ゲーム内広告の出稿先選び:まず知っておくべき「構造の違い」

ゲーム内広告の出稿は、一般的な「広告代理店に運用を委託する」形式とは構造が異なります。サイネージ型・音声型などの主要なゲーム内広告は、プラットフォーム側が運用サポートまで一貫して提供するため、直接依頼が基本です。総合代理店に依頼しても、実際に扱えるのがゲーム外の運用型広告に限られるケースがあります。

この記事では、以下についてまとめています。

  • ゲーム内広告の委託先の種類と構造の違い
  • 主要プラットフォーム4社の費用・実績・サポート体制の比較
  • 目的・予算・ターゲット層別の選び方
  • 委託前に確認すべきゲーム内広告固有の注意点

主な対象読者は、ゲーム内広告の初出稿を検討している食品・日用品・外食・交通などのマーケティング担当者、および既存のデジタル広告施策の補完手段を探している方です。

ゲーム内広告の「委託先」は2種類ある

ゲーム内広告の委託先:プラットフォーム直接依頼と広告代理店経由の違いを示すイメージ

プラットフォーム直接依頼 vs 代理店経由——何が違うか

ゲーム内広告の出稿先は、大きく2つに分かれます。

1. ゲーム内広告専門プラットフォームへの直接依頼

Ad-Virtua(サイネージ型)・GainAds(音声型)・Anzu(プログラマティックサイネージ)などが該当します。これらは媒体社・プラットフォーム事業者であり、「広告枠の提供」と「運用サポート」の両方を自社で担います。コンサルタントが付いてプランニングから配信・レポートまで対応するため、初出稿でも進めやすい体制が整っています。

2. 総合デジタル広告代理店経由

総合代理店は複数媒体を束ねて運用代行します。ただし、多くの代理店が扱う「ゲーム広告」は、Google UAC・Meta・Apple Search Adsなどゲーム外の運用型広告が中心です。ゲーム空間内に溶け込むサイネージ型・音声型の「ゲーム内広告」に対応している総合代理店は現時点では限られており、確認が必要です。

なお、媒体によって代理店経由の可否は異なります。 GainAds(株式会社オトナル)は直接契約のみで代理店経由不可と案内されています(メディアレーダー掲載情報、2026年4月時点)。一方、Ad-Virtuaは代理店パートナー制度を設けており、代理店経由での出稿も受け付けています。

主要プラットフォーム比較表

項目

Ad-Virtua

ごっこランド(キッズスター)

GainAds(オトナル)

Anzu / ARROVA

広告形式

サイネージ型(動画・映像)

体験ゲーム制作型

音声広告

プログラマティック・サイネージ型

最低出稿金額

1週間30万円(税別)

非公開(要相談)

非公開(要相談)

非公開(要相談)

主な対象ユーザー

Z世代〜30代

未就学児〜小学校低学年+保護者

ハイカジゲームユーザー全般

グローバル全年代

短期テスト出稿

○(最短1週間)

×(開発6〜8か月が必要)

△(要確認)

未確認

プレイへの影響

なし(ゲーム内に自然配置)

なし(体験型)

なし(音声)

なし(サイネージ)

ブランドリフト計測

○(広告想起率・注目度等)

△(数値は非公開)

△(CTAボタン効果測定)

○(IAB準拠)

国内サポート

○(専任担当・日本語)

△(ARROVA経由)

代理店経由

○(パートナー制あり)

×(直接契約のみ)

日本語タイトル数

600本以上

1アプリ(ごっこランド)

数百本以上

世界100以上(日本展開はARROVA経由)

※各社の最低出稿金額・仕様は変動する可能性があります。最新情報は各社に直接確認してください。
※Ad-Virtua公式サイト確認日:2026年4月25日 / GainAds:メディアレーダー掲載情報 2026年4月25日確認 / Anzu/ARROVA:ARROVAプレスリリース 2026年4月25日確認

各プラットフォーム詳細

Ad-Virtua(アドバーチャ株式会社)

ゲーム空間内の看板・モニターに動画広告をリアルタイム配信する国内最大級のサイネージ型アドネットワークです。プレイを中断しないため、ゲーマーに嫌われにくい接触形式が特徴です。

費用・プラン(2026年4月時点、公式サイトより)

