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ゲーム内広告の効果測定と評価指標【完全ガイド】KPI設計から測定方法まで

ゲーム内広告の効果を「クリック率(CTR)」だけで判断すると、施策の本来の価値を見逃します。ゲーム内広告は認知・想起・好感度の向上が主目的のため、リーチ・認知想起・行動の3層に分けたKPI設計が不可欠です。
本記事でわかること:
- ゲーム内広告でクリック率が主指標にならない理由
- リーチ・認知想起・行動の3層KPI設計の具体的な方法
- ビューアビリティ・アテンション・ブランドリフトの計測手法
- IAB/MRCが定めた業界標準の測定基準
- TVCM・SNS広告・Web広告との指標比較
- 測定レポートの読み解き方とよくある失敗
この記事の対象読者: 食品・飲料・日用品・外食・交通など幅広い業種のマーケティング担当者・ブランドマネージャーで、ゲーム内広告を検討中または出稿後のレポート評価に課題を感じている方。
クリック率だけでゲーム内広告を評価してはいけない理由

ゲーム内広告(In-Game Advertising)は、ゲームプレイを中断せずにブランドメッセージを届ける認知施策です。その目的は「今すぐ購買させる」ことではなく、ブランドを覚えてもらう・好きになってもらうことにあります。
Web広告やリスティング広告は「クリックしてサイトに来た人に購買してもらう」設計のため、CTRやCVRが主要KPIになります。一方、ゲーム内広告はTVCMに近い認知施策として位置づけられ、クリック行動を前提としていません。
たとえばゲーム空間内の看板・モニターに表示されるサイネージ型広告は、ゲームの世界観に溶け込みながらブランドを印象づける仕組みです。測定すべきは「何人に届いたか」「どれだけ覚えてもらえたか」「好きになってもらえたか」という認知・想起・好感度の変化です。
認知拡大を目的とした施策にCTRを主KPIとして設定すると、「クリックが少ない=効果なし」という誤った評価につながります。 目的に合ったKPIを選ぶことが、正しい効果測定の第一歩です。
ゲーム内広告の評価指標:3層構造で設計する

効果測定を体系化するには、以下の3層に分けて指標を設定することが一般的です。(出典: Ad-Virtua公式コラム「FMCG向け認知KPI設計」https://ad-virtua.com/column/fmcg-awareness-kpi-design/ 確認日: 2026-04-09)
層 | 目的 | 主な指標 |
|---|---|---|
①リーチ・露出系 | 広告が届いた数を確認する | インプレッション数、ユニークリーチ数、フリークエンシー |
②認知・想起系 | 記憶・態度の変化を測る | 純粋想起率、助成想起率、広告想起率、好感度、購買意向 |
③行動・反応系 | 実際の行動変化を追う | 指名検索数の増加、Webアクセス数、購買数・売上 |
この3層を目的別に組み合わせることで、ゲーム内広告の効果を多角的に把握できます。
主要評価指標の詳細解説
ビューアビリティ(視認性)
ビューアビリティとは「広告が実際に画面上に表示されたか」を示す指標です。表示されていない広告はゼロの効果しかないため、あらゆるデジタル広告でベースラインとなる指標です。
IAB/MRCのゲーム内広告ビューアビリティ基準(出典: IAB/MRC「In-Game Advertising Measurement Guidelines」確認日: 2026-04-09):
- スクリーンサイズの最低 1.5% 以上
- ピクセルの 50%以上 が表示されている
- 視角 55度未満
- 連続1秒以上 の視聴
この基準は2025年に改定され、VR/AR等の3D環境への対応と、従来の「累積視聴10秒」要件を廃止して他メディアと統一されました。Google・電通・Zyngaら36社が4か月かけて策定した業界標準です。
ゲーム内広告のビューアビリティ実績値(出典: Anzu.io ゲーム内広告計測ガイド 確認日: 2026-04-09):
広告フォーマット | ゲーム内広告 | デジタル広告業界平均 |
|---|---|---|
モバイル表示広告 | 98.9% | 60.7% |
PC表示広告 | 93% | 63.7% |
動画広告 | 95% | モバイル82%/PC79% |
※上記はAnzuプラットフォームの計測値。Ad-Virtuaの公式発表では視認率最大96%(業界平均67%比)と公表しています(出典: ad-virtua.com 確認日: 2026-04-09)。
