Venatus(ヴェナタス)はゲーム攻略サイト、モバイルゲーム、ブラウザゲームの広告枠をまとめて預かり、ゲーマー向けの広告ネットワークとしてブランドに販売する英国の会社で、2026年10月に投資ファンドのメディアスケール・キャピタル(MediaScale Capital Limited)に買収された。公式サイトには日本の拠点も日本の広告枠も示されていないため、日本の広告主にとっては海外のゲーマー向け施策の参考事例にあたり、国内で同じ狙いの広告を出すなら国内の在庫を持つ事業者を選ぶことになる。
2026年10月の発表内容

Venatus の公式ブログによると、2026年10月、運営会社の Venatus Media Limited はメディアスケール・キャピタルに買収された(出典: Venatus公式ブログ)。公式の表記は「October 2026」のみで、日付は示されていない。
項目 | 内容 |
|---|---|
買収した企業 | メディアスケール・キャピタル(MediaScale Capital Limited) |
買収金額 | 非公開 |
新CEO | ドーラ(セオドラ)・ミハイル=クレンディネン(Dora/Theodora Michail-Clendinnen)。前職は同社のCRO(最高収益責任者) |
新CFO | ジョー・シース(Joe Seath) |
今後の方針 | 事業の中心はゲームとエンタメのまま。今後数か月で、パブリッシャーと広告主に向けて「データ・アイデンティティのツール」と「テクノロジー・インフラ」を提供する |
今後提供するツールの具体的な内容は、リリースの時点では発表されていない。2021年から出資していた英国の投資会社リビングブリッジ(Livingbridge)が今回の売り手にあたるのかも、リリースには書かれていない。
新CEOのミハイル=クレンディネン氏は「私たちは本当に強い立場から次の章に入ります(We're entering this next chapter from a position of real strength.)」とコメントした。メディアスケール・キャピタル側は発言者名を出さずに、「Venatus は10年以上をかけて、ゲーム・エンタメ広告で本当に差別化されたポジションを築いてきた」と評価している。
Venatusとはどんな会社か

Venatus はゲーマーが集まる媒体の広告枠を預かって販売する会社である。パブリッシャー(媒体社)から見れば広告収益化の代行会社で、広告主から見ればゲーマー向けの広告ネットワークにあたる。
会社の基本情報
項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
正式社名 | Venatus Media Limited | |
設立 | 2010年 | |
共同創業者 | ロブ・ゲイ(Rob Gay、元CEO)、マット・キャノン(Matt Cannon、元COO)。2人は2008年にアドテク業界で知り合った | |
本社 | ロンドン(リビングブリッジの紹介文による。Venatus 自身のサイトは本社所在地を明示していない) | |
拠点 | ロンドン、ニューヨーク、ソウル、シドニー、フィリピン(マカティ/タギッグ)。ロサンゼルスとトロントはバーチャルオフィス | |
従業員数 | 120人超 | |
売上 | 絶対額は非公開。2023年のグループ売上見通しは「2,000万ユーロ超」。2019年以降で売上は200%成長(2024年9月、ロブ・ゲイ氏の発言) | |
直販キャンペーン数 | 年間900件超(レゴ、プレイステーション、ディズニーなど) | |
グループブランド | Venatus、アディンプレイ(AdinPlay、ブラウザゲームの広告収益化) | |
認証 | Google Certified Publishing Partner(2024年5月)、IAB Gold Standard、TAG Brand Safety Certified |
現在の経営陣は、CEOのミハイル=クレンディネン氏、CFOのシース氏、CTOのプラブ・プラカシュ・ガネーシュ(Prabhu Prakash Ganesh)氏などで、共同創業者の2人も「Co-Founder」として公式サイトのチームページに名前が残っている。
パブリッシャー向けの収益化プラットフォーム「プロスパー」
媒体社向けには自社開発の収益化プラットフォーム「プロスパー(Prosper)」を提供している。対象はWebサイト、アプリ、ブラウザゲームで、ヘッダービディング、動画フォーマット、テイクオーバーなどのハイインパクト広告、アドブロック対策、PMP(プライベートマーケットプレイス)、同意管理(CMP)、アドメディエーションの機能をまとめて持つ。公式サイトでは「予測エンジンがページ読込ごとに最も収益性の高い需要の組み合わせを選ぶ」と説明している(出典: Prosper)。

