ゲーム内広告のブランドセーフティは、「配信を絶対に止めるべきか否か(Brand Safety Floor)」の合否判定と、「自社ブランドにどれだけ適合しているか(Brand Suitability)」のスコア評価、この2層に分けて数値化することで、担当者が根拠を持った配信判断を下せる状態になります。
この記事では、ゲーム内広告固有のリスク構造を踏まえた5軸・100点満点のスコアリングフレームワークを提示し、コンテキスト適合・未成年者保護・炎上リスク・アドフラウド・規制遵守の各評価方法を実務レベルで解説します。
この記事でわかること
- ブランドセーフティとブランドスータビリティの違い、2層に分けて管理すべき理由
- ゲーム内広告が他デジタル媒体と比べて安全とされる根拠データ(IAB・anzu.io)
- 5軸100点満点のスコアリング方法と、合計点による配信判断フロー
- コンテキスト適合・未成年者保護・炎上リスクの具体的な数値化の手順
- アドベリフィケーションツール(IAS・DoubleVerify・Spider AF)の使い分け
ゲーム内広告への出稿を検討中、または出稿中のマーケティング担当者・ブランドマネージャーが、配信前の最終確認に使えるガイドです。
ブランドセーフティとブランドスータビリティ — 2層に分けて考える理由
ゲーム内広告のリスク管理でまず整理しておくべきことは、「ブランドセーフティ」と「ブランドスータビリティ」は性質が異なる概念だということです。この2つを混同したまま配信判断をすると、判断基準が揺らぎ、担当者ごとに対応がバラつく原因になります。
ブランドセーフティ(Brand Safety)は、業界共通のPass/Fail判定です。ヘイトスピーチ、テロリズム、過激な暴力・性的コンテンツなど、すべての広告主にとって絶対に隣接させてはならないコンテンツへの配信を禁止するラインです。企業ごとに調整する性質のものではなく、「どんなブランドでも守るべき最低限の基準」です。
ブランドスータビリティ(Brand Suitability)は、各ブランドが独自に設定する適合度の評価です。ブランドセーフティの基準をクリアしたうえで、「自社のブランドイメージやキャンペーン目標に合っているか」を評価します。たとえば、ファミリー向け食品ブランドが格闘ゲームを配信対象から除外することや、子ども向け商品を全年齢対象ゲームのみに絞ることは、ブランドスータビリティの設定に当たります。
実務上は、先にBrand Safety Floorで「配信できるかどうか」を確認し、クリアしたものについてBrand Suitabilityのスコアで「配信すべきかどうか」を評価するという順番が正しいアプローチです。2025年のIAS「Industry Pulse Report」では、メディア専門家の49%がブランドスータビリティを「最優先事項」と評価しており、単純な合否判定から踏み込んだ適合度管理へのシフトが加速しています。

ゲーム内広告の安全性データ — 他媒体と比較した根拠
ゲーム内広告は、デジタル広告全体の中でも構造的にブランドセーフな媒体です。「安全と言われているが実際はどうなのか」という疑問に対し、IABの2024年調査が明確なデータを示しています。
IAB調査2024年の主要結果:
指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
ゲーム内広告を「ブランドセーフ」と評価した広告主の割合 | 約90% | IAB調査2024年 |
デジタルチャネル安全性ランキング1位 | CTV(コネクテッドTV) | IAB調査2024年 |
デジタルチャネル安全性ランキング2位 | ゲーム内広告 | IAB調査2024年 |
SNS・デジタルディスプレイの順位 | 3位以下 | IAB調査2024年 |
不正トラフィック(アドフラウド)の発生率でも、ゲーム内広告は業界平均を大きく下回っています。
不正トラフィック発生率の比較(出典:anzu.io):
媒体 | 不正TF率 |
|---|---|
ゲーム内広告(モバイル) | 0.16% |
ゲーム内広告(PC) | 0.47% |
デジタル広告業界平均(モバイル比較) | 約6% |
