ファンベースマーケティングとは、ブランドの価値を強く支持する「ファン」との関係性を土台に、中長期で売上・ブランド価値を高めていくマーケティングの考え方です。新規顧客獲得コストの上昇、広告のスキップ・回避、人口減少といった構造変化を背景に、上位20%のファンが売上の約80%を支える「パレートの法則」に着目した経営判断として注目度が高まっています。本記事では、定義・国内成功事例・KPI設計・失敗パターンまでを、食品・飲料・日用品・外食メーカーの実務担当者が施策判断に使える形で整理しました。
広告全体のなかでのファンベースマーケティングの位置づけは広告とはで整理しています。導入ステップ・費用感を具体的に知りたい方はファンベースマーケティングの始め方もあわせてご覧ください。
この記事でわかること:
- ファンベースマーケティングの定義と従来マーケティングとの違い
- 重要性が高まっている5つの時代背景
- ヤッホーブルーイング・カゴメなど国内成功事例(業界別)と実践ポイント
- こんな企業におすすめ/向かない企業の具体的な判断基準
- NPS・LTV・コミュニティアクティブ率などKPI設計の実際
- 現場でつまずくよくある失敗パターン6つと対策
食品・飲料・日用品・外食業界のマーケティング担当者が、施策の方向性を判断できる内容を目指して構成しています。
ファンベースマーケティングとは——定義と従来マーケティングとの違い
ファンベースマーケティングの核心は「ファンとの長く続くいい関係性をベースにして、中長期的に売上や価値を上げていく考え方」(ファンベースカンパニー公式定義、確認日:2026-05-11)にあります。この考え方を体系化したのはコミュニケーションディレクターの佐藤尚之(さとなお)氏で、2018年の著書『ファンベース——支持され、愛され、長く売れ続けるために』(ちくま新書)を通じて広く知られるようになりました。
ファンベースマーケティングは、広い意味では「広告・販促だけに依存しない事業の土台づくり」と言い換えられます。広告全体のなかでの位置づけは広告とはで整理しています。

「ファン」はリピーターとどう違うか
この考え方でいう「ファン」は、単なるリピーターや好意的なフォロワーとは異なります。
リピーター:お得・利便性・習慣によって繰り返し購入する。条件が変われば離れる可能性が高い。
ファン:企業・ブランドが大切にしている価値を支持し、「好き」「応援したい」という感情を能動的に持ち続ける顧客。競合が安くなっても離れにくい。
ファンベースカンパニーが支援してきた200社以上の事例では、工業用手袋のような一般的に注目されにくい製品でも熱狂的なファンが存在することが確認されています。「うちの商品にはファンがいない」は思い込みである可能性が高い、というのがこの考え方の前提です。
ファンマーケティングとの違い
「ファンマーケティング」と「ファンベースマーケティング」は混同されやすいですが、ファンへの視点が根本的に異なります。
比較ポイント | ファンマーケティング | ファンベースマーケティング |
|---|---|---|
ファンへの視点 | 「使う」(プロモーションに活用) | 「大切にする」(関係性を深める) |
目的 | 口コミ・UGC獲得・拡散 | 中長期のLTV向上・事業の土台づくり |
時間軸 | 短〜中期 | 中〜長期(2〜3年以上) |
主なKPI | インプレッション・シェア数 | NPS・LTV・リピート率 |
ファンベースマーケティングは、ファンを「施策のリソース」として見るのではなく、ブランドの存続を支える土台として捉える点が重要です。CRMやリテンションマーケティングとも異なり、熱量の質に注目している点も特徴です。
なぜ今ファンベースが重要なのか——5つの時代背景
ファンベースという考え方は以前からありましたが、2020年代に入って一段と注目が高まっています。背景には5つの構造的な変化があります。
①人口減少による新規顧客の物理的縮小
日本では年間約60万〜100万人規模で人口が減少しています。従来の「新規顧客獲得に集中する」モデルは、獲得コストの増加と市場縮小という二重苦に直面しています。一般的に新規顧客の獲得コストは既存顧客維持の5倍かかるとされており、既存ファンを深耕する戦略の経済合理性が高まっています。
