Kidoz Inc.(キドズ、以下Kidoz)は、13歳未満の子どもが遊ぶモバイルゲームに、個人データを使わない文脈(コンテクスチュアル)配信で広告を届けるカナダ上場のアドネットワークで、2026年第2四半期に同期として過去最高の売上を記録した。日本向けの窓口や国内在庫は公式資料で確認できないため、日本の広告主にとっては「欧米で子ども向け広告がどう設計されているか」を知る手本であり、国内で実施するなら別の配信手段を選ぶことになる。
2026年第2四半期決算の内容
直近の一次情報は2026年8月26日に発表した2026年第2四半期決算である(出典: Kidoz IR。同内容はSECに6-Kとして提出済み)。
項目 | 2026年Q2 | 前年同期 |
|---|---|---|
売上 | US$3,334,835(+37%) | US$2,430,216 |
売上総利益 | US$1,418,582(粗利率42.5%) | 粗利率47.8% |
純損益 | US$1,558,343の損失 | US$1,171,483の損失 |
上期(1〜6月)の売上はUS$6,281,576(会社発表のカナダドル表記でCAD 8.66M)で前年同期比+22%、上期の純損失はUS$2,372,907だった。2026年6月30日時点の現金はUS$1,328,558である。
費用が増えた理由について、会社は前年の業績に基づく年次ボーナス(US$862,863)を4〜6月に支払ったためと説明している。CEOのジェイソン・ウィリアムズ(Jason Williams)氏は「私たちの目標は持続的な成長と、時間をかけて営業レバレッジを高めることだ」とコメントした。
その前の2026年4月29日には2025年通期決算を発表している。売上は過去最高のUS$18,433,172(前年比+32%)、純利益はUS$456,817で、ファクトシートとCEOインタビューによると2年連続の黒字だった。また同社は2026年10月28日に投資家向けイベント「Planet MicroCap Showcase: Toronto 2026」に登壇すると告知している。
Kidozとはどんな会社か

基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
正式社名 | Kidoz Inc. |
上場 | TSXベンチャー取引所(TSX Venture Exchange): KDOZ/米OTCQB: KDOZF |
本社 | カナダ・バンクーバー |
主要拠点 | イスラエル・ネタニヤ(開発・運営)、英国・ロンドン(営業・マーケティング) |
法人の起源 | 1987年1月に米フロリダ州で設立された法人(のちのBingo.com)が前身 |
現在の形になった時期 | 2019年3月、イスラエルの非公開企業Kidoz Ltd.を買収 |
従業員 | 14か国に58名(2026年4月提出の年次報告書20-F)。公式サイトでは65名 |
経営陣 | CEO ジェイソン・ウィリアムズ氏、会長 T. M. ウィリアムズ氏、CFO ヘンリー・ブロムリー(Henry Bromley)氏ほか |
発行済株式数 | 131,304,499株(2026年4月29日時点) |
広告事業のもとになったKidoz Ltd.の設立年は、公式資料では確認できなかった。共同創業者として公式に確認できたのはエルダッド・ベン・トーラ(Eldad Ben Tora)氏で、2013年6月からKidoz Ltd.のCEOを務め、現在はCSO兼EMEAマネージングディレクターである。
会長のT. M. ウィリアムズ氏は、1988〜91年にDistinctive Softwareの社長兼CEOを務め、同社がElectronic Arts(EA)に買収されたあとはElectronic Arts (Canada)の社長兼CEOを務めた。取締役にはRovioやKing.comで要職にあったC. Kalborg氏もいる。ゲーム業界の経歴を持つ経営陣が、子ども向け広告の専業会社を率いている形である。
2つのブランド: KidozとPrado