  • 最低出稿:1週間300,000円(税別)
  • 初期費用:なし
  • CPM:約300〜400円(公式サイト・FUNDINNO資料より)
  • 最短配信開始:翌日
  • レポート:無料提供

実績・効果指標(公式情報・FUNDINNO資料より)

  • 累計再生数:約8,000万回(2026年1月時点、FUNDINNO資料)※公式トップページでは1,800万回突破(2025年4月時点)と記載。計測時点・範囲が異なる可能性があります
  • 対応ゲームタイトル:600本以上
  • ターゲティング:年齢・性別・タイトル・地域別に対応
  • 主なKPI実績:広告想起率約1.8倍、注目度約1.7倍(公式サイト・FUNDINNO資料より。最新数値は公式にご確認ください)

導入事例(公開情報より)

  • 株式会社ブシロード:ウェブ流入26%増、平均滞在時間167%増
  • ネスレ日本(ネスカフェ):レースゲーム内に看板掲載、テレビCMをあまり見ない若年層へのリーチ(出典:メディアレーダー掲載記事)

適している目的:認知拡大・ブランドリフト・Z世代〜30代へのリーチ
向かない目的:即時CV・アプリインストール獲得中心の施策

ごっこランド(株式会社キッズスター)

未就学児〜小学校低学年向けの社会体験アプリ「ごっこランド」内に、企業がオリジナルの体験コンテンツを制作・掲載するサービスです。「ゲーム内広告」というよりも「ブランド体験型コンテンツ配置」に近い形式です。

費用・プラン(2026年4月時点、公式サイトより)

  • 開発費:無料(リリース後にコンテンツ掲載費が発生)
  • 掲載費:非公開(要打ち合わせ)
  • 開発期間:約6〜8か月

実績・規模(公式サイトより)

  • 累計ダウンロード:850万以上
  • 月間新規ユーザー:7〜8万人
  • 掲載企業数:90社以上(NEXCO中日本・伊藤ハム・ほっともっとなど)
  • 1企業あたり毎月平均15万回以上の接触
  • 平均プレイ時間:1回あたり3分

適している目的:未就学児・小学生低学年とその保護者へのブランド体験形成・長期的認知醸成
向かない目的:短期テスト・Z世代以上へのリーチ・速度重視の施策

GainAds(株式会社オトナル)

ハイパーカジュアルゲームのBGM・効果音に溶け込む形で音声広告を配信するプラットフォームです。画面を占有せず、CTAボタンとの組み合わせで効果測定も可能です。

費用・プラン(2026年4月時点)

  • 料金体系:非公開(媒体資料請求が必要)
  • 契約形式:直接契約のみ(代理店経由は対応外と案内 / メディアレーダー掲載情報、2026年4月確認)
  • 対応規模:国内外3億3,000万人以上のゲームプレイヤーにリーチ可能(GameBusiness.jp掲載、2025年7月時点)
  • 資本業務提携:博報堂との提携実績あり

適している目的:音声による自然なブランド接触・ハイカジゲームユーザー層へのアプローチ
向かない目的:視覚的ブランドイメージの訴求・代理店経由の出稿

Anzu / ARROVA

Anzuはイスラエル発のプログラマティック型インゲーム広告プラットフォームで、IABガイドライン準拠のサイネージ型広告をゲーム内に配信します。日本市場へはARROVA(旧:ARROVA株式会社)との戦略的パートナーシップ(2024年6月締結)を通じて展開しています。

規模・概要(ARROVAプレスリリース、2026年4月時点)

  • Anzu SDK採用タイトル:世界100以上
  • 月間アクティブユーザー:世界1億5,000万人以上
  • 料金体系:非公開(要問い合わせ)
  • 日本向けSDK無償提供:2024年8月〜開始

適している目的:グローバル展開・プログラマティック運用・IAB準拠の広告配信
向かない目的:国内限定・小規模テスト(規模・体制の確認が先決)

目的・ターゲット別 おすすめ選定表

目的・状況

おすすめ選択肢

理由

Z世代〜30代への認知拡大(短期テスト含む)