アテンション(注視度)
ビューアビリティが「表示されたか」を測るのに対し、アテンションは「ユーザーが実際に注視したか」を測ります。
IAS(Integral Ad Science)によれば、高アテンション広告インプレッションは低アテンション比でコンバージョン率に3倍の差があることが示されています(出典: IAS https://integralads.com/jp/insider/why-attention-metrics-essential-successful-campaigns/ 確認日: 2026-04-09)。
アテンション指標の4つの観点:
- ビジビリティ(視認性・表示時間)
- シチュエーション(広告密度・スクリーン占有率)
- インタラクション(ユーザーとの関わり方)
- アイトラッキング(視線・注視点の計測)
IAB/MRCは2025年11月にアテンション測定ガイドラインを発表し、業界全体での標準化が進んでいます。
ブランドリフト(態度変容)
ブランドリフトとは、広告接触によってブランドへの態度(認知・好感度・購買意向等)がどれだけ変化したかを測る調査手法です。
ブランドリフト調査の計測KPI(主要):
- ブランド認知度(純粋想起率・助成想起率)
- 広告想起率
- ブランド好感度
- 購買意向
実施方法は、広告接触群(実際に広告を見たユーザー)と非接触群(コントロールグループ)に分け、同一のアンケートを実施してその差を計測するランダム化比較試験(RCT)が標準です。
費用目安:50万〜200万円程度(調査設計・サンプル数によって変動。複数メディア調査をもとにした推計値)
アトリビューション(行動変容)
広告接触後に購買・サイト訪問・指名検索が増えたかを測る指標です。ゲーム内広告は直接クリックでのCV測定が困難なケースが多いため、以下のような間接的な計測方法が一般的です。
- 指名検索数の増加:Google Search Consoleでブランドキーワードの検索数変化を計測
- Webアクセス数の増加:Google Analyticsでキャンペーン前後のオーガニック流入変化を比較
- 購買数・売上:スーパー・POSデータとの照合(小売KPIとの連動)
目的別KPI設計マトリクス
広告目的によって選ぶべき指標が変わります。出稿前にこの表を参考にKPI設計を行うことをおすすめします。
広告目的 | 主要KPI | 測定方法 | 参考指標(Ad-Virtua公式値) |
|---|---|---|---|
認知拡大 | 広告想起率・視認率 | ブランドリフト調査 | 広告想起率 業界誘導想起58%(他Web広告比約1.8倍) |
ブランド好感度向上 | 好感度・NPS | 事前後アンケート | 広告好感度 約85% |
リーチ最大化 | インプレッション・フリークエンシー | 配信レポート | CPM 約300〜400円(目安) |
行動変容 | 指名検索増加率・Web流入増加 | Google Analytics等 | キャンペーン前後でキーワード検索量比較 |
※CPMは公式ページにより300円・400円の表記があります。正確な数値は公式へ問い合わせください(確認日: 2026-04-09)。
ブランドリフト調査の実施方法

ゲーム内広告の認知効果を定量的に証明するうえで最も有効なのがブランドリフト調査です。以下はRCT(ランダム化比較試験)による一般的な実施フローです。
実施ステップ:
- 事前設計(キャンペーン開始前):測定するKPI(認知率・好感度・購買意向等)を決める。対照群(広告非接触グループ)の設計を行う
- 配信開始:広告配信と並行してアンケート回収の準備
- 配信中のモニタリング:インプレッション数・視認時間の定点確認
- キャンペーン終了後アンケート実施:接触群・非接触群の双方に同一アンケート
- 差異の算出・レポーティング:接触群 - 非接触群の差がブランドリフト値
設計時の注意点:
- サンプル数が少ないと統計的有意性が得られないため、最低でも各群500〜1,000人が目安
- アンケート設問はバイアスがかからないよう中立的な表現にする
- 「広告を見た記憶があるか」の設問で接触確認を取ることが多い
なお、Ad-Virtuaでは配信後のレポーティングを専任担当が実施しています。ブランドリフト調査の具体的な実施形式(代行対応の可否等)については、公式サイトよりお問い合わせください。
他媒体との指標比較:ゲーム内広告はどこが違うか
ゲーム内広告を既存の施策に追加すべきか判断するために、主要媒体との指標の特性を比較します。