ブランド | 対象 | 中身 |
|---|---|---|
Kidoz | 子ども・ファミリー | キッズセーフな広告ネットワーク |
Prado | 13歳以上・全年齢 | 文脈型広告ネットワーク。SSP・DSP・アドエクスチェンジを持つ |
Pradoは2023年に立ち上げたブランドで、2025年7月にはPrado SDKを発表した。子ども向けで作った「個人データを使わない配信」を、年齢の高い層にも広げる位置づけと考えられる。
広告主向けのプロダクト
公式サイトの広告主向けページ(kidoz.net/brands)では、次の4つを提供している。
プロダクト | 内容 |
|---|---|
Kidoz Network | 厳選したキッズセーフなモバイルゲームの広告枠。SDKで直接つながったプレミアム枠 |
Kidoz Shield | プログラマティック取引で、米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)や欧州の子ども向けGDPR規定(GDPR-K)への対応を自動で処理する |
Kite IQ | 行動追跡を使わない文脈ターゲティング用のAIエンジン |
Kidoz Arcade | 社内チームが子ども向けのプレイアブル広告を企画から納品まで制作する |
広告フォーマットは、動画(視聴してから遊ぶ形式)、プレイアブル(ミニゲーム型)、ビデオフレーム(インタラクティブ要素のある動画)、モバイルバナーの4種類である。動画は完了率85%以上と自社で記載しているが、測定方法は書かれていない。2024年にはハイパーカジュアルゲーム会社のTapNationと組み、ゲーム全体をブランド仕様にする「Game Skinning & Brand Takeover」(制作1週間、1か月の独占も可能)と「Audio Banners」を加えた(出典: Kidoz公式ブログ、2024年2月23日)。プレイアブル広告の設計の考え方は「プレイアブル広告の設計と効果」で解説している。
広告がゲーム内に表示される仕組み
ゲーム開発者が自社のアプリにKidozのSDKを組み込むと、ゲームの中に広告枠ができる。広告主はこの枠を、SDK経由の直接取引か、プログラマティック取引(PMP/プログラマティック保証型)で買う。公式サイトでは、すべての在庫が「Kidoz Privacy Shield」の内側にあると説明している。

配信先の選び方の中心がKite IQ(2025年7月10日発表)である。機械学習と意味解析でアプリをテーマ・内容・年齢層への訴求度で分類し、ジャンル・テーマ・年齢層・性別のメタデータをリアルタイムで付ける。アプリのレビューやトーンも分析対象に入る。つまり「この子は誰か」ではなく「このゲームはどんなゲームか」で届け先を決める。

子ども向けの運用ルールとして、同社は2022年の公式の事例記事で、行動ターゲティングとリマーケティングを行わず、個人情報や識別子を広告主に渡さないとしている。広告素材には「Hey kids, This is Advertising.」「This is an ad」といった広告表示を入れている。
技術面の認証について、同社は投資家向けファクトシートに「Google-certified and Apple-approved」と記載しているが、認証の名称や認証機関は書かれていない。2022年の事例記事では、米連邦取引委員会(FTC)が承認したCOPPAセーフハーバーのPRIVOとの提携に触れているが、提携が今も続いているかは確認できなかった。
対応プラットフォームとインベントリ規模
配信先はモバイルゲームが中心で、売上はApple・Google・Amazonのプラットフォーム手数料と源泉税を差し引いた純額で計上している。規模の公表値は、掲載ページによって値が異なる。
指標 | 公表値 | 出典 |
|---|---|---|
月間リーチ | 5億超 | IRサイト |
キッズセーフなゲーム数 | 40,000超 | 公式サイト(プログラマティックのページ) |
ブランド顧客 | 150超 | 投資家向けファクトシート |
配信国 | 60か国(2025年の配信実績) | 20-F |
2025年の地域別売上 | 北米49%・欧州47%・その他4% | ファクトシート |