Ad-Virtua

最短1週間・透明な費用・国内実績あり

未就学児〜小学生への長期ブランド体験

ごっこランド

ファミリー層への深い体験形成に特化

聴覚訴求・音声でのブランド接触

GainAds

非視覚チャネルでの差別化接触

グローバル展開・プログラマティック運用

Anzu/ARROVA

IAB準拠・グローバルタイトル対応

複数媒体を総合代理店にまとめたい

まず個別確認が必要

ゲーム内広告に対応した代理店は限られる

選び方の5つのチェックポイント

ゲーム内広告プラットフォーム選定のチェックリストと評価ポイント

1. 目的とKPIを先に決める

ゲーム内広告は認知・ブランドリフト目的に向いており、即時CVやアプリインストール獲得を主目的とする運用型広告とは設計思想が異なります。出稿前に「何を測るか」を明確にしてください。

  • 認知拡大・想起率向上 → サイネージ型・音声型
  • ブランド体験の形成 → 体験ゲーム型(ごっこランド等)
  • CV・インストール獲得 → ゲーム内広告以外の手法を検討

2. ターゲット層の年齢・属性とゲームタイトルの親和性

同じ「ゲーム内広告」でもプラットフォームごとに対象ユーザーが大きく異なります。Z世代〜30代が対象ならサイネージ型、未就学児ファミリーが対象なら体験ゲーム型、というように、ターゲット層を先に確定してから選ぶことが重要です。また、自社ブランドイメージと配信タイトルのジャンル・世界観が合っているかも確認してください。

3. 最低出稿金額とテスト期間

「効果確認後に本格投資」のテストフェーズで使えるかどうかは、プラットフォームを選ぶ上で現実的な判断軸です。公式に費用が開示されていない媒体は、問い合わせ後に想定外のMOQが判明するケースもあります。現時点(2026年4月)で費用を公開しているのはAd-Virtuaのみです。

4. 計測・レポート体制

広告想起率・ブランドリフトを計測できるかは、社内への効果報告において重要です。「配信レポート」だけでなく、認知系KPIの調査・計測まで対応しているかを確認してください。

5. 契約・解約条件とデータ引き渡し

代理店経由で出稿する場合、以下を契約前に必ず確認してください。

  • 広告アカウントの名義・管理者権限は誰か
  • 解約時のデータ引き渡し手順
  • 最低契約期間と途中解約の条件
  • 担当者変更時の引き継ぎ保証

委託前に確認すべきゲーム内広告固有の注意点

広告代理店やプラットフォームとの契約・委託前に確認すべき注意点を議論するビジネスチームのミーティング

ブランドセーフティの設定

配信タイトルを指定・除外できるかどうかは、ブランドイメージ保護の観点で重要です。「暴力表現を含むタイトルには配信しない」「特定ジャンルのみに絞る」といったブランドセーフティ設定の可否を確認してください。

プラットフォームと総合代理店の役割分担

総合代理店にゲーム内広告の「運用代行」を依頼しても、代理店が実際に動かすのはゲーム外の運用型広告(Google UAC・Meta等)であるケースが少なくありません。「ゲーム内広告(サイネージ型・音声型)を具体的にどう実施するか」を事前に明確にしてください。

KPIの合意(認知系KPIの計測方法)

広告想起率・ブランドリフトリサーチの有無、計測手法、レポート頻度を委託前に書面で確認します。「認知向上」という曖昧な目標のまま進めると、効果評価が難しくなります。

最低出稿期間と成果確認のタイミング

認知施策は即時効果が出にくく、ある程度の接触頻度と期間が必要です。「1週間試して判断したい」という場合と「3か月継続したい」では、適切なプランが異なります。プラットフォームに「どれくらいの期間・予算で効果測定できるか」を具体的に確認してください。

こんな企業に向いている / こんな企業には向かない

ゲーム内広告(サイネージ型・音声型)が向いている企業

  • Z世代〜30代への認知拡大を課題とするナショナルブランド(食品・飲料・日用品等)
  • テレビCM・SNS広告の補完施策として新しい接触面を探している
  • 「嫌われない広告接触」でブランド好感度を高めたい
  • 少額テストから始めてROIを確認したい(Ad-Virtuaのような週単位プランが有効)
  • 動画素材を流用できる(クリエイティブ制作コストを抑えたい)

ゲーム内広告(サイネージ型・音声型)が向かない企業

  • 今すぐのCV・会員登録・アプリインストールが主目的
  • ゲームユーザー以外(シニア層・専門職等)をメインターゲットにしている
  • ターゲットが未就学児〜小学生ファミリー層のみ(→ごっこランドのような体験ゲーム型が適切)
  • 月単位の大規模プログラマティック運用をすぐに開始したい(グローバル実績のある媒体への相談を推奨)

