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メタバース時代のゲーム内広告|市場規模と未来予測

メタバース時代のゲーム内広告とは?市場の現状を紐解く

ゲーム業界は常に技術革新の最前線に立ち続けてきました。そして今、メタバースという新たな潮流がゲーム内広告の世界に革命をもたらそうとしています。

メタバースとは「Meta(超越した)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された仮想空間・世界を指します。私たちはアバターを通じて、この空間内で他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、様々なコンテンツを体験したりすることができるのです。

特にゲーム領域では、Fortniteなどを起点として、メタバースの実用化が急速に進んでいます。それに伴い、メタバース上での広告活動、つまり「メタバース広告」への注目度が急速に高まっているのです。

私がVRゲーム開発に携わっていた頃、広告はゲーム体験を妨げる要素として捉えられがちでした。しかし、メタバースの登場により、広告自体がゲーム体験の一部として自然に溶け込む可能性が見えてきたのです。

では、このメタバース広告市場はどのような規模感で成長しているのでしょうか?

急成長するメタバース市場規模と広告ビジネスの可能性

メタバース市場は驚異的なスピードで成長しています。総務省の発表によると、世界のメタバース市場は2030年には5000億ドル(約70兆円)を超えると予測されています。

日本国内に目を向けると、メタバース市場は2027年度には2兆円を超えると見込まれているのです。この成長に比例して、メタバース広告事業も急成長を遂げ、市場規模は6年間で25倍になると予想されています。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によれば、メタバースの世界全体の収益機会は、2024年には8000億ドル近くまで拡大する可能性があるとされています。その中でも、オンラインゲームメーカーとゲームハードウェアの主要市場は4000億ドルを上回ると予測されているのです。

この成長を牽引しているのは、Meta(旧Facebook)やMicrosoft、Appleといった大手テック企業です。彼らはメタバース市場の拡大に積極的に投資し、その発展を加速させています。

私がアドバーチャを創業した背景には、このようなメタバース市場の急成長があります。特にゲーム内広告の分野では、従来の広告とは一線を画す新たな可能性が広がっていると確信したのです。

メタバース広告の市場は2023年頃に黎明期に突入し、現在は急速に拡大しています。特にブランドとのコラボレーションが活発化しており、Nike や BEAMSといったアパレルブランドは、仮想空間内で限定アイテムを販売したり、ユーザーが自分のアバターにそのアイテムを着せることができるイベントを開催するなど、ブランド認知を高めるために積極的に活用しています。

では、具体的にメタバース広告にはどのような種類があるのでしょうか?

メタバース広告の種類と特徴

メタバース広告は主に3つの方法に大別されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

オウンド型

オウンド型は、企業が独自のメタバース空間を構築し、その中で自社ブランドやプロダクトをアピールする方法です。拡散的な広告効果はあまり期待できませんが、メタバースに出店すること自体での認知度向上が見込めます。

また、集まったユーザーへの訴求力は非常に強くなります。ただし、メタバースを一から作成するため、費用や時間がかかることがデメリットとして挙げられます。

出展型

出展型は、既存のメタバース空間内のイベントなどに出展する形式です。メタバースのイベントと時期を合わせることで、自社だけでは実現できない集客力を享受できます。

オウンド型と比べると安価で実現可能なため、予算に限りがある場合でも期間などを調整して活用することができるのが特徴です。

コラボ型

コラボ型には、主に以下の2つのアプローチがあります。

1つ目は「プロダクトプレイスメント広告」です。メタバース内の建物の壁面や看板などに広告を表示することで、メタバース内でアバターが移動する際に、自然と広告が目に入る仕組みとなっています。ユーザーの興味に直接アプローチすることが可能です。

2つ目は「タイアップ」です。メタバースのアイテムとコラボして自社の商品やロゴ入り商品の販売や、空間そのものをジャックします。大きなタイアップでは、話題になるだけでなく、リアルの店舗でのコラボ商品や限定商品を販売するなど、リアルとメタバースを掛け合わせたマーケティング施策が可能です。

私たちアドバーチャが提供しているサービスは、まさにこのコラボ型のアプローチを活用したものです。ゲーム・メタバースの看板の中に動画広告を配信できる広告ネットワークを構築し、広告主とメタバース開発者をつなぐプラットフォームとして機能しています。

メタバース広告のメリットとは?

