「1〜2時間未満が中心」(男性25.5%、女性19.9%、SKYFLAGリサーチ2024)であり、通勤・休憩・昼寝中のスキマに分散している。長尺コンテンツへの誘導より、短時間の反復接触でブランドを印象付けるフリークエンシー設計が有効だ。
原則③:「課金率の高さ」をリーチの質として捉える
30代61%・40代56%という課金経験率は、このゲーム層が「コンテンツに対価を払う購買行動」を持っていることを示す。メーカーや飲食・流通など購買力のある生活財ブランドにとって、広告接触先の質(購買意欲・可処分所得)を確保できる層へのリーチとして評価できる。
こんな企業の施策に向いている
子育て世代へのゲーム内広告リーチが特に有効なのは、以下の条件に当てはまる企業・施策だ:
- 食品・飲料メーカー: 子育て世代は食材・飲料の購買決定者。夜間の「家族のための買い物思考」タイミングに接触できる
- 日用品・消費財メーカー: 繰り返し接触によるブランド想起の強化に、ゲーム内サイネージの反復表示が機能する
- 外食チェーン・フードデリバリー: 夕食後〜就寝前(20〜22時)の接触は翌日・週末の来店・注文検討と連動しやすい
- TV広告と並走したい企業: テレビ接触が減るこの世代へのリーチ補完として設計できる
- ナショナルクライアントで動画素材がある企業: 既存のCM素材をゲーム空間内フォーマットで転用しやすい
こんな場合は他の手段も検討する
一方で、以下のケースではゲーム内広告だけで完結させるより、他の施策との組み合わせを検討すべきだ:
- 即時コンバージョン(ECへの直接誘導)が最優先の施策: ゲーム内広告は認知・想起の設計に向いており、クリック型の即時購買誘導には弱い
- 30〜40代に絞った精密ターゲティングが必須の施策: ゲームタイトルの選定で年代別に傾向は作れるが、個人属性のデモグラフィックターゲティングにはSNS広告の方が精度が高い
- 子ども向けコンテンツの訴求: 本記事が扱うのは「親自身のゲーム行動」であり、子どもをプレイヤーとした施策は別途設計が必要
よくある疑問(FAQ)
Q1. 子育て世代の親はゲームを本当にやっているのか?
A. データ上は明確にYesだ。ゲームエイジ総研(2022年)によると40代の月間スマホゲームプレイ時間は43.4時間で全年代トップ、クロス・マーケティング(2024年)ではスマホゲームを毎日プレイする割合が全体の66%に達している。「子育て世代はゲームをしない」という思い込みはデータが否定している。
Q2. プレイ時間帯の「20〜22時」は確かに子育て世代に当てはまるか?
A. SKYFLAGリサーチ(2024年)の「社会人全体のゲームプレイ時間帯ピーク」が20〜22時というデータは、「子育て世代限定」での調査ではない。ただし子育て世代の生活サイクル(子どもの就寝が21〜22時前後)と一致するため、この時間帯が子育て世代にも当てはまる可能性は高い。記事内ではこの点を推論として明記している。
Q3. 可処分時間が少ない子育て世代に広告を見てもらえるのか?
A. 可処分時間が少ないからこそ「スキマ時間のゲーム」というパターンが生まれる。プレイを中断しないゲーム内サイネージ型広告は、インタースティシャル(プレイ中断型)より心理的抵抗が低く、スキマ時間の接触機会に向いている。Anzu調査(2024年)ではゲーム内広告の視認率がモバイルで98.7%と、ディスプレイ広告平均76.1%を大幅に上回るデータもある。
Q4. どのゲームジャンルに出稿すれば子育て世代に届くか?
A. 女性30〜40代はパズルゲーム(72.5%)、男性40代はモンスターストライクやRPG系が人気。SKYFLAGリサーチ(2024年)の年代別ジャンルデータに基づいてタイトル選定することで、より精度の高い接触設計が可能だ。
Q5. テレビCMの代替として子育て世代にリーチできるか?
A. 子育て世代のテレビ離れは博報堂 メディア定点調査2025でも確認されており、スマートフォン接触時間が過去最高の165.1分に到達している。30代インターネット利用は1日5.7〜5.9時間(NTTドコモ・2025年)に及ぶため、テレビCMの補完・代替としてデジタル接触設計にシフトする根拠は十分にある。
まとめ:データが示す「子育て世代×ゲーム内広告」の構造
- 可処分時間の量は少ないが、スキマ時間のスマホ接触は増えている(コズレ調査2024、博報堂メディア定点調査2025)
- 40代の月間スマホゲームプレイ時間は43.4時間で全年代最長(ゲームエイジ総研2022)
- プレイ時間帯は20〜22時に集中(SKYFLAGリサーチ2024)——子どもの就寝後の「自分時間」と重なる
- 女性30〜40代はパズル中心、男性40代はRPG・育成系も好む——タイトル選定でターゲットを絞れる
- ゲーム内広告の視認率は98.7%(モバイル)(Anzu調査2024)——「見てもらえる広告」としての客観的裏付けがある
子育て世代は「広告接触の難しい層」ではない。可処分時間が削られているからこそゲームに逃避し、夜間に集中してプレイしている。その行動パターンを正確に把握してブランド接触を設計することが、この世代へのリーチの第一歩だ。
ゲーム内広告を活用したブランド接触設計の全体像については、以下の記事でも詳しく解説している。
子育て世代・ファミリー層へのゲーム内広告活用について、具体的な施策設計を検討したい場合は、Ad-Virtuaの無料相談(https://ad-virtua.com)からお問い合わせいただきたい。


.jpg)