Ad-Virtuaが合う企業の条件

以下の条件に当てはまる企業には、Ad-Virtuaが選択肢に入りやすいです。

  1. ターゲットがZ世代〜30代のゲームユーザー:国内600タイトル以上のモバイル・ブラウザゲームに配信可能
  2. 週単位のテスト出稿から始めたい:1週間30万円から開始でき、最短翌日配信。費用体系が明示されているため予算計画が立てやすい
  3. テレビCM・SNS広告のクリエイティブを流用したい:既存の動画素材をそのままゲーム内看板に転用できる
  4. 広告想起率・ブランドリフトをKPIにしている:専任担当のサポートと計測レポートが無料で提供される
  5. 代理店経由での出稿も検討している:代理店パートナー制度があり、既存の取引代理店経由での出稿も相談可能

詳しいプラン・費用感の確認は、ゲーム内広告の費用・料金相場の記事も参考にしてください。

また、ゲーム内広告の種類・仕組みを基礎から理解したい場合は「ゲーム内広告とは|仕組み・種類・効果を解説」をあわせてご覧ください。

よくある疑問

Q1. ゲーム内広告は広告代理店に頼まなくても出稿できますか?

はい、可能です。Ad-VirtuaやGainAdsなどの専門プラットフォームは、広告主からの直接問い合わせに対応しており、専任担当者がプランニングから配信・レポートまでサポートします。既存の取引代理店を通じた出稿を希望する場合は、代理店経由の対応可否を事前に確認してください。

Q2. 総合広告代理店に「ゲーム内広告もやってほしい」と依頼してもいいですか?

依頼自体は可能ですが、代理店が実際に扱えるのがゲーム外の運用型広告(UAC等)に限られるケースがあります。「ゲーム空間内のサイネージ型・音声型広告」を明示して、実施できるか確認してから進めることをお勧めします。

Q3. ゲーム内広告の費用の目安を教えてください。

現時点(2026年4月)で費用を公開しているのはAd-Virtuaのみで、1週間300,000円(税別)が最低出稿金額です。他のプラットフォーム(ごっこランド・GainAds・Anzu)は要問い合わせです。総合代理店経由の手数料は一般的に広告費の15〜25%が目安とされています(digital-gorilla.co.jp記事、2026年4月確認)。

Q4. 未就学児・小学生にリーチしたい場合、ゲーム内広告は使えますか?

Ad-VirtuaはZ世代〜30代中心で、未就学児ファミリー向けはカバー範囲が限られます。ファミリー層への深い体験接触を目的とする場合は、ごっこランド(株式会社キッズスター)のような専門サービスの方が適しています。

Q5. 委託後にデータやアカウントは手元に残りますか?

プラットフォームへの直接依頼の場合、配信レポートデータは基本的に提供されます。代理店経由で出稿する場合は、広告アカウントの名義・管理者権限・解約時のデータ引き渡し手順を契約前に確認してください。曖昧なまま進めると、解約後にデータへのアクセスができなくなるリスクがあります。

まとめ

ゲーム内広告の出稿先を選ぶ際の要点をまとめます。

  • ゲーム内広告(サイネージ型・音声型)はプラットフォームへの直接依頼が基本。総合代理店が対応できる範囲の確認が先決
  • 目的・KPIを先に決める:認知拡大・ブランドリフトが目的か、CV・インストールが目的かで最適な手法が変わる
  • ターゲット層でプラットフォームを選ぶ:Z世代〜30代にはサイネージ型・音声型、ファミリー層には体験ゲーム型
  • 費用・契約条件・ブランドセーフティ設定を委託前に確認する
  • テスト出稿から始めたい場合は、週単位で出稿可能な媒体(例:Ad-Virtua)が選択肢になる

ゲーム内広告の具体的な種類・仕組みについては「ゲーム内広告とは|仕組み・種類・効果を解説」を、費用の詳細は「ゲーム内広告の費用・料金相場」を参考にしてください。

ゲーム内広告の出稿を検討している場合、まずは各プラットフォームに問い合わせて、自社の目的・ターゲット・予算との適合を確認することをお勧めします。