②広告効果の低下——広がる動画広告スキップと口コミへの信頼移行
Z世代(1990年代後半〜2010年代前半生まれ)の動画広告スキップ率は約69%に上るという調査結果が複数報告されています。マス広告・SNS広告への接触機会は増えていても、それが購買意欲につながりにくくなっています。一方、家族・友人の推薦は現在も最も信頼される情報源のひとつです。熱量の高いファンが自発的に発信する口コミは、広告回避が進む時代においてより高い相対的価値を持ちます。
③パレートの法則——上位20%が売上の80%を支える
ファンベースカンパニーの調査では、上位20%のファンが売上の約80%を支えているケースが多く見られます。カゴメの事例では、コアファン2.5%が売上の約30%を担っているというデータが公表されています(ITmedia Business、2020年3月)。全顧客を均等に扱う施策より、熱量の高い少数のファン層に集中投資するほうが費用対効果は高くなる——というのがファンベースの基本論拠です。
④成熟市場での機能差別化の困難
多くの商品カテゴリで品質・機能の差は縮小しています。スペックや価格での差別化が難しい中、ブランドへの情緒的な価値・物語・関係性による差別化が重要度を増しています。感情訴求の手法を体系的に整理したエモーショナルマーケティングとはも、ファンベースと隣接する重要概念です。

⑤LTV最大化がKPIの主軸に
顧客獲得コスト(CAC)の上昇と収益化までの時間が長期化する中、多くの企業がLTV(顧客生涯価値)をKPIの中心に置くようになっています。ファン化が進むとリピート率・高単価商品への移行率が上がり、LTVは自然と向上します。LTVとファンの関係を体系的に整理した記事としてブランドロイヤルティとはも参考にしてください。
ファンが感じる3種類の価値——どこを深めるかで施策が変わる
ファンが「好き」と感じる理由は、大きく3つの価値軸に分類されます。この分類を理解することで、どの施策に投資すべきかの判断がしやすくなります。
価値の種類 | 内容 | 競合に模倣されやすさ | 施策例 |
|---|---|---|---|
機能価値 | 製品のスペック・性能・価格 | 高い(すぐ真似される) | 品質改善・価格設定 |
情緒価値 | 体験・物語・コミュニティ・使う場の心地よさ | 中程度 | ファンイベント・ブランドストーリー発信 |
未来価値 | 企業ビジョン・社会的使命への共感 | 低い(最も模倣困難) | パーパス経営・社会課題への取り組み発信 |
機能価値だけで戦うと価格競争に陥りやすく、情緒価値・未来価値を高めていくことがファン化の深化につながります。ブランドが生み出す体験的な価値についてはブランド体験とはでも詳しく解説しています。
ファンのグラデーションと段階別施策
ファンは一枚岩ではなく、熱量によって段階があります。この段階を理解した上で各層に適した施策を設計することが、実践のポイントです。
一般顧客 → ライトファン → リピーター → コアファン → アンバサダー
ファンの段階 | 特徴 | 有効な施策 |
|---|---|---|
一般顧客 | まだブランドを知らない・試したことがない | 認知施策・試用機会の提供 |
ライトファン | 好意はある。が、積極的に関わっていない | 情報接触頻度の向上・ストーリー発信 |
リピーター | 継続して購入しているが熱量は高くない | 購入体験の質向上・コミュニティへの入口設計 |
コアファン | 自発的に語り、購入し続ける | コミュニティ・共創機会・限定体験 |
アンバサダー | 自分から友人・知人に推薦する | 特別な役割の付与・先行情報・感謝の表現 |
実践の核心は「コアファン」への集中投資です。ファンベースカンパニー公式でも「熱量の高いファンに丁寧に向き合い、支持理由を明確化することが最初の一歩」と明示しています。コアファンを中心に施策を設計し、その周囲にライトファン・一般顧客がついていく構造を作ることが理想的です。
主な施策と費用感——選択肢を俯瞰する
実際にどんな施策があるのか、費用感や効果が出るまでの期間も含めて整理します。具体的な導入ステップはファンベースマーケティングの始め方で詳述しています。
施策カテゴリ | 主な手法 | 費用感(目安) | 効果が出るまでの期間 |
|---|---|---|---|