比較項目 | TVCM | SNS広告 | Web広告(ディスプレイ) | ゲーム内広告(サイネージ型) |
|---|---|---|---|---|
主な目的 | 認知・ブランド形成 | 認知〜購買 | 購買・CV | 認知・好感度・想起 |
主要KPI | GRP・視聴率・ブランドリフト | CTR・CPM・エンゲージメント | CTR・CVR・CPA | 視認率・広告想起率・好感度 |
スキップ/回避 | ほぼなし(通常視聴) | スキップ可・スクロール飛ばし | バナーブラインド化 | プレイ阻害なし・回避しにくい |
視認率の目安 | 高い(テレビ前に座る前提) | 変動大(スクロール速度次第) | 業界平均60〜67% | 最大96%(Ad-Virtua公式値) |
広告好感度 | 内容次第 | やや低い(邪魔と感じるケース多) | 低い(バナー回避傾向) | 約85%(Ad-Virtua公式値) |
CPM目安 | 数千円〜 | 200〜1,000円 | 100〜500円 | 約300〜400円(Ad-Virtua目安) |
ターゲット精度 | 番組視聴者に依存 | 年齢・趣味・行動で絞れる | サイト・キーワード等 | ゲームジャンル・ユーザー属性 |
測定の容易さ | ブランドリフト調査が必要 | 配信ダッシュボードで即時 | 配信ダッシュボードで即時 | 配信レポート+ブランドリフト推奨 |
ゲーム内広告は「TVCMに近い認知効果」を「Webに近いCPM」で得られる施策として位置づけられます。TVCM単独では届きにくい若年層・ゲームユーザー層へのリーチに強みがあります。
測定レポートの読み解き方とPDCA
配信レポートで確認すべき3つの数値
- インプレッション数:設計したリーチ目標を達成しているか
- 視認時間(平均):短すぎる場合は配置や尺に課題がある可能性
- フリークエンシー:同一ユーザーへの接触回数。多すぎると広告疲れを起こす(目安: 3〜5回/人)
ブランドリフト調査結果の読み方
- 広告想起率:「その広告を見た記憶がある」と回答した割合。業界平均33%(誘導想起)を上回るかが一つの目安
- 純粋想起率:「そのカテゴリで思い浮かぶブランド名」を聞いたときに回答された割合。長期的なブランド戦略の評価指標
- 好感度:広告接触後に「このブランドが好き」と回答した割合の変化
PDCAへの組み込み方
フェーズ | チェック項目 | 改善アクション |
|---|---|---|
配信直後(1〜2週間) | インプレッション・フリークエンシー | 配信量・対象タイトルの調整 |
中間(1か月) | 視認時間・指名検索数変化 | クリエイティブの差し替え |
終了後 | ブランドリフト・購買KPI | 次回出稿の予算・期間設計に反映 |
よくある失敗と測定上の注意点
失敗1:CTRを主KPIに設定してしまう
サイネージ型のゲーム内広告はクリック誘導が目的ではないため、CTRは通常、Web広告と比較して低く出ます。CTRで評価すると「効果がなかった」という誤った結論になるケースが多いです。
対策:目的をリーチ・認知・好感度に設定し、ブランドリフト調査の実施を計画段階から組み込む。
失敗2:ビューアビリティを「視認率100%」と過信する
視認率は「画面上に表示されたか」の指標です。表示されてもユーザーが注目していない(アテンション不足)ケースがあります。特にゲームの画面端に小さく表示される広告は視認率が高くても注目度が低いことがあります。
対策:ビューアビリティに加え、平均視聴時間やアテンション指標を合わせて確認する。
失敗3:ブランドリフト調査の設計ミス
対照群の設定が不適切だったり、アンケートのサンプル数が少なすぎたりすると、統計的に意味のある数値が得られません。
対策:調査設計は出稿前に確定する。最低でも接触群・非接触群それぞれ500人以上のサンプルを確保する目安で計画する。
失敗4:短期でブランドKPIを評価する
認知・好感度は1〜2週間の短期配信で劇的に変化しにくいです。
対策:認知目的のキャンペーンは最低4〜8週間を期間の目安とし、前後比較で評価する。
Ad-Virtuaが提供するレポート体制と実績数値
ゲーム内広告(Ad-Virtua)では、配信後のレポーティングを専任担当が実施しています。インプレッション数・視認時間・広告想起率の定点計測に対応しており、広告主側が分析工数をかけずに指標を確認できる体制です。
Ad-Virtua公式実績数値(出典: ad-virtua.com 確認日: 2026-04-09):
指標 | 数値 |
|---|---|
広告想起率 | 他Web広告比 約1.8倍(業界誘導想起 33% → ゲーム内 58%) |