収益の柱はプログラマティック、パートナーチャネル、ブランドとの直接取引の3つである。20-Fのリスク要因には「比較的少数の顧客や販売代理店に依存している」とあり、割合は開示されていない。
主要パートナー
種別 | 名前 | 内容 |
|---|---|---|
ゲームパブリッシャー | Outfit7(『Talking Tom & Friends』) | 長期パートナー。2024年7月に『My Talking Hank: Islands』へ配信 |
ゲームパブリッシャー | TapNation | 2024年2月に提携。TapNation側の数値でMAU 6,000万、1日8,000万インプレッション |
メディエーション | TopOn、TradPlus(いずれも中国) | 2021年に提携・採用を発表 |
計測 | Singular | 2021年6月に「キッズセーフなアトリビューション」で提携。技術統合の詳細は公開情報では確認できない |
販売代理 | Mediafarm(ポーランド)、Kidsmedia(スペイン)、YDigital Media(ポルトガル・ブラジル・南アフリカ)ほか | 2019〜2022年に各国で指名 |
業界団体 | IAB Canada | CEOがGaming Committeeの共同議長 |
接続しているDSP・SSPの名前や、IAS・DoubleVerifyのような第三者計測ベンダーの名前は、公式資料では確認できなかった。
ここまでの歩み
Kidozはベンチャーキャピタルの資金で育ったスタートアップではない。ゲーム事業の上場会社が、イスラエルのキッズテック企業を株式交換で取り込んで生まれた会社であり、シリーズA・Bのような資金調達ラウンドはない。そのため、ここでは資本の動きと事業の撤退・転換を合わせて振り返る。
資本の動き
時期 | 内容 | そのとき会社がしようとしていたこと |
|---|---|---|
2015年 | 1月にShoal Games Ltd.へ社名変更(OTCQB: SGLDF)、7月にTSXベンチャー取引所に上場(SGW) | ビンゴ事業の売却後、フリーミアムゲームと子ども向け教育ゲームで再出発する |
2019年3月 | Kidoz Ltd.の全株式を、Shoal Games株52,450,286株(1株US$0.40評価、総額約US$21M)で取得。現金対価はなし | 収益化できなかった自社ゲームから、子ども向け広告テックへ事業を切り替える |
2019年3月 | 買収直後に1株US$0.40で500万株の私募を行い、US$2.0Mを調達(仲介はClubb Capital) | 統合後の事業資金を確保する |
2025年6月 | OTCQB: KDOZFで米国での取引を開始 | 米国の投資家が株を買える場を広げる |
買収後、旧Kidoz Ltd.の株主の持株比率は40%になった。2026年4月時点の大株主はPendinas Limited(マン島、21.29%)、会長のT. M. ウィリアムズ氏(12.98%)、Wydler Global Equity Fund(スイス、9.29%)などで、共同創業者のベン・トーラ氏も4.27%を持つ(いずれも20-Fの記載値)。日本企業・日本の投資家は、大株主にも2019年の私募にも見当たらない。
確認できた資本の動きは、株式交換による買収と2019年の私募US$2.0Mで、ベンチャーキャピタルによるラウンド型の調達は見当たらない。買収前のKidoz Ltd.がどのように資金を集めていたかは、公式資料では確認できなかった。
事業の撤退と転換
時期 | 出来事 |
|---|---|
1987年1月 | フロリダ州で法人設立 |
1999年 | bingo.comドメインを取得し、オンラインビンゴ事業を始める |
2001年 | T. M. ウィリアムズ氏が社長兼CEO、ジェイソン・ウィリアムズ氏がVP事業開発として入社 |
2014年12月 | bingo.comのURLとオンラインビンゴ事業をUnibetに売却(撤退) |
2015年1月 | Shoal Games Ltd.に社名変更。『Trophy Bingo』『Garfield's Bingo』や教育ゲームのサブスク「Rooplay」を展開 |
2018年 | Shoal Gamesの売上はUS$106,978、常勤従業員8名。ゲーム事業は収益化できていなかった |
2019年3〜4月 | Kidoz Ltd.の買収を完了し、Kidoz Inc.に社名変更 |
2020年 | Prebid.orgの公式アダプターをリリース。売上・利益とも当時の過去最高 |
2021年 | TopOn、Singular、TradPlusと提携。プログラマティック製品「Kidoz Connect」を発表 |
2022年5月 | 共同CEO体制が終わり、ジェイソン・ウィリアムズ氏が単独CEOに |
2023年 | アンギラ法からカナダ連邦法の法人へ移行。Pradoを立ち上げ。売上は前年より減少 |
2024年 | ケニア子会社Rooplay Media Kenyaを解散(撤退)。TapNation、Outfit7との配信を拡大 |
2025年 | Prado SDK(7月7日)とKite IQ(7月10日)を発表。子ども向けOS「Kidoz OS/Kid Mode OS」のOEMライセンス事業を終了 |
2026年 | 2月にVP Sales北米、5月にCOOを任命。Q2は売上が過去最高、損益は赤字 |
Kidoz OSはAcer、Lenovo、TCLなどに提供していた子ども向けOSで、創業期の主力だった。2025年にこれを終えたことで、「子ども向けの端末やコンテンツを作る会社」から「子ども向けゲームに広告を流すアドテクの会社」に絞り込まれた。オンラインビンゴ、自社ゲーム、OSと、3つの事業を手放した末の現在の形である。
業績の推移