同社はプロスパーの効果として「RPM 50〜95%向上」「インプレッション前年比47%増」「セッション当たり収益48%増」を掲げている。いずれも自社発表の値で、第三者による検証は示されていない。これに加えて社内の直販チームが広告主に枠を直接販売し、プログラマティック取引の収益に上乗せする。ブラウザゲーム向けのページでは、直販の上乗せで「最大30%の収益増」と書いている。
広告主向けの売り方は「掲出場所×オーディエンス」
広告主に向けては、掲出場所を3つ、オーディエンスを3つに分け、その組み合わせで販売している。
掲出場所 | 主なフォーマット |
|---|---|
ゲームの中(In the Game) | 独自ワールドやインタラクションを使うブランド体験、ゲーム内動画、ゲーム内ビルボード、ゲーム内オーディオ |
ゲームの周辺(Around the Game) | リワード動画(公式表記でビューアビリティ99%)、社内クリエイティブチームが作るプレイアブル広告(ミニゲーム、パズル、タイムトライアル) |
ゲームの外(Away from the Game) | ゲームメディアのテイクオーバー(Twitch配信を埋め込む形式を含む)、クロスデバイス動画、バナー |
オーディエンス | 公式サイト上の月間ユーザー数(MAU) | 中心となる層と端末 |
|---|---|---|
コアゲーマー(Core Gaming) | 1億1,700万 | 16〜40歳。PC・コンソール中心 |
カジュアルゲーマー(Casual Gaming) | 5,100万 | 18〜60歳。女性比率が高め。モバイル中心 |
キッズゲーマー(Kids Gaming) | 2億(グローバル) | 3〜15歳のアルファ世代 |
ネットワーク全体のリーチは公式サイトの表記で月間4億人超である(出典: Away from the Game)。セグメント別の数値とネットワーク全体の数値は集計の定義が公表されておらず、重複を除いているかも分からないため、足し合わせて比べることはできない。

ブランド向けの打ち出しは「イン・ザ・ゾーン(In the Zone)」で、ゲームに没頭して集中している状態を広告との接点として売る考え方である。ゲーム広告の掲出場所の分け方はゲーム広告 種類 一覧で国内の分類と合わせて確認できる。
在庫の出どころ
Venatus が販売する在庫は、主に次の3つから来ている。
- ゲーム攻略・データサイトのWeb在庫。OP.GG、FUTBIN、HLTV、プラネット・マインクラフト(Planet Minecraft)など
- モバイルゲームのアプリ内在庫。エレクトロニック・アーツ(EA)、ロビオ(Rovio)、ミニクリップ(Miniclip)、スコープリー(Scopely)など。EA のアプリ内広告は Venatus が独占的に代理している
- アディンプレイ経由のブラウザゲーム。agar.io、paper.io、Gartic Phone、skribbl.io など。2026年5月からはロブロックス(Roblox)のリワード動画が英・仏・独で加わった
ゲーム内とゲーム外の在庫の比率や、売上の構成は公開されていない。
ゲームの3D空間に看板を自動で配置する専業ベンダー(アンズ〔Anzu〕、フレームプレイ〔Frameplay〕など)と比べると、Venatus はゲームの外と周辺の在庫が厚い「ゲーム特化型のメディアレップ」と考えられる。ゲーム内ビルボードなどのフォーマットも掲げているが、配信技術を自社で持つのか提携先を使うのかは公式に書かれていない。2023年にゲーム内広告のビッドスタック(Bidstack)と商業提携したことは、公式ブログに記載がある。
対応プラットフォームと主要パートナー
対応しているのは、Web(PC・モバイル)、モバイルアプリ、ブラウザゲーム(HTML5)、ロブロックスである。コンソールは、後述のバーバリーの事例でゲーム内リワード動画の配信先として記載がある。
区分 | パートナー |
|---|---|
ゲームパブリッシャー | EA(アプリ内広告の独占代理)、ロビオ、ミニクリップ、スコープリー(2023年に提携)、ロブロックス(英仏独のリセラー) |
媒体 | OP.GG、FUTBIN、HLTV/ベター・コレクティブ(Better Collective)、ワット・カルチャー(What Culture)、ジーフィニティ(Gfinity)、プラネット・マインクラフト、MOBA Network |
アドテク・計測 | Google(GCPP)、ルーメン・リサーチ(Lumen Research、アテンション計測)、GWI(2023年に共同調査)、ビッドスタック(2023年にゲーム内広告で提携) |
広告会社 | ハバス(Havas)、メディアコム(Mediacom)、the7stars、MG OMD(公式サイトの事例・推薦文に名前がある) |
ここまでの歩み
Venatus の歩みは創業者が率いた成長期(2010〜2021年)、投資会社の出資を受けた拡大期(2021〜2026年)、新しいオーナーのもとでの時期(2026年〜)の3つに分けて整理できる。
出資と買収の振り返り
Venatus に出資した側、Venatus を買収した側として公表されているのは、リビングブリッジとメディアスケール・キャピタルの2社で、日本企業の名前はない。いずれの取引も金額は公開されておらず、累計の調達額も公式には示されていない。
時期 | 出来事 | 金額 | そのとき会社が目指していたこと |
|---|---|---|---|
2021年9月28日 | 英国の中堅PEファンド、リビングブリッジが出資 | 非公開(出資比率も非公開) | 「ゲーム広告で世界最大の専門企業になる」ため、米国での拡大、新しい地域への進出、自社技術への投資を進める |
2023年3月9日 | オランダのアディンプレイ(AdinPlay BV)を買収。リビングブリッジの出資後で初の買収 | 非公開 | カジュアル・ソーシャル系ブラウザゲームの在庫を取り込む。この時点のグループ売上見通しは2,000万ユーロ超 |
2026年10月 | メディアスケール・キャピタルが Venatus を買収 | 非公開 | ゲームとエンタメを軸に、データ・アイデンティティのツールと技術基盤を提供していく |
リビングブリッジは自社サイトで Venatus への投資を「Realised(回収済み)」と表示している。ただし、2026年10月の買収がリビングブリッジの持分売却にあたるのか、創業者の持分がどう扱われたのかは、公式に明記されていない。

