食品・飲料の新商品が「店頭に並んでも売れない」最大の原因は、ローンチ前後の認知設計が単発で終わっていることです。発売前(ティザー期)・発売直後(ローンチ期)・発売後(サステイン期)の3フェーズを媒体別に設計し、若年層への接点を継続的に確保することで、想起率と購買意向の両方を高められます。

この記事では、食品・飲料メーカーのマーケティング担当者・ブランドマネージャーを対象に、以下の内容を実践的に解説します。

この記事でわかること:

  • 新商品ローンチで直面する構造的な課題と、その背景にある市場変化
  • ティザー期→ローンチ期→サステイン期の3フェーズ×媒体別の設計マトリクス
  • 若年層リーチで使える主要媒体の特徴(TVCM / SNS広告 / ゲーム内広告 / インフルエンサー)
  • TVCM素材をそのままゲーム内広告に転用する方法とコストメリット
  • ゲーム内広告が自社の食品・飲料ブランドに向くかどうかの判断基準

食品・飲料メーカーが新商品ローンチで直面する3つの構造的課題

食品・飲料の新商品ローンチで直面する市場課題のイメージ

食品・飲料の新商品ローンチが難しくなっている背景には、市場環境の変化が複合的に絡んでいます。

課題1:若年層への地上波リーチが構造的に困難になっている

テレビCMは依然として幅広い世代への認知獲得に有効ですが、10〜20代(Z世代)への到達力は年々低下しています。電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)によると、食品業種の新聞広告費は前年比85.3%と減少が続いており、マス広告一本では若年層の獲得が難しくなっています。

一方で、インターネット広告費は2025年に4兆459億円(前年比110.8%)に達し、初めて総広告費の50%を超えました。動画広告費も1兆275億円(前年比121.8%)と初の1兆円超を記録しており、予算のデジタルシフトは加速しています(出典:電通「2025年 日本の広告費」、2026年3月5日)。

課題2:SNS広告の「広告疲弊」と競争激化

デジタルシフトの受け皿としてSNS広告の活用が進む一方で、スキップや広告疲弊の問題が顕在化しています。TikTokやInstagramは拡散力と視覚訴求力に優れますが、競合が多く、クリエイティブの差別化コストと運用工数が増大しています。

課題3:「認知」が「購買」につながらない施策の断絶

新商品ローンチでよく見られるのが「発売直後に集中出稿し、1〜2か月後に予算が尽きる」パターンです。認知は取れても、購買行動や想起率の維持につながらず、次の施策の起点を作れないまま棚落ちに至るケースは少なくありません。

ブランド認知は一般的に、接触から購買意向に変わるまでに複数回の接触が必要で、ブランドロイヤルティの向上には1〜3年の継続施策が必要とされています。単発のローンチキャンペーンだけでは、消費者の記憶に残るブランドを作ることは難しいのが現実です。

ローンチ前後の3フェーズ×媒体別 設計マトリクス

ティザー期・ローンチ期・サステイン期の媒体設計マトリクスのイメージ」 width=

新商品の認知設計は「発売前・発売直後・発売後」の3フェーズに分けて設計するのが基本です。各フェーズで目的が異なるため、使う媒体と期待する効果も変わります。

フェーズ

期間目安

目的

主要施策

向く媒体

ティザー期(発売前)

発売4〜2週間前

期待感の醸成・話題喚起

SNS予告・インフルエンサー先行体験・PR配信

Instagram/TikTok・インフルエンサー

ローンチ期(発売直後)

発売週〜3週間

最大リーチ・購買行動喚起

TVCM集中出稿・デジタル広告・店頭キャンペーン

TVCM・YouTube・SNS広告

サステイン期(発売1か月後〜)

発売1か月後〜継続

継続的な想起維持

ゲーム内広告・リターゲティング・SNS継続発信

ゲーム内広告・DSP・OOH

ティザー期(発売4〜2週間前):「知りたい」を作る

ティザー期の目的は、まだ発売されていない商品への関心と期待感を醸成することです。この時期に「SNSで見かけた」「インフルエンサーが紹介していた」という接触を作ると、発売直後の認知が加速します。