年 | 売上 | 損益 |
|---|---|---|
2021年 | US$12,484,639 | 純損失US$190,321(調整後EBITDAはUS$1,507,951の黒字) |
2022年 | US$15,097,056(+21%) | 純損失US$1,347,113 |
2023年 | US$13,326,824(減収) | 公式資料で未確認 |
2024年 | US$14,004,527 | 純利益US$353,140 |
2025年 | US$18,433,172(+32%) | 純利益US$456,817 |
売上は2022年から2023年にいったん落ち込み、純損益が黒字に戻ったのは2024〜25年である。2026年上期は再び赤字になっており、右肩上がりで成長してきた会社とは言えない。

四半期で見ると売上は第4四半期に集中している。2025年第4四半期の売上はUS$9,598,132で、通期売上の半分強をこの3か月で上げた。上期の赤字だけで通期を判断しにくい構造であり、会社も売上が例年第4四半期に集中することに触れている。
広告出稿事例
Kidozは、ブランド名と効果指標をセットにしたケーススタディを公開していない。公式サイトの「プレイアブル・ギャラリー」と広告フォーマットのページには、実際に配信した素材が載っている。以下の4件はいずれも、効果指標が公表されていない。
事例1: McDonald's × Pet Simulator
マクドナルドのハッピーセットと、BIG Gamesのゲーム『Pet Simulator』のコラボのプレイアブル広告である。「箱をタップしておもちゃを見つける」形式で、画面上部に「Hey kids, This is Advertising.」と表示している。McDonald'sはこのほか、Pokémon、Sonic 3、Crocs、Captain America、Monopoly(Prado経由)などとの素材も含め、計12本がギャラリーに載っている。
- 公表されている効果指標: なし(非公開)

事例2: Mattel(Barbie/Hot Wheels)
Mattelは、Hot Wheels Monster Trucks・Ultimate Garage、Barbie Dream Camperのプレイアブル広告と、Barbie Color Revealの動画広告を出している。動画は縦型・横型の両方が用意されている。
- 公表されている効果指標: なし(非公開)

事例3: LEGO
LEGOは「LEGO Girls SBT 2026」「LEGO Vehicles」のプレイアブル、LEGO Technicのレースゲーム型広告、LEGO Friendsのビデオフレームを出している。下の画像はLEGO Technicの車を走らせるゲームと、McDonald'sの朝食メニューを集める迷路型のプレイアブルである。
- 公表されている効果指標: なし(非公開)

事例4: Lunchables(Kraft Heinz)
Kraft HeinzのLunchablesは、Roblox上の体験へ誘導する内容を含むビデオフレーム広告を出している。素材には「THIS IS AN AD」の表示と「Learn More」ボタンがある。Robloxの13歳未満向け広告の動きは「Roblox×SuperAwesome提携で13歳未満向け広告が解禁」で解説している。
- 公表されている効果指標: なし(非公開)

