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ゲーム内広告vsウェブ広告 メタバース時代の広告戦略比較

メタバース時代の広告戦略とは? ゲーム内広告の可能性

近年、デジタルマーケティングの世界では新たな潮流が生まれています。特に注目を集めているのが「メタバース広告」と「ゲーム内広告」です。従来のウェブ広告とは一線を画すこれらの広告手法は、Z世代を中心とした若年層へのアプローチ方法として大きな可能性を秘めています。

私はVRゲーム開発をきっかけにゲーム内広告の可能性を見出し、メタバース広告プラットフォーム「Ad-Virtua」を立ち上げました。その経験から、メタバース時代の広告戦略について解説します。

メタバース広告市場は急速に拡大しており、総務省の発表によると世界のメタバース市場は2030年には約70兆円を超え、日本市場も2027年度には2兆円を超えると予測されています。この成長に伴い、メタバース広告事業も急成長し、市場規模は6年間で25倍になると予想されています。

ゲーム内広告とウェブ広告の根本的な違い

ゲーム内広告とウェブ広告には、いくつかの根本的な違いがあります。最も大きな違いは、ユーザー体験に対するアプローチです。

ウェブ広告は、ユーザーの閲覧体験を中断させることが多いです。ポップアップや全画面広告は、コンテンツの閲覧を妨げ、ユーザーにストレスを与えることがあります。一方、ゲーム内広告は、ゲームの世界観に自然に溶け込むように設計されています。

「従来のゲーム広告は、ゲームの合間に全画面で動画広告を表示するインタースティシャル広告が主流でした。しかし、このような広告はユーザーにとっては鬱陶しいだけ。そこでAd-Virtuaはゲームの世界観を損なわず、ユーザーにストレスを与えない形で広告を露出することにこだわっています」

この違いは広告効果にも大きく影響します。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの調査によると、ゲーム内広告は従来型のWeb広告と比較して、広告想起率約1.8倍、注目度約1.7倍、視認率約1.4倍という高いパフォーマンスを示しています。さらに、84%のユーザーが「このような広告手法はゲーム体験に適している」と回答しています。

Z世代へのリーチ力 - ゲーム内広告の強み

Z世代を中心とした若年層へのマーケティングに悩む企業にとって、ゲームという空間は見逃せない存在となっています。「ファミ通ゲーム白書2024」によると、2023年の国内ゲーム市場規模は2兆円を超え、5553万人ものゲーム人口を抱える巨大市場へと成長しています。

特筆すべきは、若者がSNSやストリーミング配信と同じくらいの時間をゲームに使っているという事実です。しかし、可処分時間割合に対する広告費を見ると、SNSと比較して約3割も少ないのが現状です。

まだゲーム広告市場はブルーオーシャンであると言えるでしょう。ゲーム内広告の最大の強みは、既存メディア離れが進む10~20代の特に男性への効率的なリーチが可能な点です。また、OOHやテレビCMなどに比べると広告の出稿費用が安価にもかかわらず、ゲーム体験を阻害せず嫌われづらく、かつ記憶に残りやすいという特徴があります。

ゲーム内広告は、ゲームの背景に自然に溶け込むため、ユーザーの反感を買いにくいことも大きな利点です。ゲームの世界観を損なわず、ユーザーにストレスを与えない形で広告を露出することで、より高いブランドリフト効果を得ることができます。

メタバース広告の3つの主要タイプとその特徴

メタバース広告は主に3つのタイプに分類できます。それぞれの特徴を理解することで、自社の目的や予算に合わせた最適な広告戦略を立てることができます。

1. オウンド型広告(自社メタバース所有)

オウンド型広告は、企業が自らメタバース空間を所有・運営し、その中で広告活動を行う手法です。自社専用のバーチャルショップやブランド専用のコミュニティスペースを構築し、ユーザーに直接アプローチします。

メリットとしては、自由なカスタマイズが可能で、企業のブランド価値を反映した深い体験を提供できる点が挙げられます。一方、デメリットとしては、開発や維持に多くのリソースが必要で、特に小規模な企業にとっては参入障壁となることがあります。また、自社空間の集客には工夫が必要です。

2. 出展型広告(他社メタバースへの出店)

出展型広告は、企業が他社のメタバースプラットフォームに自社の店舗やブランドのエリアを出店し、ユーザーに向けて広告活動を行う方法です。例えば、人気ゲーム「Fortnite」や「Roblox」に自社のブランドショップを出店するといった形式です。

メリットとしては、既存のプラットフォームのユーザー基盤を活用できる点や、開発コストを抑えられる点が挙げられます。デメリットとしては、プラットフォームのルールに従う必要があり、自由度が制限される場合があることです。

3. コラボ型広告(広告出稿・タイアップ)

コラボ型広告は、既存のメタバースの広告スペースへの出稿や、メタバースとのタイアップ(コラボ)を行う形式です。プロダクトプレイスメント広告やアイテム/イベントコラボなどがこれに該当します。

メリットとしては、SNS広告のように認知拡大に非常に強い効果を発揮し、費用も比較的抑えられる点です。オウンド型や出展型に比べ手軽に始められるため、マーケティング費用が限られている場合や、お試しでメタバースを活用したい企業に有益な施策と言えます。

ゲーム内広告の優位性 - 実況動画やSNSとの相性

ゲーム内広告の優位性として特筆すべきは、ゲーム実況動画やSNSとの高い親和性です。近年、ゲーム実況がYouTubeやTikTokの人気コンテンツとなっていますが、実況動画内でもゲーム内広告は非常に有効です。