出資の履歴は、ゲーム周辺の広告ビジネスが投資の対象としてどう評価されてきたかの記録でもある。公式情報で確かめられるかぎり、外から出資を受けたのは創業11年後の2021年が初めてで、その5年後に別の投資会社が買収した。ゲーム特化の広告会社が投資ファンドの買収対象になるだけの事業規模を持つようになったと読める。
年表
時期 | 出来事 |
|---|---|
2008年 | ロブ・ゲイ氏とマット・キャノン氏がアドテク業界で協業を始める |
2010年 | Venatus を設立。ゲーム向けの広告ソリューションが手薄なことに着目した |
2015年 | 世界展開を決め、米国とオーストラリアに拠点を開く |
2018年 | フォートナイトなど基本無料ゲームの成長でゲーム広告市場が広がったと、自社の年表に記している |
2021年9月 | リビングブリッジが出資 |
2022年6月 | ティム・ウェラー(Tim Weller)氏が取締役会長に就任。インサイシブ・メディア(Incisive Media)の創業者で、スーパーオーサム(SuperAwesome)とトラストパイロット(Trustpilot)の会長を務めた |
2023年3月 | アディンプレイを買収 |
2023年 | EA との提携を大きく広げ、ミニクリップ、スコープリー、ビッドスタックと新たに提携。ドイツに進出し、韓国とフィリピンで事業を伸ばし、カナダにも初めて進出。釜山のG-STAR 2023に参加し、GWIと共同調査を行う。この年の新規入社は47人 |
2024年5月 | Google Certified Publishing Partner に認定 |
2024年9月 | 共同創業者のロブ・ゲイ氏がCEOを退き、ニック・ヒュー(Nick Hugh)氏が就任。ヒュー氏はテレグラフ・メディア・グループの元CEO、ヤフーEMEAの元VP。創業者2人は株式と取締役の地位を維持した |
2025年1月 | CTOにガネーシュ氏(元MIQ)、CPO(最高パブリッシャー責任者)にフルール・ベネット(Fleur Bennett)氏(元Placements.io、Google)、CROにミハイル=クレンディネン氏(元Ozone CSO、元テレグラフ)が就任 |
2026年3月 | ルーメン・リサーチと共同でアテンション調査を発表 |
2026年5月 | ロブロックスのリワード動画広告で、英国・フランス・ドイツの公式リセラーになる |
2026年10月 | メディアスケール・キャピタルが買収。ミハイル=クレンディネン氏がCEOに就任 |