このほか公式サイトには、LEGO、Disney、McDonald's、Mattel、Spin Master、Nickelodeon、Paramount、Warner Bros、Netflix、Nintendo、Kraft、Burger King、L'Oréal、ZURUなどのロゴが取引ブランドとして載っている。ブランドリフト調査や第三者計測の結果は公開されていないため、Kidozの効果を数値で評価する材料は現時点で乏しい。
なぜこの動きが起きたのか
Kidozの売上が2025年に+32%、2026年Q2に+37%と伸びた背景には、子どもの個人データに関する規制の強化と、大手アドネットワークの撤退があると考えられる。
1つ目は規制である。米国ではCOPPAの改正規則が強化され、各州で年齢確認の義務化が進んでいる。オーストラリアは16歳未満のSNS規制をYouTubeに広げ、フランスでは15歳未満のSNS禁止案が出ている。Kidozはこうした動きを自社のリリースで取り上げてきた(COPPA改正規則には2025年5月に歓迎のリリースを出している)。
2つ目は大手の撤退である。2024年、AppLovinはSDK 13.0.0以降で子ども向けアプリでの初期化を禁止した。Kidozはこれを受けて、アプリに年齢確認を置き、13歳未満をKidozに、13歳以上をAppLovin MAXに振り分ける構成をゲーム開発者に提案した(出典: Kidoz公式ブログ、2024年12月4日)。汎用のアドネットワークが子ども向けから手を引くほど、専業に在庫が集まりやすくなると考えられる。
Kidozは「SNSや行動ターゲティングが使えなくなるほど、文脈型のゲーム内広告の価値が上がる」と主張している。これは会社の見解であり、規制が強まれば必ず売上が伸びるとは言えない。実際、2026年上期は増収でも赤字だった。CEOは2026年Q1の決算で「Kidozを、AIを軸にした技術プラットフォームに育てるという目標は変わらない」と述べており、Kite IQへの投資は今後も続くと考えられる。
日本市場ではどうか
Kidozの公式サイト、IR、20-Fには、日本での配信、日本の代理店、日本の広告主についての記載がない。2025年の地域別売上で日本を含むアジアは「その他」の4%に入る。アジアとの接点として確認できたのは、中国のメディエーション事業者2社との2021年の提携と、2024年の台北ゲームショー参加だけである。
欧米の代理店を通じて海外キャンペーンとして出稿すること自体は、理屈の上では考えられる。ただし、日本のゲームがKidozの在庫にどれだけ入っているかは確認できていないため、日本の子どもや家族に届けたい広告主がすぐ使える手段とは言えない。
規制の面では、2026年7月10日に令和8年改正個人情報保護法が成立し、7月17日に公布された。個人情報保護委員会の資料には「16歳未満の者の個人情報等の取扱いの規定関係」とあり、子どもの個人情報に関する規定が入った(出典: 個人情報保護委員会)。施行日は公式ページに書かれておらず、具体的な条文は本記事の執筆時点で確認できていない。このほか、景品表示法のステルスマーケティング規制(2023年10月施行)や薬機法は、子ども向けの広告にも適用される。
日本で子ども・ファミリー層に向けた施策を考えるときの論点は「ファミリー向けマーケティングとは」で整理している。
日本で同じ広告を実施する選択肢
Kidozが手がけているのは、ゲームを遊ぶ子どもに、ゲームの中の広告枠で動画・プレイアブル・バナーを見せる広告である。日本国内のゲームユーザーに同じような接点を持ちたい場合の選択肢の一つに、Ad-Virtua(アドバーチャ)がある。
Ad-Virtuaはゲーム空間の中にある看板やモニターに動画広告を流すアドネットワークで、2026年4月時点で600タイトル以上に対応している。料金は1週間30万円から(約100万回再生が目安)で、初期費用はかからない。ゲームごとの対象年齢・性別・カテゴリ、地域、タイトルを指定して配信先を絞り込める(出典: Ad-Virtua公式サイト、2026年10月23日確認)。
比較ポイント | Kidoz | Ad-Virtua |
|---|---|---|
主な対象 | 13歳未満の子ども・ファミリー(Pradoで13歳以上も) | 子ども専用ではなく、幅広いゲームユーザー |
配信地域 | 北米・欧州が中心(2025年売上の96%) | 日本国内 |