ファンコミュニティ構築 | 専用サイト・プラットフォーム(Commune等) | 月額数万円〜 | 6か月〜1年 |
ファンイベント | 工場見学・ファンミーティング・限定体験会 | 小規模数十万円〜 | 即時(体験)+中期(継続効果) |
SNSコミュニティ | 公式アカウント運用・ファンとの対話 | 運用コストのみ | 3〜6か月 |
UGCキャンペーン | フォトコンテスト・レシピ投稿・レビュー促進 | 数十万円〜 | 短期(集中)+中期(資産化) |
認知・接触設計 | ゲーム内広告・OOH・体験型プロモーション | ゲーム内広告:1週間30万円〜 | 1〜3か月(認知向上) |
ファンコミュニティは維持コストが低く継続性があるため、スモールスタートで始めやすい施策です。ただし、「コミュニティを作るだけ」では機能しません。後述の失敗パターンも参照してください。
国内企業の成功事例——業界別に学ぶ実践ポイント
食品・飲料:カゴメ(&KAGOME)
カゴメは2015年からファンコミュニティ「&KAGOME(アンドカゴメ)」を運営しています。会員数は約6万人(2024年2月時点/DNP公開記事) まで成長しており、コアファン(全体の2.5%)が売上の約30%を担っているというデータが公表されています(ITmedia Business、2020年3月)。
単なる情報発信にとどまらず、コアファンの声を商品改善に直結させている点が特徴です。「カゴメ濃厚仕立てのトマトソース」のチューブ版では、ファンの声を受けてトマト量を1.5倍に増量。会員のアクション率(アンケート・レシピ投稿等への参加)は10〜15%で、一般的な会員プログラムと比較して高水準とされています。
食品・飲料業界における若年層へのアプローチ施策については食品・飲料の若年層リーチを増やす施策7選も参考にしてください。
飲料:ヤッホーブルーイング(よなよなエール)
クラフトビールメーカー・ヤッホーブルーイングは、ファンイベント「よなよなエールの超宴」を通じてコアファンとの関係を継続的に深めてきました。2015年に約500人規模で始まったイベントは、2018年には約5,000人規模、近年も全国から数千人のファンが集結する規模で継続しています。
上位10%の顧客が全体売上の60%以上を担う構造が形成されており、ファンベースの典型的な成功モデルとして業界内で広く紹介されています。ヤッホーブルーイングは2021年に18期連続の増収を達成しており(DNP公開記事)、ファン共創を継続する経営が長期業績にも反映されている代表例です。「イベントを起点にしたファンとの体験共有」が熱量を継続的に高め続ける点が、最大の学びです。
菓子:森永製菓(エンゼルPLUS)
森永製菓は2013年からファンコミュニティ「エンゼルPLUS」を運営しています。月平均PVが110万を超える規模で、長期的なブランドロイヤルティ形成の取り組みとして業界内で知られています。10年以上の継続運営実績があり、「長く続けること」そのものが資産になっているモデルです。
SaaS/B2B:サイボウズ(キンコミ)
B2B領域でも、サイボウズはkintoneユーザーコミュニティ「キンコミ」でファンベースを実践しています。ユーザーが自発的に使い方を共有し合うコミュニティを通じて、解約率の低減・アップセルへの自然な導線が生まれています。「B2Bにはファンが生まれにくい」というのは誤解で、購買決定者である担当者個人を熱心なファンにすることで事業指標に効果をもたらしています。
通信:マイネオ
MVNOのマイネオは、ファンコミュニティ形成とユーザー参加型施策を通じて市場シェアを伸ばした事例として広く紹介されています。価格競争が激しい通信業界でも、ファンとの関係性構築が差別化につながることを示しています。

ファン化の起点をどこに置くか——「知ってもらう」から始まる設計
多くのファンベース関連の解説が扱っているのは「すでにある程度ファンがいる企業」の話です。しかし実際の課題は、まだファンが少ない段階からどう設計するかという起点の問題です。
ファン化には段階があります。「好き」になる前に「知っている」という状態が必要です。特に若年層・Z世代へのアプローチでは、まず「ブランドと自然に接触し、好感を持ってもらう」フェーズの設計が重要になります。
認知段階の体験設計が後工程を左右する