ロブロックスとの提携では『Grow a Garden』『Dress to Impress』など400を超えるエクスペリエンスでリワード動画を配信する。契約条件は公開されていない。
経営トップの交代
2024年9月以降の約2年で、CEOはゲイ氏からヒュー氏、ヒュー氏からミハイル=クレンディネン氏へと2度交代した。ヒュー氏は2026年3月のリリースではまだCEOとしてコメントしており、退任の時期と理由は公式に書かれていない。2025年に就任したベネット氏は、2026年5月のロブロックス提携のリリースにはCPOとして登場するが、現在の公式チームページには名前が見当たらない。
撤退やサービス終了は、公式情報には見当たらない。2023年に提携したビッドスタックとの関係がその後どうなったかは、一次情報で確認できていない。
広告出稿事例
公式サイトのケーススタディから、効果指標が公表されている3件を紹介する。数値はいずれも Venatus の自社発表で、各ページに実施時期は書かれていない。
バーバリー「HERO」(オーストラリア)
バーバリー(Burberry)の「HERO」のキャンペーンで、広告会社ハバスが担当した。対象は20〜45歳の男性ゲーマーである。ゲームメディア(gfinityesports.com など)のテイクオーバーとマストヘッドに加え、PC・コンソール向けのゲーム『Paladins』『SMITE』の中で15秒のリワード動画を配信した。
指標 | 結果 |
|---|---|
テイクオーバーのCTR | 2.4% |
ゲーム内リワード動画のVTR(視聴完了率) | 96.5% |


ゲームの外(メディアサイト)とゲームの中(リワード動画)を1つのキャンペーンで組み合わせた例で、同じ層に別の場所で2回接触させる設計と考えられる。
任天堂『ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス』
広告会社 the7stars と組んだ事例である。『Angry Birds』『Plants vs Zombies』のアプリ内在庫で、ポケモンのクイズに答える形式のMRAIDミニゲーム広告を配信した。デスクトップのゲームメディア(Videogamer)では、プレロール動画を流した。
フォーマット | 指標 | 結果 |
|---|---|---|
MRAIDミニゲーム | CTR | 12.3% |
MRAIDミニゲーム | エンゲージメント率 | 40.1% |
プレロール動画 | CTR | 8.4% |
プレロール動画 | VTR | 87.6% |

広告そのものを短いゲームにして遊んでもらう手法は、国内でも広告ゲームやプレイアブル広告として使われている。仕組みは広告ゲームとは 仕組みで解説している。
インテル「Arc」(韓国)
インテル(Intel)の「Arc」を、18〜34歳の韓国のPCゲーマーに向けて広告した事例である。リーグ・オブ・レジェンドなどの攻略・戦績サイト op.gg、fow.kr、dak.gg に、動画付きのプレミアムテイクオーバーを掲出した。インテルの15秒動画は Venatus の社内チームが再編集した。
指標 | 結果 |
|---|---|
CTR | 5.98% |

公式サイトには、ほかにもスカイ(Sky)「Four Kids and It」、ケロッグ(Kellogg's)のココポップス「Start the Magic」(UKSA 2022受賞)、ビザ(Visa)×ロブロックス(2023年、受賞)などの事例名が並んでいる。
なぜこの動きが起きたのか
「没頭している人の注意」を売る
Venatus が2026年に打ち出したのは、ゲームに集中している人の注意(アテンション)を広告の価値として示すことだった。2026年3月18日に発表したルーメン・リサーチのアイトラッキング調査では、「イン・ザ・ゾーン」の状態にある視聴者について次の結果を示している(出典: Venatus公式ブログ)。
- 1,000インプレッション当たりのアテンション(APM)が、標準的な動画広告と比べて最大5倍
- 平均視聴時間は8秒で、業界ベンチマークの2秒を上回る
- 広告が視認された割合は、インストリーム動画の約2倍
サンプル数、対象市場、調査期間は公表されていない。