表示の形 | 動画・プレイアブル・ビデオフレーム・バナー | ゲーム空間内の看板・モニターに流す動画。プレイを止めない |
配信先の選び方 | Kite IQによる文脈ターゲティング(ジャンル・テーマ・年齢層) | ゲームごとの対象年齢・性別・カテゴリ、地域、タイトル指定 |
素材 | 社内チーム(Kidoz Arcade)がプレイアブルを制作 | 動画素材を使う |
公開されている効果事例 | ブランド名と効果指標をセットにした事例はない | ブシロード: キャンペーン期間中に自然検索流入+26%、平均滞在時間1分9秒→3分4秒 |
ゲーム内広告の種類と、ゲーム外広告(インタースティシャル・リワード)とサイネージ型の違いは「ゲーム内広告とは」で詳しく解説している。
Ad-Virtuaが合う企業
- 日本国内のゲームユーザーに、TVCMやSNS広告とは別の接点で認知を広げたい
- 手元にある動画素材を活用して始めたい
- プレイを中断させない形で広告に触れてもらいたい
- 1週間単位の予算から試したい
Ad-Virtuaが合わない企業
- 13歳未満の子どもだけに絞って届けたい(Ad-Virtuaは子ども専用のネットワークではない)
- 北米・欧州で子ども向けキャンペーンを展開したい(この場合はKidozのような現地の専業が候補になる)
- ミニゲーム型のプレイアブル広告で、遊んでもらうこと自体を目的にしたい
広告主が取るべき判断
今動くべき企業
- 北米・欧州で玩具・食品・外食などのファミリー向け商品を売っており、現地の子ども向けデジタル広告の配信先を見直している企業。Kidozのように個人データを使わない配信先を候補に入れ、COPPAやGDPR-Kへの対応を確認する価値がある
- 日本国内で若年層・ファミリー層の認知に課題があり、ゲームという接点をまだ試していない企業。国内のゲーム内広告を小さな予算で試し、効果の測り方を社内で決めておける
様子見でよい企業
- 日本国内だけで事業をしていて、Kidozそのものを使う予定がない企業。Kidozは日本向けの窓口がなく、動向を追うだけで足りる
- 13歳未満への配信を検討しているが、社内の広告表示ルールや個人情報の扱いがまだ決まっていない企業。改正個人情報保護法の条文と施行日が出てから設計しても遅くない
いずれの場合も、Kidozの「動画完了率85%以上」のような自社記載の数値は測定方法が開示されていない。海外の専業を比べるときは、第三者計測の有無と効果事例の開示状況を確かめる必要がある。
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よくある質問
ゲーム開発者がKidozの広告を自社アプリに入れるにはどうするのか
Kidoz SDKを組み込む。AppLovin MAX、Google AdMob、Unity LevelPlay用のカスタムアダプターが用意されている。13歳未満のトラフィックでも規制に沿った広告収益を得られる、と同社は説明している。
Kidozは広告のキャンペーンデータをいつまで保存するのか
2022年の公式の事例記事では、キャンペーンデータを60日後に削除するとしている。現在も同じ運用かどうかは、出稿前に確認したほうがよい。
Kidozの平均クリック率は高いのか
公式ブログ(2023年6月)に「Kidozのキャンペーンは平均CTR 6.3%を達成しうる」という記載があるが、集計の期間や方法は書かれていない。同社の自己申告であり、他の媒体と比べる根拠には使いにくい。
Kidozの規模の数値はどれを見ればよいのか
Kidozの規模の公表値は、掲載ページによって異なる。たとえば配信国は、20-Fでは「2025年に60か国でキャンペーンを配信」、公式サイトのAboutページでは「56超」となっている。従業員も20-Fでは14か国に58名、Aboutページでは65名である。公式サイトのトップページはカウンター形式で値が動くため、本記事ではIRサイト、ファクトシート、20-Fの値を優先した。
Kidozの競合はどこか
Kidozの20-Fは競合の社名を挙げていない。子ども向け広告の専業としては、Epic Games傘下のSuperAwesomeがよく比べられる。両社を比べる場合は、それぞれの公式情報で対象プラットフォームと取引条件を確かめる必要がある。


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