この差の根本的な理由は、ゲームという環境の構造にあります。SNSやYouTubeのようなUGC(ユーザー生成コンテンツ)が存在しないため、意図しないコンテンツへの広告隣接が起きにくい。さらに、ログインやプレイ行動に基づいた実際のユーザーが存在する環境であるため、ボットによる不正インプレッションが入り込みにくい構造です。
ただし、「ゲーム全体がブランドセーフ」という誤解には注意が必要です。ゲームには年齢制限(CEROレーティング)や暴力・性的表現の幅があり、媒体全体の安全性とゲームタイトル個別の適合度は分けて評価しなければなりません。ここで後述のスコアリングが機能します。
不適切なコンテンツに隣接した広告の影響を示すデータも確認しておく価値があります。Silverpushの調査(年度不明、参考値)によると、不適切コンテンツ隣接広告でブランドの利用をやめた消費者は51%、暴力コンテンツ隣接で購買が減少した消費者は80%に上ります。ゲーム内広告においても、コンテキストの管理は数字で確認できるビジネスリスクです。
ゲーム内広告の基本的な仕組みや種類については「ゲーム内広告とは — 仕組み・種類・効果を解説」で詳しく確認できます。
5軸スコアリングの全体像と100点満点の判断基準
ゲーム内広告のブランドセーフティを数値化するフレームワークとして、5つの評価軸・各軸最大20点、合計100点満点のスコアリングを提示します。
このフレームワークは、業界標準(GARM Brand Safety Floor + Suitability Framework、IAB/MRC In-Game Advertising Measurement Guidelines 2.0)を基盤として、日本市場固有の規制(CERO・JICDAQ・景品表示法・JARO)を組み込んだ実務向けの判断基準です。
スコアリングの5軸と評価対象:
評価軸 | 評価の対象 | 最大点数 |
|---|---|---|
第1軸:コンテキスト適合 | CEROレーティング × ゲームジャンル × 世界観の一致度 | 20点 |
第2軸:未成年者保護 | 商材の年齢制限 × 個人情報収集の適切性 × 規制対応状況 | 20点 |
第3軸:炎上リスク | 広告形式 × クリエイティブの問題性 × 商材の炎上感度 | 20点 |
第4軸:アドフラウド・品質 | 配信形態 × JICDAQ認証有無 × ツール導入状況 | 20点 |
第5軸:規制遵守 | 景表法・薬機法対応 × JARO基準適合 × プラットフォーム規約準拠 | 20点 |
合計 | — | 100点 |
総合スコアによる配信判断の目安:
総合スコア | 判断 | 対応方針 |
|---|---|---|
80〜100点 | 配信推奨 | ブランドセーフティ上のリスクが低い。通常通り配信可 |
60〜79点 | 条件付き配信 | 低スコア軸を特定して改善後に配信。改善点を明示して対処する |
60点未満 | 配信停止を検討 | 根本的な見直しが必要。配信先タイトルまたはクリエイティブを変更する |
⚠️ このスコアリングは実務的な判断基準として提示するものです。業界公式の認証基準ではなく、自社の配信判断を支援する参考指標として活用してください。スコアが60点以上であっても、Brand Safety Floorに引っかかる絶対禁止項目(ヘイトスピーチ隣接等)は配信不可です。
第1軸:コンテキスト適合スコア(最大20点)の評価方法
コンテキスト適合スコアは、「どのゲームに、どんな広告を出すか」という配信先とクリエイティブの組み合わせを評価します。ゲーム内広告固有のリスクの多くは、このコンテキストミスマッチから生まれます。
評価項目と配点基準:
評価項目 | 最大配点 | 判断基準 |
|---|---|---|
CEROレーティング適合 | 8点 | A(全年齢)=8点 / B(12才以上)=6点 / C(15才以上)=4点 / D(17才以上)=2点 / Z(18才以上)=0点 |
ゲームジャンル・世界観の適合 | 6点 | ファミリー/カジュアル=6点 / RPG/アドベンチャー=4点 / アクション/スポーツ=2点 / 格闘/ホラー=0点 |