ルーメン・リサーチCEOのマイク・フォレット(Mike Follett)氏は「広告への注意は、コンテンツへの注意に左右される」とコメントした。インプレッションの数ではなく「見られたかどうか」で媒体を比べる流れのなかで、ゲームを注意の集まる場所として売り込む狙いがあると考えられる。SNS広告との違いを注意の観点から整理した記事にゲーム広告 sns広告 比較がある。
Z世代の時間がゲームに移っている
ロブロックスとの提携にあたって、当時CROだったミハイル=クレンディネン氏は「Z世代は注意がどこに向くかを塗り替えている。ロブロックスはその変化を大規模に示す最も分かりやすい例の一つだ」と述べた。若い層が過ごす場所がゲームのなかに移っているという認識のもとで、Venatus はゲーム内の在庫を取り込んでいると読める。
リワード動画は、ユーザーが自分で選んで広告を見る代わりにゲーム内の報酬を受け取る形式で、広告を収益源にするゲームの基本的な仕組みの一つである。全体像は広告付きゲーム 仕組みで確認できる。
今回の買収の位置づけ
買収リリースが次の柱に挙げたのは、データ・アイデンティティのツールと技術基盤だった。媒体の在庫を束ねて売る段階から、どのユーザーに届いたかを示すデータを広告主に渡す段階へ進もうとしていると考えられる。ただし、具体的な製品はまだ発表されていない。
日本市場ではどうか
公式サイトに日本の拠点はない。アジアの拠点はソウルとフィリピンで、ブログの言語も韓国語、ドイツ語、スペイン語、フランス語で、日本語版はない。日本の広告枠、日本語の媒体、日本円での取引について公式の記載はなく、日本の広告主向けに提供しているかは確認できなかった。
問い合わせ窓口はあるため、海外向けの配信として発注する余地はあると考えられる。ただ、日本の広告主が使う前提で見ると、次の点が障壁になる。
- 在庫の中心が英語圏のPC・コンソールゲーマーと欧米のモバイルゲームである。日本のゲーマーの分布とは重ならない部分が大きい
- ロブロックスのリワード動画のリセラー権は、英国・フランス・ドイツに限られる
- キッズ向け在庫は、公式には「brand-safe and kid-safe by default」とだけ書かれており、どの国の規制にどう対応しているかは示されていない
- 日本語でのサポートがあるかは確認できなかった
日本に近い市場の例としては、インテルの韓国事例がある。ゲームの攻略・戦績サイトの枠を束ねて売るモデルが、隣の市場で実際に動いている。国内で同じように攻略サイトの枠をオーディエンス単位で束ねる事業者があるかは、今回の調査では確かめていない。
国内の広告市場全体を見ると、電通「2025年 日本の広告費」では、総広告費が8兆623億円(前年比105.1%)で4年連続の過去最高、インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で初めて4兆円を超えた(出典: 電通)。この調査にゲーム広告だけの数値は載っていない。
日本で同じ広告を実施する選択肢
Venatus の売り方は掲出場所を「ゲームの中・周辺・外」に分けることだった。日本の広告主が同じ狙いの施策を考えるときも、まずどの場所でゲーマーに接するかを決めると選択肢を絞りやすい。
比較ポイント | ゲームの外(攻略サイトなどのWeb広告) | ゲームの周辺(リワード動画・プレイアブル広告) | ゲームの中(ゲーム空間の看板・モニター) |
|---|---|---|---|
Venatus での例 | バーバリー、インテルのテイクオーバー | バーバリーのリワード動画、任天堂のミニゲーム広告 | ゲーム内ビルボード、独自ワールドを使うブランド体験(公式サイトに掲げるフォーマット) |
ユーザーとの接し方 | ゲームの情報を調べているときに表示される | ユーザーが選んで視聴する、または広告で遊ぶ | プレイ中の画面の背景に表示される |
プレイへの影響 | プレイの外なので影響しない | 視聴や操作の時間をユーザーが割く | プレイを中断しない |
素材 | バナー、動画、サイト全体のテイクオーバー素材 | 15秒前後の動画、ミニゲームの制作 | 看板・モニターに流す動画 |
テイクオーバーやバナーなど一般的なWeb広告のフォーマットは、広告の種類完全ガイド【2026年版】デジタル・マス・体験型・ゲーム内広告の特徴と選び方で他の広告と並べて整理している。