認知・接触フェーズで重要なのは「嫌われない接触体験」です。スキップされる動画広告やポップアップは、たとえ記憶に残っても感情的にネガティブな印象を残しやすい。広告接触でのネガティブ印象は、後続のファン化施策の効果を下げます。
認知段階で好感度の高い体験を作ることが、その後のファン候補育成コストを下げる上で重要です。ゲーム空間のような「ユーザーが能動的に楽しんでいる文脈」での広告接触は、プレイ体験を阻害しないため好感度が高くなりやすいと言われています。詳しくはゲーム内広告とはで解説しています。
四半期単位の実践ロードマップ(目安)
フェーズ | 期間目安 | 主な取り組み | KPIの目安 |
|---|---|---|---|
起点設計 | 0〜3か月 | コアファンの発見・ヒアリング・支持理由の言語化 | ファンインタビュー件数・支持理由の整理 |
接点構築 | 3〜6か月 | コミュニティ立ち上げ・UGC施策開始・認知接触設計 | NPS初回測定・コミュニティ登録者数 |
関係深化 | 6か月〜1年 | イベント・共創施策・ファン限定コンテンツ展開 | コミュニティアクティブ率・NPS改善幅 |
構造化 | 1〜3年 | アンバサダー育成・ファン経由売上比率の把握 | LTV・口コミ由来の新規比率 |
ブランドへの第一想起獲得とファン化の関係については第一想起を獲得する方法も参考にしてください。
こんな企業におすすめ/こんな企業には向かない
ファンベースマーケティングはすべての企業に最適な施策ではありません。自社に合うかどうかを正直に判断できるよう、具体的な基準を示します。
こんな企業・ブランドにおすすめ
✅ 向いている条件
- リピート購入が発生する商品・サービス(食品・飲料・日用品・SaaS等):継続的な関係性を深める前提として「繰り返し接触できる」ことが必要
- ブランドに物語・こだわりがある(クラフト品・産地直送・職人系等):情緒価値・未来価値を訴求できる素材がある
- 価格競争から抜け出したい:機能価値だけで戦うのをやめ、情緒・体験での差別化を目指す企業
- 既存顧客のLTVに課題がある:新規は取れているが定着しないという課題を持つ企業
- 3年以上の投資を経営層が許容できる:短期ROIが見えにくい施策への理解がある
具体的に向いている業種・業態: 食品・飲料メーカー/日用品・消費財メーカー/クラフトビール・ワイン・クラフト食品/SaaS・サブスクリプション型サービス/外食チェーン(常連客重視型)/コスメ・美容ブランド
こんな企業には向かない
❌ 向かない条件
- 1回限りの購買が前提(不動産・ブライダル等):継続的な関係性を深める前提が成立しにくい。ただし「紹介・推薦」の文脈では応用可能
- 短期(3か月以内)のROIが必須:経営層や株主から即時効果を求められる状況では、施策を継続できず途中撤退になりやすい
- ブランドへのこだわりや価値観がない(純粋な価格勝負商材):情緒価値・未来価値の訴求が難しく、ファン化の素材となるものがない
- 顧客との継続的な接点を持てない(流通依存型で直接顧客と関われない):ファンとの直接接点なしにファン化の設計は難しい
効果測定・KPI設計——経営層に説明できる指標を持つ
ファンベースマーケティングが途中で頓挫するケースの多くは、「KPIが曖昧で経営層の支持を得続けられない」ことにあります。施策開始前に指標を整理しておくことが継続の鍵です。施策別のコスト・ROI設計はブランドロイヤルティ向上の予算設計ガイドでも解説しています。
優先すべきKPI(重要度順)
KPI指標 | 説明 | 測定タイミング |
|---|---|---|
NPS(Net Promoter Score) | 「友人・知人に推薦したいか」0〜10点で測定。推薦者率 − 批判者率で算出 | 四半期ごと |
LTV(顧客生涯価値) | リピート率・購入単価・継続期間で算出。ファン化の進展が反映される | 半期・年次 |
コミュニティアクティブ率 | コミュニティへの投稿・コメント・参加率 | 月次 |
口コミ由来の新規顧客比率 | ファンのクチコミ経由で来た新規顧客の割合 | 月次 |
UGC生成数 | ファンが自発的に作成するコンテンツ量 | 月次 |
フォロワー数・インプレッション | 参考程度。これだけを追うのは本質的な成果が測れなくなるため危険 | 参考 |