食品・飲料のティザーで効果的なのは、「映える・食べたくなる」ビジュアルを用いたInstagram投稿や、調理・飲用シーンを見せるTikTok動画です。ギンビス「たべっ子どうぶつ」がキャラクターをグッズ化して推し活需要を取り込んだ事例では、2022年度の売上が2020年度比180%に達したとの報告があります(複数メディア報道)。

ローンチ期(発売週〜3週間):「最大リーチ」で押し切る

ローンチ期は一時的なリーチの最大化が最優先です。TVCMは幅広い世代への認知獲得と信頼性付与に有効で、デジタル広告との組み合わせで購買行動を促します。

この時期のSNS広告はターゲットセグメントを絞って集中的に配信することが基本です。動画広告のストーリー形式はコンバージョン導線として機能しやすく、2025年のSNS広告動向調査では動画広告でストーリー形式が前年比+6ポイント以上の上昇が確認されています(PRIZMA調査、2025年)。

サステイン期(発売1か月後〜):「忘れさせない」ための継続接触

サステイン期に最も多く見られる失敗は「予算が尽きて施策を止める」ことです。この時期に重要なのは、低コストで継続的に想起を維持する手段を確保することです。

ここでゲーム内広告の活用が効いてきます。ゲーム空間の看板やモニターに動画広告を表示するため、プレイヤーが日常的にゲームを開くたびに自然な形でブランドに接触できます。予算を抑えながら長期的な想起維持が可能で、特にTVCM予算が一段落した後のブランド維持施策として機能します。

若年層リーチを左右する媒体選定:主要4媒体の特徴

若年層リーチを狙う飲料・食品ブランドの媒体選定イメージ

現在、食品・飲料メーカーが若年層(10〜20代)へのリーチに使える主な媒体はTVCM・SNS広告・ゲーム内広告・インフルエンサーの4種類が中心です。

媒体

若年層リーチ力

特徴

主な課題

向くフェーズ

TVCM

中(低下傾向)

幅広い認知・信頼性付与

Z世代の地上波離れ

ローンチ期

SNS広告(TikTok/Instagram)

拡散性・ビジュアル訴求・即時性

広告スキップ・疲弊・競争激化

ティザー期・ローンチ期

ゲーム内広告

中〜高

嫌われにくい・高視認率・TVCM素材転用可

日本国内の認知度はまだ発展途上

サステイン期

インフルエンサー

信頼感・UGC生成・ニッチ訴求

コスト・炎上リスク・拡散の予測困難

ティザー期・ローンチ期

Z世代の約80%がゲームをプレイしており、1日の平均プレイ時間は約100分とされています(出典:Ad-Virtua公式サイト、2025年4月確認)。これは、ゲーム空間が若年層への接触機会として無視できない規模であることを示しています。

一方でSNS広告は即効性が高い半面、広告スキップや「広告疲弊」が問題になりやすく、クリエイティブの刷新コストも増大しています。4媒体を単独で使うよりも、フェーズごとに組み合わせて補完し合う設計が実効性を高めます。

ゲーム内広告が食品・飲料の認知設計に向く3つの理由

理由1:SNS広告と補完関係にある(スキップされない接触)

ゲーム内広告はゲーム空間内の看板やモニターに動画が映し出される形式で、広告のスキップが発生しません。プレイヤーがゲームを楽しんでいる最中に視界に入るため、強制視聴ではなく自然な形での接触が実現します。

Frameplay・Happydemics共同調査(2024年、173キャンペーン分析)では、ゲーム内広告の広告想起率は32%と全デジタル形式の中で最高水準であることが示されています。また、ブランド帰属率52%(メディア平均比+9ポイント)と、見た広告が「どのブランドのものか」を記憶しやすい特性も確認されています(出典:Yahoo Finance、Frameplay and Happydemics Study、2024年確認)。

SNS広告でリーチを取り、ゲーム内広告でブランド想起を積み重ねるという使い分けが、若年層マーケティングにおける現実的な設計です。

理由2:TVCM素材をそのまま転用できるコスト優位性

多くの食品・飲料大手はTVCM素材を保有しています。ゲーム内広告プラットフォームはTVCM動画をそのまま活用できるため、追加の動画制作コストをかけずに展開できます。

