ホテル・レジャー業界のブランド体験施策として実績のある手法には、SNS運用・インフルエンサーマーケティング・体験型プラン・ゲーム内広告など5つの主要アプローチがある。この記事では、星野リゾート・サンシャイン水族館など7社の成功事例と、施策別の向き不向き・KPI・予算感を整理する。

ホテル・レジャー業界では、施設の「品質」だけでは選ばれない時代が来ている。2026年の宿泊業界は「回復期」から「選別期」へと移行し、ブランドの強みが一言で伝わる施設が選ばれやすくなっている(出典: yadoken.net 2026年業界動向分析)。

この記事では、ホテル・レジャー企業のマーケティング担当者に向けて、業界特有の課題とブランド体験施策の全体像、実際の成功事例7選、施策ごとの向き不向きを整理する。どの施策を選ぶかの判断基準まで解説するので、予算配分や施策設計の参考にしてほしい。

この記事でわかること:

  • ホテル・レジャー業界が今ブランド体験に投資すべき理由(市場データ付き)
  • SNS・インフルエンサー・体験型イベント・ゲーム内広告など施策の選び方
  • 星野リゾート・サンシャイン水族館など成功事例7選の具体的な施策内容
  • 施策ごとのコスト帯・KPI・向き不向きの比較表
  • 予算規模・目的別で「どの施策から始めるか」の判断基準

対象読者: 交通・ホテル・レジャー施設のマーケティング担当者、ブランド戦略室、若年層への認知拡大に課題を持つ施策担当者

ホテル・レジャー業界がブランド体験に投資すべき理由

ホテル・レジャー業界が「ブランド体験」に投資する必要性は、市場構造の変化から説明できる。

消費者の旅行単価は過去最高水準に達しているにもかかわらず、選ばれる施設は偏在化しつつある。 観光庁の最新調査(2024年確報)によると、日本人の国内旅行消費額は25兆1,175億円(2019年比114.5%)、旅行単価は46,579円/人(2019年比124.7%)でともに過去最高を記録した。しかし、市場全体が拡大する一方で競合施設の増加と価格競争による収益圧迫が続いている。

この背景には3つの構造的課題がある。

ホテル・レジャー業界のブランド体験課題を示すインフォグラフィック

課題1:OTA依存によるコモディティ化

多くの宿泊施設がOTA(オンライン旅行代理店)経由の予約に依存しており、価格訴求の競争に巻き込まれやすい。OTA上では施設の「体験価値」ではなく「価格」と「立地」が選択基準になりやすく、ブランドの独自性が伝わりにくい。

課題2:若年層の認知不足と潜在層へのアプローチ不足

JTB総合研究所「Z世代の暮らしと旅」(2025年3月)によると、Z世代が旅行先を選ぶ際に最も信頼する情報源は「家族・友人・知人」(55.0%)。SNSやテレビCMより口コミ・紹介の影響が大きいが、そもそも認知されていない施設は口コミも発生しない。若年層への潜在認知構築が最上流の課題になっている。

課題3:「第一想起」を取れていない

同調査では、女性Z世代のSNS映えへの関心は22.3%で他世代より高い一方、「モノ消費」より「コト消費・エモ消費」を志向する傾向が強い。旅行計画を始める前から「あのホテルに泊まりたい」という第一想起を獲得していなければ、検索段階で候補に入らない。

ブランド体験施策の全体像と選び方

ホテル・レジャー業界で活用されているブランド体験施策は、大きく5つに分類できる。

施策

主な目的

費用帯(目安)

リーチ範囲

効果の即効性

SNS運用(Instagram/TikTok)

認知拡大・継続的なブランド構築

月額10〜50万円

広域・若年層中心

中〜長期

インフルエンサーマーケティング

開業・リニューアル告知・口コミ形成

1本10〜100万円

対象フォロワー層

短〜中期

体験型プラン・イベント

リピーター育成・LTV向上

施策内容による

来訪者・既存顧客

中〜長期

OOH(交通広告・屋外広告)

移動中の潜在層へのリーチ

月額50〜300万円

地域・移動者層

短〜中期

ゲーム内広告

Z世代・若年層への潜在認知拡大

月額10万円〜(出典: Ad-Virtua公式 2026年4月確認)