ブランドと世界観の一致度 | 6点 | 高く一致=6点 / 概ね適合=4点 / 若干の違和感あり=2点 / 完全に不一致=0点 |
CEROレーティングと配信判断の目安:
CEROのレーティング制度は、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)が審査する年齢区分制度です。ゲーム内広告においては、配信先ゲームのレーティングが商材の性格と合致しているかを最初に確認します。
CEROレーティング | 年齢区分 | 推奨される商材 | 配信に注意が必要な商材 |
|---|---|---|---|
A | 全年齢対象 | すべての商材 | — |
B | 12才以上対象 | 一般消費財全般 | 未就学児向け専用商品 |
C | 15才以上対象 | 大人向け一般商品 | 子ども・ファミリー訴求ブランド |
D | 17才以上対象 | 成人向け一般商品 | アルコール・ギャンブル等は別途確認要 |
Z | 18才以上のみ対象 | 成人向け商品のみ | ファミリー向け・子ども向けは絶対NG |
コンテキスト適合スコアが低くなる典型例は「ファミリー向け食品ブランドが格闘ゲームに出稿するケース」です。広告そのものに問題がなくても、ゲームの世界観と商材のギャップがSNSで指摘される炎上パターンになります。配信先タイトルのジャンルと世界観は、CEROレーティングとセットで確認する習慣をつけることが重要です。
第2軸:未成年者保護スコア(最大20点)の評価方法
未成年者保護は、ゲーム内広告において特に慎重な判断が求められる軸です。ゲームユーザーには未成年者が多く含まれることがあり、年齢制限商品の配信先や個人情報の取り扱いには法規制上のリスクが伴います。
評価項目と配点基準:
評価項目 | 最大配点 | 判断基準 |
|---|---|---|
商材の年齢制限対応 | 8点 | 年齢制限なし=8点 / 要確認だが対応済み=4点 / 18歳未満不可の商材でZ以外のゲームへ配信=0点(即配信不可) |
個人情報収集・処理の適切性 | 6点 | 収集なし=6点 / 最小限かつ適切な処理=4点 / 収集有・処理確認中=2点 / 未対応=0点 |
規制要件への対応状況 | 6点 | COPPA・GDPR・個人情報保護法に全対応=6点 / 国内のみ対応=3点 / 未対応=0点 |
日本市場向け未成年者保護の判断フロー:
- 商材の年齢制限を確認する — アルコール・ギャンブル・出会い系等の年齢制限商品か否かを最初に確認する
- 配信先ゲームのCEROレーティングを確認する — 年齢制限商品の場合、Zレーティングのゲームのみに限定するか、配信自体を見直す
- 未成年ユーザーのデータ取り扱いを確認する — ゲームアプリが個人情報を収集する場合、個人情報保護法・COPPAへの対応状況を確認する
- 広告内容に年齢制限の表示が必要か確認する — CESAのガイドラインでは、Zレーティングのゲームソフト広告には「18才以上のみ対象」の表示が義務付けられている
主な規制の概要:
規制 | 適用範囲 | 主要要件 |
|---|---|---|
COPPA(米国) | 13歳未満の個人情報収集 | 保護者の確認可能な同意が必須 |
GDPR(欧州) | EU域内の未成年者 | 年齢確認・保護者同意 |
日本個人情報保護法 | 国内ユーザー全体 | 取得・利用の同意、こどもの情報の特別扱い |
JICDAQは自己宣言方式からより厳格な第三者機関検証体制への移行を進めています(最新の認証・審査制度はJICDAQ公式サイトで確認してください)。未成年者ユーザーへの広告配信に関わる個人情報処理については、第三者機関との確認体制を整えることが推奨されます。グローバル配信キャンペーンでは、国ごとの規制への対応状況をスコアリング前に確認してください。
第3軸:炎上リスクスコア(最大20点)の数値化方法
炎上リスクをスコア化する考え方は「発生確率 × 影響度」です。両方を評価してリスクの大きさを実務判断に使える数値に置き換えます。
評価項目と配点基準:
評価項目 | 最大配点 | 判断基準 |
|---|---|---|
広告形式のリスク | 8点 | サイネージ/バナー型=8点 / 動画(プレイ非停止)=6点 / インタースティシャル(全画面割込み)=0点 |