効果が出るまでの時間軸
- 3〜6か月:UGCの増加・NPS初回測定・コミュニティへの定着
- 1〜2年:リピート率の変化・LTVへの反映が見え始める
- 2〜3年:ファン経由の売上比率が構造として見えてくる
経営層への説明では「投資回収の時間軸」を明示することが重要です。Google調査では購入時に「確信」を持つと再購入意欲が約6倍、推奨意欲が約18倍になるという指標もあります。短期の売上ではなく「顧客の確信度」を高めていく施策として位置づけることが、経営層の理解を得やすくします。
よくある失敗パターン6つ——実践でつまずく落とし穴
成功事例と同様に重要なのが「なぜ失敗するのか」を知ることです。競合記事ではあまり詳しく触れられていない失敗パターンを6つ挙げます。
❌ パターン1:短期的な売上増を期待して始める
ファンベースマーケティングは中長期の施策です。「3か月で売上10%アップ」のような短期目標と組み合わせると、成果が見えないまま撤退する結果になります。施策開始前に経営層との認識合わせが不可欠で、「3年かかる施策として承認を取ること」がスタートラインです。
❌ パターン2:豪華すぎる施策から入り、継続性を失う
大規模イベント・高額コミュニティプラットフォームから始めると、予算の重さから継続できなくなります。ファンベースカンパニーの知見でも「予算規模より継続性が重要」とされています。スモールスタートで続けられる仕組みを先に設計することが先決です。
❌ パターン3:既存ファンと新規の間に格差が生まれる
コアファンへの優遇施策が強くなりすぎると、新規ファン候補が入り込めない「閉じたコミュニティ」になります。既存ファンのモチベーション維持と、新規入口の設計を並行して考えることが重要です。熱狂的なファンほど「自分たちだけの場」を求めますが、それが過度になるとコミュニティの成長が止まります。
❌ パターン4:「虚栄指標」を追いすぎる
SNSのフォロワー数・インプレッション数は増えても、NPSやLTVに変化がない——という状況は起こりやすいです。見栄えのする数字を追っていると、本質的な成果が見えなくなります。KPIをNPS・LTV・コミュニティアクティブ率に絞ることが重要です。
❌ パターン5:炎上リスクへの準備不足
SNSコミュニティやUGCキャンペーンを活用する際、誤った発言・対応が炎上につながるリスクがあります。特にコミュニティ内でのスタッフ対応や、コンテストの審査基準の透明性が問われるケースがあります。ガイドライン策定・モデレーション体制を事前に整えることが必要です。
❌ パターン6:ファンの声を聞かずに一方的に発信し続ける
「コミュニティを作った=ファンベースをやっている」という認識は誤りです。ファンベースの実践は「聞くこと」から始まります。投稿・発信が中心で、ファンの声への返答や商品改善へのフィードバックがない場合、ファンの熱量は徐々に低下します。カゴメの事例のように「声を受けて商品を変えた」という体験こそが、ファンのロイヤルティを深める核心です。
ゲーム空間でのブランド接触——ファン候補へのアプローチとして
ファンベースマーケティングの多くの施策は「すでにブランドをある程度知っている人」を対象にしています。しかし「まだ知らない層をどう認知させるか」はファン化の前段として欠かせません。
特に若年層・Z世代へのアプローチでは、従来のテレビCMや検索広告が届きにくくなっています。この層が多くの時間を過ごす場所のひとつが、スマートフォンゲームです。国内のゲームプレイ人口は約5,500万人規模に上り、Z世代の多くが日常的にゲームをプレイしているとされています。

Ad-Virtuaのゲーム内広告が向いている企業の条件
Ad-Virtuaが提供するゲーム内広告は、ゲーム空間内の看板・モニターにブランド動画を表示するフォーマットです。プレイを中断しないため、好感度が高くなりやすい特性があります(好感度約84〜85%、広告想起率は業界平均比約1.8倍。Ad-Virtua公式、確認日:2026-05-11)。累計再生数は約8,000万回、対応タイトルは400以上(同公式)。
以下のような企業に特に向いています:
- 若年層・Z世代への認知拡大を課題にしている食品・飲料・日用品・外食企業
- TVCMは出稿しているが「若い層に届いていない」と感じているナショナルクライアント