ゲーム内広告は他の動画コンテンツと比べて、自然とゲーム内に映り込むため、広告が映った部分をカットされてしまうことは滅多にありません。そのため、実況動画を通じて広告へのリーチが拡散しやすいのが特徴です。

それが切り抜かれて、XなどほかのSNSで話題になれば、ゲームをしない、より多様な層にも届けることができます。実際に、アドバーチャのWebサイトの二次元コードと「アドバーチャで検索」という文言を表示した広告を出稿していたインディーゲームでは、その実況動画がSNSで拡散され、大きな効果を得ることができました。

このように、ゲーム内広告はゲーム内だけでなく、実況動画やSNSを通じて二次的、三次的な拡散効果を期待できる点が大きな強みです。従来のウェブ広告では得られない、オーガニックな拡散が可能になります。

メタバース広告のメリットとビジネス効果

メタバース広告には、従来の広告手法にはない独自のメリットがあります。これらのメリットを理解することで、より効果的な広告戦略を立てることができるでしょう。

参加型プロモーションによる深いブランド接触

メタバース広告の最大の特徴は、ユーザーがアバターを通じて広告コンテンツに能動的に参加できる点です。単に広告を「視聴」するだけでなく、「体験」することで記憶に残りやすく、ブランドへの親近感や理解を自然に深めることができます。

データに基づく広告最適化

仮想空間内でのユーザーの行動ログ(移動経路、滞在時間、操作内容など)を活用することで、詳細な効果測定やPDCA改善が可能です。バナークリックや滞在時間などにとどまらず、「どの広告要素がエンゲージメントにつながったか」が可視化されやすいのが特長です。

話題化・SNS拡散を前提とした設計

インタラクティブな広告設計や、限定アイテム配布などの施策は、ユーザー自身がSNSで共有したくなる体験を生み出します。「行ってみた」「体験した」というコンテンツは、特にZ世代を中心に拡散されやすく、オーガニックなリーチ拡大につながります。

嫌われない広告体験の提供

従来のウェブ広告のように邪魔に感じられるのではなく、ゲームやメタバースの世界観に自然に溶け込む広告は、ユーザーに受け入れられやすいです。広告ブロッカーの影響を受けず、むしろコンテンツの一部として楽しまれる可能性もあります。

メタバース広告導入時の課題と対策

メタバース広告には多くのメリットがある一方で、導入時にはいくつかの課題も存在します。これらの課題を理解し、適切に対策を講じることが成功への鍵となります。

技術的ハードルと対応策

メタバース広告の導入には、3Dモデリングやプログラミングなどの専門知識が必要な場合があります。しかし、最近では専門知識がなくても利用できるプラットフォームやサービスが増えています。Ad-Virtuaのようなサービスを活用することで、技術的なハードルを下げることが可能です。

コスト管理と投資対効果の最大化

オウンド型のメタバース広告は初期投資が高額になる傾向がありますが、出展型やコラボ型であれば比較的低コストで始めることができます。まずは小規模な施策から始め、効果を測定しながら段階的に投資を拡大していくアプローチが有効です。

ユーザー体験を最優先に考える

メタバース広告においても、ユーザー体験を損なわないことが最も重要です。広告が押し付けがましく感じられたり、メタバース体験を妨げたりすると、かえって逆効果になる可能性があります。ゲームの世界観に自然に溶け込み、ユーザーに価値を提供する広告設計を心がけましょう。

メタバース広告は、単なる広告スペースの購入ではなく、ユーザーとの新たな関係構築の機会と捉えることが大切です。ブランドの世界観や価値観を体験として提供することで、より深い関係性を築くことができます。

まとめ:メタバース時代の広告戦略を考える

メタバース時代の広告戦略において、ゲーム内広告とウェブ広告の比較から見えてきたのは、「体験」と「没入感」の重要性です。従来のウェブ広告が情報の一方的な提示に重点を置いていたのに対し、メタバース広告はユーザーの能動的な参加と体験を促進します。

ゲーム内広告の強みは、Z世代を中心とした若年層への効果的なリーチ、ゲーム実況やSNSとの高い親和性、そして「嫌われない広告」としてのポジショニングにあります。一方で、技術的ハードルやコスト管理などの課題も存在します。

メタバース広告は、オウンド型、出展型、コラボ型の3つの主要タイプがあり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。企業の目的や予算に合わせて最適な手法を選択することが重要です。

今後、メタバース市場の拡大に伴い、メタバース広告の重要性はさらに高まっていくでしょう。特に若年層へのマーケティングにおいて、メタバース広告は欠かせない存在となっていくと考えられます。

私たちアドバーチャは、「リアルとメタバースの未来を創造する」をビジョンに掲げ、メタバース/インゲーム広告のアドネットワーク「Ad-Virtua」を通じて、新時代の広告プラットフォームを提供しています。メタバース広告の可能性にご興味をお持ちの方は、ぜひアドバーチャの公式サイトをご覧ください。

WRITTEN BY

水野 征太朗

アドバーチャ株式会社代表取締役CEO | 学生時代からインディーズゲーム開発者として、複数のゲームを開発・リリース。名古屋大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社にて、メタバース/XR/センサーなど先端技術を用いたソリューションの提案・開発に従事。その後、アマゾンジャパン合同会社にてデータ分析・ツール開発・プロセス改善等を経験。2022年にアドバーチャ株式会社を創業。