クリエイティブの問題性 | 6点 | 問題なし=6点 / 誇大表現が一部あり=3点 / ゲームUI模倣/虚偽表現=0点 |
商材の炎上感度 | 6点 | 一般消費財=6点 / 嗜好品・社会問題に敏感な商材=3点 / 年齢制限商品=0点 |
ゲーム内広告固有の炎上パターン(5つ):
ゲームコミュニティはSNSでの情報拡散速度が速く、炎上が起きると短時間でブランドイメージへのダメージが広がります。以下は業界リサーチから特定した主要炎上パターンです。
- ゲームUI模倣クリエイティブ — 実際のゲームUIに似せた広告は「詐欺的広告」としてSNS拡散・炎上しやすい。景品表示法の「優良誤認表示」に該当する可能性もある
- インタースティシャル広告の連打 — ゲーム体験を直接阻害する全画面割込み広告は、ゲーマーコミュニティからの批判投稿の典型パターン
- 年齢制限商品を未成年向けゲームに配信 — アルコール・ギャンブル・出会い系等をCEROレーティングA/BのゲームユーザーにリーチするとJARO(日本広告審査機構)への苦情とSNS炎上の双方に直結する。2024年度のJARO審査状況でも、ゲーム・コミック系の性的・暴力的広告表現への苦情は増加傾向にある
- ブランドと世界観の明白なミスマッチ — ファミリー向け商品が暴力系ゲームに掲載された場合、SNS上で「不釣り合い」として指摘されるパターン
- 広告内容と実際の商品・サービスの乖離 — 景品表示法違反による消費者庁の措置命令が出ると、ネット炎上と不買運動が同時進行するリスクがある
炎上リスクマトリクス(発生確率 × 影響度):
発生確率↓ / 影響度→ | 低(局所的) | 中(業界内拡散) | 高(メディア・一般層へ拡散) |
|---|---|---|---|
高(頻繁に起きやすい) | 中リスク | 高リスク | 最大リスク(配信停止を推奨) |
中(時々発生する) | 低リスク | 中リスク | 高リスク |
低(ほぼ発生しない) | 最小リスク | 低リスク | 中リスク |
このマトリクスで「高リスク〜最大リスク」に該当する場合、炎上リスクスコアは10点以下(20点満点中)となり、総合スコアの大幅な低下要因になります。

第4軸・第5軸:アドフラウド・品質スコアと規制遵守スコア(各最大20点)
第4軸:アドフラウド・品質スコア(最大20点)
アドフラウドリスクは配信形態とJICDAQ認証への対応状況で大きく変わります。
評価項目と配点基準:
評価項目 | 最大配点 | 判断基準 |
|---|---|---|
配信形態の安全性 | 10点 | 指定配信(ダイレクト取引)=10点 / PMP(プライベートマーケットプレイス)=7点 / RTB(オープンオークション)=3点 |
JICDAQ認証事業者経由か | 6点 | 認証取得事業者のみ経由=6点 / 一部経由=3点 / 未確認=0点 |
アドベリフィケーションツール導入 | 4点 | IAS/DV/Spider AFのいずれかを導入済み=4点 / 導入なし=0点 |
JICDAQ認証の効果を示すデータとして、認証取得事業者経由での不正トラフィック率は0.2〜3.0%に低下しますが、非対策時は最大8.4%に達します(JICDAQ 2023年度活動報告)。配信形態の選択とJICDAQ認証の活用だけで、アドフラウドリスクを大幅に下げられます。
配信形態別ブランドセーフティ強度:
配信形態 | 安全性 | 特徴 |
|---|---|---|
指定配信(ダイレクト取引) | 最高 | 配信先タイトルを完全にコントロール可能 |
PMP(プライベートマーケットプレイス) | 高 | 取引先を事前に限定。ホワイトリスト的な運用が可能 |
RTB(リアルタイム入札/オープンオークション) | 低〜中 | 配信先の事前確認が困難。ブラックリスト運用が中心になる |
プログラマティック広告とブランドセーフティの詳しい解説については「プログラマティック広告とブランドセーフティ完全ガイド」を参照してください。
第5軸:規制遵守スコア(最大20点)
日本市場でのゲーム内広告配信では、グローバル基準に加えて日本固有の規制への対応も評価します。
評価項目と配点基準:
評価項目 | 最大配点 | 判断基準 |