TVCMとゲーム内広告の素材を共有することで、制作コストを抑えながら接触媒体を増やすことが可能です。特に年間で複数の新商品をローンチする食品・飲料メーカーにとって、素材流用によるコスト削減は実務上の大きなメリットになります。

理由3:FMCGカテゴリでの購買意向を押し上げるデータ

Frameplay・Happydemics調査(2024年)では、FMCG(日用消費財)業種におけるゲーム内広告の購買検討スコアが、セクター平均比+4ポイントを記録しています。また購買検討指標は24%で、ゲーム内広告ベンチマーク比+2ポイントという結果も示されており、食品・飲料カテゴリとの相性の良さが示唆されています(出典:Yahoo Finance、2024年確認)。

海外ではDanio(乳製品ブランド)がFortnite内でゲーム内広告を展開し、1週間で65万回以上の視聴を達成した事例(Frameplay・Happydemics調査、2024年)も報告されており、食品カテゴリでのゲーム内広告活用事例は国内外で増加しています。

施策別の認知KPIと測定指標

施策別の認知KPIと効果測定指標のイメージ(ゲーム内広告・SNS広告・TVCM)

「何を打ち手にするか」と同じくらい重要なのが「何で効果を測るか」です。施策と測定指標をセットで設計しておかないと、ローンチ後の改善サイクルが回りません。

施策

主な測定KPI

測定方法

TVCM

GRP・到達率・ブランドリフト(リコール率)

視聴率調査・ブランドリフト調査

SNS広告

リーチ数・エンゲージメント率・CVR・指名検索数

広告プラットフォーム管理画面・GA4

ゲーム内広告

広告想起率・視認率・CPM・インプレッション数

プラットフォーム提供のレポート

インフルエンサー

リーチ数・UGC件数・指名検索数の増減

SNS分析ツール・GA4

現時点では、ゲーム内広告は「ブランド認知・想起率の維持」に特化した施策として位置づけ、EC売上やコンバージョン直結の指標よりも、指名検索数の増減や購買検討スコアを追うのが現実的です。

食品・飲料でのゲーム内広告 活用事例

国内事例

国内のゲーム内広告プラットフォームであるAd-Virtuaでは、食品・飲料企業向けの活用事例として以下が確認されています:

  • ロッテ Fit's:ダンス動画キャンペーンとゲーム内広告を組み合わせた訴求
  • 日清 カレーめし:演出戦略との組み合わせで若年層へのリーチを強化
  • 燃焼系アミノ式:繰り返し訴求による想起率の向上

詳細な費用・期間・効果数値は非公開ですが、TVCMで培った映像素材をゲーム内広告に転用している点が共通しています。詳細はゲーム内広告とは何かを解説したゲーム内広告の種類・仕組み・費用まとめもご参照ください。

海外事例(FMCGブランド)

  • Danio(乳製品):Fortnite内でキャラクターのエネルギー低下時に広告を表示。1週間で65万回以上の視聴を達成(Frameplay・Happydemics調査、2024年)
  • Pringles(ケロッグ):Activision Blizzard Mediaとのパートナーシップでブランド認知強化
  • Ben & Jerry's:モバイルプラットフォームのリワード動画広告で熱心なオーディエンスにリーチ

これらは海外事例ですが、FMCGブランドがゲーム空間での広告接触を「想起維持」のための継続施策として活用していることが共通しています。

ゲーム内広告が向いている食品・飲料企業 / 向いていない企業

こんな食品・飲料企業に向いています

  • TVCMを毎年出稿しており、既存の動画素材がある企業:新規制作コストをかけずにゲーム内広告へ転用できます
  • 10〜20代(Z世代)を主要ターゲットに置く商品をローンチする企業:飲料・お菓子・エナジー系食品など、若年層の日常消費に近い商品と特に相性が良いとされています
  • TVCM後の「サステイン期」に継続的な想起維持コストを抑えたい企業:週単位から始められる出稿形態のため、スポット的な予算追加が可能です
  • ブランドリフト(広告想起率・視認率)を定量的に把握したい企業:ゲーム内広告プラットフォームは想起率・視認率等のKPIレポートを提供するため、効果測定がしやすい環境があります
  • 複数商品を並行して認知維持する必要がある食品・飲料大手:商品別に出稿する細かい設計が可能です