スマホゲームユーザー

中期

※費用帯は参考値。正確な費用は各媒体へ直接確認のこと。

施策の選択は「誰に届けたいか」と「いまどの段階の課題を解決したいか」で変わる。新規認知を取りたい段階と、リピーター育成の段階では最適な施策が異なる。

ホテルのブランド体験成功事例4選

事例1:星野リゾート — 多ブランド展開による層別ブランド体験設計

星野リゾートは「界」「リゾナーレ」「OMO」「BEB」の4ブランドを展開し、ターゲット層ごとにブランド体験を分けている点が特徴的だ。

  • BEB(ビービー): 若年層専用ブランド。「ソロ活」や「友人旅」を想定した価格帯・コンセプトで将来のリピーター育成を狙う
  • 界(かい): 20代向けに「界タビ20s」プランを展開。上質な滞在体験を若い世代に届けるブランドリフト施策
  • OMO5(シリーズ): 「寝るだけで終わらせない」コンセプトでシティホテルの体験価値を再定義

SNSを基盤とした若者ブランディングで複数年にわたり認知を蓄積しており、メディア露出も多い。

ポイント: ブランドを層別に分けることで、単一ブランドでは届きにくいセグメントへの体験設計が可能になる。

ホテルの若年層向けブランド体験施策のイメージ図

事例2:FAV HOTEL — TikTok活用で若年層に一気にリーチ

FAV HOTELはTikTokを積極活用し、フォロワー165,500人超、最多動画が724,700再生を記録している(公式アカウント情報)。ホテルの雰囲気・客室・周辺観光地を短尺動画で発信し、「行ってみたい」という認知から予約意向までの距離を縮める施策だ。

TikTokは検索機能の利用が若年層に広まっており、「FAV HOTEL 泊まってみた」などのUGC(ユーザー投稿コンテンツ)が二次拡散を生む構造を意図的に設計している点が成功要因。

事例3:ゲーミングルーム搭載ホテル(GOLD STAY 名古屋栄)— 体験コンセプトによる若年層訴求

ゲーミングチェア・高性能モニター・ブランドアメニティを備えたゲーミングルームを提供し、「ゲームが好きな若年層」という明確なターゲット層に対して体験訴求を行っている。旅行以外の目的(ゲームプレイ)でホテルを選ぶ新しい行動様式を生み出した事例だ。

事例4:ロテルド比叡 — 自然体験を軸にした体験型滞在

トレッキング・星空観賞・野外イベントなどのアクティビティを宿泊セットにした「体験型滞在」の設計。「宿泊」という機能価値より「体験」という感情価値を訴求することで、SNS拡散と口コミ形成を促進している。

レジャー施設のブランド体験成功事例3選

事例5:サンシャイン水族館 — インスタ映えスポットで来場者数+57.6%

「天空のペンギン」(空中を泳ぐように見える演出)などのインスタ映えスポットを戦略的に設置し、SNS投稿によるオーガニック拡散を促進。限定企画の定期開催でリピート来場を設計した結果、197万人来場・前年度比+57.6%を達成した(出典: PRADIME / 株式会社DINレジャー施設集客事例)。

成功要因: 「撮りたくなる体験」を施設内に意図的に設計し、来場者自身を広告媒体として機能させた。

事例6:東京サマーランド — ナイトプールとイルミネーションで女性層を開拓

ナイトプール導入と夜間イルミネーション演出で、従来の「家族連れ向け水遊び施設」から「女性・カップル向け体験型施設」へとターゲット層を拡張。SNS拡散を軸にした施策で前年度比+15〜16%の集客増を記録した(出典: PRADIME集客事例)。

事例7:ジャングリア沖縄(2025年7月開業)— 没入型体験で国内最大級アドベンチャーテーマパークを確立

2025年7月25日に開業した沖縄の体験型テーマパーク。自然体験をエンターテインメント化した「没入型(イマーシブ)体験」の設計で、Z世代に人気の「非日常感」を最大化する方向性を打ち出している。開業前からSNS・PR施策を展開し、若年層の「行きたい」という期待を事前に構築した。

レジャー施設のSNS映えブランド体験施策のイメージ

施策別 向き不向きの詳細比較

施策ごとの適合条件一覧

施策

向いている状況

向いていない状況

KPI例

SNS運用(Instagram)