|---|---|---|
景品表示法・薬機法対応 | 8点 | 法務部門で確認済み=8点 / 確認中=4点 / 未確認=0点 |
JARO(日本広告審査機構)基準適合 | 6点 | 広告内容に問題なし=6点 / 一部グレーゾーン=3点 / 基準違反のおそれあり=0点 |
プラットフォーム利用規約の準拠 | 6点 | 確認・準拠済み=6点 / 確認中=3点 / 未確認=0点 |
なお、GARMは2024年8月に解散していますが、策定したBrand Safety Floor + Suitability Frameworkは現在もIAS・DoubleVerify・Meta・Googleをはじめとする主要プラットフォームが業界標準として参照・運用しています。このフレームワーク自体は引き続き有効です。
スコアリングシートの実践的な使い方と計算例
各軸のスコアを集計して総合点を算出します。以下は実際のキャンペーン配信前に使える計算例です。
計算例1:ファミリー向け食品ブランドのゲーム内広告出稿(良好な設定)
評価軸 | 評価の前提 | スコア |
|---|---|---|
第1軸:コンテキスト適合 | CEROレーティングA(全年齢)のカジュアルゲーム。食品ブランドの世界観と一致度が高い | 18/20点 |
第2軸:未成年者保護 | 商材に年齢制限なし。個人情報収集なし。個人情報保護法対応済み | 20/20点 |
第3軸:炎上リスク | サイネージ型配信。クリエイティブは通常の商品訴求。一般消費財 | 18/20点 |
第4軸:アドフラウド・品質 | PMP配信。JICDAQ認証事業者経由。IAS導入済み | 17/20点 |
第5軸:規制遵守 | 景表法確認済み。JARO基準に問題なし。プラットフォーム規約確認済み | 20/20点 |
合計 | 93/100点(配信推奨) |
計算例2:アルコール飲料ブランドが未成年向けゲームに出稿しようとするケース(問題のある設定)
評価軸 | 評価の前提 | スコア |
|---|---|---|
第1軸:コンテキスト適合 | CEROレーティングB(12才以上)のアクションゲームに配信 | 8/20点 |
第2軸:未成年者保護 | アルコール商材(20歳未満禁止)。ZレーティングでないゲームへのリーチでNG | 0/20点 |
第3軸:炎上リスク | インタースティシャル形式。アルコール商材で炎上感度が高い | 4/20点 |
第4軸:アドフラウド・品質 | RTB配信。JICDAQ未確認。ツール未導入 | 3/20点 |
第5軸:規制遵守 | 景表法確認中。JARO基準の一部にグレーゾーンあり | 7/20点 |
合計 | 22/100点(配信停止を検討) |
計算例2は、第2軸で未成年者保護が0点になった時点で配信停止相当です。配信先ゲームタイトルをZレーティングのみに変更するか、クリエイティブと広告形式を根本的に見直す必要があります。

アドベリフィケーションツール3社の機能比較
スコアリングの第4軸(アドフラウド・品質)と第1軸(コンテキスト適合)を技術的に支援するのが、アドベリフィケーションツールです。主要3社の機能と使い分けを整理します。
主要アドベリフィケーションツールの比較:
ツール | 主な機能 | ゲーム内広告対応 | 日本語対応 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
IAS(Integral Ad Science) | コンテンツスコアリング、Context Control(コンテキスト分析) | 展開中 | ○ | AI・NLP・コンピュータビジョンで100以上のカテゴリを分類。フレームレベル評価が可能 |
DoubleVerify(DV) | ブランドスータビリティスコアリング、Brand Safety Rating | ○ | ○ | GARMフレームワーク準拠の低/中/高リスク3段階スコアを提供。体系的な定量評価が強み |
Spider AF | アドフラウド検出、コンテキストスコアリング | ○ | ◎(日本語メイン) | JICDAQ認証取得。日本語コンテンツの分析精度が高く、日本市場特化の運用に適している |
各ツールの活用場面:
- ブランドスータビリティの定量評価: DoubleVerifyがGARM準拠の12カテゴリで体系的にスコアを出力するため、報告書向けの数値整理に適している
- コンテキストの細かい意図・感情分析: IASの「Context Control」が強みで、ゲーム画面内のコンテンツをフレームレベルで分析する機能の展開が進んでいる
- 日本語コンテンツのアドフラウド検出: Spider AFがJICDAQ認証を取得しており、日本市場での不正トラフィック対策に最適
こんな企業には向いている / こんな企業には向かない
ゲーム内広告でブランドセーフティを高水準に維持しやすい企業
- ファミリー向け消費財メーカー(食品・日用品・飲料): CEROレーティングA/Bのゲームに絞ったホワイトリスト配信で、未成年者保護と世界観の一致を両立できる。スコアリングの第1・第2軸で高得点を維持しやすい
- ブランドイメージ管理を厳格に行うナショナルブランド: UGCがなく意図しないコンテンツ隣接が起きにくいゲーム内広告は、ブランドイメージの保護に敏感な大手企業に構造的に合っている
- 20代〜40代のゲーマー層への認知拡大を目指す企業: SNS・動画広告では届きにくいゲームプレイ中のユーザーに、高い視認環境でリーチできる。第3軸(炎上リスク)のサイネージ型配信でも高スコアを維持しやすい
- JICDAQ認証・アドベリフィケーションツールを活用できる体制がある企業: 第4軸(アドフラウド・品質)と第5軸(規制遵守)で高スコアを維持しやすく、配信品質の継続的なモニタリングが可能
ゲーム内広告のブランドセーフティ設計が難しい企業
- アルコール・ギャンブル・出会い系等の年齢制限商品: 第2軸(未成年者保護)でスコアが大幅に下がる。配信できるゲームタイトルが限られ、配信設計が複雑になる。スコアリング前に法務確認が必須
- インタースティシャル広告(全画面割込み)でのリーチを想定している企業: 第3軸(炎上リスク)でスコアが大幅に下がる。ゲームコミュニティからの批判を受けやすく、ゲーム内広告の活用には広告形式の変更が前提になる
- 配信先を管理せずRTB(オープンオークション)のみで一括配信したい企業: 第4軸(アドフラウド・品質)でスコアが低くなる。ブランドスータビリティを維持するにはPMP以上の配信形態が実質的な前提条件
- スコアリング管理のリソースを割けない企業: 配信前のスコアリングと継続的なモニタリングには担当者の工数が必要。管理体制が整わない場合、スコアの維持そのものが難しくなる
Ad-VirtuaのブランドセーフティとJICDAQ認証
Ad-Virtuaは、ゲーム空間内のサイネージ(看板・モニター)に動画広告を配信するアドネットワークです。ブランドセーフティのスコアリングの観点から見ると、構造的な優位性が複数あります。
- UGCなし構造: SNS・YouTubeとは異なり、ゲーム内にユーザー生成コンテンツが存在しない。意図しないコンテンツへの広告隣接が起きにくい(第3軸:炎上リスクの低減)
- ホワイトリスト型キュレーション: 事前審査済みのタイトルのみを配信先とするため、配信先タイトルが無制限に広がらない設計(第1軸:コンテキスト適合の担保)
- サイネージ型(非割込み型)の広告形式: インタースティシャル(全画面割込み)ではなくゲーム世界観に溶け込む形式のため、ゲーマーコミュニティからの反発リスクが低い(第3軸:炎上リスクの低減)
- JICDAQ対応: アドフラウド・ブランドセーフティの日本の認証制度(JICDAQ)に対応(第4軸:アドフラウド・品質の担保)
本記事のスコアリングフレームワークを使って自社キャンペーンの評価を行ったうえで、配信先タイトルの選定やクリエイティブ設計について相談したい場合は、Ad-Virtuaへのお問い合わせ・資料請求はこちらからご連絡ください。
「ゲーム内広告のブランドセーフティに関する6つのリスクとチェックリスト」については「ゲーム内広告のブランドセーフティ完全ガイド」で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)
Q1. ブランドセーフティとブランドスータビリティは、どちらを先に確認すればよいですか?