Ad-Virtua(2025年4月時点確認)では、最低出稿額は100,000円〜(税抜)で、最短即日配信・請求書払いに対応しています。TVCMに比べて初期投資を抑えながら若年層接点を補完する選択肢として検討できます(出典:Ad-Virtua公式サイト、2025年4月確認)。

こんな企業にはおすすめしません

  • 即時のコンバージョン(EC購買・来店)を最優先にしたい企業:ゲーム内広告はブランド認知・想起向上に強みがあり、短期的なCV直結効果は他のデジタル広告と比べて期待しにくい面があります
  • 食品・飲料以外のBtoBターゲットのみの商品:ゲーム内広告のメインオーディエンスは個人消費者(生活者)のため、BtoB向け商材との相性は限定的です
  • 動画素材が一切ない企業:ゲーム内広告は動画フォーマットが基本のため、静止画のみの場合はまず動画制作が必要になります

よくある疑問

Q. TVCM素材をゲーム内広告に使えるとのことですが、編集は必要ですか?
A. 現時点では、既存のTVCM動画を追加編集なしでそのまま転用できる場合が多いとされています。ただし、ゲーム空間の縦横比やファイル形式の確認は必要です。詳細は各プラットフォームの仕様をご確認ください。

Q. 食品カテゴリの中でも、どんな商品がゲーム内広告に向きますか?
A. 公式に明示された業種別データは限定的ですが、一般的にはZ世代・ゲーマーの日常消費に近い商品(飲料・スナック・エナジー系食品・即席食品)との相性が良いとされています。Frameplay・Happydemics調査(2024年)でもFMCG業種全体での購買検討スコアが平均を上回る結果が示されています。

Q. ローンチ期とサステイン期でゲーム内広告の使い方は違いますか?
A. 一般的には、ローンチ期はTVCMやSNS広告で最大リーチを取り、ゲーム内広告はサステイン期(発売1か月以降)の継続的な想起維持として活用するパターンが多いです。サステイン期はTVCM予算が落ち着くタイミングのため、比較的少ない予算で継続接触を確保できるゲーム内広告が補完施策として機能します。

Q. 若年層以外(30〜40代)にもリーチできますか?
A. ゲームプレイヤーは10〜20代が中心ですが、30〜40代のゲームプレイヤーも一定数存在します。プラットフォームによっては年齢層・性別でのセグメント配信が可能なため、ターゲットに合わせた配信設計が可能です(出典:Ad-Virtua公式サイト、配信機能確認、2025年4月)。

Q. ゲーム内広告の効果はどう測定しますか?
A. 広告想起率・視認率・インプレッション数・CPMがゲーム内広告プラットフォームの主要KPIです。ブランドリフト調査を組み合わせることで、ゲーム内広告接触前後の認知率・購買意向の変化を測定できます。

まとめ:食品・飲料の新商品ブランド戦略で押さえるべきポイント

食品・飲料の新商品ローンチで認知を積み上げるには、単発のキャンペーンではなく3フェーズ(ティザー・ローンチ・サステイン)を通じた継続的な媒体設計が基本です。

若年層(Z世代)へのリーチは、地上波TVCMだけでは構造的に難しくなっています。SNS広告で拡散力を確保しつつ、ゲーム内広告でスキップされない接触を継続させることが、認知から想起定着につなげる現実的な手順です。

ゲーム内広告のメリットは、TVCM素材をそのまま転用できるコスト優位性・スキップなしの自然な接触による高い広告想起率・サステイン期の想起維持に適した継続出稿の3点に集約されます。

ゲーム内広告の詳細な費用感・配信設計についてはこちらもご参照ください:

Ad-Virtuaは国内最大級のゲーム内広告ネットワーク(400タイトル以上対応)で、食品・飲料メーカーのTVCM素材を活用した若年層への認知施策を支援しています。最低出稿額100,000円〜(税抜)、最短即日配信対応。新商品ローンチやサステイン期の認知維持施策を検討中のご担当者は、まずお問い合わせフォームからご相談ください。