なぜ企業はメタバース広告に注目しているのでしょうか?ここでは、メタバース広告の主なメリットを4つご紹介します。

嫌われない広告体験の実現

従来の広告は、ユーザー体験を中断させることが多く、「邪魔」と感じられがちでした。しかし、メタバース広告はゲーム空間やバーチャル環境に自然に溶け込むため、ユーザーに違和感を与えにくいのです。

例えば、バーチャル都市の街中に設置された広告看板は、現実世界の看板と同様に風景の一部として受け入れられます。これにより、広告を見るユーザーにとってもポジティブな体験となり得るのです。

幅広いリーチと高いターゲティング精度

メタバース広告の大きな強みは、世界中のユーザーにリーチできる点です。地理的な制約がなく、特に若年層を中心とした新たなユーザー層にアプローチできます。

さらに、ユーザーの行動データや属性情報を活用することで、高精度なターゲティングが可能です。興味・関心に合わせた広告配信により、効率的なマーケティング活動が実現します。

私たちのプラットフォーム「Ad-Virtua」では、300以上のゲームタイトルに対応し、広告動画の累計再生回数は1000万回を突破しています。これは、メタバース広告の持つリーチの広さを示す一例と言えるでしょう。

高い訴求力と体験型マーケティング

メタバース広告の最大の特徴は、ユーザーが広告と「インタラクション」できる点です。単に見るだけでなく、触れたり、試したり、体験したりすることができます。

例えば、アパレルブランドであれば、アバターに実際に服を着せて試着体験ができますし、自動車メーカーであれば、バーチャル空間で新車を試乗体験することも可能です。

このような体験型マーケティングは、商品やサービスの理解度を高め、購買意欲を刺激します。従来の広告では実現できなかった、深い顧客体験を提供できるのです。

コストパフォーマンスの高さ

メタバース広告は、リアルイベントと比較して低コストで実施できることも大きなメリットです。物理的な会場やスタッフが不要で、天候や災害などのリスク要因も排除できます。

また、一度コンテンツを制作すれば、継続的に活用できるため、長期的なコスト効率も優れています。さらに、効果測定も容易で、データに基づいた改善が可能です。

私たちがクライアント企業にご提案する際も、このコストパフォーマンスの高さは大きな決め手となっています。特にスタートアップや中小企業にとって、メタバース広告は効果的なマーケティング手段となり得るのです。

日本におけるメタバース広告の活用事例

日本でもメタバース広告の活用が進んでいます。いくつかの事例を見ていきましょう。

あるアパレルブランドは、メタバース空間内で限定コレクションを発表し、アバター用のデジタルファッションアイテムを販売しました。ユーザーは自分のアバターに実際に着せることができ、リアル店舗での購入にもつながりました。

また、ある自動車メーカーは、新車発表会をメタバース空間で開催し、参加者がバーチャルカーを自由に見学したり、試乗シミュレーションを体験したりできるイベントを実施しました。物理的な制約がないため、通常のモーターショーでは難しい大規模な演出も可能となり、話題を集めました。

食品メーカーの事例では、バーチャルレストランを開設し、新商品のプロモーションを行いました。ユーザーはアバターでレストランを訪れ、メニューを閲覧したり、調理過程を見学したりすることができます。さらに、実際の商品の購入にもつながる仕組みを構築し、販売促進にも成功しています。

これらの事例に共通するのは、単なる広告ではなく「体験」を提供している点です。ユーザーが能動的に参加できる仕掛けを用意することで、従来の広告では得られなかった深いエンゲージメントを実現しているのです。

私たちアドバーチャでも、様々な企業のメタバース広告をサポートしてきました。特に効果が高かったのは、リアルとバーチャルを連携させた施策です。メタバース内での体験がリアル店舗への来店や商品購入につながるような導線設計が、成功の鍵となっています。

メタバース広告は、まだ発展途上の分野です。しかし、これらの先進的な事例が示すように、従来の広告の枠を超えた新たなマーケティング手法として、大きな可能性を秘めているのです。

メタバース広告の未来予測と今後の展望

メタバース広告は今後どのように発展していくのでしょうか?ここでは、私の経験と市場分析に基づいた未来予測をお伝えします。

技術進化による広告体験の革新

5G・6Gの普及やAI技術の発展により、メタバース広告はさらに高度化していくでしょう。特に注目すべきは以下の3つの技術トレンドです。

まず、AIによる条件付き広告切り替えが進化します。天候や人流のトレンドデータに応じて広告内容を事前ルールで変更する技術は、すでに一部で実用化されていますが、今後はよりリアルタイム性が高まるでしょう。