必ずBrand Safety Floor(ブランドセーフティの絶対基準)を先に確認してください。ヘイトスピーチ、テロリズム、過激な暴力・性的コンテンツが含まれる配信先は、どれだけブランドスータビリティのスコアが高くても配信すべきではありません。Brand Safety FloorのPass/Fail判定を通過したうえで、次にBrand Suitabilityのスコアリングに進むことが正しい順番です。
Q2. CEROレーティングが「B(12才以上)」のゲームへの一般消費財の広告配信は問題ありませんか?
一般的には問題ないケースが多いですが、商材の世界観とゲームジャンルの一致度を確認する必要があります。子ども向けの商品訴求でBレーティングのアクション系ゲームに配信する場合は、コンテキスト適合スコアが下がります。CEROレーティングAの全年齢対象ゲームに絞ることで、未成年者保護とコンテキスト適合の両方でスコアが安定します。
Q3. JICDAQ認証を取得していないアドネットワーク経由での配信はリスクが高いですか?
第4軸(アドフラウド・品質スコア)の観点では、JICDAQ認証取得事業者経由と比べて不正トラフィックリスクが高まります。JICDAQ認証取得事業者経由での不正TF率は0.2〜3.0%に低下しますが、非対策時は最大8.4%に達します(JICDAQ 2023年度活動報告)。認証の有無はスコアリングの重要な判断項目です。
Q4. スコアが60点未満になった場合、配信を完全に止める必要がありますか?
必ずしも即時停止が正解ではありません。低スコアの軸を特定し、その軸を改善することで60点以上に引き上げられる場合があります。炎上リスクスコアが低い場合は、クリエイティブの変更や広告形式をインタースティシャルからサイネージ型に切り替えることで改善できます。ただし、年齢制限商品を未成年向けゲームに配信するケースのように根本的な改善が難しい場合は、配信停止を検討することを推奨します。
Q5. GARMが解散した後も、GARMのフレームワークを参照する意味はありますか?
GARMは2024年8月に解散しましたが、GARMが策定したBrand Safety Floor + Suitability Frameworkは現在もIAS・DoubleVerify・Meta・Googleをはじめとする主要プラットフォームが業界標準として参照・運用しています。フレームワーク自体は引き続き有効です。ただし、GARMによる業界横断的なルール更新機能は停止しているため、今後は各プラットフォームやIABが個別に基準を発展させていく流れになる点に留意してください。
Q6. ゲーム内広告のブランドセーフティスコアリングは、どのタイミングで実施すればよいですか?
配信設計の段階(配信先タイトルの選定時・クリエイティブ制作前)と、配信直前の最終確認の2段階で実施するのが理想的です。配信中も定期的なモニタリングを行い、炎上リスクの変化やアドフラウドの増減を追跡することを推奨します。特に新しいゲームタイトルをホワイトリストに追加する際は、第1軸(コンテキスト適合)を再評価してください。


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