世界観・ビジュアル訴求が強い施設、継続投資できる体制がある

即効性が必要な場合、発信できるコンテンツが少ない

フォロワー数、エンゲージメント率、プロフィールアクセス数

TikTok活用

Z世代・若年層が主ターゲット、動画コンテンツ制作リソースがある

シニア・ファミリー層が主体の施設

動画再生回数、保存数、プロフィールクリック数

インフルエンサーマーケティング

開業・リニューアル・シーズン告知、初回認知を短期で獲得したい

予算制約が厳しい中小施設、継続投資が難しい

リーチ数、エンゲージメント数、指名検索増加

体験型プラン・イベント

リピーター育成・LTV向上、口コミ形成を狙う

新規認知拡大が最優先の段階

リピート率、Net Promoter Score(NPS)、SNS投稿数

OOH(交通広告)

移動中の潜在層に広くリーチしたい、駅・沿線利用者が多い商圏

デジタル計測が必要な場合、地方の小規模施設

推計リーチ数、指名検索数の変化

ゲーム内広告

Z世代・若年層への潜在認知拡大、TVCMの補完施策、可処分時間が長い層に届けたい

即時予約転換が目的の場合、シニア層が主要ターゲットの場合

広告想起率、視認率、CPM(cost per mille)

ブランド体験の効果測定指標(KPI設計)

ブランド体験施策の効果測定は、施策の目的(認知拡大 / 興味喚起 / 来訪促進 / ファン化)によってKPIが変わる。

認知フェーズのKPI

  • 広告想起率: 施策接触後に「その施設を思い出せるか」を測る。ゲーム内広告では他のWeb広告比約180%(出典: Ad-Virtua公式サイト 2026年4月確認)
  • 視認率: 広告が実際に画面に表示された割合。ゲーム内広告の視認率は最大96%(業界平均67%比)(出典: Ad-Virtua公式サイト 2026年4月確認)
  • 指名検索数の変化: 施策前後でブランド名の検索数がどう変化したか(Google Search Console等で計測)

興味・検討フェーズのKPI

  • SNSエンゲージメント率: 投稿への「いいね・保存・コメント・シェア」の割合
  • Webサイト訪問数・滞在時間: 施策接触後の流入数と質
  • 資料請求・問い合わせ数: B2B/B2Cどちらでも意向の高さを示す

来訪・予約フェーズのKPI

  • 予約数・来場者数: 直接的な成果指標
  • OTAではなく直予約の比率: ブランド力の指標になる
  • リピート率・NPS: 体験の質を反映する最重要指標の一つ
ブランド体験の認知から来訪・ファン化フローの図解

こんな企業におすすめ / おすすめしない企業

このような企業・施設に向いている

SNS・インフルエンサー施策が向いている企業:

  • ビジュアル訴求力の高い体験・施設(インスタ映えスポット、非日常感が強い)
  • 20〜30代の女性・カップルをターゲットにしている
  • 継続的にコンテンツを発信できるチームやリソースがある

ゲーム内広告が向いている企業:

  • Z世代・20代前半の若年層を新規顧客として獲得したい
  • TVCMや交通広告を出稿しているが、若年層へのリーチが取れていないと感じている
  • 「まだ旅行を考えていない潜在層」への認知構築に課題がある
  • TVCM動画素材がある(動画素材をそのまま転用できる)

体験型プランが向いている企業:

  • すでに来訪者がいて、リピーター・ファン化を狙いたい施設
  • 施設の自然・文化・テーマ性を活かしたコンテンツが設計できる

このような企業・施設には向いていない

  • 即時予約転換だけを目的にしている: ブランド体験施策は認知・好感度の蓄積が目的であり、「今すぐ予約」を促す施策ではない
  • シニア層・70代以上が主要顧客の施設: TikTok・ゲーム内広告は接触するユーザー層が若年層に偏る
  • 施策の効果を週単位で求める: ブランド体験施策は3ヶ月〜半年単位での評価が適切

若年層への潜在認知拡大には「ゲーム内広告」という選択肢

ホテル・レジャー業界の既存施策(SNS・インフルエンサー・OOH)が共通して弱い点がある。「まだ旅行を考えていない潜在層」への接触だ。

SNSは検索行動を持つ人へのリーチに強いが、そもそも旅行に関心のない若年層には届きにくい。OOHは移動中のリーチに強いが、デジタル計測が難しく費用も高い。

ゲーム内広告は、スマホゲームのプレイ中という「日常の可処分時間の隙間」に広告が届く。ゲーム空間の看板・モニターに動画広告が自然に溶け込む形式のため、「旅行に関心がない状態の若年層」の目に触れ、ブランドを潜在記憶に刻む効果が期待できる。