ゲームの中で接したい場合の選択肢の一つ
日本国内でゲームの中の広告枠を使う場合、選択肢の一つが Ad-Virtua である。ゲーム空間の看板やモニターに動画広告を配信するアドネットワークで、国内の400タイトル以上(カジュアル、RPG、パズル、アクションなど)に対応し、1週間30万円のプランから発注できる。
Venatus の領域と重なるのは、ゲーマーという生活者との接点を広告主向けにまとめて売っている点である。異なるのは在庫の場所で、Venatus はゲームの外と周辺の在庫が厚く、Ad-Virtua はゲームの中のサイネージ型に絞っている。
Ad-Virtua が合いやすいのは、次のような企業である。
- 国内のゲーマーに、日本円・国内タイトルで広告を出したい
- 手元にある動画素材を活用して、新しい接点を試したい
- プレイを止めない形で、ブランドの認知を広げたい
一方、次のような目的には合わない。
- 攻略サイトのテイクオーバーのように、ゲームの情報を調べている人へ広告を出したい
- 欧米のPC・コンソールゲーマーや、英仏独のロブロックスユーザーに届けたい
- 広告を見た報酬としてゲーム内アイテムを渡すリワード形式を使いたい
広告主が取るべき判断
今動くべき企業
- 欧米や韓国のゲーマーに商品を届けたいグローバルブランドで、ゲーム攻略サイトやモバイルゲームの在庫をまとめて買いたい企業。Venatus に問い合わせ、英語圏での配信を検討する価値がある
- 国内の若年層の認知を広げたいが、TVCMやSNS広告だけでは届きにくいと感じている食品・飲料・日用品メーカー。国内のゲーム内広告を小さな予算で試し、ゲーマーへの接触がブランドの指標にどう表れるかを確かめる段階に入れる
様子見でよい企業
- 主な顧客が国内の中高年層で、ゲーマーとの接点を急ぐ理由がない企業
- 買収後に発表される「データ・アイデンティティのツール」の内容を見てから、海外のゲーム広告の発注先を決めたい企業。新体制での製品はまだ公表されていない
- キッズ向けの商品で、出稿先の国ごとの規制対応を確認できていない企業
関連する基礎知識
- ゲーム内広告の全体像は ゲーム内広告とは で解説している
- 掲出場所ごとの広告の違いは ゲーム広告 種類 一覧
- リワード動画を含む収益化の仕組みは 広告付きゲーム 仕組み
- ミニゲーム型の広告は 広告ゲームとは 仕組み
- SNS広告との違いは ゲーム広告 sns広告 比較
FAQ
メディアスケール・キャピタルはどんな投資会社ですか?
本記事の調査では、所在地、運営者、投資先の一覧を一次情報で確認できなかった。Venatus の買収リリースにも、こうした情報は書かれていない。買収後の方針を見極めたい場合は、今後のリリースで出てくる投資先や経営陣の情報を確認するのが確実である。
キッズゲーマー向けの在庫に出稿するとき、何に気をつければよいですか?
Venatus は3〜15歳のキッズゲーマーを月間2億人規模のセグメントとして売っているが、公式に示しているのは「標準でブランドセーフかつキッズセーフ」という説明だけである。どの国のどの規制に準拠しているかは書かれていない。子ども向けの商品を出す場合は、配信先の国ごとに、ターゲティングやデータ取得の扱いを発注前に書面で確認しておく必要がある。
事例のVTRやCTRを、国内のゲーム内広告の数値と並べて比べてよいですか?
そのまま並べるのは避けたほうがよい。バーバリーの事例でVTRが96.5%と高いのは、リワード動画がユーザー自身の選択で再生される形式だからと考えられる。プレイ中の背景に流れるサイネージ型の広告とは、視聴の始まり方が違う。比べるなら、ブランド認知や広告想起のように、形式に左右されにくい指標をそろえて測るのが現実的である。
Venatus はゲーム内ビルボードを自社の技術で配信しているのですか?
公式サイトではゲーム内ビルボードやゲーム内オーディオをフォーマットとして掲げているが、自社の技術で配信しているのか、提携先を通しているのかは書かれていない。2023年にゲーム内広告のビッドスタックと商業提携した記録はあるが、その提携が今も続いているかは確認できていない。ゲームの中の枠を目的に発注する場合は、配信技術と計測の提供元を事前に確認するとよい。


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