- 新商品・新ブランドを広い層に知ってもらいたいが、プレイ中断型の広告は避けたい企業
- 既存のSNS広告に限界を感じており、補完施策を探している企業
ゲーム内広告の詳細・活用方法についてはゲーム内広告とはをご覧ください。ファン化施策の「認知段階」に課題をお感じの場合は、まずAd-Virtuaにご相談ください。
関連記事——ファンベース・ブランド体験を深めるためのガイド
ファンベースマーケティングは、広告全体・ブランド体験設計・ロイヤルティ向上といった隣接領域と密接につながっています。実務で次に確認したいテーマに合わせて、以下の記事もあわせて参照してください。
知りたいテーマ | 関連記事 |
|---|---|
広告全体の理解と種類の整理 | |
具体的な導入ステップ・費用感 | |
感情に訴求する手法を深掘りする | |
ロイヤルティ理論と測定方法 | |
ブランド体験設計の全体像 | |
認知段階の施策の選び方 | |
食品・飲料業界の若年層リーチ | |
第一想起を獲得する設計 | |
予算配分の考え方 |
よくある質問(FAQ)
Q. ファンベースマーケティングはBtoB企業でも使えますか?
現時点では、BtoB領域への適用事例はBtoCと比べると少ないですが、サイボウズのkintoneユーザーコミュニティ「キンコミ」のようにBtoBでも実践できます。「購買決定者である担当者個人」を熱心なファンにすることで、解約率低減・アップセル・社内推薦につながります。ただし、BtoBでは「個人ファン」と「企業内購買決定」のギャップがあるため、コミュニティ設計には工夫が必要です。
Q. 予算が少ない状態から始められますか?
はい、スモールスタートが基本です。まずは既存顧客の中で最も熱量の高い10〜20人を特定し、丁寧なインタビューから始めることが推奨されています(ファンベースカンパニー公式)。コストは最小限でも「支持されている理由の言語化」という最重要の成果が得られます。その後、コミュニティ構築・イベント施策と段階的に広げていくのが現実的です。
Q. 効果はいつ頃から出始めますか?
一般的にUGCの増加・NPS改善が3〜6か月、リピート率・売上への反映が1〜2年、事業構造としての変化(ファン経由売上比率の向上)が2〜3年が目安です。短期での売上効果を期待する施策として設計した場合は期待通りにならない可能性があります。
Q. SNSフォロワー数はファンの指標になりますか?
フォロワー数はあくまで参考指標です。フォロワーが多くてもNPSが低い(推薦する気のない人が多い)ケースはよくあります。ファンベースの観点では、NPS・LTV・コミュニティアクティブ率を中心に置くことが推奨されています。「虚栄指標を追わない」ことが、施策の本質的な評価につながります。
Q. ファンベースマーケティングと新規顧客獲得は両立しますか?
はい、両立できます。ただし優先順位と予算配分の問題です。熱量の高いファンが口コミで新規を連れてくる構造が育てば、長期的には新規獲得コストの低下にもつながります。短期的には新規獲得施策と並行しながら、中長期でファン比率を高めていく設計が現実的です。
Q. どの業種が最もファンベースマーケティングに向いていますか?
リピート購買が発生し、かつブランドに物語・こだわりがある商材が最も向いています。食品・飲料(特にクラフト系・産地直送)、日用品(高付加価値帯)、コスメ・美容、SaaS・サブスクリプション型サービスなどが代表的です。逆に1回限りの購買が前提の商材や純粋な価格勝負の商材は相性が悪い傾向にあります。詳しくは本記事の「こんな企業におすすめ/向かない企業」の項目も参照してください。
ファンベースマーケティングは「すぐに効く」施策ではなく、ブランドの資産として蓄積していく中長期の投資です。自社のファンを正しく理解し、彼らとの関係を継続的に深めていくことで、競合に真似できない顧客基盤が生まれます。その起点となる認知・接触フェーズの設計に課題をお感じの場合は、ゲーム空間での非侵入型ブランド接触という選択肢もあります。若年層への認知拡大とブランドへの好感度形成を両立したい場合は、ぜひAd-Virtuaにご相談ください。


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