次に、ARを活用したインタラクティブなOOH(Out Of Home)広告が普及します。通行人がスマホをかざすことでコンテンツと連動する体験は、メタバースとリアル世界をつなぐ重要な接点となります。

最後に、ユーザーごとに内容を最適化するパーソナライズ広告の高度化が挙げられます。AIによる分析とデータ連携の進展により、個人の興味関心や行動パターンに応じて、リアル・バーチャル問わず広告体験が変化する仕組みが一般化していくでしょう。プライバシー保護と透明性を前提に、一人ひとりに寄り添う広告の実現が期待されます。

メタバース広告市場の成長予測

メタバース広告市場は、2025年以降も急速な成長が続くと予測されています。特に注目すべきは、以下の3つの市場トレンドです。

ゲーム内広告の市場規模は、2030年までに現在の5倍以上に成長すると見込まれています。特に、自然な形で広告を体験できる新しい形として、SNS広告の飽和を背景にメタバース広告などのネイティブなアプローチへの需要が高まるでしょう。

次に、ブランドとのコラボレーションがさらに活発化します。限定アイテムやイベントを通じたプロモーションは、ユーザーにとっても価値ある体験となるため、Win-Winの関係が構築できます。

さらに、メタバース内での経済圏が拡大します。NFTやデジタル資産の取引が一般化し、広告とeコマースの境界がさらに曖昧になっていくでしょう。

私がアドバーチャを創業した2022年当時と比べても、メタバース広告の可能性は大きく広がっています。今後も技術革新とユーザー受容の拡大により、この市場は加速度的に成長していくと確信しています。

企業が今から取り組むべきこと

メタバース広告の可能性を最大限に活かすために、企業は今から何に取り組むべきでしょうか?

まず、メタバースリテラシーの向上が不可欠です。担当者がメタバースの基本的な仕組みや文化を理解することで、効果的な広告戦略を立案できます。

次に、小規模な実験から始めることをお勧めします。大規模な投資を行う前に、小さなプロジェクトで効果検証を行い、自社に適したアプローチを見つけることが重要です。

さらに、長期的な視点でのブランド戦略の再構築も必要です。メタバースは単なる広告チャネルではなく、ブランドと顧客の新たな接点です。この新しい関係性を踏まえた戦略の見直しが求められます。

私たちアドバーチャでは、企業のメタバース活用をトータルでサポートしています。広告配信だけでなく、メタバース制作やコンサルティングも手掛けることで、クライアント企業の多様なニーズに応えています。

まとめ:メタバース広告がもたらす新たなマーケティングの可能性

メタバース時代のゲーム内広告は、従来の広告の概念を大きく変えようとしています。単に情報を一方的に伝えるのではなく、ユーザーと双方向にコミュニケーションを取り、体験を提供する新たなマーケティング手法として進化しているのです。

市場規模の面では、世界のメタバース市場は2030年に5000億ドル(約70兆円)を超え、日本国内でも2027年度には2兆円を超える見込みです。メタバース広告事業も急成長を遂げ、6年間で25倍になると予想されています。

メタバース広告は、まだ発展途上の分野ですが、リアルとバーチャルの境界を超えた新たなマーケティングの形として、大きな可能性を秘めています。私たちアドバーチャは、「リアルとメタバースの未来を創造する」というビジョンのもと、この可能性を追求し続けていきます。

メタバース時代のマーケティングにご興味をお持ちの方は、ぜひアドバーチャ公式サイトをご覧ください。メタバース/インゲーム広告のアドネットワーク「Ad-Virtua」の詳細や、最新の事例をご紹介しています。

WRITTEN BY

水野 征太朗

アドバーチャ株式会社代表取締役CEO | 学生時代からインディーズゲーム開発者として、複数のゲームを開発・リリース。名古屋大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社にて、メタバース/XR/センサーなど先端技術を用いたソリューションの提案・開発に従事。その後、アマゾンジャパン合同会社にてデータ分析・ツール開発・プロセス改善等を経験。2022年にアドバーチャ株式会社を創業。