Ad-Virtuaのゲーム内広告は、国内400タイトル以上のスマホゲームに広告を配信するプラットフォームで、現時点での公式掲載数値として累計再生数8,000万回突破、視認率最大96%(業界平均67%比)を達成している(出典: Ad-Virtua公式サイト 2026年4月確認)。

ゲーム内広告でホテル・レジャーの認知拡大をするイメージ図

Ad-Virtuaが合うホテル・レジャー企業の条件

  • 20〜30代の若年層を新規顧客層として獲得したい施設・ブランド
  • TVCMやSNS広告を出稿しているが、若年層へのリーチ効率に課題を感じている
  • 動画素材(15〜30秒)がある、または制作できる
  • 「認知拡大・第一想起獲得」をKPIとして設定できる体制がある
  • TVCM補完施策として既存予算の一部を若年層向けに割り当てたい

逆に、「今月中に予約数を増やしたい」「特定地域の60代以上に届けたい」という要件の場合は、他の施策のほうが適合しやすい。

→ ゲーム内広告・ブランド体験施策全般について詳しくは、ゲーム内広告とは?仕組み・種類・効果を徹底解説 を参照してほしい。

費用感については ゲーム内広告・メタバース広告の費用・料金相場 も参考に。

よくある質問(FAQ)

Q. ホテルのブランド体験施策を始めるとき、まず何から手をつけるべきですか?

A. 「誰に届けたいか」と「いまどの認知段階の課題を解決したいか」を先に整理することを推奨する。新規認知拡大が課題なら潜在層に届く施策(SNS・ゲーム内広告)から、リピーター育成が課題なら体験型プランやコミュニティ形成から始めるのが合理的だ。いきなり複数施策を同時進行するより、1施策の効果を測りながら横展開するほうが費用対効果の検証がしやすい。

Q. SNS運用とゲーム内広告はどう使い分けますか?

A. SNS運用は「すでにその施設やホテルに関心がある層・能動的に情報収集している層」に強く、継続的なブランド育成に向く。ゲーム内広告は「まだ旅行や施設を意識していない潜在層」に広くリーチし、潜在記憶への刷り込みを狙う施策だ。どちらかが優れているのではなく、認知フェーズが違う。両者を組み合わせることで、潜在層への認知獲得(ゲーム内広告)から関心層の育成(SNS)という流れが設計できる。

Q. ブランド体験施策の効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 一般的には施策開始から3〜6ヶ月で指名検索数・SNSフォロワー数・認知率の変化が確認できる場合が多い。ただし施設の知名度・予算規模・施策の質によって大きく異なる。ゲーム内広告の広告想起率は施策期間中・直後に測定するブランドリフト調査で確認するのが有効だ。

Q. 予算が限られている場合、どの施策を優先すべきですか?

A. 月額予算が50万円以下の場合は、SNSアカウント自主運用と低コストなゲーム内広告の組み合わせが現実的な選択肢になりやすい。インフルエンサー施策は費用対効果にばらつきが大きいため、予算制約がある場合は小規模なマイクロインフルエンサー(フォロワー1〜10万人)への発注が費用効率が高いケースが多い。

Q. 「ブランド体験」と「集客施策」の違いは何ですか?

A. 集客施策は「今の売上・予約数を増やす」短期的なアクションであり、割引・キャンペーン・広告配信などが該当する。ブランド体験は「この施設を選びたい・また来たい・誰かに勧めたい」という感情的な結びつきを構築する中長期施策だ。両者は目的が異なるため、同じ指標(予約数)で短期比較するのは適切でない。ブランド体験施策のKPIは「指名検索数」「広告想起率」「リピート率」で設計するのが適切だ。

ホテル・レジャー業界のブランド体験施策について相談したい方は、Ad-Virtuaの問い合わせページからご連絡ください。

ゲーム内広告による若年層への潜在認知構築、TVCMとの組み合わせ施策について、専任担当者が対応します。

→ ブランド体験設計の全体像については、ブランド体験とは?重要な理由と設計方法を解説(公開予定)もあわせてご覧ください。