視認率 | 最大 96%(業界平均67%比) |
注目度 | 約1.7倍(業界平均 1,000imp/17.5分 → 29分相当) |
広告好感度 | 約85% |
CPM目安 | 約300〜400円 |
累計再生数 | 1,800万回超(2025年4月時点) |
対応タイトル数 | 400タイトル以上 |
最低出稿予算 | 100,000円(税抜)〜 |
こんな企業に向いている / 向いていない
向いている企業・施策
- 若年層・ゲームユーザーへのリーチを強化したい:10〜30代、Z世代、ゲームをよくする層に高効率でリーチできる
- TVCM・SNS広告の補完施策を探している:既存の認知施策に新しい接点を追加したい
- 広告を嫌われずにブランドを覚えてもらいたい:プレイを中断しないため広告好感度が高い
- 大量リーチよりもブランド親和性を重視する:食品・飲料・日用品・外食・インフラ等のナショナルブランド
- 100万円以内で認知施策のテストをしたい:1週間30万円〜出稿できるため、比較的小予算での検証が可能
向いていない企業・施策
- 即日・短期でCVを取りたい(リスティング広告的な使い方):認知施策のため、直接購買誘導には不向き
- クリック率を重視した数値管理をしている:CTRを主KPIとする運用体制では評価基準が合わない
- ゲームユーザー以外の特定層にリーチしたい:ゲームを全くしない高齢者層等へのリーチには向かない
- ブランドリフト調査なしで定量的な成果を証明しなければならない:認知KPIの計測コストを別途確保できない場合はROI証明が難しい
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よくある質問
Q1. ゲーム内広告のKPI設定は何から始めればいいですか?
まず「このキャンペーンの目的は何か」を明確にすることが先決です。認知拡大が目的なら視認率・広告想起率、好感度向上なら好感度・NPS、リーチ最大化ならインプレッション・CPMを主KPIに設定します。目的が複数ある場合も、KPIの「主・副」を決めておくと効果評価がブレません。
Q2. ブランドリフト調査は必須ですか?
認知目的のゲーム内広告では、配信レポートだけでは「届いたか(リーチ)」しか確認できません。「覚えてもらえたか(想起)」「好きになってもらえたか(好感度)」を証明するにはブランドリフト調査が有効です。初回出稿でテスト的に実施し、2回目以降の予算判断に活用するケースが増えています。
Q3. 視認率と広告想起率は別物ですか?
別物です。視認率は「広告が画面上に表示されたか」の技術的指標で、ブランドへの態度変化とは無関係です。広告想起率は「その広告を見た記憶があるか」をアンケートで測定した結果で、ブランド効果に直結する指標です。高い視認率が必ずしも高い想起率につながるわけではありませんが、視認率が低ければ想起率も期待できません。
Q4. ゲーム内広告のCTRはどのくらいですか?
サイネージ型(ゲーム内看板・モニター)のCTRは、Web広告と比較して低い傾向にあります。これはユーザーが広告をクリックするためにゲームプレイを中断する必要がある設計のためです。CTRより視認率・想起率・好感度を主要KPIとして設定することが適切です。
Q5. 他のWeb広告と指標を統合して管理できますか?
インプレッション・CPMはデジタル広告共通の指標として比較可能です。ただし、CTR・CVRはゲーム内広告と通常のWeb広告では目的が異なるため横並び比較には注意が必要です。ブランドリフト調査の結果は媒体横断的に比較でき、「どの施策が認知に最も寄与したか」を評価する際に役立ちます。
ゲーム内広告の効果測定でお悩みの方、KPI設計からレポーティング体制まで含めて検討したい場合は、Ad-Virtua公式サイトよりお気軽にご相談ください。初回出稿時の指標設計から、専任担当者がサポートします。
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WRITTEN BY
水野 征太朗
アドバーチャ株式会社代表取締役CEO | 学生時代からインディーズゲーム開発者として、複数のゲームを開発・リリース。名古屋大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社にて、メタバース/XR/センサーなど先端技術を用いたソリューションの提案・開発に従事。その後、アマゾンジャパン合同会社にてデータ分析・ツール開発・プロセス改善等を経験。2022年にアドバーチャ株式会社を創業。




